PandoraPartyProject

シナリオ詳細

媚薬を40本、飲まないと出られないへや

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●最近の趣味
「フィーネさん、入りますね」
 ドアをノックし、『ロマンチストな情報屋』サンドリヨン・ブルー(p3n000034)はフィーネ・ルカーノ (p3n000079)を見つめる。フィーネは椅子に座り、熱心に本、いや、分厚い冊子のようなものに視線を落としている。
(なんでしょう?)
 サンドリヨンは小首を傾げる。光沢のあるその表紙には、二人の美しい青年がソファで絡み合っている。タイトルは「あと少しできみを」と書かれており、何となく、彼らの恋愛の話なのだとサンドリヨンは理解する。テーブルには同じような冊子が山のように積まれている。ようやく、フィーネは顔を上げ、にこりと微笑んだ。
「ごきげんよう、来てくれてありがとう」
「いえいえ。フィーネさん、朝からずっと、読んでいたのですか?」
「ええ、一気に読んでしまいたくてね」
 フィーネは眼鏡をかけている。
「あら、そんなに面白いのですね」
 サンドリヨンはにこりとする。
「そうね、とある夢小説をプレゼントされた時に同人誌を知ってね。あたくしはまだ、そんなに詳しくはないのだけど……この同人誌を読んでね、あたくしにぴったりだと思ったのよ」
 フィーネは笑い、山積みの同人誌の中から、お気に入りの一冊を見つけ出し、サンドリヨンに手渡す。
「タイトルを読んでみなさい」
「……ええと、媚薬を300本飲まないと出られないへや?」
 サンドリヨンは素直にタイトルを読む。
「そう」
「そう? ええと、それがなにか……」
「あら、わからない? あたくし、面白いことをしようと思ってね」
 フィーネはにやりと笑い、サンドリヨンに耳打ちをする。
「あの子達……そう、イレギュラーズ達を騙してへやに閉じ込めるの。そこに媚薬を……そうね……40本用意しましょ。彼らがすべてを飲み終えるまでへやは絶対に開かない。どう? 最高にエクスタシーじゃない?」
 サンドリヨンはフィーネの言葉に困惑しながら、慎重に言葉を選ぼうとする。

 皆さんを騙す……? イレギュラーズが簡単に騙されるのだろうか? いや、騙すなんて……そもそも。
 と言うか、媚薬、40本? 大丈夫なのだろうか。

 媚薬を飲んだことがないサンドリヨンはかなり、心配してしまう。フィーネはサンドリヨンの様子すら楽しんでいるようだった。
「……彼らには、そうね、貴方から伝えてもらおうかしら」
「えっ! 僕がですか?」
 サンドリヨンはびっくりしてしまう。
「ええ、上手く誘導してほしいの」

●偽依頼 ノスタルジアの悪魔
 サンドリヨンは依頼をイレギュラーズ達に告げる。
「皆さんにはフィーネさんのコレクションの一つであるノスタルジアの悪魔、42カラットのブルーダイヤモンドを怪人、六腑(ろっぷ)イヤーから守ってもらいます! 詳しく説明しますと、ノスタルジアの悪魔が置いてあるへやに皆さんが入り、翌朝になるまで宝石を守ってもらいます」
 サンドリヨンは唇を舐め、ジャスミンティが入ったロンググラスをゆっくりと掴み、勢いよく、飲み干した。イレギュラーズは真剣にサンドリヨンの話を聞き、イレギュラーズ同士で時折、話し合っている。何だか、胸が痛い。
「……勿論、外側から鍵がかけられており、中からは絶対に開きません。また、部屋に窓はなく、侵入経路はドアだけです。部屋にはノスタルジアの悪魔がガラスケースに納められているだけで、それ以外、何もありません。怪人、六腑イヤーは変装の名人のようですが、当日、フィーネさんは外泊しており、部屋を訪れることはありません。護衛の方々も、皆さんを信頼し一人もつけておりません。ですので、変装は無意味。そもそも、中には皆さんがおりますので、怪人、六腑イヤーはお手上げですね!」
 サンドリヨンは微笑み、心の中でイレギュラーズに謝罪をする。

GMコメント

 ご閲覧いただきましてありがとうございます。今回、皆様は怪人、六腑イヤーからノスタルジアの悪魔を守るため部屋に入ったはずですが……実際はフィーネに騙され、40本の媚薬を飲まないと出られないへやに閉じ込められています。さぁ、媚薬を飲み干し、へやから脱出してください!!! ふふ、何が起きるかな(満面の笑み)ハチャメチャなノリを期待しております。

