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シナリオ詳細

クソザコ美少女とファイナルファイティングファイヤー砲

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●ファイナルファイティングファイヤー砲じゃねえか、完成度高えなオイ
「みゃああああああああああああああああああああああ!?」
 今日も『クソザコ美少女』ビューティフル・ビューティー(p3n000015)がいつものように自宅アパートから大砲で発射されていく。
 なんでこうなったのかは過去依頼『クソザコアパートリフォーム』を見よう!
 ……さておき。こんな毎日を送っていると近所の人も慣れるもので。パン屋のおっさんも『もうこんな時間かー』と時報代わりにし始める始末。
「彼女はいつもあんな風にアパートから射出を?」
「お仲間のご厚意でリフォームしたんだとよ」
「いつもなぜか器用にバランスをとってうまく飛ぶんだわ」
「ほう……」
 そのパン屋でピクルスサンドイッチを買っていた騎士が、キラリと目を光らせた。
「我が湾岸騎士団の新兵器テスターに相応しいかもしれませんね」
 騎士はピクルスサンドをキリッと囓ると、金髪縦ロールの子が放物線を描いて飛んでいくさきを振り返った。

●こういうの作るのって大体練達って風潮あるよね
「私はホーク=J=トールキン。王国に仕える騎士です。好きな言葉はビクトリー。以後よろしく頼みます」
 これはお土産ですといってサンドイッチを突きだしてくる騎士ホーク。
 名の通り鷹のような鋭い目と美しい翼をもつスカイウェザーで、王国騎士の中でもエリートコースと噂の三本槍エンブレムが鎧の胸に光っていた。
 ゆーても王国騎士ってピンキリなので彼の地位は分からないが、少なくとも貴族あがりのエリート人間であることは間違いないだろう。
 そんな彼がやってきたのはギルド・ローレット。
「先程金髪盾ロールの娘が悲鳴を上げながらここの建物へ突き刺さったのを見ましてね。我が部門で導入が検討されている新兵器の実験d――テスターにぴったりだと思ったのです。ローレットといえば王も気に入る何でも屋だ。きっといいテストになるでしょう」

 ホークと名乗った騎士は兵器検討部門という開発でも運用でも無いなんかよくわかんない部門に所属しているらしく、王国に導入が検討される兵器やら道具やらを実際に検討してレポートにまとめて提出するというのが仕事らしい。
「軍に正式採用されれば高い実績と富が手に入る。検討を求め製品を送ってくる者は後を絶ちません。ですがそれを全て我々がテストしていては人員も時間も足りない。というわけで、そのうち一つの実戦テストを依頼しようというわけです。
 そのテストというのがこちら――!
 『ファイナルファイティングファイヤー砲』です!」
 タイトル見せてから実物出るまで長かったなあオイ。

 ファイナルファイティングファイヤー砲。
 それは人間がちょーどすっぽり入れる程度の筒に赤いどくろマークのボタンがついているという説明がなかったら拷問か処刑の道具に見えるような兵器である。
 使い方はカンタン☆
 人間を入れて、狙いをつけて、ボタンを押すだけ☆
 あとは人間がえらいスピードですっ飛んでいって相手にぶっささるのである。
 どういう仕組みか知らないが発射される際砲弾(人間)にかかるダメージが限りなく零に近いというつくりになっていて、どういうわけかフリーサイズ。身長30センチから3メートルまで対応しているらしい。
 よりスマートに人間を発射したいという執念のもとに作られたことがとってもわかる。
 そして案の定というべきか開発者は練達マンだった。バズーカ博士というらしい。近年の実績はライオンの腕にバズーカつけたりアパートに大砲つけたりしたことらしいよ?
「今回はこの小型船にファイナルファイティングファイヤー砲を装備し、海サイクロプスと戦って頂きます。
 皆さんも知っての通り、海サイクロプスとは下半身が魚で上半身がサイクロプスという巨人ですね。弱点はどうみても目です。
 できるだけ、積極的にファイナルファイティングファイヤー砲を使って、使用感を後で報告してください。よろしくお願いします!」

GMコメント

【おさらい!】
 人間いれて発射する狂気ウェポンの実戦テストが依頼されたぞ☆
 ンなもん即座に突っ返せよと思うけどこういうのでもちゃんと検討しないとダメなあたりが真面目な騎士さんっぽいね。
 さておき、こいつを船につんで海サイクロプスを倒しにいくぞ☆
 できるだけ積極的にこの狂気ウェポンを使って、モンスターと戦おう!

