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シナリオ詳細

砂漠で暴れる魔物クジラ
砂漠で暴れる魔物クジラ

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


 傭兵、ラサでは現在、色々事件が起きている状況だが、そんな中で我関せずとばかりに暴れている魔物が確認された。
 場所は、とある街の近くの砂漠。
 そこには、突如として全長20mもの大きさがある魔物クジラが現れ、優雅に砂の中を泳いでいる。
 しかし、ただ泳いでいるだけではなく、そいつは時折人々にも襲い掛かっているようだ。
 街の方へと向かってきて巨大な尻尾を叩きつけて建物を破壊してきたり、砂漠を縦断しようとする行商人やキャラバンへと砂を噴き出して邪魔したりしているようだ。
 ――このままでは、街の存続も危ぶまれる。
 そう判断した住民達は、魔物クジラの討伐依頼をローレットへと出すのである。


 幻想ローレット内にて。
「傭兵で、魔物討伐依頼が出ています」
 『穏やかな心』アクアベル・カルローネ(p3n000045)が淡々とした態度で説明を行う。
「あ、いえ、今回は砂の魔物ではないのです」
 先にと彼女は断っていたが、たまたま活動が活発になった魔物が人々へと襲い掛かっているらしい。
 ラサの国内が混乱している中での出現、襲撃とあって、非常に始末が悪い相手だ。

 貼りだしていた依頼書の一つを手に取った彼女は、そのまま説明を始める。
「とある街のそばにある砂漠に、非常に大きな体躯を持つ魔物クジラが現れたのだそうです」
 シロナガスクジラを思わせる姿の魔物で、全長が20mもある。
 ただ、砂漠を泳いでいるだけならよいのだが、砂漠を行くキャラバン隊などに砂を吹きかけたり、街目がけて尻尾を叩きつけて建物を破壊したりしてくるから放置もできぬ状況だ。
「下手をすれば、街が壊滅させられる危険があり、街の住民達も眠れぬ夜を過ごしています」
 出来るだけ早くこの魔物クジラを討伐し、住民達を安心させたい。
 魔物クジラは尻尾を広範囲に叩きつける他、潮の代わりに外敵へと砂を噴きかけ、大声で咆哮、高く飛び上がってから砂に潜って地面を大きく揺らすなどの攻撃を行う。
 また、同じ砂漠には、10数体の砂魚達がいる。
 能力的にはさほど脅威的な存在ではないが、魔物クジラに近づこうとすると邪魔をしてくるらしい。
 全長1~1.5m程あり、中途半端に大きい敵な為、クジラへと接敵するにも障害となりそうだ。
 だが、その砂魚どもの駆除に時間をかけていると、魔物クジラの強力な攻撃で壊滅しかねないので、効率よく対処したい。
「大変な相手ですが、どうか討伐をよろしくお願いいたします」
 街の人々が安心して暮らせるように、討伐に参加を。
 アクアベルは最後にそうイレギュラーズ達へと願うのである。

GMコメント

 イレギュラーズの皆様こんにちは。なちゅいです。
 傭兵某所の街に現れる魔物の討伐を願います。
 なお、今回の事件は砂の魔物事件とは無関係ですので、予めご了承くださいませ。

●敵……魔物
◎クジラ×1体
 全長20mほどもあるシロナガスクジラに似た魔物です。

・テールアタック……(A)物中列・ブレイク・飛
・咆哮……(A)神遠域・麻痺・足止
・砂噴き……(A)神遠扇・万能・窒息・暗闇
・グラインドアタック……(A)物特レ・泥沼(自身を中心に半径10m以内)
・大物の余裕……(P)怒り無効

◎砂魚×15体
 身長1~1.5mほど。砂でできた魚の怪物です。
 さほど特徴のない敵で、かみつき、突撃を仕掛けてくるようです。
 クジラへの接敵を邪魔してくるようです。

