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シナリオ詳細

塔の中の青い鳥

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●塔の中の騎士
 僕の名前はアルルカ、世界の片隅で貴方に手紙を書いています。
 突然ですが、僕は死にます。
 理由は簡単で、貴方に恋をしてしまったからです。
 貴方もよぉくご存知でしょう、僕たち人間がカムイカル神にかけられた呪いのことを。
 
 『恋をすると、その人は7日以内に死んでしまう』。

 その呪いを解くため、僕は騎士(ハッカー)として塔に登りました。そう、あの世界の真ん中に立つ塔です。
 塔の一番上で、おおきな鳥かごの中にいる青い鳥を世界に解き放てば、人々の呪いが解けるときいたからです。これまで何人も挑戦しては帰らぬ人となった、そうきいて。けれど僕ならば成し遂げることができると思ったのです。僕は英雄と謳われた父に幼い時から剣を叩きこまれていましたし、家を出て旅をするようになってからも腕を磨いてきましたから。1人でなんでもできるような気分でした。
 けれど、塔の中で僕を襲ったのは魔物ではなく、僕自身のこころでした。様々な過去の幻影が僕のこころを苛み、ひとつひとつをようやく振り切り先へ進んでもう一歩というところまで来て。
 父が出てきました。
 風の噂で聞いた、かの悪逆の王の手先と成り果てた父。無辜の人々を苦しめる政に手を貸している父が。嘗ての英雄の面影を失くして只管に悪辣で邪悪な父が。想像に過ぎない父が。僕には思っていた以上に強敵でした。僕は、これ以上進めないと思ってしまったのです……、

 『花の塔と青の騎士団』――『放浪騎士アルルカの最期の恋文』より。

●境界図書館で、あなたと
 境界図書館に伸びやかな声が響く。
「高く高く、天まで伸びる果てしない塔。塔の一番上に、おおきな籠に閉じ込められた青い鳥がいるんだよ。
 その鳥を解き放てば、世界は恋をする赦しを得るの」
 金色の髪がふわりと揺れる。月滴を集めて織り込んだような艶が美しい。海のような瞳で貴方を見つめる声の主は、ポルックス・ジェミニ。境界案内人の女の子だ。

「その世界は、こっちの本の世界『カムイカル』と関係があってね。カムイカルでつくられたゲームの世界なんだけど、世界の中で生きている人たちにはもちろん、自分たちの世界が作られたゲーム世界だなんてわかってないんだよ」
 ポルックスは「もしかしたら、わたしたちやあなたたちの世界も、別の世界のだれかに作られた世界かもね!」と言って楽しそうな顔をした。
 そして、分厚くてあたたかみのある装丁の本『花の塔と青の騎士団』を優しく撫でた。
「そうそう、それでね。あなたに塔の攻略をお願いしたいの」
 だって、恋をしたら死んでしまうなんて悲しいもの。呟く声は乙女らしい感傷に溢れていた。
「けれど、気を付けてほしいの。塔の中では幻影が見えて、あなたの心を折ろうとするようだから」
 例えば、過去の辛い記憶や、失ってしまった大切な何か。例えば、想像により強大になり過ぎて太刀打ちできないような敵、抗いがたい楽しい誘惑。

「気を付けていってきてね。無理は、しなくてもいいからね」
 ポルックスは少し心配そうに付け足して、「いってらっしゃい、よろしくね」と頭を下げたのだった。

NMコメント

 おはようございます。remoです。
 初めましての方も、そうでない方もどうぞよろしくお願いいたします。

 今回は塔の攻略シナリオです。プレイングによりシリアスにもネタにもなります。
 関連シナリオは『恋愛ゲームXジェノサイド』(https://rev1.reversion.jp/scenario/detail/2156)です。前作を知らなくてもお楽しみ頂けます。

 ●遊び方
 塔を攻略して頂きます。塔の中では、それぞれのPCさんにしか視えない・聞こえない幻影が現れます。幻影はお好きな内容をご指定頂けます。
 シリアスなものでも良いですし、ネタに走っても良いです。
 どんな幻影が現れて、それにPCがどんなリアクションを返すのか、をプレイングに書いて頂けると嬉しいです。
 OPに出てきた騎士さんは塔の中にいますが、ノータッチでもよいですしタッチしてもよいです。

