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シナリオ詳細

<第三次グレイス・ヌレ海戦>嵐の三叉槍

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●魔槍使いの鉄帝艦長
 ――グレイス・ヌレ海域。過去において二度の大海戦が行われたこの海域では、今まさに三度目の大海戦が行われている。
 海洋の『大号令』に対し、海賊連合は生き残りの道を模索するため、鉄帝は武力で以て『一枚噛む』ために、海戦を挑む。これに対し、海洋は狭隘で大型の軍船が動きにくいグレイス・ヌレ海域に鉄帝艦隊を引きずり込み、迎え撃ったのだった。

「――地の利は確保したとは言え、なかなか難儀じゃのう」
 海洋軍人リウ・ウーは長く伸びた白い顎髭を撫でながら、苦虫を噛み潰したような表情をした。リウ・ウーは旗艦チャン・ジアンはじめ五隻の軍艦を率いており、本来ならば艦の性能差があるとは言え目前の鉄帝軍艦一隻に苦戦するはずはなかった。
「嵐よ、吹き荒れろ! 海洋の木っ端船など、沈めてしまえ!」
 一方、鉄帝軍艦グローリー・オブ・ソルジャーズの甲板では年若い船長ルドラ・テンペスタが三叉槍をリウ・ウー麾下の艦に向けて突き出す。すると槍先からゴウ、と細いながらも強烈な竜巻が迸り、一隻の喫水線をドリルのように穿った。浸水し、大きく傾く海洋軍艦。既に同じ攻撃で一隻を失っており、戦闘可能な艦は三隻にまで減らされていた。
 純粋な砲撃戦であれば、艦の機動力や小回りを駆使して敵の砲から狙いにくい位置に動くなどして、互角以上に戦えるはずであった。だが、これでは敵艦に全周囲攻撃可能な砲があるも同然であり、海洋艦隊のアドバンテージは打ち消されてしまっている。
「……イレギュラーズ達は、そろそろかのう。艦を二隻も犠牲にしたのだ、それに見合うよう、上手くやってくれよ」
 頃合いを見計らうように、リウ・ウーは独り言ちた。

●時は僅かに遡る
「グレイス・ヌレ海域の戦いで、鉄帝軍艦グローリー・オブ・ソルジャーズに斬り込んでくれる方はいませんか?」
 海洋対鉄帝、海洋対海賊連合の大海戦が、もうすぐ始まろうとしている。海洋に全面協力すると決めているローレットは、にわかに忙しなくなっていた。
 そんな中、『真昼のランタン』羽田羅 勘蔵(p3n000126)はイレギュラーズ達の中から依頼に参加してくれる者を募っていた。
「グローリー・オブ・ソルジャーズ? それは、わざわざ斬り込まなきゃならんほどの艦なのか?」
 イレギュラーズ達の一人が尋ねる。それに対する勘蔵の答えは「否」だった。――少なくとも、艦に関しては。
「――グローリー・オブ・ソルジャーズ自体は、鉄帝軍艦の中では標準的なものです。しかし、その艦長ルドラ・テンペスタは自由にさせておくわけには行きません」
 グローリー・オブ・ソルジャーズ艦長ルドラ・テンペスタは、嵐の三叉槍と呼ばれる魔槍を所持している。嵐の三叉槍から放たれる細くも強烈な竜巻は、海洋軍艦の船体ぐらいであれば簡単に穴を穿つ風のドリルとなる。
「これを放置していては、手狭なグレイス・ヌレに引きずり込んだ意味が無くなる、と言うのが依頼人リウ・ウー氏の言です。確かに、艦の向きに関係なく好きな方向に撃てる砲があるようなものですから、この世界の海戦ではチートもいいところと言えるでしょう」
 故に、ルドラ・テンペスタが海洋艦隊に対して嵐の三叉槍を使えないように斬り込んで白兵戦を挑んで欲しい、と言うのがリウ・ウーからの依頼だ。
「依頼完遂には、以下のどれかを成功させる必要があります」
 一つ目は、ルドラ・テンペスタ自身を戦闘不能に追い込むこと。当然嵐の三叉槍による海洋艦隊への攻撃は不可能となる上に、グローリー・オブ・ソルジャーズは後退せざるを得なくなる。
 ただし、ルドラ・テンペスタ自身が相当な武人であり、その周囲の戦闘要員も精強であることから、その難易度は高い。
 二つ目は、グローリー・オブ・ソルジャーズの戦闘要員十人のうち、半数の五人を戦闘不能に追い込むこと。少数精鋭で編成されている戦闘要員半数の喪失は無視出来ない損害であり、やはりグローリー・オブ・ソルジャーズは後退を余儀なくされるだろう。
 三つ目は、斬り込んでから二分の間、戦闘を継続すること。その間にリウ・ウーが麾下の艦による集中砲火で、グローリー・オブ・ソルジャーズに手痛いダメージを与える手はずになっている。
「逆に、こちらが半数以上戦闘不能になってしまったら、依頼は失敗です。斬り込んだメンバーさえその程度とグローリー・オブ・ソルジャーズは勢いづき、ちょっとやそっとの損害では撤退しなくなってしまいます。その場合、リウ・ウー氏と麾下の艦は全滅の運命を辿り、海の藻屑と消えることでしょう」
 だから、彼らがそんな状況に陥らないように、どうかよろしくお願いします。そう告げて、勘蔵は深く頭を下げた。

