シナリオ詳細
3倍で動くという赤いロボット
オープニング
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練達某所。
ローレットでの依頼を受け、駆け付けてきたイレギュラーズ達は、街の入り口で『穏やかな心』アクアベル・カルローネ(p3n000045)と落ち合う。
「皆様、お疲れ様です」
丁寧に頭を下げるアクアベル。
彼女は道中を案内する途中、改めて依頼内容を確認するように話す。
なんでも、ロボットの開発協力をということでイレギュラーズ達も集まったようだが、詳しくは現地にて……という比較的大雑把な形での依頼だったらしい。
依頼を仲介するアクアベルもまた、深い事情まで聴いていないらしく。
「なんでも、戦闘用ロボットの能力を確認したいということらしいです」
アクアベルも依頼人からそういった話しか聞いていないとのこと。依頼人である研究者も、ロボットを初披露とあってもったいぶっているらしい。
依頼料をもらえるとはいえ、わざわざ幻想からやってきたイレギュラーズ一行だ。それ相応の物を見たいものではあるが……。
指定された場所は、大きなドーム状の建物だった。
1辺100mの大きさの建物なので、大体東京ドーム5分の1くらいの大きさか。
「東京ドームって何でしょうね」
そんなアクアベルが真顔で聞き返すような話はさておき、イレギュラーズ一行が中に入ると、そこには白衣を着た数人の研究者の姿が。
「待っていたよ、ローレットの諸君」
挨拶をする彼らの後ろには映画で使うような市街地のセット。
そして、研究者達のそばには見上げるくらい大きな何かが大きな布にくるまれている。
ただ、全部は隠れておらず、足元がすでに見えているが、研究者たちは気にしない。
「旅人の協力と、我々練達の英知を合わせて作った機械巨人。その姿をとくとご覧あれ!」
そこで、大きな物体の布が取り払われると、現れたのは、全身が赤く着色された全長8m程度ある人型ロボット。
「仮称、試作ロボットMk-Ⅱ(赤)だ!」
割と名前はどうでもよいらしい研究者達。
彼らはこのロボットの能力を早く試したいということで、ローレットに依頼したという。
その力は竜や魔種にも劣らないはずだと、彼らは胸を張る。
「だが、さすがに本物でいきなり実験するとはいかんものでな」
その為、一旦イレギュラーズでその能力を試そうと考えているらしい。
こうして大きく丈夫なドームで戦うことで、市街戦さながらのシチュエーションによる戦闘でのデータを取ることができるという。
「悪いが、本気で来てほしい。それだけの戦闘用ロボットに仕上げたのでな!」
なんでも、旅人が赤いロボットは3倍で動けると主張していたらしく、その辺りを再現しようとしたらしい。
ロボットは燃える斧にマシンガン、バズーカ。そしてロケットランチャーを使うことができる。
「ともあれ、模擬戦を開始したい」
基本的には実戦さながら戦うことになる。
怪我は自己責任とのことで、重傷を負っても研究者達は責任を負わないとのことだ。
動きを止めることができれば、イレギュラーズの勝利。
全てのイレギュラーズが動けなくなれば、ロボット……研究者の勝利となる。
アクアベルや実際に搭乗しない研究者は、外のモニタから観戦するとのこと。ドーム外にはよほどのことが無ければ被害が及ぶことはないので、思う存分戦いたい。
「それでは……ゆくぞ!」
赤いロボットのモノアイが煌めく。
動き出したロボットと対するべく、イレギュラーズ達は市街地のセットへと駆け込んでいくのである。
- 3倍で動くという赤いロボット完了
- GM名なちゅい
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2019年07月17日 21時45分
