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シナリオ詳細

思春期乙女と恋心

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 別に寂しい訳じゃないけど、こっちを見てないのはなんかやだ。
 頭を撫でてくれるだけで満足してたんだけど、慣れちゃったからもっとしてほしいだけ。
 甘えていい?って言うの、私だけにしてくれないんだよね。他の人にも言ってるとか、有り得ないし。
 いやいやいや、何言ってるの。これは恋とかそんなんじゃない。
 多分構って欲しいだけなんだって。
 ……は?顔が赤い?くだらない嘘つくのやめてくれる?


「今回はこの少女に、恋心を自覚させてあげてほしいんだ」
 黒髪の少女の写真を此方に向ければ、カストルは困ったように頭を抱えた。
 その手の中にある本の背表紙には『天邪鬼な恋心』と書かれている。
「この少女、実はとんでもない鈍感なんだよね。それこそ、自分の恋心にも気づかないくらいに」
 恋心に気がつかない?君達は首を傾げるだろう。
 カストルは本と写真を君達に差し出し、だからさ、と切り出した。
「恋を教えてあげてよ。このツンツンな女の子にね」
 写真の中の少女の表情が、何故かそっぽを向いた気がした。

NMコメント

ご閲覧いただきありがとうございます。染です。
今回は素直になれない少女に、恋心を自覚させてあげてください。

●プレイング書式
 一行目にポジションを明記してください。
 デフォルトは友人ですが、先生や先輩後輩でも構いません。
 詳しくは ●その他 にて。

●依頼内容
 少女に恋心を自覚させる。
 本人は恋とわかっていないので、出来るだけナチュラルに。

●手段
 少女の心を傷つけるようなことでなければ、どんな手を使っても構いません。
 例えば、自身の恋愛経験を伝えてみたり、少女の話を聞いてみたり、嫉妬を煽ってみたり。片想いの相手を呼ぶのもできなくはないですが、少女は相手の個人情報に関しては口を割りませんので相当困難です。

●世界観
 現代日本を舞台にした『天邪鬼な恋心』という恋愛小説の中。
 主人公である少女が通う望月学園で、少女が日に日に【無自覚に】想いを募らせていくのが見所。

●少女のプロフィール
 成瀬 結衣(なるせ ゆい)。
 望月学園高等部ニ年。弓道部。思ってることを素直に口に出せないため、クールで無愛想な印象を持たれがち。
 綺麗な黒髪と荒い口調、あまり笑わないことからついたあだ名は『氷人形』。本人は知らない。
 片想いの相手のことをアイツと呼び名前をばらさないように必死。相手が絡むとすぐに顔に出る。

●その他
 場所は放課後の教室です。
 皆さんと結衣は【友人】という関係です。ですが、年齢や外見などを考慮して関係を【先生】や【先輩】【後輩】にして頂いても構いません。遠慮なく話しかけてください。
 皆さん次第で結衣は告白するために教室を飛び出るかもしれません。

 なお、片想いの相手が歳上だということだけは判明しています。


●サンプルプレイング
【友人】
 ねぇねぇ、最近読んだ小説がすごいの!
「彼のことを考えるだけで感情がぐらぐらして、わけわかんなくなる」
 って。これほんと、共感しちゃうよね!私もあったんだ。
 結衣にもそんなときあったりした?

【先生】
 成瀬、お前最近様子変じゃねーか?
 いやほら、俺の授業のときにクリスマスとかバレンタインとかのワードが出てただろ?そのとき、結構反応したりしてさ。
 もしかして何かやりたいことでもあんのか?

以上となります。
では、ご参加をお待ちしております。

  • 思春期乙女と恋心完了
  • NM名
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2019年11月17日 22時25分
  • 参加人数4/4人
  • 相談4日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

ドラマ・ゲツク(p3p000172)
蒼剣の弟子
リア・クォーツ(p3p004937)
願いの先
エルス・ティーネ(p3p007325)
祝福(グリュック)
シュリセル=ブラッド=カーマイン(p3p007784)
自信と強さを求める者