【戦闘について】
 海サイクロプスは幻想南部の海域になんかうようよしてるモンスターです。
 別に倒さないとすごく困るってこたぁないんですが、倒したからって誰かが怒ったりしない。つまりこういうとき実験台にしやすい都合のいいモンスターなのですね。
 とりま何体倒して頂いても構わないんですが、10体も倒せば充分なんじゃないかなあと思います。
 やりすぎるとパンドラも減るだろうし。
 実際相手も無力ってわけでもないし。

・海サイクロプス
 下半身が人魚であることと巨大な一つ目であること、そして巨大なことが特徴。
 どういうわけか水面に腰から上を出していて、近づく船には素手で殴りかかったり巨大な槍で襲いかかったりするらしい。
 孤独を愛してるのか友達作りづらい性格なのか、あんまり群れで動いてない。ので、いきなり囲まれる心配はない。

【ファイナルファイティングファイヤー砲】
 今回実戦テストをしてもらう兵器。
 騎士団から借り受けた実験船(小型船相当)に搭載されている。
 内容? 人間いれて発射するやつだよ!
 今回依頼メンバーに『クソザコ美少女』ビューティフル・ビューティー(p3n000015)がばっちり入っているので、困ったら彼女だけ詰めて発射しーの回収しーのまた詰め直しーの飛ばしーのを繰り返してもらっても構わない。
 ぼくもわたしも鉄砲玉になりたいよって方はぜひなって欲しい。そもそもそういう依頼だし?

 一応この船に9人全員乗れるが、オプションとして自前の小型船を持ち込んで貰っても構わない。
 ただしレンタル船含めて3隻までとし、操縦者は必ず自分でアイテムとして装備することとします。一応戦闘不能になっても操縦くらいはできるものとし、操縦者の交代や保護の必要もないものとしますね。
 今回趣旨じゃない気がするのでペナルティその他はつけません。
 『俺の船にもそのファイナルファイティングファイヤー砲つけてくれよォ』というハッピーな精神をお持ちの方は今回だけ特別につけて可とします。ただし終わったら撤去しますね。

【クソザコ美少女成長記録】
※クソザコ美少女は依頼での出来事をもとにこっそり成長します。これまでの成長で得たスペックは以下の通り
ステータス:低ファンブル、高防技、高HP
戦闘スキル:遠距離、味方支援型
非戦スキル:料理(悪)、騎乗
アイテム:応援団長のタスキ、クソザコ神クリアファイル、ダンボルガーZ変身セット、借金、身に覚えの無い婚姻届
職業適性(見習い):掃除、鍛冶、嬢、ウェイトレス
自宅がキャノン:住んでるアパートから時折発射されます。
『クソザコ神Z』:おだてられるとなんでもやる子になりました。
『囮・砲弾適正』:いろんなものが顔面に飛んできますし、自分もよく飛びます。
『ビューティードリル』:皆に投げられることで回転しながら飛んでいきます。相手はきっと死ぬ。

【アドリブ度】
 ロールプレイをよりお楽しみいただくため、リプレイにはキャラクターのアドリブ描写を用いることがございます。
 プレイングやステータスシートに『アドリブ歓迎』『アドリブなし』といった形でお書きくだされば、度合いに応じて対応いたします。ぜひぜひご利用くださいませ。

  • クソザコ美少女とファイナルファイティングファイヤー砲完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2019年04月30日 21時40分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