●状況
 とある街の近くに出没する魔物クジラの討伐をすればいいのですが、砂魚達が邪魔してくるので、うまく立ち回る必要があるでしょう。
 事後はオアシスで水浴びなどいかがでしょうか。砂にまみれた体を洗い流してくださいね。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

 それでは、よろしくお願いいたします。

  • 砂漠で暴れる魔物クジラ完了
  • GM名なちゅい
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2019年09月11日 21時40分
  • 参加人数 8/8人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ユーリエ・シュトラール(p3p001160)
愛の吸血鬼
ダルタニア(p3p001301)
魔導神官戦士
ルルリア・ルルフェルルーク(p3p001317)
暗躍する義賊さん
ゲオルグ=レオンハート(p3p001983)
天穹を翔ける銀狼
アルム・シュタール(p3p004375)
堅牢なる楯-Servitor of steel-
グレン・ロジャース(p3p005709)
不沈要塞
アウローラ=エレットローネ(p3p007207)
電子の海の精霊
天狼 カナタ(p3p007224)
彼方の銀狼

リプレイ


 傭兵、ラサのとある街。
 そこに一旦立ち寄ったローレット、イレギュラーズ達は街に隣接した砂漠へと向かう。
「さて、砂漠に大きなクジラという、珍しいものが出てきますようですね」
 ダルメシアンの特徴を持つ犬の獣人、『魔導神官戦士』ダルタニア(p3p001301)の言葉をきっかけに、メンバー達は今回の相手について語り合う。
「砂の中で泳げるクジラさんかー。それはそれで面白そうな風景だよね」
 背中ほどまで伸びた水色の髪を揺らす『電子の海の精霊』アウローラ=エレットローネ(p3p007207)は思ったことをマイペースに告げる。
「クジラって喰えるんだったか。もし喰えるなら喰ってみたいもんだな」
 傷を押しての参加、狼の獣種の『彼方の銀狼』天狼 カナタ(p3p007224)がラサにいた頃を思い返し、食べることができなかったと語ると。
「くっ……、こんな巨大なクジラを放置していてはルルの胃袋に……」
 旅人だが、狐獣人族の少女である『暗躍する義賊さん』ルルリア・ルルフェルルーク(p3p001317)も少しばかり本音を漏らしつつ。
「じゃなかった……街の人たちに被害がでてしまうのですっ!」
 許すことはできないと、彼女はこの事態を重く見ている一面も見せた。
 茶髪の長い髪を左だけ赤白ボーダー柄のリボンで縛った『愛の吸血鬼』ユーリエ・シュトラール(p3p001160)もまた、この状況を憂慮していて。
「もし、20mをも超える体長のクジラが街に押し寄せてきたら……、及ぼす被害は計り知れません」
「さすがに、住民の不安も相当なものだったからな」
 筋肉粒々でやや強面な印象のある『天穹を翔ける銀狼』ゲオルグ=レオンハート(p3p001983)は、立ち寄った街の雰囲気が沈み込んでいたことを感じとり、早めに対処せねばと考えていた。
「そうだね、色んな人に危害を加えるのは良くないから」
「ええ、さすがに、街に被害が出るような状況は阻止しなくてはいけませんね」
 アウローラもダルタニアもゲオルグに同意し、魔物となったクジラの討伐に強い意欲を見せていたようだ。


