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シナリオ詳細

ウォーキングカジキマグロ!

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●マグロ!
 まず、カジキマグロをご想像頂きたい。
 あの上あごがにゅーって出てていかにも刺さりそうなマグロである。
 それがどういうわけか海岸の波打ち際にざぷーんとやってきて、直立姿勢でこっちを見ているとしよう。
「マ……」
 口を僅かに開けたかとおもうと。
「マグロォ!」
 二本の足をはやしてヌッと立ち上がった!
 毛のない白く美しい素肌!
 形のよいくるぶし!
 美脚!
 の!
 マグロである!
「マグロオオオオオオオオオオ!!」
 美脚のカジキマグロ、通称『ウォーキングマグロ』は9月になると産卵のために浜へあがり走り回ることから旬とされていた。

●ウォーキングマグロを食べると一年健康でいられるって言われているよ
 旬もの。特に初ものは古今東西ありがたがられるものである。
「この時期、トロネギ島では初ウォーキングマグロがあがってくるので地元の漁師さんたちは大騒ぎなのです。
 ほら見てください」
 『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)が坂の下を指さすと、浜辺を猛ダッシュするカジキマグロを三叉槍かついだおっさんが猛烈に追いかけている光景が見えた。
「待てえええええええやあああ!」
「マグロオオオオオオオオ!!」
 さされてなるものかと逃げるマグロ。
 こいつを刺せば儲かるぜと追いかけるおっさん。
 そして転倒するおっさん。
「あのように、日頃海に出てお魚とりまくってるおっさんでもウォーキングマグロには手を焼くのです。
 ですから毎年、ウォーキングマグロには人手を増やして勝負すると決めているそうなのです!」
 ビッと依頼書を振りかざすユリーカ。
 内容は……そう、皆も予想しての通り、『ウォーキングマグロ狩り』である!
「ウォーキングマグロは海辺、町中、公園で見かけることができるのです!
 どうやら特別な衛生バリアがはられていて倒しても身がおいしく残るそうなので銃で撃とうが泥を投げようが全然OKなのだそうです。けどそのぶんこちらの攻撃をツルッとよけちゃいやすいので、よほど命中に自信がない場合は純ダメージで勝負をかけたほうが有効かも、とあのおっさんは言ってました」
 さっき砂浜で転んでたおっさんが起き上がり、こっちにビッと親指を立てた。
「さあ、今からあちこちに散らばって、ウォーキングマグロをとるのです! とるのです!!」

GMコメント

■ウォーキングマグロをとろう
 2~3人でチームを組み、浜辺、町中、公園のいずれかに行ってウォーキングマグロをとりましょう。
 とりかたは至って簡単。戦闘を挑み勝つだけ!

 ウォーキングマグロは衛生バリアによる回避・特殊抵抗アップ、美脚によるキック攻撃、そして決死のカジキマグロアタック(口で刺すやつ)で攻撃してくることでしょう。

■沢山とれたらご褒美!
 たくさんとれたら、あとで依頼主がウォーキングマグロをごちそうしてくれます。安心して、マグロ部分だから。
 お刺身、炙り、鍋、焼き物、しゃぶしゃぶ、あえてのネギトロ……好きな食べ方をオーダーしてみましょう!
 自分で料理するのも楽しそうですね!

■■■アドリブ度■■■
 ロールプレイをよりお楽しみいただくため、リプレイにはキャラクターのアドリブ描写を用いることがございます。
 プレイングやステータスシートに『アドリブ歓迎』『アドリブなし』といった形でお書きくだされば、度合いに応じて対応いたします。ぜひぜひご利用ください。

  • ウォーキングカジキマグロ!完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2019年09月27日 20時50分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

十夜 縁(p3p000099)
幻蒼海龍
クリュエル・テュポネス(p3p002595)
誘惑する蛇
ダークネス クイーン(p3p002874)
悪の秘密結社『XXX』総統
黒星 一晃(p3p004679)
黒一閃
ムー・シュルフ(p3p006473)
味覚の探求者
ワモン・C・デルモンテ(p3p007195)
生イカが好き
アウローラ=エレットローネ(p3p007207)
電子の海の精霊
ウィズィ ニャ ラァム(p3p007371)
私の航海誌

