PandoraPartyProject

シナリオ詳細

イレギュラーズ歌劇団!!

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●突然ですか戦争のお時間です
 広い草原の真ん中、南北に分かれて軍団が展開していた。
 北に陣取るのは赤を基調とした制服を纏った一団。
 南に陣取るのは青を基調とした制服を纏った一団。
 両者睨み合う中、赤の軍の後方より一騎の騎士が躍り出る。周囲の兵よりも煌びやかな衣装は軍団の中でもかなり上位の者であることを十分に示している。
「聞けッ!古今無双たる我が国の勇士よ!」
 ドンッ!と地響きを立てて赤の軍の兵が一歩前に出る。……あっ、違うわ。このドンッって音、太鼓だわ。鼓笛隊めっちゃ控えてるわ。
「時は満ちた、今こそ我が祖国の悲願、凍らぬ水平線を手に入れる時!」
 赤の軍の歩兵達は一斉に抜剣、北から順番に妙にリズミカルな雄叫びを上げていく。それを追いかけるように鼓笛隊の演奏も始まり、アップテンポで勇壮な音楽が草原に満ちていく。
「我は、赤の国、赤雷の騎士」
「「「アリベールート!」」」
「その名を知らぬものはなし!我が剣の前に露となるがいい!」
 兵士たちのいい感じのコーラスに合わせてアリベールートと名乗った騎士が虚空を一閃すると、青の軍の兵士たちがまとめて吹き飛んでしまう。……別に本当に剣圧とかが発生したわけではない、剣を振るアクションに合わせて、吹き飛んだ振りをしただけである。
「立ちなさい、青の軍!故国の守護者よ!」
 青の軍から涼やかな声が上がる。空気を読んだ赤の軍の音楽が小さくなって、弦楽器を多用する青の軍の者に切り替わっていく。
 アリベールートの登場と同じように青の軍の後ろから躍り出てきたのは、長い金髪をなびかせた少女であった。青の軍の兵と似た雰囲気の衣装であるが、全体的に華美で遠めに見ても女性と分かるドレスデザインだ。
「私も共に戦います!守りたいものがあるから!」
「「「キャロライン様!港の街の領主令嬢!青雫の乙女!どうかお戻りを!」」」
「いいえ、病に倒れた父の為、領民の為!私にもできることがあるはず!」
 キャロラインは細身の剣を抜き放ち、祈る様に掲げる。その姿を青の軍の演出部隊が魔法でいい感じの光で浮き上がらせた。
 ちなみに病に倒れたとは言っているが、風邪で声が出なくなっちゃっただけということは青の軍どころか赤の軍も知っている事実である。
「いいだろう、青雫の乙女、キャロライン!我が剣にて引導を渡してくれよう!」
「赤雷の騎士、アリベールート!あなたを倒し、この戦いに終止符を打ちます!」
 二人が剣を打ち合い始めたのを合図に周囲に控えていた兵士達も激突する。
 音楽と演出に満ちた戦争は、休憩を挟みながら二人の声が枯れるまで行われた。
 尚、攻撃は全て寸止め、もしくは空振りという紳士のルールが徹底され死者は0人であったという。


「ミュージカルをやってみたいと思ったことはない?」
 そのように誘われたイレギュラーズの前でポルックスは微笑んだ。
「このライブノベルの世界では、争いごとをする時は必ずミュージカルで争うの!
 それでね、赤の国と青の国が長い間戦争してて、あんまりに長引くからお互いに異世界から勇者を召喚して彼らに決着をつけてもらおうっていう事になったみたい。
 もちろん決着のつけ方はミュージカルよ!」
 ギョッとするイレギュラーズに楽しそうでしょ、と笑いかけながらポルックスは続ける。
「演出や音楽、コーラスなんかは現地で頼めばなんだってしてくれるはずだよ。
 だって、みんなこの道何十年のプロだもん。
 敵軍だって、空気を読んで演出に参加してくれるみたいだし、経験がなくても何とかなるって!」

NMコメント

やったー!ミュージカルだ!言子です!

