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シナリオ詳細

く れ な い か
く れ な い か

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●チョコ騒動
 華やかなるグラオ・クローネの余韻が未だ残る幻想内のとある田舎にて、ちょっとした騒動が勃発した。
 今年の初め、その田舎(ライスラー村、というらしい)を治める下級貴族テンプリンの長男カラザールがなんやかんやあってうっかり当主に収まってしまった。
 このカラザールが結構なイケメンでしかも独身だった為、それまで彼の存在を知らなかったライスラー村の村娘達がこぞって彼にチョコレイトを贈りまくってしまったらしい。
 それまで毎年のように村娘達からチョコレイトを有難く頂いていた村の若者達は、激怒した。
 思わぬライバルの登場によってチョコ相場が跳ね上がってしまい、今年はゲッツ出来たチョコレイトがごくわずかだったのだという。
 彼らはこの爽やかなる新参者に対し、反旗を翻した。
 チョコ一揆だ。
 後にチョコ騒動と呼ばれたこの出来事はしかし、余りのショボさと馬鹿馬鹿しさの為に、ほとんどの歴史家からはさくっとシカトされたとか何とかどうとか。

●地獄のチョコマーチ選手権
「はい? チョコマーチ選手権?」
 ローレット本部を訪れたカラザールに対し、ユリーカ・ユリカ(p3n00002)は思わず裏返った声で訊き返してしまった。
 カラザールはライスラー村のむくつけき野郎共の怒りを回避する為、妙なイベントを思いついたらしい。
 それがこの、地獄のチョコマーチ選手権とやらだ。
「チョコレイトを貰えなかったのは僕のせいじゃなく、自分達の不徳の致すところだということを彼らに分からせてやりたいんだ」
 そんなことをいけしゃあしゃあと述べたりする辺り、このカラザールもとんだ食わせ物だとユリーカは内心で仏頂面をぶら下げたが、表の顔はにこやかな笑顔のままだ。
 ともあれユリーカは気を取り直し、地獄のチョコマーチ選手権なるイベントの概要を適当に聞いてみた。
 曰く、形式は普通のフルマラソン。
 但し途中に平和的な暴漢が出現するポイントがあり、村男共はこれらの障害を乗り越えてゴールしなければならない。
 無事にゴールしたものには村コンなるいかがわしい(とユリーカは思っている)イベントへの参加権が与えられるのだという。
「でもね。あの連中には少しばかり思い知って貰いたいんだ」
 そこでカラザールは、サクラとしてイレギュラーズを何人か選手としてエントリーさせたいのだという。
 出来ればイレギュラーズ達で村男共を駆逐し、自分達がチョコレイトを要求するなどもってのほかだという事実を理解させたいのだとか。
「女性のイレギュラーズに強力して貰えるなら、暴漢役をお願いしたいな。きっとあの連中、鼻の下を伸ばして喜ぶと思うんだ」
 聞けば聞くほど酷い話だが、ユリーカとしても貴族の依頼を無下に断る訳にもいかない。
「兎に角、宜しく。僕はこんなくだらないことで時間を使いたくないんだ。噂のシルク・ド・マントゥールの公演にも行きたいしね」
 カラザールには見えない角度で溜息を漏らしつつ、ユリーカは人員募集の為にロビーへと足を運んだ。
 直後、ロビーでは不穏な空気が流れた。


   ざわっ

          ざわっ


 ちょっと違う意味で、凄まじく危険な香りが漂っていた。

GMコメント

 こんにちは、革酎です。
 グラオ・クローネに間に合わなかった鬱憤をここで晴らすべく、敢えて挑戦的なシナリオをお届けすることにしました。
 以下は、本シナリオの補足情報となりますのでご一読下さいませ。

