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シナリオ詳細

<繋がれた首輪の唄>伯爵の優雅な鑑賞会

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●『鑑賞会』
 ああ、なんと美しい肢体をしているのだ――
 伯爵はティーカップに口づけしながら、絵画を鑑賞するかのように目を細めていた。
 眼前に並ぶは少女達のあられもないすがた。
 傷一つ存在しない身体には――重苦しく鈍い首輪が携えられていた。

 この秘め事は外に漏れることは無い。
 あの清廉潔白な伯爵様がこのような事に手を染めているだなんて――
 この屋敷に住まう者達は『共犯者』。
 真実は屋敷の中で閉ざされたまま――少女達は自由という羽根をもがれて行く。

●青少年が売られゆく世界
「……いやあ、お前らは大きい方が好みか?それとも――」
 境界案内人の白髪赤目の褐色の男は其処まで言いかけて、
 聞かなかったことにしてくれ、という顔をした。……どうやらそれは今回の本と無関係ではないようで。

「今回の世界はだな――どうも好事家によって様々な青少年が売り捌かれるという
 本当に人権が怪しい部類の世界だ……まぁ、眉を顰めるしかないんだがなぁ」
 普段は人を食ったような態度ばかり取る彼が此処までの顔をするのには理由が有るのだろう。
 イレギュラー達が話の続きを促すと――溜息を吐いた境界案内人は観念したように本題を話した。

「今回はな、とある屋敷に潜入して貰いたいのさ。そこでは今、屋敷の主が少女達を『鑑賞』している」
 レイシー伯爵と呼ばれるその屋敷の主は所謂『買う側』で。
 このままでは少女達は自由を奪われたままに一生を終えていくのだ、という。
「最終的な方法は問わねぇ、今回は『売られた』少女達を解放してやって欲しいのさ」

 境界案内人は潜入方法を複数提示する。
 1つ、屋敷のメイドや小間使いとして事前に潜入し、『鑑賞会』で事を起こす。
 2つ、屋敷の情報を得て、不法侵入、あるいは正当な『来客』として紛れ込む。
 3つ目は……
「『少女達』に紛れて『買われる』って方法だ、ただこれがある意味一番難しいし――」
 そう言いながらも、境界案内人はイレギュラー達、しかも胸部をちらと申し訳無さげに見遣り……
「……ああうん、そうだよ! その伯爵『貧乳』好きなんだよ!!
 羞恥心かなぐり捨てる事になっちまうが、もし選ぶなら覚悟しといてくれ……!」

 その後は『少女達』を救えればなんでも良いらしいが、
 その世界で後に少女達を『穏当』に暮らさせたいのであれば、何らかの対策は講じておくべきだろう。
「あと、念の為に伝えておくと、伯爵は表向きには清廉潔白な人物で通ってる。
 そこをどう処すべきかは――お前らに任せるぜ。必要なのは少女達の『幸福』だ」
 境界案内人はイレギュラー達に後ろめたさがあるのか、
 ……どうしてか送る時も真面目なままだったらしい。

NMコメント

 シリアスにも、ギャグにもなりますが、基本はシリアスの筈です。
 二度目まして。逢坂灰斗です。
 青少年達が『売られる』世界へ、ようこそ。

●今回の目的
(※サブは達成しなくても構いません。達成状況によって結末が分岐します)
 重要:売られた少女達を屋敷から救出する
 サブA:レイシー伯爵を生存させたまま脱出する(【不殺】でも可)
 サブB:レイシー伯爵を殺害する
 サブC:屋敷に●●する
 サブD:レイシー伯爵の●●を市井に暴露する

・レイシー伯爵
 辺境に屋敷を構える、その街に置いては高名な伯爵。
 市井の中でも奴隷売買に手を出したという逸話も聞こえず、
 清廉潔白な貴族として慕う人間も非常に多いです。
 実態は『購入』した少女を愛でる茶会を開く、後ろ暗い人間です。
 (仮に)戦闘する場合は、あっさりと殺害できてしまいます。

・少女達
 レイシー伯爵に購入された少女達。全員『慎ましい』です。
 人数は3人程。食には不自由はしていませんが、自由はありません。
 『鑑賞会』以外では屋敷の地下に存在する地下牢で、それぞれ個別の部屋に幽閉されています。