 ●幻影の楽しみ方・例
 (1)シリアスな場合
「幻影:過去に故郷が焼かれた経験があり、瓦礫の下から瀕死の妹が助けを呼ぶ声が聞こえる。苦しい痛い、たすけてたすけて、置いていかないでと泣いている。あの時逃げてしまったのを思い出す。
 リアクション:これは幻影だとわかっているが無視して先に進むことができず、足が止まってしまう。今度は置いていかないよ――、瓦礫に手を伸ばして持ち上げようとして、弱弱しくなっていく声を必死に励まして、炎が迫る。全身を焼かれても逃げるもんか。
 瓦礫を持ち上げて、それなのに見たかった妹の姿は消えてしまう。当たり前だ。幻影だ――、なのに消える一瞬前、耳元で妹の声が聞こえた気がした。
 そうだ、許されたかったんだ。楽になりたかったんだ。ずっと。
 止めていた足をもう一度踏み出して過去を振り切り歩き出そう。ここに来た目的を果たさなければならない。人を助けたいと思った、あの日を思い出したんだ。と先に進む」

 (2)ネタな場合
「幻影:ふかふかのオフトゥンともふもふのにゃんこが「一緒にお昼寝しよう」と誘ってくる。フトゥンだけじゃない、手が届く範囲に酒とつまみが揃っていて「振るとお金が増える財布」まで置いてある。
 リアクション:なんだこのトラップは! こんなみえみえの罠にひっかかる奴がいるかーっ(財布を振ってみる)
 か、金が増えたああああっ! もう働かなくていいんだな。金をざらざら財布から出してオフトゥンの上で大喜び、金に埋もれて幸せ!
 気付けばにゃんこが膝の上でまるくなって「クッ、可愛い」とほだされる。
 最終的に酒を飲んですやぁ。いつまでも寝ている。このフトゥン寝心地最高だな! 実は最近寝不足で」

 以上です!
 キャラクター様の個性やプレイヤー様の自由な発想を発揮する機会になれば、幸いでございます。

  • 塔の中の青い鳥完了
  • NM名remo
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2019年11月27日 22時30分
  • 参加人数4/4人
  • 相談3日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

ブーケ ガルニ(p3p002361)
兎身創痍
回言 世界(p3p007315)
隠者
メリー・フローラ・アベル(p3p007440)
虚無堕ち魔法少女
紅楼夢・紫月(p3p007611)
呪刀持ちの唄歌い

リプレイ

 鳥が鳴く。
 階段は永遠に続くようでいて、いつか終わるはずだった。


●ブーケ ガルニ(p3p002361)と祖父
(恋をして。汚い思いを抱えたままそれを出さず一番美しい姿でそのまま死ねるんなら。ポルックスちゃんには悪いけど、それはとても美しいと思うんよね。恋したら死ぬんはつらたんやけど)
 萌黄の瞳が瞬き、幻影の世界に囚われて足が止まる。

「あれ、ここって。ちいちゃい頃過ごしとった……」

「……」
 黒い兎耳をひくりとさせ、ブーケは声に振り向いた。
「おじいさま?」
「ブーケ、ブーケ」
 ああ、応えてあげなあかん。
「うん、俺よぉ。ブーケよ、どないしたん?」
 以前と見違えて細くなった祖父が縮こまって。ああ、困っているんや。ご飯、こぼしてもうたんやな。
「ああ、またご飯こぼしてもうたんか。待っとってな、すぐ拭くもの持ってくるから……」
 大丈夫や。ああ、口から涎零れとる。綺麗にしよな。綺麗、綺麗や。

 おじいさまは手があったかくて、なんでも知ってた。俺の知らないことをたんと知ってて、背がちっさくて届かない場所にも手が届いて。
「盗みよった。またあいつが盗みよった」
 おじいさまは穏やかで、素晴らしい人物だった。
「おじいさま?」
 ああ、怒っとる。別人のようになってもうた。
「盗まれたんや。財布がないんや。犯人はわかっとる」
「違うよお、お父ちゃんはお財布盗んでへんよ、あっちの棚やないかな」
 棚を一緒に見ればほら、薄くてほつれが目立つ大切な財布。両手でひったくるようにして「お前が隠したんか」なんて言う。
「違うよお、おじいさま」

 ――ええか、こっちの薬草は筋肉を弛緩させる効果があるんや。こっちは炎症を抑える効果があってな、
 あったかな手が優しく頭を撫でながら独特の臭いのする薬草についてひとつひとつ丁寧に教えてくれた。