GMコメント

 こんにちは、緑城雄山です。今回は<第三次グレイス・ヌレ海戦>に関して、対鉄帝国戦のシナリオをお送りします。
 鉄帝軍は精強であり、皇帝親征であることから士気が非常に高くなっています。今回のシナリオもそれを反映して普段よりかなり厳しいバランスになっております。勝利条件の一つにもあるように、一定ターン耐えきればそれだけでも成功となっているほどです。しっかりどの勝利条件を狙うかの方針を決めてプレイングを練らないとあっさり失敗もあり得ますのでご注意下さい。
 また、このシナリオでは普段の緑城のリプレイ以上に攻撃を外したり被弾したりの苦戦描写が多くなると予想されます。予めご了承の上、参加をお願い致します。

●成功条件
以下A~Cのいずれかの達成(A、Bに関しては生死不問)
A:ルドラ・テンペスタの戦闘不能
B:グローリー・オブ・ソルジャーズ戦闘要員5名以上の戦闘不能
C:戦闘開始から、13ターン目を迎える

●失敗条件
イレギュラーズ4名以上の戦闘不能
(EXFやパンドラで復活した場合は数に含めない)

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

●ルドラ・テンペスタ
 二十代のカオスシード、男性。グローリー・オブ・ソルジャーズ艦長。
 浅黒い肌に長い銀髪の、精悍な体つきの武人。
 年若いにもかかわらず武勇に優れ、今回の鉄帝の遠征では艦長に抜擢されました。
 能力は全体的にバランスよく高いのですが、その中でも特に命中、回避、反応、EXAが高くなっています。

・攻撃手段等
 白兵攻撃(通常攻撃) 物至単
 暴風撃(アクティブスキル) 物至列 【識別】【飛】
 ウィンドカッター(アクティブスキル) 神遠単 【流血】
 ストームドリル(アクティブスキル) 神超貫 【万能】【弱点】【識別】【飛】

・嵐の三叉槍
 ルドラの持つ魔槍。ただでさえ高いルドラの能力に補正を与えています。
 周囲一帯を嵐にすることも可能なのですが、それをやってしまうとAPが一気に空になってしまうので、ルドラは一隻一隻ストームドリルで海洋軍艦の船体を穿って浸水させる戦い方をしています。

●グローリー・オブ・ソルジャーズ戦闘要員 ✕10
 一人一人が中堅~高レベルイレギュラーズに相当する実力を持つ戦闘要員です。
 少数とは言え、油断は出来ません。

・盾持ち ✕4
 HPと防御技術に優れるタンク役です。

 攻撃手段等
 ロングソード(通常攻撃) 物至単
 名乗り口上(アクティブスキル) 物特レ 【無】【怒り】
 ブロッキングバッシュ(アクティブスキル) 物至単 【痺れ】
 決死の盾(パッシブスキル)

