シナリオ詳細
緊急事態~盗賊を殲滅せよ
オープニング
おとぎ話はハッピーエンドで終わる。
なぜかって? 現実が――余りにも酷いからだ。
だが――そんなおとぎ話を面白く思わない人間もいる。
いや――『その存在』は――人間かどうかも怪しい。
――――『闘争と進化』アドルフ・H 序章抜粋
● 弱肉強食
幻想(レガド・イルシオン) Legado Ilusion の王都外れ。
商人を乗せた馬車が平原の街道を行く、暖かな陽を受けて。
だが――そんな日常は脆くも崩れ去ってしまう。
「獲物だ! 襲え!」
余りにも解りやすい――盗賊然とした集団。
その姿から人間種の傭兵崩れな盗賊の模様だ。
騎乗していた馬から降りて襲ってくる。
「護衛の皆さん! 応戦お願いします!」
依頼を受けていた人間種の護衛達が応戦にあたるが――。
「くっ……多勢に無勢よ!」
倍以上の盗賊の襲撃に苦戦をする護衛の少女。
「複数で当たって護衛を一人づつ殺せ!」
頭目の指示通りに屈強そうな男の護衛を集中して攻撃する盗賊たち。
みるみるうちに盗賊に殺される男の護衛達――少女は簡単に倒せると思い頭目の指示以降は攻撃を受けていなかった。
戦闘が幾分か続く――護衛の男達は全滅寸前だ。
「ミューシャ! 逃げろ! 伝えるんだ!」
一人の男が叫び、少女――レイネード・ミューシャを逃すべくミューシャの前に立ち塞がる。
「……判ったわ……。死なないでよ!」
ミューシャは駆ける――全身全霊をもってして。
●遭遇
「何事も無く依頼が終わりそう」
薬草収集の依頼を受けていたイレギュラーズの様子は依頼を終え、楽観的な雰囲気だった。
だが――。
「あれ?」
一人が必死で駆けてくるミーシャを見つけた。
「おーい、どうしたの?」
見つけた一人がミーシャに声を掛ける。
それに気づいたミーシャはイレギュラーズに向かってきた。
「助けてください!」
必死な表情のミーシャはイレギュラーズに助けを求めてきた。
- 緊急事態~盗賊を殲滅せよ完了
- GM名後醍醐
- 種別通常
- 難易度NORMAL
- 冒険終了日時2018年01月23日 22時00分
- 参加人数8/8人
- 相談7日
- 参加費100RC
参加者 : 8 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(8人)
リプレイ
●託されたイレギュラーズ
平原を馬車に向かって東へと移動してきたイレギュラーズ。
遠目には馬車を護るように護衛たちが傷つきながらも展開している。
どうやら――救援に間に合った様だ。
「……とりあ、えず……叩き、斬ろうか……」
『流浪』シャマール(p3p004049)は敵へと向かう速度に似合わないゆっくりとゆったりした口調で語る。
「ちゃんと……覚悟、ある……だろう、し……ね……」
そう言いながら周りのイレギュラーズと共に接敵する。
「間に合ったようだお。よかっただお」
ニル=エルサリス(p3p002400)は間に合った事に安堵しつつも――。
「あっちにいる護衛と盗賊の間に割り込むだお」
(……割って入れる位置で前衛になれる場所めがけて移動するんだぬ)
ニルは間に割り込むように向かっていく。
(……依頼目標以外は興味ない……それが消え行く人の命であっても……)
『揺蕩う魂』幽邏(p3p001188)は周囲を警戒しながら『目標』に飛行して向かっていく。
「……馬車付近の……敵を狙う……射線に注意……」
敵に向かう仲間へ警告する幽邏
「馬車の救出。ならば、盗賊を殲滅ではなく撤退させるべき……敵の数を減らすのが基本か」
『ニーマンズ』イース・ライブスシェード(p3p001388)は依頼を思い出しどう行動すべきか仲間に伝える。