・屋敷の使用人たち
 全員がレイシー伯爵の『共犯者』です。
 戦闘が発生した場合、高反応、それなりに高めのEXAで
 軽やかな物理【連】主体の戦闘を繰り広げますが、
 適切な対処を行えばイレギュラーズには問題ない相手でしょう。

 それでは、お目に止まりましたら、宜しくお願いします。

  • <繋がれた首輪の唄>伯爵の優雅な鑑賞会完了
  • NM名逢坂灰斗
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2019年12月02日 22時40分
  • 参加人数4/4人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

ノリア・ソーリア(p3p000062)
半透明の人魚
美音部 絵里(p3p004291)
たーのしー
スー・リソライト(p3p006924)
猫のワルツ
回言 世界(p3p007315)
狂言回し

リプレイ

 ――とある娘は唄う。
 首輪の鎖は世界に繋がる。
 首輪を手繰るものならば、その責を負わねばならぬ。
 負えぬのならば、囚われるのは――

●『首輪』は見えず
「――レイシー様がそのような方ですって? 私には信じがたいのだけれど」
「あくまで、『噂』だけれどね……俺も俄に信じがたいよ」
 辺境の街にやって来た『付与の魔術師』回言 世界(p3p007315) は、
 見知らぬ街でも、人々の信を瞬く間に集め――すっかり街に溶け込んでいた。
 その中でばら撒くのは、館で動き続ける『仲間』達の為の布石。

 世界がこの街を見聞していても、レイシー伯爵に関して伝わる評は善人と言って差し支えない。
(だからこそ、この街自体も悪い噂を聞かない。街の人々がとても良いだけに……な)
 表情に出すことは無いが、彼の内心は苦虫を噛み潰すようで。
「もし、その噂が本当なら――その『娘』さん達は私が預かるわ」
 語る婦人曰く、この街でこのような事実があったのならば、真っ先に『保護される』べきだろう……。
 とも、語っていた。その様子に、彼も『外』の布石は十全であると安堵する。

(後は――向こうから、俺を引っ掛けてくれるのを待つだけ、かな)
 屋敷の深奥は、『外』に座す世界には見ることが出来なかった。だからこそ――仲間達を信じて。

●『首輪』は捕える
 馬車は揺れる。この馬車は何処へ征くのだろうと3人の少女は不安を抱えたまま、
 その裸体をボロ布に包んだまま。寄り添うように震えていた。
「皆様――きっと大丈夫ですの、わたし達がお助けしますの」
 『少女』達に声を掛けるのは、
 予め売り物になる為に変化をした彼女は、今は儚げな印象のある少女、としか言えない。
 『少女』達もその言葉に大丈夫なのかと不安がるが――

 その不安を察するように、『猫のワルツ』スー・リソライト(p3p006924)も彼女達に声を掛ける。
「大丈夫、大丈夫……『めだましょーひん』が売り込む時は、相手に大目玉見せてあげる時だから」
 市場にて買い手たる存在に煽情的な踊りを見せていた彼女は、
 明らかにそういう意図を以て『買われた』のだと、 『少女』達に自分達の目的を告げる。
「だから――今は大人しくしているけれど、あなた達を助けて、『買った』人が『どれだけ悪いか』暴露してあげる」

「ですから――お約束、して欲しいんですの。わたしにも待っている人が居ますし、
 『帰りたい』『逃げ出したい』のは皆一緒だと思うんですの」
 ノリアは告げる――まるで、自分が幽霊のような姿になっても、何も騒がずに『大人しく』してて欲しい、と。
「そうすれば、皆助かりますの。きっと無事に助け出して、見せますの」

 その言葉が少女達の心に、光として差し込む。
 揺れる馬車は宵闇を往く。そしてその馬車が辿り着いたのは――レイシー伯爵の屋敷の裏手。
 街の人々ならば、まず目に付けることすらない、後ろ暗さの象徴であった。

●『首輪』は連なる
 かつり、かつりと石畳の音は響く。
「――伯爵様がまさかこのようなご趣味を」
 そう呟いた『たーのしー』美音部 絵里(p3p004291) は、先達たるメイド長に制されながらも、
 牢屋のある地下まで先導されてきていた。『教えること』がある、と言われて。

