シナリオ詳細
マッチョたりてますか?
オープニング
●必須栄養素の話
「皆さんは食事に気を遣ったことはありますか?」
依頼の件で集められたイレギュラーズは、『ナーバス・フィルムズ』日高 三弦(p3n000097)からいきなりそんな質問を受けた。おちょくってるわけではないらしい。まあ、彼女の表情なんてピクリとも動かないのだが。
「いや、少しくらいは気を遣うだろ。俺達ゃ激務だぞ。カロリー多めにとったり野菜だって」
「では、――は足りていますか?」
イレギュラーズの反論に間髪入れず返した三弦の口から、思いもよらない単語が聞こえた気がするが、イレギュラーズは聞かなかったことにした。したかった。
「は?」
「ですから……『マッチョ』は足りていますか? と。お伺いしたのですが」
うんうん、栄養管理は大事だね。
ビタミン・ミネラル・アミノ酸。混沌でそんなものをバランスよく取らなくても死にゃしないだろうが。むしろ人間種と人間タイプの旅人以外の栄養管理なんざ知ったことじゃないが。
でも『マッチョ』関係ないだろ。どっから出てきたよ。
「それが……最近『混沌』に渡ってきた旅人が持ってきた本にそのようなことが書いてありました。『マッチョ足りてますか?』と」
おい待てそれ以上は言うな。ダメだ。
明らかな負けフラグ立つやつだからだめだ。
「聞いた事もねぇよ。フィクションだろそれ。お前ら旅人はフーリッシュ・ケイオスを何だと思ってんだよ?!」
流石にそこで、純種の1人がたまりかねて声を上げた。それから、壁に映し出された映像に絶句した。
――それはまるで、否。まさに。
緑一色、筋骨隆々マッチョマンの変態だった。
●そこでサイド・トライセップスしてる緑マッチョについて詳しく
その映像を見てから先、イレギュラーズ達から記憶がすっぽり抜け落ちていた。気付いたら森のなかにいた……というのは冗談だが。
それだけアレな話を聞かされたのである。
なんでも、そのマッチョマンは幻想で見つかった物凄く珍しい薬草の一種であり、摂取することで万能薬になるとか筋肉がつくとか胸にキくとか色々な噂があるらしい。
だが、意思を持っているかのように時折ポージングを変える謎の修正があるらしい。そして、ポーズを組み替える際に胞子……というのか、花粉というのか。それらしいものを放出するらしい。
それを吸った際、非常に攻撃的になったり、逆にひどくダウナーになったりするのだという。生きていてゴメンナサイみたいな。
その草……借に『マッチョリニウム』とでも呼んでおこう(鉱石かよ)は、引っこ抜くのに非常に力が要るのだとか。あと、これが一番重要なのだが。
マッチョリニウムを引き抜くには、前述の攻撃的になる胞子(花粉?)による肉体ブーストを行うため、肉体を誇示するポーズを見せたり筋肉を強調する所作を示さなければならないのだという。つまり?
「何が悲しくてマッチョな草とボディビルセッションに興じる必要あるんだよ……」
がんばれ負けるなイレギュラーズ。
セッションに負けたら死ぬほどダウナーになって今回の依頼記憶が暫く残ってしまうぞ。
- マッチョたりてますか?完了
- GM名ふみの
- 種別通常
- 難易度EASY
- 冒険終了日時2019年08月04日 21時35分
- 参加人数8/8人
- 相談6日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(8人)
リプレイ
●マッチョ足りてないので居残りです
「新種の植物が見つかったってね。自然と調和して生きるハーモニアの一人として調査及び採取任務に協力するよ」
キリッとした表情でそう告げた『猫派』錫蘭 ルフナ(p3p004350)は、次の瞬間に見せつけられた画像に絶句した。理論派の彼には到底理解できないアレだ。
「不思議な植物もあるものだな。やはりこの世界はおかし……もとい、面白い」
「おー、筋肉の草! 筋肉のクサ! マッチョチョ何とか! リナリナ、知ってるゾッ!」
Va-11=Hall-A(p3p005340)は小さく笑うとこの状況を正しく理解し、仕事への意気込みを強くする。彼もそれなりの筋肉の持ち主だ。初めての依頼ということもあり、入っている気合いが違うことが窺える。
ところで、何故かワケ知り顔な『やせいばくだん』リナリナ(p3p006258)の表情は気になる。とても気になる。なぜだ。
「真渋茶(マッシブちゃ)の原料! 原料!」
「本当に混沌と純種をなんだと思ってんのさ?!」
リナリナの『知識』に対し、ルフナは突っ込まずにはいられない。あってたまるか、といいたいところだが混沌ならあると思う。配布してやろうか。
