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シナリオ詳細

恵みの水
恵みの水

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●命の源
 とある領主の治めるとある村。そこでは、森の泉に湧き出す清水を引いて、農業に飲み水に、とにかく様々に用いてきた。その水で育てた作物はすくすくと育ち、毎年のように豊作となって村の倉庫を満たしていた。そんなわけで、人々は恵みの水と呼んで讃えてきたのである。

 一人の少年が、慌ただしく村の中を走り回る。
「大変だ! 川が! 川が大変な事になってる!」
 少年の叫びを聞いて、村人たちは慌ててすっ飛んできた。畑の傍らを流れる灌漑を覗いてみれば、確かに水が白く濁っていた。そばの畑に育つ作物も、心なしか萎れているように見える。髭面の老人は慌てて周りの村人を見渡した。
「いかんな。泉の方で何かあったに違いない」
「収穫も近いってのに……」
 老人は唸った。杖を振り上げると、真っ直ぐに一人の青年は指差した。
「とにかく、急いでローレットに依頼してきてくれ。この時期の森はわしらの手には負えん」
「わかった」
 頷くと、青年は慌ただしく駆け出していった。

●水を救え
 『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)は大きなコルクボードに地図を貼り付け、集まったイレギュラーズを見渡した。
「今回の依頼は、泉の異変の調査なのです。本当は中でお魚が泳いでいる姿も見える、とてもとてもきれいなお水だったのですが、最近水がすっかり濁ってしまっているようなのです。ですが、泉のある森は魔力を持つ肉食獣が存在しているせいで、簡単に様子を見に行くことは出来ないのです。……ということで皆さんの出番、というわけなのですよ」
 ユリーカは鉛筆で地図に書き込んでいく。森から泉へと向かうルートだ。
「森に入る時は、細い獣道を探してほしいのです。草食動物の通るルートで、森の中をそのまま突っ切るよりは戦いになる危険が少なく抑えられるはずなのです」
 森に暮らしている獣たちに警戒されたり襲撃されたりしては仕事が大変になってしまう。そうユリーカは付け足した。
「まずは原因を調査して、可能なら対応をお願いしたいのです。無理そうなら情報を持ち帰って来るだけでも大丈夫ですよ」
 依頼書をくるくると巻いてポケットに収めると、ユリーカは君達をぐるりと見渡した。
「では、頑張ってきてくださいね」

GMコメント

●目標
 森の中にある泉の状況を調査する。
 以下の状況を解決した時点で依頼完了となります。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

●ロケーション
 昼。村の近くの森で行動します。獣道が何本も走っており、生き物の豊かさが見て取れます。
 武器を振り回すことになった場合、木にぶつからないよう注意が必要です。
(以下PL情報)
 森に踏み込むと、泉を囲っている石垣が崩れて水が濁り、野草が張り出している様子が見えます。
 その野草の成分は、動物にはさしたる害がありませんが、植物には不調を齎す効果があります。

●NPC
・鹿
 森の野草を食べている鹿です。直接危害を加えない限り、反撃される事はありません。

・熊
 森で木の実から鹿まで食べている雑食の熊。子どもが育ち盛りで気が立っており、正面で鉢合うと攻撃されます。注意を怠らないように。

・その他小動物
 特に危害は加えられません。

 影絵企我です。非戦よりの平和シナリオを用意してみました。ですが、あんまり油断すると襲われることになります。では、よろしくお願いします。

  • 恵みの水完了
  • GM名影絵 企鵝
  • 種別通常
  • 難易度EASY
  • 冒険終了日時2019年07月27日 22時05分
  • 参加人数 8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ポテト=アークライト(p3p000294)
優心の恩寵
海音寺 潮(p3p001498)
揺蕩う老魚
河津 下呂左衛門(p3p001569)
武者ガエル
弓削 鶫(p3p002685)
Tender Hound
レスト・リゾート(p3p003959)
遠足ガイドさん
リア・クォーツ(p3p004937)
旋律を知る者
ミルヴィ=カーソン(p3p005047)
チアフルファイター
フラン・ヴィラネル(p3p006816)
繋ぐ命

