PandoraPartyProject

シナリオ詳細

真夏のゴブりん!
真夏のゴブりん!

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●飛沫を上げて奴等はやって来る
 真夏の祭事(イベント)として、暑い日々の中で人が水を求める事に何の不思議があろうか。
 混沌で『海』と切って離せぬ関係の国と言えばネオ・フロンティア海洋王国に他ならないのなら。当然そこには『絶望の青』を一目見ようと来る者から水に惹かれ来る者、祭事を楽しみに来る者まで様々である。
 その為、国外から訪れる者が増えれば警備を強化する事もまた必然だった。
 あくまで日常的な範疇、多忙と言うほどではない。だがそこで海洋の近海に『招かれざる者』が現れればその対応に追われる事を避けたいのも常。
 特に――面倒なだけでまるで実にならぬ相手の時は。

「くっそ! 奴等はまだこの国の近海に身を潜めていたのか!?」
「ええい、忌々しい。特異運命座標でも根絶やしに出来ないという事か……」
「しっかりしろ鳥種の警備班が信号弾に気付いてもこちらへ駆け付けるのに数分は必要だ! 船を沈められたら面倒だぞ!」
「船上で迎撃するのも厄介だがなぁ……!」

 海洋首都・近海警備隊。
 彼等は今まさに、貿易航路を守る為突如現れた魔物の対処に手を焼いていた。
 その正体はゴブリン――海の上を疾走し商船を襲う事を覚えた、波乗り(サーファー)の特性を得た害悪極まりないモンスターである。
「ぐぁあっ! やられた……!」
「傷の手当てをする、頭を下げろ!」
 波を利用してのジャンプ突撃。サーフボードでの滑空体当り。数に物を言わせた一方的な戦略。
 陸地で相対したなら例え少数でも捌き切れると断言できよう有象無象に等しき魔物、それが、たかが特殊なボードに乗って海を駆けるようになっただけで海賊さながらの脅威になっている。
 仲間達が一人、また一人と倒れ行く中。警備隊員の男は歯噛みする。
「貴様等ァ……絶対に、駆逐してやるゥゥゥァァッッ!!!」

●海上のゴブリン退治
 そういえばそんな連中がいましたね。
 『迷走屋』ミリタリア・シュトラーセ(p3n000037)はふう、と息を吐いて言った。
「ああ、すみません。ゴブリンと言うと私はどうにも良い思い出が無い物でして……コボルトとか。
 今回の依頼は海洋の近海警備隊への助力要請に基づく物です。
 場所は近海沖、貿易船の航行ルートである海上にて最近出没している波乗りゴブリンを複数討伐して頂きます」
 ミリタリアは紅茶をひと口啜りながらスーツを一枚脱いだ。
「……今年の夏も私。何処にも行けてないんですよ」
 イレギュラーズの面々は何の事だろうという顔で頷いた。
「波乗りゴブリンの群れは大体16体ほど確認されており、かなり大きめの群れの様です。
 これによる被害も商船一隻襲われれば冗談ではない額となっているので、一匹も逃さないように願います。
 とはいえ逃げ出すのは多分、皆様の人数が8とするなら連中は5体になるまでは粘るでしょう。負けず嫌いですからね、海のゴブリンは」
 それよりもこれを見てください、と。ミリタリアは懐から一枚のサーフボードの模型を取り出して卓上に置いて見せた。

「今回、皆様には警備隊からモーターボートを貸し出される以外に練達の研究機関が改良した、
 『サーフボードMk.2』というジェット機構を備えた海上戦闘に特化した装備が支給されるようです。
 扱いは難しく多少の技量は必要になりますが……この暑い夏の海です。ゴブリンに負けず波に乗ってみるのも良いかも知れませんね」
 ミリタリアは詳細資料を卓に配りながらそう言うと、一筋の涙を流した。
 海に行きたかったらしい。よっぽど。

GMコメント

 ちくわイアットアープです、よろしくお願いします。
 ゴブリンをゴブゴブする系シナリオです。

 以下情報

⚫︎依頼成功条件
 サーファーゴブリンの殲滅

⚫︎情報精度A
 不測の事態は発生しません。

⚫︎ロケーション
 海洋首都近海沖。波は比較的穏やか。ばりくそアッヅイ晴天。海キモチイイ。
 今回、特に皆様が【小型船】等のアイテムを持ち込まなければ海洋警備隊から貸し出されたボート二隻を用いて現場へ向かいます。
 その為、操舵手によって接敵時の状況が変わります。
 リプレイ開始は接敵前から、でありますゆえ接敵前に如何に先手を取るか迎撃するかで戦況運びも変わって来るかと思います。

