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シナリオ詳細

M〇-RRON~甘いアナタの危険な真実~(裏)

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●今年もこの季節がやってまいりました
 秋、それは収穫の季節。
 他の国がどんな状況かは知る由もないが、ともかく幻想は秋らしい空気と気候に恵まれ、人々は日々、秋の味覚の収穫に励んでいる。
 鉄帝が時折侵攻してくることからも分かる通り、肥沃な大地と多様な生態系から生まれるそれらは、貴族庶民問わずして目を、舌を楽しませるのである。
 で、今。
 幻想南部の森のなかでも、一年間丹念に育てられた樹木から実を収穫する作業が最盛期を迎えていたのだが……。
「なんてこった、今年は針の勢いが普通じゃないぞ!」
「いや、普通飛ばねえよ! なんだアレ!?」
「ウゴイタァァァァァ?!」
 ……とまあ、こんな感じで混乱の坩堝にあった。問題があるのはその実、を包むガワの問題。だが、それだけでもなさそうだ。ガワを突き破ってなにかが這い出たのを、人々は見逃さなかった。
 これはちょっとヘタに手を出したら手に負えない。そんなわけで、ローレットにお鉢が回ってきたのである。
 ところでその、実ってなんだろう。

●国によってはこっちが本命
「よく来てくださいました。まずはこちらをお召し上がりください」
「食べたら強制的に仕事押し付けるんだろ?」
「なにか問題でも?」
 イレギュラーズを迎え入れた『ナーバス・フィルムズ』日高 三弦(p3n000097)が取り出したのはマロングラッセ。作るのに非常に手間がかかり、貴族などにはとても好まれるたぐいの菓子だ。
 そんなものを取り出されたら間違いなく依頼一直線である。それを悪びれもせず肯定する彼女も彼女だとおもうがそれはさておき。
「分かったぞ、これアレだな? 栗のイガとかと悪戦苦闘したりイガの針が飛んできたりするアレだろ?」
「まあ……大体近いです」
「オイそこ別に機嫌損ねる場面じゃなかったろ」
 どうやら、このマロングラッセの中身は栗らしい。いや、栗じゃなかったらなんだよって話なんだが、伝来当初はトチノキの実だったそうだ。
「栗について承知頂いているなら話が早いです。栗のイガなんですが、依頼先で育てているものは積極的にイガを飛ばしてくるそうで」
 HUH?
「加えて今季は寄生虫が多少なり多いらしく、栗の実をイガごと移動させているそうです。それで被害が拡大していると」
 理解が追いつかない。
 そりゃ、栗には虫が湧いていることが多いが(たいていは蜂なのだが)、連中がそんなにパワフルだなんて聞いたことがない。
 それもまた『混沌』なりの異常事態なのだろうか。
「流石にそればかりは私も知りませんけど。とにかく数が多いので無闇に突っ込むよりは少しずつ処理したほうが良いと思います」

GMコメント

 (表)が事実に基づいたんで、裏は誤りに基づいた感じでひとつ。
 ※諸説あります

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

●成功条件
 『くり』『うごくくり』を沈黙させる

●くり×20~
 数がそれなり多い。個々のイガによる相互ダメージとかで沈黙してるものが多いのでこの程度だが、本来もっと危険だった。パッシブ「反」持ち。ただの木の実なので機動0、反応極低。
・イガ飛ばし(物遠単):致命、痺れ
・イガ放出(特レ・自分から2レンジ):業炎、窒息。発動後くりは沈黙する。

●うごくくり×5~
 くりの中でも虫が寄生しているやつ。沈黙したら分けといたほうがいい。
 基本的にくりと同じスキルを使う。機動2反応低~中程度。

●戦場:栗林
 そこそこ天気が良くても暗いです。局地的な木漏れ日があります。

 秋の味覚じゃー!

  • M〇-RRON~甘いアナタの危険な真実~(裏)完了
  • GM名ふみの
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2019年10月22日 22時45分
  • 参加人数8/8人
  • 相談4日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ポテト=アークライト(p3p000294)
優心の恩寵
リゲル=アークライト(p3p000442)
白獅子剛剣
マルク・シリング(p3p001309)
軍師
アルム・シュタール(p3p004375)
鋼鉄冥土
リナリナ(p3p006258)
アウローラ=エレットローネ(p3p007207)
電子の海の精霊
ウィズィ ニャ ラァム(p3p007371)
私の航海誌
ゼファー(p3p007625)
祝福の風