●依頼達成条件
・村男達にチョコレイトの尊さを思い知らせる

●地獄のチョコマーチ選手権
 普通のフルマラソンです。
 普通と書きましたが、本来ならちゃんとした訓練を受けなければならない過酷な競技の筈ですが、カラザールはその辺あまり分かっていません。
 途中で平和的な暴漢が出現するという演出で参加者(主に村男)を叩きのめすのが主な目的だそうです。

●参加方法
 サクラとして選手参加するか(女性の場合、男装して頂くことになります)、平和的暴漢として妨害して頂くか(男性の場合、女装して頂くことになります)のいずれかでお願いします。

●注意事項
 キャラ崩壊待ったなしですので、くれぐれもご注意願います。

  • く れ な い か完了
  • GM名革酎
  • 種別通常
  • 難易度EASY
  • 冒険終了日時2018年02月26日 21時25分
  • 参加人数 8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

シルヴィア・テスタメント(p3p000058)
Jaeger Maid
秋月・キツネ(p3p000570)
でっかいもふもふ
オクト・クラケーン(p3p000658)
蛸髭
伊吹 樹理(p3p000715)
飴色
口笛・シャンゼリゼ(p3p000827)
エリーゼより、貴女へ
ユーリエ・シュトラール(p3p001160)
愛の吸血鬼
プリーモ(p3p002714)
偽りの聖女
クテイ・ヴォーガーク(p3p004437)
いっぴきおおかみ

リプレイ

●男達の熱き戦い 序章
 春が近づいてきているとはいえ、まだまだ肌寒いこの時期。
 常緑性の草が生い茂るなだらかな丘の麓に、やたらと気合の入った若い連中が、妙に寒そうな格好でひとつの集団を造り上げていた。
 ライスラー村の領主カラザール・テンプリンが主催するフルマラソン大会『地獄のチョコマーチ選手権』に参加する村内外の若者達が、お互いに闘志を剥き出しにしながらスタート地点に寄り集まっていたのだ。
 村娘達のチョコレイトを奪い去った憎き若当主からの挑戦状ということで、特に村在住の男達は相当頭に血が上っているらしく、その表情には気合以上殺気未満のギラギラした表情が張り付いている。
 そんな中、スタートラインの前にスレンダーなメイド服姿の女性と思しき人影が姿を現した。
 後ろ半分はほとんど布らしい布が取り払われている為、背筋やお尻が丸出しの一種妖艶ないでたちではあったが、首から上は何故か不気味なピエロの被り物で隠されていた。
「やぁ諸君。ゲームをしようであります」
 ピエロの被り物で正体を隠しているその人物――『はんぶんメイド』口笛・シャンゼリゼ(p3p000827)が被り物効果によるくぐもった低音で恐ろし気な声を放った。
「このフルマラソンの勝者には村コン参加権が与えられるでありますが、敗者にはチョコレイトの熱い洗礼が待っているであります。女と接する栄冠を獲得するか、地獄の苦しみを味わうか……自分で選ぶであります」
 いうだけいって、口笛は尻丸出しの格好ながら妙に堂々とした歩調でゆっくりと去っていった。
 可愛らしいショタ少年然とした男装で競技に参加している『Artifacter』ユーリエ・シュトラール(p3p001160)は、口笛による開会宣言(と、本人はあくまでも主張している)に身を引き締めた。
 サクラ組とはいえ、フルマラソンに挑む以上は結構な覚悟が必要だ。
 そういう意味では同じくサクラ組の『いっぴきおおかみ』クテイ・ヴォーガーク(p3p004437)も同様の緊張感を漂わせていたが、クテイの場合は本気で村コン参加権を狙っている節があり、他の若い村民達以上に溢れるような闘志をみなぎらせている。
 どうやらこの戦い、ただでは終わらないようだ――そんな雰囲気が、早くもスタート地点全体に充満しつつあった。