●目標
ミュージカルで戦争に決着をつける

青の軍と赤の軍に二人ずつ分かれて歌います。
より場を盛り上げた方が勝利します。

●戦争の流れ
 両軍のイレギュラーズの名乗り上げ
・名前、どこから来たか、武勲、戦う理由などを歌います
 ↓
 イレギュラーズ同士の一騎打ち
・激しく打ち合う演技をします
・仲間を鼓舞したり、戦っている相手の強さを歌ったりします
・必殺技を放つ時は、どのような技でどう強いのか歌いましょう

 演出は頼めばその道のプロたちが何とかしてくれます。
例)剣を振ると剣圧で遠くの兵士が倒れる、空に巨大な魔方陣を映す 等

 青につくか赤に付くか必ずご明記ください。
 相談で誰と戦うか決めておいてもよいかもしれません。
 決めていなかった場合はこちらでランダムに割り振ります。

●サンプルプレイング
アリベールート(p3pxxxxxxxx)
【赤の軍】
不凍港の奪取は我が国の悲願だ。
手に入れれば海運力は上がり、故国の子供たちにもパンがいきわたるだろう。
絶対に負けるわけにはいかない!

■名乗り
「聞けッ!古今無双たる我が国の勇士よ!」
号令と同時に兵士たちを一歩前に出すと同時にドンッと地響きのような効果音を入れる
我が軍の力強さと連携を青の軍に見せつけるのだ
「時は満ちた、今こそ我が祖国の悲願、凍らぬ水平線を手に入れる時!」
そして兵たちを鼓舞し、音楽を流す。
赤雷の名をイメージしたアップテンポで勇壮なやつ
名乗りは、自分ではなくコーラス隊が名前を連呼する演出にしよう
「我は、赤の国、赤雷の騎士」
「その名を知らぬものはなし!我が剣の前に露となるがいい!」
名乗ったら剣を抜いて一閃してポーズをとる

■一騎打ち
力強さを示すために一撃入れるごとに風で相手に対する圧を演出する
攻撃を受けた時は「なんという鋭い太刀筋……!」と驚く
相手の生い立ちや技量を絡めて讃えていきたい
逆に攻撃を入れた時は力強さや過去の武勇をたたえられると嬉しい
必殺技は「Breath of zmei」
「守護竜ズメイの赤き雷よ!我が剣に宿れ!」
赤い雷を剣に纏わせて、背負うように構える
コーラス隊には守護竜ズメイの伝説をバックで歌わせて如何にすごい攻撃がアピールしよう
「これは道を切り開く祈り!凍土を割る魂の一撃!」
「Breath of zmei!」
降り下ろすと同時に赤い雷が大地を走り、大地もろとも相手を吹き飛ばすぞ

  • イレギュラーズ歌劇団!!完了
  • NM名七志野言子
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2019年12月02日 22時40分
  • 参加人数4/4人
  • 相談2日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

ノリア・ソーリア(p3p000062)
半透明の人魚
アクセル・ソート・エクシル(p3p000649)
灰雪に舞う翼
フラン・ヴィラネル(p3p006816)
ノームの愛娘
伊達 千尋(p3p007569)
Go To HeLL!

リプレイ

●開演5分前
「故郷の森でよくミュージカルごっこして遊んでたから楽しみ!」
 赤の軍では 『繋ぐ命』フラン・ヴィラネル(p3p006816) が木箱の上に腰かけて蜂蜜入りのジュースをちゅーちゅーしていた。その後ろでは大道具係が最後の調整とばかりに丹念にアメ車を磨き上げている。
 アメ車である。 『Punch Rapper』伊達 千尋(p3p007569)の監修の元、赤の軍では突貫工事でアメ車の開発を行っていたのだ。
「頼むぜぇ、エキゾーストノートは肝だからよォ……」
 見たことも聞いたこともないアメ車という概念を一から作り出すにはあまりにも短い期間であったが、ギリギリ及第点を出せる物には仕上がっていた。
「もうそろそろ時間かな? 千尋さん、まずはあたしに行かせて!」
「あん? シャーネーなァ、フラン行ってこい!」
「やったー! 女の子もやる時はやる!夜露死苦ぅ!」
 イェーイ!と木箱から飛び降りたフランと千尋がハイタッチを決め、赤の軍の準備は整った。

「前に出て、1、2、3でライト、セリフ、ポーズからの音楽、だよね!」
 青の軍の後方では『猫さんと宝探し』アクセル・ソート・エクシル(p3p000649)が演出の最終確認を行っていた。
「ちょっと緊張してきちゃったな。ノリアはどう?」
「わたしも緊張していますの。でも、伝えたいことがありますの」
  『半透明の人魚』ノリア・ソーリア(p3p000062)が纏うのは赤の軍の様式と青の軍の様式がミックスされた衣装だ。両軍の和平を訴えたいとノリアが申し出た時に、それならばと赤の軍と青の軍の衣装係が共同で作り上げた一着だ。
「きっとこの戦いを止めることはできませんの。でも、皆さんの心に何かを残すことが出来れば……」
 赤の国の父と、青の国の母を持つ娘、自分自身で纏った役目を思いノリアは自然と祈る様に手を組んだ。