・斧持ち ✕4
 命中と物理攻撃力に優れる火力担当です。

 攻撃手段等
 バトルアックス(通常攻撃) 物至単
 スニーク&ヘル(アクティブスキル) 物至単 【ブレイク】【防無】
 ヘイトレッド・トランプル(アクティブスキル) 物至単
 フレイムバスター(アクティブスキル) 物近単 【火炎】

・短剣持ち ✕2
 神秘攻撃力と特殊抵抗に優れます。回復などを担当。

 攻撃手段等
 ダガー(通常攻撃) 物至単
 メガ・ヒール(アクティブスキル) 神中単 【治癒】
 ソウルストライク(アクティブスキル) 神遠単 【必殺】【恍惚】
 衝撃の青(アクティブスキル) 神遠単 【飛】

●グローリー・オブ・ソルジャーズ
 今回の戦場です。甲板は全長50m✕幅20mです。
 イレギュラーズ達の初期配置は甲板の縁となります。
 波揺れなどによる補正はありませんが、【飛】を受けた場合、位置によっては海中に落下する可能性があります。

●リウ・ウー
 亀の海種である、老練な海洋軍人。今回の依頼人です。
 ルドラ・テンペスタを好き勝手にさせておくと味方が甚大な被害を受けると判断し、麾下の艦でグローリー・オブ・ソルジャーズに対峙し、その間にイレギュラーズ達を送り込みました。なお、OPでの2隻の損害は彼によっては苦くとも想定の範囲内です。

●海中に落下した場合
 【飛】を受けて海中に落下した場合、海中に先行しているリウ・ウー配下の亀の海種が背中に乗せて助けてくれます。しかし海面から甲板までは高さがありよじ登る必要があるため、戦闘に復帰するには1ターンを費やさなくてはなりません。

●重要な備考
<第三次グレイス・ヌレ海戦>ではイレギュラーズ個人毎に特別な『海洋王国事業貢献値』を追加カウントします。
 この貢献値は参加関連シナリオの結果、キャラクターの活躍等により変動し、高い数字を持つキャラクターは外洋進出時に役割を受ける場合がある、優先シナリオが設定される可能性がある等、特別な結果を受ける可能性があります。『海洋王国事業貢献値』の状況は特設ページで公開されます。
 尚、『海洋王国事業貢献値』のシナリオ追加は今回が最後となります。(別途クエスト・海洋名声ボーナスの最終加算があります)

  • <第三次グレイス・ヌレ海戦>嵐の三叉槍完了
  • GM名緑城雄山
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2020年01月03日 22時45分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧 (8人)

グレイシア=オルトバーン(p3p000111)
知識の蒐集者
ルーキス・グリムゲルデ(p3p002535)
月夜の蒼
ルナール・グリムゲルデ(p3p002562)
紅獣
マリナ(p3p003552)
マリンエクスプローラー
藤野 蛍(p3p003861)
二人でひとつ
レスト・リゾート(p3p003959)
にゃんこツアーコンダクター
桜咲 珠緒(p3p004426)
二人でひとつ
回言 世界(p3p007315)
貧乏籤

リプレイ

●いざ、グローリー・オブ・ソルジャーズ
 ルドラの『嵐の三叉槍』によって、リウ・ウーが麾下の艦を二隻喪ったその時。イレギュラーズ達は、小型の快速強襲艇からその様子を眺めていた。
「あらあらまあまあ~、世の中には便利な品があるのね~。あんな物を持ち出されたら、リウ・ウーおじさまがお困りになるのも無理はないかも」
「まったく、ズルい武器を持ち込んで好き勝手やってくれてるもんだ。いやまあ、戦場にズルいも卑怯もありはしないか……。ともかく、あの三叉槍ってのを封じさせてもらうとしよう」
 その様子に、『遠足ガイドさん』レスト・リゾート(p3p003959)が 何処か感心したように、のんびりとした口調で呟く。
 レストの隣で憤慨するのは、『凡才の付与術師』回言 世界(p3p007315) 。確かに、『嵐の三叉槍』はこの世界の海戦で使うにはズルいと言えばズルい。故に、イレギュラーズ達の出番となったわけだが。