 さて、砂漠を歩いていると、砂を噴き出しながら移動する巨体にメンバー達はすぐ気づく。
 巨体を優雅に砂の中に浮かべ、泳ぐクジラ。
 ただ、魔物となり果て、近づく人間に害をもたらす存在となり果てている。
「これだけの巨体、身体を使った攻撃もある」
 こちらも重傷の中での参戦、二枚目を気取る十三鎧を纏った騎士『紅蓮の盾』グレン・ロジャース(p3p005709)は、事前に知らされていた相手のスキルから、ほとんどは反対方向に攻撃できないはずと考えて。
「なら、位置取りが大事だな」
 イレギュラーズ一行は8人のチームを4人2組に分け、左右から攻める作戦を立てる。
 こちらはA班。右からから攻めるというグレンを盾役として、ユーリエ、ゲオルグ、カナタの編成だ。
「さて、狩りを始めようか。なに、狼も魚捕りぐらいはするもんだ」
 カナタがそう告げると、砂漠に泳ぐ魚もあちらこちらに生息しており、近づくイレギュラーズ達を捕食しようとしていたようだ。
「なんとしても。私たちで止めなければ!」
 右手首の鎖を緑色に輝かせたユーリエは温度視覚を使いつつ、グレンに砂魚のいる場所を示していく。
 クジラ討伐に当たり、砂魚達は邪魔な存在。それらをグレンが引き付ける手はずとなっている。
「この手の砂の中を潜るモンスターは視力が弱く、聴力が強いことが多いというからな」
 魚達を危険視したカナタが奇襲を警戒しつつ、ギフトの遠吠えを使って見せて。
「ワォオオーンッ!」
 全力での彼の咆哮に砂魚達も僅かに身を硬直していたが、すぐにこちらへと泳いできていたようだった。

 一方、左から回り込むB班は『堅牢なる楯-Servitor of steel-』アルム・シュタール(p3p004375)を盾役とし、ダルタニア、ルルリア、アウローラといった顔ぶれだ。
「随分と大きな生き物ですわネ」
 鉄腕メイドの異名も持つ鉄騎種のアルムは頑丈さには自信があるらしく、白銀の『護盾アルジャン』を構えて接敵していく。
「ときにクジラの肉は珍味と聞いたのですが、このクジラの肉は食べられるのでしょうカ」
「ついでに食べられたら食べるのです……! ……ついでですよ?」
 アルムが改めてそう口にすると、ルルリアがなおも強い興味を示したことで、メンバーからは笑いも上がっていた。
 アルムはメイドとして、刹那事後の調理方法について脳裏に過らせていたが、その巨体の接近に我を取り戻して。
「おっと、それより今は目の前の敵に集中致しましょウ」
 見上げるほどの体躯を持つ魔物クジラは、その巨体故に攻撃を外すことの方が難しい。
「その分、生命力は高いと思いますが、何処まで削れるかですかね」
「街の平和のために、ルルがクジラさんを駆除してあげますっ」
 班の後方からダルタニアは敵を見上げると、その隣のルルリアがビシッと相手に言い放つ。
 だが、その周囲には砂魚達が接近していて。
「頑張って退治していくよー!」
 笑顔を浮かべ、アウローラは同班の仲間達と共に魔物達の討伐へと当たっていくのだった。


 巨大な魔物クジラへと近づいていくイレギュラーズ達。
 右手側A班はグレンが前に出て、群がってくる邪魔な砂魚を相手取る。
「ったく、大魚のお零れ狙って、雑魚がわらわらと集まりやがって」
 群がる砂魚どもへと、グレンが叫びかける。
「噛み付いて来いよ、食えるもんならな!」
 名乗りを上げたグレンへと集まっていく砂魚。
 彼は自らへとリジェネレートを使って再生の力を得て、魚達を抑えようとする。
 それらを纏め、カナタが複数の敵を巻き込んで。
「アオオォォーーン!」
 魚達を弱らせようと咆哮を上げることで、相手に纏めてショックを与えていった。
 そのうちの1体目がけ、ユーリエが生命力を削って生み出した赤黒い鎖で砂魚を締め付け、仕留めていく。
 ゲオルグは回復手としてこちら側へと布陣しているが、被害が軽微であれば攻撃にも打って出る。
「数が多いと、クジラに集中出来なくなるからな」
 背に生み出した光翼を羽ばたかせ、ゲオルグは砂魚達の体を切り刻むと、すでに砂魚の1体は砂の上にぐったりとその身を横たえてしまう。
 クジラの意識がこちらに向いていないこともあり、A班メンバーは手早く砂魚の殲滅を進めていたようだ。

