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シナリオ詳細

<物語の娘>小さな牡蠣たちはRを知らない

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●オットセイの歌
 Rがきたよ。みんなまってたRがきたよ。
 子供たちはきらきら金色のお洋服に衣替え。じゅうじゅうじゅうじゅうフライの準備。
 アリスは白と黒、どちらがお好み? レモンを絞るだけでもおいしいね。
 もしもアリスが猫舌ならば、ビネガーとコショウをかけるだけでもおいしいよ。
 小粒なのはご愛敬。みぃんな若い赤ちゃん牡蠣さ。
 岩のベッドで眠り飽き、アリスと遊ぼうと歩いてきたよ。
 お船とキャベツと王様のお歌、みんなで楽しく白波をぴょんぴょん跳びはね急いできたよ。
 わいわいきゃいきゃい、どうして豚には羽がない? 牡蠣に足がないとの同じ野暮なお話!
 ほらほら、バターも焼けてきた。冷めないうちに楽しくおあがり。
 お代わりしたっていいんだよ。なにしろ歌えば赤ちゃんたちは皿の上!
 Rがきたよ、Rがきたよ。
 Rをしらない子供が来るよ。

●オイスターパーティー!
「Rの付く月は牡蠣を食べていい月だって知ってる?」
 イレギュラーズを集めた境界案内人は微笑んだ。
「夏牡蠣だってあるし、一概には言えないけどRが付く月は食べごろで中る事も少ないのですって。
 でも、Rにはいろんな意味があってね、Risk(危険)、Remember(忘れるな)、Regret(後悔)……。ふふふっ、今からいう事には関係ないけれどね」
 彼女が言うには、『黄金色の昼下がり』、通称ワンダーランドにてオイスターパーティーが開かれ、そこにアリスが招待されているらしい。
「本物のアリスは行方不明だから、結局セイウチと大工さんがお腹いっぱいになるだけで終わるらしいけれどたまには違う終わり方になってもいいんじゃないかしら?」

NMコメント

スーパーの半額になったカキフライを5分くらい悩んでからそっと売り場に戻した七志野言子です。
アリスと言えばやっぱり牡蠣ですよね。私は岩ガキを酢牡蠣にしたのが一等好きですが、冬に食べる山盛りになったカキフライもまた好きです。

●目的
 おいしい牡蠣料理を食べる

 セイウチと大工の二人組がせっせと色々な牡蠣料理を作っています。
 セイウチは饒舌ですが大工は寡黙。
 どれだけ食べても牡蠣がなくなることはありません。
 だって新しく生まれた牡蠣はRを知らないのですから。

●その他
 『黄金色の昼下がり』ではイレギュラーズは全員「アリス」と呼ばれます。

  • <物語の娘>小さな牡蠣たちはRを知らない完了
  • NM名七志野言子
  • 種別ライブノベル
  • 難易度-
  • 冒険終了日時2019年11月26日 22時50分
  • 参加人数4/4人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

カイト(p3p007128)
雨夜の映し身
アウローラ=エレットローネ(p3p007207)
電子の海の精霊
シュラ・シルバー(p3p007302)
魔眼破り
ウィズィ ニャ ラァム(p3p007371)
私の航海誌

リプレイ

●オイスターパーティ!
 Rを知らない牡蠣たちは、若いけれどでぶっちょ牡蠣さ
 岩のベッドでずっとお昼寝!ぷくぷくすやすや眠ってきたよ
 Rを知らない牡蠣だから、眠った顔にそのままキスしておあがりよ
 後悔(リグレット)なんてさせないよ。だってこいつらRをしらない!

