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シナリオ詳細

鉱山特攻! スイートドリル
鉱山特攻! スイートドリル

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●甘いものが欲しいから
 その男は練達からの流れ者だった。有り体に言えば『密入国者』なのだが、幻想がその存在に気づくのが遅れたのは偏(ひとえ)に、それが幻想の通常技術では探知出来ない場所、すなわち地中から現れたからである。
 そしてさらに、状況把握が遅れた理由は幻想というお国柄……貴族の分割統治に近い状況、不祥事を握り潰すことが容易な環境であることが一因である。
 それはそれとして、その男(と乗り込んだ地中潜行メカ)が現れたのは、幻想でもそれなりの規模を誇る鉱山だった。
 幻想の技術レベルは高くはないが、鉄や貴金属の需要は当然ながら低くない。そこを襲われ、あまつさえ独占されたらいくら貴族だって慌てる。情報を上げてくる。
 そしてその話は必然、ローレットに持ち込まれる。
「密入国者の名前はヘンリー・高岡。旅人らしい変わった名前です。彼自身は別に大した力を持たないのですが、乗り付けたメカがどうやら地中を掘る、ドリル……ですか? そういった機構を備えていて、各種小型メカや武装が盛り沢山らしいです」
 密入国と鉱山占拠はいただけないが、相手が機械ならエネルギー切れを狙えるのではないか。機械に造形のある者達は一瞬それを考え、だからこそ鉱山に攻め込んだのではないかと考え直し、唸った。
 貴金属をエネルギー源か触媒にするなら、割と真面目に鉱脈の枯渇まで考えなければいけない緊急事態である。だが、情報屋の続く言葉に、一同は理解を放り出した。
「それが、そのメカはどうやら鉱物を……糖蜜に変えて撒き散らし、エネルギー源としているらしく。余剰分を鉱山内に垂れ流しているので甘ったるい匂いとかその他もろもろで公衆災害化しているそうです。討伐に向かった貴族の私兵は匂いで胸焼けしたところを、小型メカにたかられて放り出された、と」
 何いってんだこいつ。
 だが、情報屋は真面目に、すごおおおおおく真面目な顔で続けている。
「最悪なのは、糖蜜に誘われて大型甲虫まで現れていることで……むしろ厄介なのはこっちの方じゃないか、と」
 練達は是非そいつを引き取って欲しい。然る後にめっちゃお説教入れて欲しい。あと、糖蜜って食べられるのだろうか? そんな疑問を抱いたイレギュラーズがいても、そりゃまあ止められはしないだろう。
「何をおいても、大事なのは鉱山です。速やかな対処をお願いします」

GMコメント

 多分秒間〇億個とか……そういう域ではないとおもいます。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

●成功条件
 スイーツドリルの破壊(ヘンリーの生死不問)
 ビートル・Sの討伐

●ヘンリー・高岡(inスイーツドリル)
 練達からの密入国者。恐らく練達でも鼻つまみ者だったことは想像に難くない。
 教科書に出てきそうなくらいの肥満体。腕がハム並。
 だが技術は(ぶっとんだ方に)優秀で、鉱物を糖蜜に変えてしまうことに成功「してしまった」。
 スイーツドリルは全高3m、全長2mほどのドリル機構と無限軌道を備えたマシン。カタピラを壊されても足とか生えてくる。
 鉱物を糖蜜に変えてエネルギーにできるが、効率が良すぎて変換量と使用量が釣り合っていない。
・スイーツスメル(パッシブ。常時、ビートル・Sとドリルを除く全対象が痺れ相当を被る)
・溶けて固まる糖蜜(パッシブ。飛行かそれに準ずる行為がない場合足止と機動-1)
・超収束スイーツレーザー(神超単・必殺)
・ドリル突撃(物近ラ・流血)
・鉱物ワイヤアタック(物中列・攻勢BS回復・HP吸収)

●ビートル・S×6
 幻想にいる大型甲虫。普段は無害。硬い。
・スピンタックル(物至単・窒息)
・角で一発(物至単・防無・攻撃力小)