 逆サイド、左側のB班。
 こちらにも砂魚が邪魔するよう群がっており、それらの引きつけに当たるアルムが不動の構えで対する。
「さあ、ワタクシが相手になりまス」
 すると、砂魚達がアルム目がけて突撃し、さらに大きく口を開けて食らいついてくる。
 やはり、こちらのメンバーもクジラへと攻め入る為にその砂魚の討伐から当たる形だ。
 アウローラはできるだけ多くの砂魚を捉え、連なる雷撃を発していた。
 砂漠の上をまるで蛇のようにうねり、のたうつ雷は、砂の中を住処としている魚達を纏めて灼いていく。
 さらに反応の高さを生かしてアウローラは砂の上を立ち回り、相手の死角に回れるようにと移動していた。
 同じく、ルルリアも取り巻きとなる雑魚達目がけ、『漆黒魔銃テンペスタ』で攻撃を仕掛けるのだが、彼女はそれらの頭上目がけて銃弾を飛ばす。
 すると、空間に魔法陣が描かれていき、そこから光属性の槍……魔弾を降り注がせて敵の体を撃ち抜いていく。
 なお、クジラの意識はこちら側に向いていた。
 砂を噴射してくる敵を抑えるアルムは体力を削られおり、彼女の回復は急務だ。
「さて、神官の務めもしますか。天に輝く月に済む神狼よ、仲間たちに祝福を」
 クジラの動きを一度様子見したダルタニア。
 彼は呼び出した召喚物の発する癒しの力で、アルムを中心として回復へと当たっていく形だ。

 その後は、順調にメンバー達は砂魚の数を減らしていく。
 A班はクジラの注意が向いていないことをよいことに、手早く砂魚達の数を減らす。
 切れ目の無い刺突と斬撃を繰り返してカナタが1匹を仕留めると、ユーリエが再び鎖を操って1体を締め付けて倒してしまう。
 砂魚が減ってきたことで、グレンも「守護聖剣ノルン」を叩きつけて1体を叩き斬り、全力移動で砂魚達を突破してクジラへと近づいていく。
 逆側、B班はその分苦しい。
「奏でるは魔法の重ね唄!」
 アウローラが魔曲・四重奏を歌うことで多重展開した魔術で1体を倒せば、砂に隠れる敵を見定めたルルリアが地響き等の音を聞き逃さずに再度上空の魔法陣から魔弾で撃ち抜いていく。
 ダルタニアがヒールオーダーで回復支援してくれる中、砂魚の数が減ってきたこともあり、クジラへと近づき、その攻撃へと移行していくのである。