 そしていよいよ死闘開始の号砲が鳴らされんとしている張り詰めた空気を、『蛸髭』オクト・クラケーン(p3p000658)はコースから少しばかり外れた物見櫓の上からむんずと腕を組んで静かに眺めている。
 その面には不敵な笑みが浮かんでいるが、お洒落なゴスロリ衣装とベリーキュートな真紅のリップ、巨乳胸パッドなどで明らかにちょっとおかしい風貌に変じてしまっていた。
 この日オクトは女装してのオネエ系平和的暴漢、即ちオネエ・クラケーンとして戦いに身を投じる覚悟だったのだ。
「かーっかかか。果たして何人の男達が、アテクシの触手ハグで昇天することになるかしらねぇ~」
「オネエさん。何というか、素敵だわ」
 オクトが女装する際、全身全霊で支援に入った『飴色』伊吹 樹理(p3p000715)がすぐ傍らに佇み、納得の表情で感慨深げに頷いていた。
 矢張りオクトは男である為、女性特有の繊細さを表現するにはいささか難しいところがあった。そこで樹理が様々な角度から女装の為のアドバイスを与え、オクトを完璧なオネエに仕上げたのである。
 いわばオネエ・クラケーンは樹理にとっての最高傑作のひとつといって良いだろう。
 樹理もまた平和的暴漢として村男達に戦いを挑む立場だが、彼女は同時にオネエの珠玉の如き輝きをその目に焼き付けておきたいという熱い想いも抱いていた。
 そして遂に、戦いの幕は切って落とされた。

 村男達が、一斉に唸りをあげて走り始めた。
 寒々とした空気の中に響き渡る、重低音ストンピングの嵐。その怒涛の勢いの中で、ユーリエはまだ自重して動かない。淡々と他の参加者と同じペースで走り始めた。
 ヘアゴムでポニーテールにまとめた髪がリズミカルに揺れるのを感じながら、しかしユーリエは前方を走るクテイの猛獣のような闘気をひしひしと感じていた。
(早い……早いよクテイさん……ッ!)
 幾分の驚きも禁じ得ず、ユーリエはいきなり動きを見せたクテイに内心で叫んだ。
 クテイは既に臨戦態勢。ランニングの際の大きなストライドと思わせて、左右を走っていた村男に挨拶代わりの鋭い裏拳を叩き込んでいた。
「邪魔だぜッ!」
 獰猛に吠えるクテイ。
 しかし、クテイの行為を咎める者は、誰も居ない。実はこのチョコマーチ選手権には、他者を妨害してはならぬというルールは設けられていなかったのである。
 つまり、こういうことだ。

 チョコレイトファイトッ!
 レディィィィィィィィィゴォッ!