リプレイ


「美味しい物を作るには苦労するとは良く言いますガ……」
「イガイガのクリクリ! トゲ飛ばすのか!! かなり狂暴!!」
 『堅牢なる楯-Servitor of steel-』アルム・シュタール(p3p004375)は、林に向かう道をいささかげんなり気味に歩いていた。傍らでは『やせいばくだん』リナリナ(p3p006258)が滅茶苦茶ざっくりと噛み砕いた依頼内容を口ずさんでいたが、彼女は何時もながらどこまで理解できているのか怪しいものだ。依頼達成にはそれでも問題ないんだが。
「くりも生存意識が高くなったのだろうか? ……人間は覚悟を持って栗狩りに挑まねばければならないな」
「美味しい栗を食べるには危険がいっぱいだったんだな……うむ、リゲルの言う通りだ! 美味しい栗の為にも頑張ろう!」
 『死力の聖剣』リゲル=アークライト(p3p000442)の言葉に、『優心の恩寵』ポテト=アークライト(p3p000294)も同調し拳を握る。常にモチベーションとポジティブの具現のような2人だが、今回は秋の味覚の収穫ということもあり、殊更にモチベーションが高いように感じられた。
 生存意識っていうか混沌世界なんて押しなべてこんなもん、という気がしないでもないのだがそれは脇に置いておこう。
「栗かあ、どうやって食べるのが美味しいんだろう」
「栗ご飯とかですかね! あれは美味しいですからね!」
 マルク・シリング(p3p001309)が首を傾げて考え込むと、すかさずウィズィ ニャ ラァム(p3p007371)(以下ウィズィニャラァム)が合いの手を入れる。幻想生まれ幻想育ちはこの状況とか収穫対象のトンチキさなんて「まあ幻想だし」で片付ける精神の強さ。流石は自称『つよレズ』である。心も強い。
「私だって旅人ですし? 今までなんやかんや体験して来たつもりですけど? ……まさか、栗をやっつけろなんてねー。甘いお菓子になるならいいかなあ」
「もし食べれるならアウローラちゃんも食べたーい!」
 ゼファー(p3p007625)は長らく旅を続けてきた身であり、人生経験も豊富である。だが、このようなアレな相手は初見らしい。大丈夫、今後こんなものが可愛く見えるトンチキ共が待っているよ、きっと。
 『電子の海の精霊』アウローラ=エレットローネ(p3p007207)は特殊な精霊種であるゆえに食に関する知識が疎そうではあった。食べられるなら、何でも試したいと思うのは必然だろう。
「ええ栗は美味しいですからね、一緒に食べてついでに……」
 すかさずウィズィニャラァムがぐへぐへヨダレを垂らしているような気がするが落ち着いて欲しい。アウローラの性別は外見と合致するかも分からないのだ。多分それでもいい、と彼女なら応えるだろうが。
「さぞ実のしっかりした栗でしょうから、調理しがいがありそうですワ」
「ああ、栗づくしの食事はかなり楽しみだ!」
 アルムが僅かに笑みを零すと、ポテトも相当楽しみにしていたのか、口元が緩む。
「おー、リナリナわかった! 動く虫のイガグリ排除! コレ今回のお仕事!」
「大丈夫大丈夫、所詮動くっていっても栗でしょう? ちょっとチクチクするー、とか。ちょっと弾けてあぶなーい! とか。そんななんでしょう?」
 わかっているんだかいないんだか微妙に怪しいリナリナは兎も角として、ゼファーもどこか楽観的な様子だった。そりゃまあイガが飛ぶ栗なんて言われて具体的に敵の実力を推し量れって言われてもその程度の認識になるのは普通である。まさか……まさか、そこまでトンチキな存在ではなかろうと思っているんだろう。大間違いだよ。
「それにしても暗いな、見ると聞くとじゃ……」
「ストップ! その先に栗があるわよ!」
 リゲルがギフトで剣を光らせ進んでいると、唐突にゼファーが待ったをかけた。ぴたと足を止めたリゲルの鼻先を、栗のイガと思しき鋭い針が通過する。
 森の奥、光の先に映し出された大量のくりの影は、さながら近付く者を引きずり込む坩堝のようでもあった。