 序盤、魔物クジラはB班メンバーに気を取られていたようで、そちらへと砂を噴き出し、尻尾を叩きつけていた。
 グレンはそいつをしっかりとマークし、騎士盾「シリウス」を構えてみせて。
「俺の盾はデカブツ相手だろうと防ぐってな!」
 ゲオルグの回復に感謝しながらも、彼は同じ班の面々に全力での攻撃を託し、この場を耐え凌ごうとする。
 アルムも左側から接敵し、防御に徹して自身の傷の修復に当たるが、それまでのダメージが大きい。
 そこで、クジラが高く宙を飛ぶ。
 次の瞬間、地面の砂目がけてダイブすると、鯨の周囲の地面が大きく揺さぶられた。
 それにより、この場のメンバー達も強い衝撃を受けてしまって。
 疲弊していたアルムはパンドラの力を借り、その一撃に耐えていたようだ。
「うまく、立ち位置を考えねばならんな」
 できるだけ、仲間を範囲に入れて回復したいところだが、あまりグレンから離れるとカバーから外れてしまう。
 彼は仲間達の体力を一定以上保つよう気掛けながらも、天使の歌を響かせて仲間の回復に当たっていく。
 下手に近づくのは危険と判断したユーリエは、砂魚との交戦時と同様に赤黒い鎖を具現化して。
「クジラは音で察知するみたいですね」
 ならば、頭を狙い、ユーリエはクジラを縛り付けようとする。
「デカくて隙だらけだ」
 カナタはその巨大目がけて銀狼の速さで特攻し、一撃を与えて離脱していく。
 序盤、砂魚だけを相手していたこともあって体力を残してはいるカナタだが、反動は大きい。状況を見ながら彼は攻撃を繰り返す。
 ダルタニアはアルムの疲弊度合いを気にするが、他のメンバーとて傷は浅くない。
 彼は堅実に仲間を一人ずつ回復に回り、ヒールオーダーを使い続ける。
 ダルタニアの回復支援を、ルルリアも助ける。
 ハイ・ヒールを振りまいてアルムを癒しながらも、ルルリアは合間に魔銃をクジラへと向け、悪意と共に引き金を引いて相手を撃ち抜いていた。
「どーですか! ルルの華麗な銃捌きはっ。これでクジラさんをぎゃふんと言わせて食べ……倒してやります!」
 どや顔して、ルルリアはさらに引き金を引く。
 続き、クジラが動くよりも速く、アウローラが砂の中から巨大な土塊の拳を生やして。
「潰れちゃえー!」
 その拳は強く敵を殴りつけていき、確実にその巨体にダメージを蓄積させていく。
 いくら体躯が大きく、悠然とした態度のクジラであっても、これだけ傷が増えれば自らの危機を察したのだろう。
 ブオオオオオオオオオオオオオオ!!
 空気を震わせて大声で吠え、衝撃波が砂漠の上を駆け巡る。
「くう……!」
 体の芯から揺るがされ、神経がマヒしてしまうほどの威力のある咆哮に、グレンは自らの盾を身構えて絶対防御の態勢を崩さない。
「最後まで倒れない必要はねえ。俺より先に倒れる仲間がいなきゃな!」
 アルムの負担が大きい分、こちらに敵の意識を集めたいと考えるグレン。
 ゲオルグも光翼を羽ばたかせ、仲間が動けるようにと治癒の力を振りまき続ける。
「踏ん張りどころだぞ。私が支える。持ちこたえてくれ」
 また、ゲオルグは仲間の気力回復の為、声援も送り続けていた。

 左右から攻め込むイレギュラーズ達に対し、クジラは自らの巨体で地面を叩きつけ、さらに咆哮を上げるなど、左右両方の班を一気に攻撃できるよう意識して攻撃を繰り返す。
「あまり近づきすぎると、敵の思うツボでス!」
 基本的に魔物クジラの攻撃は広範囲に及ぶ為、アルムもできるだけA、B班が固まらぬよう注意を促す。
 そのアルムが最も苦しい状態であり、ダルタニアも気力が続く限り癒やしに当たる。
 全身を傷つかせ、魔物クジラも大きく喘ぎ始めていた。
 その声を聞きつけてか、残っていた砂魚達が集まってくる。
「砂魚が来ます!」
「アオオォォーーン!」
 A班で最年少のユーリエが温度感知でその接近を感知すると、カナタがそちらを向いて咆哮を上げ、砂魚の動きを制しようとした。
「アイツら集る習性あるからな」
 奇襲を警戒し続けるのも、神経をすり減らしてしまう。
 ただ、全身を傷つけ、血を流す魔物クジラも限界が近い。
 気力が尽きかけたルルリアが魔銃で相手の体を撃ち抜けば、こちらも限界が近づいていたアウローラが大きく息を吸って。
「アウローラちゃんの唄に聴き惚れて!
 感情をこめてアウローラが全力で響かせるのは、相手の精神を奪い取っていく。
 ブオオォォォォ…………。
 弱々しく嘶く魔物クジラ。
 そいつの目からようやく光が消え、その巨体を完全に砂の上へと横たえてしまったのだった。


