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シナリオ詳細

ラサ・ブレンダンソマー墓所より
ラサ・ブレンダンソマー墓所より

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●あるはずのない墓
 ラサのオアシス街に日が昇り、人々が行き交う。
 そんな賑やかな昼のエスニックバーでのこと。
「ブレンダンソマー墓所ですって?」
 大きな窓から未だ陽光が差す時間だというのに、幻想の考古学者ハンナはビールグラスを勢いよく飲み干した。
 そしてプルー・ビビットカラー(p3n000004)の持ち込んだ資料をひっつかみ、顔を近づけて覗き込む。
 さもあらん。
 幻想には全く同名の墓所が存在し、それが墓だとわかったのが一昨年のこと。さらには魔種のすみかであると分かったのが去年のこと。その魔種が討伐されたのがつい最近のことである。
「それがまたどうして、ラサに新しい墓所が発見されるのよ」
「私に理由を聞かないで頂戴。私の仕事は情報を持ってくることであって、実地調査は彼らの仕事よ」
 そういって羽根のついた扇子を閉じるプルー。
 ハンナと彼女が振り返ると、そこにはいまさっき集合したばかりのイレギュラーズ……つまりはあなたとその仲間たちがいた。

「紹介するわね。知ってる人もいるだろうけど彼女はハンナ。幻想で考古学者をやってるわ。多分混沌で指折りなくらい動くミイラに縁のある女よ」
「嫌な紹介しないで」
 手を翳してプルーの紹介を遮るハンナ。
 歳にして四十代ほどだろうか。赤みがかった長い黒髪に赤い唇。歳を重ねたことでなお艶を増した美女であった。
「話はざっくり聞いてると思うけど、今回依頼するのは私の護衛よ。
 私自身の目的はこの――」
 トン、と人差し指を資料の束に立てるハンナ。
「『ラサ・ブレンダンソマー墓所』の調査よ」

●ラサ・ブレンダンソマー墓所
 『偉大なるもの、この墓所に眠る』。
 大きな石扉にそう刻まれたピラミッド状の建造物。
 それがラサ・ブレンダンソマー墓所である。
「名前は扉に刻まれていたものをそのまま適用してるわ。
 幻想にも同名の墓所があって、その調査には私も携わったわけだけど、石造であるところを覗けば建築様式が大きく異なる建物よ。同じ時代に作られた別文明の遺跡……ってところかしら」
 ここでいう文明というのは国家のことである。はるか昔、幻想があった場所に滅びた国があり、そして同じ時代にラサの砂漠地帯にも滅びた国があったということである。
 鉄帝ほど豊かではないが、ラサにも古代文明の遺物が多く砂に埋もれていると言われこの墓所もそのひとつではないかとハンナは着目したのだ。
 途中から説明を代わるプルー。
「調査隊が突入したけれど、6名中5名が帰らず、1名が重傷をおって帰ってきたわ。その後病院で息を引き取ったけど、彼の持ち帰った資料が今回役に立つと思うわ」
 プルーが示したのは皮の手帳だった。
 中にはラサ・ブレンダンソマー墓所の作りかけたマッピング記録と内部で行なわれた戦闘の記録であった。
「この手帳によれば、内部では安置されたミイラが動き出して剣や弓や魔法を用いて戦闘を仕掛けてきたとあるわ。
 他にも罠によって命を落とした隊員や、恐慌状態になって墓所内で行方不明になった隊員もいる。
 このことから見た目よりずっと広いダンジョンであることと、ミイラタイプのアンデッドモンスターが出現することがわかるわね。
 作りかけのマップを見る限り道幅は数メートル程度で、剣を振り回すには不自由しないけど野球やサッカーができるほど広くない……ってところかしら。
 恐らく仕掛けられた罠も重量感知識やワイヤー式じゃなく、魔力感知式が殆どね。簡単な罠はここまで広いと使えないもの」
 プルーは一通り説明すると、手帳をハンナへと手渡した。
 こっくりと頷き、イレギュラーズたちを見回すハンナ。
「調査隊は全滅したわ。探れるだけじゃない、『戦える人』が必要なの。
 私の目的は調査だけど、別に死にに行きたいわけじゃないから……そうね、皆がこれ以上は行けないと主張するならそこで切り上げて構わないわ。
 逆に、体力が尽きるまで延々と奥へ進み続けるなんて無謀なことを言われたら私が困るから、そういう時は反対させてもらうわね。
 そうそう。報酬は勿論だすけど……それに加えて『未開の古代墓所の探索』ってロマンは、魅力的じゃない?」

