シナリオ詳細
祈りの星導
オープニング
●
──嗚呼、星が見えるわ、お母様、お父様! この目が世界を、うつしているわ!
良かった! ええ、本当に良かった……。
おお、空の星々よ! 娘にひかりを与えてくださって、ありがとうございます!
●
此処は夜の世界『真夜中の星導』。
永久に広がる星空は曇ることなく、その名の通り、星明かりが人々の導だ。
毎夜の如く落ち、鮮やかに、淡く光る星の欠片は、この世界ならではだといえるだろう。
今宵開かれるは“星の宴”。この世界に住まう人々は、この日の流れ星に強く願うのだ。
我が子のしあわせを。
友人のしあわせを。
愛しい恋人のしあわせを。
願い事の最後には、同じ言葉で締めくくるのだ。
「かなえませ、ゆめみませ。ってね」
カストルは歌うようにそのおまじないを告げた。
ひかり輝く、星導。今宵は誰もが空に祈る。
貴方がもし、なにかを願うのならば。誰かと共に、星に願いをのせませんか?
- 祈りの星導完了
- NM名染
- 種別ライブノベル
- 難易度-
- 冒険終了日時2019年11月17日 22時25分
- 参加人数4/4人
- 相談6日
- 参加費100RC
参加者 : 4 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(4人)
リプレイ
●煌めく星の祝福を
今日は星の宴。年に一度の特別な日。
『付与の魔術師』回言 世界(p3p007315) は、祭りの中をぶらぶらと歩いていた。
(願い事……願い事ね。昔からそういうのってどうも苦手なんだよな。
どんなに願って祈っても、結局世の中はなるようにしかならない。そうした無意味さを知ってるからな…。)
そう思う世界の胸中は複雑なもので。
祈っても叶わないのならば、無駄なのではないか?
願っても届かないのならば、傷つくだけなのではないか?
そんなことばかりが浮かんでは消えてゆく。
「まあ、それはあくまで俺の考え…他の奴等の水を差すようなことはせず、きっちり祭りを楽しむさ」
と、呟いた世界の表情はどこか晴々としていた。今宵の祭りの熱気が彼をそうさせているのかもしれない。
星の宴。星々のちからが1番高まるこの日に、人々は願いをのせるのだ。
世界は人混みを掻きわけ出店を回る。
普段から甘いものを持ち歩く彼の事だ、きっと甘いものを売っている屋台を探しているのかもしれない。
「カチューシャつけてるそこの兄ちゃん!うちのスターワッフルはどうだい!」
「むっ、それは星の欠片を模した菓子か?一個いただこう」
屋台ということもありお手頃な値段で手に入れることのできたそのワッフル。
星型に切り抜かれ、上からはちみつと星屑をかけたであろうそれからは甘い匂いが漂って。
「それじゃあいただきます、っと……。ん、うまいな!」
「だろう、うちのワッフルは毎年人気だからな!」
「よし気に入った、もっとたくさん買わせてくれ!」
「お、毎度あり!」
片手にワッフルの入った袋を持ち、店を立ち去ろうとした世界を、店主が呼び止める。
「おう、兄ちゃん。これ持ってけよ」
ぽい、と投げられたその小瓶の中には光る星の欠片が。
「これは……?」
「なんだ、知らねぇのか?お守りだよ、お守り。兄ちゃん腕に袋持ってんだ、歩く時とか大変だろ?」
豪快に笑いかけた店主だったが、本心は別にあるようだ。
「……まぁおまけだ。来てくれてあんがとよ」
白い歯を見せて笑った店主は、背を向けつつ手を振ると、店先へ戻って行った。
世界もまた、小瓶をポケットに入れて夜の世界を歩いた。
祭りから少し離れれば、喧騒とは程遠い風の音だけが響く草原へと辿り着いた。
「あぁ、願い事を忘れていたな……」
けれど頭の中に浮かぶのはお金が欲しいだとか、案外単純なことばかりで。
だから、ふと思いついた願い事は、世界なりにこの世界に興味をもてたからかもしれない。
世界は息を吸うと、笑みを浮かべて願いを告げた。
「この世界が変わらず美しくあり続けられるように」
流れ星に本当に強力な力があるのなら、こんなちっぽけな願いの一つでも叶えてもらおう、と。
ちっぽけな願いとは言うものの、混沌から来た彼がそう思えるほどの魅力を感じてくれたことが、星々は嬉しかったのだろう。
世界が目を向けた先の星が色を変えた。
「かなえませ、ゆめみませ」
世界が瞼を閉じれば、その星は聞き届けた、とでも言わんばかりに弾けて流れ星となった。
――やさしいあなたに、きらめくほしの祝福を!