●目的
 媚薬を40本飲み、へやから出る。

●時刻
 深夜に閉じ込められます。

●依頼人
 フィーネ・ルカーノ (p3n000079) 
 女性で財産家。日々、刺激を求め、ローレットによく依頼をします。偽るのが上手く、あちこちに恋人がいます。残酷で美しい物が好き。最近は同人誌を読み漁っています。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

●場所
 練達にある、媚薬を40本、飲まないと出られないへや
 冷蔵庫に冷えた媚薬があり、端の方にキングベッド、手錠、ネコミミ、猫じゃらし、様々なコスプレ衣装があります。壁に冷蔵庫の媚薬を40本飲まないと出られませんと書いてあります。練達の技術により、ドアや壁はどんな攻撃にも耐えられます。破壊出来ません。飲み干せばすんなり、出られます。今回の媚薬は一本でかなり、へろへろになっちゃいますが、人によっては効果が遅れてくることもあります。ブルーダイヤモンドはこのへやにはありません。

【偽依頼情報】ただし、どちらも実際に存在しております。
★怪人 六腑イヤー★
 フィーネのコレクションを狙う怪人。変装の名人のため、素顔を見たものはいない。ラーメンが好き。嫌いなものはわんこそば。

★ノスタルジアの悪魔★
 美しいブルーダイヤモンド。

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 シチュエーションは無限大!!! 注意して欲しいことや、アドリブNGの場合は明記ください! また、へっち過ぎるのは×ですよ! 騙されて閉じ込められる場合も、なんか、変だなぁと疑いながら依頼に参加するのもありです。媚薬を全員で飲んでも、一人で全て飲んでも構いません。何でもありです。

  • 媚薬を40本、飲まないと出られないへや完了
  • GM名青砥文佳
  • 種別通常
  • 難易度EASY
  • 冒険終了日時2019年12月23日 22時25分
  • 参加人数8/8人
  • 相談9日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

マニエラ・マギサ・メーヴィン(p3p002906)
記憶に刻め
津久見・弥恵(p3p005208)
薔薇の舞踏
庚(p3p007370)
宙狐
メリー・フローラ・アベル(p3p007440)
虚無堕ち魔法少女
ジェーン・ドゥ・サーティン(p3p007476)
一肌脱いだ
ニル=ヴァレンタイン(p3p007509)
引き篭もり魔王
中野 麻衣(p3p007753)
秒速の女騎士
ヴァカラ(p3p007800)
黒薔薇の君

リプレイ

●聖なるへや
 唸り声。『分の悪い賭けは嫌いじゃない』リアナル・マギサ・メーヴィン(p3p002906) が尾をぶんぶん振っている。
「フィーネ、サンドリヨン……ぜってーゆるさねぇ、覚えておけよ。くそ、なんで入る前に気が付かなかったんだ」
 悔しげに壁を蹴るメーヴィン。
「困りましたね」
 『宙狐』庚(p3p007370)は溜息を吐くが、実際、この依頼に違和感を抱いていた。だが、庚は空気を読むことを大事にしている。
「う~ん? これはドッキリかな?」
 『へっちなアイドル目指します!』ジェーン・ドゥ・サーティン(p3p007476)が嬉しそうに呟く。部屋にはキングベッド、手錠。冷蔵庫には冷えた媚薬。想像しただけで、全身がきゅんとする。
「だけど、他の子達には刺激が強すぎるんじゃないかな? そういう配慮のない所は今回の依頼主に対してオコだぞ★」
 ジェーンはそう言いつつ楽しそうだ。
「び、媚薬ぅ!? ちょ、ちょっと待ってください!? フィ、フィーーネェェェェ! そこにい、いるんでしょう!! 開けてください!」
 扉を叩くのは『嫣然の舞姫』津久見・弥恵(p3p005208)だ。かなり、動揺している。
「恍惚の状態異常にかかる薬じゃって?  人の子の世界には妙な物もあるものじゃな?」
 『夢想の魔王』ニル=ヴァレンタイン(p3p007509)が小首を傾げている。 流石、とある世界の魔王と呼ばれていた存在だ。騙されたことに対しても媚薬に対しても動じていない(実際は媚薬についてよく知らないだけだった)ただまぁ、後でしかるべき対処をしてもらおうとニルは思っている。
「まぁ……、窓のない部屋に監禁ですか……? うふふ、逃げも隠れもしませんのに……」
『黒薔薇の君』ヴァカラ(p3p007800)が紫色の大きな瞳を残酷に細め、ぬらぬらと笑った。

