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シナリオ詳細

<YcarnationS>ラッコボクサー
<YcarnationS>ラッコボクサー

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●彼らはラッコボクサー
 ローレットにより、オラクル派への打撃作戦は概ね成功という結果になった。
 しかし突如として『砂の魔女』カノンが出現。これにより、グリムノートの権限は上書きされ、乗っ取られる形となってしまった。
 オラクルを遥かに凌ぐ狂気は幻想種へと強く作用し、彼らを砂の都へと導いていく。
 また、商品を奪われたオラクル派の残存勢力もこれに憤慨し、彼らもまた砂の都を目指していく。
 驚異的な魔種の出現によりローレットの介入も余儀なくされ、決戦の地は自ずと決定されたのだ。
 だが。
「なー、兄者よう」
 かっかっかっか。
 見渡す限り一面の砂の海。そこに二匹のラッコが居た。彼らは手に持った石で木の実の殻を叩いている。
「んー、何用じゃ姉者?」
 かっかっかっか。
「わてら、ラサを追い出されて如何程になる?」
 かっかっかっか。
「はて、どれほどじゃったか。なんじゃっけ、おらくる派? の商人共に雇われたのがよくなかったのう」
「ほうじゃのう」
 かっかっかっか。
「……なー、姉者よう」
 かっかっかっか。
「んー、何用じゃ兄者?」
 かっかっかっか。
「木の実は飽きたのう。本物の貝が食べたいのう」
「ほんにのう。しかし、このへんじゃああの商人共しか貝はもっちょらんかったしのう」
「ほうじゃなあ」
 かっかっかっか。
 その時だ。
 ラクダに引かせた幌車が一台、猛烈なスピードで砂海を横切っていく。
「な、なんじゃあ!?」
「兄者、あれはおらくる派の車ではないか!?」
「なんと、おらくる派が今更なにをしゆう?」
「わからん、わからんが、あれは急いでおったぞ」
「ほうじゃなあ……のう姉者」
「なんじゃい兄者」
「あれについていったら、また貝をわけてはくれんかのう?」
「……」
「……だめかのう」
「…………それじゃ!!」
「うひゃあ!!」
「それじゃ!! おらくる派にもう一度雇ってもろうて、貝をもろたらええんじゃ!」
「それじゃ!! それじゃ!!」
「よし、善は急げよし!」
「がってんじゃて! ほいじゃ、出発じゃあ!!」
 こうしてふたりのラッコが、イレギュラーズの前に立ちふさがることになったのだ。

GMコメント

皆様如何お過ごしでしょう、yakigoteです。
オラクル派残党である商人を捕まえる依頼を受け、その商人を追い詰めたのですが、彼らの雇う用心棒達が立ち塞がりました。
商人はイレギュラーズの対処を用心棒に任せ、逃げようとしています。
用心棒を倒し、商人らを捕縛してください。

【エネミーデータ】
■雇われ傭兵
・新米冒険者程度の実力者が8名。
・弓や剣を持っていますが、魔術に長けたものがおらず、神秘攻撃を行いません。
・皆、トレードマークのように大きなモヒカンをしています。

■ラッコボクサー
・姉者、兄者と呼び合う二匹のラッコ。
・貝に目がないものの、ラサ周辺ではなかなか手に入らず困っていたところ、今回急遽雇われた。
・既に報酬の貝1年分もらっているので、その分の仕事はする模様。
・10オンスのグローブをつけており、以下のスキルを持ちます。

◇最高速のレフト
・ジャブパンチ。命中に高い補正をつけます。

◇消えるストレート
・ストレートパンチ。万能・物理。使用する場合、行動はターンの最後になります。

◇サプライズアッパー
・砂に潜り、奇襲を仕掛ける攻撃。ブロック、マークを無視して移動・攻撃を行います。

■商人
・戦闘能力はありません。

【シチュエーションデータ】
・昼の砂漠。とても暑い。
・砂も風も凌げそうにない廃墟がちらほらと見える程度の開けた場所。

  • <YcarnationS>ラッコボクサー完了
  • GM名yakigote
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2019年11月04日 22時40分
  • 参加人数 8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ベーク・シー・ドリーム(p3p000209)
砂竜すら魅了するモノ
ココロ=Bliss=Solitude(p3p000323)
蒼海守護
ミニュイ・ラ・シュエット(p3p002537)
応報の翼
リナリナ(p3p006258)
おにくにくにく
アルク・テンペリオン(p3p007030)
蒐集氷精
ワモン・C・デルモンテ(p3p007195)
海のヒーロー
陰陽丸(p3p007356)
じゃいあんとねこ
天之空・ティーザ(p3p007693)
白狼剣士