 【各種補正】
 飛行・水泳または水中行動といった海上海中に有利なスキル・アイテム等がある場合、戦闘での判定マイナス補正を相殺。またはプラスします。
 今回水中戦闘に関しては何も用意してない(スキル含)状態で命中・回避・反応・機動力にマイナスが入ります。FB値は触れません。

⚫︎サーファーゴブリン
 『ゴブリン』×16体
 バリバリの波乗りサーファー。
 いずれも特殊なサーフボードに乗っている為、通常よりも高回避・高機動・高EXAとなっています。
 波乗りジャンプによる物中単クラスの斬りつけや大量のワカメを叩き付ける近接攻撃など。

▼各ガジェット
 『警備隊用モーターボート』
 速度は出せますが安定感がなく、耐久性に不安があります。
 操舵手の反応値が40以上で最大船速を出す事ができ、この場合は毎ターンこの船に乗船しているPCは操舵手と同時に行動する事が可能です。

 『サーフボードMk.2』
 希望があれば八基の改造ボードが貸し与えられます。
 ボードに内蔵された水圧ジェットブースターによってジェットスキーさながらの解放感が味わえる逸品。
 【超反射神経】がある場合、海上における各補正が上昇。その他、反応値に応じて段階的に性能が上昇したりします。
 補正が加算されるのは命中・回避・反応・機動力の四点。

※(ボードに乗る場合、上記スキルやステータスが無くてもプレイングで他スキルやギフトを交えたりして乗りこなそうとする記述があれば乗れます)
 
 以上。

 最近夏風邪で死にかけたので皆様もお気をつけ下さい、というわけでレッツ真夏日の炎天下サーフィン!!!
 皆様の素敵なプレイングをお待ちしております!

  • 真夏のゴブりん!完了
  • GM名ちくわブレード
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2019年08月31日 22時40分
  • 参加人数 8/8人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

十夜 縁(p3p000099)
黄昏き蒼の底
ティア・マヤ・ラグレン(p3p000593)
穢翼の死神
フレイ・カミイ(p3p001369)
海音寺 潮(p3p001498)
揺蕩う老魚
秋宮・史之(p3p002233)
女王忠節
津久見・弥恵(p3p005208)
嫣然の舞姫
オジョ・ウ・サン(p3p007227)
RafflesianaJack
ジョージ・キングマン(p3p007332)
絶海武闘

リプレイ


 煌びやかに飛沫を上げ、海原を翔ける二隻の船。
「……そういや去年も商船を襲ってたんだったか。やれやれ、へこたれねぇやつらだ」
 海洋警備隊の所有するボートを走らせる『黄昏き蒼の底』十夜 縁(p3p000099)は煙管を片手に呆れた様に呟く。
 また『奴等』が出たのだ、いい加減夏の風物詩になるのではないかと彼は首を振る。
「この時期、市場の品が減っちまうのはおっさんとしても有難くねぇしなぁ……」
 縁は気怠そうに天を仰ぎ。それから視線を戻す――彼の操船する前方で時折反射する煌めきは硝子か宝石の類だろうか。
 あちらに貰ったノンアルコールのカクテルを縁は一口啜り、首を捻る。リッツパークの市場に美味い酒が出回らなくなるのは困ると、水と潮の香り混ざる後味に舌鼓を打つ。
「……仕方ねぇ、今夜のうまい酒のためにちっとは働くとしようかね。
 それにしても最近は船も進化してるなぁ。時代がおっさんを置いていく――……っと、うぉお……!?」
 彼は船の速度を落としながら舵を切ったつもりが、一瞬だけ船体が大きく跳ねて海面をスリップする。
 しかし縁の操船技術はそのまま旋回ターンを切って船体を巧く着水させ、姿勢制御の感覚を掴む。振り回されているのか、そうでないのか。
 見る者が見れば感嘆の声をあげたかもしれない。尤もそれで嬉しいわけではないのだが。