アルプス・ローダー(p3p000034)
特異運命座標
ヨハナ・ゲールマン・ハラタ(p3p000638)
自称未来人
善と悪を敷く 天鍵の 女王(p3p000665)
レジーナ・カームバンクル
フロウ・リバー(p3p000709)
夢に一途な
レンゲ・アベイユ(p3p002240)
みつばちガール
クラウジア=ジュエリア=ペトロヴァー(p3p006508)
宝石の魔女
矢都花 リリー(p3p006541)
ゴールデンラバール
アルク・テンペリオン(p3p007030)
蒐集氷精

リプレイ

●そーらーを自由に――飛びたいって?
 ピクルスサンドをばりっと食いちぎり、依頼人のエリート騎士ホークは目を光らせた。
 海鳥が飛ぶ海原の上。
 遠くに見えるは海サイクロプス。
 はしる船にはでかでかと『兵器検討部門』というペイントが施されていた。「それでは皆さん、よろしくお願いします」
 王国軍が長年使い古した船なのだろう。あちこち若干ガタがきているが、まあまあ使えないって程でも無い小型船だ。
 そこに何かの罰ゲームみたいな大砲――『ファイナルファイティングファイヤー砲』がセットされ、それをイレギュラーズたちはえもいえぬ表情で囲んでいる。
「…………いいんじゃない?」
 同じくピクルスサンドを頬張ってもーぐもーぐしていた『壺焼きにすると美味そう』矢都花 リリー(p3p006541)が、やたら無責任に言った。
「よく移動用に使うし……ねえ……」
 どこの時空の『よく』かは分からないが、少なくとも現実に大砲で飛ばされたいと言う人はあまり見たことは無い。
「どんな発想をしてたらこんなの作れるんだろうな……」
 『今はただの氷精』アルク・テンペリオン(p3p007030)が割と興味100%の顔で大砲のあちこちをながめていた。
「誰が作ったんだっけ。バズーカ博士?」
「ほぼ確実にビューティー宅のアパートキャノンを作った者ではないか、それ」
 『宝石の魔女』クラウジア=ジュエリア=ペトロヴァー(p3p006508)が『自分にも責任ありそう』という顔でクソザコ美少女を見ていたが、とうの『クソザコ美少女』ビューティフル・ビューティー(p3n000015)は『何か問題でも?』というぽへーっとした顔をしていた。
 どうやらアパートキャノンへの恐怖は毎度毎度忘れているらしい。便利な脳みそしてんなこいつ。
「なんというか……巡り合わせじゃの」
「ゆ゛る゛さ゛な゛い゛……!」
 『二輪』アルプス・ローダー(p3p000034)が斜め上に『!?』の文字を大きく出して目をかっぴらいていた。
「ライオンの腕にバズーカつけた博士ゆるさない……!」
「こっちもこっちで何かの巡り合わせが……」
「こう、なんといいますか」
 ファイナルファイティングファイヤー砲をぺたぺた触りながら、『夢に一途な』フロウ・リバー(p3p000709)は微妙きわまりない顔で首を傾げた。
「画期的なのか、珍妙なのか、判断に困る代物ですね。ちゃんと安全確認はされているのでしょうか?」
 そういいながら裏側を見ると『超安全!』と白ペンキで豪快に描かれていた。
 すげー安全じゃ無い気がした。
 テスト前に勉強してないって言う人くらいに嘘な気がした。
 船をのーんびり運転する執事服の使い魔が、白いクロスを小さなテーブルにかけてシャンパングラスを置いた。
 とくとくと瓶を傾け、満たされるグラス。
 『レジーナ・カームバンクル』善と悪を敷く 天鍵の 女王(p3p000665)はそれを優雅にとると、これまた優雅に口をつけた。
「まるでサーカスの見世物ね。わざわざ兵器転用を考えるなんて、酔狂なひともいたものねぇ」
「ですがそんな兵器をも使いこなすのが……我々ヨハナ研究開発検証チームなのです!」
 名乗った覚えも所属した覚えも無いチームに急に入れられたことになっていた。
 さておき、『自称未来人』ヨハナ・ゲールマン・ハラタ(p3p000638)ががらがら引いてきたホワイトボードに図を書き始めた。
「いいですかホーク騎士。研究員ヨハナが提案するのは全く新しい大砲運用術……すなわち『マッスル・インフェルノ作戦』です!」
「「マッスル・インフェルノ作戦!?」」
「説明しましょう――マッスル・インフェルノ作戦とはファイナルファイティングファイヤー砲に一度に一人しか射出できないと記述されなかったことに着目した二人同時発射プランなのです。
 ビューティフル・ビューティー(略してBB)氏が騎乗スキルを持っている。そんな彼女が誰かに跨がることで合体し、砲弾適正とビューティードリルによって威力を向上させることができるのです。
 作戦のピースは既にそろっていたのですよ。
 仮にFFF砲弾のダメージを1000とする。
 2人の力を合わせることで威力は2倍。
 質量が2倍であるため威力はさらに2倍。
 活性化したスキルの効果で2倍。
 零距離射撃ならばさらに2倍。
 弱点を狙えばダメージは当然2倍。
 これにより、海サイクロプスの戦闘力を上回る32000ダメージを叩きだせることとなるのです……!」
「なるほど……!」
「納得しちゃだめよ」
 ぽんと手を打ったホークの肩を、レジーナがぽんと叩いた。
「第一、大砲に二人も一度に入れるわけないじゃな――」
「できますけど」
 ホークが棺桶めいた蓋をぱかっと開くと、身長三メートルの人でも入れる筒が用意されていた。
「小柄な方なら二人くらいいけますね。途中で外れなければの話ですが……検証する価値はあるでしょう」
「ほう……」
 ノリで脳から直出しした作戦がそのまま採用されてソワッてなるヨハナ。
「ふふ……ふっふっふ……わーっはっはっはー! おもしろくなってきたわね!」
 『みつばちガール』レンゲ・アベイユ(p3p002240)が両手を腰に当て、わざわざ3メートルくらい高く飛んでから胸を張った。
「見下せる位置にいたかったのね」
「三段笑いまでして、練習したんでしょうね」
「うるさいわね!
 新兵器の実験なら私に任せておきなさい!
 パーフェクトな実験結果を見せてあげるわ! 勝負よビューティー!」
 びしっと指をつきつけられ、クソザコ美少女はハッとした。
 それまでぼーっとしていた頭の中に、なんかお嬢様的要素がもりもりっと詰め込まれたのである。
「オーッホッホッホ! いいですわ! わたくしのパーフェクトな射出をお見せして差し上げますわ!」
「ちょろい」
「一煽りで乗ったのう」
「なら私が先よ!」
「いいえ私が!」
「私よ!」
 じゃんけんで決めましょう! と『さーいしょーはハチ!』てしはじめたレンゲ。受けて立ちますわ! と荒ぶる鷹のポーズをとったクソザコ美少女。
 その二人を、ヨハナがきゅっとロープで結んだ。
 腰のとこをきゅってやった。
 そしてショルダータックルで大砲の棺桶スペースに放り込むと、蓋を閉じた。
「発射準備よーし!」
 そして、赤いどくろマークのボタンをグーでいった。

