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完了

参加者 : 8 人

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オープニング


 木造の住まいには、かちゃかちゃと食器の擦れる音だけが鳴っていた。
「……ごちそうさま」
 若い女性が空の食器を片手に席を立つが、中年の男はただ黙って食事を口に運ぶ。
「全く。いい年して、いつまで意地を張っているのよ」
 皺の混じった顔に呆れの色を含ませて、中年の女性が言った。
「もうあの子の結婚は決まったことです。あの子が望み、そしてあの子の夫も望んだこと。
 私も、相手方のご両親も賛同したのに、あなただけ強情を張ってもしょうがないじゃない。
 それに、あの子が真面目に話そうとしても仕事仕事って言い訳ばっかり。それじゃあの子が怒るのも無理ないわよ」
 ため息で締められた文句にも反応せず、中年の男は黙々と手を動かす。もうその話はうんざりだ、と言うようだった。
そんな二人の横を、先程の若い女性が大きな足音を立てながら通っていく。
「……お父様の馬鹿」
 去り際に呟いた言葉を耳にして、男の動きが止まる。
 ばたん、と戸の閉まる音が虚しく鳴って、再びその住まいは静寂に包まれた――。

 中年の男が王都から続く山道を荷車と共に歩いていると、
「ちょっとそこの方。幻想王都へ向かいたいのですが道はこちらで合っていますかな?」
 黒衣の男がすれ違いざま、そう尋ねた。
「ああ、王都へ行きたいんなら道なりに進んでいきゃ着けるよ」
「これはありがたい。何分王都へ行くのは初めてでしてね。少々不安でしたが助かりましたよ」
「そうかい。んじゃ、俺は先に行くよ。急がなきゃならんのでね」
 中年は無愛想にそう言って背を向ける。だが、彼が荷車を引いて去ろうとすると、黒衣の男は肩を掴んで引き止めた。
「お待ちください。まだ私は礼をしていません。恩を預かって礼を怠るのは我が信条に反します」
 中年はため息混じりに振り向いて、
「そりゃ嬉しいが、生憎俺は仕事をしなくちゃならんのだ。相当仕事が溜まっててな」
「ほう……それは、娘さんへの餞別のためですか?」
「なっ……!」
 黒衣の男の言葉に中年はぎょっとした表情を見せる。
 結婚を控えた娘に餞別を与えるため、日夜大量の仕事に追われているなんて、妻にすら言っていない秘密だというのに。一体どうして見ず知らずのこの男が知っているのか。
 不審な思いを胸に黒衣の男を見つめると、男はそれに気付いたのか、微笑で返した。
「もしかして当たってしまいましたか? 実は私、探偵のようなものを嗜んでいまして。他人の行動からその背景を読み取るのが得意なんですよ」
「な、なんだ。心でも読んだのかって驚いちまったよ。噂に聞いたことはあったが、探偵ってのはすごいんだな」
「はは、まあ観察力だけは相応の自身がありましてね。他の分野はてんでダメなんですが」
 男はそう言うと、こほんと咳払いをする。
「私は職業柄様々な情報を耳にするのですが、先程の礼としてその内の一つをあなたに提供しましょう。きっとあなたのお役に立てるはずです」

 黒衣の男はにやりと笑うと、低い声で語った。
 とある洞窟に奇妙な祭壇があり、その上には実に優麗な宝玉があると。
 その宝玉を手にしたものは加護を受け、思いがけない幸運に恵まれるであろうこと。
 洞窟への道は渡される地図を頼りに行けば間違いないと。

「では、私はこれで失礼します。あなたの未来に幸あらんことを」
 黒衣の男は情報を一通り語り終えると、頭を下げて王都への道を歩みだした。
 取り残された中年は、渡された地図をじっと見つめるばかりだった。

 『黒猫の』ショウ(p3n000005)はイレギュラーズが集まるなり、すぐさま依頼の内容を読み上げた。
「さて、今回君達に集まってもらったのは外でもない、『ゴブリンの巣に侵入した男の救出』という依頼を達成してもらおうと思ってね。
 件の洞窟には凶悪なゴブリンが大勢潜んでいる。土地を管理している貴族はその男の安否こそどうでも良いらしいが、奴らが人の味を覚えないかを強く憂慮しているそうだ。
 貴族曰く、侵入を察知したのは今日の朝方だったらしいから、ゴブリン達が腹を空かしてさえいなければまだ生きているだろうね」
 ショウはやれやれといった様子で椅子に腰掛け、脚を組んだ。
「しかし、よくもまあ厳重な警備を掻い潜ってまで侵入したもんだね。ゴブリンの住処なんて石ころと死肉くらいしか落ちてないだろうにさ」
 不思議そうな面持ちでそう言ったショウい背を向け、イレギュラーズは依頼へと出発する――――。