●ド忘れとタコ問答
 平和的暴漢の中で先陣を切ったのは、『Jaeger Maid』シルヴィア・テスタメント(p3p000058)だった。
 馬車道の左右から鬱蒼たる樹々が壁のように迫る森の中のコースに、忽然とバリケードが出現した。
 シルヴィアが丹精込めて、夜なべをした母さんの如き心境でじっくり一晩かけて完成させた、まさに逸品ともいうべき障害物である。
「さぁ。お手並み拝見ね」
 平和的暴漢として参戦中の『でっかいもふもふ』秋月・キツネ(p3p000570)が愛しきママンを彷彿とさせる(いや、実際にママンみたいな女性なのだが)優しい笑みを湛えながら、シルヴィアのバリケードを裏側から静かに眺めていた。
 一方こちらも同じく平和的暴漢役の『偽りの聖女』プリーモ(p3p002714)は、うむ、と小さく頷いて、ライフルを構えた姿勢でバリケードの最上部に陣取っているシルヴィアの後ろ姿を眺めた。
 アバウトでヒャッハーなシルヴィアがこれほどまでの建造物と演出を、たった一晩で創造してみせた。
 同じ暴漢として感服に値する。
(いや……暴漢として、というのはちょっとアレか)
 日頃から女装が身に染みついている為、男ながら平和的暴漢役に身を投じることには何の抵抗も無かった。
 しかしながら一応は聖職者と呼ばれる外観なので、暴漢としての心意気を問うたり問われたりするのは、ちょっと何かが違うと思うようにもなっていた。思っただけで、口にはしていないが。
 さて、シルヴィア。
 現在彼女は腰を落とした姿勢で、バリケード前に押し寄せてきている参加者達に銃口を向けている。
 参加者達はシルヴィアのライフルをおもちゃか何かかとたかをくくり、全く勢いを緩めずにバリケードへ殺到しようとしていた。
「ここから先に進みたければ……分かってるよなぁ?」
 ところが参加者達は分かっていないらしく、ピンとこない様子で互いに顔を見合わせている。
 仕方が無いので、シルヴィアは説明してやることにした。
「いや、だからな……進みたければ、貴様らの大事なものを置いていかなければならない。そう、水だよ。別に迂回しても良いし、諦めても良いがなぁ」
 ひとはチョコのみで生きるにあらず。
 今回のチョコ騒動の根幹を問う要求に、村男達は動揺した。だがそれ以上に、彼等は困った。
 実は誰ひとりとして、水を持っていないのだ。基本的に今回のフルマラソンでは補給水は全て給水場に用意されており、スタートから手にして走る者は皆無だったのだ。
 だから渡そうにも、渡せない。
 まさかの展開にシルヴィアはバリケード上でがっくりと膝をついた。
「くッ……やるな。だがアタシは『五人揃って四天王』の中では一番の小物。覚悟しておくことだ……ゲェーッヒャッヒャッヒャァーーーッ!」
 潔く敗北というかプランの破綻を認めて退場してゆくシルヴィア。
 それは良いのだが、後ろで見ていたキツネとプリーモは同時に訝しげな表情を浮かべ、揃って首を捻る。
「……五人?」
「暴漢役は六人じゃなかったかしら???」
 シルヴィアの暴漢設定として、敢えて五人揃って四天王という口上だったのか。それとも単にひとり忘れ去られていただけなのか。
 退場していったシルヴィアを捕まえて訊けば済む話だったのだが、もし後者だった場合、忘れられた当人が精神的ショックを受ける可能性もあった為、追うに追えなかった。
「……まぁ、聞かなかったことにしよう」
「そうね。こっちはこっちで、自分の仕事に専念しましょ」
 そんな訳で、黙殺された。

 物凄く面倒臭いバリケード超えを成し遂げた参加者達は、無駄な体力の消耗を強いられつつも何とか森を抜けて物見櫓の脇を通過しつつあった。
 ここで、次なる惨劇が始まる。オネエ・クラケーンの登場だ。
「はぁ~い、皆っすぁ~んッ! お待ちしておりましたわ~ん。アテクシこそが次なる障害。タコだけどイカしたキュートでパワフルな漢の娘、オネエ・クラケーンよぉんッ!」
 いいながら、何気に威力満点のキャノンを構えているのは確信犯だろうか。そんなオネエが参加者達に突きつけた要求はふたつ。
 ひとつはハグ。ひとつは蛸髭への濃厚なキス。
 それらが出来なければ、キャノンで吹っ飛ばして差し上げるという趣向らしい。
 ここでクテイが再び勝負に出た。
「よし、お前とお前とお前、逝ってこいッ! ここで男を上げるチャンスだぞッ!」
 前に突っ立っていた三人の村男を背後からどんと突き押し、オネエの前に生贄とばかりに差し出した。
 オネエもそこは分かっており、クテイとユーリエを先へ進ませる為に、差し出された三人へと敢えて喰らいついていった。
「よくお聞きなさいッ! グラオ・クローネの贈り物は貴重だから良いんじゃないのッ! 強請って手にしたお情けで貴方達は満足な訳ッ!?」
 実力で手にしたものこそが尊い、とオネエは熱弁する。見た目はアレだが、いってることは至極まともだ。
 鋭く心を打つ言葉の数々に、村の若い連中は次々とオネエの前で涙し、がっくりと膝をついた。
「オネエ先生……彼女が……欲しいです」