 そんな仲間の様子を知らずして一方、商船を装う小型船。
 快晴の海洋近海沖から見る『絶望の青』は美しく。深い青の秘密をイレギュラーズ一行に魅せてくれる。
「アイオ~~~! ウシオ~~~~!!」
 めいっぱいの潮と風、そして日光をこれでもかと浴びる『RafflesianaJack』オジョ・ウ・サン(p3p007227)の声が気持ちよさそうに聞こえて来る。
 船首にサーフボードと共にぶら下がっているウツボカズラのようなそれは、中から愛らしい猫耳っぽい子供が姿を見せている事で愛らしくも幻想的な印象を与えて来る。
「海!!!!! 渡って!!! アオ~~~~~~!! アワワワワ~~~!!!!」
「楽しそうじゃのう」
 紋付羽織をはためかせる『揺蕩う老魚』海音寺 潮(p3p001498)は頷き、舵を切る。
「おい鮫(海音寺)あんまり揺らすなよ。上手く運転しろ、上手く」
 んー? と。一瞬だけ船が宙を滑った気がして手をヒラヒラ持ち上げて言うフレイ・カミイ(p3p001369)。
 甲板には軽食並ぶテーブルがあり、そのすぐ傍でパラソルとベンチを並べて全力で寛いでいるフレイはカクテル(ノンアル)を片手にふんすと背中を沈める。
 これで傍らにイイ女がいればと思わなくもない。いや思う。

「きゃーっ♪ やっ! ふふっ、よいしょっと♪」
 潮が操る船に並走、それから前方を突っ切ってフリップを決める『嫣然の舞姫』津久見・弥恵(p3p005208)の姿。
 眩い日差しの下で飛沫輝くトーンが映える純白のパレオを風にたなびかせ、風を切る爽快感を全身で表現する彼女は真夏の海を華麗に楽しんでいた!
 穏やかな海ゆえに派手なアクションを決めるには未だ至らなくとも、時間の経過と共に訪れる慣れが解決するだろう。
 海洋貴族の中には波を自ら生んでアクア・ザ・ライトニングなる異名を持つサーファーが存在するのだから間違いない。
「水上の舞姫参上です、さぁ、夏を満喫してやりますよ!!」
「ヤエ~~!! またオミズ、カケてクダサイ!!」
「いいですよっ、さあどーぞ♪」
「フワ~~シオカラ!!」
 例えお嬢様風の装いをしていようと観客の期待に応えるのが舞姫。オジョウサンのリクエストに応じて高速で鋭角にターンをキメる事で猫耳の少女に飛沫を掛けてやるのだった。

 そんなこんなで、サーフィンに興じる商家のお嬢様こと弥恵は船上にはいない為。甲板に居る美女と言えば『穢翼の死神』ティア・マヤ・ラグレン(p3p000593)だけである。
「港の警備隊の海洋美女は良かったなぁ……早めに仕事がおわりゃ考えても良いって言ってたが」
 仕事後を考えて物色済みだった。
 そう、今回の彼等の目的はラサの商船を装いながら近海に現れたサーファーゴブリンどもの殲滅依頼なのだ。
「サーファーゴブリン依頼も1年ぶりだよね」
『あの時は水上ボートに乗りながらだったな』
「そうだったね。今回は船に乗るし商人を装わないとね」
『襲ってくるのであれば遠慮は要らんな』
「うん、叩きのめしちゃおう」
 手慣れた様子で船尾に置かれたサーフボードを触るティアは去年も似た様な依頼を受けた事を思い出す。やっている事は相変わらずのようだが、こちらは違う。
 ゴブリンも相当に手慣れて来たらしいとはいえ、ティアを始めとしたイレギュラーズもまた同様なのだと、十字架に手を置いて彼女は頷いた。
 潮風に当たっていれば気持ちいいのは確かだが喉は渇く。
「おかわりのドリンクをどうぞ。そろそろならず者も姿を現す頃合いです、皆さんも遭遇前にバテないようにお願いしますね」
「ふふ、ありがとうございます!」
『ティアも商人を装うならフレイの様に持ち歩いた方がいいのではないか』
「そうだね、貰おうかな」
『水分の補給も大切にな』
 水上を舞う弥恵へ礼節を弁えた姿勢でカクテルを『女王忠節』秋宮・史之(p3p002233)は船上から投げ渡す。
 キャッチする彼女を傍目に、おかわりを微かに揺れる船上で運び回る彼は間違いなくこのゴージャスポチ号の船員として……否。
「波に乗るゴブリンか。そのサーフボードは一体どこから調達しているのやら。
 ――練達製のサーフボードは、もう少し調整されれば乗りやすそうなのだがな」
 彼の、『絶海武闘』ジョージ・キングマン(p3p007332)の存在がバックに映る事によって海洋マフィアのお抱え執事感が出ていた。
 ジョージが甲板後部に積んだ木箱の合間に張った縄の調子を確かめる横で、史之はテキパキと各自にドリンクを給仕する。
「アワワワワ~~~!!!!」
「お嬢さん。そろそろ姿隠さないとバレます」
「あっはいそうデシた! ダマリマス! ダイジョウブ! こうしタラ……ホラ!」
 史之の指摘に頷いた疑似餌チャンがすっと引っ込み。
「カンヨーショクブツ~~デスヨ!」
(いやでっけーウツボカズラだろ)
 ノンアルカクテルをぐびりと飲み干しながらフレイが胸の内でツッコミを入れた。
 だがしかし史之が言う通り。丁度この時、小柄故に海面スレスレを高速移動する一団が彼等に迫っているのは確かである。