●戦場・鉱山入り口
 スイーツドリルは鉱山から半分頭を出した状態で戦います。ビートルは飛び回ります。カオスです。

  • 鉱山特攻! スイートドリル完了
  • GM名ふみの
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2019年05月19日 21時45分
  • 参加人数 8/8人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ポテト=アークライト(p3p000294)
優心の恩寵
日向 葵(p3p000366)
紅眼のエースストライカー
シエラ・バレスティ(p3p000604)
魔法刀士
ユーリエ・シュトラール(p3p001160)
愛の吸血鬼
アンナ・シャルロット・ミルフィール(p3p001701)
舞蝶刃
イグナート・エゴロヴィチ・レスキン(p3p002377)
無影拳
風巻・威降(p3p004719)
悲劇を断つ冴え
リアナ・シンクライ(p3p006831)
ドリルブレイク・ドリル

リプレイ

●夢をぶちこわす者
「ユーリちゃん、私スイーツが食べたい」
 『輝きのシリウス・グリーン』シエラ バレスティ(p3p000604)の動機は単純だった。最初に糖蜜とか聞いたのでこれは行くしかない、と考えてもおかしくはない。少女はだいたい甘い物が好きなので。
「シエラちゃん、私もスイーツいくー!」
『愛の吸血鬼』ユーリエ・シュトラール(p3p001160)は、友人であるシエラからの誘いに疑いなく乗っかっていた。少女はだいたい(以下略)。スイーツでパラダイスな光景を想像した2人だが、連れてこられたのは鉱山。そして目の前にはドリル。威圧的に回転する掘削体は周囲の岩肌を掘り返しながら右へ左へ身を捩っている。ジェットパックで一旦、糖蜜の流れていない位置に到達したはいいが。これはひどい。
「チガウヨ、シエラチャン、コレスイーツチガウヨ……」
 機械的にシエラの側を向いたユーリエの声と目に光がない。哀れむなかれ、これも彼女たちの人生なのだ。
(とりあえず……ユーリエとシエラには焼き菓子渡した方が良いかな……)
 『優心の恩寵』ポテト チップ(p3p000294)は、そんな2人のやり取りを見て気遣わしげに首を傾げた。本人達の勘違いがすべての始まりとはいえ、それを自業自得と切り捨てる非情さを彼女は持てなかった。というか本当に、程度と用法が間違ってさえいなければ発明としてマトモだったのに。彼女の内心の落胆は当然っちゃ当然である。
「元の世界には過ぎたるは猶及ばざるが如しって言葉があるけど……練達の人達ってどうしてこうなの」
 『瞬風駘蕩』風巻・威降(p3p004719)の意見は尤もである。何をどうすればこんなゲテモノを作れたのか、と。
 いや、そもそもが練達のやることは度が過ぎている。彼も今まで、少なくない回数、練達ベースのなにかにエグい過去を積み上げられたに違いない。行動と結果、その収支の釣り合いが取れなさすぎなのである。
「技術はスゲェと思うんスけど、使い道が変だとやっぱトータルでダメっスよね……うっわ甘ったる!」
「誰か止めなかったのかしら……」
 『紅眼のエースストライカー』日向 葵(p3p000366)と『黒陽炎』アンナ・シャルロット・ミルフィール(p3p001701)はそこまで甘いものに夢を見ていたワケじゃないので、まだ精神的なダメージは控えめだった。だったが、それでも暖かくなり始めた時期の甘い匂いというのは鼻から神経にガンガン来る。
 そんなことより。驚くべきは恐らく、糖蜜に足をとられても平気な顔して動き回れる葵ではなかろうか。そもそもサッカーを嗜んでいたのだから少し速くても当然なのだが、それにしたって糖蜜の上で並のイレギュラーズ以上の軽快さなのはただ事ではない。
「このスズってコウカあるのかな? ま、効かなくてもやることは変わらないけれどね!」
 『無影拳』イグナート・エゴロヴィチ・レスキン(p3p002377)はしげしげと蟲呼びの鈴を眺め、眼前の光景に目をやった。飛び回る甲虫は今まさに糖蜜に夢中で、彼らには見向きもしない、ように思える。仮に鈴に効果があったら、そして軽率に鳴らしたら。そんな危惧があったればこそ、彼は左手でそれを握っているのだが。
「オーホッホッホ! ドリルと聞いて私参上!」
 『ドリルロボ娘』リアナ・シンクライ(p3p006831)は両手のドリルをガンガンに回転させながら眼前の大型機械を見上げた。彼女に無縁ではない練達の手の者、加えてドリルである。卵と鶏の喩えではないが、彼女とこの依頼、どっちがどっちに沿っていたのやら。
「……ところで今回の仲間はスイーツがどうこう……って、なんですの、これは!」
 リアナはそこまで堂々と名乗りを上げてから、ドリル以外の状況に視線をやった。惨状極まりなく、理解が全く追いつかない。シエラとユーリエも同じ心境なので、女性陣には大なり小なりショッキングなんだろう。
『ハハハハハッ、どうだ素晴らしかろう! これこそが我が最高傑作、スイーツドリルの成果物である!』
 呆れるやら驚くやらで反応がいまいちな一同に対し、ドリルの製作者であり操縦者、ヘンリー・高岡は高らかに言い放つ。ハウリングが起きかねない大声なので、よほど上機嫌とみえる。
「それがドリル? 思ったよりもちゃちなのね。あまり痛くなさそう」
「悪臭被害がひどいから一回ぶっ壊しますので、今度はもっとまろやかな感じで作り直してきてください!」
 アンナと威降は口々に非難を隠さず口にし、高岡の怒りのボルテージを上げていく。
 感情の発露かはたまた威嚇か、回転数を上げたドリルはイレギュラーズに矛先を向け、周囲の甲虫達はドリルを避けつつ……なんとまだ糖蜜に夢中だ。彼らも巻き込み事故に遭った側なのだろう。だが倒されなねばならない。
「その糖蜜はユーリちゃんと私のだよ! 渡さない!」
 ……義務感より先に来る者がある面々がいるのは否定しないが。