「中には何も無いと言ってらっしゃいましたのにベッドや冷蔵庫やネコミミまでございますね。もしかして、これらの物品は怪人六腑イヤー様の変装した姿なのでは?」
 ネコミミを付けた庚が冷蔵庫を覗き込む。
「これみよがしに媚薬と書いてあるのがまた。ただ、早合点はいけません。中身がそうとは確かめるまで分かりませぬよ。分担して確かめましょう」
「ええ、この子達にも飲ませるわ!」
 『躾のなってないワガママ娘』メリー・フローラ・アベル(p3p007440)が連れてきた犬と猫、ファミリアーで召喚した小動物を指差す。

「ニルさん」
 ふと、ヴァカラがニルを見上げる。
「なんじゃろ?」
「びやく、とはなんでしょう……? 恍惚の状態異常、とおっしゃっておりましたが……」
「惚れ薬のようなものじゃ。身体が熱くなってぽわんとする」
 メーヴィンが瞬時に口を挟む。生恥を晒すぐらいならPPP発動して死んでや……と思っていたが、ヴァカラ×ニルの雰囲気を感じ取り、音速でニルの隣に。
(いつの間に?)
 ヴァカラは目を瞬かせ、ニルはメーヴィンの行動に苦笑する。
「熱くなって……ぽわんと……? 所謂、きもちよくなると……?」
 ヴァカラの問いにメーヴィンが頷く。
「なるほど、それは良いものなのでは? わたしは熱にはあまり強くありませんが、生きとし生けるものは常に己の快楽を追及するものでございましょう?」
「おおっ、ヴァカラさん、解ってるっすね! ということでこれっす!」
 『秒速の女騎士』中野 麻衣(p3p007753)がもういたくないくすりと大量のきもちよくなる薬を取り出す。
「さ、ちゃんぽんするっすよ!」
「よーし★ ジェーンちゃんも参戦しちゃうゾ」
 ジェーンは麻衣から何故か貰っていた大量のきもちよくなる薬を自らの媚薬に混ぜていく。
「もう、訳が分かりません!」
 弥恵は泣き叫ぶ。このへやにまともなイレギュラーズはいない。

「よっと。うわ、キンキンに冷えてるわ」
 メーヴィンは媚薬を十本抱える。
(ふふふ。これをニル……魔王様に飲んでもらって)
 思い出す会話。媚薬は一人、五本のノルマ。だが、メーヴィンはメリーとは異なる理由で媚薬を口にしない。
「何故、飲まぬのじゃ?」
 そう、ニルが問うと「え? だって儂そういうキャラじゃないじゃん? 三十路だよ? もっとネタになる相手いるじゃん? ほら、魔王様とか」
 メーヴィンはにっこりする。
「んん? ネタとは? ふぅ……まったく。仕方がないのう……。妾は魔王じゃ。状態異常には強いゆえ、そちの分も飲もう」
「わー、魔王様、最強! カッコイイ! 素敵! 頼りになるー!」
 メーヴィンの言葉に、ニルは満更でも無い顔をした。

●それぞれの作戦
「うぐぅぅぅ……飲みきった……のう……あっふ……んんっ……」
 ニルはぺたんと床に座り込む。
「いえーいまおーさま! 良いところ見てみたい! ほらいっき! いっき! まおーさまなら出来る! はい、グイ! グイ!」
 メーヴィンの謎の掛け声とともにニルは媚薬を飲み干した。
「さっきまで……特に問題無かったのじゃが」
 視界が狭まり、立っていられない。心臓は高鳴り、息が苦しい。
「魔王様?」
 覗き込むメーヴィン。ちょっと、いや、かなり、楽しそうな様子。だが、言っておく。
【お酒・薬物の一気飲み、大量服用は命に関わる可能性があるのでおやめください。特別に訓練された人間(魔王)のできる芸当なのだ】