 無事に魔物達を討伐して。
 砂漠で討伐を完了させたこともあり、人的、物的被害がなかったのは良かったところだ。
「皆、大丈夫ー?」
 アウローラは共に戦った仲間達の怪我を気遣う。
 アルムが若干傷を負っていたが、動くのには支障はなさそうだ。
「この砂漠にも、色々と問題はありそうですが」
 ダルタニアはこの地の生態系などの問題を示唆するが、残念ながらどんな異常があるのかわからぬ以上すぐには動けず、この場は魔物の討伐を持って依頼終了とせざるを得ない状況だ。
 事後処理に当たるゲオルグは砂魚を砂の中に埋めて弔うが、さすがにクジラの巨体はどうすることもできず。
「せめて、冥福だけでも祈らせてもらうとしよう」
 一通り祈りを捧げた後、その肉へとルルリアが目を光らせれば、アルムが一部を切り取り、持ち帰ることにしていた。
 このまま放置して朽ちていくだけであれば、ある意味でクジラも本望ではないだろうか。

 街へと戻るイレギュラーズ達。
 砂ぼこりで軽く咳込むユーリエは、街の人達に案内されたオアシスを前に、晴れやかな表情をして。
「水浴びしましょうー!」
 気持ちよさそうに水浴びを始めたユーリエは、水芸を知っていると仲間達へと告げて。
「披露してみますね! 皆さん、見ててください!」
 大道芸を活かし、ユーリエは掲げた両手から小さな噴水のように水を出して見せる。
「おう、あのクジラの攻撃を真っ向から受け止めてやったぜ!」
 そこで水浴びするグレンは水芸を楽しむ現地民と語らいながら、武勇伝を語り、自らの筋肉をアピールして見せていた。
 惜しむらくは重傷だったことか。グレンは傷口に水が沁みてしまっていたようだ。
 カナタも重傷ながらもざぶんとオアシスに飛び込み、犬かきして泳いでいた。
「ん? ラサの傭兵だとこれが普通だぞ?」
 少なくとも、カナタの所属していた獣人部隊では普通であったらしい。
 彼はその時と同じように砂っぽく汚れた銀毛を綺麗にして満足げに頷き、人が近くにいないことを確認して全身を振るわせて水を払っていた。
「やはり、戦闘をすると砂は入り込んでくるものだな」
 少し離れた場所では、ゲオルグが着こんできた服の中の砂を丁寧に洗い落としている。
 そこで、ユーリエがオアシスの中でくるくる回転し、様々な体勢から水を出し、仲間達でなく、涼をとったり、水を汲みに来たりしていた人々も楽しませてみせた。
 なお、水瓶となる部分は水浴び場とは別枠なので安心である。
 ユーリエは最後まで失敗せず水芸をやり切り、巻き起こる拍手に気を良くしていたようだ。

「皆様、お疲れ様でしタ」
 早々にオアシスで砂を落としていたアルムは、仲間達に労う為にとお茶を淹れていた。
「よろしけれバ、こちらもいかがでしょウ」
 さらに、アルムは切り分けたクジラ肉を竜田揚げや生姜焼きにして仲間達だけでなく、オアシスへと立ち寄った人々にも振舞っていく。
 カナタが興味深そうに手に取っていたが、それ以上にクジラ肉へと飛びついていたのは……。
「……食べられるって誰かがいってたのを耳にしたので、いけるはずです!」
 やはりと言うべきか、ルルリアである。
「珍味ですよ、珍味っ!」
 彼女は食べるだけでなく、ハンバーグやステーキと豪快に調理もしており、同じくオアシスにいた人々へとお裾分けしていた。
 街は守られ、人々の腹も満たして。
 害なす魔物は一転、思わぬ味を砂漠の民にもたらしてくれたのである。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

リプレイ、公開です。
街の人達もこれで安心して暮らせることと思います。
今回はご参加、ありがとうございました!

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