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シナリオ詳細

おいでよイレギュラーズの檻
おいでよイレギュラーズの檻

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●▽依頼書が届きました
 あなたの家、或いはギルドか宿か、それとも。
 いずれにせよアナタの元へ一通の手紙が届いたのです。

【ギルド、ローレットの特異運命座標殿。
 貴殿の御力をお借りしたく、こうしてローレットを通して直筆の依頼書を御送りさせて戴いた。
 以下の依頼内容を見てもしも応じて下さるならば、是非に当日お越しいただきたい。
 さて、情報漏洩の恐れがある為にこちらでは当方の身分は明かせないが、とある銀行へ先日脅迫状が届いた。
 彼等は名のある強盗で、既に先月は私共の所有する金庫を一つ破っている。
 やけに手強い用心棒を連れているようだ。その人数を把握する前に逃走されてしまい、手に余っているのが現状である。
 そこで、我々は貴殿等を招いてこれを捕まえたいと考えている。
 詳しくは――――】

●――当日
 あなた達は暇を持て余していた。
 白い部屋。見渡しても金属棚が見えるばかりで面白味もない。
 暫くは仲間内で雑談もしていただろうが、しかし飽きる。
 そんな時である。
 銀行に轟く爆発音。男達の怒号と銀行内の人々の悲鳴が挙がり、地響きがあなた達の所まで響いて来る。
 金属扉を破る音。
「ヒャッハハァア! お宝♪ お宝♪ おたか……ら?」
 大量の火花を伴って分厚い壁が丸く切り取られた瞬間、白い部屋へ顔を出したマヌケそうな痩せ男はあなたと目が合うと固まった。

 もうお分かりいただけただろう。
 あなたはこの日、金庫の中で待ち伏せする依頼を受けたのである。

GMコメント

 ▼金の棚を開くと中には輝くぱんつが敷き詰められていた!

 以下情報。

●情報精度A
 不測の事態は絶対に起きません。

●依頼成功条件
 銀行強盗の全滅

●待ち伏せるだけ……?
 そう、待ち伏せるだけ。
 ですが相手の強さは並みの憲兵では捕らえる事が難しいと判断される程度には、難易度があります。
 『メフ・メフィート中央金庫』の内部は、皆様が待ち伏せる『第三金庫室』が四方80m、外のエントランスが四方100mと、全体的にどこで戦ってもそれほど不自由は無いでしょう。
 なお、銀行内の従業員や一般人に扮した人々は強盗が来たと同時に全員退避します。
 金庫室内に収められている物品を持ち帰ろうとすると叱られますので注意して下さい。

●敵エネミー
 【強盗】×6
 金の紐パンツを被って素顔を隠したハイレグ集団です。
 一見ふざけた格好をしていますが、銀行の外まで逃がした場合そのまま飛行で逃走され、見失うと依頼は失敗します。
 武装はいずれもアーティファクト級の物至単武器を二刀流で持っており、反応が異様に高く、攻撃力はありますが防御力は見ての通りです。
 連携よりも『強盗』としての素早さを重視した行動をしてきます。人質とかの心配はありませんが。

 【用心棒の老夫婦】(2体)
 包帯を頭に巻いたやけに屈強な大柄の老夫婦です。その両手に持ったチェーンソーによる連続攻撃が特徴的。
 相当に腕が立つとの事です、彼等は外へ出ても飛行はしませんが場合によって(EXAが唸る等で)は逃げ切られてしまう場合があります。

 以上、皆様のご参加をお待ちしております。
 ちくわブレードです。

  • おいでよイレギュラーズの檻完了
  • GM名ちくわブレード
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2019年06月25日 00時40分
  • 参加人数 8/8人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

日向 葵(p3p000366)
紅眼のエースストライカー
ジェイク・太刀川(p3p001103)
『幻狼』灰色狼
黎明院・ゼフィラ(p3p002101)
夜明け前の風
グリムペイン・ダカタール(p3p002887)
わるいおおかみさん
津久見・弥恵(p3p005208)
嫣然の舞姫
リナリナ(p3p006258)
やせいばくだん
エストレーリャ=セルバ(p3p007114)
星守
物部・ねねこ(p3p007217)