- 参加人数8/8人
- 相談5日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(8人)
リプレイ
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練達のとあるドーム状の建物。
依頼主である研究者達が見せてくれたのは、全長8mある全身赤くカラーリングされた巨大なロボットだった。
「仮称、試作ロボットMk-Ⅱ(赤)だ!」
それに、アザラシの姿の海種『とっかり』ワモン・C・デルモンテ(p3p007195)は目を輝かせて。
「すげー! ロボットかっけー!」
これと戦うと知ったワモンは、この上なくテンションを高めていた様子だ。
「うおおお! オイラのガトリングとロボットどっちが上かしょーぶだぜ!」
「巨大ロボットに立ち向かうってのも、ある意味男のロマンってやつかな」
ノリが軽そうなイケメン、ワインレッド色のスリーピース着用の『満月の緋狐』ヴォルペ(p3p007135)が敵の姿を見上げて涼しげな笑みを浮かべる。
「模擬戦でロボットと戦うのですね」
研究者達の依頼を再確認する『月の女神の誓い』ディアナ・リゼ・セレスティア(p3p007163)
ディアナのいた世界に機械仕掛けのロボットはいなかったとのことで、新鮮味を感じていた。
「正に、練達ならではの相手ですね」
巨大目標と戦う機会は滅多にないからと、妖精種『ブラックドッグ』の血を引く旅人『Tender Hound』弓削 鶫(p3p002685)はこの機を存分に堪能しようと考えて、念入りに準備を行う。
赤いロボットは強いと鼻息を荒くする研究者達。
「ほー、赤いロボットは強ぇのかい、面白え」
全長3mほどある赤白の装甲に覆われた全身機械の鉄騎種、『暁の鎧』アーサー・G・オーウェン(p3p004213)は目の前の相手に口元を吊り上げる。
一方で、研究者の思考に、『見敵必殺』美咲・マクスウェル(p3p005192)は疑問を抱いて。
「例の赤いヤツって、搭乗者の能力が凄かったような?」
操縦技術などなさそうな製作者が乗って、加速の反動など大丈夫なのかと考えたところで、美咲は自分が心配することではないと割り切っていたようだ。
「そっちが赤ならこっちは白です!」
シマエナガの飛行種、『(自称)可愛い小鳥』エナ・イル(p3p004585)は毅然と相手に言い放って。
「『幻想の白い堕天使』と言われた、このボクのパワーを見せて差し上げましょう!!」
そうエナを呼んだ者が実際いるかはさておき、彼女は身の丈ほどもあるハルバードを携えてみせた。
「いいでしょう。我らの叡智の結晶、その身で実感してもらおう!」
「赤い鉄騎種とどっちが強いか、力比べといこうじゃねぇか!」
――【暁の鎧】アーサー・G・オーウェン出撃! なんてな。
彼は仲間と共に、ドーム内に造られた市街地のセット内へとかけこんでいくのだった。
●
さて、科学者達が試作した人型兵器『試作ロボットMk-Ⅱ(赤)』という雑なネーミングのロボットを相手にするわけだが、8人いるイレギュラーズ達は2人4組に分かれて対する。
「私はエナさんのフォローだね」
真白な衣装に白い髪、色白の肌を持つ『慈愛の英雄』霜凍 沙雪(p3p007209)は全体方針を確認し直す。
沙雪達A班とB班が囮となり、C班がいざという時の壁役、そして、D班が遠距離から高火力で攻め立てるという布陣だ。
練達の街中をモチーフとして作られた戦場のセットだが、一番高い建物でも12,3m程度。
6~7mの建物も珍しくなく、敵の姿を捉えるのはさほど難しくはない。
ただ、ロボットは素早い動きで、遠距離からバズーカやロケットランチャーを打ち込んでくるとのこと。
この為、エナはB班のアーサーと共に、敵を抑えへと当たることになる。