「ゆ、油断も隙もないな……! 助かったよ!」
「おー、イガイガのクリクリ、近付く危険!」
 驚きこそすれ、動きを鈍らせたり遅れを取ったりしないのは流石リゲルというべきか。剣を構え、火球を叩き込んだ彼の後ろから、興味深げにリナリナが覗き込む。
「リナリナ難しいことわからないけど、何となく通じたゾッ! 動くイガイガ、スキルで怒らせて判別! あってる?」
「完璧ですワ、リナリナ様。つまリ、このようニ」
 リナリナが事前に示し合わせた作戦を復唱すると、アルムは満足げに頷き、転がっている栗に向かって己の存在感をアピールする。とてもシュールな光景だが、幾つかの栗は釣れたらしい。
 ……栗が釣れるって何……? (正気の人間の常識的な反応)
「さあ、Step on it!! いっけえっ! 私の! ハーロヴィット!!」
 ウィズィニャラァムはハーロヴィットを豪快に持ち上げ、動き出した栗めがけてブン投げる。過大ともいえる威力、防御の堅牢さをあざ笑うかのような斬撃は動く栗を滑らかに切り刻む。虫はまだ健在なのか、ズバッ、と栗から伸びた節足部が不気味極まりない。
「ウゥワッキッモ……オアーー!? こいつら攻撃したら棘撃ってきますよ!!?」
 そう、実は彼らが相手している栗は、攻撃してくる相手に容赦なく反撃してくるのだ。しかも、距離だの関係なしに。遠距離から攻撃してすかさず後ろに退いた彼女も、先手打って複数の栗へとカッコよく一撃ぶちかましたリゲルも同様に手傷を負っている。
「痺れちゃえ!」
「地道に殴ればいいんでしょう、分かってるわよ……」
 アウラローラの魔導に合わせるように、ゼファーが前進してウォーハンマーを叩き込む。
 既に集中攻撃を受けていた個体はたちどころに沈黙するが、さりとて最後っ屁のようにイガを放出していくのだから近接攻撃のために近付く面々は堪ったもんじゃない。
「動くイガイガを排除! 焦らず集中して対応! コレOK!」
 リナリナは盾から僅かに顔を出し、槍で動く栗をつつき、確実に排除していく。いつになく理知的なムーブを熟す彼女だが、そうは言っても痛いことに変わりはない。それどころか、沈黙前のイガで順調に傷を増やしていく有様。
「負傷者が多いな……マルク、まずは体力の回復を!」
「そうだね、任せて」
 当然、この状況下に於いて最もその実力を求められるのはポテトとマルクの2人だ。通常攻撃はアルムが相当量を受け止め、イガの放出も一部は肩代わりすらしているのだから傷はかなり深い。
 それに加えて、彼女が守りきれない分は容赦なく個々に降り注ぐし、反撃で飛ばされたイガは攻撃した者達が背負わざるを得ないのだから尚更、である。
「動ける栗を倒し終われば、無理に近付いて戦う必要はないはずだ! 慎重に、確実に倒していこう!」
 リゲルは周囲を見渡し、動きのない栗の優先順位を落としつつ……で、炎の魔術を行使する。イガの隙間から節足を出した滅茶苦茶キモい栗は、既に3つが沈黙。隠れているだけであと2つ存在する。
 でもって、目の前の大量の栗はどれが沈黙しているのか一見では判別がつかない。その上20「以上」は沈黙させる必要があり……仲間がイガの放出に巻き込まれない場所を先に倒さねばならなかったりする。
 攻め手に充実して、且つ戦闘力の高い彼はその分のしかかる責任感が段違いなのだ。
「イガだろうが殻だろうがブチ抜きますけど、ダメージとか馬鹿になりませんね……! 動くやつはこれで全部ですかね?」
 そうこうしているうちに、ウィズィニャラァムが動いていた栗、その5つ目を沈黙させる。イガの放出は当たりようのない距離におり、無事は無事……なのだが。彼女はここで、一つ重大な事実に思い至った。
「…………あの、調子に乗って毒攻撃しまくってたんですけどこれ毒が残ったら食べられなくないです?」
「――――――え?」
 いやいやいやいやまさかそんな。彼女のどことなく深刻な言葉に、魔曲で毒とか盛ってたアウラローラが手を止めた。一同、表情が凍りついた。
「おー、大丈夫っ! 毒も薬も食べれば同じ! 動くイガイガはハチ、違うっぽいから食べない! OK!」
 だがここにはリナリナがいた。
 彼女の思考回路的に全く問題ない。そういう結論になった。っていうかホラ毒なんて保って40秒だし。そのまま沈黙したら残るかもしれないけど大丈夫大丈夫、灰汁みたいなモンだから。
「そうですわネ、いざとなったらワタクシが調理して毒味しますワ」
 ここですかさずフォローに入るアルム。流石に鉄腕メイドは格が違った。仲間に迫ったイガを盾で受け止め、じわじわ前進。恐ろしいほどに安定感がある。
「毒を使わなければいいんだよね! そうだよね! アウラローラちゃんにも考えがあるよ!」
 アウラローラは素早く動揺から立ち直り、地面から生み出した土塊を栗に叩き込む。威力が大きいだけあって反動も一際大きいが、そこは味方の治癒に任せる。
「もう動かない栗だけだから、皆無理はするんじゃないぞ! 時間はある、着実に倒していくんだ!」
「時間さえ味方につければ、息切れもしないからね……なんとか出来るよ」
 ポテトとマルクは、差し当たっての脅威が消えたことで慎重に、確実に仲間を癒やしていく。守りの固いアルムは兎も角、彼女が庇いきれない面々が傷を癒せぬままじわじわ倒されていくのだけは避けねばならない。
「よし、この調子ならなんとか無事に終われそうだな! 無事な栗を持ち帰って栗パーティーだ!」
 はい、リゲルさんから盛大なフラグ建立いただきました。
 彼が振り上げた剣から三度炎が上がり、残っている栗へと降り注ぐ。
 イレギュラーズの猛攻で相当に追い詰められていた栗達は、既に耐久力なんぞ残っているはずもない。結果として何が起きるかと言えば――。