●祈る青、願う青
ゼファー(p3p007625) は祭りの中から空を見上げた。
見渡す限り、一面に広がる夜の世界。
(見上げる空に煌めくのは、幾つもの星々、その何れもが、遥か彼方…想像も付かないぐらい、遠くにあるものなのだと教わった記憶がある)
星の光を受けて煌めく銀の髪をなぞるように、ゼファーは後ろにいる少女の方へ振り返る。
「此の世界に宿された地上の輝き、その一つ一つがあの星々と同じものだそうだわ。中々にどうして、ロマンチックな世界があったものね。……貴女もそう思わない?」
少女――『氷結』Erstine・Winstein(p3p007325) は、微笑むと言葉を返した。
「なかなかに息を飲むような綺麗な世界ね…見とれてしまってたわ」
同じように空の星を見上げる。
闇夜を照らす星灯は、どこか優しげな光で2人を包み込む。
「此の世界の在り方はどうあれ、折角の宴、お祭だと云うのなら楽しまない手は無いでしょう?」
笑みを浮かべたゼファー。その表情はどこか得意気だ。
「ええ、沢山楽しんでいきましょ!」
頷くと、ゼファーとErstineは進んでいった。
出店へと足を進めると、そこはお菓子を売っている屋台の一角だった。
「スタークッキーとか、スターマフィンとか、色々売っているわね」
「どれもこれも、星にちなんだものばかりなのねぇ。なんだか可愛いのばっかりで目移りしてしまうわ?」
くすくす、ふふふ。
二人の間に流れる優しい空気。
お茶に合うお菓子を探す、ということもあって、二人はお茶の話を混じえながらお菓子を眺めていく。
「どれも合いそうだから迷ってしまうわね……うーん」
「ふふ、確かにどれも合いそう
それなら、いっそのことみんな買って行ってみちゃいましょうか?」
「え?全部?…その手もあるかしら…ふふ、なんてね?
でも色々種類はあったら楽しいかしらね…!」
二人はお菓子を手に取ってみたり、味見してみたり。
そうこうしているうちに二種類のお菓子を購入して、祭りを外れる二人。
「この世界の茶葉も星にちなんでいるのかしら?」
「そうかもしれないわ?きっとキラキラしていると思うわ!」
談笑しながらたどり着いたのは、祭りの陰に隠れるようにあったベンチの近く。
隣同士に腰掛けて、空の星を眺める。
煌めく星々と、遠くから聞こえる人々の声。
二人はそれぞれに願いごとを心の中に思い浮かべていた。
星に願いを、とはよくいうものだが。二人の心に浮かぶ願いの色は異なるものだった。
(落ちて行く星の瞬きは刹那の様に。あれに願いを掛ければ叶う、だなんて無責任を最初に言い出したのは誰なのやら)
ゼファーは空を見て想う。そのひと願いは叶ったのだろうか。
自分の思考に少しばかり寂しさを覚えながら、ゼファーは隣に座るErstineを見つめる。
(自分に自信を持てるように。穏やかな時間に逃げがちの私の背中を押して欲しい。
この苦しげな気持ちに目を逸らさなくてもいい程の、ちゃんとした自信が持てるように……。
それには少しでも強くならなくちゃいけないけれど……。)
Erstineはその瞳に確かな願いの色を湛えて星を見つめていた。
(其の願いが如何な物であるのかを、私は知らない。
だけれど、其れが叶うことを願うぐらいは赦されるでしょう)
ねがいませ、かなえませ。
空の星々よ。どうか愛らしい彼女の願いを叶えたまえ。
「…ああ、ごめんなさい。少しぼーっとしてしまって。ゼファーさんはどんな願いを…いえ、こういう事を聞くのは無粋よね」
願いは自分達の胸の中に秘めていましょ。ちゃんと叶うようにね!と、どこか慌てた様子で呟く
「そうね。大事な願いは大切に大切に、胸の内に秘めておくべきものだわ?
でも、貴女のその願いが叶う様に。…私ひっそりと応援してるね?」
Erstineの青とゼファーの青が絡み合う。
互いに照れくさくなったのか数秒後には目をそらしてしまったけれど。
「…え?ぁ、ええ、ええ。ありがと…
まぁもっと素直になれたなら簡単だったのでしょうけれどねっ。
…でも大事な…とても大事な願いだわ…な、なんて!」
少し赤く染まった頬を隠すように空を眺めたErstine。
(ゼファーさんの願いはなんだったのかしら…
気になるけれど…でも聞かないと言ったもの
…せめて叶うようにと願いを込めて)
ねがいませ、かないませ。
どうか空の星々よ。優しい彼女の願いを叶えたまえ。
(私の願いなんて、なんてことはない。
ただ、こんな楽しくて微笑ましい時が、また時々訪れます様に)
祈る少女と願う少女。
「こんなに素敵なものに巡り会えて…
ふふ、お茶会をするのが今から楽しみね…!」
そう笑うErstineの笑顔に同意するようにゼファーも笑みを浮かべたのだった。
きらりと星が瞬いた。
瞬間、星が空を駆ける。青の軌跡を描いて一直線に落ちていく星々は、二人の願いを聞き届けたかのようだった。
――その想いに、さちがありますように!