「なるべく、ロボの動きを抑えて、D班の弓削さんの狙撃のチャンスも演出したいところですねぇ」
アーサーも同じく、エナを意識しつつ、接敵していく。
そのアーサーとペアを組むのはワモンだ。
「マシンガンのバラマキ弾幕、渋いぜ!」
ワモンは小さな体躯で自身よりも大きなガトリング銃を構え、相手に対する憎しみを強めて自らの力を高めていく。
「試作ロボットMk-Ⅱ(赤)よ、その力を示すのだ!」
敵は早速、素早く機動してマシンガンを乱射しつつ、街中にいるはずのイレギュラーズ達を捕捉しようとしてくる。
乗っているのは科学者のはずだが、不自由なく乗りこなしている。すでに、操縦席への負荷も何らかの方法で対策済みなのだろう。
C班の美咲は、ヴォルペが召喚した烏のファミリアーと合わせ、自らの超視力で敵の挙動と周辺の把握に努める。
『10時の方向、敵はマシンガンをこちらに掃射しているよ』
そして、美咲はテレパスを使って仲間達へと敵情報の伝達と合わせ、他メンバーの連携、退避の指示を行う。
『なんだっけ? あれよ、「当たらなければどうということはない」ってやつ』
『そうだね。気を付けていかないと』
とにかく、端に追い詰められるわけにはいかないと、ヴォルペもテレパスで情報共有しつつ、立ち回る。
少し距離を置いて、こちらはD班。
「鶫様、今回はよろしくお願いしますね」
「はい、よろしくお願いします」
D班は鶫が放った鷹のファミリアーとハイセンスが頼みの綱。
鷹はロボットの火力圏外となる位置を維持し、敵の観察をさせる。
そうして周辺地形を確認しつつ、2人は物陰に隠れながら移動し、ロボットを背面から狙う。
「そろそろですね……」
鶫は囮となる2班が近づいてきていることを察し、眼力をもってロボットを見定め、攻撃のタイミングをはかる。
ディアナもそれに倣い、遮蔽物から他班が仕掛けるのをじっと待つのである。
●
ロボットは己の力を示そうと、内蔵したり、装備したりする武器を撃ちつつ、イレギュラーズ達の牽制を続ける。
「取りつかれては、こちらが不利となる部分もあるのでな」
だからこそ、自慢の速さで距離を取りつつ遠くからイレギュラーズ達を攻め立てる戦略なのだろう。
だが、科学者達は実戦の経験など皆無だ。
そして、イレギュラーズ達は数の利を生かし、ロボットへと近づくことになる。
「ほらほらぁ、エナちゃんはこっちですよぅ!」
エナが正面から名乗りを上げると、そちらへと銃弾の嵐が浴びせかけられるが、彼女はそれを大戦斧『暴君暴風』を構えて防ごうとする。
しかし、その前へとアーサーが飛び出し、彼女を庇ってみせた。
「援護防御ってやつだ、頑丈さが取り柄でな!」
安定した態勢で受け止めるアーサーも全身がほぼ機械の鉄騎種。
その交戦に、ワモンはテンションを高めて。
「おおー! まさにロボット大戦ってやつだぜ!」
そのまま見続けたいのはやまやまだが、しっかり援護射撃を行わねばと、ワモンは距離を維持したまま背中に背負ったガトリング砲からイワシ型爆弾……通称はじけイワシ弾を発射していく。
「オイラのガトリングもまけちゃいねーぜ!」
範囲に及ぶ攻撃ではあるが、現状、C班は情報収集専念、D班は敵後方から距離を取っている。
その為、ワモンもこれでもかとガトリング弾で敵の装甲に穴を開けようと掃射を続けていく。
エナとペアになっている沙雪も氷の鎖を作り出し、敵の足を止めようとする。
巨体ゆえに全てを凍らせるのは難しいが、沙雪は膝裏など、できるだけ装甲が薄いと思われる可動域などを狙って凍り付かせようとしていった。
さらに、後方のD班も、他班が気を引き始めたことで、攻撃を開始する。
「関節の構造上、膝裏に厚い装甲を配するのは至難の筈……!」
現状、誤射の可能性はないと判断し、鶫は全力で攻撃すべく、術式を展開させていく。