リプレイ

●奴らはラッコボクサー
 砂漠というやつはとにかく不便なところだ。なにせ、ラッコにとって第二の心臓とも言える貝が手に入りづらいのである。ごめん、適当に格好つけて第二の心臓とか言った。嘘です。砂漠ラッコは木の実でも生きていけます。でも貝を求める本能は抑えられない。吸血鬼の衝動と同じじゃなかろうか。うーん、それも格好つけ過ぎか。

 夏がぶり返したような、いや、それ以上に酷い熱気に流させられた汗を拭いながら、息を大きく吸い込まぬようにしてため息をついた。
 暑い。水が飲みたい。これから命のやり取りを行うわけで、そちらの意識を集中させねばならないのだが、燦々と照りつける太陽は死闘よりも本能的ななにかに訴えかける。
「ラッコがボクサーとか意味わからないじゃないですか。だってラッコですよ? なんでボクサーなんですか。その手足でボクサーは無理があるでしょう!?」
『見た目は鯛焼き中身は魚類』ベーク・シー・ドリーム(p3p000209)は誰に向けてか憤りを発した。
「ぼくたち海の仲間なのに……なんで食料ひとつでこんなことに……争いたくなんてないのに……まぁたい焼きの見た目してる僕が何言っても説得力ないですけどねー!!!!」
「ラッコ。貝を好んで食べる。帆立貝の海種であるわたしにとっては、これは同胞の仇討ち」
『蒼海守護』ココロ=Bliss=Solitude(p3p000323)は天敵の存在に息を巻いている。貝を食べるとか許してはならない。弱肉強食はここにひっくり返るのだ。やべえな、お味噌汁にアサリとか入れらんないじゃん。
「ラッコ、許さない。許されない。彼らはふぐたいて……いや、不倶戴海」
 フグ大会?
「ラサってなんでもある印象有ったけど、流石に海産物系はそうでもないのか」
 意外なところに商売のタネが転がっていそうだと、『応報の翼』ミニュイ・ラ・シュエット(p3p002537)。保冷技術を用いれば運搬は可能だろうが、それでも嗜好品に近くはなるだろう。
「兄者と姉者……って兄妹? 姉弟? どっちでもいいけど。愛嬌ある獣種は結構好きだから、奴隷商人なんかのために生命を散らして欲しくはないな。時の運に期待しようか」
「おー、おらくる商人アウト! 」
 悪徳商人に慈悲はない。『やせいばくだん』リナリナ(p3p006258)は気合を入れて腕を振り上げる。
 しかし向こうも自分の行動が善行とは思っていまい。激しい抵抗があることは容易に想像できる。商人も、雇われた傭兵も。彼らとて、捕まれば投獄は避けられないのだから。
「ふぁいなるガッツだなっ!! でも残念!  逃がさない! 逃がさない!」
「――なんで貝で釣られた傭兵の方が強いんだろう」
 この世は不思議なことばかりだと、『蒐集氷精』アルク・テンペリオン(p3p007030)は首を傾げた。
「単純に鍛錬の問題なんだろうか、それとも、金でオーダーするには端金しか無かったとか――どちらにせよ、此処で捕まえるんだけれども……」
 疑問はきっと解決されまい。しかしやることに変わりはなかった。
(それにしたってラッコ……なんでこんな所に……)
「あいつらは……ラッコ! しかもボクサーだと?!」
『海のヒーロー』ワモン・C・デルモンテ(p3p007195)は恐るべき強敵の予感に戦慄する。
「父ちゃんが「ラッコとは殴り合うな」って言ってたほどの強敵だぜ!」
 さて、ここで想像してみて欲しい。アザラシとラッコの殴り合いを。危険だ。微笑ましいことこの上ない。
「くそう、あの商人達とんでもねーやつらを雇いやがったな! だけどこっちだって誇り高いアザラシだ、絶対あの商人達をとらえてみせるぜ!」
「なーん?」
 敵対する傭兵の中にひときわ強力な相手が居る。その存在に『じゃいあんとねこ』陰陽丸(p3p007356)も思うところがあるようだ。アニマル率たけえな今回。
「なーん! ……みゃ?」
 報酬は1年分の貝。強力な助っ人を雇うのに、それでは破格だと感じる。破格だろう、たぶん。
「にゃーぉ。んなーぉ! にゃん!」
 想定される殴り合い。それに向けて、大きな猫はシャドーボクシングを始めた。
「やれやれ……知らない世界に喚び出されたと思えばすぐに戦とは」
 猛烈な暑さで額に浮かんだ汗玉を拭いながら、『白狼剣士』天之空・ティーザ(p3p007693)はひとりごちた。
 ラッコボクサー。如何にも異世界らしい存在ではないか。相手にとって不足は、きっとない。
「これも私の宿命か……ああ、手は抜かんさ」
 視線を空から砂に戻すと、前を行く仲間との距離が開いていて、置いていかれぬよう慌てその後を追った。