●夢は貫いてこそ(ドリルだけに)
 シエラの欲望顕わな宣言は、同時に虫達を4体ほど引き付けることに成功する。初動としては上等、なのだが。
「みんなー! 私が食べられる前に倒してぇ!」
 彼女は虫が苦手であった。苦手じゃなくても、混沌における大型甲虫はビビって当然の相手ではある。
「行きますわよ、ドリル号!」
 量産型子ロリババア(メカ)に跨ったリアナは、いち早く虫達へ突貫する。匂いも糖蜜の足場も物ともせず突っ込む姿はまさにドリルのそれ。怒りで冷静さを欠いていなければ、虫とて逃げる威圧感であったろう。
「足元が気持ちわりぃけど、戦う分には問題ねえか」
 葵は、集まった虫へと青色のコウモリを飛ばし、敵陣中央で炸裂させる。威力こそ感じられないものの、周囲を包む冷気は確実に虫達の動きを鈍らせつつある。
「一体ずつ確実に……女の子が襲われてるのは傍目にも怖いからね!」
 威降は引き付けられた虫へと間合いを詰め、小太刀を真っ直ぐに突き込む。彼とて多くの戦いで経験を積んだ身だ。その一閃の鋭さは甲殻の継ぎ目を射抜き、深々と身を抉っていく。
『お前達が邪魔をするというなら、相応の対処を……うん?』
「形もそうだけど、小回り利かなさそうな外見してるわね。デザイン性が皆無よ」
 甲虫達に仕掛ける相手を見て、これ幸いと横合いから仕掛けようとする高岡。しかし、モニターの正面に現れたアンナは新たに挑発を始め、その視線を釘付けにする。
 距離をとって支援に徹するポテトを優先的に狙おうとした彼のちっぽけな理性は、アンナの挑発を前に脆くも瓦解する。唸りを上げて突撃してくるドリルを、布一枚で受け流した彼女の瞳には余裕すら垣間見えた。
「カースドアイテムだけれど、これツカイモノになるのかな?」
 イグナートは左手を開き、鈴の音を響かせる。控えめに鳴り響くその鈴は、シエラに意識を割かなかった個体に届いたらしく、一も二もなく彼へ向けて突撃してきた。
 敵意というよりは好意すら見える勢いの接近は、しかし相手が虫なので恐怖すら覚えるもの。だがイグナートからすれば大きかろうが凶暴だろうが、己の力を試すに絶好の相手だ。角による直線的な突き込みをあっさり躱し、返す刀で右手に込めた爆発力で2体の虫を吹き飛ばす。片一方は己の頑健さを見せつけるように堂々と受け止めて見せたが、もう一方はそうもいかず、炎に巻かれ弱々しい鳴き声を上げた。
「こんなに甲虫パラダイスにして……私はスイーツが食べたいのに!」
 ユーリエは両手に鎖を生み出し、怒りとともに射出する。鈍重ながらも頑丈、器用さを併せ持つドリルが妨害に屈するものか……そんな疑問は、縛り上げられたその姿が雄弁に語っている。
『このっ、小癪な真似を! この程度の拘束で私が屈するとでも思、ぬぅ……っ!?』
「倒れないにしても、鎖一つで動きを止められるんだから惨めなものね」
 鎖の拘束を引き剥がそうと抵抗する高岡の耳に、馬鹿にしたようなアンナの声が響く。正常な判断力を奪う、という意味では見事なもので、加えて彼女の動きには一切の淀みがない。ミス、という言葉は戦闘を支配せんとするその姿、動きからはまるで無縁のように思えた。