リプレイ

●それはみんなでまちぼうけしてたときのはなし
 広く広く、そして白い。無機質な空間。
 背中を預けても腰を下ろしても硬い。メフ・メフィート中央金庫、第三金庫室に押し込まれた『原始力』リナリナ(p3p006258)は金庫室内を探検し終えてから思い出したように手を打ち合わせた。
「おー、金庫内で強盗団マチブセ! リナリナ達は『お宝役』だなっ!
 ――と言うことは強盗団来たら持ってかれれば良いのか? おー、リナリナわかった!」
 彼女の認識は正しい。
 というのもリナリナがむずかしいお手紙も依頼人の話も簡単な部分しか聞いていなかったりするのだが、そこはそれ。それでも何やかんや彼女が依頼遂行に貢献しなかったことが無い評判は伊達ではない。
 でなくともお宝を奪いに来る奴がいて、自分達は金庫に入ると来れば答えは一つだ。
「お宝としてしっかり盗賊団にお持ち帰りさせるゾッ! 任せろ! でもその前に金庫内のサンソが尽きたらアウト! 窒息! 窒息!」
 やる気を出した一秒後に咄嗟に口元を抑えるという、実に器用な姿を見せつつ。
 通気口が無いように見える閉所(狭くない)で何となく意識すれば、少しはそんな事を想像する事もあるかもしれない。
 待機しながら、柔軟体操を行い身体を解していた『銀月の舞姫』津久見・弥恵(p3p005208)はくすりと涼やかに笑う。
(たしかにこういう厳重な金庫って保管物の劣化を防ぐ為に酸素濃度が低いって聞いた様な……いやいや、そんな所に私達を閉じ込めるはずは……)
 首筋を伝う冷や汗。
(まぁ息苦しさを感じる状況では分からなくもないかな)
(なんとなく面白いので、角のエアコンに見える装置が通気口なのは言わないでおこう)
 手持ちのキットで回転式拳銃の手入れをしながら『夜明け前の風』黎明院・ゼフィラ(p3p002101)が首筋を撫でる隣で、『わるいおおかみさん』グリムペイン・ダカタール(p3p002887)はニンマリと素知らぬ顔をしながら天井を仰いだ。
「えっと、お仕事頑張りましょうね!」
「ん……ええ、観客が少ないのは残念ですけどお仕事はきちんとこなしていきませんとね」
 静かだった空気が和んだのを感じ、それまで弥恵のストレッチ風景を見上げていた『星守』エストレーリャ=セルバ(p3p007114)が会釈する。

 そんな、少しだけ退屈が紛れる一時を挟む一方で。
 物部・ねねこ(p3p007217)はこのような銀行を襲う強盗が混沌世界にも居る事を憂いながら、黒髪の三つ編みを指先で弄ぶ。
「まぁ生きてる人は捕まえて、死んでる人はお持ち帰りさせて貰いましょう♪」
 人知れず、普通の少女にしか見えぬ彼女はにこやかに微笑む。
 ねねこの視線が向かう先にある金庫室の扉は未だ硬く閉ざされたままで、静かだ。扉の傍には彼女が置いた、保管棚の仕切りに用いられるパーテーションスタンドとロープが幾つかあるだけである。
 だがまぁ、重厚な金属扉が破られる時が来るとすればそれはつまり。
「……来たな」
「マジスか、エネミーサーチ効いてないなこれ」
 だから。『『幻狼』灰色狼』ジェイク・太刀川(p3p001103)がその鋭敏な感覚(センス)でもって強盗達の接近を予期出来たのは、意図した行動(プレイング)とは少々異なる偶然だった。
 『紅眼のエースストライカー』日向 葵(p3p000366)が首を捻る間にそれぞれ臨戦態勢に入る。
 そして、地響きが彼等のいる金庫室を揺るがした。