●開幕
 舞台に暗幕がかかる様に魔法によって太陽の光が遮られ、薄闇が満ちる。そして草原を照らし出すは空から差し込む三つの光。それらはバラバラに動き……やがて一点を照らし出す。
 そこに立つのは青の軍の衣装を身にまとった鷹の青年だ。軍帽を目深に被り、顔を隠すようにして光の中佇んでいる。
「赤青ひらめく戦場に、世界に招かれ今参上!」
 アクセルの声が草原に響き渡ると、少し遅れて両軍がどよめいた。ギフトの力で遠くまで鮮明に響き渡る美声、それはこの世界にとって戦いに対する天賦の才と言い換えることが出来る。異世界の勇者に対して抱いていた懐疑的な思いが最高の形で裏切られたのだ。
「相争うしかできぬなら、代わりに責を負いましょう!」
 顔を隠していた軍帽を投げ捨てて抜刀。レイピアの繊細な刀身がスポットライトの下で冴え冴えと輝く。
「運命特異点、アクセル・ソート・エクシル。無辜なる混沌より吹く一陣の風となり、青軍に勝利を運びます!」

 続いて、赤の軍は魔法でそよ風を生み出した。同時に木々が揺れるようなさざめき、虫の音、梟の声。音だけで森という空間を編み上げる。
「あたしは混沌のはしっこ深緑~森の中の小さな村からやってきた~♪」
 神自域【怒り】【痺れ】【ショック】【麻痺】。
「「アイエエエ……」」
 ズコーなんてレベルではなかった。音源の半径10mにいる赤の軍の兵士たちは次々と倒れ、倒れられなかったものは精神に異常を来たしたのか逃げることも出来ずただ座り込んでブルブルと震え、またある者は石の下にいたダンゴムシを怒鳴りつける有様である。
「ほらほらどうしたの?はい音楽!森がざわめいていくようにゆっくり激しくなる感じ!」
 ただ中心にいる足音の主は悲劇などない事のようにくるくると回りながら踊っていた。
「力を貸してと頼まれたの、それならあたしが! この、あたし、そう!」
 薄暗がりの中、一筋の光が迷惑なリサイタルの首謀者……フランの姿を照らし出す。術者の苦しみを反映してか微妙に光の筋が震えていたが些細な事だろう。多分。
「フラン・ヴィラネルが! この戦いを、終わらせてみせーる!」
 屍の中、くるくる回るのをやめて青の軍をずびしっと指さすとフランは不思議そうに首を傾げた。こんな演出頼んだっけ?
「強そうに見えるからいっか!」
 嵐の中、荒々しく揺れる木々をイメージした曲の中でフランはにぱーっと満足げに笑った。

●一騎打ち
「ええっと……いくよ、フラン!」
「こい! ふんぬー!」
 アクセルのレイピアをフランの木の杖が受け止める。金属VS樹木、流麗VS武骨、そこには赤と青の両軍が見慣れた「型」が分かっている者同士ではない戦いの不思議な魅力があった。
「くっ、なんて素早い攻撃なの! 森よ、私に力を貸して!
 ウホホホホホァーーーホッホァーーー!!!」
「なんて力だ……。でも、力だけなら受け流してしまえばいい!」
 明らかに木々とかではない感じの森の力を借りて滅多打ちにするフランに対し、アクセルは流れるような動作で応戦する。攻守の入れ替わりと同時に目まぐるしく変化する音楽の中、二人は文字通り踊る様に絡み合い、時に離れ、再び絡み合う。
「アクセルさん強い! もっともっと応援する歌がないと力が出な……あれっ!」
 段々と自軍の音楽が小さくなっていくフランが後ろをちらりと見ると先ほどの演出時(※演出ではない)のように倒れている兵士達が増えているではないか。
「えっ、どうして――」
「隙あり! チェックメイト!」
「ぐわーっ!」
 後ろからレイピアで突き刺され(※これは演出)ぱったり倒れ伏すフラン。
「赤の軍の勇士は倒した! これなら……!」
 勝利のポーズを決めるアクセル。しかし、その真正面から次の脅威が姿を現す。