リプレイ

●森の動物
 村に辿り着いたイレギュラーズ。軽く準備を整えると、揚々森へと足を踏み入れた。その先頭を進むフラン・ヴィラネル(p3p006816)は、辺りの草花を指先で撫でながら歩く。
「湧水かぁ。あたしの故郷でも、近くの泉から水を引いて使ってたなぁ」
 言いつつ、フランは植物達の声へ耳を傾ける。熊と殴り合いになったら、死にはしないでも怪我は必至だ。熊が近くを通りかかったか、彼女は木の一本一本に尋ねて回る。森の木は何よりも森の事を知っているのだ。
「熊はあっちだって!」
 フランが森の彼方を指差す横で、レスト・リゾート(p3p003959)は下草に尋ねかけていた。
「ねえ、鹿さんの通ってる獣道って、ここで合っているかしら?」
 下草は揺れる。葉擦れの音と共に、一頭の鹿がイレギュラーズの目の前を横切った。その背中には、レストが呼び出した雀が留まっている。鹿に揺られながら、じっと周囲を見渡していた。さらに小鳥がもう一羽、鹿の頭上を飛び過ぎていく。弓削 鶫(p3p002685)が喚び出してきた小鳥だ。小枝から小枝へとぴょんぴょんと飛び移りながら、やがて小鳥は大きな獣道を一つ見つけた。
「ふむ……この大きさは、もしかすると熊の獣道でしょうか……」
 鶫は小鳥を慎重に飛ばす。水源汚染の解決は何より大切だが、だからといって森の住人達と要らぬトラブルを起こすわけにもいかない。
 ものさしサイズの小さな鮫が、ふわりと浮かんで海音寺 潮(p3p001498)の肩口をつつく。その頭をそっと撫でると、潮はまるで海を泳ぐように、ふわりと宙へ浮かび上がった。
「ふむ……わしがとりあえず空から見るとしようかの。うっかり鉢合わせする羽目になっては困るしのう……」
 ゆらゆらと脚を揺らしながら、彼は高度を増していく。そのそばに寄り添うように、鶫の鳥が飛び抜けていった。獣道を走り抜けるキツネや猪の姿も見える。その後を追いかけると、下草も踏み固められた太い獣道が見えた。明らかに熊のそれである。その眼で辿ると、今歩いている獣道としっかり交差していた。
「いかんな。このまま歩くと熊に鉢合わせする可能性があるぞい」
「それは流石に困るな」
 ポテト チップ(p3p000294)は腕組みする。自分の腕どころか、召喚使役した精霊にすら籠を一つ持たせている。中身は全て食べ物。匂いが漏れないよう気を付けてはいるが、熊の興味を引くには十分だった。
「まあ、いざという時は木の実を実らせてそちらに気を引くだけだが……」
「あたしも正面から肉体言語で向かい合っちゃうよ!」
 フランも意気込む。流石のイレギュラーズでもおいそれと熊に相撲を挑むわけにはいかないのだが、そこはフラン、あほの子である。ミルヴィ=カーソン(p3p005047)はくすりと笑うと、そんなフランの肩を叩いた。
「いやいや。女の子に無理なんてさせられないよっ♪ ここはアタシに任せて?」
 言うと、ミルヴィは早速笛を取り出した。
「こういう時は大きな音を出してやるのが一番! アタシ達がここに居るってわかれば、熊さんも警戒して近寄ってこないだろーしねっ!」
 ミルヴィは笛をそっと咥えると、甲高い旋律をそよ風に乗せて奏で始める。横で聞いていたリア・クォーツ(p3p004937)は静かに目を閉じた。ミルヴィの吹く笛の音以外にも、彼女にとってこの森には様々な音が溢れている。人の行き交う町は、種々雑多、希望に溢れた声から絶望に落ちぶれた声までありとあらゆる声が聞こえる。一々聞かされるリアは頭が痛くなるばかりだ。
(それに比べて、森の中は穏やかで……)
 長閑な旋律を聞きながら、リアは笑みを浮かべる。仕事とはいえ、人里離れて気分転換できるのは悪い気がしなかった。
「何だか、遠足しに来たみたいね」
 戦いの無い平和な仕事。森の中の散策を、イレギュラーズはそれなりに満喫している。彼方から聞こえる音を聞きながら、熊はそんな彼らの様子を遠巻きにじっと眺めていた。