GMコメント

■■■オーダー■■■
 『ハンナの護衛』が依頼内容です。
 よって『帰還時におけるハンナの生存』が最低成功条件となります。

 その上でハンナの主目的である遺跡内の調査を行なっていきます。
 ささっと探索してすぐ帰る安全プランをとるか、長時間かけて探索し続ける根性プランをとるかは集まったメンバーの趣味や能力をみて相談してください。
 (ハンナとしてはこの一回で調査を終えるわけじゃないのでどちらでも構わないようです)

■■■フィールド■■■
●ラサ・ブレンダンソマー墓所
 ピラミッド状の石造建造物。
 砂の嵐に覆われる形で長らく見つかっていなかった。先日行なわれた初調査ではチームが全滅。ごく最低限の武装と戦闘力しか持たなかったことが原因だとわかり、改めてローレットが護衛として雇われました。
 屋内は恐らく暗い筈なので、アイテムとしてたいまつやカンテラといった照明器具を装備しているとグッドです。(ハンナが調査ツールと共にひとつ装備しています)


■■■探索判定■■■
 探索パートでは、以下のようなイベントがおこることがあります。
 全部に対して対応しようとすると確実にプレイングキャパをオーバーするので、それが得意な担当者ごとに手分けしてあたるのがよいでしょう。
 探索はチームプレイ! です!

A:ミイラ式アンデッドが襲ってくる
 数は6~10体。戦闘力は低いが後々を考えてAPの消耗には注意。
 ミイラは毒、乱れ、足止、麻痺の中からランダムにひとつだけBS付与効果を持っています。

B:トラップが発動
 魔力感知式のトラップが発動し、炎が吹き出したり電撃が走ったりします。
 巧妙に隠蔽されているため、罠対処をはじめとする有効な非戦スキルがない場合は事前に(ないしは発動直前に)気づくことはできないでしょう。
 (魔力感知技術は赤外線センサや空気感知やなんか魔力的な何かだと思ってください)

C:隠された何かや資料を発見(レア状況)
 記録や記憶はハンナが行なうので(というか行なわないと意味が無いので)必要ありませんが、解読や解錠といった作業は皆さんの力が役に立つでしょう。

X:ボスチャレンジ(要フラグ)
 探索をかなーり長く行なえた場合に発生フラグがたちます。
 遺跡奥地に眠る巨大ミイラと戦うことになります。
 大量のミイラアンデッドを召喚すると共に、体格を用いたパワフルな戦いをするでしょう。最後の部屋は野球場くらいには広いはずです。
 ちょっとしたピラミッド建造物の中にこんな空間があるのは変ですね?

Z:?????????????

■■■同行者■■■
●ハンナ
 四十代カオスシード女性。幻想にパトロンをもつ考古学者。
 戦闘能力はとても低いが、『瞬間記憶』『精密模写』加えて考古学の特殊な知識を持っています。
 装備品としてカンテラと調査道具。申し訳程度の短剣をもっています。

■■■アドリブ度■■■
 ロールプレイをよりお楽しみいただくため、リプレイにはキャラクターのアドリブ描写を用いることがございます。
 プレイングやステータスシートに『アドリブ歓迎』『アドリブなし』といった形でお書きくだされば、度合いに応じて対応いたします。ぜひぜひご利用ください。