●男達の熱き戦い 終章
 シルヴィアのバリケードによる体力消耗と、オネエによる涙腺崩壊というふたつの障害を乗り越えて尚もフルマラソンを走り続ける者達は、中継点で怒涛の暴漢ラッシュに遭遇することとなる。
「樹理、口笛ッ! 彼らにジェット給水場アタックを仕掛けるわよッ!」
 2メートル以上にまで体格を大型化したキツネの指示を受けて、青汁を用意して待ち構える樹理と、あっつあつのチョコレイトドリンクを用意した口笛がそれぞれの給水用テーブルをコースの左右から一気に狭めてきて、参加者達に勝負を挑んだ。
 因みにジェット給水場アタックというのは単に語呂が良いからそう叫んだだけで、キツネ自身は給水場を模した罠を用意している訳ではない。
 ともあれ、先頭を駆けるユーリエには樹理が普通の水を、その後に続くクテイには口笛が適温のチョコレイトドリンクをそれぞれ手渡した。
「かぁーーッ! やっぱ女の子からのチョコってのは格別だぜッ!」
 やけに『女の子からの』を強調しつつ飲み干してゆくクテイ。
 これで村男共は完全に油断した。ここはごく普通の給水場だと、彼等はすっかり騙されたのだ。
 樹理の青汁は、被害としてはまだ小さい方だろう。内心では村男達に対して少なからず応援したい気分もある樹理だから、その優しさが滲み出る暴漢役だったともいえる。
「はい。ちゃんと飲んでね」
 村男ひとりひとりに手渡しながら、にっこりと極上の微笑を送る樹理。その美しさに心奪われた村男は決して少なくなかったが、青汁にむせて卒倒しそうになった連中も同数存在した。
 そして問題は、口笛だ。
 まともに手で掴めないほどにあっつあつに煮えたぎったチョコレイトドリンク入りのカップを、何気ない仕草で村男達に渡してゆく。
 大半は熱すぎてその場で取りこぼすのだが、そこで口笛からの毒舌が追い打ちをかける。
「何と。口笛からのチョコレイトが受け取れないでありますか。それとも、皆様方の覚悟はその程度でありますか。矢張りチョコレイトを受け取るには甲斐性が必要なのでありますな」
 したり顔で頷き続ける口笛の精神攻撃に打ちのめされた参加者達。口笛と樹理はもうあとひと押しでリタイヤだというところまで追い込む。
 ここで登場するのが、ママンことキツネだ。
 キツネは傷心に倒れた村男達を次々と優しく抱き込み、気絶しそうなほどに気持ち良いもふもふで優しく包んでやっていった。
「もふもふは良いわよぉ。チョコレイトや彼女なんて諦めて、一生もふもふなさいな」
 その甘い囁きに昇天しそうになっているところへ、一瞬で絞め落とすチョークスリーパー炸裂。
 更にその一方で――。
「おっと。足がしこたま滑ったであります」
 何とか根性であっつあつカップを受け取った村男に対し、口笛の癖の悪い足技が炸裂。
 あっつあつチョコを浴びた哀れな村男が悲鳴を上げているところに、今度は樹理が駆け寄って介抱してやるのだが、ここでもママンキツネの如き甘い囁きが。
「もうここまで頑張ったんだからさ、ここでゴールしても良いと思うよ。誰も責めたりはしないから。頑張った子には、お菓子あげるからね」
 ひとはこれを、ハニートラップという。
 否、正確には口笛のは単なるテロだが、樹理とキツネは間違いなく完璧なハニートラップで村男達を次々と落としていった。