「ああ」
 ぽたりと手から財布が落ちる。ぶるぶる震える手がもどかしそうに指を動かして。
「うう、うう」
 呆けてもうた。歳を取るとみんなこうなるんや。出来ていたことが出来なくなっていく祖父。別人のようになって――病は進行するのみで、ただ死に緩く向かっていくのが誰にでもわかる。

「――して」

「殺して、欲しい」

 ほんの僅か。一瞬、瞳に理性の色濃く浮かび、祖父はそう言った。その時、俺は逃げ――逃げなければ、どうなっていたろう。

「ぶーけ」
「うん」
 微笑んだ。
「うん、おじいさま」
 ――お世話になったもんねえ。頼まれたなら、そうしなきゃあ。
 彼は恩人だもの。


●紅楼夢・紫月(p3p007611)と姉
「恋をすると死んでしまう呪いねぇ」
 悲しいねぇ、と呟き紫月が塔を登る。
 覚悟を胸に踏み込めば、大人びた容姿の姉、凛花が姿を現した。少し前に見た姉は心配をしてくれていたが。
「紫月、貴女、何故屋敷から出ているの? 部屋で大人しく寝ていなさいと言ったはずよ?」
 ――ああ、幻やねぇ。
 紫月に妖刀が向けられる。姉妹刀の鯉口を緩めて紫月は深紅の瞳を三日月めいて細くした。
「……この境界では、姉様は明確な敵として私に接するんやねぇ」
 妖気が刀身を中心に青白く揺らめく。吸い込まれるような瞳に闘気が閃き、一刀が風を唸らせる。鋭い踏み込み。迫る刀刃を刀をしならせ、弾く。続け二の刃、三の刃。剣風が唸る。良質の鋼同士が打ち合わさる澄んだ音が高く鳴る。
 胴薙ぎを払い弾き、手首を返して身ごと体当たりするような突きを繰り出し。防がれる。硬い金属音が鳴る。悲鳴のようだ。
 鋼がかち合い、火花が爆ぜ。力を増して打ち合えば、濁音混じりの衝突音が鳴る。
 姉妹刀が鳴っている。
 姉が驚愕しているのがわかる。
「っ、いつからその刀を扱う様になったのかしら?」
 一族の呪いを一身に受けた紫月を知る姉。今、ここに至るまでの紫月を知らない姉。先日のやりとりも知らない――あれもこれも、幻だから。濡れ羽色の長い髪がふわりと背で舞う。
「姉様が死んでから、かねぇ。使用者に呪いを付与する妖刀(この子)。そのお陰でで私は今ここで戦えてるからねぇ」

 足で好きな所に歩いて。
 思うまま歌い、戯れに何かに手を伸ばし。

 姉妹の奏でる音が塔に響く――不思議と、心地が良い。
「私は今、動けるし戦えるんや。いくら姉様と言えど私の邪魔はせんといて欲しいねぇっ!」
 一度も手合わせをしたことはない、死別した姉。

 まるで戯れあっているようで。
「紫月っ!!」
 儚げに、花が綻ぶように笑み紫月は一太刀を受け、確実な一太刀を浴びせた。
「……姉様、出来る事なら本当にこうして斬り結びたかったねぇ」
 儚くなる凛花の頬に手を伸ばし、触れるか否やで指止めて悲しい微笑みを向ければ、消えた姉がふわりと頭を頭を撫でたような気配を遺して。
「本当、しょうがない妹ね……」
 姿はもう視えない。消えてしまった。
 寂しさと共に胸に残る嬉しさに紫月は満開の花めいて微笑んだ。


