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シナリオ詳細

クソザコ美少女とかわいいヒヨコ探し

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●探偵の仕事は大半ペット探しだって言うよ?
 チェック柄のハンチング帽とトレンチコートを纏った『クソザコ美少女』ビューティフル・ビューティー(p3n000015)が、パイプ(フーフーしてボール浮かす奴)をくわえていた。
 なにもメフ・メフィートの秋風が寒いんだものつってこんな格好しているわけではない。
「皆さま――『ローレット探偵団』アッセンブルですわ!」
 勢いよく言い過ぎてフーフーするやつのボールがすっとんでいった。

 ことの始まりはある貴族がローレットのメンバー数名に依頼書を発したことにある。
 フィッツバルディ派貴族、ザトー氏。動物収集が趣味という彼の家に招かれたイレギュラーズたちは、美しい毛皮の絨毯の上、高級革張りのソファにこしかけてティーカップを手にしていた。
「よく集まってくれた。イレギュラーズよ。今回も完璧な働きをしてくれることを期待している」
 ザトー氏は威厳のある声でそう言うと、そばに香箱座りをしたネコ科動物の頭を撫でた。
 イレギュラーズたちの視線がネコ科動物に集まる。
 ネコ科動物っていうか、ライオンだった。
 燃える暁のような色のたてがみに、雄山羊のような立派な角が生えている。
 っていうかライオンじゃないじゃんキメラじゃん。
 よく見たら後ろには鷹の翼を生やしたヒグマとかサソリの腕がついた大蛇とかがめっちゃいた。そしてめっちゃこっちを見ていた。
「…………」
 プルプルしはじめるクソザコ美少女。
 あなたの方を見て声を出さず口だけで『帰りませんこと?』って言ってた。
「我が可愛いペットたちだ。
 動物はその獰猛さこそが美しい。そうおもわんかね」
 フフフと笑ってヤギライオンの頭をわしわしするザトー氏。
「でだ、今回の依頼は逃がしてしまった我がペットを見つけ捕まえて欲しいというものなのだ」
 そらきた。

「絶対猛獣ですわ! 翼の生えた人食い虎を無傷で捕まえてこいって言うに決まってますわ! 死にましたわ! ヒー!」
 明日には虎のごはんですわー! とか言いながら頭両サイドのドリルヘアーに手ぇつっこんでぐるぐるやるクソザコ美少女。なにそれたのしそう。
 そんなイレギュラーズたちに、ザトー氏のメイドから写真がそっと差し出された。
「これが、今回見つけて頂く――」
 写真に写っていたのは、ひよこちゃんだった。
 黄色くてふわふわしてて目がつぶらなひよこちゃんであった。
「やりましたわ! 猛獣じゃありませんわ! 生きましたわ!」
 二枚目の写真が追加された。
 馬車の二倍くらいでかい巨大ひよこちゃんが馬車を踏みつぶし馬をくちばしで食いちぎり振り回しているさまだった。
「残虐鳥獣デスヒヨコです」
「死にましたわあああああああああああああああああ!!!!」

 さあ、こうして始まった貴族のペット探し。
 幻想の町に逃げた残虐鳥獣デスヒヨコを見つけ出し、無傷で捕まえてくるのだ!

GMコメント

■■■オーダー■■■
 残虐鳥獣デスヒヨコをつかまえよう!

 幻想王都のどっかにこの残虐鳥獣デスヒヨコは放たれています。
 けどなんだろうね。馬車の倍くらいデカい猛獣、普通に空飛んでたら絶対見つかるよね。三十分とかからず一発だよね。
 なので捜索シーンはプレイングからカットして頂いて構いません。
 一生懸命聞き込みして待ちを爆走してる最中に『いたけど?』って鳥さんに言われるシーンが欲しい時のみ入れましょう。
 ちなみにクソザコ美少女は序盤、必死のボディランゲージで残虐鳥獣デスヒヨコの特徴を説明しながら聞き込みをしまくっています。無駄骨ちゃんです。

 なお、難易度からも分かるとおりパンドラが減るくらいダメージを受ける可能性があります。残虐鳥獣デスヒヨコちゃんだしね。

■■■つかまえろ!■■■

 残虐鳥獣デスヒヨコちゃんはお馬さんがだいすき☆
 なので大通りで馬車を襲って馬をむっちゃもっちゃ喰っています。
 これを『無傷で』捕まえるのが今回の趣旨なので、剣で斬りかかったり棒で殴りかかってはいけません。
 最悪……まあ最悪、どうしてもっていう場合は多少怪我させたりハラパンしてもダメじゃあありませんが、依頼人の意向にたいへんそぐわない対応になるのは否めないでしょう。