リプレイ

●ウォーキングマグロシーズンインザサン
「……メェ……」
 そよ風にゆれる前髪をなで上げて、『味覚の探求者』ムー・シュルフ(p3p006473)は遠い地平線を見た。
 見たついでに波打ち際を見ると、直立姿勢のカジキマグロ。
「マグロォ!」
 足はやしてニュッと立ち上がり待ちめがけて走り出すマグロ。
「……ウォーキングマグロの漁の時期が始まりましたメェ……」
 春先に顔をだしたツクシに微笑みますねみたいな穏やかな顔で、ムーは『料理は旬が一番ですメェ』と続けた。
 海辺に設置されたベンチに腰掛け、キセルをくわえる『黄昏き蒼の底』十夜 縁(p3p000099)。
「そういやもうそんな時期だったか。今年も活きのいいやつらが走り回ってるねぇ……」
 ぱ、と煙を輪っか状にして上げる十夜。
「魚はいらねぇから、あとで美味い酒をもらえるかい」
「……かしこまりましたメェ……海にピッタリのカクテルを作りますメェ……」
 そいつぁいい、と十夜は空を見上げた。

「……いや、なにを季節の風物詩を描いた日常モノみたいな空気をだしておるのだ? いまカジキマグロが足生やして走って行ったぞ?」
 たいがいどうかしてる世界から来ている『悪の秘密結社『XXX』総統』ダークネス クイーン(p3p002874)も、走るマグロには免疫がなかったらしい。
「親戚に網タイツ履いた鯛でもいるのか?」
「どうにも混沌には珍妙な生物が多すぎる……」
 全く付き合っていられんな、とても言いたげにシリアスな顔をする『墨染鴉』黒星 一晃(p3p004679)。
 まるで冗談が通じない目。合コンに誘ってもバイトあるからってすぐ断わりそうな目。遊園地にいって皆で同じミミカチューシャしよーって言っても一人だぇ別にいいって言ってそうな目である。これ伏線だから覚えて置いてね。
「空飛ぶペンギンに砂を泳ぐクジラもいれば今回は歩き回るカジキマグロかー。混沌は本当に色んな生き物がいるねー」
 『電子の海の精霊』アウローラ=エレットローネ(p3p007207)は夏を過ぎてもまだ暖かい海洋の海風に深呼吸をして、ぷはーと笑顔になった。
 たいがいおかしな住民だらけの練達から出ていても珍しいもんは珍しいらしい。
「たしかに、不思議な生物がいっぱいだね……?
 そういえば、どこかの世界だとカジキは武器になるとか…………いっぱい取れたら一匹分けてもらおうかな?」
 自身も軽く不思議生物ではあるが、そんな『誘惑する蛇』クリュエル・テュポネス(p3p002595)をもってしても足生やして走るマグロは不思議扱いであるらしい。
 というかここまで大体の人にとって不思議らしい。
 別に出身世界に限らず土地固有の季節モノによその人がビックリするのはどんな世界にもあることなのかもしれない。
 みんなだって結婚式のウェディングケーキがちくわで出来てたらビックリするでしょ。
 だがやはりマグロ。旬の海鮮という感覚は皆にあるようで。
「足はともかく、マグロは喰いたい。ワレラ オマエ マルカジリするぞ! スルゾー!」
「オー!」
 ガトリングを天高く振り上げ打ちまくる『海のヒーロー』ワモン・C・デルモンテ(p3p007195)。
「とれたてのマグロは格別にうまそーだし、腹いっぱい食うためにガンバルゾー!」
「ガンバルゾー!」
 同じく空に向けて巨大テーブルナイフを振り上げる『ハッピーエンドを紡ぐ女』ウィズィ ニャ ラァム(p3p007371)。
「で、作戦とかってあるんですか? 私はなんか、今から浜辺に陣取ってあがってくるマグロをとにかく刺すつもりですけど」
「そうだなー……」
 ワモンは両手(ヒレ)をぺっちんぺっちんとやってから、頭上にピコーンと豆電球(アザラシ顔がかいてあるやつ)を光らせた。
「相手がマグロだし、マグロの着ぐるみでもきればいいんじゃねーか? 地元の食材なんだしそういうゆるキャラあるだろ」
「あー、あるかもーですねー」
「まーオイラのチームメンバーはむっつり剣士とアラエイのバーテンダーだからなー。誰も付き合ってくれねーけどなー」
「でーすーよーねー!」
「だーよーなー!」
「「アハハハハハハハ!!」」

