PandoraPartyProject

シナリオ詳細

<星呑み竜>死に場所を選ぶなら

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

 空にひときわ輝いている星が浮かんでいた。その星は『タハトーディア』と呼ばれ、世間を騒がせていた。
 それは少しずつではあるが、この星に接近しているのがわかったと告げるラジオの声が聞こえる。本来の軌道とは異なる故に発見が遅れたのだという。この星にぶつかるまで、残り24時間。そう告げられた時の人々の混乱は、まるでこの世が地獄になったかのようなありさまだった、人類は秩序を失い、皆思い思いの形で最期を飾ろうとし始めたのである。
 ある者は多額の借金を抱えてでも思い残すことのないようにと死ぬ前に一度は行きたかったという地へと騎乗専用ペガサスをチャーターして向かった。また、ある者は未来に絶望して高層ビルから飛び降りて自害を試みた。またある者は矛先のない怒りを市民に向けて大量虐殺をはじめた。また、ある者は神に祈りを捧げ始めた。

 そして、かの者は、最後の瞬間を強者と戦って死ぬことを選んだ。

「ちくしょう! どうせ死ぬんだぞ! だったら……」
「俺は武装するものと戦い、死にたいと思った。ただそれだけだ。
 お前の都合も、お前のことなんて知らない」

 物心ついた時から、エーデルは少年兵だった。火炎魔術と双剣を使った軽い身のこなしを活かした戦術を得意としていた。世界最後の日といわれたその日、上官は自害しており、統率力を失った兵士たちは敵国と戦うことを止め、食糧庫にある酒を浴びるように飲んでいた。ただ、エーデルだけは、戦場で死ぬのだとずっと思ってきたから、死ぬならまぬけな死に方はしたくないと思っていた。

「エーデル、行くなよ。なぁ」
「お前たちみたいな腑抜け野郎のいう事は聞かない」

 少年は誰もいない戦場に行く。いないのなら、焚きつければいい。
 すべてを壊せばだれか戦ってくれる。敵でも、味方でもいい。

(だって、俺は殺し合いしか知らない。文字だって読めない。
 だから、殺し合いをするしか、選択肢はないんだ)



「最後の日を前に、想いが交錯する世界『ラストデイズ』にようこそ」

 この物語は、『世界最後の日』を舞台につづられた短編小説なのだという。剣と魔法の世界……だけれど、空から降ってくる謎の星『タハトーディア』によって滅ぼされる運命の世界。
 けれど、とカストルは肩をすくめる。せっかくなのだし、ハッピーエンドがよいだろう?と。この世界も救って、民も救う。全部解決しようじゃないか。

「エーデルは物心ついた時から戦うことでしか自分の存在意義を見いだせていない子だ
 だけどだからこそ、上官以外は自分より弱い奴のいう事は聞かない生き方をしている
 説得するなら、彼を殺さないように戦って、そのうえで説得が必要だろうね
 でも、彼が望むまま彼を殺すのも……ある意味、ハッピーエンドなのかな」

 大丈夫、すべての願いを全て叶える力を、君たちは持っているはずだから、と彼は笑った。

NMコメント

戦闘系+説得シナリオです。
彼が生存した場合と死んだ場合で、
今後のシナリオ展開が変わります。

  • <星呑み竜>死に場所を選ぶなら完了
  • NM名蛇穴 典雅
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2019年12月08日 20時55分
  • 参加人数4/4人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧 (4人)

ヨハン=レーム(p3p001117)
心臓もさもさらしいわ!?
イグナート・エゴロヴィチ・レスキン(p3p002377)
業壊掌
日車・迅(p3p007500)
折れぬ意志
茅野・華綾(p3p007676)
折れぬ華