●崩れた石垣
 細い獣道を一列になって進むうち、やがてイレギュラーズは一つの泉に辿り着く。石垣で円形に整えられたその泉には、鹿やキツネもその水を飲みに来ていた。
「ふむ……」
 潮は喉をさすりながら獣達の様子を見守る。泉へ鼻先を近づけるそれらであったが、結局顔を背けて立ち去ってしまった。ポチ鮫もドボンと泉へ飛び込むが、直ぐに飛び出し戻ってきてしまった。
「やはり、このままでは獣達まで参ってしまいそうじゃのう……原因はやはりあれか」
 イレギュラーズは石垣の際を目で追う。石垣の一か所を押し崩し、鬱蒼と草が生い茂っていた。ポテトは首を傾げると、人差し指を指揮棒のように振りながら周囲を見渡す。木々から蛍のような光がふわりと飛び出し、彼女の周りに集まってくる。
「なになに? 最近泉で変な草が繁茂して困っている? あの草の事か?」
 頷くように光が揺れた。足元の草花と言葉を交わしていたレストとフランも、なるほどとばかり頷く。
「おばさん聞いたのだけど、ここのお花さんもあの草に居場所が押しのけられちゃって困ってるらしいわぁ」
 と、レスト。
「この辺りじゃ見ない草だったんだけど、急にたくさん生えてきちゃったんだって! 皆も頑張ってるけど、向こうの方が生えるスピードが速くて、全然手に負えなくなっちゃったって……」
 と、フラン。よくよく見れば、草の密度がそこだけ違う。茎と茎とが絡みつき、風にも揺られないくらいびっしり生えてしまっている。ミルヴィはゆらりと泉の淵を歩き、揺れる草をじっと覗き込む。旅芸人として諸国遍歴に勤しんできた彼女には、ぎゅうぎゅうに生えるその草にも見覚えがあった。
「むむーん……この草……もしかして南国で生えてる草カナっ? 向こうだとお湯に汁を煮出して、石畳に撒いて雑草除けにしたり、そのまま飲んで風邪薬の代わりにしたりするんだよね!」
「つまり、この草は毒草というより、本来は薬草と言うべき存在である……と? 見るからに迫力のある根の張りようですが……」
 鶫も傍に歩み寄り、おもむろに茎を掴んで野草を引き抜こうとする。しかし野草はビクともしない。木にも負けない太い根が、泉の石垣にまで張り出していた。
「雑草除けになるのって、そもそもこの草の汁が他の草を弱らせるからなんだよねー。この辺だと見ない植物のハズなんだけど、それが、何でこんなとこに生えてるのカナ……」
 さらりと髪の毛を流して振り返ると、潮は両手両肩に小鳥を留め、彼らの鳴き声にじっと耳を傾けていた。
「ふむ……前の年の夏がそこそこ暑かったお陰で、見慣れぬ鳥もこの森に渡ってきていたようじゃな。フンに混じってこの森にも幾つか種が蒔かれた、ということはあるかもしれんのう」
「つまりは、この野草をきっちり取り除かないとまた同じように石垣が壊されて、この草の汁が泉に染み出して……って事になっちゃうわけね。これは骨が折れそうだわ」
 リアは頷く。びっしり生えた野草は、喩えるならば草の壁だ。分け入る事さえも苦労しそうである。
「それならば、だ」
 ぽんとポテトは手を打つ。背後に飛んでいた精霊が、浮かべていたカゴをふらふらと下ろした。大荷物を運び続けた精霊は、すっかり疲れ切った様子である。
「今まさにお昼時である事だしな。まずは皆でお弁当を食べてから、任務へ励むとしようか」