●メリー・フローラ・アベル(p3p007440)と特殊部隊
 メリーは都市風景の中で銃弾の雨に襲われていた。
「この格好は……元の世界の警察の特殊部隊だわ」
 幼いままの声で呟き、メリーはテレビでテロリストを制圧するために武力行使していた彼らを思い出した。
 あの世界で、メリーは希少な力を持っている特別な存在だった。小さな手をぎゅうと握り、メリーは大きな目に悔しさを滲ませる。
 ――わたしの能力を知られた状態で正面から戦ったら、敵わない。
 そう、思ってしまったのだ。その時のショックをメリーは忘れない。
「いい勉強になったわ」
 そして、メリーは世界征服の夢を諦めたのだ。ちっぽけな田舎町一つ支配するだけでガマンしてあげることにして、それ以来は町の住人以外にはなるべく能力を隠すようにして。
 ――それでも最後は、射殺されたけれど。
 銃声が耳朶を打ち、背中から胸にかけての痕が疼くような気がしてメリーは傲慢な瞳で幻の敵を睨む。
「こいつらなんて、偽物じゃない」
 どうってことないわ、とメリーは小さな首を振る。弾が小さな胸を貫いて、けれど痛みも衝撃もない。
「幻だもの」
 愛らしい唇に笑みを浮かべ、すり抜けるだけの銃雨の中をメリーは勝ち誇る。何かがバウンドしたのをちらりと視界の隅に収め。視界が白に染まる。
「わたしは形の有る力しか恐れな……きゃあ!?」
 爆音。
 耳を抑える間もなく衝撃が心臓を鷲掴みにする。純然たる音の暴力にメリーは全身を硬直させた。
 爆音と共に身を隠すビルの壁が震える。頭の中に蘇るテレビの光景。閃光に眼が眩む。フラッシュバンの投擲だと理解したのは一拍置いてからだった。
 テレビで見るのと、実際に現場で味わうのとでは衝撃は段違いだ。じっとりと嫌な汗が背を伝う。
 ――何も見えない! 聞こえない!
 何も、わからない。けれど狙われている。当たっても痛くないけれど、無数の殺意に晒されてあまりに今のメリーは無防備だ。
「痛ッ!」
 自分が転んだと気付いたメリーはそのまま手探りで這って進むことにした。こめかみをぬるりと伝う感覚がある。転んで切ってしまったのだろう――。
「実体の無い幻影でも脅威になることがある……また一つ勉強になったわ」
 折れぬ心に炎を燈らせ、メリーはそっと呟いた。


●回言 世界(p3p007315)と……
「あー、うん。あれは幻だな」
 世界は気だるげな顔で幻を見つめた。ひと目で幻だとわかる大量のお菓子の山。だが。
 ただのお菓子ではない!
「あれはラッコの赤ちゃん誕生記念の3日間限定チョコ。その隣にあるのは春季限定で次の年会えると思ったらそれきりになってた幻のクッキー」
 なんてことだ、毎日行列ができて買うのに数時間待ち必至のスイーツがよりどりみどり。ライバルがいない。急ぐ必要もなく堪能し放題だ。
「あ、あれは生産終了が話題になった梅菓子。それに」
 自分のポケットを膨らませているお馴染みのお菓子も並んでいて、世界はふらふらと引き寄せられるようにお菓子の王様となった。いや、待て。
「わかってる、わかってはいる」
 もちろん世界はわかっているのだ。これが突破すべき幻であることを!
「……が。寄り道しても問題ないだろう? さて、これが一時の夢だというならば存分に堪能させてもらおう」
 すでに口の中にはお菓子の味わいが広がっている。しゃくしゃく、もぐもぐ。食べ放題だ。どれを食べてもなくなるどころか増えていく。
「味も食感もまるで本物のようにある……それでも幻影だからカロリーは無いしいくらでも食べられる。世の中の菓子はいっそ全て幻影になっちまえばいいのになぁ」

 しばらく経ち、十分にお菓子を堪能してから世界は先へ進んだ。
「ついつい長居してしまったな。ん?」
 幻影に苦しむ青年騎士を見つけて世界は癖のある髪を掻いた。
(あそこにいるのはアルルカとか言う騎士だったか?)
 呻き、深い傷でも負ったかのように腹を抑えるアルルカ。

(今までも色々な困難を超えてここまで来たんだろう。だからこそ最後までやり遂げて欲しいものだ)
 世界はアルルカに向けて言葉を放った。
「おい、そこのアンタ! 何を見てるか知らないが……この塔にいるってことはそれなりの理由があってきたんだろ?」
 声を張り上げればアルルカは驚いたように目を瞠る。
「だ、誰だ」
「立ち止まってる暇はないぞ! さっさとその幻影を終わらせてしまえ!」
 そんなものは幻影だ、とはっきりと告げればアルルカはハッとした顔で立ち上がる。
「そ、そうだ。これは幻影……負けるわけにはいかないんです」
(大丈夫そうだな)
 苛烈なまなざしを見せるアルルカに世界は優しく笑み、頷いた。


 周囲には幻影を突破した仲間達が集まってくる。
 自身も幻影を突破し、礼を告げるアルルカと共に塔の頂上に行けば鳥がいた。
 解き放った青い鳥はのびのびと羽根を風に遊ばせ、自由を象徴するかのように飛んだ。

 頬を撫でていくのは、冬の薫りを含む風だった。

成否

成功

状態異常

なし

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