「HAHA☆ 不思議な植物だNE! しかしどこか俺との親近感を拭い切れない、そうこれは心から響くマッソーハート……!」
「私はァァァ~!!! マッチョのマッチョによるマッチョのための作戦をォォォ~……思いついたァァァ!!!」
『雨なら俺の横で寝てるZE…?』TERU TERU☆ BOHS(p3p006986)と『はたらくくるま』Road=Roller(p3p006957)は自らの筋肉に呼応するネタのノリを敏感に感じ取り、戦場へと赴いていた。
……思うんですけどBOHSもRoadも手足しっかり筋肉ついてるのに、前者は頭が、後者は四肢以外がいい感じにアレな外観なのはホントいかがなものかと思うんですよ。
「ごくり……この薬草をとればスゲーむきむきでかっけーアザラシになれるのか……」
『オイラは〇〇〇』ワモン・C・デルモンテ(p3p007195)はマッチョリウムの存在を識り、己がムキムキになる未来を夢想する。多分にアザラシの肉体がガッチガチのムッキムキになって喜ぶ人がどれだけ居るのかって話になるんで、ショタでムキムキで(表現規制)だと凄く俺好みなんですよ。どうですかね。何がだ。
「キンニク! キンニクはアイジョウのおおきさ! ナーちゃんはそーいうの、とってもトクイだよ!」
『矛盾一体』ナーガ(p3p000225)はやる気と筋肉がフルスロットルだった。まあ、ローレットのイレギュラーズを横から並べても彼女ほどのバイタリティを持ち合わせる者なんて殆どいない気がするのは確かだ。外見でタメを張れるのはLv1美少女(種族名)ぐらいなものだろうが、内実まで肩を並べられるレベルとなると怪しいものだ。
「ホントどいつもこいつもヤバいんだけど!? っていうか武はどこ行ったのさ?!」
ルフナは、『魔法少女プリティ☆マッスル』益荒男・武(p3p006883)の姿を探した。鬱蒼とした森の中、密集陣形になっていた彼らが仲間を見逃す筈がない。きっと何か事情があるに違いない。
「おぅ、タケルはマッチョ風邪ひいたから休みだってよ!」
「マッチョ風邪って何?!」
ワモンは事情を聞いていたらしくそう答えた。そうだよなー急にマッチョ風邪が来たらいくらこの依頼の鬼札になりそうなギフトをもってる彼でも依頼に参加できないよなー。今回はもう登場機会はないけど仕方ないよなあ。
筋肉は裏切らないけど行動指針は度々裏切るんだ。
「とにかく、マッチョリニウムをマッチョリニウムすればいいんだな。なら服は脱いだほうがいいだろう。マッチョリニウムしたマッチョリニウムを入れる袋も……もってきてある」
キリっとした表情でVa-11=Hall-Aが断言した。言いたいことは分かるが、すごい言葉の羅列だ。
「まっちょーまっちょーまっちょまちょー♪」
「マイフレーンド~出ておいでYO~♪」
ワモンとBOHSはマッチョリウムを呼ぶことで、近くにあるかを見つけられるのではと考えた。或いは、筋肉同士の共感力でなんとか見つけられるのでは、と。発想が全力でマッチョしてるのがすごい。
「ぶるん! ぶるるるるん!! ぶるるるん!!!」
一方でRoadはエンジン音を(口で)高鳴らせながら左右にケツを振って(比喩)前進していた。彼曰く『注↑目↓を集めるゥゥゥ!!!!!』手法なのだが、どう考えても車体から手足がヨツンヴァインになってぶんぶん震えて動いてるようにしか見えず、マッチョ以前にホラーな状態だ。
「ここは的確な判断力を有する僕がスキームを見直し、ファシリテーターとしてナレッジをローンチしないとね」
ルフナは回りのマッチョ具合にすっかりヤラれてしまい、自分こそが理論派として実践派の連中を主導しなければという使命感に駆られていた。力任せではダメだ。ちゃんと理屈立てて事を進めないと足元をすくわれる……彼は今まで経験したこのテの依頼の空気を敏感に感じ取っていた。
「ワセリンは植物のクチクラ層とはテカりが違うんだ、塗っておいた方が見栄えがいいよ」
「マッチョリニウムをマッチョリニウムするなら光の加減も大事だな」
ルフナからワセリンを受け取った……というかどこからか取り出したVa-11=Hall-Aは全身にそれを塗り、イイ感じのテカりを見せつける。
「アレがぁ……グリーンマッチョー↑ズゥ↓……」
Roadはマッチョリウムの群生を確認するや、いきなり垂直に飛び上がった。効果音が聞こえそうな動きを見せ、しかし着地した時の形態は単に二足歩行になっただけだった。どこいじったの。
「ああ、いいZO……俺のこのボディとマッチョリニウムちゃんのボディのマッソーとマッソーで競い合う…まさに音楽のセッションの如く……!」
BOHSがめっちゃやる気全開になったところで、この戦いは本格的に始まる。
……ただの植物採集ですよね?