 そんなわけで、イレギュラーズは泉の傍に腰を下ろし、皆が持ち込んできた弁当を思い思いに広げ始めた。
「じゃーん! どう? 美味しそうじゃない?」
 ミルヴィが背負っていた風呂敷を広げると、魚卵や魚肉を詰めた大きな丸おむすびや雑穀ご飯で作った小さな俵おむすび、骨付き肉の甘辛煮やら、夏野菜の甘辛炒めやら、ついでに果物ゼリー、ゼシュテルの雪解け水から作った、冷やした美味しい紅茶まで、よりどりみどりである。ポテトはそれを横目に、ふと頬を緩めた。
「おやおや、随分とたくさん作ったのだな」
「任務先でお弁当を作って食べるような機会なんて、中々無いでしょー? ついうっかり作り過ぎちゃって……」
 照れくさそうに鼻先を掻くミルヴィ。ポテトも納得したように頷いた。
「その気持ちは分かるぞ。私もなのだ」
 いうなり、ポテトは精霊が置いた籠を開いた。そこから出てきたのは、幾つものおにぎり、卵焼き、ついでに鶏肉の香草焼きにジャガイモの煮物。もう一つ、ポテトの下げていた籠を開くと、クッキーやらフィナンシェやらスコーンやらが顔を覗かせる。水筒に入った水もたくさんあった。
「皆で食べると思うと、な」
 張り切った2人のお弁当を覗き込み、鶫とレストも目を見張る。
「あらあら。おばさんびっくりだわぁ。どれも美味しそうねえ……」
「しかし、私も自分が食べるための食糧は用意してしまったのですよね」
「私もなのよねえ。サンドイッチが1つ、2つ、3つ……お裾分けもしようかと思って」
 言いながら、二人は小さな籠に収めたサンドイッチを差し出す。
「なあに、保存の利かぬ食べ物で作ったわけでもない。余ってしまったら、村の人達にも食べてもらえばいいじゃろう。そして良ければわしの作った握り飯も食べてやってくれ」
 そばを漂うポチに干し魚を喰わせながら、潮も握り飯の包みを差し出す。中身はただの梅干しから、ハイカラなエビフライや唐揚げまで選び放題だ。そんな仲間達の弁当紹介をじっと眺めていたリアとフランは、早速仲間達の作ったおにぎりを手に取った。
「いやぁ、これはもしかすると正解だったかもしれないわね。あたし達は食べる専門って事で、早速頂くわね」
「あたしも作ってこなかったんだよね。いつも取れた木の実をそのまま食べちゃうし! って事で、先輩達のおにぎり、頂きます!」
 大きな口を開けて、二人は一気におにぎりを頬張る。彼女達はぱっと顔を輝かせた。
「美味しいわね」「うん、美味しい!」
 そんな素直な反応を見て仲間達も笑みを浮かべ、一時の休憩に入るのだった。

 のんびり腹ごしらえして喉の渇きも潤して、イレギュラーズは揚々と作業へと取り掛かり始めた。何はなくとも、まずは頑固に根を張ってしまった野草を取り除いてやらなければいけない。根っこ一本残しても、またそのうち生えてきてしまうのだ。
「では、やるか」
 ポテトは野草が根を張る土塊に手を当て、中から精霊を呼び起こす。土の隙間から這い出した精霊は、ふわりと浮かんでポテトが手に持つ小さなシャベルに憑りついた。そんなシャベルを野草の傍に突き立てると、まるで泥の中へと差し込むかのように、シャベルの切っ先がするりと土の中に埋まった。土の精霊の力である。彼女は手元や頬が土で汚れるのも構わず、草の根を掘り出していく。普段から農家として生きているポテトにとって、これくらいは朝飯前だ。
「あらあら。随分と奥深くまで根を張ってしまっているのねえ。この草の種を運んできた渡り鳥にも、この野草にも悪気はないのだけど、全部掘り返さないといけないというのは大変だわぁ……」
 一方のレストは大変だ。固く締まった土の中を掻き分けて、深く伸びる根を一つ一つ選り分けて、少しずつ草を掘り返していかなければならない。自然会話の力で、今まさに抜かれようとしている野草の不満も聞こえてくる。彼女は申し訳なさそうに、そっと野草を撫でた。
「ごめんなさいね。貴方がここでのびのびしてると、この森のみんなも、泉の向こうで暮らしてる人たちも、皆困っちゃうのよ」
 根っこは深い。長身のリアでさえ、根の底を掘り起こすのが大変だ。
「もうそろそろ抜けそうかしら……?」
 リアが耳を澄ますと、感情の旋律がマーチとなって微かに聞こえてくる。振り返ると、色々な動物が寄り集まって、イレギュラーズ達の工事を不思議そうに眺めていた。
「皆にとってもあたし達の作業は気になるのかしら」
「この草の汁の溶けた水、飲むと苦くて仕方ないのよー。動物達ならなおのこと感じるんじゃないカナー?」
 ミルヴィも動物達をちらりと見遣る。リアは納得したように頷くと、野草の根元をそっと掴んだ。
「それでは、根を折ってしまわないよう、慎重に……」
 リアはゆっくり野草を引っ張る。纏わりつく土を払い落し、そっと土の中から取り除いていった。最後まで引っ張り抜くと、下草の上に放り出す。それだけで小さな山が出来上がっていた。
「いやはや。随分と太い根じゃのう。石垣を裏側から押しのけてしまうだけの事はあるようじゃ」
 潮は大きなスコップで土を掬い、出来た穴の中に放り込んでいく。泉からも水を拝借すると、土に水を含ませじっくり土台を固めていく。その間に、裸足になった鶫とフランが、泉の中に沈んでいた石垣の石を拾ってきた。風雨にさらされてはいるものの、形ははっきりしている。岸辺に石を放り出した鶫は、濡れた石をぴたぴたと撫でた。
「石垣の石におかしな所は無いようですし、元の通りに組み直せば大丈夫そうですね」
「それならあたしに任せて! 故郷でもよく吹き飛んだ屋根とか直してたし、こういうのは得意なんだよね!」
 岸辺に並べた石、崩れた石垣の列をじっと見比べる。そもそも元の石垣はどう積まれていたのか。幼い頃から積み重ねた修理の勘でじっくり見切る。
「よーし、この石をここに載せて、この石はこうで……」
 河津 下呂左衛門(p3p001569)と一緒に、フランは崩れた石垣をどうにか積み直していく。