●最も冴えたやり方
 金属扉を破る音。
 大量の火花を伴って分厚い壁が丸く切り取られた直後、顔を出したマヌケそうな痩せ男は葵と目を合わせたまま固まっていた。
 男は後方から「どけい!」と金庫室の内側へ蹴飛ばされる。
「なんだなんだ? アンちゃん達ィ……ここで何をおっぱじめようってのよ??」
「おい見ろよ! ありゃ上玉だぜ」
「俺のマイサンがぶら下げてる玉の方が上々だと思うぜ。で……なんだこりゃ」
 ぞろぞろと駆け込むように中へ入り込む強盗らしき男達。
 その様相の威容さたるや、金の紐パンツを被って素顔を隠したハイレグ集団ではないか。
「……パン……ツ? なんで? え? なんです?」
「何ですかあの変態集団は!?」
「うっわ……なんだアイツら……」
「なんだこいつら?! 気色悪いったらありゃしねえ」
 混沌に来て日が浅いねねこを筆頭に、イレギュラーズ一同から悲鳴混じりの苦渋の色多分な声が挙がる。
 ただ、何事も例外というのはあって。
「強盗さんは、それはファッション、というやつなのでしょうか?
 今の流行の最先端だとしたら、幻想はとても、尖っています……! 都会とは、やはり恐ろしい場所でした!」
「違いますよエストさん!?」
「坊主、これは俺らが変態なだけだから真似しちゃダメな奴だぜ」
「自分で言うのかよ」
 弥恵の言葉に同意を示す強盗一味。葵はそっとエストレーリャを背中に隠すようにする。
 代わりにイレギュラーズの中からずい、と前へ出て来る者が一人。
「おー、窒息する前に白馬に乗った変態盗賊団登場! さぁお宝(リナリナ)持ってけ! 持ってけ!」
「お? おッ?」
 強盗達がまだ弛緩した雰囲気のまま、なんかにじり寄って来るワイルドな少女。
 白馬には乗ってないが手配書には載ってるぜとかいうジョークすら封殺された男達は困惑した様子で顔を見合わせた。
「――今です!」
「ハロー変態ども! そして、グッバイ!」
 ねねこが手近な位置の棚を勢いよく引いた瞬間、金庫室入口付近に雑に置かれていた複数のパーテーションスタンドが引かれたロープに跳ね上げられ、男達に衝突する。
 意表を突かれた強盗達のハイレグがキュッと締まる。
 別段それがダメージになり得ないとしても、貴重なパンツが収められた金庫室で罠が出て来るなど予想だにしていなかったのだろう。
 ジェイクの怒号に顔を上げた彼等にはコウモリ型のエネルギー弾と砲弾の雨が待っていた。
「「ぐぎゃああああ!!?」」
 細マッチョだったりヒョロガリだったりするハイレグ男子が飛び散るという光景に、不意打ちに貢献したねねこ本人の喉から悲鳴が漏れる。
 割と本気で決まった様に見えたが、防御力薄いわりにHPが高いのか強盗達は床を転がりながら抜刀する。
 ゼフィラが拳銃をホルスターから抜いて小首を傾げる。
「しかしまた奇抜な格好だな……変質者に動揺する程うぶではないが、素直に近づきたくないぞ、これは」
「い、いえ、武装は明らかに危険です、見るからに不埒な輩ですから懲らしめましょう!」
「同感っスね、ビビってられっかよ! ここでしっかり潰すっスよ!」