  • ラサ・ブレンダンソマー墓所より完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2019年07月21日 21時55分
  • 参加人数 8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ティア・マヤ・ラグレン(p3p000593)
穢翼の死神
武器商人(p3p001107)
銀の月
ヴィマラ(p3p005079)
ラスト・スカベンジャー
藤堂 夕(p3p006645)
小さな太陽
ベッツィー・ニコラス(p3p006864)
ライゴーズ
ルチア・アフラニア(p3p006865)
斜陽
ソア(p3p007025)
雷精
物部・ねねこ(p3p007217)

リプレイ

●ピラミッドの中へと
 四頭引きの馬車が二台。広い砂漠のなかで止まった。
 首を振り鼻息を鳴らす馬の手綱をひいて、『闇之雲』武器商人(p3p001107)は『ヒヒヒ』と笑って御者席からフードの縁をあげた。
 刺すような日差しと無限に広がるかのような青空。
 ゆっくりとなみうつ砂漠。
 そのなかに半分埋もれるようにしてそびえる、オーソドックスタイプのピラミッドがそこにはあった。
 馬車の上に積まれた沢山の荷物。そのなかからソア(p3p007025)はオリーブ色のミリタリーバックパックをひっつかみ、ピスヘルメット(いわゆる探険帽。ないしはサファリ帽)を被って見せた。
「遺跡探検かー、初めてだぞ。楽しみだなあ。何があるんだろ! ――ぺぺっ! すなっぽい!」
 楽しいと身体が動くタイプなのか、ぴょんぴょんとはねるたびに軽い砂が舞い上がる。
 その様子をどこか微笑ましそうに観察していた『斜陽』ルチア・アフラニア(p3p006865)が、同じように自分の荷物をとった。
 ロクルス(肩掛けや背負いが可能な四角い革鞄。さして大きくないものをさす)と水革袋。そして適当にまっすぐな木の棒である。
「まさか、異世界まで来てピラミッドに入れるなんてね。墓荒らしにならないかしら、これ……。学術調査だから平気?」
 馬車から降りて自分のリュックサックを装備した考古学者のハンナ。
「調査目的なのは確かだけど、非道徳的な行ないをするつもりはないわ。安心して」
「ま、そういうことならいいけど……」
 地球世界でいう21世紀人には分かりづらい話だが、ルチアがかつて存在した帝政時代末期のローマにおいてさえ、ピラミッドは約3000年前の遺物であった。なにげにエジプト(それも一番有名なギザの王墓)もローマに入ってるせいでその噂もまあまあ伝わっていたと思われるが東西分断のなんやかんやで結局は未知の土地扱いされていたものと思われる。たぶんだけど。
「ていうより、こっちにもあるのねピラミッド」
「ねー、びっくりですよねー!」
 登山によく使われる縦長のバックパックを背負い、物部・ねねこ(p3p007217)が興奮冷めやらぬ顔でピラミッドを見上げた。
「見るだけじゃ無く中に入れるだなんて……ミイラですよ! ミイラ! ミイラ……! 興奮しますね!」
 ピームでも出るんじゃ無いかという勢いで眼鏡と目を光らせるねねこ。
 はたから見ると冒険とロマンとミステリーが大好きな女子に見えるかもしれないが、エドハウスを見ても多分同じ反応をすると思うのでちょっと違うのだった。
「物部さんはこういうの好きなんですねー」
 『小さな太陽』藤堂 夕(p3p006645)ドラム式スポーツバッグを肩から斜めがけにして、中のものを一通り点検し始めた。
「今回はどのくらい探索させて貰える予定なのかしら」
 点検風景を眺めながら煙草をふかすハンナ。ちなみにフルネームはハンナ・カナハン。
 対して夕はバッグから携帯固形食料や小さな酸素吸入器。お茶の入ったボトルなどを取り出して見せた。
「できるだけ沢山見て回りましょう。こうしてご飯も用意したので休憩だってできますよ!」
「ピラミッドの中で休憩するの? かわったピクニックだね」
 割と軽装の『穢翼の死神』ティア・マヤ・ラグレン(p3p000593)。肩掛け鞄を持ってはいるが中身は固形食料と水筒くらいなものだった。
 彼女の内側から語りかけてくる『神様』。
『墓地に探索か。中は危険も多い。無理はするなよ?』
「うん、分かってるよ、気をつける」
「それにしても……」
 ギターケースを背負い、腰にランプをさげる『ラスト・スカベンジャー』ヴィマラ(p3p005079)。
 ゴーグルやショルダーバッグもつけてなかなか気分の入った装いだった。
「でっけースケールだよね。死んだ後ピラミッドに入って、『偉大なるもの、この墓所に眠る』だもん。ロックな生き様――もとい死に様! お墓参りも気合いがはいっちゃうゼ!」
 ギターケースを担ぎ直し、気合いを入れるヴィマラ。
 『ライゴーズ』ベッツィー・ニコラス(p3p006864)はそんな仲間たちの、ともすればバラバラにすら見える装備に頷いた。
「さすがは混沌。装備の形式もバラバラじゃな……さておき」
 自分も自分で天義の学生鞄をパンパンにして、ピラミッドを指さした。
「さまよえるアンデッドをお浄土へ導き、墓所の謎もガッテン解明してくれるわ! ……それはそれとして古代の王墓など壊して更地にするのはいかんのかの」
「なにそれ過激。めっちゃ右よりじゃん」
 ヴィマラがロックじゃんとかいいながらベッツィーの背を叩いた。
「ま、依頼は依頼。ギルド仕事でお金のためだ、頑張ろっ」
「ふうむ……」
 こうして気持ちをひとつ(?)にした八人のイレギュラーズと依頼人のハンナは、予め確保されたピラミッドの入り口へと歩き出したのだった。