 オットセイの軽妙な歌声をBGMにイレギュラーズの前に牡蠣料理が並べられていく。
 山盛りのカキフライ、放射状に並んだ生牡蠣の群れ、牡蠣グラタンはチーズの向こうにぷっくりとした牡蠣の身が透けている。
「ひゅーー!!」
 早速万歳して突撃していくのは 『虹を齧って歩こう』ウィズィ ニャ ラァム(p3p007371)だ。
「いや~私、牡蠣大っ好きなんですよねー! 良いんですかねこんな、食べるだけの依頼なんてー! 役得役得ぅ!」
 早速殻が向かれただけの状態の生牡蠣を掬い上げればつるりと一口で口の中へ。
「んん~~Milky☆」
 とろける笑顔はおいしいの証。
「牡蠣は数打ちゃ当たると申すけれど――」
  『雨夜の惨劇』カイト(p3p007128)はテーブルの上にある牡蠣料理の群れを見渡す。
「当たらねェって、超大事」
 生牡蠣は当たりやすいというが、カキフライなど火を通した牡蠣は食中毒の可能性がぐっと下がる。それを意識してかカイトはカキフライが山盛り置かれたテーブルへと向かっていく。
「牡蠣って美味しいのかな?
 アウローラちゃんは食べた事ないからすっごく気になるー!」
 『電子の海の精霊』アウローラ=エレットローネ(p3p007207) は牡蠣初体験だ。興味津々といった様子で一つ一つの料理を眺めている。
「そういえば私も、牡蠣って食べた事ないんですよねー」
 『魔眼破り』シュラ・シルバー(p3p007302) は海岸線での防衛隊に居たので潮の匂いには親しんでいるが機会に恵まれないまま今日という日を迎えてしまっている。
 テーブルの上に並んだ生ガキを一つ持ち上げて、白くてぷっくりと膨らんだ貝柱、裾に黒いラインの入ったフリルの様なエラ部分をじっと見つめる。
「ふむ……見た目はぷるぷる…匂いは結構しますね。では失礼して…頂きます」
 初めて食べる食材の見た目、匂い味、全てを胸に刻み込まんと真剣な面持ちでシュラは殻を傾けた。
 つるん、と抵抗なく滑り落ちた牡蠣は滑らかな舌触りでほんのり潮の香りがする。
 柔らかな袋のような形のそれを奥歯で噛み締めれば、途端に口の中に濃厚な味わいが爆発する。塩味、甘味、とろけるような柔らかい身の間から溢れ出す『牡蠣の味』としか形容しようのないクリーミーな旨味の奔流。
 海のミルクの異名は伊達ではない。シュラは目を見開きながら頷いた。

●カキフライマウンテン
 ほらほらみんなおでかけするよ。
 小麦粉ふかふか薄化粧、卵のクリーム塗ったかい?
 パン粉をはたけばべっぴんさん。金色の海に泳ぎに行こう。
 じゅうじゅうじゅうじゅう泳ぎ疲れた牡蠣の子は皿に寝そべり、いただきます!

 カキフライの山に取り掛かるカイトは早速一口。
 ザクッ!小気味よく香ばしい風味。そして追いかけるようにアツアツの牡蠣の汁があふれてくる。
「はふっ、はっふふふふ」
 口の中の熱気を逃がすように息をすれば鼻から潮の香りとどっしりとした牡蠣の香りが通りぬけていく。フライの洗礼によって舌は味わうどころではないが、口の中を踊るぷりぷりした身の触感と濃厚な牡蠣の匂いは『牡蠣を食べている満足感』を刺激するに十分すぎるものだ。
「ふー、いきなり火傷するとこだった」
 牡蠣料理の種類は多い。初手から火傷では格好がつかないが、アツアツ出来立ての料理をわざと冷ますなんて冒涜だ。
「しっかし、一通り食べてやろうと思ったがこれは……」
 多様な牡蠣料理が並ぶテーブルであるが、カイトが見ているのはそこではない。まるでパレットの上に並べられた絵の具のように色とりどりに並ぶ調味料の群れだ。
 たっぷりピクルスを刻み入れた黄金のタルタルソース、艶やかな黒をしたウスターなどの見慣れたものから、刻みエシャロットの浮かぶピンク色したビネガーソースに、無塩バター、大蒜の香りがするパセリがたっぷり練りこまれた何かのホイップ等、見慣れないものがずらりと並んでいる。
「食への探求は尽きぬ、って奴だなァ」
 流石にすべてを食べきってしまうのは難しいと、天ぷらに回り、少し口の中が油っぽくなったらマリネでリセット。
 どれもこれも絶妙な火加減で身を固くさせることなく柔らかな触感を保つ牡蠣料理は絶品だが、カイトには一つだけ気になる事があった。
「俺はどっちかっつーとアリスって言うには純粋さが欠片も残っちゃいねぇ訳だが――」
 唄いながら牡蠣料理を作るセイウチと配膳をする無口な大工、二人は『アリス』の言葉にきょとんとした顔を向け。
「アリスはアリスだ」
「いつのまにかお酒の飲めるアリス。Rを知るアリスだっているさ。
牡蠣酒はご存じかい? こいつはもうすこし深くRを知る事になるかもしれない。なにしろこれはうますぎる」
 大工はカイトが『アリス』であることに全く疑問を持っていない様子であるし、セイウチなどリスクのRだとのたまいながら酒を進めてくる始末だ。
「……大丈夫なんだろうな」
 少なくとも今ここではそうであるらしい。勧められた酒を片手に、カイトの牡蠣料理の開拓は続く。

●オイスターカラーパレット
 アウローラは生牡蠣をつるんと飲み込んで目を白黒させていた。
「なにこれ、おいしーい!」
 初めて食べる味、食感に笑顔がはじけて厨房で見ていたセイウチの歌も弾む。

