シナリオ詳細
<TinkerBell>にゃぁ、にゃぁ、にゃぁ!
オープニング
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そこはなにもないまっさらな大陸。
空は青くて、地面は茶色い。それだけは確かだが、草も、木も、なにもかもが存在しない。魚も、虫さえもおらず、生命の営みなんか欠片も感じさせない。
まるで白紙のキャンバスのような場所だ。けれど、殺風景な場所でもそれだけではないのだった。
この物語では、それでもこの世界に住み着く住人だけが今の全て。
にゃぁお。無音のなか、と何処かで、何処からも。声がした気がするほどに。沢山の猫がそこかしこに居た。
黒いもふもふの毛並みの猫。しなやかな体つきの三毛。真っ白で少しふてぶてしいふとっちょ猫や、虎縞模様が自慢の子猫まで。
ねこがいる。ねこはいる。けれども猫しか居ない、其処はそんな世界。
食べるものも住む場所もないところで、ゆらりと尻尾を揺らしながら寝っ転がったり、高く積まれた瓦礫に登ってみたり。猫たちは思い思いに過ごしながら、自らの終わりを察知していたのかいないのか……ただ、空を見上げている。
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「今日は、君達に見てもらいたい本があるんだ」
前半部分が大きくもげだして、残った部分の文字も、色あせ、消えかかっている。そんな本を読書台に乗せて、カストル・ジェミニはイレギュラーズの方へと向いた。
『壊れた世界』。酷い破損を受けたため、物語としての破綻を迎え、時が凍りついた場所。この本もそんな類の一つなのだとカストルは言う。
ただ読み取れるのは舞台に空と大地があること、其処に猫がたくさんいること。其処に他に何が居たのか、何があったのか。どのようないきさつで、猫が沢山住んでいるのか。何もかもが薄れて消えてしまったようだ。
被ってしまった埃を丁寧にはたき落として。少し悲しそうにカストルはページを撫でた。
「物語をこのまま放置してしまうのは、胸が痛むし、猫も可愛そうだ。だから君たちに直してもらいたい」
イレギュラーズならば、貴方達がティンカーベルを持って、創造主となることで世界を作り変えることが出来る。
そうして、『世界を作り直す物語』を刻んだなら、壊れてしまった世界も再び動き出すことが出来るのだ。
「僕たちは元の物語を知らないから、この物語を元に戻すことは出来ない。でも、君達ならきっと素敵な世界を作ってくれると信じているよ」
カストルはそう微笑んで、貴方達を物語の中へ送り出すのであった。
- <TinkerBell>にゃぁ、にゃぁ、にゃぁ!完了
- NM名金華鉄仙
- 種別ライブノベル
- 難易度-
- 冒険終了日時2019年12月19日 22時05分
- 参加人数4/4人
- 相談7日
- 参加費100RC
参加者 : 4 人
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参加者一覧(4人)
リプレイ
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まっさらな土地に、猫があった。
そして、一つの机が生まれた。
そしてそして、次に真っ白なテーブルクロスがかかって、椅子とティーセットが生まれる。
最後に喚ばれた四人が座って、創造の準備は整った。
「なるほど世界創造。カストルさんさらっととんでもないお仕事を渡してきましたね……?」
本当に猫以外なにもないな、と地平線に思いを馳せるのは『ラド・バウD級闘士』ヨハン=レーム(p3p001117)。
しかし、この広い土地を好きにできるのはちょっと魅力かもしれない……? なんて思ったりして。
「みゃぁお!」
仲間がたくさんです! とお行儀よく椅子におすわりした『じゃいあんとねこ』陰陽丸(p3p007356)は尻尾を立たせ、周囲を見回す。
けれど、たしかに殺風景だ。お空と大地があるけれど、それだけではやっぱりさみしい。
そんな陰陽丸の言葉に『疾風蒼嵐』シャルレィス・スクァリオ(p3p000332)は同調するように頷いた。
「私にとっては楽園だけどもね……。うん、にゃんこさんたちにとって幸せ溢れる温かな世界になるようにみんなでがんばろう!」
「本来ならもふもふしたり連れ帰りたいところだけど……それどころじゃなさそうね。良きもふもふは健康なにゃんこに宿るんだもの」
続いて足を組み、紅茶を啜るのは『もふもふハンター』リカナ=ブラッドヴァイン(p3p001804)。真なるもふもふを追い求める彼女は、今日も追求に余念がない。
さあ。繕って、縫い上げて。皆の思いで。
世界を再生させていこう。
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「まず、暖かな世界は欠かせないよね!」
ぽかぽか陽射しを受けながらのひなたぼっこは至上の幸せだし! とシャルレィスは最初にベルを手に取った。
かと言ってにゃんこさんが暑すぎるのも問題だし、爪とぎをしたり、木漏れ日の中でお昼寝をしたりもしたいだろうし。
