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シナリオ詳細

海往く宝は不触の誓い
海往く宝は不触の誓い

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●宝ではある、ただし
「……あの」
「はい。……もしかして、真水はお嫌いでしたか?」
 海洋のとある酒場にて、正対しているのはローレットの情報屋、そして全身をローブで纏った女性と思しき人物だった。思しき、というのは声音と体格による憶測である。
 情報屋は依頼人について詳しくは聞いていない。聞かない、という条件が依頼を受ける際に提示されたのだ。そして、今回のそれは決して海洋に、海洋貴族に利するものではない、とも。
「いえ、そんな。『私達』には得難い機会。頂いておきますわ」
 コップを掴んだローブの中身――果たしてそれが手であるか吸盤であるか触手であるかは関係なく――は、器用に口元へとそれを持っていき、闇の中で一息で嚥下した音が聞こえた。
「確か、依頼は海洋商船を……と、いうことでしたね。簡単で結構なので、理由をお伺いしても?」
 途中の過程をすっ飛ばして戻されたコップを見て、情報屋は先に聞き出していた情報を反芻しつつ問う。決しておおっぴらに出来る内容ではないが、場末の酒場であれば委細を伏せれば多少は、ということだ。
「別に、『我々』としては多少の宝を表舞台に持っていかれることには異論はないのです。海洋という国は、そのようにして回ってきた経済もあると理解しておりますから」
 ただ、と依頼人は続ける。「あれは不幸しか呼ばないもの」であると。
「『我々』は海洋の繁栄を祈る者です。ですからなおさら、あれが開封される前に回収せねばなりません。……お願いできますね?」
「持ち帰り善処します。最大限、貴方がたの希望に添えるよう手配致します」
 依頼人の希(こいねが)うような声に、情報屋は断れないことを悟った。それでも曖昧な言葉に止めたのは、精一杯の建前だが。

●遺産回収船襲撃依頼
「……というわけで、皆さんには海洋貴族・リットリア卿の商船、というかサルベージ船といったほうが正しいですね。そちらの襲撃をお願い致します」
 情報屋の言葉に、居合わせたイレギュラーズはにわかに騒がしくなった。……かも、しれない。海洋はローレットにとっても、幻想にとっても友好的な相手だ。貴族に弓引くなど、なかなか出来るものではない。
「リットリア卿は海底の遺跡や沈没船、その他の宝物などを回収して取引を繰り返すことで資産と権力を手にした中程度の貴族です。決して行いに後ろめたいことはありませんが、今回は彼の配下にある商船が回収した資産、というのがまずかったのです。それはとある海中種族の宝です。彼らにとって重要なのは、『その宝』であったという偶然性です」
 依頼人は、『海洋のために』回収したいという。収益になることが悪し、ではなく。公になることが悪し、という。どんなものか、と問うたイレギュラーズに、依頼人は極めて深刻な表情で告げた。
「宝そのものの形状等は不明です。ただ、厳重な封がされており。『それ』を目の当たりにするとたちどころに命を落とす、と。原理は不明ですし、もしかしたら迷信かもしれません。ですが、迷信かどうかを明かすこと、それを衆目に晒すことは我々の役目ではありませんし、それを目にして皆さんに何かあっては『ローレットにとっての損失』です。くれぐれも、開封することなく回収、最悪でも海中に沈めてください」
 リットリア卿のサルベージ船は中規模航海のさなかにあり、手配された高速船に乗れば陸地から大きく離れた位置で襲撃できるだろう、ということだ。
 これは『海洋の為』である。泥をかぶる覚悟を、情報屋はイレギュラーズに求めていた。

GMコメント

 悪依頼だいすき! ふみのです。でも言うほど悪依頼出してないね。

●注意事項
 この依頼は『悪属性依頼』です。
 成功した場合、『海洋』における名声がマイナスされます。
 又、失敗した場合の名声値の減少は0となります。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

●成功条件
 『封印の宝』の奪取、ないし海中へ落とすこと。
 それに伴うリットリア卿勢力の被害は度外視するものとし、同時に決して全滅や口封じを必須としないことを注意されたし。

●『封印の宝』
 とある海中に住む少数種族が保存していたもので、『姿を見たら命を落とす(ただし、自種族を除く)』という非常にアレな伝承を持つ。
 リットリア卿配下のサルベージ船内のどこかに安置されている。
 ……なお、メタ情報(相談反映可)として。『この宝は意思を持っており、ジャミング相当の能力を持たない』ため、一部スキルは有効である。これによるデメリットはない。