GMコメント

●挨拶
皆さんこんにちは、新米GMの玉城です。
今回の依頼も戦闘依頼っぽくなっています。
内容は、ゴブリンの巣に捕らえられた中年の男を救出するというもの。

黒衣の男に唆された中年は洞窟最深部の食料貯蔵庫に捕らえられており、救出するためには八体のゴブリンと一体のゴブリンリーダーを討伐すべきでしょう。

ゴブリン自体の練度は低く、優秀な兵士が一人いれば二体は倒せるレベルです。
しかし、ゴブリンリーダーは3mを上回る巨体に恥じぬ程度には強く、四人以上でかからないと厳しいでしょう。

彼らは警戒心など皆無なので、奇襲するなりしても良いですし、真っ向から勝負を挑んでも構いません。

八体のゴブリンを相手にするグループと、ゴブリンリーダーを相手にするグループに分かれると良いかと思われます。
ゴブリンは四体でまとまって動くので、三グループほどで対応すると良いでしょう。

●情報確度
A

●依頼達成条件
中年男の救出。
貴族は救出と言いつつも生死は問わないそうです。

●方針・スタイル選択
 特になし。

●舞台・環境
洞窟に築かれたゴブリンの巣。
壁に突き刺さっている松明によって内部はそこそこ明るい。
大の大人が横に四人並んで歩けるくらいには広く、祭壇の間や食料貯蔵庫はより広い空間となっている。高さも5mはあるだろう。

●敵
ゴブリン八体とゴブリンリーダー一体。

・ゴブリンリーダー
ゴブリンリーダーは恐るべき体力と攻撃力を有していますが、動きはかなり鈍いです。
攻撃手段は巨大な棍棒を振り回すか、強靭な腕を振り回すくらいしかありません。
正面から受け止めるには相当の防御力が必要であるため、俊敏な人物が回避を主に立ち回るほうが安全でしょう。
ゴブリンからの妨害さえなければ回避は難しくないはずです。

・ゴブリン
ゴブリンは四体ずつで一つのグループを組み、合計二グループが存在します。
一つのグループの内、二体は前衛で二体が後衛であり、前衛は棍棒を、後衛は吹き矢を用います。
彼らにはコロニーを形成する程度の知恵があり、吹き矢での攻撃の際に狩りで用いる毒を使ってくることがあります。
ゴブリンの扱う毒は命こそ奪わないものの対象をしばらく痺れさせる程度の効果はあるようです。

●敵グループ
 前衛ゴブリンx2、後衛ゴブリンx2
 前衛ゴブリンx2、後衛ゴブリンx2
 ゴブリンリーダー

●その他
・洞窟到着時点からスタートします。
・洞窟内部はそれほど奥深くなく、さらに一本道です。
・洞窟入り口には誰もいません。
・洞窟中央には祭壇の間がありますが、ゴブリンの集団はそこに屯しているようです。
・粗末な祭壇の上には宝玉など無く、握り拳程度の石が置かれているだけに思えます。。
・洞窟の最深部には粗末な食料貯蔵庫があり、中年の男が捕らえられています。気絶状態にあるようです。

●アドリブの有無
アドリブについてはプレイングやスタイルシートにて『アドリブ歓迎』『アドリブなし』といった表明を行っていただければある程度対応可能です。

  • 旅立ちの日へ完了
  • GM名鉄瓶ぬめぬめ
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2018年03月14日 20時50分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧 (8人)

リナリア(p3p001041)
妖精の姫
リースリット・エウリア・ファーレル(p3p001984)
春告げの
ティミ・リリナール(p3p002042)
フェアリーミード
アザリア・ブレイズメイド(p3p002048)
ルティアニス・ディフ・パルフェ(p3p002113)
おてんば歌姫の冒険
エリニュス(p3p004146)
Liberator
松庭 黄瀬(p3p004236)
気まぐれドクター
レナード・バニングス(p3p004694)
バーニング・レオ