●石のダンジョン
 真っ暗な道を、限られた明かりをもって進む。
 この明かりが何かしらの理由でつきてしまえば自分たちはこの暗闇に放り出されることになるという不安や、進む先に何が待っているのか分からないという恐怖が一体のスリルとなって一行を包んでいた。
「まって、何かある」
 翼を魔力感知アンテナのように広げていたティアが、通路の途中で足を止めた。
 ティアは翼から発したグリーンの光を立体スキャナのように走らせると、通路に走る赤い魔術感知線を可視化した。
「このラインに触れないように通らないと罠が発動すると思う。気をつけて」
 そう言いながら、翼を畳んでラインをすり抜けるように進むティア。
 リュックサックを背負っていた武器商人はちらりとカピブタを振り返り、既に通った道があるかを聞いていた。
 ピラミッド内の通路はどれも似たような作りになっているせいでよくわからないらしい。
 特別狭い通路や物理的な仕掛けは見つけていないので、今のところ見分けがかなりついていない。
 手書きのなんとなーくなマップが頼りである。このマップも正しく計測されているわけではないのでぐるっと回った結果うずまき構造と見間違えたり微妙な傾きをはかり損ねて螺旋構造とループ構造を間違えたりすることもしばしばである。
 なので、こうして定期的に自分の立ち位置を主観的に確かめておく必要があるのだ。