【GOBBBB!!! ひゃーーーはーーーーー!!!!】
 海水の飛沫を濛々と上げながら爆走する集団。サーファーゴブリン達が姿を現したのだった。

●海上大乱闘!
(さて……始めるか)
 ゴブリンの一団に囲まれる前に水中へ音も無く滑り降りるジョージ。
 水中に逃れた彼にもゲヒャヒャヒャヒャ。という如何にも下卑た声が聞こえて来る。
 まるでサメの様に潮達の乗る船を取り囲んだゴブリン達は品定めをするように──心なしか弥恵を集中的に──ねっとりとした視線で一同を観察する。
【GOBB?】
【GOB! GYAHAHAHAHAWWWWWW】
【KUSA】
「………………(捕虫袋の中で涎が溢れて来る)」
 途中。妙に船首の観葉植物を褒め千切ったりし始めるゴブリンが出たが、やはり魔物。オジョウサンの正体にまでは気付かないらしい。
 霧吹をかけたりハエをぽいぽい投げたり、遠巻きながらゴブリン達が集まって来る。
「おぉぉ……堪忍しておくれ、こんな老いぼれに何をする気じゃ……」
【GOBBB!!】
「ガーッハハハ! これはいい物だ! どこがどうと言うと…………とにかくいい物だ!」
【GOB?】
【GOBGOB!】
 船の周囲を回りながら震えている潮を睨みつけて笑っていたゴブリンが、その後ろで何かキラキラした物を手に両手を振り上げているフレイに気付いた。
 あれはどうだ? という身振りに対し、仲間のゴブリンは何やら首を振っている。ちょっと馬鹿にした風に指を差しながら。
(……あいつは真っ先にぶっ殺す)
(頃合いかのう)
 静かな怒気を揺らすフレイの傍でチラと、潮は船尾の方を見やる。視界の奥で白い軌跡を描いて姿を見せるシルエット。
 水平線から現れたその影はみるみるうちに大きく、はっきりと目視できるようになった頃には、辺り一帯に微かにモーター音が響き渡り始めていた。
 潮は機を見て、震え上がっている演技を止めて一声挙げる。
「波に乗るだけではなく図にまで乗るのは感心せんのう──海とボードが泣いておるぞ、一度水でもかぶって反省してもらおうかのう」
「死ねオラァ────!!!!!!」
 最早フライングの勢いでフレイの怒りの叫びが轟いた。
 合図と同時に甲板を蹴り砕き(後で修繕の手伝いはした)一っ跳びで宙を舞ったフレイの体躯が、ライフル弾の如く真っ直ぐに船外眼下のゴブリンを蹴り潰し。海中へ一撃の下に沈める!
 直後、その周囲を取り巻いていたゴブリン達へ急接近してきたモーターボートが制御を失ったかのようにスリップして突如滑り込み、波を波立つ飛沫を浴びせ怯ませた!
「やれやれ、こいつはとんだ暴れ馬だ……おっと、悪いな、前を見てなかった」
【ゲギャぁァアア!?】
「――逃さナイデスヨ!」
 幾つもの海水がドパァンッと撒き上がった瞬間、船首のオジョウサンからロべリアの花が繰り出されゴブリンが数体巻き込まれる。
【ゲッ!? ェェエッ】
【GYAAAAAA!!?】
 紫紺の濃霧がポチ二号の前方に広がる。同じく、瞬く間に混乱が拡大するのは避けられない、船の周囲に散っていた他のゴブリン達は我を取り戻したように女装を着けて今にも飛び掛かろうとボードを奔らせていた。