――召喚式高圧縮霊子砲『茅纒之矟』。
召喚術と錬金術を合わせ、この場に召喚兵装を顕現させたのは、霊子圧縮器となるバックパックと、両肩に担いだ長砲身霊子砲二門。
「多少、強引な武装ですが……」
たったの8秒だけしか具現化できないものの、威力は折り紙付き。
前方へと放たれた強烈なビームが赤いロボットへと浴びせかかっていく。
「うおっ!!」
後方から浴びせかけられた強烈なエネルギーに、搭乗する科学者も驚きの声を上げる。
「ふん、初撃で貫かれるような装甲ではないわ!」
彼らはまだまだ余裕の表情をしていたようだ。
「皆様の足を引っ張らないように……」
鶫とペアとなるディアナは少し前に出る形で鶫の回復支援に当たるが、彼女が傷ついていないのであれば、攻撃にも打って出る。
「私の唄は貴方を阻みます」
ディアナが歌うは、絶望の海を歌詞にのせた唄。
響き渡るディアナの声によって、ロボットは冷たい呪いを受けてしまう。
機体へ施すことのできる耐性には、スペック的に限界があるのだろう。
「うぬう、やはりアレを積んでおけば」
「何をいうか、アレは機動力が損なわれてしまうだろう!」
科学者達は通信であれこれ叫び続けている。実戦だからこそわかることも多く、事後でもよさそうな議論を行っていたようだ。
そして、C班。
初手は保護結界を展開して、周囲の建物に被害が無いよう配慮していたヴォルペ。
現状、他班が持たせてくれていることもあり、ヴォルペはロボットの機体性能をできる限り調べる。
「動力源は魔力と……さすがに核はなさそうだけれど」
混沌肯定によって無効化されるものもあるのか、それを混沌ならではの動力に切り替えて動かしているようだ。
しかし、高機動であれば、それだけの動力が必要と思われるが、そこは練達の謎技術でどうにかしているのだろう。
ヴォルペができる範囲で敵機の解析を行う間に美咲は迸る一条の雷撃を放ち、ロボットの巨体に電撃を走らせていく。
このまま焼き払うことができればいいのだが、イレギュラーズ数人を指定している状況だ。間違いなくそうはいかないだろう。
「消耗を考えると、乱発はできないし……」
この為、美咲は別のスキルを織り交ぜて、戦っていたようだ。
他班の攻撃も始まったことで、抑えとなるエナも相手の気を引きつつ、憎悪の爪牙を敵の装甲を切り裂いて自らの力を見せつける。
再び、アーサーが彼女を護るべく立ちはだかるが、ロボットもそこで別の手段を講じて。
「ショルダータックルだ、いけ!」
体格差がありすぎる為、直接肩をぶつけるとはいかないが、急激な勢いをつけたタックルにアーサーが大きく飛ばされてしまう。
そのまま、敵はエナに狙いをつけようとしていたようだ。
「チッ、意外と頭いいのな、アイツ……」
アーサーは妙に感心しながらも、怒りを書き換えようとする。
「おい、こっちだ。【暁の鎧】アーサー・G・オーウェンが相手になってやるぜ」
「ならば、遠慮なく、試作機のパワーを見せてやる!」
ロボットが取り出したのは巨大な斧。その刀身は真っ赤に燃え上がる。
その刀身は間違いなく、アーサーへと向けられていたのだった。
●
前線メンバーがロボットを抑えてくれており、鶫は比較的順調に敵の装甲を傷つけていた。
電磁加速式重穿甲砲『金之弓箭』は動きこそ封じされる難点こそあるが、仲間達が敵を引きつけてくれるならば、その火力を最大限に生かすことができる。
ペアとなるディアナも順調に歌を歌ってロボットを攻めていたが、徐々に前線の状況が厳しくなっていて。
比較的安定した立ち回りのアーサーに比べ、エナはやや前のめりになっている感がある。
アーサーが再度、タックルで飛ばされた一瞬の隙。
危険を察したC班、ヴォルペ、美咲が飛び込むが、振り下ろされた刃はエナの体を切り裂いた。