リプレイ


 ヨハン=レーム(p3p001117)は耐えていた。凄まじい猛攻撃。素早いその動きを自分が耐える事ができなければ、日車・迅(p3p007500)や茅野・華綾(p3p007676)に攻撃の手が向かうのが火を見るより明らかだった。
 一方で恐ろしいほどの強靭な『盾』であるヨハンがエーデルの攻撃に呻くのを聞けば、早めに戦いの決着を付けるべきだとイグナート・エゴロヴィチ・レスキン(p3p002377)は判断する。

「強いね、さすが今まで戦ってきた者というだけあるや。……だからこの全力の攻撃で、終わりにしよう」

 受け切れれば、君の勝ち。受け切れなかったら、自分たちの勝ち。



 砂埃が舞う戦場に、彼はいた。両手に火炎の宿る剣を携えて、1人寂しく歩を進めていたが、ふと、人の気配を察知してその脚の動きを止めた。見たこともない服装、見たことのない外見。敵の新しい兵器だろうかと目を細めるエーデルに迅は
声をかける。

「くだらない戦いはしない方がいい。エーデル殿は兵士なのですから。最後まで守るために力を振るうのが良いでしょう」

 何故名前を知っているのだろうか、この兵士は。くつくつとエーデルは笑う。相手に名前を覚えられるほど、戦果を上げた覚えはない。だとするならば、相手に兵士個人の名前が流出したのだろう。であれば、この戦争はもはや負けたも同然だった。

「守るつもりはない、死ぬつもりも。ただ此処で生きろと言われたから此処にいる。剣しか知らぬ俺が生きられるのも此処だけだ」
「……わたくしは祖国にて、エーデル様のような方を多く見てきました。わたくしも戦人で有りますが故に、戦いで命を燃やす事については何も問いませぬ」

 同情はしない。華綾の言葉はまっすぐだった。エーデルは笑うのをやめる。

「ですが、少なくとも貴方様が超えるべき壁は、ここに4人居りまする。エーデル君、貴方様も戦人と言うのなら、それが生き様であると言うのなら、せめてこの中の誰かを倒すべきで御座います。敗北者のまま散るのは、惨めで御座いましょう?意味を……貴方様が戦人として生きた意味を、残して死すべきです」
「生きた意味? ハッ、存在意義なんてものは余裕のあるやつだけが考えるものだ。まして、滅びることが決定付けられたこの世界にそんなものあったってどうしようもない」

 けれど、その言葉を否定するかのようにイグナートが交渉する。

「オレたちが勝ったら世界を救うのを手伝ってもらうよ!」
「は? 冗談だろ」
「オレたちは大真面目だよ!」

 そんな、舞台劇の英雄でもあるまいし。エーデルが話にもならないと呆れるのを見て、ヨハンが挑発する。

「おやおやぁ? 僕たちに勝てそうにないからって言い訳するんですか? 期待外れだなぁ」
「……なんだと」
「だってそうでしょ? 自信があるなら僕たちに勝てばいいだけの話じゃないですか。負けるのが怖いから逃げるんです。違いますか?」
「俺は逃げてなんかいない。アイツらと一緒にするな」

 ……嗚呼、エーデルは若過ぎた。4体1になる事をせめて非難すればよかったが、彼はそれをしなかった。そういう事を考えられるほど、正常ではなかったのだ。彼もまた、この世界が滅びる事に諦めを感じていた故に、未来を信じられなかったのである。



 かくして、現在に至る。一度に何度も剣を振るうエーデルの猛攻撃に、迅は背中に冷たい汗を掻く。斬り付けられたところから煙が上がる。傷口を焼いているのだ。すでに重傷の身であるものの、この中で最も頑健なヨハンですら、攻撃の余裕がない。隙をついて攻撃をしても、なかなか命中しないそれに、華綾は焦りを感じ始めていた。何度か攻撃を当てようと運良く素早く動けた時ぐらいであった。

 このままでは、いけない。
 イグナートもそう思ったのだろう。

「強いね、さすが今まで戦ってきた者というだけあるや。……だからこの全力の攻撃で、終わりにしよう」

 受け切れれば、君の勝ち。受け切れなかったら、自分たちの勝ち。その言葉に、エーデルは笑って了承した。清々しいほどあっけらかんと。それはけして、お互いに相手を低く見ているからではなく、全力を持って戦うべき相手だと判断したが故のものだ。