●海洋貴族・リットリア卿(とサルベージ船)
 海洋でサルベージから身を立てた、ある意味海洋らしい、そして普通に凄いっぽい人。リプレイには登場しない。
 今回の襲撃対象は大型サルベージ船で、数十日におよぶ中期航海計画の帰路にある。(依頼人が持ち込む余地があったのもこのため)
 サルベージ船内には麾下の私兵多数。武装はカトラスとスリング。スカイウェザーが主体。低空飛行や船上での戦闘経験から、揺れる船でも問題なく戦闘ができる。
 実力は十人並みだが数が多いし甲板は広いし、船内通路は狭い。範囲系スキルや火炎系BSスキルは甲板以外で使用すると沈没一直線だぞ。

●ローレット側高速船
 今回、イレギュラーズが乗るもの。リプレイ開始から大体10ターンくらいで最大射程(超域でギリギリ)に到達する。以後は機動5換算。沈没すると帰路に窮します。
 即時離脱を指示してもいいですし、船上に1人のこって操舵指示をしつつ対艦戦闘を挑んでもいいです。なお武装はありません。
 船上から攻撃する場合、船同士の船べりの距離を射程として換算します。

 スニークもドンパチもテロ行為も思いのまま。
 よろしくおねがいします。

  • 海往く宝は不触の誓い完了
  • GM名ふみの
  • 種別通常(悪)
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2019年06月23日 22時00分
  • 参加人数 8/8人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

レイヴン・ミスト・ポルードイ(p3p000066)
流麗の翼
エクスマリア=カリブルヌス(p3p000787)
愛娘
メリンダ・ビーチャム(p3p001496)
瞑目する修道女
黎明院・ゼフィラ(p3p002101)
夜明け前の風
クローネ・グラウヴォルケ(p3p002573)
幻灯グレイ
ェクセレリァス・アルケラシス・ヴィルフェリゥム(p3p005156)
七天鉱龍
エストレーリャ=セルバ(p3p007114)
賦活
橘花 芽衣(p3p007119)
鈍き鋼拳