「動きは鈍ってんのに簡単に落ちてくんねえのは、ちょっとイラっとするッスね……」
「問題ありませんわ! 殴り続ければ倒れますの! ドリルで掘り続ければ向こう側が見えるのと代わりありませんわ!」
 葵は一体ずつ着実にボールを叩き込み、集中攻撃での各個撃破を狙う。だが、腐っても甲虫らしく、硬い外皮を避けて当てるのは困難だ。むしろ、リアナが全く折れもせずめげもせず、淡々と狙った相手を突き続ける愚直さはなんなのか、という話だ。時折、密集したことが仇となって虫達を複数、巻き込む始末。
「あんまり痛くないから大丈……嘘、痛い痛い痛い!」
 シエラの守りはかなり頑丈であるし、事実として虫達の、猛攻を受けて倒れることはなかった。だが、時折守りを貫いて突き立てられる角や回転攻撃は、数の暴力もあって決して軽い傷では済まない。
「シエラちゃんっ!」
「シエラ!」
 ユーリエとポテトは、シエラの手傷を素早く癒やすが、彼女は十分に呼吸を出来ていない様子だった。虫の回転突撃で、呼吸のリズムを乱されたか。
「イガイとメンドウな相手だね、コイツら!」
 イグナートは残る2体に対し、ありったけの打撃を叩き込む。多少なり呼吸が苦しくとも、彼が息切れを起こすことはまず、ない。懸念があるとすれば、想像以上に甲虫が頑丈なことだが……。
『おやおや、少し余裕が足りないように見えるが大丈夫かな? 私はそういう顔をした娘も好みだがなァ……?』
「自制心が足りない上に変態趣味もあったのね。全く救えないわ、あなた」
 アンナは余裕を見せた高岡に挑発を繰り返すが、わずかに意志が敵意を上回ったのか、ドリルから射出されたワイヤーは岩を絡め取り、アンナを無視して虫を相手取る葵とリアナへと振り下ろされる。
 掠っただけで済んだ葵はまだいい。リアナは当たりどころが悪かったか、激しく咳き込み馬上(ロバだが)で口元を押さえ、前を向く。意識はまだ保っている。一瞬の隙を突かれただけでこの威力とは、変態で且つ品性下劣であってもドリル本体の性能は生半ではないということだ。
「まだまだこれからですわ! この程度で倒れていてはわたくしのドリルが廃りますわよ1」
 リアナはドリル号の腹を蹴って活を入れると、ドリルを大きく引いて真っ直ぐに突く。速度と意志と覚悟を載せた一撃は、度重なる攻撃で弱りつつあった虫を2体まとめて貫き、地面に叩き落とした。
「ああもう痛っ、痛……痛いってば!」
 シエラは、威降が突きで動きを止めた虫めがけ、盾を真っ直ぐ振り下ろす。地面と盾とで挟み込むようにして押し付けられたそれは、嫌な感触を手に残して息絶えた。
「残り少ねえし、ドリルを何とかしねぇと……でも、ボールでドリルを破壊って言うのもなあ」
 葵は荒波模様のサッカーボールを軽く足で弄び、いまだ健在なドリルに視線を戻す。大型ドリルがメインなのだから、ドリルを壊せば鉱石を糖蜜に変換することも、砕くことも出来はすまい。
 ――果たして、サッカーボールで鉄を砕けるのか? 難しい命題だ。彼の元いた世界では難しいかも知れない。物理法則というものがある。だが、ここは混沌で、彼のボールは海洋による特別製。
 つまり、なんとかなるってことだ。