 エンジンの駆動音、マフラーの振動。車と言う楽器から溢れ出す音楽、エキゾーストノートが幾重にも重なりあう大合奏の中、それは姿を現した。
「どうやらフランがやられたようだな……」
 アメ車のボンネットに深く腰を掛けた千尋だ。赤の軍将校の服を更に派手にした衣装に真っ赤な陣羽織を纏って歴戦の強者の如き威風を醸している。尚、アメ車は赤の軍の突貫工事によるハリボテで、重なり合うエキゾーストノートはハリボテの後ろで音響係が再現していた。
 赤の兵士が押すアメ車から勿体つけるようにゆっくりと降りた千尋はフランを抱き上げる。
「千尋さん……あとは……任せたよ……」
「強く生きたな……フラン……」
 獣の唸りの様なエキゾーストノートは消えて友との別れを盛り上げるように荘厳な音楽が流れだす。千尋は一際強く戦友の体を抱いてから、そっと地面に横たえる。そして振り切る様に静かに立ち上がり。
 転調。
「待たせたなァ諸君!」
 青の軍に向かって振り返る千尋に合わせて、赤の兵士達が力強い足踏みでリズムを取る。荘厳だったはずの音楽は軽妙なロックへと変調し、青の軍の耳朶を軍団一体の圧力で叩く。
「コンクリートの密林に鉄馬が駆ける世界より! 『悠久の』伊達千尋、見ッ! 参ッッ!!」
 その迫力に負けないくらいに声を張り上げ、千尋は大見得を切り――音楽が止まる。
「ぶっ殺されてぇのかテメーら……」
 突如訪れた沈黙の中、確固たる意志を持って放たれた言葉は良く響いた。

「くっ、増援か……だけど、負けるわけにはいかない!」
 再びアクセルが剣を構え、天に突き出す。大音量で流れる赤の軍のロックに混ざりアクセルのテーマであるアップテンポの曲が奏でられ始める。再び一騎打ちが始まり、泥沼の様相を示した時、天からひらりと少女が舞い降りた。
 アクセルと千尋の戦いを描いていた音楽は小さく遠くなり、悲劇的なか細い音の音楽が両軍から流れ始める。
「ああ、お待ち下さい両の雄! 何故、争わねばならぬのでしょう?」
 ノリアである。
 悲しみに顔を曇らせ、小さな両の手をそれぞれ赤と青の軍団に差し伸ばす。
「知れたこと! 青の土地を手に入れ、飢える故国の子を救うために!」
 赤の軍から声が上がる。
「存じております、わが父の国。わが子が飢えぬよう救いたい…その願い、どれほど強いことでしょう?」
 青の軍からもまた反論するように鋭い声が飛ぶ。
「我らの土地は我らの物! 子を守り高祖の愛を伝える城壁を奪われる訳にはいかない!」
「心得ています、わが母の国。わが子を戦から守りたい…その想い、いかなる固さなのでしょう?」
 赤と青の両軍の特徴を持つ衣装を纏うノリアはくるくると回りながらどちらの声にも同意を返していく。
「どちらに味方をするつもりだ!」
「蝙蝠め!」
「赤の」
「青の」
「衣装を纏い」
「お前は何方の意見を述べている!」
 両軍の歌声は罵声のように不揃いに絡み合い、両軍に挟まれるノリアに叩きつけられる。それを受けてんノリアは目を閉じ祈る様に手を組み告げる。
「わたしは、しがない田舎娘」
 そして目を見開き両の軍を、国を、抱きしめるように腕を伸ばした。
「ただ、どちらの愛の深さも知るだけの」
 悲劇的な音楽が途切れるように終わる。
 再びアクセルと千尋のテーマのせめぎ合いに切り替わり、ノリアは二人の間に倒れ伏す。それは青の軍も赤の軍も関係ない。ただその土地に生きる人の表現であった。

●終演
 全ての演目が終わり、再び草原に静けさが戻る。
 そこで両軍の代表によって告げられたのは、青の軍の勝利だった。
 アクセルの演技は声の張りや基本的な演技はハイレベルで纏まっており、そこが評価された形だ。
 一方、千尋の奇抜な演出もまた高く評価された。特に千尋が持ち込んだロックは新しい音楽として国内外に広く周知されることになりそうだ。直前のフランの演技で大幅に減点されなければ勝っていたのは赤の軍だったかもしれない。
 ノリアの演目は何方の軍にも属さないものとして処理された。
 しかし、その演出を両軍が彩ったということは、きっと、おそらく、その思いは既にあり、ノリアの行動で芽吹いたのだろう。

成否

成功

状態異常

なし

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