だから、シャルレィスにとって考えうる限り最高の、猫にとってのシチュエーションを思い描く。
食べ物も欲しいだろう、きっと遊び場所にもなるはず。
猫だけだったら少しさみしいかもしれないね。それなら、それなら……。
そしてりん、とベルの音が響いた。
寒くもなく、かといって暑くもなかった空から日差しが降り注ぎだし、世界に暖かな光が満ちる。
それだけではなく、不毛の地であった地面からはぽこぽこと草が生え、それは寄り集まって木となり、地面は草原になった。
木からは木の実の代わりにカリカリがなっている。少し傷をつければ樹液の代わりにミルクが流れており、きっと猫のごはんになることだろう。
草原からムクリと起き出したのはネコジャラシ。
ぽてん、と時折転んでは走り出す。そうして猫の姿を見かければ寄り添って、彼らが目覚めるまでそっと動きを止める。
次に産まれたのは、シャルレィスのちょうど半分ぐらいの身長の小人たち。
空から舞い降りた彼らは様々な服装をして、おそろいの帽子をかぶっていた。彼らは元気よくオノや鎌を手に取り、さまざまに活動を始める。草を刈るもの、木を削り、コップや皿を作るもの。
刈られた草でちぐらを編むのは愛しき隣人のためだ。
死んでいた物語に少しずつ、息が吹き込まれ始める。
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みゃう。と一声あげて、ティンカーベルを次に掴んだのは陰陽丸だった。
小人さん、とてもいいアイディアです。僕らだけじゃできないことたくさんありますから。
猫である陰陽丸は恐らく、猫に一番寄り添える立場の存在である。
そんな彼が思い描き、想像したのは同じく小人であった。
彼らはシャルレイスの小人と違って帽子ではなく、揃いの髪飾りで髪を結っていた。そして、腰に下げているのはきまって、猫用のブラシや、毛玉取り、その他様々な毛づくろい用具。
陰陽丸が望んだもの、それは毛づくろいをしてくれる人間の存在だった。
グルーミングは猫にとってとっても重要。もちろん仲間内で交わすのも楽しいものだが、それだけでは届かない場所もある。
たとえば、首の後ろや頭なんかだ。そこをコリコリと梳いてもらうのが陰陽丸はとても好きだ。
だからそんな関係を……。彼らには、愛し愛され。小人は猫を可愛がり、猫もまた小人を隣人として愛している関係を望んだ。
だからだろうか。小人達はきょろきょろとあたりを見回し、其の場の猫。つまりは陰陽丸に目をつけた。
僕じゃないですよぅ、と陰陽丸は困惑するがわらわらと取り囲まれ、丁寧にグルーミングをされはじめると猫としての本能か、ごろごろと喉が鳴ってしまって。
世界ができあがるまで、暫しの昼寝に興じるのであった。
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そんな和やかな風景を眺めつつ、リカナは微笑ましそうにティンカーベルを持ち上げる。
「ふふ、気持ちよさそう……。もふもふ。私も後で混ざりたいわ……」
軽く振れば鐘はりん、と涼やかな音を鳴らす。
先程からの流れを見ていて、作るものは既に決めていた。
まず変化が起こったのは大地だ。淡い小さな光とともに、煉瓦で出来た上等な家が作り出される。
サイズはちょうどリカナより少し大きいぐらい。ベッドやテーブルなど、必要最低限の小さな家具が備え付けられていて、小人達が住むには過不足ない。
そんな家々が小人の分だけ、生み出された後にめきめきめき、と大きな音。地面に亀裂が生み出される。
そして真っ青だった空に雲が生まれた。
何事か、と小人達は猫を抱えあげ、思い思いの家へ逃げ込む。
陰陽丸を撫でていた小人達は彼を庇うように大きな草のシートを広げる。
それを見届けた後、生まれたばかりの雲は雨を降らした。
しとしとと降り注ぐ雨粒は集まり、川を、湖を作り上げる。そうして猫たちと人間たちの居住区の少し外れた場所に、巨大な水源が出来上がった。
きっとこれで……雲が出来る。つまり雨が降ると小人達は学習したことだろう。
もう一つ、雨によって生まれたものがある。それはこの星にまた一つ、彩りを加える木だ。
なっているのは硬い殻のくるみ程度の木の実。ぱかりと割れば其処にあるのはゼリー状の美味しいおやつ。
弾性を持ち、落ちればぽよんと跳ねて、ころころと転がった。
自分たちの手を離れても、猫たちが強く生きていけるようにと。
リカナは願いを込めて、過ごしやすい場所を作っていくのであった。
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そして最後の仕上げを受け持ったのがヨハンであった。
「僕は……。猫達の在り方に。彼らがどうして生きていたかに意味を与えようと思います」
今まで彼らが眠ったままなのはきっとそのせいだろう、とヨハンは考えた。
だから考えて、考えて。真っ白な羊皮紙にペンを走らせるように、其処に新しい意義を与える。