●〇〇〇は友達?
「努力の方向性さえ違うなら、もう少し人に感謝されたでしょうに! なんとかならなかったんですか?!」
『他人に努力の何たるかを諭すとは、なかなか傲慢じゃあないかね、うん?』
 威降はドリルの間合いに踏み込み、腰を据えて深い一撃を繰り出す。装甲の継ぎ目を貫いた一撃は、しかし決定打とはいかぬ感触。燃費が酷く悪いこの技を乱発できるのは、偏にポテトの支援あってのことだ。彼女は彼女で、無尽蔵とも思える魔力循環を繰り返し一同の治療に専心している。時折飛んでくるレーザーはかなりの威力だが、幸いにして治療が追いつかぬ道理もない。
(あれの持久力も相当だが……つくづく技術の無駄遣いというやつは恐ろしいものだな……)
 もっともである。というか、彼女も当初心配していた話だが、ユーリエとシエラがなかなか限界が近づきつつある。主に、肉体面より精神面で。
「ユーリちゃん、ちゃんと縛っててね!? しっかりとね!?」
「ダイジョウブ、チャントヒキズリオロソウネ……」
「ユーリちゃん!?」
 シエラはまだセーフそうだが、ユーリエが徐々に限界だった。それでもちゃんとドリルを上手いこと制しているあたり、理性の糸は掴んでいるようだが。
「オーホッホッホ! 私のドリルは混沌一のドリルですわ~! 貴方のドリルなんてこうですわ!」
 リアナはありったけの力を込めて、ドリル部分に己のドリルを叩き込む。己の在り方を貫き通すためなら、多少の無理もやってのける。相手がドリルを回せないなら尚更に、だ。
「キカイを壊すのはトクイだからね。先にアイツを引きずり出さないとだけど」
 イグナートもまた、ドリル目掛けて拳を繰り返し打ち付ける。全力を持って叩きつける乱打が体に強いる負担は並ではないが、仲間あってこそ、無理ができる。膝をつこうが、立てばいいだけなのだ。
「……なんとかなる、なんとかなる」
 葵は自分に言い聞かせるようにつぶやき、ドリルを見た。
 仲間の攻撃で相当に傷を受けているが、あと一歩のところで粘り強く戦っている。ドリルは……壊せるか? いけるだろう。あれだけ破損しているのなら、いけるはずだ。
 彼は意を決したようにボールを胸の当たりまで蹴り上げると、正確な狙いでもってドリル目掛けてシュートを叩き込む。一条の流星を思わせるそれは、流れるようにドリルの刃の継ぎ目を射抜き、先端を叩き折った。
『何だとぉ!?』
 驚きを露わにする高岡の声に気を良くしたのか、シエラは壊れたドリル部分に盾を叩きつけ、勢いで機体上面に飛び乗る。
「おりゃぁー出てこんかーい♪」
 ガンガン、ドカドカ。他の武装がまだ残っているのも構わずに暴行を加える彼女はストレスでどこか壊れているのか。
 怯えきった高岡がレーザーを打ち出そうとすれば、射出部をイグナートが右手でむしり取る。
 ワイヤーが伸びたそばから、威降が最後の力を振り絞ってそれを叩き切る。
 もはや、それが戦闘を行う機能など残されてはいない。……恐怖を顔に貼り付けた高岡が脱出口から体を半分ほど出し、つまらせたのに気を良くしたシエラとユーリエが彼の顔を掴む。
「さぁーて……どうしようかなぁ。そーだ! 浴びるほどの糖蜜をずーーっと長い時間飲み続けてもらおう」
「良い大人が人に迷惑かけ続けちゃ駄目だよー?」
 高揚した声音のユーリエとはうって変わって、落ち着き払ったシエラ。彼女らがこれからやること? 有言実行であろう。
 破壊され尽くしたドリルを前に勝ち名乗りを上げたリアナ、というちょっとシュールな絵面はさておき。
 掃除を始めた面々は、片付けても片付けても溢れ出す糖蜜と漂う匂いに辟易としつつ、無事に事態の収拾をつけたのであった。
 まあ、暫く彼らは甘いものを食べられないかも知れないが。

成否

成功

MVP

ポテト=アークライト(p3p000294)
優心の恩寵

状態異常

風巻・威降(p3p004719) [重傷]
悲劇を断つ冴え

あとがき

 お疲れ様でした。結構いろいろありましたが撃破完了です。
 掃除も……もしかしたら戦闘より手間がかかったかもしれませんが完了しています。
 迅速な対応だったので鉱山の被害も少ないでしょう。
 高岡の処遇? 取り敢えず引きずられてケツ蹴っ飛ばされて牢の中です。痩せるんじゃないかな。
 MVPは戦局全体をコントロールした貴女がふさわしいと思います。インパクトではなく堅実さの勝利です。今回は。

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