リプレイ

●波間たゆたう言葉の交差
 夜半に港を発った高速船は、その名に違わぬ速度で海上を疾走する。
 黎明に差し掛かり、波間を反射する光はリットリア卿のサルベージ船を照らし、その行く手を祝福している……ようにも見えた。
「うぅ……初めての戦いになるかもしれないから緊張してきた……」
 『鈍色の要塞』橘花 芽衣(p3p007119)は緊張も露わに海を見渡し、遠くに点となって見えるサルベージ船に視線を合わせて身震いする。彼女が純粋な意味で依頼に赴くのはこれが初めて、となる。
 仲間はいずれも相応の実力と経験を兼ね備えた者ばかりだが、だからこそ自分がどこまで貢献できるか、の不安を覚えるのだろう。全てのイレギュラーズが等しく通る道である。
「誰も傷つけない為に宝を海に返すわけですから、よほどの事がなければ戦わずに済む筈ですよ! お互いに頑張りましょう!」
 『星守』エストレーリャ=セルバ(p3p007114)は心配でガチガチになった芽衣に朗らかに声をかけつつ、自らも海原に意識を向け、精霊達との交信を試みる。星狼の加護を得、妖精郷に片足を踏み入れたその精神性に応じる精霊は多く、その意思を強く汲み取ろうと動き出す。……一同はこころなしか、潮流が互いの船を引きつけるように動き始めた、ように感じられた。
「しかし、他種族だけに見せちゃいけない宝とか胡散臭い……」
「…………興味深いな」
 『天棲鉱龍』ェクセレリァス・アルケラシス・ヴィルフェリゥム(p3p005156)と『夜明け前の風』黎明院・ゼフィラ(p3p002101)は事前に受けた説明について、ことさら懐疑的な姿勢を見せていた。
 海に潜む者達の伝承とはいえ、効果が指向的に過ぎ、そして劇的すぎる。厳重に封印を施したのは良心からなのだろうか、それとも『無意味であることを悟らせぬ為の偽装』なのだろうか?
 いずれにせよ、探求者然としたゼフィラと神秘の技術に興味の尽きぬであろうェクセレリァスの気を引いたことは、果たして何者にとって不幸であることか……今はまだ明らかではない。
「……随分都合の良い伝承ですこと」
 『幻灯グレイ』クローネ・グラウヴォルケ(p3p002573)もまた、伝承には懐疑的であった。尤も、額面通りに受け止める者が多くはない、というのは当然といえば当然の話。
 沈めてしまえば真実は海の底、とは彼女の弁だが気持ちは理解できる。依頼人が何者であるかは兎も角、真実ととるには些か苦しい様に思えた。
「同胞とローレットが矛を交える事態は看過できん」
 『風来の名門貴族』レイヴン・ミスト・ポルードイ(p3p000066)は海洋貴族の端くれとして、また、リットリア卿と轡を並べるであろう立場として彼の配下の者達と矛を交えることを容認できぬ立場にあった。『貴族である』ことだけで状況を打開できるとは彼だって思っていない。だが、イレギュラーズとして状況を軟着陸させる程度の実力はある。ある、はずだ。
「レイヴン、交渉は、任せていいんだ、な?」
 『沈黙の御櫛』エクスマリア=カリブルヌス(p3p000787)はレイヴンにそう問いかける。彼がことの前後を顧みず暴走するとは思っていない。彼の交渉力に疑いなど持とうはずもない。であれば、彼女が問うたのは『覚悟』であろう。言葉だけで解決できぬ時の策。最悪の事態まで進行してなお己を騙して動けるかという覚悟である。
 暫しの躊躇はあったが、レイヴンは力強く頷く。
「……たまには海賊の真似事も悪くないわね。穏便に済ませられるか、やれるだけやってみるけど」
 『瞑目する修道女』メリンダ・ビーチャム(p3p001496)は絶えず揺らめく波間にやや不安げな視線をおとしつつ、周囲の空気に中てられたか、どこかやる気満々、というふうに見えた。
 瞑目している限りはどこかおとなしそうに見えるが、とんでもない。ある種仲間以上に活発な側面を持つ彼女は、仲間の希望や状況がそぐわなければ真っ先に交渉の場を戦場へ変えてもおかしくはなかっただろう。彼女自身がそれを望むか否かは兎も角、戦力としての特性だ。
「エストレーリャさん、船内はこの子に案内させるッスから、合図は手筈通りに」
「ありがとうございます! 早めに見つけ出せるよう頑張りますね!」
 クローネが召喚した鼠の使い魔を受け取り、エストレーリャは力強く頷く。精霊による潮流の変化は、当初の予定の倍の速度で船舶間の距離を詰める。その間も、レイヴンは相手方に対し発光信号で呼びかける。航行停止を求められたサルベージ船は、『ルール通りの呼びかけには止まらざるを得ない』。彼の故郷での多彩な経験が奏功した格好だ。
 ぶつからんばかりに接近したところで投げ渡されたロープを伝い、レイヴンを先頭にした7名がサルベージ船へと乗り込んでいく。
 ……7名?
 間違ってはいない。ゼフィラは既に高速船の船底からサルベージ船へと移っている。物質をすり抜ける、というと万能に聞こえるが、強固な建物などになると案外通り抜けられぬもの。木材と少しの鉄で構成された薄っぺらい船底であればこそ、彼女は能力を存分に活用できるのだ。

 斯くして、サルベージ船の船員達は唐突に現れた面々に驚く暇も与えられず、刻一刻と変化する状況に対処を迫られることになる。

●弄ばれる者達
「ワタシは海洋がポルードイ家、レイヴンである。ワタシの顔を覚えているだろう。
 ワタシは君たちを知っている。リットリア卿ゆかりの者達よ、此処へは交渉しに来たのだ」
「……あ、ああ。覚えて……いるとも。突然の訪問だな」
 突然の潜入とあからさまに怪しい呼びかけに、しかし甲板にいた男達で一際尊大そうな相手が歩み寄り、大仰に頷く。どこか返答が虚ろなのは、レイヴンのギフトにより刷り込まれた認識をもとに返答しているから、である。当然、甲板上の船員達もどこか訝しげな視線を飛ばしつつ、『彼を知っている』体で各々の対応を図るべく動いていた。
「単刀直入に言う、この航海で君たちがサルベージしたアレを手放して欲しい」
 実に簡潔に、レイヴンは本題を切り出す。……だが、船員達は口々に『アレとは?』と囁きあっている。中期的航海を経た彼らの船倉内には、引き上げた宝が少なくない。依頼をもちかけた種族のものの他、多種多様な物品が眠っているだろうことは想像に難くない。
 訝しげな視線が周囲から突き刺さるのを感じ、芽衣は呼吸を整えながら平静を装った。
(大丈夫、レイヴンさんの名前は船の人達にちゃんと伝わってる、不用意になにかしてくることはない……まだ動く時じゃない……)
 言葉を発さず、凛とした佇まいで背筋を伸ばす彼女にかかったプレッシャーは大きい。彼女の緊張の糸を支えているのは、偏に仲間達の存在あってこそだ。
「大人たちの話は難しくてよくわからないわ。あっちへ行ってましょうか?」
「ああ、出来ればそうしたい、が……」
 メリンダはエクスマリアの手を引いて船員の1人に近づくと、「案内していただけないかしら?」としなを作って問いかける。航海のさなかに異性との接触を断たれていた彼は、その言葉に快く応じようとし。
 エクスマリアが覗き込んできた目を通して、意識を奪われる格好となる。
 2人の様子を見て取ったエストレーリャは素早く近づくと、船員の後について船内へと降りていく。ごくごく自然な振る舞いで降りていった彼らを、しかし他の船員達が強く咎め立てすることはなかった。