●流石はラッコボクサー
 契約金は貝1年分。1食5つ食べるので、1日5回の食事だから計算ややこしいな、えっと……え、100個? あ、じゃあそれで。

「はむっ、はむっ……あ、兄者。そろそろじゃけ」
「はむっ、はむっ……ん、姉者。どうかしちゅう?」
 二匹のラッコがもきゅもきゅと貝を食べている。それはもう、ずっとずっと食べている。
「はむっ、はむっ……ほいじゃ仕事じゃ、やらんといかんぜよ」
「はむっ、はむっ……ほうじゃ、ほうじゃ。でもな、姉者よ」
「なんじゃ? 兄者」
「もう一個食ってからにせんか?」
「ほうじゃの、ほうじゃの」
「そうしゆう、そうしゆう」
 もきゅもきゅもきゅもきゅ。

●然らばラッコボクサー
 貝は美味しい。力がみなぎってくる。ゴリラ種はバナナを食べるとパワーアップする者がいるが、アレと同じだ。貝を食べるとパワーアップした気になるのだ。気になるだけだ。

 時刻は昼。場所は砂漠。視界は開けている。太陽はチリチリと肌を焼き、熱気で視界が歪んでいる。そういうものを想像してから、次の要素をプラスして欲しい。
 そこにホタテが落ちている。
 掘っ建てではない。ホタテである。砂地の真ん中に、でんと帆立貝が落ちているのだ。
 無論、正体はココロである。自らを囮とし、ラッコボクサータチヲおびき寄せようと言うのだ。
 しかし敵も百戦錬磨の傭兵である。加えてあまりに不自然なこの状況。流石にうまくいくはずが
「姉者、でけえ貝があるきに!」
「ほんまじゃ! 夕餉は馳走じゃの!!」
 あった。それはもう見事に食いついた。ラッコは砂を泳ぎ、商人らや傭兵達を置き去りに、貝に向けて一目散だった。
 砂に潜り、しばらくするとホタテのある場所に姿を表すラッコボクサー。しかしもう、そこにココロの姿はない。
 砂に潜った瞬間、ヒトの形に戻って仲間の方へと走り向かっていたのだ。
「皆さん、やっちゃってください!」

「すいませんね。僕も仕事、あなたも仕事。恨みっこなしでいきましょう」
「ほうじゃの、わてらも報酬分は働かんといかん。悪かぁ思わんで欲しいきに」
 言うやいなや、ベークの目の前でラッコボクサーの姿が消えた。
 抜けられたか? その疑問を胸中でつぶや終える前に、真下から砂をかき分けてラッコが襲来する。
「くっ」
 咄嗟に身を捩ったことで、拳が頬を掠めるに留まった。しかしそれだけで頬の皮は裂け、一拍置いてから思い出したかのように血が流れ始めた。周囲に餡子のなんとも言えぬ甘い香りが充満する。
 分析をしている余裕はない。既に密着とも言える距離まで接近したラッコは、目で追えぬ速度のジャブを打ってくる。
 ジャブ、ジャブ、ストレート。ベークは最後の一撃に合わせ、互いの腕が交差するようにカウンターを狙う。
 互いの頬に直撃し、一瞬、視界がぐらりと揺れた。
「ええもんもっちょるぜよ」
「……なんで鯛とラッコが砂漠でどつきあいしてるんでしょうね」

