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シナリオ詳細

勝利へのディスティニードロー!

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●カードの強さが全てを支配する世界
「決まったーっ! PCS(パンドラチャンピオンシップ)、
 今年の準決勝Bブロックの勝者は、彗星のごとく現れた無名の新人ロドルフ選手だ~~ッ!!!」
 司会の男の叫びを受けて、わっ! 歓声が辺りを包む。色とりどりの紙吹雪が舞う中、観衆の盛り上がりから孤立するように、名を呼ばれた男は淡々と机から自分のデッキを取って控室へと戻っていった。翻されたボロボロのマントは、この男が今までくぐり抜けてきた激戦の数々を証明している。

――つまらん。

 準決勝を終て、ロドルフの感想はその一言に集約されていた。
 
 俺は命を削りあうような戦いに焦がれ続け、ようやくその戦いの頂点PCSに挑んだ。
 なのにどうだ! 対戦者達はどいつもこいつも腰抜けばかり!
 俺のエースモンスターが出た途端、恐怖に表情を歪ませながら、自らのデッキの持ち味すら発揮できずに自壊していく。
 まるで、獅子を前に怯えた鼠のように。
 これは勝負ではない。ただの虐殺だ。

……だが、いいさ。決勝戦で勝利をおさめれば、俺はこの世界の覇者として全てを手中に収める事ができる!!
 俺が望むのは、強い者だけが生き残る弱肉強食の世界。この世を作り変えた先で悲願は成就するだろう。
 たとえ世界が戦火に包まれようと、このカードさえあればーー。

「……?」

《邪竜バルファザード》……? 何だこのカードは!?
 俺はこんなカードをデッキに入れた覚えはない!!

 うろたえるロドルフをあざ笑うかのように、カードから黒い霧がにじみ出す。
 深淵なる闇。その暗き力が集約し――現れたのは邪悪なる竜。
『ほう。我が洗脳を解いたか。人間にしては上出来だ』
「洗っ……ふ、ふざけるな! お前はいったい何なんだ!」
『ククク。貴様に教えてやれるほど、我が存在は安くない』
「何だと!?」
『貴様はただ、操り人形としてその身を我に捧げるのだ。
 この世を滅ぼす邪竜の殉教者としてな!!』
「ぐああああーーーっ!!!」

●そして戦いのゴングは鳴る
「さぁ、ついに始まりましたPCS決勝戦! 勝者はこの世界の頂点に立ち、全ての民とカードを統べる王となります。国が、人が、世界が注目する中、心躍るバトルをみせてくれるのは、無名の新人プレイヤー、ロドルフ選手ッツ!!!」

「……」

「ロドルフ選手、クールです! 一言も発せずデッキをテーブルに置きました!
 トーナメント一回戦からストレート勝ちの彼と対戦するのは……こちらもまた、今大会のブラックホース!
 それでは入場してください!!」

 目があった瞬間に悟った。対峙した者たちはこの世界にはない輝きを纏った猛者ばかり。
 ロドルフはそこで、はじめて歪な笑みを浮かべた。
「『クハハハッ! 面白い……!
  我の闇と貴様らの希望、どちらが強いか――証明してくれよう!!』」

●顔に出やすい蒼矢おじちゃん
「カードゲームで勝った者が全てを好きにできる世界なんて、野蛮なのか知性的なのか分からないよねぇ」
 そう語りかける『境界案内人』神郷 蒼矢(しんごう あおや)は手札を見ながらニヤニヤしている。同じく『境界案内人』仲間のロベリア・カーネイジとテーブルの上で繰り広げているのは、
 これから特異運命座標が向かう先で流行っているトレーディングカードゲームだ。意気揚々と「これでおじさんの勝ちぃ!」と切り札のカードを出して、牽制の一手をくらい悲鳴をあげる。
「うわっ、また負けちまっ……コホン。今ので、とりあえずゲームのルールは分かったろう?
 君達が向かう世界は、邪竜のカードに侵されちまって危機的状況だ。ちょっと行ってぱぱっと倒してきてくれ。ゲーマー魂を燃やしてさ!」

NMコメント

 今日も貴方の旅路に乾杯ッ! ノベルマスターの芳董(ほうとう)だ!
 キミ達にアツいバトルの依頼をお届けしに来たぞ! 最後まで見て行ってくれッッ!!