●マグロ三兄弟
「俺の名はマ黒星一晃」
 マグロの着ぐるみを着込んだ一晃がスクランブル交差点の真ん中に立っていた。
 もうマグロそのものっていうか、マグロをそのまま空洞にしただけみてーな物体から素足(むだ毛処理済み)をはやし、腕を出すとこがないので上あご部分の穴から刀(持ち主を血塗られた生に誘うとされる妖刀『血蛭』だそうです)をむき出しではやしたマグロ……もといマ黒星一晃がいた。挿絵申請お待ちしております。
「これでウォーキングマグロたちは俺を仲間と思い込むに違いない」
「おう、違いないぜ!」
 その横にはガトリングマグロ・C・デルモンテがいた。
 マグロに身を包むっていうかもう完全にラッピングされてマグロそのものになったワモンが『大漁』とかペイントされたガトリングを担いでいた。
「……勝ったも同然ですメェ……」
 マグロから素足(むだ毛処理済み)をはやし頭んとこから山羊の角を出したムーグロ・シュルフ。
 マグロの着ぐるみから足(むだ毛処理済み)だけを出したマグロ三兄弟です。一晃は口から刀を出し、ムーは山羊の角をやはし、ワモンは足を出さずに大漁とペイントされたガトリングを担いでいます。全員腕は出していません。ちなみに名前は順にマ黒星、ムーグロ、ガトリングマグロです。(挿絵申請をお待ちするために150字でコピペできるようにしておきました)
 もうこの時点で依頼終わってもいいんじゃないかと思ったけどよく考えたら本題まだだったんで今からいくね。
「マグロオオオオオオオ!!」
 猛烈な勢いで交差点を駆け抜けようと走るマグロ。
 キリッと振り向いたムーグロが目と角を光らせた。
「……マグロのくせに足を生やすなんて生意気ですメェ……! ……その足は美味しいんですメェ……!?」
「マグロォ!?」
 すれ違ったばかりのマグロがンだテメェみたいな目でターンする。
 はさまる両者の目線カットイン(マグロ)。
「マグロッ!」
 ウォーキングマグロによる上下反転スピンキック。ムーグロはガード姿勢でダメージを受け流していく。
 たまっていく超必殺ゲージ。
「頼りになるぜムーグロー!」
 声援を送りながら援護攻撃ボタンで飛び出してくるガトリングマグロ。
 ぴょいーんと高くジャンプすると斜め上から浴びせかけるようなマダコを乱射しはじめた。
「オイラの真蛸弾をくらいやがれー!」
 波のようにおこる爆発。多段ヒットしのけぞるマグロ。
 のけぞり中にムーグロは飛び退き、マ黒星とチェンジ。と同時に発動する超必殺技。
「零式閃術・彗星――ッ!」
 口?から出た刀でマグロを切り裂き走り抜けていくマ黒星。
「マ、マグロオオオオオオオオオ!!」
 ウォーキングマグロは断末魔をエコーさせながら飛び、バウンドして倒れた。