(流石に今回は大騒ぎ過ぎるだろ。面倒極まりないなぁ、これ……)
 はああ、と『紅獣』ルナール・グルナディエ(p3p002562) は盛大に溜息を零す。このグレイス・ヌレでは海域の至る所で戦闘が行われており、そのいくつかは肉眼でも見ることが出来た。
「いやあ、どこもかしこも大騒ぎだ。海での戦闘は初では無いけど、中々に厄介そうだね。船長をさっさと倒したいとはいえ、チート級って言われると流石に慎重になるしかないなあ」
 ルナールの様子を知ってか知らずか、『蒼き深淵』ルーキス・グリムゲルデ(p3p002535)は周囲の光景に楽しそうに快哉を叫ぶ。ルドラについては慎重になるしかないと言いながら、声のテンションは落ちていない。何故なら。
「まあ、ルナールもいるし今回は張り切っちゃうぞー!」
 恋人が一緒に依頼に参加しているのだ。それで張り切らないはずがあろうか。
(とはいえルーキスが一緒だからな、格好悪いところも見せられんし……何時もよりは、頑張ってみるとしようか)
 ルナールとしても、恋人が一緒に(以下略)。それに加えて、心配性で寂しがりで嫉妬深い男心としては、恋人であり師である女性を前に醜態をさらすわけには行かない。むしろ、格好良い姿さえ見せたいところである。と言うわけで、本人比何パーセントかは定かではないが、普段よりも奮起して依頼に臨んでいた。

「よりによって、強さ至上主義の”あの”鉄帝の少数精鋭部隊。あんまり、真正面からやり合いたいとは思えない相手よね。……珠緒さん、何か思い付いた?」
 これから相対する敵について考えて、『学級委員の方』藤野 蛍(p3p003861)は辟易したようにつぶやいてから、『司令官』桜咲 珠緒(p3p004426)に何かアイデアがないか尋ねた。
「数的劣勢、相手の陣内、個々が必ずしも優位ではない……そもそも完全勝利を求められてはいませんので、正面相対は避けましょう。得手を活かし、不得手を見せずが理想です」
 珠緒は独り言ちるように状況を確認してから方針を決めて、さらに蛍と策について打ち合わせた。

(――でも、安心してね。だって、頼れる子達がたくさん応援に来てくれたのよ)
 レストは同行する七人の姿を見回すと、旗艦チャン・ジアンで作戦の成功を願うリウ・ウーに語りかけるように、内心で呟いた。

●戦端、開かれる
「わざわざこの艦に斬り込んで来るとはな! その実力、確かめさせてもらおう! 白兵戦、用意!」
 イレギュラーズ達が斬り込んできたのを見るや否や、ルドラは破顔した。そして、麾下の戦闘要員に戦闘準備を行わせ、陣形を整えさせる。

(あれが嵐の魔槍か。面白そうな武器ではあるな。ルドラ以外でも使用出来るのであれば、一つ手に入れてみたいものだが……流石にそんな余裕は無さそうか。ルドラ一人に海洋艦隊を沈められる事の無いよう、吾輩達で食い止めるとしよう)
 グローリー・オブ・ソルジャーズに乗り込んで、嵐の三叉槍の実物を見て興味を示したのは、『知識の蒐集者』グレイシア=オルトバーン(p3p000111) 。所有欲をそそられつつも、これから始まる戦闘に意識を戻した。

(敵さん、やる気満々でごぜーますね……ですが、私もやる気満々ですよー! なんせ、あと少しで絶望の青に届くかもって雰囲気ですからね……。ここでのお仕事を頑張って、バッチリ貢献していきてーです!)
 グローリー・オブ・ソルジャーズの戦闘要員は、皇帝親征と言うこともありその士気は非常に高い。だが、『マリンエクスプローラー』マリナ(p3p003552)の士気も負けず劣らず高い。
 マリナの最終目標であろう「『絶望の青』越え」が目前なのである。如何な難敵相手だろうと怯むことなく戦って、『大号令』に貢献したという結果を残したいところであった。