●目的
《邪竜バルファザード》をカードゲームで倒し、世界の危機を救う。

●世界
 練達に似た雰囲気の世界です。バーチャル・リアリティの技術が発達し、カードゲームで出したモンスターやフィールドカードをホログラムで再現されるハイテク世界。

 特異運命座標が今回降り立ったのは、その世界でもっとも大事なカード大会『PCS(パンドラチャンピオンシップ)』の会場です。
 競技場のように会場の中心にはカードバトルのためのフィールドがあり、その周囲には観客席がある状態です。お客さんは事情を知らない一般人で、観戦を純粋に楽しんでいます。

●登場人物
《邪竜バルファザード》
 禁断の邪竜のカードです。強い闇の力を持っており、ロドルフ選手を洗脳して自分の手ごまにしています。大会で優勝し、世界をわが物にしようとしているようです。

 ロドルフ選手
 邪竜に身体をのっとられてしまったカードゲーマー。本来は土属性のデッキ使いで、強固な防御力を持つモンスターを召喚して手堅く勝つプレイングをする人物でしたが、邪竜に洗脳されてデッキさえも変えられてしまったようです。

●この世界のTCGについて
 TCGとはトレーディングカードゲームの略です。
 この世界のTCGは『混沌札(パンドラカード)TCG』と呼ばれるゲームで、40枚の自分のデッキを使い、"モンスターカード"を場に召喚したり、場に色々な効果を与えるさまざまな"神秘カード"を使って戦います。
 最終的に、プレイヤーのライフを削り切った方の勝利です。

 通常は1VS1の対人戦が中心のゲームですが、邪竜の力は強大なので、
 特異運命座標は4人同時に邪竜に挑みます。4VS1です。

●プレイングの書き方
 今回のシナリオはTCGを詳しく知らない方も楽しんでいただけます。

・こういう見た目のモンスターを相棒にしたい!
・切り札のモンスターを出す時のキメ台詞は「集いしパンドラが奇跡を起こす。顕現せよ、〇〇ドラゴン!」
・普段使ってるのが炎の技だから炎のカードを使いたい!
・回復担当のキャラだから仲間を回復できるカードを使いたい!……etc.

 とにかくかっこよく邪竜を倒せそうな事を書いてみてください。
 4人で同時に戦うので、相談して他の特異運命座標と連携する術を考えるのも面白いかもしれません。

 それでは、混沌札TCG――…バトル開始!!

  • 勝利へのディスティニードロー!完了
  • NM名芳董
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2019年12月16日 22時10分
  • 参加人数4/4人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

レオン・カルラ(p3p000250)
名無しの人形師と
善と悪を敷く 天鍵の 女王(p3p000665)
レジーナ・カームバンクル
回言 世界(p3p007315)
狂言回し
メリー・フローラ・アベル(p3p007440)
虚無堕ち魔法少女

リプレイ


「わたしの手番! 一枚引くよ!」
『躾のなってないワガママ娘』メリー・フローラ・アベル(p3p007440) はTCG初心者だ。それでも恩を売るチャンスはあると考える。練達に似た世界なら、きっと魔術的な力による不正には警戒心が緩いはずだ。
 目を閉じれば広がるのは観客席に放ったファミリアーの視界。小鳥の視界ゆえに全てがクリアに見える訳ではないが、相手の手札を覗くだけならこれで十分!
(ロドルフの手札は神秘が2枚と、モンスターが2枚! 効果は……)
 テレパスで仲間に情報を横に流しつつ、自身は顔に出さずに立ち回った。
「場に防御でモンスターを出して、手番終了よ」
(ふふふ……勝つためには手段なんて選ばないわ!)

「4対1なんて話にならないだろ。サレンダーするなら今のうちだぞ。
 それでもやるというなら止めはしないが……精々楽しませてくれよ?」
『付与の魔術師』回言 世界(p3p007315)は挑発しつつ、新たに引いた手札も含め全てのカードを場に伏せた。
 このゲームはライフ制。敵プレイヤーのライフを0まで削り切れば勝利である。逆に言えば、攻撃を受けないよう、メリーのように防御モンスターを出すのが定石だ。珍しいプレイングに観客席がどよめき立つ。
『我のターン。ドローだ』
「その瞬間、神秘《はたき込み》発動」
 バシッ! と叩くような音が響き、ロドルフが手にしたカードは墓地へと落ちゆく。世界が場に伏せていた神秘を発動したのだ。妨害はさらに続く。
『カードを2枚伏せ――』
「それには《双璧の縛鎖》を見舞う!」
 今度は鎖がロドルフの伏せカードを包んで封じた。ならばと彼がモンスターをくり出すと、またもや世界の神秘が展開される。
「発動だ。《恐れの群れ》! ロドルフが出したモンスターを攻撃から防御へ切り替え、ターン終了時まで固定する」
 完封。まさにそんな言葉が似あうだろう。メリーのピーピングが戦術にそのまま活かされている。
「やるわね、世界!」
「まだ気をぬくなよ」
『フ……。ターンエンドだ』
 慢心は許されない。ロドルフは未だ、不気味な笑みを浮かべたままなのだから。