 探索中、あるときのことである。
 壁面にはめ込まれた石の板が外れ、内側に掘られた二段ベッドのようなくぼみからミイラが起き上がり、備え付けてあった剣や弓をとって襲いかかってくることがあった。
 が、しかし。
「そう来ると思ってました!」
 ミイラがむくりと起き上がった直後。夕の召喚したツタンカーメン的棺ミサイルがミイラを直撃。
 まだ外に出てないのに撃滅するというスピード解決をはたした。
 というのも、透視能力で板の先がちらっと見えていたからである。
 特に透視と暗視を併用していたルチアに至っては、板が外れる直前から既に構え終わっており、僅かに空いた隙間から光の槍を無理矢理ねじ込み逃げ場の無いミイラを刺し殺したりしていた。蜂の巣を袋で覆って殺すかのような、プロの害虫駆除めいた手際であった。
 そのたびにミイラから『縫い付けられた霊魂』だけが抜けていき、あとに残るは死体のみという具合になっていった。
 はいそして死体といえば。
「ミイラ! ミイラですよミイラ! それも健康体のまま自発的な薬物投与によって安楽死したミイラ!」
 胴体部分をナイフでさくさく解剖しながら、ねねこが興奮気味に言った。顔がどこか妖艶なほどに笑っているせいで大体の人はどん引きだが、考古学者であるところのハンナは割と深く興味を示した。
「死因がわかるの?」
「カラカラなうえすごーく昔に死んでるので確かじゃないんですけど、喉から胃袋にかけてが綺麗に死んでるの分かりますか? 無理に服毒するとこうはならないんですよ。それに身体にも失血やそれに至る損傷も見られないので多分……」
 余談だが、古代のミイラがどうやって死んだのかを確かめる研究というのは考古学の中でも結構アツい分野らしい。ハンナは熱心にそれを書きとめ、ミイラの死に方から当時の文明のありかたや社会の構図をはかっていた。
「この土地にあった古代文明では、王が死ぬとあの世でも奉仕されるようにと奴隷や兵士を一緒に殺して埋葬する文化があったと言われているの。
 これが分かった当初は王が冷酷で身勝手な人間だと思われていたけど、自発的に、それも恐らく貴重だったであろう薬を服用して死んだとなるとそれだけ王が慕われていたという解釈に変わってくるわ。貴重な発見になるかも。興奮するわね」
「興奮しますよね!」
 お互い恐らく違うベクトルで興奮を分かち合っていると……。
「なあ、ハンナさん。あっちの方が何だか臭うぞ」
 トラハンドをにぎにぎしつつ、ソアが通路の先を警戒しはじめた。
「かなり弱いが霊魂が漂っておる。なにかあるのう……」
 ベッツィーが『じゃろう?』といってヴィマラに話を振ると、ヴィマラは目を細めるようにして突き当たりの壁に手を当てた。
「霊魂もそうだけど……なーんかこの先、死体がある気がするんだよね。ミイラかな。それもかなり沢山」
「ほう、死体の山」
「山かは知らないけど」
 ヴィマラは試しにそのへんにいる霊魂に問いかけてみると、どれもぼんやりとした意志で『ここから逃げろ』や『この先は危険』といった意思疎通を通してきた。
 そのことはベッツィーにも分かったが……。
「どうする。チームの損傷も警備じゃし、わらわはもっと進んでも良いと思うが」
「私は護衛の判断に任せるわ。無理に進ませて命を落とすのは嫌だもの」
 腕組みをして保守的な態度をとるハンナ。
 武器商人やティアたちはそれぞれ意見を出し合い、ひとまず壁の向こうへ行ってみることに決めた。
 うむと頷いて壁に刻まれたかすれ文字を解読していくベッツィー。
 一部のリングがハンドルによって回転することを発見すると、文字に刻まれた通りにリングの位置を調節した。
「なんで金庫の番号を金庫に書くようなことしたんだろ」
「当時は文字を読める者自体さほどいなかったんじゃろうな」
 トラップやミイラ兵という物理的なハードルの末に、知識と知恵を侵入に対する最終的なハードルしたのだ。
 つまりは、知恵と力と勇気をもった者だけがこの部屋に入ることを許される……ということである。
 かくして、ごとごとと音をたてて開いた壁の先には……。