リプレイ


「さてはて、何故ゴブリンの巣なんかに向かったんでしょうねえ」
 『妖精の姫』リナリア(p3p001041)は形の良い指を唇にあてて、疑問を投げかける。
「そうね、単身こんなところに向かうなんて、危険なこと……なにか困っていたのかしら?」
 『おてんば歌姫の冒険』ルティアニス・ディフ・パルフェ(p3p002113)もまた疑問を重ねる。
「わりと厳重よね。この警備。どうやって掻い潜ったのかしら?」
 『Liberator』エリニュス(p3p004146)が腑に落ちないという顔で呟いた。
「とにかく。まだ無事でいてくれることを祈りましょう」
「はい、はやく助けないと」
 リースリット・エウリア・ファーレル(p3p001984)と手枷と首輪を自らはめて感情を殺す『儚き雫』ティミ・リリナール(p3p002042)が洞穴をみつめる。
「はじめてのお仕事、がんばりましょ!おじさま、無事でいてくださればいいのだけど」
「よっしゃあ! 気合いは十分、燃えてきたぜ! ゴブリンなんかぶっ飛ばしてやるぜ! 捕まってる人も助けてみせるぜ!」
 はじめての依頼で気合十分なのはアザリア・ブレイズメイド(p3p002048)と『バーニング・レオ』レナード・バニングス(p3p004694)。
「ゴブリンってどんな感じなんだろう、人間と何処が違うのかな。手術してみたいね」
 『カンパニュラのこころ』松庭 黄瀬(p3p004236)メスを片手でくるくると回しながら一番後をついていく。
 ゴブリンの洞窟の入り口には誰もいない。彼らは慎重に、その一歩を踏み出した。


 カンテラを腰に吊るし、エリニュスとレナードは進む。
「ッカーーー!燃えてきた! ゴブリン退治! 昔を思い出すぜ!」
「やる気があるのは結構だけど、油断はしない……――っ! くるわ!」
 二人の間を吹き矢が引き裂いた。エネミーサーチに引っかかった気配にエリニュスは構える。
「ゴブリンのお出ましってところか! へっ!燃えるぜ!俺が相手だ!かかって来いよ!」
 レナードはパン渡り40センチのフランスパンを構え……いや、違う。新米に調達されたソードを手にし、前に出て防御重視の構えに切り替える。
「お約束通りの登場とはありがたいことだわ。後衛に抜けるのは難しそうね。レナード、まずは右側の前衛を」
 言って、エリニュスは正確な狙いでもってゴブリンの頭蓋を撃ち抜く。
「了解だっぜ!」
 言われて盾を構え、突撃すれば、瀕死のゴブリンはあっという間に息の根を止める。
「っしゃ! あと3匹! 行くぜ!エリニュス」
「もう、だからそんなに調子に乗らないで」
 所詮はザコのゴブリンだ。冒険者の敵ではない。前衛であるレナードの防御力は特筆すべきものだ。大したダメージは与えることはできない。多少の吹き矢の毒がじわじわとダメージをあたえるくらいである。とは言えそれも馬鹿にはならないが、エリニュスとの連携は見事に決まり、全部倒し終わるまでにそれほどの手間はかからなかった。
 

 一方こちらはもう一つのゴブリン対応班。
 ルティアニスとティミだ。
「いまならいけそう」
 岩陰に隠れ様子をみれば、ゴブリンたちは暇そうにあくびをしている。ティミは言葉少なにルティニアに言う。
「いいですか? 合図にあわせて奇襲です。……今です!」
 黒いコートをなびかせ、ティミは一番手前のゴブリンに近接し、その体に触れる。
「びぎゃっ」
 ゴブリンの体内を逆転の力が巡り内部から破壊していく。突然の闖入者に驚いたゴブリンはもたもたと準備するが、遅い。黒衣の死神はその儚げな体躯とはうらはらに、ゴブリンたちに死を齎す。
「わぁ、ティミさんって儚そうだったのに……かっこいい」
「呪術で、援護お願いします!」
「は、はい!」
 ルティニアスの神秘媒体から呪いの遠術が発せられ、内部から破壊される苦しみに悶えるゴブリンに炸裂した。
 ゴブリンは断末魔の叫びを響かせ二度と動かなくなる。
「次、いきます」
 ティミが死神の目で狙うのはもう一匹の前衛。何がおきて自分の仲間が倒されたのかわからないゴブリンは浮足立っている。今こそがチャンスだと、ルティアニスに合図を送れば、思ったとおりにルティアニスが動いてくれることに、口元でティミは笑みを浮かべる。
 誰かと戦うのはなんて楽なのだろう。なんて心強いのだろう!
 