●通学路にある公園ってなにげに危険スポットだよね
 はーいマグロがくるよーと言いながら旗を振る緑のおじさん。地元小学校保護者会からなるこの組織は伝統ある(中略)だが今は全員XXX戦闘員バッジを割とむりやりつけられ臨時戦闘員扱いになっていた。
「悪の結社、公園……うむ!
 シチュエーションはばっちりであるな!
 相手が足生えたきしょいカジキマグロである事以外は!」
 戦闘員もふえてやる気百倍のダークネスクイーンである。
「フフフ……コネクション系スキルを特殊化する日も近いな」
「あの人たち普通のおじさんなんだよね? 戦闘員じゃないんだよね?」
 練達の外は不思議だなーって言いながら状況を軽く受け入れるアウローラ。
 と、そこへ。
「マグロァ!」
 跳躍&宙返りによってブロック塀を跳び越えてきたウォーキングマグロが、シュタっとシャープなポーズでアウローラたちの前に着地した。
 光る目、光るツノ(?)。
 アウローラはサイリウムマイクを手にとって、滑り台の上に駆け上がった。
「ウォーキングマグロ! 町中を走って漁師さんたちを困らせるのもここまでだよ! ここからは……アウローラちゃんのライブタイムだよ!」
「しまった、場の空気をもっていかれた!」
 名乗りシーンをとられたことに危機感をおぼえるダークネスクイーンである。
「それでは聞いてください! 『おさかな地獄』!」
 突然歌い始め半径5メートルをライブ空間に変えるアウローラ。
 ダークネスクイーンは出遅れてなるものかとロッドを翳した。
「いでよ――試製決戦自在兵器『ダーク・ミーティア・カラミティ』!」
 ロッドからばちばちはしった超電磁的なアレにより分解されていたくの字のソードパーツが次々に連結。巨大な赤い剣へとかわる。
「奥義『クイーン・ストラッシュ』!」
 跳躍、からのX字斬り。
 更にVの字斬りを組み合わせることによりマグロにXXXのマークを刻み込み大爆発を起こさせた。
 フッと不敵に笑いマグロに背を向けるダークネスクイーン。
 アウローラは公園の外でキャイキャイしている小学生たちに『ありがとー!』て言いながら手を振っていた。
「しまった最後も持って行かれた!」

●渚のマグロバット
 ベンチに腰掛け、キセルをふかす十夜。
 お気づきの方もおられようが、冒頭から一歩も動いていない十夜である。
「こちとらか弱いおっさんなもんでね。ここで見てていいかい」
「いいわけないでしょ」
「がんばれ☆ がんばれ☆」
 シャキーンと爪を光らせるクリュエル。
 ポンポンを両手に持って上下にふるウィズィニャラァム。
「おっさん、もう若い子の声援でやる気出る歳じゃあないんでね」
「こいつぅ☆」
 ウィズィニャラァムがポンポンを巨大テーブルナイフに持ち替えた、そのとき。
「マグロォオオオアア!」
 海から垂直発射でウォーキングマグロが飛び出した。
激しい縦回転とスーパーヒーロー着地(拳の代わりにツノをつくやつ)でクリュエルたちの前に現われると、目をぎらりと光らせた。
 振り返り、身構えるクリュエルとウィズィニャラァム。
 その奥で十夜はキセルを加えたまま小さく笑った。
「お前さん方も毎年ご苦労なことで。陸に上がった魚同士、仲良くしようや。な?」
「マグロォ!?」
 マグロの猛烈なツノ突撃が十夜を襲う。
 が、何気なく立ち上がり二歩あるいた十夜によって、ツノ突撃はかわされた。かわりに粉砕されるベンチ。
「おっと、仲良くって言っても、その物騒なモンを振り回してくるのは勘弁――うおぉっ!?」
「マグロオオオオオアアアアアッ!!」
 なら脚だとばかりにナイフのように鋭い跳び蹴りを繰り出すマグロ。
 十夜は思わず声をあげ、派手にのけぞることで蹴りを回避した。
 そのまま後方に転がり、キセルを右手に持ち替えくるりと逆手握りに回した。見る者が見なければ分からないが、回避だけでなく防御に気を遣いはじめた姿勢変化である。
 話の割には案外働いてる十夜を知ってか知らずか、クリュエルは間に割り込むようにして赤い爪を構えた。
 バチバチと赤い電流が走り、飛びかかるマグロの攻撃を反発力によって弾いていく。
「そのまま! そのままですよそのまま!」
 一方ウィズィニャラァムはマグロから距離をとり、スポーツ選手のやり投げみたいな姿勢をとって片目を瞑っていた。
「マグロォオオオオオッシャァイ!!」
 投擲。からの直撃。
「グロォ!?」
「ッシャアイ!! アアアイッ!」
 ガッツポーズをとりそのままダッシュ。からの跳び蹴りでナイフを更に押し込むウィズィニャラァム。
「マグロアアアッシャアアア!(いまですクリュエルさん!)」
 語彙力を引き替えにマグロを足止めするウィズィニャラァムを見よ。
「お言葉に甘えて、っていうのかな」
 クリュエルはたちまち姿を半人半蛇の形態に変化させると、うねる蛇しっぽに紅蓮の雷を纏わせマグロめがけて叩き付けた。
 マグロを貫き余った電流がほとばしり、破壊されたベンチを更に破壊する。
 おっとあぶねえといって紙一重で交わす十夜。
「ま、これで一匹。あと何匹がノルマだったかねぇ……」
 十夜はキセルを左手の鉛筆持ちに切り替えると、ふうと小さく息をついた。