『うー……ん。ここで私たちが畳みかけられたら良かったんだけど……』「最初のターンは準備にあてざるをえないんだよね」
 それでも、初めて遊ぶゲームは面白い!
『名無しの人形師と』レオン・カルラ(p3p000250) は手持ちのカードを見つめながらワクワクしている。
「神秘《脳みそハント》を使うよ」『場にモンスターを2体も出せるの!』
 このターンに攻撃できないという短所はありつつも、モンスターの数は攻撃の数。人形たちは無邪気に仲間を呼び寄せた。
『来てね≪不死身なトカゲさん≫』「遊ぼう? ≪建築家のクマさん≫」
 ぽぽん!
 小さな煙を立てて現れるモンスターはどれも可愛いもの……に見えるのだが。どこかしら身体が歪んでいたり、目が片側だけ大きかったりと、可愛さの奥に狂気的なナニカが見え隠れしている。
「女王さんに交代だね」『序盤は任せるね』

「我(わたし)は正直この世界がどうなろうと知ったことではないわ
 でも強い【決闘者(デュエリスト)】に背を向ける道理はない」
 手番を託された『レジーナ・カームバンクル』善と悪を敷く 天鍵の 女王(p3p000665)はクールに言い放つ。しかし、その瞳は力強い熱を帯びていた。
「世界を征服せしめんと驕るならば、まずこの善と悪を敷く天鍵の女王を倒してからにするがいいっ!
 三千世界を越えてTCGアストラークゲッシュよりレジーナ・カームバンクルが相手をする」
――デュエル!!

 山札から引く最初の一枚に混沌の恩恵が舞い降りた。流れるように場に出し、高らかにその名を口にする。
「女王に後退はない! ただひたすら前進するのみ!
 顕現せよ我が忠実なる僕(しもべ)!
《大罪女王の遣い(サーヴァント・オヴ・カーディナル)》」
 来たる従者は女王へと傅いて、すぐに攻撃の姿勢をとった。
「さぁこれが女王のビートよ! 手札から神秘《箱庭の恩寵》を発動!
 《大罪女王の遣い》に【貫通】を付与し、ロドルフのモンスターに攻撃!!」
 貫通。防御モンスターよりも攻撃力が勝っていれば、超過分のダメージをプレイヤーに与える能力だ。《大罪女王の遣い》の攻撃がロドルフの僕を蹴散らし、ロドルフをも深々と貫いた! ライフの半分を一気に削りきり、彼の身体が大きく揺らぐ。
『ぐあぁーーッツ!』
 その瞬間、黒い瘴気が会場一帯を漂い始めた。ゾブ、と何か食いちぎれる音がして――ロドルフの身体が虫食いのように黒い闇へと呑まれて消える。
「あんな演出、ホログラムにあるの?」
「いいえ。恐らくは邪竜によるものよ」
 女王は悟った。これは恐らく暗黒のデュエル。ライフ切れは恐らく――死。
『嗚呼……気持ちいィなァ闇に喰われるのは!
 だが足りん。倒された《黒き贄》の特殊効果で、我が墓地より《黒き贄》以外のモンスターを特殊召喚する』
《黒き贄》以外の墓地に落ちたモンスター。最初に世界がはたき込んだ一枚だ。
「カットイン! 神秘《墓場の簒奪者》発動だ!」
 そうはさせまい、と割り込みで世界が伏せカードを開く。出された一枚に驚いたのはロドルフではなく女王だった。
「世界、汝(あなた)……!」
「対象は、ロドルフが喚ぼうとした一枚、を……ぐっ、あ!」
《墓場の簒奪者》は墓場のモンスター1体を特殊召喚する神秘カードだ。対象が誰の墓地からでも選べる反面、その対価はライフの半分! ロドルフと同様に、世界の身体が闇に蝕まれていく。
「《邪竜バルファザード》を特殊召喚!」
 場の瘴気が一層濃くなり、観客席から悲鳴があがった。息苦しそうに倒れる者達がいる中、それは闇より現れる。漆黒の翼に禍々しい炎を纏った暗黒の竜。召喚した世界自身ですら、震えるほどの深い闇が滲み出ていた。
 瘴気は重く特異運命座標達にのしかかる。息苦しさを感じて、メリーはぬいぐるみを抱きしめた。
「わたしの手番。神秘《光の収穫祭》を発動するわ。手札を3枚捨て、世界のライフを回復よ。更にカードを2枚伏せて、手番は終わりよ」
 漂う闇の隙間から光が差し込み世界を癒す。すると闇に喰われた身体が回復した分だけ復元し、痛みに呻く世界の声が和らいだ。レオンとカルラが驚きの声をあげる。
「もしかしてこの闇」『私達のライフと関係してる?』
『いかにも。ライフは文字通り貴様らと我の命だ。全て失う事は、闇に喰われる死を意味する』
 それを知りながら、真っ先に自分が食われる事をこの男は悦んでいた。――狂っている。
「汝はロドルフではないでしょう?
 名を名乗れ。それともこの世界のカードは名乗りも知らないの?」
 女王の挑発に、竜はいよいよ口を開いた。しかしそれは。
『《邪竜バルファザード》だ』