まず、猫達の生き方。医者や消防、調理師など様々な職業に就いており、頭の良い猫は学者、体の強い猫は大工さんなど適正に合わせて仕事が割り振られる。先ほどできたばっかりの海には魚も泳いでいる訳だし、漁師も必要だろうか。
水が嫌いでない猫への大任になるだろう。きっと勇にゃんが名乗りを上げて頑張ってくれるはずだ。
みんなで、助け合って欲しい。そんな思いを込める。
そして、猫達には小人と話す言葉を。手を離れても、2種族が手を取り合って歩んでいけるように。
ゆるりと猫たちが動き出す。止まったページが動き出すように、風が流れ、作ったばかりの暖かな日差しが、猫たちの目覚めを出迎えた。
「おはよう」
「おはよおーっ。いい朝だね! おひるかも」
「人間さんたちもおはよう、今日も一緒に遊んでくれるの? ありがとー!」
そこかしこで動き出す小さな姿。尻尾をゆらりとひらめかせ、それぞれが目覚めを喜び合う。
「おはようございます、猫さん達。今から僕たちが、君達へ最後に伝えたいことを教えますね」
そして――最後に。ヨハンはゆっくりと微笑みかけて、彼らに語りかけるのだ。
どうか、誰も泣かない世界をと。仲良く日々を過ごせる優しい心を持って、日々を過ごしていってほしいと。
●猫の、猫による、猫たちのための、世界
其処からの世界の広がりは早いものであった。
猫達と小人達の意見を取りこみ、イレギュラーズが必要なものを作り出したお陰で随分と世界は広くなった。
でもけして発展しすぎず、まとまったゆったりした世界が其処にある。
気持ちのいい風が吹き、猫たちの頬を撫でた。
今年生まれたばかりの小さな猫がぴょこんと跳ねて走るネコジャラシ達を追いかける。それを微笑ましそうに見つめるのは警察官の猫。彼らは猫たちや小人達の困り事や、小さな喧嘩などを諌める役割を持っていた。
その脇では漁師の猫が仲間に魚を分け与える。この世界にはお金という概念がなく、常に資源は分け合うものだ。
そこそこに遊び、そこそこに学び。そこそこに各々が各々の出来ることで、みんなの役に立っている。
「そんな世界を僕たちにくださった神様に、僕たちは感謝しないといけないんだよ。……おっと、今日は此処で終わり。次は12ページから教えていくからね」
と、歴史を教えていた先生猫は話を閉じた。学校のチャイムが鳴ったからだ。
手足が器用でない猫の代わりに板書係を務めてくれている小人にお礼を言って、伴って家へと帰っていく。
「神様ってすごいんだなぁ……。どんなのなんだろうね」
「それがね、神様の姿を描いた記念碑があるってらしいの。一緒に見に行こうよ!」
「行こう!」
放課後を迎えた教室でそんな話に花を咲かせるのは2年生の猫二匹。少し行動範囲も増えて、元気いっぱい。
興味を持ったことにはなんでも頭を突っ込むお年頃。今回も楽しげに、町外れへと駆けていく。
其処にあるのは小さな祠。大事そうに飾ってあるのは神様、とされる四人を描いた小さな壁画と、誇らしげに掲げられたプレート。
<ニャイガルド>。と書かれたそれは、猫の誰かが神様に伝えた猫たちの世界の名前だという。
不思議な神話に現実味はあまりわかない。でもなんだか温かみを感じて。
めいっぱい二匹はずっと祠を見上げているのであった。
成否
成功
状態異常
なし
NMコメント
はじめましての方ははじめまして、またお会いした方はお世話になっております、金華鉄仙です。
今回は〈TinkerBell〉シリーズの一つになります、猫の世界を直す物語です。
●依頼内容
『壊れた世界』の修復。
素敵な世界を皆さんで形作っていただくことが成功条件です。
●詳細
貴方は世界を創造する役目を負っています。
ですので、『この世界がどんなふうになったらいいか』を考えて、それをぜひプレイングにして下さい。
といっても、この世界を作るメンバーはあなただけではありません。
一緒に世界に入った全員の想像を合体させたものが、『新しい世界』として物語を形作ります。
●世界のベース
この物語には壊れていない部分が2つあります。
・地球のような星が舞台です。空気があって、空と大地があります。空は青いです。
・猫が居ます。いっぱい。すごく。とても。
この二つの土台に、皆さんのイマジネーションを足していってください。
大地の形も、猫以外に何が存在していたのかも。そもそも猫が其の世界においてどのような立ち位置に居たのか。其の世界の歴史や、人がいたとして、文化や文明など。
全てが今まだ無くなってしまっています。
それを作り出すのが、皆さんの役割です。
●サンプルプレイング
猫、ですか。ねこ……。ふふ、かわいいですよねえ。
任せてください、素敵な世界を作ってみせますとも。
大陸なんですけど、実は巨大なキャットタワーってのはどうでしょう?
所々に段々があって、猫ちゃんがいつでも遊ぶことが出来るんです。
で、キャットタワーみたいに階層があるけど、エレベーターがあって行き来できるんですよ!
場所によって気候や温度が違って、みんな好きな場所で過ごすことが出来ますし、最上階はとてもきれいな景色が見れるんです!
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