 初手ターンは取った。士気が向上すると同時に前衛後衛共に一切の乱れなく行動に出る。
 強盗の一人に早速シュートを決める葵。
 最前線に文字通り躍り出たのは、つい数秒前まで狼狽えていた娘とは完全に切り離された一人の踊り子。
「月の舞姫、華拍子。天爛乙女の津久見弥恵――――見惚れると怪我をなさいますよ?」
 舞台上でなくとも魅せる肢体の動き。
 髪が揺れる度にそれを目で追い、誘う様に滑る指先に意識が乱され、艶かしく弧を描く舞いが月光を思わせる。
 強盗達6人……まさかの全員が釘付けになった最中。一人弥恵の舞いに見惚れながら思い出す。
(ッべェ色気だヨダレが止まらぬぇ……まてよコイツ、『月影の舞姫』じゃねぇか。ってことは……!?)
 裏の世界で微かに囁かれた踊り子の噂。思い当たったそれが示すのは、彼等が対峙する相手が何者か、その答えだった。
「ギルド・ローレット……」
「気付いても遅え、一匹足りとも逃がしゃしねえぜ!」
 唸る魔性の弾丸。
 本来ならば相当の手練れであろう、強盗一味の一人は身動きも叶わずに顔面のパンツを弾き飛ばされ、ハイレグを爆散させて吹き飛んだ。
「そもそも、パンツってのァ被るもんじゃねえだろう。パンツは体の大事な部分を守る最低限の防具だ、
 頭に被るなんて言語道断……この変態強盗どもに手加減をする必要はねえよな? 用心棒を含めて全殺しだ!」
 『熱き願い握る者』ジェイクとなぜか視線が交差した『パンツオブ爆心地』リナリナが唐突にマンモス肉を差し出す。「いらねえ」と彼はイイ顔でそっと押し返した。
「……見栄を気にせよとは言わないがTPOは弁えて欲しいものだなあ」
 ダカタールが駆ける軌跡を追う様に、影から伸びた無機にして有機なる泥人形が手近な変態の股間へ突撃する。
 汚い悲鳴。
「ふふ。これがまさに時間泥棒というやつか。捕まえたらかかった時間を返してくれるのだろうかね?
 無理なら身体で返してもらうのもまた良しか――なぁに、指一本、足一本でも私は構わないよ」
 ほんの少しの不満と怒りを皮肉に乗せて。
 逃げ道を塞ぐべく、弥恵に誘われ行く男達の後方(金庫扉)へ駆けて行ったダカタールは反射的に顎を後ろへ引いた。
 火花を散らして過ぎ行くは高速回転する長鋸(チェーンソー)の刃だ。
「駄目? そりゃあ残念」
 外套を翻して一歩後退する。
 金属扉を潜って現れたのは見上げるような巨躯の影。両手に背丈ほどもある大型チェーンソーを携える、威圧感どころか凶器そのものといった風体の婆が深い皺を伸ばして笑った。
 その鋭い眼差しはダカタールを追いかけて来ていたゼフィラに注がれている。
「おやまぁぁ、お爺さん。どこかで見た嬢ちゃんがいるよぉ」
「あんれまぁ、婆さんよ。ありゃいつぞやの屋敷でやり合った娘っ子に似てるのぉ」
 老婆に続いて現れる巨躯の翁。
 二人とも頭に包帯を巻き付けている様相だが、そこに負傷による性能の低下は見られない。
「やあ、奇遇だな。その後調子はどうかな?」
「すこぶる良いともさ、お嬢ちゃんと最高のワルツを踊りたい気分だねぇ!」
「はは! ま、お互い雇われの身という事で過去の遺恨は水に流してくれたまえよ」
「つゥれないお嬢さんだよ全くさァ! そっちの旦那方、分が悪い。帰るよ!
 ……なんだい鼻の下伸ばして、だらしない連中だよォ! アタシらが行くまでにくたばったらここに置いてくからねェッ!!」
 フレンドリーに牽制の銃弾を挨拶代わりにお見舞いするゼフィラと老夫婦の間に閃光が幾重にも描かれる。
 と、そこで突然。

「……帰る? ……むー、このまま帰る禁止! 全員そこへなおれ!!」
 ゼフィラ達の脇を通り抜け、金属扉前にいた翁に突撃するワイルドガールの怒声が鳴り響くのだった。