 最後のトリを飾ったのは、プリーモだ。
 残り僅かとなった参加者達の前に、大量のチョコレイトを山積みにして待ち構えていた。
 村男達は精神的に疲弊し、もう警戒する心も忘れていた様子。
「わーッ! あれ、何だろうッ! 行ってみようよッ!」
 ユーリエは残る参加者達を上手く口車に乗せて、プリーモの罠へと導いていった。見事な連携だった。
「哀れな仔羊達よ。何故争うのですか」
 ここからプリーモの演説が始まった。チョコレイトを欲する心に、無償の愛を唱えるプリーモ。よくよく聞いたら何いってんだコイツで終わりそうな演説も、今の村男達にはずっしりと堪えるだろう。
 今が勝負所だ――プリーモの演説にすっかり心を奪われている村男に、ユーリエが懇願する仕草を見せた。
「僕もお兄ちゃん達と同じで、チョコレイトが欲しいんだよ~。だからここで、貰って行こうよぉ」
 ユーリエの熱い視線と、プリーモの何故か心にぐさぐさと突き刺さる演説。
 ふたりからのダブルインパクトに抗える村男など、ひとりも居なかった。
 そしてプリーモの演説は尚も続く。
「貴方達が愛してくれたチョコレイトは失われたッ! 何故でしょうッ!?」
 ここで何気にコースの外側で寛いでいたシルヴィアが「お菓子だからさ」と呟いていたのを、一体何人が聞いただろうか。
 それは兎も角、プリーモは更に吠え続けて村男達の心をがっちり掴んでいた。
「村民よッ! 悲しみを怒りに変えて立てよ村民よッ!」
 何か段々違う方向にアジってきてるような気もしないでもないが、最終的にプリーモは山積みのチョコレイトをばら撒いて、村男達の大半をその場に釘づけにしてしまった。
 ユーリエが率先してチョコレイトの雨を受け取ろうとしたからこそ、成功した、ともいえるのだが。

●思わぬ結末
 イレギュラーズ達の連携で、チョコレイトの尊さと偉大さを骨身に染みるまで理解した村民達。
 どういう理屈で理解するに至ったかは、敢えて語るまでもないだろう。
 一部、ママンのもふもふで違う方向性に目覚めた者も居たらしいが、その辺の詳しい顛末は不明のままだ。
 何やかんやあったがカラザールの思惑もしっかり達成され、そのついでに村コンもちゃんと開催された。
 全ては成功裏に終わったといって良い。
 クテイとシルヴィアが何故か村コン参加者に名を連ねていたのは謎といえば謎だが、そこはまぁ、ご愛敬ということで。
 だがその前にひとつだけ、思わぬ事態が生じていた。

 レース終了後、どういう訳かオクトとクテイのふたりだけがカラザールに呼び出された。
 屋敷に向かってみると、ふたりは何の説明も無く応接室に通された。
 室内で待ち受けていたカラザールはソファーに腰かけ、艶然とした笑みを湛えてふたりを待っていた。
「見事だったよ、ふたりとも。ところで僕は、そっち方面にも興味があるんだ。是非君達の純潔を僕に……くれないか」
 いいながら、カラザールはシャツのボタンをゆっくりと外し始めた為、オクトとクテイは慌てて逃げ出すという顛末があった。
 不審に感じたユーリエとシルヴィアが助けにきてくれなかったら、今頃ふたりは
「アッー」
 な展開になっていたかも知れない。
「ねぇ、大丈夫だった?」
「全く……まさか依頼人がああいう趣味の持ち主で、裏にあんな目的があったなんてな。まぁ村コン開催は本気らしいが」
 ユーリエとシルヴィアも、妙な危機感らしきものを感じていた。
 後にオクトは語る。
「あ、ありのままさっき起こったことを話すぜッ! 俺は奴の性癖をほんのちょっぴりだが体験した……い、いや、体験したというよりは、危うく掘られそうに(以下略)」

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 本シナリオを担当させて頂きました革酎です。
 このたびはご参加頂きまして、誠にありがとうございました。
 また新しいネタが思い浮かびましたらオープニングに出そうと思いますので、宜しければ是非。

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