「くそっ、ラッコ共は何してやがる!?」
 ミニュイの足の下で商人が喚いている。
 本来なら、敵が近づいてきたと判断した時点で商人は逃げ出すつもりだったのだろう。無論、その索敵は雇われた傭兵らの仕事である。
 しかし彼らの中で一番の実力者であるラッコボクサーがホタテに一目散になってしまったので、見敵が遅れてしまったのだ。
 その結果、商人は今ミニュイの足元にいる。猛禽系の脚で押さえつけられているので、されている当人はちょっと怖かろう。
 しかし、多少突出しすぎた感はある。おかげで、商人の近くに居た傭兵達にはすっかり囲まれてしまった。
 ひとりひとりは何てこと無いが、数があると流石に厄介だ。
 どうしたものかと思案していると、視界の真下砂地に違和感を感じて飛び退る。
 さっきまで自分が居た場所を、ラッコが飛び上がりアッパーを決めていた。
 ラッコボクサー。砂中を泳いで戻ってきたのだろう。
 ファイティングポーズを取られたので、思わず身構えた。

「ラッコボ臭?  臭いのか? 匂うのか?」
「ううむ、わても物を知らんき。『ラッコボ』は臭いんかのう」
 リナリナとラッコボクサーの会話が繋がるようでまるで繋がっていない。
「あ! 手に装備してるモノ、リナリナ知ってる! グローブ! グローブ! おー、リナリナ、やっとわかった!! つまり…………グローブの中が臭いんだなっ!」
「むっ、そういえばわてら、貝を食べた後手を洗っておらぬ。ほうじゃ、これではグローブが臭くなっちまうきに……教えてくれたんじゃの、ありがたいぜよ」
「うっ?」
「これは姉者にも教えんといかんの。じゃ、わて、姉者に伝えてくるきに」
「おー、そうか。ばいばーい」
「ばいばーい」
 違う違う違う違う。
「あっ、臭いヨージンボー、禁止!!」
 戦うことを思い出したリナリナが、砂に潜ろうとしたラッコボクサー(兄)に急降下のジャンプキックを決めた。
 ぶつかり合う足と拳。
 やはり戦場で出会ったならこうなる運命にあるのだ。

「ラッコが砂の上でも普通に強いとか砂を泳げるとか――砂ラッコに改名すべきだと思う、この生態」
 踏ん張りの効かない砂地にうんざりしながら、アルクはため息をついた。
 ラッコは本来寒い地方の生き物である。それが砂漠に適応し、あまつさえ砂の中を泳ぐというのだから、混沌という世界は本当になんでもありだと実感する。
「砂漠とかいう夜以外は絶対快適じゃないこの場所に立ってる俺だって居るんだぞ」
 流石に構えを崩してはいないが、それでも溶けそうなうんざり顔で熱気を睨んでいる。夜は季節によって極端な温度差を見せるのだが、秋も更けたこの時期だ。氷精であるアルクには快適なのだろう。
 砂から顔を出し、真下からの攻撃を行うラッコボクサー。これで接敵し、回避の難しいジャブを繰り出してくるのだから、見た目や行動よりもずっと厄介な特性をしている。
 砂漠には似合わぬ氷柱を作り、それを落とすことで距離を稼ぐ。
 本当に暑い。今にも溶けそうだ。