リプレイ

●How to be honest.
 結衣はこの日もため息をついていた。
 不満げなその表情は『アイツ』のせいだ、と、言うまでもなく語っている。
 胸を疼かせるこの痛みも。他の人と話さないでと思うこの醜い気持ちも。
 結衣の元をまず訪れたのは、『自信と強さを求める者』シュリセル=ブラッド=カーマイン(p3p007784) だった。
「先輩、悩み事なら私を頼ってください」
 シュリセルは教室の中へと入ると結衣の席の前へ座り、ね?と促すように首を傾げた。
「じゃあ、頼らせてもらおうかな。……これは私の友達の話なんだけどさ」
 と、一点だけ嘘を混じえて話し始めた。
「その子はさ、なんて言うんだろう……特定の人物を見ると、つい憎まれ口を叩いたり、他の人と話さないで欲しい、とか色々思っちゃうらしくてさ」
 頬杖をつきながら“友達”の話をする結衣。シュリセルは思わず口角が上がっていく感覚を覚えた。
「わかる、とても気持ちがわかる……!」
「わ、私じゃないってば!!」
「はい、他の人の話でしたねわかってます先輩じゃないですよね」
 でも、と話を続けるシュリセルの眼差しは、とても優しいものだった。
「経験的に少し前の私を見ている感じで……素直に言葉に出せないから構って欲しいから憎まれ口が出ちゃうみたいな」
「素直に、言葉に出せない」
「そうです。おまけに相手が年上で片思い……私かな?って。共感しちゃうことばっかですね」
「か、かたおもい……そのとき、シュリセルはどうしたの?」
 少し頬を染めながら結衣は問いかけた。
「うーん、距離感的には近いというか私としてはもっと私を見なさいよ!構いなさいよ!むしろ私だけ構えってなるのよね……」
 むむむ、と深く考え込むシュリセル。そして、その赤い瞳をぱっと開くと、まるで歌うように告げた。
「センパ……じゃなかった、そのご友人に、こう伝えてください。それを私じゃない違う仲が良さそうにしてる別の女に置き換えてください。
アイツの隣にいるのが何で私じゃないの?とか真っ先に頭に浮かんで来ちゃったら、それはきっと恋です」
 だって、私がそうだったから。シュリセルは心の中で呟いた。
 シュリセルにも想い人がいた。好きになる男が『他の女に想いを寄せられない訳がない』と、恋を自覚してからはただ真っ直ぐにアプローチした記憶が蘇る。
 懐かしむように笑みを浮かべて、シュリセルは立ち上がった。
「いけない、日直の仕事があったんだ。失礼しますね」
 教室から一歩外へ出たシュリセルは、くるりと振り返ると結衣の心の核心をついた。
「好きになったんなら、後はアイツが無視できない様な女になるだけじゃない?……先輩の話の人、先に取られないといいですね」
 意地悪に微笑むと、シュリセルは振り返ることなく結衣の教室を後にした。
 次に結衣の元を訪れたのは『氷結』Erstine・Winstein(p3p007325) だった。
「結衣さん、なんだかお困りのように見えるけれど……私で良ければお話、聞くわよ?」
「え、Erstine先輩まで!?……それなら、お願いします」
 Erstineを今日へと招くと、結衣は語りだした。
「最近その、幼なじみを思い出すと、胸が痛くなるんですよ。確かにアイツは優しいしそれだけで幸せなんです、けど」
 悶々とした様子で呟きながら、結衣は話を続けた。
「シュリセル……後輩からは恋だって言われたんですけど、、き、キスしたいとか、そーいう欲求がある訳でもないんですよ……」
 するとどうだろう?Erstineはくすくすと笑いだしたのだ。
「あなたもそうなのね……いえ、こちらの話よ。話を聞いてると、余程素敵な人なのかしら?と思えるのだけれど……」
「ち、違いますよ!アイツは素敵とか、そんなんじゃ」
 とは言うものの、結衣の顔はみるみる赤くなっていく。
「違うの?……ふふ、可愛らしい方ね?自分の気持ちを認めてあげるのも……大事な事よ?私、思うのだけれど」
 少し悩むような素振りを見せたErstineは結衣に告げた。
「そんなに素敵な方ならば、気持ちを誤魔化してばかりいると誰かに取られてしまわないかしら……」
「素敵とか思ってないんですってば!!」
「そんなにムキになっているのが、素敵だと思っている証明じゃないかしら?」
 Erstineはくす、と笑うと、結衣を励ますように立ち上がり手を差し出した。
「まずはあなたの思ってる事を伝えてみたらどうかしら?」
 結衣がその手を取ると、Erstineは結衣の背中に周りそのまま扉まで向かった。
「大丈夫。結衣さんならきっとできるわ。自分の心に素直になって」
 とん、と背中を押すと、結衣は不安げにErstineの瞳を伺った。
「……っ、私」
「結衣さん、大丈夫。……いってらっしゃい」
 Erstineが頷くと、結衣は駆け出した。
 その背に手を振って見送ると、今度はErstineがため息をついた。結衣の進む廊下とは真逆の方向を歩く。
「もっと素直に、か…我ながら刺さる言葉だわ。素直になったらあの方に近づけるのかしら……。それでも…怖くて勇気が出ない私は…きっと意気地無しね」
 悲しげな笑みを浮かべるErstineの頭の中を彩るのは、燃えるような赤だ。
「素直になるだけでいい……けれど、実際になってみてわかるわ。人の情に触れる怖さを…」
 びゅう、と風が通り過ぎた。向かい風だ。それはまるで、Erstineがこれから対峙する壁を示すかのようだった。