 世界の場に出ている闇の竜だった。

 メリーの次は世界のターン。しかし世界がカードを新たに使うより先に、邪竜の闇が世界を覆う。
「これ、は……」
『我の攻撃対象は我が選ぶ。貴様だ我が主。嗚呼――いい表情をしているな』
「うああぁぁーーっ!!」
 闇が晴れるとそこには、倒れ込んだ世界の姿があった。
「そんな、ライフはあるのに!」
『我が闇を耐えきれる者はいない。さて、ロドルフのターンを始めよう』
 邪竜は大翼を広げ、ロドルフの場へと飛び移る。口を開き、黒炎を吐こうとする先は――レオンとカルラのモンスターだ。そうはさせない、と女王が吼える。
「神秘《決戦の刻》発動! 我のモンスターをコストに新たなモンスターを呼び、攻撃をこちらに引き付ける」

《大罪女王の遣い》が消えた次の瞬間。
 大気が揺れ、天から地へと一筋の光が落ちた。

「光と闇が混沌に沈む時、陰陽の狭間より顕れるは天譴の裁定者。
 顕現せよ《善と悪を敷く天鍵の女王(Cardinal Sin Regina)》!」

現れたるは戦神。女王と同じ姿の少女が現れ、黒炎の方へと飛んでいく。
「邪竜の攻撃を受けたら」『今度は女王さんが!』
「構わないわ。託せる背中があるもの」

 黒炎と光がぶつかり合う。《善と悪を敷く天鍵の女王》と《邪竜バルファザード》は壮絶に相打ち、女王はその場に崩れ落ちた。

 ロドルフの手番が終わり、レオンとカルラは残された。無言のままに≪照れ屋さん≫を召喚する。
『邪竜は倒れたが、召喚し直せばいい事だ。どうした、怖くて声も出せないか?』
『そうじゃないわ』「ゲームは楽しんだもの勝ちだもん!」
 今まで黙々と場にモンスターを増やしていたのは、たった一枚のカードのためだ。

……星辰が揃ったよ。
 ボクタチのお友達を紹介してあげる。
「いあ」『いあ』「おいで』

 神秘《全なる無の儀式》が発動し、レオンとカルラのモンスター達が贄となって消えてゆく。
 宇宙(そら)からソレは這うように降った。盲目の神にして燃える三眼。
『こいつは凄い。だがいいのか? 我を倒せばロドルフは死ぬぞ。操られただけの哀れな男がな』
「伏せカードを発動! 《風の指先》で世界が場に伏せているカードをわたしが使うわ。効果はレオンとカルラのモンスターへ!」
 邪竜の脅しに屈せず、メリーも力を合わせていく。世界が残した《永遠の鼓動と共に》を使い、盲目の神の攻撃力が瞬く間に跳ね上げた!

『ばかな!!』
『またね』「1対1でもボクタチ負けないよ」

――さようなら。

 その言葉が引き金となり、神はロドルフへ覆いかぶさった。
 邪竜よりも深い闇。ライフ0を通り越すほどの圧倒的な力で、悲鳴をあげる間もなく虚無へと還す!

 やがて闇は晴れ……倒れていたロドルフは目を覚ました。
「ここは?」
 見上げればそこには、メリーが伏せた最後の神秘が使われていた。
《特異運命座標》。効果はライフを1回復するだけの物。彼女は邪竜を除くロドルフだけに、その1が奇跡を起こすと信じてかけたのだ。
「貴方の世界よ。おかえりなさい」

成否

成功

状態異常

なし

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