 尚、いまざっくり存在している作戦はクソザコ美少女を丸太に縛り付けてつんつんすることで興味をひきめっちゃかじりついてるところに縄をぐるんぐるんやって馬車数台でザトー氏のとこまで引っ張っていく作戦です。
 ただしこの作戦には『残虐鳥獣デスヒヨコが興味を示さないかもしれん』とか『ザトー氏の家まで数キロあるのにずっと縛っておけるの?』とか色々な問題があります。
 これらを特技や才能を駆使して解決していくことで、このシナリオを十全にクリアすることができるでしょう。

【クソザコ美少女成長記録】
※クソザコ美少女は依頼での出来事をもとにこっそり成長します。これまでの成長で得たスペックは以下の通り
ステータス:低ファンブル、高防技、高HP
戦闘スキル:遠距離、味方支援型
非戦スキル:料理(悪)、騎乗
アイテム:応援団長のタスキ、クソザコ神クリアファイル、ダンボルガーZ変身セット、借金、身に覚えの無い婚姻届
職業適性(見習い):掃除、鍛冶、嬢、ウェイトレス
自宅がキャノン:住んでるアパートから時折発射されます。
『クソザコ神Z』:おだてられるとなんでもやる子になりました。
『囮・砲弾適正』:いろんなものが顔面に飛んできますし、自分もよく飛びます。
『ビューティードリル』:皆に投げられることで回転しながら飛んでいきます。相手はきっと死ぬ。

【アドリブ度】
 ロールプレイをよりお楽しみいただくため、リプレイにはキャラクターのアドリブ描写を用いることがございます。
 プレイングやステータスシートに『アドリブ歓迎』『アドリブなし』といった形でお書きくだされば、度合いに応じて対応いたします。ぜひぜひご利用くださいませ。

  • クソザコ美少女とかわいいヒヨコ探し完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2019年06月17日 23時40分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

主人=公(p3p000578)
ハム子
カイト・シャルラハ(p3p000684)
風読禽
ジェイク・夜乃(p3p001103)
『幻狼』灰色狼
実験体37号(p3p002277)
鉄拳超制裁!
レスト・リゾート(p3p003959)
にゃんこツアーコンダクター
風巻・威降(p3p004719)
気は心、優しさは風
ソア(p3p007025)
無尽虎爪
オジョ・ウ・サン(p3p007227)
戒めを解く者

リプレイ

●ヒヨコちゃんはでかくなるもんだ
「ピヨーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」
 馬車を踏みつぶすくらいでかい怪獣こと残虐鳥獣デスヒヨコちゃんが幻想の大通りを猛烈にダッシュしていた。
 道行く馬車は逃げ惑い人々は恐怖し、知ってる人は『まーたザトーさんのペットが逃げた』と涼しい顔をしていた。
 涼しい顔が出来るのは見たことのある側の人間だけである。初めて見た人は当然……。
「デスピヨコって大きくなっても鶏にならないのかな……」
 とか軽く現実逃避みたいなことを言い出すもんである。
「イヤもう十分大きいけどね?」
 屋根の上から一つ先の通りを爆走する残虐鳥獣デスヒヨコを眺める『ハム子』主人=公(p3p000578)。
「俺も生まれたときは大きいって言われてたが……あそこまでじゃあなかったぞ?」
 屋根の上を旋回飛行しながら謎の対抗意識を見せる『風読禽』カイト・シャルラハ(p3p000684)。
「あのままニワトリになっても困るぞ。タマゴひとつでオムレツが何個も作れそうだ」
 カイトたちと一緒に屋根のうえに上り、かがんだ姿勢をとるソア(p3p007025)。
 一つ先の通りでは馬車が踏みつけられ、『俺の馬がー!』という叫びを無視して残虐鳥獣デスヒヨちゃんが馬を食いちぎっていた。
 モッチャム!(馬を喰う音です)
「とにかく、こーしちゃいられないな! 早速配置につくぞ!」
 ソアはぴょんと屋根からとぶと、雷を纏った虎めいた足と手で器用に着地。そのまま目的のポイントまで四つ足走行で走り出した。