●かくしてマグロの旬が来る
 毎年やってくるウォーキングマグロの季節に対応すべく地元住民は定期的にマグロ処理ボランティアを募り地域経済と交流の活性化を(中略)けど全員XXX戦闘員バッチをつけられ臨時戦闘員になっていた。
「我、この芸風いけるかもしれんな……」
 ダークネスクイーンがちょっと味を占めた顔をして、乱れた公園の土をトンボがけしていた。XXX戦闘員バッチが欲しいひとは専用クエストに行ってみようね。ほんとに貰えるから。
 一通りトンボがけを終えたら、気合いの入った臨時戦闘員スーツのおっさんと腕組みをして並んだ。
「良い子の諸君!」
「魚は足が速いと言うが、それは決して魚に足が生えているという訳ではないそ!」

 足といえば。
 地元では食べられずに処理されるというウォーキングマグロの足は、公園の花壇や近隣の畑に逆さに突き刺す感じで並んでいた。
 どうやら土壌をよくするらしいが知らないひとからしたらもう凄惨な殺人現場にしかみえねえ。
「……この地方の人は……ウォーキングマグロの足を捨てる習慣があるようですメェ……」
 カニを多くとる地域でもカニミソを捨てる習慣のある国や民族もあるらしい。それと同じようなものだろう。
 公園のベンチとテーブルのあるスペースにて。
 ムーは一本だけもらってきたウォーキングマグロ足に道具を突っ込み、それこそカニの身を出す感じでしゃこしゃこ中身をかきだした。
 そして生のままつまんでみる。
「……このように、ウォーキングマグロの足はカニとシーチキンとヒトデを混ぜたような味わいと食感があるんですメェ……珍味ですメェ……」
「…………」
 全然想像がつかないけどとりあえず食べないよ? という顔をしている十夜。
 彼はいわゆるシーフード食べれない系ディープシーである。ディープシー全部がそうってわけじゃないし割と少数派らしいが、探すと結構いるらしい。
 さておき。
「約束のカクテルをくれるかい」
「……メェ……」
 ムーが手早くカクテルを作ると、十夜の前にトンとグラスを置いた。

 マグロの口からにゅるっと飛び出す一晃。
「食う時の俺は黒星一晃でなくてはならん」
「俺もワモンになるぜ!」
 同じくにゅるっと口から出てくるワモン。
 二人の前に用意されたのは刺身。
 割り箸を手に取り、手を合わせる二人。
 ひとつつまんで口に運んでみると、まるで身体になじむようにさらっと溶けてうまみを広げるマグロ肉。
「うまい……」
「だな。けど刺身もいいが――」
 カッと同時に振り向く一晃とワモン。
「ヅケ丼だ!」
「シャブシャブだ!」
 どんぶりを手に取る一晃。昆布の沈んだ鍋に刺身を翳すワモン。
 その後のことは、言うまでもあるまい……!

「ぷっふぁーー! 最高ですねー!」
 左手に黒ビール。右手にブロック状のマグロ串。バーベキュースタイルとなったウィズィニャラァムは左右を交互にがっふがっふしていた。
 ウォーキングマグロは比較的肉感が強く、バーベキューにした時の身のしまりと油がビールにやたら合うのだ。
 一緒になって食べるアウローラとクリュエル。
 人数が多ければ多いほどバーベキューが楽しいというリア充的理論によって場はわいわい盛り上がり、そして皆は腹を満たし依頼料ももらい、そして帰って行ったのであった。
 だが満たされたのは彼らだけでは無い。
 この町の人々の食卓と、経済と、交流と、そして未来が明るくマグロに満たされたのである。

成否

成功

MVP

黒星 一晃(p3p004679)
黒一閃

状態異常

なし

あとがき

 ――maguro complete!

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