目的と手段を違えぬようにと。
「盗賊とはいけないやつである! ちゃんとまっとうに働いてご飯食べるのであるよ!」
『ぽやぽや竜人』ボルカノ=マルゴット(p3p001688)は盗賊に向かいつつそう言う。
「吾輩みたいに! 吾輩みたいに!!!」
大事なことなのだろう――二度言うボルカノ。
見た目は厳ついが、その言葉は可愛らしい。
「馬車を襲った上に、罪のない人を何人も殺す……? 随分つまらない真似をするのですね」
『慈剣の騎士』カイル・フォン・フェイティス(p3p002251)は向かっている盗賊を一瞥してそうごちる。
(悪しき者が立ちはだかるのであれば、ただ斬るだけのこと)
そう言いながら心中で想う。
「俺の剣で罪のない人を守る事ができるのか……試させて貰います」
想いを言葉に出して決意する――。
「世の中が平等で全ての者が何事も無く無事でいてくれると良いのじゃが、そうもいかんのが世の中じゃな」
『天に輝く万物の星』Astrum(p3p002238)は幼い見た目に反して老成した言葉を紡ぐ。
(助けられる命は来世まで繋ぐ為に、何としても守るのじゃ)
盗賊を倒すためでなく――襲われている護衛を助ける為に――馬車の近くへと向かっていく。
「物資目当ての襲撃? 生存が第一目的じゃない奴は久し振りに見たな」
シルヴィア・テスタメント(p3p000058)は愉しそうに――口角を上げる重火器を持ったメイド。
(初仕事にしちゃあ歯応えが無かったが、こういう展開になるとは騒動に事欠かないねぇ)
非常に――愉しそうに――彼女の経歴故か。
「ま、助ける義理は無いわけだが、いいよ。正当な対価は後でアンタの雇い主が生きていたら請求させてもらうからな」
そう言いながら仲間の後方へと移動する。
「アタシは後方から援護するから、ケツに弾ぁ喰らわないように気ぃつけな」
誤射を開けるためにも中へ警告するシルヴィア。
それぞれのイレギュラーが向かうべきところへ向っていく。
確して――戦闘の幕が上がる。
●救援
護衛と馬車に近づく前――。
「我輩たちが援軍であることを知らせで欲しいのである!」
ボルカノはミーシャに護衛達へ援軍である説明を頼んだ。
護衛達に向って駆けて行く――どうやらミーシャの姿に気が付いたようだ。
「イレギュラーズの助けが来たよ!」
ミーシャは援軍のイレギュラーズであることを大声で知らせる。
その瞬間、悲壮的な空気が明るいものに変わる――。
イレギュラーズの援軍が来たことで護衛たちの士気は上がり、盗賊たちは動揺する。
戦況に好影響を与える事ができた。
「護衛の人はダメージがあるので防御集中、全力防御で馬車に盗賊が真っ直ぐ来ない様に壁になって欲しいのである」
ボルカノは護衛達に指示を出し、盗賊が動揺している隙きにそれに従って行動を開始する護衛達。
動揺している盗賊達に対して――。
「悪い子はどこだお……君かにゃ? 君にきっめたぁ!」
ニルが大声を出して馬車に近い敵を指す。
動揺した敵に対して効果的だ。
鉄甲で殴りかかりコンビネーション良く打撃を盗賊に浴びせる。
リズミカルに打撃音を響かせて仰け反る盗賊。
「剣を手に取る者は――殺される覚悟のある者だけだ」
戦闘前とは変わった様子のシャマール。
前衛として他の仲間と連携しながら行動している。
一人突出すればイレギュラーズと雖も多勢に無勢だ。
盗賊に対して大剣で格闘攻撃を行う――流れる様な円を描く太刀筋で。
「端から――」
イースは端に位置する盗賊に対して全速力で接近する。
それは、馬車前面で戦っている仲間の後方へ行かせない意味合いもある。
接近した盗賊に対して近接格闘用の術式で息を吐かせぬ格闘戦する。
盗賊は寸余の余裕もなくイースの攻撃を受けダメージを受け続ける。