「さあ、少しばかり遊んでやろう。こい!」
 砂に潜り、戦場を遊撃的に動き回るラッコボクサーと比べ、モヒカン頭の傭兵達の動きはシンプルだ。
 商人の近くに陣取り、武器を構えている。戦いにもまだ不慣れなのだろう。ティーザの呼びかけに、複数があっさりとそちらを向いた。
 剣や槍を構えて殺到する傭兵達。その動きを呼出した屍兵で防ぎ、側面から殴りつける。敵も荒くれとは言え、動きには粗雑さが目立つ。全てを対処するのは不可能でも、しばらく惹きつけておくことはできるだろう。
 剣の腹を押さえて切っ先をそらし、その側面を滑走路に拳を飛ばして急所を狙う。鼻の下に当たった感触。しかし、次の瞬間、背中に猛烈な痛みと衝撃を感じてもんどりうった。
 慌てて体勢を立て直し、背後を確認しても何もない。ラッコボクサーが一撃だけを加え、また移動したのだろう。
 背中にまだ痛みはあるが、戦いは続く。また傭兵らを引きつけるべく、息を吸い込んだ。
「……強いなラッコボクサーとやらは」

 こっからアニマルバトル。
「にゃぅー!」
「ぬおお、でかい猫じゃき!」
 陰陽丸とラッコボクサー(推定姉)が殴り合っている。かたや巨体からのハードパンチャー。かたやジャブを主体としたヒットアンドアウェイ戦法。二匹の戦いは階級すら超えたものだ。
「なーぅ、にゃーぉ」
「そんな、わてらは貝、そちらは魚と、テリトリーは別れているぜよ! 昨今の食糧事情はわてらのせいではないきに!」
 多分だけど、この二人の会話は繋がっていない。混沌なので、もうちょっとバベれる筈なのだが。
「みゃぅー、みゃー、なぁん!」
「馬鹿な、組技!? ぬかったぜよ、おまん、ボクサーではなく総合格闘技!?」
 掴まれる腕。動揺の合間にすかさず背後に周り、ラッコボクサーの腰を前足で掴む。そのままブリッジの要領で持ち上げながら真後ろへと頭を突き落とす、これは、
「ぬおおおおおおおお!?」
 スープレックス。
 ラッコボクサーの頭が砂地に突き刺さっていた。

 砂漠の昼はやはりとても暑い。
 その中で戦闘行動を行うのだから、熱気に参ってしまう仲間が出てくるのも、ワモンには想定の内だった。
 よってそうなった仲間に抱っこしてもらうことで、自分の冷気を分けてあげていたのだ。なにそれ、私もしたい。
 さて、そんなことをしているのも、ようやく余裕が出てきたからだ。流石に戦闘経験の低い傭兵らでは戦線を維持することが出来ず、そうなれば如何にラッコボクサーが遊撃的に攻撃と移動を繰り返していたとしても、人数さをひっくり返すことは出来ない。
 自由に戦場を駆け回るには、安定した前衛職が必要であるのだ。
「やいやいおめーら! 商人はもうひっとらえたぞ! これ以上の戦いは止めるんだぜ!」
 声を張り上げる。商人はもう捕らえた。こちらの目的は殲滅ではない。向こうもこの人数を相手に最後まで抵抗する必要もないだろう。既に互いの利害が一致していると考えたのだ。
「貝が食べたかったら海洋にくればいいんだぜ!」
 なお、この間もひんやりもふもふされていると考えよう。

●さらばラッコボクサー
 …………ねえ、100個って少なくない?

「困ったのう姉者」
「困ったのう兄者」
 二匹のラッコボクサーは困っていた。国に帰り、親兄弟が集まったならいざしらず、二匹ではこの人数の手練を相手に奮闘しても意味は薄い。既に勝負の大局は決してしまっていた。
「お、おまえら! 報酬は払っただろう! 早く俺を助けろ!」
 商人が何か喚いている。確かに報酬は頂いた。暑さで痛むといけないので、大体はもう食べてしまった。
「んー、どう思うき?」
「ふぬう…………のう兄者。わてら、もう報酬分の仕事はしたんじゃないかのう」
「ふむ……そうかもしれんのう」
 これに商人が激高する。
「な、何言ってやがる!?」
「ほうじゃの、じゃあ今度は海洋にでもいくきに」
「ほうじゃほうじゃ」
 あっさりと砂に潜るラッコボクサー。一度潜った彼らを追いかけることは不可能だ。
 後には気絶した傭兵達と、ぽかんとした顔で捕まった商人が取り残されていた。

 了。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

ミニュイ・ラ・シュエット(p3p002537) [重傷]
応報の翼

あとがき

サザエでも雇える。

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