●根性のぶつけ合い(意味深)
「いいよぉー! 上腕二頭筋のバスキュラリティはどこの山脈から取ってきたんだい?」
「肩にメロン乗ってるよ、デカイ! 冷蔵庫かな?」
ルフナとVa-11=Hall-Aはしきりに仲間達のマッチョアピールに対し声掛けに余念がなかった。後者は自らポーズをとってもいいのだが、まずは仲間達に成果を上げてもらうことを重視したのだ。まあ、彼らの声援が全くの冗談でないくらいにはBOHSの肉体は鍛え上げられていたし、Roadの腕と足を見れば丸太のような大腿筋が光り、そのボディは冷蔵庫……というよりバッチリ自動車である。カタいよ!
「フンッ! フロントダブルバイセップス! モストンマスキュラー!」
BOHSは次々とポージングを繰り出し、マッチョリウムの前に身を躍らせる。ビシバシと筋肉が張る音が聞こえてきそうなポージングに向けられた胞子は、彼の肉体の堅固さをいや増し、結果として自分を引き抜かせるきっかけを作り出した。なんと因果なことであろうか!
「ぬおおお! ……はっ! とうっ! まだまだっ!」
ワモンは両手(前ヒレ?)を握り込んで力を溜める仕草をし、次の瞬間にしゃちほこばり、更にごろごろとアザラシの姿勢のまま転がった。薬とかないので、ボールになったりピンになったりはしないが、それでも全身の筋肉をこれでもかと使っていることは分かる。
「このかが↑や↓き→をォォォ! 見ろ↓ォォォ……!」
Roadは全身のライトというライトを全力で点滅させ、そのまま全身を駆使してポージングを繰り返す。字義通りの鋼の肉体をこれでもかと誇示、息が切れるまで全力で肉体言語を駆使しs続けた。
「ナーちゃんのキンニクはとってもアイジョウたっぷりだよ! ほら!」
ナーガは可愛げを全面に出した声でボール……否、ボール状に整形した岩を手球に取り、ぽんぽんと往復させる。手の上で震える岩は本当に弾力あるボールのように動き、そして彼女の手に収まった直後、勢いよく爆散した。彼女の精一杯の力の誇示なのである。
「じゃあヒキヌクよ! ナーちゃんがんばっちゃう!」
胞子がその身に降り注ぐが早いか、彼女はマッチョリニウムに手をかける。右足を四股を踏むがごとく垂直に掲げ、真っ直ぐに振り下ろす……醜足の語義そのままに地面にはびこっていたマッチョリニウムの抵抗の意思を全力で切り捨てた彼女は、そのまま真っ直ぐ腕を振り上げ、マッチョリニウムを引き抜いた。
「そいやっそいやっそいやっそいや!」
ワモンもまたマッチョリニウムを次々と引き抜き、脇に並べていく。彼の所作にマッチョ感があったかはともかく、胞子の反応は『そう』と認めているのだから仕方がない。ガバガバじゃねーか。
「おー、筋力じゃなくて筋肉力で勝負するのか!」
仲間のマッチョぶりに状況を理解したリナリナは、己の二の腕や太ももに手をやり、少しだけ悩ましい顔をする。筋力はあっても筋肉力(マッチョ度)は不足気味。体質なので仕方ないが、これはなんとも悩ましい。
「るら~! ふろんと・だぶるばいせっぷす!」
リナリナは両腕を掲げ、言葉通りのポーズを構える。たわわな胸元が強調されるポーズは、確かに筋肉力に乏しいかもしれない。だがちょっとまってほしい。大胸筋のトレーニングはそのまま、胸板の厚さ……そう、胸の大きさに直結するトレーニングであるということに! つまりは彼女のポージングはいい感じに筋肉を強調しているということに……!
「どゅっ」
なりませんでした。
「もう肉、要らない。ヤサイも要らない。リナリナ、土食って埋まってるのがお似合い」
「そんなことはないぞ! マッチョリニウムはリナリナのマッチョリニウム(筋肉)をマッチョリニウムして(認めて)いるから気にせずマッチョリニウム(採集)するんだ!」
Va-11=Hall-Aのフォローがもういっそアレでソレなのだが、リナリナの沈みぶりもなかなかだ。胞子の精神汚染はここまでだったというのか?