「パワー負けするとは、思わなかったですよぅ……」
力なくエナがその場に倒れてしまう。
「まずいな」
すぐ、危機を察したヴォルペが盾として割り込み、手刀を叩き込みつつ繰り出されるタックルを受け止める。
「接近はやむなしだね!」
ペアになる美咲も、『頑強なおにーさん』の隣から援護に当たる。
残念ながら、一人倒れたことで布陣が崩れかけ、スキル攻撃だと仲間を巻き込むと判断した美咲は、緑の柔らかな輝きを放って近場の仲間の癒しへと動く。
沙雪はできるだけ敵の照準を分散させようと、曲刀『三日月砂丘』で斬りかかり、ロボットの体に毒を流し込む。
生物でなくとも、沙雪の持つ『女王蟻の首』によって発生する毒は効く。
斬撃と共に沙雪が与えた毒はロボットの装甲をも腐食させ、その耐久力を奪い去ってしまう。
「ぐぬう……」
これには、応戦する科学者達も唸っていた。
その間も、アーサーがロボットの攻撃を受け止めつつ、足の関節目掛けて『キルデスバンカー』を打ち込んでいく。
ヴォルペも盾となってしばらく、相手の燃える斧に対するカウンタ―として、膂力を活かしたカウンタ―を食らわせる。
相手の注意が逸れたならと、ワモンも攻撃集中してイワシ型爆弾を発射していった。
しかしながら、近場のアーサー以外に攻撃の矛先が向くということは、敵が正常な思考をしているということでもある。
敵は取り出したロケットランチャーを構えて、照準を合わせてきた。
「うおー! ロケットランチャーかっけー!」
ワモンは敵の武装に目を輝かせるが、砲塔はこちらを向いている。
急いで敵を抑え、アーサーも注意を引きつけようとするが、なかなか気を引くことができず。
「ワハハ、くらえーっ!」
放たれるロケット弾は緩やかな弧を描いて、イレギュラーズ達へと着弾する。
「迂闊……だったね……」
直後、街に起こる爆発に巻き込まれ、敵の攻撃を抑えていたヴォルペが吹っ飛ばされてしまった。
さらに、爆風を浴びていたワモン目掛け、ロボットはマシンガンを掃射してくる。
「うおー、つえーな……!」
態勢を立て直せぬまま、ワモンもそのまま地面へと崩れ落ちてしまった。
イレギュラーズ達としては、3人が倒れる苦しい状況。
これ以上、長期戦になるとジリ損になってしまう。さすがに全員が倒れれば、科学者達も報酬はなしだと怒ってしまうかもしれない。
鶫は仲間達が力づくでも倒そうとするのを見て、高圧縮空気を内包した弾頭を撃ち込んでいく。
広範囲に広がらぬ衝撃で僅かにロボットの大勢が揺らぐが、倒れるには至らない。
「ワハハ、次だ次だ!」
さすがに全員の体力が厳しくなると、ディアナも他班のメンバーも合わせて回復に当たることとなる。
「無理しすぎない様にですよ」
敵の銃弾やバズーカで傷つき、体勢を崩す仲間達へと、ディアナは小さな幸運をもたらす霊的因子を発し、仲間達に力を与えていく。
美咲も緑の輝きで仲間の癒しをと動くが、さすがにこれだけやられてしまえば腹の虫が収まらない。
「負けたら、技術一辺倒な連中にあの手合い特有なドヤ顔かまされると思うと、ちょっとね」
イラッとしながらも美咲は接敵し、相手に視線を向けるだけで格闘術式の攻撃を浴びせかける。
ギフト『虹色虹彩』。『力を込めた視線』のみでスキルを発動させる彼女の能力だ。
さらに、沙雪が氷の鎖を伸ばし、相手の足を拘束してしまう。
沙雪の攻撃によって凍り付いた足を、アーサーも狙い続けていて。
「3倍速いって言ってもよ。人型である以上、必要なバランスを欠いちまったら、その速さはどうなるんだろうな?」
彼はついに、バンカーで敵の右足の関節部を貫いてしまう。
「うわああっ……!」
片足を砕かれ、態勢を崩して倒れるロボット。
巻き込まれぬようにと離れる仲間達を見て、鶫が再び『茅纒之矟』を召喚し、強烈なビームを発して倒れたロボットへと浴びせかけていく。