●こいついつもサイクロプスにささってんな
「ふはははは! 我が海へよくぞたどり着いた。我は海サイクロプス。母なる海に沈む死を与アアアアアアアアアアアアア!!!!」
「「ピャアアアアアアアアアアアアアアアア!?」」
 前後逆にセットされたレンゲとクソザコ美少女が海サイクロプスの目に突き刺さった。
「目があああああああああああああ!!」
 ぐわーと言いながら沈んでいく海サイクロプス。
 引きずり込まれるカンジで一緒に沈んでいくレンゲとクソザコ美少女。
「おー、効いてる効いてる」
「さすがマッスル・インフェルノ作戦! 次行きましょう次!」
「絶対嫌」
 縄を手にとって『縛られたいひとー!』って言い始めるヨハナ。
 ぱっとみ狂人だしよく聞いてみても狂人だった。
 人を縄で二人一組に合体させて大砲に詰めて発射しようとか、発想がムカ○人間の博士とかわらんやんか。
「仕方ありませんね……なら、ヨハナが砲弾になればいいんです!」
 狂った博士って大体自分を実験台にするよね。
「おまちどおさまでした」
 縄で結ばれてでろーんってなったレンゲとクソザコ美少女を小脇に抱え、フロウが船のはしごを登ってきた。
「お二人とも、泳げなかったのですね。これは責任重大です」
 フロウの仕事は球拾い。
 といっても砲弾に詰めて発射された人をサルベージしてもってくる係なので、かなり責任が重かった。
「フロウさん、疲れたでしょう。役割を変わりますよ。ガーベッジマン……回収屋は得意なんです」
 ぶるるんとエンジンを鳴らしてみせるアルプスローダー。
「そうですね。力仕事ですから、交代でやったほうが効率がいいでしょう」
 助かります。とフロウは顔をタオルでぬぐった。
「じゃあ次のマッスルインフェルノ作戦はヨハナとビューティーさんでいくんで! その間……レンゲさんもっかいどうぞ!」
「えっ」
 でろーんとしたまま顔を上げるレンゲ。
 返答を聞かずに大砲に詰められるレンゲ。
 間髪入れずにボタンを押されるレンゲ。
「ああああああああああああああああああああああああああ~」
「クククよく来アアアアアアアアアアアア!?」
 お尻の針を先端にして大砲で発射されるという斬新なヒップアタックが、海サイクロプス(二体目)を撃滅した。