●おいでよ!イレギュラーズの檻
 リナリナは激怒した。
 必ず、リナリナを持って帰らせねばならぬと決意していた。盗賊団は根性が足りぬ。リナリナはお宝である。
 リナリナを持って行かず、逃げようだなどと。一度全員ぶちのめしてオセッキョーせねばならぬとリナリナは激怒していた。
「ガォォォ~~~!!」
「なン……だとォ!?」
 筆舌にし難い咆哮(?)が巨躯を打ち、弾き飛ばす。
 ねねこはその迫力に息を呑む。
「っ、ダカタールさん達が後ろを固めました! 弥恵さんが引き付けている今がチャンスです――エストさん、弥恵さんの回復を!」
「はいっ!」
 応じたエストレーリャが陽色の瞳を瞬かせ、強盗一味に囲まれている弥恵にハイ・ヒールが奔る。
「チィッ、あっちの子供も鬱陶しいが……目が、離せねえ……!」
「なんつー女だ! まともに一撃入れられないとは……いや違うッ、これはッ! ”体が当てたくないと言ってやがる”んだ――!!」
 水差すかのような横槍に舌打ちを一つ。苦悶の悲鳴が幾つ。
 しかし彼等は一様に、他のイレギュラーズではなく弥恵だけを狙っている。狙う、とは少々違うかも知れない……誘蛾灯に誘われる蛾に等しい矮小さなれば。
 妖艶なる舞いに誘われ輝かしき羽衣の如きドレスの羽ばたきに惹かれ。ひいては彼女自身の肢体がもたらす魔性の魅惑が見る者を狂わせていたのだ。
「――苛烈な攻撃に身を晒す死の舞台、一心不乱に踊って魅せて差し上げましょう――」
 無防備に見えるのに……その滑らかな肢体を振り乱し、艶美なる舞いを続けながら襲い来る刃を躱し続ける。
 それこそ誘う様にステップで敵を翻弄する姿は正しく舞姫に相応しい。
「あれじゃいつ体力切れ起こして回避ミスるか分からないっスね」
「だったら姫様が疲れ切る前に観客にはお帰りいただかねえとな! 勿論、帰すつもりもねえが!」
 宙に描かれる白銀の軌道に続いて、金庫室に怒涛の弾幕が広がる。
 深紅の多段爆発。粉塵が舞う事すら許さないジェイクの超弾幕が一息にハイレグを破り、パンツを引き裂いて行く。
「美女に群れる変態。それを蹴散らしたら今度はその絵面も汚いとはね」
 鈍い黄金色が微かに赤みを帯びる。後衛の奮戦を一瞥し、作戦が概ね成功である事を確かめたダカタールは弥恵とはまた別の舞踏を刻む攻勢を見せる。
「うわぁ!? ブラックドッグ、弥恵さんに向かうあの全裸の変態さんを捕まえて下さい!!」
 エストレーリャと弥恵の悲鳴。次いで獰猛な牙によって強盗の汚い断末魔が。
「ククク……なんだか締まらない戦場だねェ、血が騒ぐってのに湧き上がる物を感じないのは初めてだよ」
 巨躯の婆が巨腕を奮う度に金庫室の天井や床が火花を撒いて切り裂かれて行く。
 ダカタールはチェーンソー握る婆の手首を蹴り上げ、刃を潜りながら悪戯気に鼻を鳴らして問いかける。
「そういえば、逃げないのかね?」
「アンタをホットドッグにしてお爺さんの加勢に入れば、あんな小娘くらいなら直ぐに片付くさね。そうなれば今日中に」
「ふふ。なるほど、それを聞いたら少し意地悪がしたくなってきたよ」
 唸る駆動音が鳴った直後に外套を翻してチェーンソーを巻き取る。
 瞬時に切り刻まれて散るのは明白だが、それでもダカタールが一歩間合いを詰めるには十分。魔性を秘めた掌が筋肉の鎧をノックした事で先と同じく黄金色の輝きを以て生命力を削り取る。
 さしもの婆もこれに怯み。後退する。
「誰も逃がさない! るら~~!!」
「ッ、こんの……!?」
 逃走の兆しと見たリナリナの咆哮に弾かれて巨躯が床を滑る。