「みみみみませんでしたのこうヒヨコちゃんだけど馬車よりもおっきくて、あっ、残虐鳥獣っていうんですけれど!」
 『クソザコ美少女』ビューティフル・ビューティー(p3n000015)が只管コミュ力の低いジェスチャーで八百屋に聞き込みをしている……その真後ろを、残虐鳥獣デスヒヨコがすんごい勢いで走り抜けていく。
「あー! あれですわー! ジェイクさんジェイクさん追いかけますわよ!」
「今から走っても追いつけねえだろ。安心しろ、この先で仲間が罠を張ってる」
 『『幻狼』灰色狼』ジェイク・太刀川(p3p001103)は鞄をなにやらごそごそやると、サイン用色紙とペンを取り出した。
「そんなことよりサインくれよ、サイン。俺、おまえのプラモだって持ってるんだぜ」
「ぷらも?」
「尊敬(フェイバリット)してるってことさ」
「デス……デスヒヨコデス! デスヒヨコ!」
 横では『RafflesianaJack』オジョ・ウ・サン(p3p007227)がはげしくぴょんぴょんしていた。
 初見のみんなのために説明すると全長1m半くらいのウツボカズラ捕虫袋部のみが単独でぴょんぴょんしてるのを想像してほしい。
 ばけもんじゃねえか。
 誘引口からカタコトしゃべりの猫耳少女が顔を出してるのも想像してほしい。
 かわいいじゃねえか。
 そしてもちろんこの少女は疑似餌である。
 やっぱばけもんじゃねえか。
「はやく、おいかけけマショウ! デスヒヨコデスデスよ!」
「デスが多い。そら、馬車に乗せてやるからついてこい」
 ジェイクは八百屋で目的のものを買い付けると、馬車の御者席へと飛び乗った。

 目標ポイント。
 残虐鳥獣デスヒヨコを待ち伏せするためのポイントでは、『夢色観光旅行』レスト・リゾート(p3p003959)が鼻歌を歌いながらでっかい鍋をぐーるぐーるしていた。
「ひゃみひゃみひゃーみま、ひゃみひゃみまー」
 横ではお馬さんがハイライトの無い目をしてこっちを見ている。
 見ているっていうか、台の上にのったお馬さんヘッドだけがこっちを見ていた。首から下はどこにいったのかって? 鍋の中だよ!
 一方では『瞬風駘蕩』風巻・威降(p3p004719)がでっかいクシにさした肉をたき火の上でぐーるぐーると上手に焼いていた。
「写真見た? 残虐鳥獣デスヒヨコの」
「ふわふわだったわね~」
「わかる……」
 『イギョウノショウジョ』実験体37号(p3p002277)が巨大な更にジャイアントパセリを添えながら顔を上げた。
「凶暴そうだけれど、少し触ってみたいかも」
「だよね。思わずもふもふしたくなる魅力に溢れているよ。
 ……嘴から垂れている血肉を見なかった事にすればだけどね!」
 クッ、といって顔をそむける威降。
 レストはほっぺに手を当ててにっこりした。
「もふもふしたら気持ちよさそうね~。
 さ、おうまさんのシチューができたわよ~」
 ずんがずんが音をたてて迫る残虐鳥獣デスヒヨコ。
 よしきたとばかりに、威降は上手に焼けた午肉ステーキを高く振り上げた。
「この料理には眠り薬が仕込んである。さあ、食べるんだ残虐鳥獣デスヒヨコ!」
「ぴよーーーーーーーーーーーー!!」
 この三秒後、威降はステーキごと天高く蹴り飛ばされた。
 モッチャム!(ステーキだけは食べられた音)

●薬の服用量は体重が影響しているんだってさ
「ぴよーーーー!」
 大通りを爆走する残虐鳥獣デスヒヨコ。
 公は実験体37号をパカダクラの後ろにのせ、乗用馬と併走するようにして残虐鳥獣デスヒヨコの前をじぐざぐに走っていた。
「なんで、眠り薬をたべたのに、寝ないのかな」
「身体が大きいと薬が効くまで時間がかかるんだよ。これだけ大きい上に獰猛なタイプのモンスターとなると……もっと沢山、それも山ほど服用させないと眠りにつかないんじゃないかな」
「なら……?」
「食べさせまくるしかない!」
 マンガ馬肉(デカい骨に焼き肉がはりついたあれ)を振りかざし、公はキッと残虐鳥獣デスヒヨコへ振り返った。
 一方で実験体37号は両手の形を小柄なお馬さんみたくして、高く掲げてぱかぱかさせてみる。
「ピヨーーーー!」
「あっ」
 すると、ぱかぱかさせていた実験体37号の手が残虐鳥獣デスヒヨコにがぶっとされた。
 モッチャム!(くわえてぶんぶん振り回されてる音)
「37号ーーーーーーーー!!!!」