 震える身体。滲んでいく汗。紅潮する頬。
「リアナル……妾を、騙したな……」
 ニルは涙目で睨みつける。

「やぁ……これぇ……だめなやつっす……」
 既に呂律が回っていない。麻衣は壁に立て掛けられている。メリーが意気揚々と麻衣の後ろ手に手錠をかけ、足首を持ち込んだロープで縛った上で、シーツを使って首から下を簀巻きにして、その上からロープでぐるぐる巻きにしたのだ。足元には犬と猫、ファミリアーで召喚した小動物が横たわり、媚薬を飲ませられる度に手足をバタつかせる。威嚇術が何度も撃ち込まれ、彼らは動けない。
「出る為にどんどんいくわね!」
「ひぃ……あっ……やめ……」
 かぶりを振って拒否するも、どんどん、注がれていく媚薬。まるでわんこそば! メリーは麻衣のSOSに気が付いていない。
「うん。この作戦は大成功ね! これなら薬で理性が飛んだとしても簡単には脱出できないし、自由な人からも手出ししにくいはずよ。これで麻衣の貞操は守られるね!」
 誇らしそうに媚薬を飲ませ続ける。
「はひ……無慈悲っす……」
 麻衣はだらしなく開いた唇から媚薬をとろりと零し、シーツを汚していく。
「もおっ……飲めなにゃ……い……っす」
 いやいやと媚薬から顔をそむける麻衣の顎先をそっと掴み、メリーが媚薬を飲ませる。
「駄目よ、まだあるわ!」
 麻衣の様子にメリーはゾクゾクし始める。
「やだぁ……みゃいもぉ……らめ……がまん……できにゃいよぉ……」
 勿論、おねだりは聞き入れてもらえない。疼く身体に発狂しそうになる。
「だれひゃ……さわってふぇ……あっ!」
 拘束されたままの麻衣に伸びる寄生生物の防衛反応! 火照った身体を鎮め動く。
「……」
 終わってもなお、喘ぎ声が聞こえ続ける。その瞳にハイライトはない。

「大丈夫です、私……落ち着いて」
 弥恵は端の方で、息を整える。
「弥恵様、ご一緒しても?」
 庚は式神を引き連れる。
「あの、庚様、そちらの式神様は」
 庚を警戒する弥恵。
「メリー様が麻衣様を縛っているのを見てカノエも閃いたのです。カノエが我を失う時には取り押さえて欲しいと式神にお願いしました。ですので、ご安心を」
「あ、ありがとうございます」
 弥恵は庚と乾杯し、顔を真っ赤にしながら一本目を飲みきる。
(待って、これ一本でやばいんですけど!)
「あの、弥恵様?」
「あひっ!? な、なんれす?」
 びくりと震える弥恵。焦点が定まらない。熱い。いや、むしろ、痒い。
「寒いのでございますね」
「……はい? え! ち、ちがいまふ! そ、そう……急にトイレに行きたいなぁって……うん、私はこの程度じゃ全然大丈夫れすからね! でも、あちらの方は飲みたいみたいですしぃー……遠慮しておこうかなーなんて」
 弥恵はそわそわしながら、メリーと麻衣を見つめる。一本は飲んだのであとは麻衣に任せよう。
(きっと、十本も十四本も変わりませんよね!)
 弥恵はうんうんと頷く。もう、ダメだ。一本で限界。
(でも、舌を……ぁ、口移しでなら飲め……では無くて! ううっ、私ってば何を……もう、視界に収めるからいけないんですよ。眼を閉じましょう。いっそ目隠しを使って視界を塞ぐのも、ぁ、それならいっそあの縄で縛ってもらって……いえ、四肢を縛ってもらうのもいいですね……って、違う……!)
 大胆な妄想の末、弥恵は混濁する。

「……ッ! はぁ~! 久々に強烈なのキター! これこれこれ! この体の奥から火照りきっちゃう! この感じが堪らなく好き! 味も美味しいし! 何本でも飲めちゃう!」
 ジェーンは瞳の中にハートを浮かべ、身体をくねらせる。
「そうですわね。味は……飲みやすいですわ」
 ヴァカラがジェーンを見上げる。
「ねっ! 媚薬のプロか何かなのかな? あっ★ ヴァカラさん、大丈夫? もし、辛かったらジェーンちゃんが飲んであげるよ!」
「いいえ、まだまだいけますわ」
「え~、ヴァカラさん、すごーい! ジェーンちゃん、感心しちゃうゾ」
「ん、ふ、ふふふ……ただ、身体は、火照りますね……」
 媚薬を飲み、ふぅと湿った息を吐く。
「だね! でも、良い感じだよ。ああ、この感覚何年ぶりだろう……貴族さんに囲われて使われてた時ぶりかな?」
 ジェーンの意識はハッキリしている。むしろ、媚薬を飲んでより元気になっていた。
「そんな時があったのですか?」
「うん、あの時は毎日、楽しかったぁ」
「ジェーンさん」
「え、どうしたかな?」
 ヴァカラに抱き締められる。
「わたしにちょうだい。貴族のかたにささげたように」
 痺れるような嫉妬がジェーンに触れる。
「やーん★ ジェーンちゃん、きゅんとしちゃう。いいよ、あげちゃう!」
 ジェーンはヴァカラの手首に口づけ、誘う。