 ――全力攻撃。正しくそれが一斉に行われた。

 エーデルが焔の旋風を放つ中、光のハンマーが、魔力が、拳が、剣が振り下ろされる。両者は均衡していたかに思われたが、ガラスがひび割れるような音の後、ぶわりと爆音と爆風が戦場に吹き荒び、あたりは真っ白に覆われる。その音に、なんだなんだと両陣営が顔を覗かせた。戦いに意味はない。ならば戦わない選択をした彼らが、砂煙が治まったのちに最後に見たのは、血反吐を吐いてもなお、立っている1人の、兵士の姿である。
 ――イレギュラーズの勝利であった。

「……なんで殺さなかった」

 エーデルの言葉に、ヨハンは緩くコンセントにも似た尻尾を振った。

「タハトーディアなど僕たちが何とかしてみましょう。雪辱を果たしたいなら協力して下さいね。まぁ、自暴自棄であるうちは勝てないでしょうけど」
「……自暴自棄だったのは、認めてやらんでもない。でも、タハトーディアをどうにかするなんて、そんなことできるわけがないだろ。隕石だぞ」
「いいえ」

 華綾が首を振った。彼女の中に寄生した何かが、告げている。あれの正体を、仲間が突き止めてくれたのだ。

「あれは竜。ドラゴン。すなわち生き物です。生きているなら、殺せます」
「宇宙へ辿り着く手段を何かご存じは無いですか……?」
「……ならば」

 迅の言葉に答えたのは、エーデルではなかった。それは、エーデルからすれば敵の陣営に所属する上官であった。

「ならば、我が国のロケットを使ってください。我が国は魔法のかわりに化学が発展しています。故に宇宙へ行くこと『だけ』なら可能です。ただ、燃料が足りない」

 そこに、エーデルの軍に所属する衛生兵が、エーデルを抱きかかえてイレギュラーズに告げる。

「自分たちは諦めていた。けれど、それでも戦う姿を見せられて、動かないでいられる程情けない性格はしてないぞ。魔力供給が足りないならウチで受け持つ。それでどうだ、エーデル」
「どうだ、って、なんで俺に聞くんだよ」

 首を傾げるエーデルに、同僚らしい兵士が担架を持ってやってきた。

「この中で一番功績が高いのは、今もなお戦っていたお前だろ? だから、お前が上官。オッケー?」
「はぁあ?」

 意味がわからない。と喚くエーデルに、ウチの子がすみません。と謝る別の兵士。ヨハンはお気になさらずと、微笑んだ。エーデルや衛生兵達、彼らはまるで、家族のようであった。それならきっと、戦いに暮れる日々でもそこに愛はあったのだろう。

「待て待て。俺は戦いしか知らねーぞ。上官になれるほど頭も良くねえ」
「愛嬌はあるから大丈夫だ。お前は親交大使になれる」
「意味が分からねえ。そんなの勝手に決めていいもんじゃないだろ」
「この星の救世主にお前がなれたら、戦争も終わりだ。戦わずに済む。お前が知りたがってた文字だって習えるようになる」

 ブツクサと言いつつも、数時間ののちに話は纏まったようだった。戦争は一時休戦。政府が機能してない今、現場で動くしかないこの世界で、密かに停戦と協定が行われたのを知っているのは、イレギュラーズと両陣営の兵士のみだ。

 タハトーディアを見上げて、エーデルは剣を向け宣戦布告する。

「これより、我々連合軍はタハトーディア討伐に目的を移行する。……全ては世界を救うため」

地鳴りのように、響き渡る兵士たちの歓声にイレギュラーズは覚悟を決める。

いざ向かうべきは宇宙へ。

成否

成功

状態異常

なし

PAGETOPPAGEBOTTOM