 だが、その中で先陣を切ろうとしていたゴブリンが突如真下からの海水の爆発によって吹っ飛ぶ。
【~~~~!!!??】
 落水したゴブリンは突然の事に訳も分からずもがく。
 ボードは明後日の方向に。サーファーのくせに、泳ぎが苦手な所が正しくゴブリンである。
 そんなゴブリンは水中を飛行する一矢を目撃する事となる。
「海賊にも海賊なりの流儀ってものがある。それを身に持って教えてやろう……ま、襲撃される側にはどっちも変わりないものだが」
【ンボボボボォォ……】
 浮上しようとするゴブリンを、水中で三次元機動を描くコウテイペンギン魚雷と化したジョージが縦横無尽に高速で泳ぎ回りながらすれ違いざまに翼で一撃。更に頭突きで体内の空気を吐き出させた後に回転しながらのクチバシがトドメの一撃を打ち込んだ。
 落水したゴブリンを二十秒もない間に沈めたジョージは、水中でネクタイをクイと整えながら次なる獲物を見上げる。
「ゴブリンに海の戦いを見せてやろう――今度は、貴様らが襲われる側だ」
 水中を奔る一条の猟矢が狙うは、次なる獲物……!

「おい鮫! いちいちゴブリンどもにぐるぐる振り回されんのは性に合わん!! 船を回せ回せ!」
「構わんが、すっ転ばんようにの」
「ウシオ~~!!? 回ッテるデスヨー!!」
 舵を取り、旋回するゴブリンの一団の包囲を崩すべく同様に旋回するポチ二号。ぶおんと回るオジョウサンの視界。
『私達には関係ないが、船に置き去りにされぬようにしなければな』
「うん、大丈夫」
 大きく船の動きに合わせて飛行しながら船の陰に隠れ、ゴブリン達の視界から逃れながら機を見るティア。
 そこで「俺が集めます!」と船首に女王への忠義を誓う執事戦士の姿が躍り出る。
「女王陛下の海を荒らす者よ。この戦場のバトラー、秋宮史之が相手だ!」
【GOBB!? GOBGOBB!】
 生意気、或いは小癪。
 言葉こそ疎通の取れぬ相手でもニュアンスは伝わる。史之はその様子を認めながら果敢に、眼下に集まった数体のゴブリン達の前で腕時計へ手を添えた。
 腕時計型の斥力発生装置を起動した刹那、彼含めた船上のメンバーの後方。彼等の背中を狙い助走つけてボードごと突撃して来たゴブリンが飛沫と共に飛び上る。
 しかし両手に構えた曲刀が唸る間際にそれら試みは一本の張られたロープによって阻害されてしまう。
 海洋警備隊のボートに備え付けられた細い縄、ジョージが仕掛けたそれはゴブリン一匹を引っ掛けて甲板上に転がしたのを最後に千切れてしまうが……縄一本と引き換えに敵を一つ撃破できるなら随分お買い得な話。
 ドグシャァ、と壮絶な音と。宙を翔けるティアの翼が空気を打つ音が重なった。
【ギャァァ!?】
『間抜けな小鬼め』
 胸元から弾んだ十字架から蔑む声。
 それと対比して、完全に無防備だったゴブリンが甲板で跳ねた所を鮮やかに狙い穿つ美しき天使が踊る。
 四属性を軸とした魔術で連続する爆撃に続き、刈り獲るかの如き鋭利な脚技が炸裂。凄絶な断末魔を上げて哀れな小鬼は海へと吹き飛ぶ。
 一方、船首でもゴブリンが数体宙を舞っていた。
 史之が斥力を発生させる直前に彼の真下でぶら下がっていたオジョウサンが接近して来たゴブリンを上空へ弾き、紅いプラズマが吹き荒れる中に為す術も無く突っ込む結末を迎えたのである。
「これはまた随分派手じゃのう。同時に雅でもあるが」
 潮が船をゴブリン達の動きに合わせて急速旋回を終えた時、周囲を花火の様な残滓が円を描いているのを垣間見る。
 袴の中から顔を出すポチは「まだ危ないから入ってなさい」とそっと押し返しつつ。