 Rをしらない牡蠣たちはとってもとってもおしゃれさん
 中身が一番大切だよとお兄さん牡蠣が言うけれど、ぱたぱたぱたぱたお化粧の時間
 真っ白バターに赤ワイン?大丈夫これはビネガーだもの。幼い君も大丈夫
 忘れちゃだめだよ、一番中身が大切だ。お兄さん牡蠣は牡蠣殻かかえておんおん泣いた

「調味料とか和えたりするともっと美味しくなったりするのかな?」
 傍に置かれた色とりどりの調味料をスプーンですくってみる。最初はピンク色をしたすっぱい匂いのするソースにしてみよう。
「んんっ!あまーい!あまくなった!」
 酢は牡蠣が纏っていた潮の味を洗い、そのまま食べた時に感じる野性味の角を取る。すると牡蠣の持っている味わいの内、甘みが強調されるようになるのだ。
「不思議ー!次はカキフライ食べちゃおー」
 次はタルタルソースをいっぱい乗せたカキフライをぱくり!
 もったりとしたマヨネーズと茹で卵のなかにマリネがたっぷり入ったタルタルソースに包まれたカキフライは夢の味がする。
 なんて言ったって濃厚なタルタルソースはそれだけでおいしいし、それを突き破って口の中にあふれてくる牡蠣の肉汁は暴力的なのに噛んでいる内にタルタルソースにほだされてまろやかな味の一部になってしまうのだ。しかも、衣のざくざくした食感に、カリカリしたマリネ。二つの歯ごたえがもっと噛み締めていたいという欲望を無限に引き出してくる。
「ん、ん、ん~~!!アウローラちゃんこれ好きかも!」
 もっと食べよう!とカキフライにタルタルソースをのせかけて、止まる。ソースがまだ無限にあるのだ。料理も入れればもっとある。
「どれを食べるかまよっちゃうなぁ」
 でも、これはもう一回食べようとタルタルソースをたっぷりつけたカキフライをほおばった。

●グリーンオイスターホワイトワイン
 Rを知らない牡蠣たちは、たっぷりごはんとお昼寝の中
 ごつごつ殻の帽子をかぶり、つやつや緑に輝く食べごろサインさ
 母さん牡蠣に冷たくされても、アリスの喜び(rejoice)が一番だいじ!

「それじゃ……お料理手伝いますね」
 シュラが厨房に入るとセイウチは少し驚いた様子だったがすぐに「優しいアリス、手伝ってくれるんだね」と受け入れた。
 それからはあっという間の出来事だった。
 焼き牡蠣のバター醤油、野菜を入れてお鍋。先ほど初めて食べたばかりなのにシュラの料理センスは牡蠣に対して正しい塩加減、火加減を選び取っていく。
「はーい皆さん一杯食べてくださいね。いっぱい作りましたので」
 パスタに炊き込みご飯……特にちょうどご飯を欲していたカイトが素早く受け取っていた……並んでいくシュラの料理は、ともすれば白と茶色に傾きがちなテーブルの色を鮮やかに染め上げる。
 しかし、その料理は誰の為だろうか?
 楚々と焼き牡蠣片手にシュラが近寄って行ったのはウィズィだ。白ワイン片手に生牡蠣を流し込み、幸せそうな顔をしている彼女のにそうっと箸でつまんだ焼き牡蠣を差し出して。
「はい、ウィズィさんも。あーん」
「お? んむっ、あふ、熱…!」
 熱いといいつつも頬っぺた抱えてとろけた頬を更にとろけさせるウィズィにシュラの顔もほころぶ。
「美味しいですか?」
「んー! とろとろぉ♡」
 元々生牡蠣を好むウィズィだが、最近は調理された牡蠣の魅力にもハマっている。なにしろ適切に火を通した牡蠣は身を固くすることなくぷりぷりの食感が保たれるし、やはり調味というのは偉大なのだ。千変万化する牡蠣の味わいは食べても食べても飽きが来ない。
 この油で炒めれば油に滋味が溶け出して味わいが増すし、この牡蠣の干物というやつはどういうことだ。熱燗の中に落とせば極上の味わいがする。これが牡蠣を食べるリスクというものか……。白ワインとちゃんぽんしたウィズィは飲みすぎの恐怖に頭を抱えた。だってこれ旨いよ。
「あーんもう牡蠣大好き……牡蠣と結婚するぅ……」
 最期、〆にシュラの作ったパスタを食べるウィズィの幸せそうな声が牡蠣まみれの空気に溶けていったのだった。

成否

成功

状態異常

なし

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