これには、ロボットも全身に電撃を走らせてショートし、あちらこちらが破裂し始めて。
「だ、脱出を……!」
慌てて、機体から脱出する搭乗していた科学者。
脱出ポッドが射出された次の瞬間、赤い試作機は大きな爆発を起こす。
傷を押して身を起こすヴォルペは、その光景に笑みを浮かべてみせる。
「皆様、お疲れ様でした。痛い所はありますか?」
ディアナは倒れたメンバーの手当てへと当たるが、ヴォルペとエナの傷は深く、絶対安静の状態だった。
「ロボットとの模擬戦闘楽しかったぜ! やっぱ、赤く塗ってあるとつえーんだな!」
ワモンは倒れただけで大事に至らずには済んだようだったが、それでも試作機の強さは実感していたようで。
「オイラも体を赤く塗ったら、強くなれっかな? とりあえず、肩のあたりから塗ってみるか!」
とはいえ、今日のところは彼も傷を負っていたこともあり、大人しくすることにしていたようだ。
大破してしまった試作ロボット。
科学者達は少なからずショックはあったようだが、それ以上に。
「……いや、得た物は大きい」
「そうだ、今のデータを活かせば、あれ以上のモノを製造できる!」
模擬戦は猟兵の勝利で終わったわけだが、科学者達は新たな試作機を作ろうと躍起になる。
「報酬はローレットに渡してある。もう帰っていいぞ」
そう告げた科学者達はイレギュラーズ達から興味をなくし、話し合いを始めてしまう。
そんな開発熱心な科学者達にメンバー達は呆れすら覚えながらも、ローレットへと戻ることにしたのだった。
成否
成功
MVP
状態異常
あとがき
リプレイ、公開です。
旅人の記憶を元にして再現しようとする練達の科学力、おそるべしですね……。
できるなら、科学者たちの希望通り、
魔種やドラゴンと戦うシチュエーションが作れたらよいのですが、少し難しそうです。
ただ、彼らは凝りていないようなので、希望があれば、第2弾を出すかもしれません。
今回はご参加、ありがとうございました!
GMコメント
イレギュラーズの皆様、こんにちは。なちゅいです。
練達の謎技術シリーズ。旅人に言われるがままに作ってたら、こんなんできました、みたいな。
ともあれ、出来上がったロボットの戦闘能力を試したいそうなのでお相手願います。
なお、相手は力の加減とか分かりません。本気で皆様を戦闘不能をしようとしてきますので、相応の覚悟で願います。
●目的
赤いロボットを戦闘不能に陥らせること
●ロボット×1体
〇試作ロボットMk-Ⅱ(赤)
旅人の話を元にして、練達の研究者達が開発したロボット。
混沌での運用面、エネルギー面を考慮して2分の1スケール、8m程度の大きさに。
制作した練達の研究者は、竜だろうが魔種だろうが、倒せるスペックがあると豪語します(試作機なので、実際のところはわかりません)。
・燃える斧……(A)物至近単・火炎
・ショルダーアタック……(A)物中単・飛・反動
・マシンガン……(A)神中扇・出血
・バズーカ……(A)物遠範・足止
・ロケットランチャー……(A)神遠範・溜1
・3倍の速さ……(P)2回行動
●状況
練達の研究者が用意した丈夫なドーム内部で、赤いロボットとの模擬戦を行います。
ドーム内の広さは、一辺100m程度。
戦場としてはやや小さいですが、市街地の戦場を用意してくれているので、そこで戦うことになります。
建物の高さはモノによっては3,4階ほどあるので、
相手から死角になるだけでなくこちらから相手が見えなくなることもあります。
●情報精度
このシナリオの情報精度はAです。
想定外の事態は絶対に起こりません。
それでは、よろしくお願いいたします。
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