「「うわあああああああああああああああああ!!」」
「この海サイクロプスに挑むとは命知らギャアアアアアアアアア!?」
 ヨハナとクソザコ美少女が海サイクロプス(三体目)の目に突き刺さった。
 俺が死んでも第二第三の海サイクロプスがとかいいながらヨハナ立ちを巻き込んで沈んでいく海サイクロプス。
「…………」
 その様子を、アルプスローダーはじっと見つめていた。
「どうしました?」
「海……さびそうで……」
「そんなこといわずに」
 フロウにぐいっと押し出されたアルプスローダーは海へ真っ逆さまに落ちていったが、車体にがしょーんとスクリューパーツを接続するとアバターの腕をつかってヨハナたちを回収。船のクレーンフックを利用してぎーこぎーこ甲板へと戻っていった。
「てことで、あたい次いくよぉ」
 リリーは大砲の中に入ると、そのまま頭のでかい貝殻のなかににゅるんって入ってしまった。
 もうこうなると人間砲弾っていうより貝殻砲弾である。
「じゃ、あとよろしくー」
 今日は動かなくていいなーくらいの気持ちでいるリリーをよそに、レジーナは蓋をぱったんと閉じた。
「せーの」
 どん、とレジーナが赤いどくろマークのボタンを叩くと、轟音と共にリリー(貝)が発射された。
「兄を倒したようだな。だが弟の俺は兄を超える海サイクロプぎゃあああ目がああああああ!?」
 海サイクリプス(四体目)が目を押さえて沈んでいった。
 目に突き刺さったまま一緒に沈んでいくリリー。
「は……? きれるし……」
 リリーは沈む海サイクロプスをバールでがんがんして離脱した。
「さてと、次は……もう一回言ったらどう? ビューティーさん」
「はわっ!?」
 海藻まみれで甲板にぺたーんって寝転んでいたクソザコ美少女が頭を起こした。
「わ、わたくしですの? いまさっき飛んだばかりなのに!?」
「大丈夫よ」
 レジーナはクソザコ美少女の方にべちゃって手を置くと、すぐさま使い魔の服で手を拭きながら頷いた。
「このファイナルファイティングファイヤー砲を誰よりも使いこなせるのは汝(あなた)よ。
 その実力を貴族に見せつけるだけ。汝(あなた)は相手の眼球を粉砕することだけ考えればいいのよ」
「な、なるほどぉ……」
 思考力がミジンコみたくなったクソザコ美少女は目を白いまんまるにしてこくこく頷いた。
「あそ~れびゅーてぃーのいいところちょっとみってみったい!」
「美少女の、ちょっといいとこ、見てみたい」
 クラウジアとアルクが手拍子を始めた。
「そーれはっしゃ、はっしゃ、はっしゃ、はっしゃ!」
「あそれ、びうてい、びうてい、びうてい、びうてい!」
「オーッホッホッホ! そこまで言うのでしたら? わたくしの華麗なる砲撃をごらんにいれてさしあげm――」
 放り込まれる大砲。
 叩き押されるボタン。
「ぴゃああああああああああああああ!?」
「我こそは海サイクロプス四天王最強の目がああああああああああ!」
 海サイクロプス(五体目)の目に頭から突き刺さり、クソザコ美少女は一緒になって沈んでいった。
 後ろではフロウとアルプスローダーがじゃんけんでどっちが行くか決めていた。
「さーいしょーはアテム! あっちむいてアテム!」
「ブルー、アイズ、ホワ○トドラゴン! 滅びの、バースト、ス○リーム!」
「なに、その個性的なあっちむいてほい」