(わざわざ新入りにまで『教える』というのは逃がすつもりは無い、ってことですか……)
 脱出経路は予め確認しておいた。だが、これは全てバレていないと確信できる。
 つまり、これは単純にその事を知らぬ上での『脅迫』なのだ。
 伯爵を知らずにこの屋敷に至り――共犯者という『首輪』を括り付けられた者も多そうだ。

 鉄格子の向こうには見知った顔が見えるが、『面識は無い』という風体を装う。
 バレてしまえば動きづらいのは此方だから――今はあえて口元だけで告げる。
 ……『また後で』と。

 夜の庭、一端のメイドの身分である絵里にも残された猶予を使って、
 密やかな交流が行われていた。
 まさか『商品』の一部と新入りがグルなどと誰も思うまい。
「……『お茶会』は明日なのです。皆にもそう伝えて欲しいのです」
 ――全ての布石が、此処に結集していく。

●『首輪』は外れる
「ふむ、今回も素晴らしい『商品』を取り揃えたようだな」
 伯爵は平時と変わらぬままの表情で、胸の慎ましやかな少女達を、
 芸術品であるかのようにくすりと笑みながら……『鑑賞』し続けている。

 恭しくお辞儀をする使用人達と対象的に、招かれた世界本人は冷静に俯瞰を続けていた。
(余りにも『慣れすぎている』。これは常習犯といっても過言じゃないな)
 仲間達を含む少女達は伯爵からも、自分からも距離を置かれ。
 抵抗などされぬように使用人達は護衛のように伯爵へ付き添っている。
(だけれど、これはこの世界での『危険』を想定しての話だ。俺達が介入すればどうなるか――)

 一人の少女――スーが、首元の『首輪』に手を掛ける。
「ああ、伯爵様に私の踊り――お見せしたいな。けれど、コレ邪魔だから外して貰えますか?」
 そのような我儘を乞う娘は初めてだと、伯爵も告げる。
 使用人の一人の手により、スーの首輪が外れた時――外から勢いよく戸は開け放たれた。

「――新入り!? 何をしているのです!」
「レイシー伯爵! あなたの悪事もここまでなのです!!」
 戸を蹴破るようにして現れた美音の姿は台車と共にあり。
 そこには彼女の『手荷物』として秘密裏に持ち込まれた――仲間達の武具の数々。
「『教えた』のに裏切るとは――あの『裏切り者』を捕らえなさい!!」
「……! これを使ってください!」
 流石に使用人達が殺到するが、『出口』を塞がれる前に突貫した彼女が踊り手に武具を投げ渡す。
 そうすれば――踊り手の『本当』の舞は始まるのだから。
「伯爵様、見せてあげる――他の子を見ている暇なんて、無いんだから」

 騒動の最中、マークの外れた世界は少女達の方へ向かう。
「健康状態にも問題なし――やっぱり美術品に傷を付けるつもりなんてなかったみたいだな」
「はい、皆様お洋服こそありませんが、食事には不自由しませんでしたの」
 おかげで彼女達の拘束を解きさえすれば、世界だけでも避難誘導に回る余裕も、
 ノリアが彼女達の護りに回らずに仲間の盾となる余裕も出来る。
「――隙を付いたら一斉に出るぞ、皆、付いて来れるか」
 招待客のその言葉に、3人の少女はこくりと頷いた。

 激しくも緩急有る少女の艶舞は、手数の練度だけしかない使用人達を圧倒する。
 スーに危害を加えようならば、ノリアの護りは使用人の手の『疾さ』の分だけ、致命となり得る。
 形勢はほぼ決したようなものであった。
「これまで、ですね。 ……覚悟!」
 伯爵に振り下ろされようとしていた美音の刃が、その身体に突き刺さる――事はなく。

 伯爵が命の危機を悟った瞬間に、『商品』と『裏切り者』と『招待客』は――
 全員綺麗に逃げ果せていたのだから。

●『首輪』は戒める
 結論として、この辺境の地の盟主が堕落していたという事実は密やかに囁かれる。
 状況上伯爵が死に至ることは無かったが――
 平穏を得た少女達の告発により、権威は死に、『共犯者』達も全て『首輪』に繋がれたと言う。

 ――とある娘は唄う。
 首輪の鎖は世界に繋がる。
 首輪を手繰るものならば、その責を負わねばならぬ。
 負えぬのならば、囚われるのは――

 ……この『首輪』の世界は、まだ一端を見せたばかりだ。

成否

成功

状態異常

なし

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