 動き出すヴァカラ。
「ああ、貴女、美しいわね……うらやましいわ、ねたましいわ、わたしもほしい、あなたのかお、あなたのこえ、あなたのからだ、ぜんぶ、ぜんぶほしいわ!」
 茨のような視線。だが、嫉妬の代償にヴァカラは視覚を奪われている。指先でジェーンの身体を確かめ、触れる。
「いいよ! ああ、もっと! もっと! ジェーンちゃんを焦らして!」
 ゾクゾクしてしまう。もう、ヴァカラの犬だ。四つん這いになって首輪を嵌めてお散歩してもいい。涎を口の端から漏らし、ジェーンはヴァカラの媚薬を一本くすねる。
「あら、なにをしたの? ああ、よけいなことをしてはダメよ。わたしだけをみればいい。ね? あなたのこえをもっときかせて、できるだけたかい音がいいわ。そう、いいこだわ」
「あっ、あっ! んんっ~……さいっ……こう。好き……もっと、強く……」
「ふふ、こう? ゾクゾクする? もっと顔もよく見せて、にげたらダメよ。すべてをみたいわ。ああ、やわらかい……ほしい、ほしい、ぜんぶほしいわ!」
 惚けたジェーンの身体に唇を寄せ、濡れた舌に欲望をのせる。
「~~~!!!」
 喘ぎ、何度も反転する身体。揺れる、黒薔薇。
「ジェーンちゃんを……噛んで」
 おねだりする。
「いいわ。ああ……あなたの血はあかいかしら。あかければいい……そしたら、わたしは美しく艶やかな真紅の華を咲かすから!」
 ヴァカラはジェーンの左肩に噛み付く。口内で弾ける赤。薔薇は紫に変わるが、すぐに闇色に堕ちていった。

 絶叫が聞こえる。ぱちりと目を開ける弥恵。パンドラによる強制復活を遂げたのだ。頭がぼんやりする。
「あれ……此処は……」
 ベッドに寝かされている? あ、出られたのだ。上体を起こし、ハッとする。あれ、服着てなくない?
「弥恵様、お目覚めですか?」
「庚様? これは……」
「ええ、汗を掻かれておりましたので、カノエが脱がしておきました。そう、弥恵様の媚薬もカノエが飲んでおきましたので」
「あ、ありがとうございます……え?」
 ベッドが軋み、至近距離に庚の顔が。
「か、庚様?」
「ね、カノエを撫で褒めてくださいまし。そう、頭を、喉を、首を、腕を。腹を、腰を、尾を。お礼にカノエもぺろぺろ毛繕いしてあげますよ?」
 言いながら、服を脱いでいくカノエにぼっと赤くなる弥恵。口をぱくぱくさせるが、言葉が出ない。助けを求めるように弥恵は式神を見つめるが、式神は動こうとしない。どうやら、カノエの本性を優先したようだ。
「ああ、遠慮なく、触れてくださいまし?」
 カノエは弥恵の頬をぺろりと舐め、微笑む。

●開かないへや
 この答えはジェーン・ドゥ・サーティンだけが知っている。というか、皆、自分のことで精一杯。
「みんな~! へっちなフィーバータイムを始めるぞ!」
 濡れた服を脱ぎ捨て、アスリートのように走り出す。
「う~ん。全員とへっちなことをしようと思ったけどここは路線変更! 元気なひとと絡んじゃうよ! ということで、メリーさん、ロック★オンだよ!」
「ジェーン!」
 ハッとするメリー。瞬時に威嚇術を放つもジェーンが身を捻り、飛びつく。
「観念するんだゾ! えいっ!」
 隠し持っていた媚薬をぐいとメリーの柔らかな唇に。
「!?」
 一気に火照る身体。とろんとし、思考が停止してしまう。
「ふふ、一緒に頭空っぽになろうね? 大丈夫! ジェーンちゃんはこの手に関してはベテランだから!」
「……」
 メリーはジェーンをぼんやり見つめる。