 残るリナリア、リースリット、アザリア、黄瀬の四人は、祭壇の間に直行する。
 不気味な祭壇には何の肉だったかは定かではない肉片が石ころのような御神体に捧げられている。
 その中央にいるのはゴブリンリーダーだ。何らかの儀式をしているようだが、定かではない。嫌な匂いがツンと漂ってくる。肉片を焼いている匂いだろうか。
「手術中ってわけではないよね」
 気軽そうな声で黄瀬が呟く。
「悪趣味です……」
 リナリアは赤い目を細めて、鼻白ろみアザリアの服の裾を掴む。そんなリナリアの小さな背をなでるアザリアに、リナリアはすこしだけぽぉっとする。アザリアさんかっこいいし優しいなあ。
「では」
 ゴブリンリーダーは未だこの闖入者たちには気づかず一心不乱に彼らに背を向けて儀式を続けている。彼ら4人は頷きあうと、戦闘準備を整える。
「いざ――貴方の相手は私です!」
 リースリットが体を低くしながら流星のごとく飛び出し、ゴブリンリーダーの背中にレイピアを突き刺す。
「ぎ、ぎぎ!?」
 クリティカルヒット。その蜂のような一撃は大きくゴブリンリーダーにダメージを与えた。たまらずゴブリンリーダーは目の前の少女を振り払おうと大きな腕を振り回す。
 その瞬間、ミスティックロアで強化された遠距離を引き裂く術式がその腕に炸裂した。
「さて治療の時間だね。君の生態を教えておくれよ」
 黄瀬の軽口がゴブリンリーダーを煽る。彼は今、未知の『患者』にたいして上機嫌だ。どんな不思議をぼくにみせてくれるのだろう。考えるだけでワクワクしてくる。
 すかさずその隙を見逃さず、アザリアが美しい蒼の髪を広げながら突進し、シールドバッシュで押し込めば、ゴブリンリーダーはたたらを踏む。
追い打ちをするようにリナリアの薔薇の花の矢が突き刺ささった。
「えーい!」
 初動は概ね完璧だったと言える。連携した動きはゴブリンリーダーの初手を制覇する。
 ゴブリンリーダーはこの状況を不利と悟ったか、大音響の合図で配下のゴブリン達を呼ぶが、その返答はない。配下ゴブリン担当の4人が、うまくやったのであろう。程なく彼らも合流できるはずだ。それまでの間耐え抜けばいい。
 ゴブリンリーダーはギリギリと歯ぎしりし、血走った目で彼らを見つめる。脇腹から流れる血の代償を支払わせてやる、次の生贄はお前たちだ。お前たちの血を祭壇に捧げてやると言わんがばかりの憎しみの眼光は鋭い。
 リースリットはブロック役として前に立ち続ける。そんなリースリットとゴブリンリーダーの目が合う。最初の犠牲者はお前だと言わんばかりに、腕を振り上げる。リースリットは敏捷性を補強する術式を使うと全力で防御するが、棍棒がかすっただけだというのに右腕に痺れるような痛み。
「リースリット君!」
 黄瀬がすかさず、ポーションを投げれば、少しだけ傷が塞がった。
「大丈夫です。かなりの攻撃力と見受けます。皆様ご注意を」
 3mという巨体から繰り出されるその攻撃は、クリーンヒットではなくとも重大な被害をイレギュラーズに齎す。棍棒を大きく振り回せば範囲に渡る攻撃にもなりえる。
「ええ、いわれなくても。リースリットさん、危なくなったら下がってね。その時は私が盾を交代するから」
「はい、お心遣い感謝します」
 前衛の少女たちの結束と連携は固い。油断なくアイコンタクトで各々の距離を調整し、有利に戦闘できる状況を整えていく。
「女の子いじめるのは悪い子なんですからー!」
 トリッキーな射撃と精密な射撃。それを組み合わせた妙技の薔薇の矢がゴブリンリーダーに襲いかかる。狩猟者としての勘、好戦的な積極性、そしてモンスターの知識。
 たおやかな桃色の花にしか見えない、リナリアの攻撃はその30センチという体躯には不似合いなほどに苛烈である。
 一進一退の攻防が続く。
 強靭な体躯をつかったゴブリンリーダーの攻撃に前衛の少女達は膝をつく。盾役を交代はしてはいても、回復手段が乏しい状態ではじわじわと削られていく一方である。防衛主体の戦闘は回復手段が少ない場合はどんどんとジリ貧になっていく。黄瀬も温存していた最後の一本の薬品を使い終えたところである。
 恐るべき体力が尽きるのはいつだろう。そう思った矢先。