「……チッ、やり辛いったらないね……! ジジイ早く旦那方の一人連れて来な! このままじゃ全滅だよ!」
「うるせぇババア! こっちは忙しいンだ!!」
「逃げる算段とはらしくないじゃないか。私はワルツに興味はないが、踊るんじゃなかったのかな?」
 会話を遮るように足下を潜り抜けたゼフィラが背後から銃撃を見舞う。
「グッ……! 貴様、ボルケーンの旦那の屋敷で潰すべきだったか……ッ」
「ま、お互い雇われの身という事で過去の遺恨は水に流してくれたまえよ」
「できるかッ」
 背後を取ったと同時にそのままリナリナの方へ下がろうとするゼフィラをチェーンソーが赦さない。
 間一髪その場を離脱した彼女は視界の端に映ったものを見てにっ、と笑う。
 巨躯の翁が強盗へ向かおうとした隙を逃さず、ジェイクの銃弾が血飛沫を散らしたのだった。
「ぐ、ぉぉッ!? ええい、年寄りに優しくない奴らだ。もっといたわらねぇか!」
「てめえらのようなジジイやババアがいるか!」
 ハイレグの切れ端降り注ぐ中、ジェイクが銃口を突きつける。
「じょ、冗談じゃねえ! 先生たちですら敵わない連中に勝てっかよ!」
 その時ちょうど事態の重さに気づいたのか、或いは理性が仕事したのか。弥恵に迫っていた強盗の一人がパンツの下で顔を青くさせて叫んだ。
「くす……もう御仕舞いになさるのですか? これからが、もっと凄いのに……♪」
 汗が伝う肢体を揺らして首を傾げる。
 そもそも。全滅の危機を招いた原因が踊り子に全員魅了されるとかいう大事故を前に、悪辣なる神も盤面を見てたぶん悲鳴を上げていたに違いない。
「強盗さんですが、何も盗らないで逃げるのですね……! 盗ろうとしてもさせませんが!」
「ひぃっ!?」
 襲い来るブラックドッグの恐怖。
 悪人といっても殺す必要はないと、エストレーリャは意図して足を捉える。
「ヒールオーダー! シェルピア! ……リナリナさん、そこを動かないで! このまま逃がしません!」
 負傷した味方にねねこが次々に癒しの魔法を投げ、完全にイレギュラーズへ傾いたペースを手放しはしないとばかりに指示を投げる。
 奇跡的に依頼目標とリナリナの行動とが合致する。
 そして、弥恵に集中していた強盗一味が散り散りに――そもそも既に葵を筆頭とした後衛の活躍で二人だけに――なった事で新たに動きを変える事が可となる。
「チクショウ、こんな変態至近距離で見たくはねぇけど……!」
「ひっ!?」
 翁が振り回した巨腕を飛び越え、出口へ駆けていた強盗の横を葵が抜ける。
 直後、情けないハイレグとパンツが彼のシュートによって爆ぜ飛んだ。




 強盗一味、チェーンソー夫妻は全員憲兵に連行されて行った。
 軒並み全裸にされた8人の背中を、イレギュラーズは手を振って見送るのだった。

 金庫室の棚から零れ落ちていた『輝くダイナモパンツ』(時価一万G)を丁寧に畳んで棚に戻すジェイクは、傍らにいたリナリナに清らかな表情を浮かべて振り向いた。
 死体が出なかった事に肩を落とすねねこをバックに、ワイルドな少女は一人震えていた。
「おー……盗賊団全滅、これリナリナ持って帰れない! 依頼失敗? 失敗なのか?」
 あとで彼女はカウンターで言われる事だろう。依頼は成功だよ、と。

成否

成功

MVP

物部・ねねこ(p3p007217)

状態異常

なし

あとがき

iraiseikou_!

全体的にダイスが神がかった結果酷い事になりました。(称賛の声)
作戦もそれぞれ状況に噛み合う部分も多く、上手く動けていた事でハイレグ狩りが捗りました。素敵なプレイングに感謝です。
MVPは開幕からサポーターとしてがんばっていた貴女に。

お疲れ様でしたイレギュラーズの皆様、またのご参加をお待ちしております。

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