 イレギュラーズ達が全員甲板に登ってきたところで、交戦開始となった。
 最初に口火を切ったのは、蛍である。
「鉄帝の精鋭部隊なら、相手にとって不足無し! 桜と共に散りなさい!」
 武人らしい口調で告げながら、密集している前衛全体に繚乱の二連撃を浴びせる。咲き乱れる桜花の幻に囚われた者達は、その生命力を削られていった。特に、盾持ちが庇いに入る前と言うこともあり、斧持ちの半数が手痛いダメージを受けている。
「さー、じゃんじゃんいくよー!」
 盾持ちが未だ庇いに入っていないと知って、今がチャンスとばかりにルーキスは斧持ちの列に痺棘の翠玉を連続で叩き込む。斧持ち達は後衛を守るべく、横一列に展開していたのだが、それが災いした形だ。
「……ぐ、ああ……っ」
 しかも斧持ち達にとって悪いことに、彼らを襲った無数の棘は直撃によって深々と突き刺さり、彼らの自由の身ならず生命力も大幅に奪い去ってしまった。既に大ダメージを受けている二人が、早々に戦闘不能に陥った。
「――くっ、不覚!」
 ようやく盾持ちの一人が動き、斧持ちの二人を庇いに入る。
「戦いを有利に運ぶためなら、俺の生命力を贄として捧げよう」
 世界は神子饗宴を発動し、自身の生命力を代償として味方全体を強化する。何分、強敵との戦闘である。生命力を犠牲にしてでも、味方を強化しておきたいところであった。
「吾輩も、動くとしようか」
 グレイシアがヘビーサーブルズによって、熱砂の精を召喚する。熱砂の精が巻き起こした砂嵐は盾持ち三名を巻き込み、うち一名に直撃して砂で覆った。
 短剣持ちの一人が、ヘビーサーブルズの直撃を受けた盾持ちをメガ・ヒールで癒やす。まとわりついている砂は振り払えていないが、ダメージはかなり癒えたようだった。
 次いで、盾持ちの一人が前に進み出て、.名乗り口上を上げる。これにグレイシア、ルーキス、マリナが耐えきれずに乗ってしまった。
「さて、と……いつも通りにやるとしますかね」
 ルナールは前に出て名乗り口上を上げた盾持ちにフェアウェルレターを仕掛けるが、盾持ちの守りは硬く、十分なダメージを与えられない。
「はーい、ちょっと落ち着いてね~。攻撃を分散させるのが目的なんだから、口車に乗っちゃダメよ~」
 レストは超分析でグレイシア、ルーキス、マリナの盾持ちへの敵意を鎮めにかかる。その試みは成功し、三人とも冷静さを取り戻した。
「レストさん、ありがとうごぜーます!」
 マリナはレストに礼を述べると、そのまま前に出て短剣持ちを射程に収め、グレイシャーバレットを放った。生憎この攻撃は既に庇いに入っていた盾持ちの一人に庇われてしまったが、その直撃は防御を許さず大きなダメージを負わせた。
 それを見た斧持ちが、マリナとの距離を詰めてヘイトレッド・トランプルを直撃させる。憎悪を以て狂ったように振るわれる重い一撃が、マリナを瞬く間に満身創痍に追い込んだ。

●ルドラ、動く
「成程……先手を取ったとは言え、瞬く間に私の部下二名を倒すとは、わざわざ斬り込んできたのは伊達ではないようだ。では、敬意を以て全力で相手しよう!」
 ルドラは前に出ると、ルーキスを目掛けてウィンドカッターを連続して放った。
「私の部下を倒した報いは、受けてもらう!」
 荒れ狂う風の刃が、ルーキスをズタズタに斬り刻む。
「ひゃあ、痛い! 直撃は危険だね!」
 その口調こそ普段通りに飄々としているものの、防具として纏っている神淵のアニマは至る所が紅く染まっており、次を受ければ危ないことを示していた。
 珠緒はマリナとルーキスのどちらを回復するかわずかに迷い、結果マリナをミリアドハーモニクスで回復する。だが、完治にはまだまだ遠い。
 しかし、この癒やしがなければ次の斧持ちのヘイトレッド・トランプルでマリナは戦闘不能に陥っていただろう。薄氷を踏むレベルではあるが、マリナはギリギリ倒れずに済んだ。
 マリナに攻撃を仕掛けた斧持ち二人を、未だ動いていない盾持ちが庇いに入る。そして、残る短剣持ちは自分達を庇っている盾持ちをメガ・ヒールで全快させた。