「ここもハズレ、か。こういう時は私もくじ運が悪いな……」
 メリンダ達3名が船内に降りていく頃、ゼフィラは船底から虱潰しに船内を歩き回り、目標の宝を見つけるべく奔走していた。甲板の騒ぎは船内もにわかに騒がせ、警戒させるに至っている。彼女とて見つかればただでは済むまいが、そこは潜伏と隠蔽を得意とする身であるだけに、悠然とやり過ごしていた。
 船倉は幾つか見つけてはいたものの、船旅用の物品を積んだところでしかなかった……というのは不幸といえば不幸である。
 ゼフィラが己の不幸に諦めすら覚え始めた頃……それは彼女の耳朶を叩く。
 上下左右の構造材があらぬ響きを立て始め、徐々に己から遠ざかっていくのだ。まるで、その音が自らを誘うように。その異常に、彼女は思い当たりがある。
「ありがとう、こっちなんだね?」
 同様に、船内に進んだエストレーリャもその『軋み』と同じものを聞いていた。彼の言葉に対し、先導する船員は疑問のひとつも漏らさない。エクスマリアの魔眼による誘導は、思いの外強固に相手を縛り付けているようだ。
 徐々に、徐々に。潜入を果たしたイレギュラーズを、精霊達があらゆる手段で導いていく。
 見つけてからが大変なのは言うまでもないが……。

「済まない、言葉が足りなかった。……厳重に封印された宝を、あの海域で引き上げなかったか?」
 レイヴンは海原を指差し、言葉を改める。その段に至り、船員達は彼が何を求めているのかを理解した。ざわめきが広がり、大柄な船員――船長と思しき彼もまた、思い出したように頷いた。
「ああ、聞きてえ話は分かった。しかしよう、そんなにアレが大事かね? 俺達も卿(アンタ)のことは……知らねえハラじゃねえが、はいそうですかとも言えねえんだわ」
「横取りしようというわけじゃない。ただ、海へと返して欲しい……此処までの苦労も、仕事であるのも承知」
 船長の苦々しい表情に、分かっているとばかりにレイヴンも応じる。彼の言葉、そのトーンに嘘偽り、まして生返事に等しい色合いが無いのは、その場の誰もが理解できただろう。
「このまま何事もなく終わるなら、こっちから連絡入れる必要も無いッスかね……?」
「暇なままで済むなら、互いに損はないだろう。私はそっちのほうが楽でいい」
 クローネとェクセレリァスはレイヴンの説得を聞きつつ、所在なさげに囁きあう。エストレーリャに預けた鼠から見える情報は脅威の二文字を微塵も映さないし、眼前で繰り広げられる交渉は……多少危ない橋を渡っているが、双方に致命的なすれ違いを起こしてもいない。
「リットリア卿には我が兄に補填を依頼するし、君たちにもワタシから補償を出そう」
 レイヴンは交渉も大詰めとばかりに、古代金貨、そしてソルベ派支持を示すバッジを高く掲げた。金貨の鈍い輝きは彼らの回収した宝に勝るとも劣らない価値を示し、一同をおお、とざわつかせた。
「ボルードイ家はソルベ派だ。リットリア卿もそれを知っている筈。……信じてもらえるだろうか?」
 今の彼は、手持ちの札を全て切った。残されているものがあるなら、それは最も望まない選択肢だ。
 船長とレイヴンとの間に、強く強く緊張の糸が引き合い……いずれかが口を開こうとした時、船員達が甲板に上がってくる。彼らが担いでいたのは、どこかぐったりとしたゼフィラの姿。
「船長ォ! 話はこいつらから全部聞きましたぜ!」
 続けて、エストレーリャを先頭にして3名のイレギュラーズが船員に肩を貸されて上がってくる。すわ交渉決裂か、とレイヴン達が驚愕に目を見開いた直後……船員は思わぬ行動に出る。