「待たせたな!! こっから先は俺たちのターンだ!」
 頼もしいレナードの声。
「あなた、わりと蓄積した毒のダメージでぼろぼろよ。あとで回復してもらいなさい」
「わ、大丈夫ですか? 癒やし系ルティちゃん登場ですよ」
 呆れたようなエリニュスとルティニアスの射撃と術式とが連携し、ゴブリンリーダーに突き刺さる。
「無事でしたか?」
 ティミが最もダメージを受けていたリースリットにヒールを送る。
 形勢は逆転する。まだ余力を残す仲間が合流した今、あとは押し切るだけだ。
「んじゃ、一気にやっちゃいましょう!」
 リナリアのかわいい号令が響けば、ゴブリンリーダーに攻撃が集中砲火される。それにはたまらず、ゴブリンリーダーは後退するが、退路はない。
 黄瀬は観察する。ゴブリンリーダーの体力はもうわずかである。
 程なくして勝利は、彼らイレギュラーズのものとして決着を向かえた。


「おじさーん、生きていますか?」
 食料保存庫のドアをあけて覗き込みルティニアスが和らかい声をかけると、中年の男性が俺は美味しくなんかないぞ! と悲鳴をあげた直後助かったことに気付き、大きく息をはいた。
「君たちは助けにきてくれたのか? ありがとう。死ぬかと思ったよ」
 助け出された中年の男はイレギュラーたちに口々に質問をされることになる。コレまでの状況。何故こんなところに単身来たのか。
 そして伝えられるのは黒衣の男に唆されたという話。この地図があれば警備も抜けることができるといわれたという。
 そして娘の餞別のためにどうしてもお金が必要でここにあるという宝玉を得るために来たということだ。こんなにゴブリンがいるとは聞かされていなかったと彼は震えながら言った。
 リースリットは悪趣味な祭壇に足を進め、エリニュスとアザリア共に「宝玉」を調べる。
「おもしろいなあ! ゴブリン! なるほど! こうなっているのか」
 黄瀬が足元で死んだゴブリンリーダーを嬉しそうに『手術』しているが、まあ黄にしないことにする。

「あの、娘さんのためだとはいえ、お父様が居ないと娘さんや奥さんが悲しんでしまいますよ。身体を大事にしてください」
 黒衣の死神のようだった雰囲気は何処へやら。柔らかい雰囲気でティミは中年を諭す。家族がいなくなる。とても悲しく寂しいこと。それは優しいあの人が自分のそばにいてくれるようになってから気づいたこと。
「それは……」
 中年は言葉をつまらせる。
「親父さん! はらぁへってねえか? 腹がへると悪いことばっか考えるよな! これ! 俺がつくったパンなんだ! うめぇぞ!」
 レナードは懐から自作のパンをだして振る舞う。
「にしても黒衣の男か。ローレットに報告しておくか」
「そうですね、悪意ある謎の人物!……ううん! 陰謀の匂いです!」
 レナードの言葉にルティニアスが同意する。
「おじさま」
 小さな少女が話しかける。
「娘さんの餞別でしたら、お花はどうでしょう? 知ってます? お花ってきれいな花束になるのはお花業界ではマストなんですよー。 だから素敵なブーケを私があとで作ってさしあげます。きっと喜びますよー」
「花嫁のブーケ……」
 一瞬中年は苦々しい顔をするが、それで娘と仲直りできるだろうか? と尋ねればリナリアは全身を使って頷くと「はい! 絶対絶対完璧になかなおりできます!」と答える。
 中年はそうか、とだけつぶやいた。

「リースリットさんと確認したんだけど、これはタダの石だね。意味があるとおもったのだけど」
「お話を聞く限り、黒衣の男の目的はこの石の排除と思ったのですが、石を移動させてもなにも起きません。ただの愉快犯か、それとも……」
「ええ、これは本当にタダの石ころ。それ以上でもそれ以下でもないわ。どうやってゴブリン達の信仰の中心にしたのかはわからないけど」
 アザリア、リースリット、エリニュスの調査が終わり結果を知らされる。
「じゃあ、やっぱ、黒衣の男の注意を促すしかないってところか」
 パンの他にも飲み物なども差し出して中年の腹ごしらえをさせていたレナードがつぶやいた。

 何らかの陰謀はそこにあったのだろう。それだけはわかるが、解明はまた別の話になりそうである。
 とまれ、今は中年の男を家族のもとに送り届けよう。
 彼らは洞窟を後にし、ローレットへ提出する貴族への報告書をまとめるのだった。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 代筆させていただいた、鉄瓶ぬめぬめです。この度はプレイヤーの皆様に多大なご迷惑をおかけしたことをお詫びいたします。
 皆様のご尽力で無事この中年の男性は救い出されました。黒衣の男についてはローレットで注意喚起をしておくということでお話はまとまっています。
 それではご参加ありがとうございます。

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