 斧持ちは、執拗にマリナを狙う。もう少しで倒せる敵がいるのなら、当然の判断だろう。連続して振るわれる斧の一撃目をマリナは必死になって回避したが、二撃目に捕まってしまう。
「こんなところで倒れるわけには……いかねーのです!」
 深手を負って倒れたかに見えたマリナだが、パンドラを費やしてよろけながらも立ち上がった。そのままマリナは後退し、自身を狙った斧持ちにグレイシャーバレットを放ち、マギ・インスティンクトで攻撃力を高めて再度グレイシャーバレットを放った。
 盾持ちが庇いに入ったが、凍てつく魔力を纏った銃弾は防御する余裕を与えず、直撃する。着弾点を中心に、盾持ちは氷に包まれた。
「蛍さん! 回り込んでいる暇はありません! 前へ!」
 戦況が厳しいと見た珠緒は、蛍に指示を出しつつ、マリナを再度ミリアドハーモニクスで癒やす。パンドラによる復活で回復した分も含めて、ようやくマリナは一息着けるところまで回復した。
 短剣持ち達は、マリナに撃たれた盾持ちを二人がかりで癒やす。まだ微かに傷は残るものの、盾持ちはほぼ全快した。
 次に動いたのは、ルドラだった。ルーキスを仕留めるべくウィンドカッターを放ち、戦闘不能に追い込んだ様に見えた。が、ルーキスもほぼ戦闘継続不能と言わんばかりの満身創痍ながら、立ち上がってくる。
「……まだ、私も、倒れないよー」
「ぬうっ、しぶとい奴め!」
 呆れたように、ルドラが吐き捨てる。その表情には、苛立ちの色が見えた。

「これが、ボクの本領です!」
 策のために後衛アタッカーを偽装していた蛍だったが、珠緒の指示を受け前衛へと躍り出る。同時に、導による幻視フィールドを展開し、ルドラと盾持ち一名以外の、前衛に出てきている敵の敵意を引き付けた。
 ルナールは蛍と入れ替わるように後退して、ルーキスを庇いに入る。
「……人の嫁にしつこく手を出すってのは、感心しないな?」
「ふん! ならば、力で以て守ってみせるがいい!」
 ルナールの言葉にこう返す辺り、やはり鉄帝の武人なのだろう。

●斧持ち、壊滅
(あの盾持ちさえ引き剥がせれば……)
 蛍の導に耐え、斧持ち二人を庇っている盾持ちを弾き飛ばせば、斧持ちを倒せる可能性が大きく高まる。グレイシアはそう判断すると、前に出てショウ・ザ・インパクトを斧持ちを庇う盾持ちに放った。果たして、グレイシアの狙いどおりに盾持ちは後方へと弾き飛ばされた。

「ルーキスちゃん、もう大丈夫よ~」
 レストはミリアドハーモニクスでルーキスを回復する。ルナールに庇われていることもあって、ルーキスの安全はこれで確保出来たと言っていい。
 そのルーキスは、敵の前衛に再度痺棘の翠玉を放った。ルドラには回避され、盾持ちには防御されたものの、斧持ちの一人を仕留め、残る一人に深手を負わせた。
「今のうちに、癒やしておくか」
 世界は、マリナをミリアドハーモニクスで癒やす。マリナはこれで、ほぼ全快に近いところまで回復した。
 蛍の導に引き付けられた盾持ち二人はブロッキングバッシュを仕掛けたが、その攻撃はひらりと回避されてしまった。