 こうして、イレギュラーズ達は森の泉の破壊された石垣を復活させたのだった。

●蘇る泉
 陽が傾きかけた頃、イレギュラーズはようやく森から村へと引き揚げてきた。待ちかねていたように、村人たちが彼らに駆け寄ってくる。
「様子はどうだった? 泉は大丈夫そうか?」
「ええ。南方では雑草除けとして珍重されている草が森に紛れ込んで繁茂し、その草の汁が泉に溶け込んでいたのが、村の畑や草花に悪い影響を与えていた原因だったようです」
 鶫は村人の問いに淡々と答える。
「おそらくこれで、綺麗な水が戻ってくると思いますが……」
「そうか……いやあ、よかった。また、今度は任務以外の時に来てくれ。泉の水はそのまま飲んでも冷たくてとても美味いんだ。この先夏だからな。よく涼めるはずだ」
「ありがとうございます。検討させて頂きますね」
 スカートの裾を摘まみ、しずしずと頭を下げる鶫。村人の一人は、その肩越しに見える草の山に気付いた。
「おいおい、ありゃなんだ?」
 フランの蔦で縛り上げた草の山を、潮はどさりとあぜ道の上に下ろす。レストは山の中から野草を一本抜き取り、村人たちの前に差し出した。幅の広い、青々した葉がふわりと揺れる。
「これが今しがたお話しした野草ですわ」
 そのまま焼き捨ててしまうのは忍びないし、埋めたら埋めたでまた新しくどこかで生え始める可能性もある。泉が汚れた原因を村人に知ってもらう意味も込めて、レストが持ってくるように勧めたのだ。
「南の方で元々生えていた植物……ということだけれど、これからもまた渡り鳥が何かの弾みでこちらに種を運んでこないとも限らないわねえ。この形の葉を見たら、少し気を付けるといいわね」
 村人は頷く。日傘をくるりと回し、レストはにっこり笑った。
「あと、南ではこの野草、風邪の薬として使われているみたいよ。もし興味があるなら、お湯で煎じて飲んでみるといいんじゃないかしら?」
「とっても苦いらしいけどねっ♪」
 ミルヴィは景気よくウィンクしてみせる。風に吹かれた野草がもつれて揺れた。

 かくして、無事に泉は修復され、森も村も再び平穏を取り戻したのであった。



 おわり

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

この度はご参加ありがとうございました。
現実でいうとミントが似たような被害を齎すことがあるでしょうか。皆さんも雑草は生え広がる前に処理してしまう事をお勧めしますよ。

ではこの辺りで。ご縁がありましたらまた。

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