●Just looking at me
 駆け出したはいいものの、『アイツ』のいる場所に心当たりなどあるはずもなく。仕方なく結衣は、上級生の校舎を彷徨いていた。
 偶然にも結衣はまた少女と出会った。『蒼剣の弟子』ドラマ・ゲツク(p3p000172) だ。
「ドラマ先輩。こんにちは」
「こんにちは、結衣さん。表情が暗いですね、甘いものでも食べていきませんか?」
 手招きすれば、結衣はその教室に立ち寄り、ドラマの席の前へと座った。はい、あーんと結衣の口の中へチョコレートを放り込む。
 そして、ドラマは笑顔で告げた。それは先輩としての優しさかもしれない。
「私からのアドバイスです」
 ふと顔をあげれば、ドラマはどこか自信ありげに続けた。
「勇気を出さなければ……誰にでも優しい人であるのなら、誰かと一緒になってしまうかもしれない。それは嫌でしょう?」
 初めはただ声を掛けてくれるだけでも、構ってくれるだけでも良い。
 ただ、それだけで良かったのだ。けれど、もっと、もっと構って欲しい。そう思う気持ちに際限がつかなくなってゆく。
「ふと彼を見掛けると嬉しくなったり、何をしているのかなと目で追ってしまったりして……他の人にもなんて有り得ない!自分だけを見て欲しいってなって……」
 窓の外へと目を向けるドラマ。空の青によく似た、あの名高い蒼を思い出す。
「このままでいると誰かに取られてしまうかもしれない。一緒に居られなくなるかもしれない。……後悔は、したくないですよね、お互いに」
 だから、と結衣に棒状のチョコレート菓子でびしっと指し示した。
「考えたくなくても自分の気持ちについて、しっかり考えて、はっきりさせるべきなのです」
「この気持ちを、認めたら。……私はもう」
「手遅れになる前に。私は一歩、踏み出すつもりで居ます」
 結衣の言葉を制し、ドラマは告げた。普段ならそうはしないだろうが、ドラマは真剣だ。
「ならば、結衣さんはどうでしょうか?」
 結衣は立ち上がった。その顔は真っ赤だった。
「それが、答えです」
 下から結衣の表情を見て微笑むドラマは、頷いて告げた。
「結衣さん。頑張ってください」
 その言葉に頷いて、結衣はまた走り出した。

●The answer of feeling.
「結衣、遅い!」
「り、リア、ごめん……」
 不満げに仁王立ちしているのは『旋律を知る者』リア・クォーツ(p3p004937) だ。オケ部は今日は休みだ。
「まーた変なのに絡まれてるのかと思って心配したわ」
 結衣をよく思わない女子から絡まれているのを助けて以来、リアと結衣は仲の良い友人となったのだ。
「あはは……心配させてごめんね」
 あの日以来、リアと結衣は一緒に帰るようにしていた。
 勿論、絡まれないようにというのもあるが、互いに仲良くなりたかったのもあるだろう。
「別にいいんだけどさ……そういえば」
 ふと思い出したように呟くリア。結衣はと隣を見ると、直球が飛んできた。
「ねぇ、結衣。貴女、だれか好きな人できたでしょ」
「えっ、はっ、えぇぇ!!!??」
 びくっと肩を揺らして、次に違うよ、と結衣は付け足すもののもう遅い。
「はっ、あたしが適当な嘘ついてると思う?……だから、貴女を見れば分かる。貴女の言葉から、顔から、身振り手振りから」
 隣を歩く結衣は赤い顔を隠すように俯いている。
「貴女って普段表情変わんないでしょ。だけど、貴女のいう『アイツ』の話をしている時の貴女は色んな顔してんのよ」
「えっ、う、嘘……!?」
「ホントだってば。ほら、この鏡、見てみなさい?」
 おずおずと結衣が鏡を覗けば、真っ赤な顔をした自分が写る。
「この真っ赤なお顔のかわいこちゃんは誰でしょう?」
「リア!!」
「あはは、ごめんごめん。じゃああたしはこっちの道だから、ここでお別れね」
 リアは立ち止まった。ここからは、別々の道を歩まなければならない。
「そっか……じゃあ、また明日」
「また明日」
 リアは手を振ってその背を見送った。
 そして、その背に語りかけるように声をかけた。
「さようなら、結衣。例え離れていても、あたしは貴女を応援するわ。
あたしも頑張る……だから、貴女も頑張りなさいよ!」

●少女の日記
 今日は皆が私に恋を理解させてくれた。
 もうすぐ文化祭がある。だから、その時に告白しようと思う。
 アイツは、なんというだろうか――。

成否

成功

状態異常

なし

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