「それなら俺も全力でお相手しよう……!」
Va-11=Hall-Aは意を決したような表情で片腕の筋肉を隆起させ、もう片腕も次いで上げる。ビシっと決めた次は、片腕を空の彼方へと延ばし、もう片腕を頭上に上げる。……そして左足の膝を高く掲げ、ポーズを固定。……どうにもこうにも『あの』ポーズなんだが、見なかったことにしよう。ポージングに著作権はないのだ。
「いいよいいよ! 背中バリバリだよ! 土台が違う!」
ルフナの声援を浴び、Va-11=Hall-Aはさらなる挑戦に挑んだ。腕を折りたたみ頭の後ろに構え、腹部を大きく引っ込める……そう、バキュームポーズだ!
「バキューゥ↓ム↑ポォズ……十分に腹部を絞り込んでいて、なおかつ空腹で体脂肪率が低く無いィ↑と出せないという……↓」
Roadは元ボディビルダーだけにそのポーズを知っていたのか、興奮気味に言葉を紡ぐ。どこかエンジン音まで鳴らしているような気がするが、気の所為ではあるまい。
「Foooo、背中がテニスコートかい……?」
BOHSもまた、ポーズからアピールされた背中の広さを最大限の賛辞でもって迎える。キワキワなポージングからこれほどのものを出すとは。
「ナーちゃんにはあんなポーズでアイしてあげることができない……」
ナーガ、いつの間にか流れ弾めいて己の筋肉に対する自信を失いつつあった。まあ、気持ちはわからなくもない。頑張って働き続けた弊害か、胞子を多く吸ったが故か。とにかくダウナーになることぐらいあるのだ。
「オイラはマッチョじゃなかった……?」
ワモンは引き抜きかけたマッチョリニウムを取り落し、ゴロンと転がる。気分が晴れるまで寝る。これが彼なりのダウナー解消法であった。
「……でもさぁ、目の前のポージングしている相手に胞子を振りまいてダウナーにするって……」
ルフナは考えた。マッチョリニウムの特性は、どこか人間を繁殖対象にしているような、そんなことは無理なのだが、そういう感じだ、と。そしてはたと気づく。
ダウナーにする。動けなくする。胞子。……繁茂。
「だ、ダメだ、深く考えちゃダメなやつだ! 僕は理論派だからだいたい全部気づいたけど! 皆、マッチョリニウムを十分回収したらすぐここから離脱しよう!」
「リナリナ、もう少し土をたべタイ……」
ルフナは脳裏に去来した恐ろしい可能性に思い至ると、即座にリナリナに飛びついた。体格的に明らかに持ち上げづらい相手だが、己の頭を軸にその体を支え、レスキュー持ちで抱えあげる。
仲間達もダウナーなメンツをそれぞれ持ち上げると、大量のマッチョリニウムを手に一目散に森から去っていく。
一同は割といい感じに胞子の力を引き出していたが、借に彼らが1人残らずダウナーになっていたら、どうなったか?
それはルフナの推論と……真実のみが知る。
まあ概ね依頼内容としては大寄りの成功だし真渋茶がマジで提供されたんですけどね。
成否
成功
MVP
状態異常
あとがき
概ね皆さんのマッチョが足りていました。ありがとうございます。
なおパンドラとかは減ってません。本当に。
夏だからホラー要素入れたかったんだ。反省はしていない。
GMコメント
なんて冷静で的確な判断力を要する依頼なんだ(要りません)。
●情報精度
このシナリオの情報精度はAです。
想定外の事態は絶対に起こりません。
●達成条件
マッチョリニウムの確保
●マッチョリニウム×多め
筋骨隆々な変態がボディビルポーズをとっているような新種の植物。むしろなんで今まで見つからなかったの?
引き抜くには並の力ではびくともしないらしいが、胞子で強化された肉体なら結構楽らしい。
時折ポーズを組み替える先に胞子だか花粉を撒き散らすが、直前にマッチョリニウムにポージングを見せたり筋肉を誇示する行為(筋トレとか)を見せることで効果を『肉体強化』に絞ることができるという。
多分気の所為だが。
なお、何もしないか失敗すると出る胞子は凄く有害で、具体的には死ぬほどダウナーになる。
薬効は情報が錯綜していて不明。胸に効くかもしれない。
●戦場(?)
森の中です。見落としに十分注意しましょう。
Tweet