【~~!! っ、GOB! GOBB、GOBBB!!】
【GOB!】
【GOBB!】
 不意打ちを決めたのはこちら側だった筈。それがどうして、自分達が奇襲を受けて総崩れにされているというのか。
 未だ無傷なまま、時折擦れ違い様に斬りつけるなどして攻撃を加えていたゴブリン達も今ではその数を半数以下に減らすのみ。半ば恐慌状態になりながら逃走の兆しを見せる。
「逃がすかーーー!! くそ、何かねえのか。おいなんで投石用の石を積んでないんだ」
「そんな物積んでたら商人じゃなくて蛮族の船だと思われそうだけどなぁ」
『ここは海だから海賊だな。それよりも追わねば逃げられてしまうぞ』
「一匹たりとも逃さないよ! 俺もボードで行ってきます!」
 潮が舵を操る側で、史之とティアが次々に海上へと繰り出して行く。
「ゴブリンがいると水着の女共が浜辺に寄り付かなくなってしまう!! 絶対逃がすか……糞、積み荷は空箱だしな」
 いっそ自分が泳いででも追いかけるかとも思った所で、彼は視界の端で何やらモゾモゾ蠢く観葉植物の後ろ姿。
 ボードと共に船首から降りようとしているらしいオジョウサンの姿を見た瞬間、フレイは閃いた。
「アイツ投げよう」

●ウォーターライド・バトル!
 幾つもの飛沫と、水の上を疾る事で描かれる軌跡が複雑に絡み合う。
 ザァァ!と駆け行く逃走するゴブリン達。それを追うイレギュラーズ。
 時折、ティアやジョージが逃げ遅れた小鬼を抑えて断末魔が上がる事も恐ろしいが、先頭を滑るゴブリンは全く別の存在に怯えていた。
 びくびくと後ろを振り返るゴブリンの頭上を飛び越える、飛燕の影。
「ふふ、まだ私の舞いは終わっていないのに……どちらへ行かれるんでしょうか」
【……ッ】
 否。それは舞姫の飛翔。
 水上に舞い降りた弥恵は艶のある声でゴブリン達の前に立ちはだかる。
「漸く私も感覚を完全に掴みました、水上を舞う乙女の秘技をどうぞ御照覧あれ……♪」
 口上と同時に深々と踏み込み、瞬く間に加減を刻む。
 それはアクセルとブレーキを連打して出来るバグ技。幾重にも気泡や空気圧が爆ぜ、次いで起きる事象は海水とボード間に生まれる莫大な衝撃である。
 つまり。弥恵はボードと共に超高速でゴブリン達へ魚雷さながらの勢いで飛来するのだ。
【GYAAAAAAA!!?】
 ゴッスと顔にボードをめり込ませ、輝く舞姫の肢体を目に焼き付けながらゴブリンが一人。二人と沈められる。
 しかしそれでも上手く……または全力で逃走に神経を注いだ個体が彼女の脇を抜けてしまう。
 ほくそ笑む小鬼共。残った五体
「まァァァテエエエエエッ!! 逃げタラ……!! タベチャイマスヨ!!!!」
「わっ、た、と! ぅぉおおおお! 見ていて下さい女王陛下、俺は……俺はやります!!」
 超長距離間弾道魚雷に続き、今度は大口を開けて中の人(疑似餌)が零れそうになってるオジョウサンが空から。気合いで最大加速を維持し続ける史之がゴブリン達に追い縋って来る。
 こうなれば後はどちらが追い付くか引き離すか。
 ところが。景色は次第に陸地が近付き始め追跡する者達に若干の焦りが浮かび上がった時だった。

 突然横合いから突撃して来た警備隊用モーターボートが横転し、逃走するゴブリン達の前を塞いだのである――!
 いきなり現れた障害の登場に驚いたゴブリンが落水し、或いは勢い余ってボート横へ転がり落ちてしまう。
「どれ……これで仕舞いにしようじゃねえの」
【GOBBYAA!?】
 溺れもがくゴブリンがボードへ向かおうとする後ろで、ゆらりと縁が水中で気を放つ。
 追い詰められた小鬼達に逃げ場などなく、ゴブリン達は渦潮に巻き込まれる事となる。

「ウーン、カンロカンロ……」
「……せめて生きてる奴は拾おうかの。無抵抗な命は獲っていなかったようじゃ」
 追跡中に流れて来たゴブリンをキャッチしたらしいオジョウサンがもぐもぐする隣で、潮は網を取り出すのだった。

成否

成功

MVP

海音寺 潮(p3p001498)
揺蕩う老魚

状態異常

なし

あとがき

大変お待たせしてしまい、申し訳御座いませんでした。
依頼は成功です。
各自逃走の可能性にもしっかり対策を講じており、またそれぞれ戦場が流動的に変わる事を想定したプレイングだったのでかなり動いていました。
楽しめる内容となっていれば幸いでございます。
MVPは戦場の中心の要となり味方の回復役も担っていたあなたに。

素敵なプレイング、毎度ありがとうございました!
またのご参加をお待ちしております。

PAGETOP