●そして運命は真実の深淵に抗う
 少し、時間を戻そう。
 エストレーリャ達とゼフィラを船内の精霊達が導き、ほぼ同時に両者が宝物庫へと辿り着いた時点で、そこは禍々しい空気に包まれていた。
「マリアでも、分かる。あれは、出来れば触れたくないものだ」
 エクスマリアの髪が驚愕に張り詰め、エストレーリャは彼女らをかばうように一歩前に出る。こういうところは、やはり男性ということだろうか?
「……運がよかったのは私と彼らと、どちらだったのかしらね」
 メリンダは深々と呼吸をしつつ、眼前に封じられた宝を凝視する。透視は使わない。使った瞬間、間違いなくよからぬことが起きると理解できたからだ。
「なるほど、これはまた恐ろしいもの……に、感じるな。雇われの身としては持ち帰れないのを惜しみたいが」
 ゼフィラは『宝』の発する禍々しさを押しのけて前進しつつ、その思考を読み取ろうとする。途端、彼女の膝が力が抜けたかのように沈む。
 ――なんだ、今のは。
 がくがくと震える膝が身を揺らし、頭部に異常事態を叩き込む。それでも探求者としての本能は、それを手にし、『なんとかせねば』と彼女を急かす。指を伸ばした彼女は、封印を透過して指を伸ばし……それに触れた。
「――っァ、ア……!」
 絶叫、と呼ぶには微かに過ぎ、しかし表情は割れ裂けんばかりに絶望を示し。咄嗟に指を引き抜いたゼフィラは、跳ね飛ばされるように『宝』から飛び退いた。
「なんだ、何があった!?」
「宝物庫の方か?」
 その騒ぎを聞きつけた船員達が駆けつけ、一同を見つけるより早く、メリンダとエストレーリャは示し合わせたかのように『宝』へと手近な布を投げつけ、包み込む。
 押しかけてきた船員達は、魔眼で操られた仲間とイレギュラーズの放つ一種異様な光景を見てから、疑うよりも一度、話を聞くべく口を開いた。

「こいつぁ駄目だ、船長」
 斯くして、甲板に出てきた船員は……預けられた『宝』を布ごと海へと放り投げる。
 漸くショック状態から落ち着いたゼフィラは、ェクセレリァスに対し頭を振って否定する……あれは『本当に』接触してはならぬものだ、と。
「……ボルードイ卿。補填は要らねえ、帰ってくんな」
 船長はあらたまってレイヴンに頭を下げると、高速船へ戻るよう示し、あまつさえロープの代わりに縄梯子をかけてよこした。
 事情を重々承知した――だが彼らの一連の蛮行を和らげることは出来ぬ――そう言外に伝えようとする姿勢は、一同をして安堵させるに足るものだった。
「こ、交渉成立……?」
「そうみたいですね。……正直、ホッとしました」
 安心して座り込んだ芽衣の問いに、エストレーリャが胸をなでおろしつつ応じる。
 一同はサルベージ船の船員達に見送られながら、海洋の港へと戻っていく。

 港に戻った彼らは、芽衣の提案で祝勝会に興じることとなったが……本当に、とんでもない事態を回避したという事実を受け止めきれないでいたのだった。

成否

成功

MVP

エストレーリャ=セルバ(p3p007114)
賦活

状態異常

なし

あとがき

 お疲れ様でした。
 今回は全面的に戦闘回避を主軸にしていたのと、概ね回避しやすい手段を取っていたことで上手く行った感じです。
 一部非戦スキルは十全に機能したとは言えないのですが、それを補って余りある連携だった、とは思います。

 で。
 依頼人から依頼内容から何から何まで疑わしい、あり得ない、まさか、というのはあったと思います。そりゃそうだ。
 でも『情報精度A』なのです。恐らくは過去にさんざ事実が積み上がったのだと思います。
 ですので、見よう触ろう知ろう、というと『ああ』なったのです。
 チャレンジ精神は買います。なかなかやろうとして出来ることではないので。

 MVPは非戦と状況が噛み合った貴方に。
 探索スピードとか、実はかなり短縮に貢献していたのでした。

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