●巨人の間
 黄金で装飾された部屋。その奥には巨大な椅子がこしらえてあり、その大きさに見合う巨大なミイラが腰掛けていた。
 ベッツィーのかかげたカンテラの光によって照らし出されたそれを、ルチアと夕は目をこらして見つめた。
「あれが……王ってこと?」
「けどここまでの流れを考えると……すごく動き出しそうですよね。わっ!?」
 途端。辺りにあったドクロの装飾が光を放った。内側に溜めた油に火が付き、大量のランプが灯った状態であるようだ。
 だが驚くべきはそこではなく、明かりによって照らされたのが野球場ほどの大きさをもつ広大なフィールドであるということである。
 その中央に、巨大な椅子はあったのだ。
「…………」
 巨大なミイラはゆっくりと立ち上がり、そばに突き立ててあった電柱サイズの錫杖を手に取った。
 それをどのように使用するかは、大きさから察するに余りある。
 そのうえ、フィールドをぐるりと囲む壁の全てに設置されていた軽鎧を纏ったミイラ兵が一斉に動き出し、夕たちへと襲いかかったのだ。
「ハンナさんは私の後ろへ!」
「兵士は任せてもらおうねぇ」
 武器商人は『破滅の呼び声』を発動させると群がるミイラ兵士へと飛びかかり、ミイラたちのヘイトを集め始める。
 彼の能力と夕の光翼乱破はなかなかに相性のいいもので、敵だけを識別し一方で武器商人に付与された乱れ、足止、麻痺といった効果を取り払っていく。
 掠っただけでもミイラを粉砕してしまいかねない夕の威力も相まって、ミイラの排除とハンナの保護にはそれほど苦労しなかった。
 重要なのは巨大ミイラのほうである。
「ふふー、気をつけろ。眩しいぞ!」
 挑みかかってくる大勢のミイラ兵を『ひっかき』によって薙ぎ払うと、ソアは巨大ミイラへと雷電の光と共に飛びかかった。
 それを防御するように錫杖を翳す巨大ミイラ。
 後方へと回ったティアが襲いかかるミイラ兵たちに対して翼を広げる。
 『穢翼・白夜』の放射を浴びせ『穢れ』だけを抜き取りただの死体へとかえていくためだ。
 そうして数を減らした所で、ガードの弱くなった巨大ミイラへ『剣魔双撃』の襲撃を仕掛けるのだ。
 前後からのサンドアタックにもがき、払うように錫杖を振り回す巨大ミイラ。
 二人を衝撃によって吹き飛ばされた所で、入れ違いにねねことヴィマラが右側面方向に展開した。
「まずはバンバン砲撃だ、援護頼むぞ!」
 ヴィマラはフライングVタイプのギターを抜くと、激しく演奏し始めた。
 向かってくるミイラ兵とその後ろから突進をかけてくる巨大ミイラへまとめて攻撃が浸透し、ヴィマラへ殴りかかろうとした巨大ミイラは思わずその場に転倒してしまった。
「さまよえるアンデッドよ――即極楽往生じゃ!」
 剣を抜き、突撃するベッツィー。
 何とか体勢を立て直した巨大ミイラが錫杖を叩き付け、それがベッツィーに直撃する――が。
 ねねこの投げたヒールグレネードとルチアの投げた光の手槍がベッツィーへとぶつかり、打撃のダメージとそれによる骨折を瞬時に回復した。
「今よ、たたき切っちゃいなさい!」
「うむ!」
 ベッツィーの剣が巨大ミイラの首を切断していく。
 切り取られた首は回転し、フィールドの端へと転がった。
 ずずんと音をたてて崩れる巨大ミイラ。
 これが死霊術の中心になっていたのか、周囲のミイラ兵たちも一緒に崩れ、それ以上動かなくなった。

 その後。
 巨大ミイラの椅子の下。つまりは石でできた箱状の空洞から先行探索隊の死体がごっそりと出てきた。
 ねねこの入念な検死結果によると彼らはピラミッド内にあったトラップやミイラ兵の攻撃によって死亡した死体であり、それを何者か(恐らくはミイラ兵)が担いでここまで運んできたものだと判明した。
 ベッツィーとねねこはうーんと考えながら死体を一旦箱に戻した。連れ帰るにはちょっと重い荷物すぎるからだ。
「こんなところに死体を溜めてどうするつもりじゃ。墓所だからといってもあまりに乱暴なしまい方じゃのう」
「死体が好きでとっておいたようにも見えませんね」
「まだ何かありそうではあるけど……」
 ルチアは腕組みをして、仲間たちを振り返る。
 巨大ミイラとその兵隊たちとの戦いで、八人のメンバー全員が無傷というわけにはいかなくなってしまったようだ。
「ここら辺が引き時よね」
「そうみたいね。今回の調査結果を持ち帰って、今度また調査計画を立ててみるわ」
 ハンナは手帳をパタンと閉じた。
「今回はありがとう。さあ、帰りましょう」

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 ――mission complete!

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