「残虐鳥獣デスヒヨコはお馬さんが大好き!
 ということは、馬に変装すれば注意を引くことが出来るとおもう!」
 カイトは『できるかなーできるかなー』みたいな歌をうたいながら段ボールで馬の頭をこしらえた。できばえは……こう、なに、うん、小学生がギリギリ喜ぶかんじの、アレだったけど。
「工作! のたしいな!」
 曇り無き眼で言われたら誰だってウンとしかいえない。
 クソザコ美少女だってそうだ。
「よし、今から俺は……馬だ!」
 カイトは頭に段ボール馬ヘッドを被ると、翼を広げて大空へと飛翔した。
 ばけもんかな?
「ジャア……オジョウサンも、馬デス!」
 同じく段ボール馬ヘッドを被ったオジョウサンがウツボカズラボディをしならせてぴょいーんとジャンプした。
 ばけもんかな?
「囮は二人に任せておけば大丈夫そうですわね」
 うんうんと頷くクソザコ美少女。彼女の肩に、後ろからジェイクの手が置かれた。
「逃げるのか?」
「なんですって!?」
「巨大モンスターの捕獲……そんな大役をこなせるのは、今までどんな大事件も解決してきた名探偵ビューティフル・ビューティーじゃなければいけない。そうじゃないのか!?」
「そ、そうなんですの!?」
 今日が初めてですのに!? とくわえていたパイプフーフーを取り落とすクソザコ美少女。
「お前(おめえ)が……最高の馬(エサ)になるんだよ!」
「わたくしが!」
 オラァといって残像の腕を六本ぐらい生やしたジェイクが、クソザコ美少女に馬へと変身させた。
 具体的には化粧品と制服、そして令嬢のパンツによって馬にした。
 みんな想像してみて。馬メイク。馬制服。馬の気持ちになるパンツ。
「ひひーん!」
 そこにいたのは、馬の耳をつけておでこに『うま』って書かれたクソザコ美少女だった。
 今更だけど馬の制服ってなんだろう。青い紳士服とマスク?
「今なら行ける気がしますわ!」
「そ、そうか! がんばれ!」
「ひひーん!(みなさま、いきますわよ!)」
「ヒヒーンデス!」
「ヒヒーン!」
 翼を広げ甲高い鷹の声をあげるカイト。
 甘い汁をぶしゃーってするオジョウサン。
 四つ足走行で走り出すクソザコ美少女。
 ――が、十字路にさしかかった瞬間横から突っ込んできた残虐鳥獣デスヒヨコが全員轢いた。
 モッチャム!(馬マスクだけはぎ取っていく音)
「馬(ばけもん)トリオーーーーーーーーーー!!!!」

「あらあら~……大変だったわね~」
 レストがおしろいをつけたハンカチでクソザコ美少女の顔をぽふぽふしていた。
 クソザコ美少女は白目を剥いてぐったりしていたし立てもしないが、オジョウサンの捕虫袋に疑似餌と一緒にすっぽり入ることでかろうじて自立(?)していた。
「こっちも綺麗にしましょうね~」
「ンアー」
 顔をぽふぽふされるオジョウサン(の疑似餌)。
 威降は自分のほっぺに絆創膏を貼りつつ、一連の様子を眺めていた。
「なんか、あれ……食べられてるみたいに見えるね」
「吸収されたように見えるな」
「心なしかツルの部分もくるくるしてきたし」
 挿絵にしたい一瞬である。
「ハッ」
 威降が何かに気づいたように振り返った。
 ずごんずごんいいながら残虐鳥獣デスヒヨコが突っ込んでくるからである。
「皆、準備して! 料理を食べさせるよ!」
「しかし足を止めないことには……」
「そんなときこそ!」
 ソアがロープの端っこを握って屋根の上に立った。
「ボクの出番!」
 ソアは屋根から助走をつけて跳躍すると、大通りの反対側の建物にロープをひっかけてぎゅっと結びつけた。
「ビヨッ!?」
 ぴんとはったロープにひっかり、おもわず転倒する残虐鳥獣デスヒヨコ。
「ピヨー!」
 じたばた暴れる残虐鳥獣デスヒヨコが手近な馬をモッチャムするが、それはお馬さんの幻覚を被った馬ステーキだった。
「ピヨッ!?」
「さあ今だ! ロープでぐるぐる巻きにしながら、もっと沢山眠り薬入りの料理を食べさせるんだ!」
 ソアはとりゃーといって、ロープを手に残虐鳥獣デスヒヨコへ飛びかかった。