●祈りをのせて
「おほしさま、きらきらです。……おほしさま、食べられるんです?
じゃあ、おひとついただきます」
『乳白の虹』戮(p3p007646)は屋台に売っていた金平糖を購入し、その口の中へと放り込んだ。
淡く発光しているその金平糖は、口の中でほろりと溶けてゆく。
(生命活動に“食べる”は不必要だけど、食べるっていう行為はすきです。
おいしいものを食べると、なんだか気持ちがぽかぽかします。)
と、少しばかり表情を綻ばせて。
店主もその表情に心を和ませて、ほっこりと様子を眺める。
ふと空を眺めた戮の目に写ったのは、空を駆ける流れ星。
「あっ、おほしさまが流れましたよ!あれにお願いごとをするんですか?」
「あぁそうだぜ。何か願ってみたらどうだ?」
近くの店の店主は頷くと、願うように促した。戮は小さく頷くと、両手を組んで祈りを捧げた。
(少しだけでもいいから、眠りにつく前の記憶を、思い出せたらいいなって思うんです。
おほしさま、どうか戮の願いをきいてください)
目が覚める前の記憶が、全然ないのだ、と。覚えているのは、秘宝種である戮を作ったのが神様であるということだけ。と、ホワイトオパールに似た瞳を揺らして不安げに。
だから、祈るのだ。祈ってしまうのだ。
ねがいませ、かなえませ。
戮がつぶやくと、柔らかく光る空の星が、優しく空を流れる。
――あなたの記憶が、少しでも戻りますように。
今宵、誰もが空に祈る。
ねがいませ、かないませ。
あなたの願いに、祝福がありますように。
成否
成功
状態異常
なし
NMコメント
はじめまして、染と申します。
初めてのシナリオです。どうぞお手柔らかに。
星空が好きなので夜に関する世界のお話をと思いました。
まったり系ですので、是非のんびりとお過ごしください。
●依頼内容
『真夜中の星導』の中の星の宴を楽しむ。
流れ星に願いをのせる。
また、
【1】出店をまわる
【2】出店を開く
のどちらかの記載を一行目に頂ければ幸いです。
パートナーがいらっしゃる方はIDの記載をお願い致します。
●成功条件
星の宴と呼ばれる祭を楽しみ、流れ星に願いをのせる。
願い事の大小は問いません。
明日晴れますように!でも、妹と遠くへ出かけられますように!でも。
どんな願い事も叶えてくれると言われていますが、その真偽は不明です。
ですが、この日の流れ星は強力なパワーがあるようですよ?
また、星の宴と呼ばれる祭りはこの世界では年に一度の大きな祭です。出店によったり、または出してみたり。のんびりぶらぶらしてみるといいでしょう。
●世界観
『真夜中の星導』と呼ばれる世界の中。
年に一度の星の宴の真っ最中です。
街並みも至って変わらず、大きく異なるのは「星を大切にしている」ということ。
例えば、街の証明は全て星を捕まえて灯したものですし、食べられる星もあるようです。
街中に星が溢れています。それこそ、導のように。
今回の星の宴でも、スターと名のつく屋台が多いでしょう。
●サンプルプレイング
【1】
ここの世界は「真夜中の星導」っていうんだね……!
そうだ、折角お祭りがやってるんだから寄っていってみようっと!
ふむふむ、スターマフィンっていう甘いお菓子があるんだ!
へぇ、これお星様の砂糖を使ってるの!?
きっとこれ、混沌じゃ食べられないよね!
よーっし、折角だから食べちゃおう!すみません、これいくらですか?
【2】
俺は出店王になる。
俺が出す出店は「スタータピオカミルクティー」だ!
スタータピオカっていう星型のタピオカを見つけたんだ。
普通にもちもちしてて美味いんだぜ。
混沌でも人気なんだ、きっと人気だって出るはずだ!
おっ、そこの嬢ちゃん、このスタータピオカミルクティーはどうだ?
きっと絶対気にいると思うぜ!
では、ご参加お待ちしております。
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