 海の漂流物となりはてたクソザコ美少女が、なんかキラキラしたものを纏いながらクレーンフックで釣り上げられていた。
 その様子をただただ見つめるアルク。
「結構飛ばしたな。次は誰が行く?」
「ふむ。折角じゃし、儂も一発試すかのう!」
 クラウジアは箒を手に取ると、大砲に片足を突っ込んだ。
 この時点で『棺桶に片足を突っ込む』って表現がアルクの脳内をよぎった。
 が、さておき。
「儂にも考えがあるんじゃ。こうして箒にしがみついた状態で、大砲で飛ばされるとするじゃろ? 箒に魔力を流して媒体飛行を行なえば、安全に敵に接近しつつ安全に戦って離脱できると思うんじゃ」
「なるほど」
 媒体飛行の飛行精度で戦闘は無理だとおもうけど、と思いつつ深く考えずに蓋を閉じるアルク。
「じゃあ、いこうか」
 ばん、と手でボタンを叩くと。
「んぎゃああああああああああああああああああああああああああ!?」
「我こそは海サイクロプス最強の目がああああああああああ!?」
 箒にぎったまますっとんでいったクラウジアが箒と一緒にサイクロプスの目に突き刺さった。
 感心したように頷くレジーナ。
「媒体飛行で戦闘した人初めて見たわ」
「あれただ箒と一緒に発射されただけでは」
 そんな風に言うアルプスローダーを、ヨハナはよっこいしょと言って持ち上げた。
 大砲に入れて、蓋を閉じる。
「あれ?」
「じゃあ、一発いってみましょうか」
「ちょっと待――」
 ボタン。
 発射。
「俺は海サイクロプスの裏ボスこと目があああああ!」
「ああああああああああああああああ!!」
 海サイクロプスの目にバイクが突き刺さった。

●ある意味花火大会と一緒
「くぅ~、疲れました」
 爽やかに汗をぬぐうホーク。
 途中から何もしてなかったが、なぜかやりきった顔をしていた。
 フロウは軽くぜーぜーいいつつ、両脇に抱えたレンゲとクソザコ美少女を地面に下ろす。
 白目剥いたレンゲとクソザコ美少女が床にどべって落ちたのを見て、リリーが指でつんつんしはじめた。
「しんでる?」
「死んでは居ないかな」
 なんか観察が楽しくなってきたのか、彼女たちにキラキラしたもんをまぶしながら遊んでいるアルク。
 一方のアルプスローダーはなんかぷるぷるしていた。
「塩……塩が……」
「安心して。あとで洗えば大丈夫よ」
 といって海の家らしき場所を指さすレジーナ。
 クラウジアは箒を杖のようにつき、ふらふらしながら歩いていた。
「え、えらいめにあった……」
「楽しかったですね! またやりたいですね!!!!」
 ヨハナがビッと親指を立てるので。
 一同は一様に。
 『二度とごめんだ!』と思ったという。

 余談。
 ファイナルファイティングファイヤー砲は配備したら皆怒るという理由から配備は順調に却下されたという。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 ――クソザコ美少女の『砲弾適正』が無駄に強化されました

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