「レストの作ったお料理をたべろー!」
「美味しいシチューだぞー! たべられないのかー!」
 手にシチューの鍋やマンガ馬肉を握り、公と威降が飛びかかる。
 同時に繰り出されるお料理食わせアタックが残虐鳥獣デスヒヨコに炸裂。
 モッチャムした残虐鳥獣デスヒヨコは『お馬さん以外はいらない!』とばかりに威降と公をべしべしと張り飛ばした。
 民家の壁に叩き付けられぐあーと叫ぶ公。ここだけ見るとなんか巨大モンスター討伐モノっぽい。
「激しく暴れすぎる。一度、勢いのあるものを口にくわえせさせなくちゃダメだ!」
「勢い……って?」
「ふふ、こんなこともあろうかと用意して置いた……ファイナルファイティングファイヤー砲(改)だよ!」
 公は片手で顔右半分を多い空いた手を水平に伸ばすっていうなんか練習のいるポーズをとって、背後の秘密兵器を指し示した。
 いや、秘密兵器っていうか。
「ファイナルファイティングファイヤー砲デス!」
 傾けられたオジョウサンだった。
 ジェイクがデスペラード姿勢(低くかがんで片足を滑り台のように斜めに伸ばすすごく独特なロケット砲水平発射姿勢)でオジョウサンを構え、その筒内にクソザコ美少女がすっぽりはまっている状態のものだった。
「ハッ、わたくしは一体なにを!? ここはどこですの!?」
「ココ、ステキナトコ、イマカラ、トブヨ」
「えっ」
「FFFビューティー砲、発射!」
「発射ァ!」
 ジェイクがオジョウサンのお腹(?)をどんと叩くと、クソザコ美少女がすごい勢いで発射された。
「ビヨッ!?」
 そして残虐鳥獣デスヒヨコの口に強制モッチャムした。
 クソザコ美少女を喉に詰まらせて悶絶する残虐鳥獣デスヒヨコ。
「今だ」
「やれー!」
 実験体37号とカイトがソアと一緒に飛びかかり、ロープで残虐鳥獣デスヒヨコをぐるぐる巻きにしていく。
 巻き付けたうえで並列した馬車二台にどっかり乗せ、車体にもくくりつけていく。
「あ~よちよち~、ママでちゅよ~」
 仰向けになった残虐鳥獣デスヒヨコのお腹に乗るレスト(ニワトリぐるみ仕様)。大きいスプーンで眠り薬入り馬肉を食べさせてやると、子守歌を歌い始めた。
「こ~こけ~♪ こ~こけ~♪ こっこっこっこっこ~け~♪」
 そしてゆっくりと走り出す馬車。
 馬数頭をつかって運ばれていく残虐鳥獣デスヒヨコは、謎のニワトリ子守歌と共に幻想の町を帰って行った。

 沈み行く夕日。去って行く馬車と子守歌。
 そんな光景を眺め、ソアはフッとため息をついた。
「沢山動いたらお腹すいたな。レストの作った料理、少し貰えないかな。薬がはいってないトコだけ」
「ああ、いいよ。こっちは薬がついてない安全なやつだ」
「さんきゅー!」
 威降が差し出したマンガ馬肉を、ソアは豪快に食いちぎった。
 モッチャムモッチャムするソア。
 うんうんと頷く威降。
 ふと気づく威降。
 手元に持っていたマンガ馬肉に『あんぜん』って書かれていた。
「あっ」
「スヤァ」
 ソアが秒で寝た。
「今日は楽しかったな!」
「工作、楽しかったよな!」
 なーと言って意気投合するカイトとジェイク。
 くらくらしながらも戻ってきたクソザコ美少女が公から貰ったお水を飲んでいた。
「だいじょうぶ?」
「ふらふらですわ……ここに来たときみたいにオジョウサンさんに運んでもらおうかしら」
「ハコブ?」
 振り返るオジョウサン。
 モッチャム!(余っていた馬を頭からまるごといった音)
「……や、やめておきますわ」
「イーカライーカラー」
「ひい! ツタが!」
「オジョウサンをシンジテー」
「ひーーーーーー!」
 軽モッチャムされていくクソザコ美少女を眺めながら、実験体37号は残った安全馬肉をモッチャムした。
 そしてすごく今更。今更になって呟いた。
「モッチャムって、なに」

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 ――mission complete!
 ――クソザコ美少女に『食材適正』のスキルが追加されました!

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