 開く扉。プレイに盛り上がったジェーンが残った媚薬を飲み干したのだ。
「ひ、酷い目にあったわ……」
 メリーはジェーンのむちゃくちゃな行為に意識を飛ばすが、パンドラによる強制復活でどうにか、生きている。手を震わせ、媚薬の効果が切れたであろう麻衣の拘束を解く。
「麻衣、開いたわよ?」
 メリーは麻衣の肩を揺らすが、解放されたことにも気づけず身体を小刻みに痙攣させ、麻衣は小さな喘ぎ声を放ち続ける(媚薬に完全敗北)

「魔王様、開いたよ?」
 メーヴィンはびくびく震えているニルに声を掛ける。魔王様が媚薬に侵されても絶対に手を出さないという約束を胸に刻み、メーヴィンは手を出さないばかりか無防備なニルを仲間から守りきった。
「リアナルよ、手を貸すのじゃ……」
 はぁはぁしながら、ニルが手を伸ばす。
「んっ、了解。私が魔王城までしっかり送迎しますとも!」
 ただ、何だろう。

 ま・お・う・さ・ま・の・い・ろ・け・が・す・ご・い。

 息を吐き、メーヴィンが屈む。だって、お姫様抱っこは色々とやばいんだもの。

 素直にニルがメーヴィンの背中に。途端にびくりとするニル。顔が真っ赤だ。
「魔王様?」
「あの、その……リアナルよ。尻尾が当たっておる」
「尻尾? ん、こんな風に?」
 メーヴィンがゆらゆらと尾を揺らす。
「はっ!? ちょっと……そこ、駄目じゃって!! ……貴様、絶対わざとじゃろ!!」
 叫びながらぎゅっとメーヴィンの身体を掴む。
「わざと? いやぁ、おんぶだと尻尾が当たってしまうからね! 仕方ないね! じゃあ、歩くからね?」
「あ、まっ!? おりッ……~~~~ッ!!」
 甲高い声で喘ぐニル。
「……」
 理性が爆発しそうになるメーヴィン。ごくりと喉を鳴らす。
(なに、あの声……耳元であんな……)
 鼓動が早まっていく。早く送り届けなければ。生殺し。死ぬ。これは死ぬ! 
「リアナル」
「……」
 無視だ。メーヴィン、返事をするな! 気持ちを乱すな。耐えろ。メーヴィンは黙ったまま、前だけを向く。その瞬間、ぱくりと食べられる片耳。
「へっ!?」
 目が飛び出しそうになる。今、何が起きて……え、え?
「ああ、そちの耳、美味いのう」
 ニルは容赦なく、はむはむする。
「~~~ッ!?」
 今度はメーヴィンが喘ぐ。
「あ、魔王様……ちょ、やっ! あああっ……!」
 崩れ落ちるメーヴィンの首筋をぺろぺろするニル。10000路のテクニックが炸裂する。
「うんうん、ここも美味いのう……」
 執拗に攻めるメーヴィン。
「魔王、様……帰れなくなるよ! 帰れなくなるけど!」
 必死で叫ぶメーヴィン。うう、足がガクガクする。
「んー? かまわんじゃろ」
 ニルは飛び降り、メーヴィンの指を口に含む。

 一方、弥恵は逃げるようにへやから脱出し、唖然とする。
「ああ……なんてことでしょう」
 無意識に辿り着いたのはフィーネの屋敷。

「誰もいなくなってしまいましたね」
「そうね」
 庚とヴァカラの姿。媚薬が転がったへやを見つめ、「……こちらの主人は、結局なにがしたかったのですの? とりあえず、何かハメられたのは理解いたしました。あのナントカの悪魔とかいう宝石、この対価としていつか頂きにまいりますわ。むしろそのナントカという怪盗に盗まれてしまえばいいのよ」と目を細めた。くすくすと笑う庚。
「ふふ。カノエは至極、楽しかったです。ヴァカラ様とも出会えましたし」
「……あなた。まだ、媚薬が効いているのかしら?」
「さぁ、どうでしょう。試してみますか?」
「ええ、喜んで」
 庚とヴァカラは微笑み、すぐに濡れたベッドで絡み合う。

 そして、数日後、イレギュラーズの自宅にきもちよくなる薬が混ぜらせた媚薬が1ダース、届けられたという。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 ふふ、どう? 至極、良かったでしょう?

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