「まずは、こちらからだな」
 前衛に出てきている蛍とグレイシアを狙って、ルドラは嵐の三叉槍を横薙ぎに払った。吹き荒れる嵐は二人の身体に傷を負わせつつ、十メートル後方へと吹き飛ばした。
 さらに、短剣持ちがグレイシアにソウルストライクを放つ。
「うぐっ! 吾輩に、ここまでやってくれるとは!」
 精神力で創られた弾丸が、嵐のようにグレイシアに浴びせられた。生命力の半ば以上を、ルドラと短剣持ちによって削られてしまっていた。
「――その槍がどんなに強くても、盾たるボクは決して崩れない!」
「ほう。その覚悟、試してみるか」
 蛍は吹き飛ばされた場所から、狂咲で前線に舞い戻る。その際に示された不屈の覚悟に、ルドラは興味を抱いた。
 盾持ちの一人が蛍に攻撃を仕掛けるが、これは外れる。
(あの盾持ちが戻ってくるまでに、斧持ちを仕留められるか……?)
 ショウ・ザ・インパクトで弾き飛ばした盾持ちが戻ってくれば、再び庇いに入られて斧持ちの撃破が困難となってしまう。渾身の魔力を込めて、グレイシアは残る斧持ちにダストトゥダストを直撃させた。だが、瀕死になりながらも斧持ちは未だ立っている。
「……足りなかった、か」
「大丈夫でごぜーます! これで、終わらせます!」
 斧持ちを仕留め切れなかった事に落胆を見せるグレイシアを、励ますように気勢を上げながらマリナはグレイシャーバレットを放った。凍てつく魔弾は斧持ちにそれ以上立っていることを許さず、甲板の上に昏倒させた。

●撤退交渉
「まさか、攻撃担当が丸々全滅とは……被害が、大きすぎる。――お前達は、まだ続ける気か? そうでなければ、退却させてほしいところだが……」
「そう言って逃げた振りをして、その三叉槍で海洋の軍艦を沈めて回ったりしないだろうな?」
 斧持ちを全て倒されたルドラが、信じられないと言った風になりながらも、イレギュラーズ達の戦意を尋ね、撤退を口にする。
 しかし、この場から逃がした結果、海洋の軍艦を沈めて回られては戦った意味が無い。世界が、釘を刺すように尋ねた。
「鉄帝軍人の名誉にかけて、そのような卑怯な真似はしない。信じては、もらえんだろうか?」
 そう返すルドラの言葉に、嘘を言っている様子は見受けられない。だが、何の担保もなくただ信じるというわけにも行かなかった。
 イレギュラーズ達の間でも如何したものかとそれぞれが考えていたが、最終的な結論を出したのは珠緒だった。
「では、その嵐の三叉槍を私達に預けてもらえませんか? 海洋と鉄帝の戦争の間、ローレットで大事にお預かりします。戦争が終わってからローレットに尋ねてきて下されば、すぐにお返し出来るように手筈は整えておきます――信じては、頂けませんか?」
「む――わかった。断腸の思いではあるが、貴殿等を信じて預けよう」
 苦悶、と言う言葉が相応しい表情をして悩み続けるも、ルドラは珠緒の提案を受け入れて、嵐の三叉槍を預けた。

 ――かくして、イレギュラーズ達はグレイス・ヌイからグローリー・オブ・ソルジャーズとルドラを退け、リウ・ウー麾下の艦隊を全滅の運命から救ったのであった。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

グレイシア=オルトバーン(p3p000111) [重傷]
知識の蒐集者

あとがき

 この度は、シナリオへのご参加を頂き、誠にありがとうございます。

 さて、OPでは戦闘要員5人の撃破を勝利条件としておりましたが、リプレイでは斧持ちを4人撃破した時点で勝利条件達成としました。
 と言いますのも、OP作成時点では盾2斧2短剣1ぐらいで戦闘不能になるかと考えておりまして、このようなケースは想定していなかったわけです。
 しかしながら、一兵種が丸々全滅すると言うことは、部隊の戦力バランスがかなり大きく狂ってしまうわけで、ルドラにとってはバランス良く5人倒されるよりも遙かに痛手を被ったことになります。
 その辺りの状況を鑑みて、OP記載の勝利条件には至っていないものの勝利条件達成としました。どうか、ご理解ご了承を頂ければ幸いです。

 それでは、強敵相手に大変お疲れ様でした。
 リプレイを楽しんで頂けていましたら、幸いです。

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