 バチンッ、とひとつの栗から突如イガが吐き出された。沈黙直前の最後っ屁、イガの放出現象だ。だが、事態はそれで終わらない。
 バチッ、バチッ、バチバチバチッ!
 最初の栗からイガを受けて栗が傷を負い、最後のイガを吐き出し、次の栗に。また次の栗に。残っていたのは半数以下なれど、それが断続的に続けばどうなるか……鼠算式に放出されていくのである。
「オ゛ァア゛ーッ!? なんか滅茶苦茶イガが飛んできてますよ逃げ、逃げてェー!?」
 安全圏にいたはずのウィズィニャラァムも流石にこれにはビビった。
 治癒能力的にギリ安全圏だったポテトとマルクも思わず身を竦めた。
 一番ヤバいのは前衛と壁役のアルムなのだが……その時、不思議なことが起こっていた。

 ぷす。
「おー、ここ、しゃがめば休める!」
 ぷすぷすぷす。
「みんな疲れたらここ来る! アンゼン!」
 リナリナの能天気な声とイガが何かに突き刺さる音……見れば、彼女が咄嗟に突き立てた肉にエグい量のイガが突き刺さっているではないか。
 流石に全くの無傷だとか、全部受け止めたとか断じてそんなことはないのだが、確実に全体の被害を低減させたのは確かなようだ。
 暫く栗のイガが飛び交う危険地帯となっていた林の一角だが、やがて音は収まっていき……とりあえず、イレギュラーズは(一部除き)無事に帰還できたのだった。

 で、ローレットに話は戻って。
「いやー…ほんと暫く栗はいいわ。マジでいいわ」
「そう? 僕はこの栗ご飯、凄く美味しいと思うけどな」
 ぐったりとした様子でテーブルに突っ伏すゼファーの隣で、マルクは栗ご飯に舌鼓を打っていた。
 イガにまみれて栗を抱えて戻った彼らは、一度体を落ち着けるとともに栗のアク抜きを行い、各々で調理したそれらを出し合っていたのである。
「栗相手に苦戦したなんて悔しさで3日は枕濡らせるレベルよマジで。まあ栗料理は頂くけど」
「そうですね栗ご飯美味しいですよね! あっ栗のお酒あるんですか!? ください!」
 ウィズィニャラァムは栗ご飯をもりもり食べた上で、更に栗のリキュールに手を出していた。翌日の体重計が怖そうな組み合わせだが気にしてはいけない。
「お土産にも栗を頂きましたシ、ワタクシも腕の奮い甲斐がありましたワ」
 アルムは栗のスイーツを追加でテーブルに並べ、満足げだ。もしかしたら、一番満足しているのは彼女なのでは? ぐらいまである。
「おいしーい! こんなに美味しいならいくらでも食べられそう!」
 アウラローラは栗が初体験だが、満足しているようなので何よりというか。いくら食べてもきっと電子系の精霊種なので体重とか問題にならない……はず? 多分そんな感じだ。
 なお、アークライト夫妻は調理場を使ってせっせと下ごしらえと調理に勤しんでおり、全くイチャコラする気配が無い辺りが……ストイックというかなんというか……。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

リナリナ(p3p006258)[重傷]

あとがき

 お疲れさまでした。
 まあ、概ね安定してたんじゃないでしょうか。良かったと思います。栗美味しいですしね。

 なお演出上は上手く行った感出してますが、ギフトは便利過ぎる使い方は基本できません。
 今回だけですからね。

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