攻撃しつつ、スキルで自身の反応速度を上げるイース。
敵に対して反撃させる猶予を許さない。
「後衛や馬車に接近させない」
カイルはイーストの逆サイドの端にいる盗賊へ向かって全力で移動し、一気に盗賊の間合いに近づき大剣で一刀両断する――。
盗賊は大剣に袈裟懸けに斬られ、反撃の余地もなく絶命した。
「ここは私に任せるのじゃ」
Astrumが馬車と前衛の間に到着し鎌を構える――ギフトにより士気が更に上る。
「回復は任せるのじゃ」
安らぐ花の香りのポーション――Astrumオリジナルの回復ポーションを仲間や味方へ使用して回復に努める。
そのお陰か――馬車正面に展開していた護衛達を癒やし、戦線復帰した事や味方の攻撃で敵が正面突破してAstrumへ向かってくる事は戦闘中、一度もなかった。
「……カイル……攻撃する……」
幽邏は初撃をカイルと戦闘している盗賊へ頭を狙い射撃する。
上空からの攻撃というアドバンテージを生かした攻撃は大いにカイルの助けとなった。
カイルと戦っている盗賊に多大なダメージを与えた。
「吾輩は後方から攻撃するのである!」
ボルカノは後方からライフルでイースサイドの端にいる盗賊を集中して攻撃。
イースの攻撃と連携しながら射撃して確実にダメージを与えている。
「両端は十分の様だな」
シルヴィアは突破してくる敵や未知の敵へと警戒する――それは正解だった。
「クソ! 中央突破だ!」
各個撃破を警戒した頭目が部下の盗賊へと中央の馬車へ向って圧力を掛けようとする。
「余程、収支に見合う物でもあるのかねぇ」
シルヴィアは――中央正面へ集まろうとする盗賊に対して精密射撃を敢行。
精密な射撃により盗賊をヘッドショットして倒す――重火器の弾によりザクロのように弾ける盗賊の首。
「汚ねぇ花火だ」
さすがのこの光景に盗賊達も士気が落ちる。
それによって正面に対する圧力が弱まった。
●盗賊の誤算
緒戦からイレギュラーズの優勢となった。
イレギュラーズ達による盗賊の漸減作戦によるモノだ――誤って二重目標を設定して振り回される事による失敗が起きなかったからだ。
「逃したのが不味かったか……」
頭目は何もできないと考えてミーシャを逃したことを後悔し始めていた。
「だが……未だ彼我の戦力はこちらが有利」
頭目は範囲攻撃の術式を警戒して密集隊形をとらなかったのがイレギュラーズにとって幸運だった――そして、頭目の誤算でもあった。
奮戦する――前衛組。
敵は馬車正面に散開しながらも数が多い状況だ。
「命乞い? 今更、そんな温い事、通じる訳、ないでしょ?」
大柄な体から振り落とされる大剣を見て、不利を悟って命乞いをする盗賊に突き放すように言うシャマール。
そして、一刀に切り伏せて倒す。
「えい!」
スープレックスで近くの盗賊を巻き込むように狙って投げ飛ばすニル。
うまい具合に別の盗賊を巻き込むことが出来た。
「追撃だお!」
ふらついている盗賊に軽やかなステップでコンビネーションの良い打撃を打ち込む。
「この子、弱ってるからトドメよっろしく~」
投げ飛ばしに巻き込まれ倒れている盗賊を指して仲間に知らせるニル。
直ぐに駆けつけた仲間によって倒された
「まだ行けそうだな」
イースは仲間の善戦もあり相手をする人数が少なかったため、格闘術式で盗賊へ攻撃を行っている。
対する盗賊はイースの攻撃と強化された反応速度に翻弄されつつ攻撃を受けている。
「そろそろか?」
敵を集中攻撃しつつ一刀両断して倒しているカイル。
そうして攻撃を続けることで盗賊の数も減りつつある。
幾人かの盗賊を葬り去っていく。
前衛が盾となり馬車への侵攻を阻止することで後衛の連携もあり、盗賊の数も減っていく。
縁の下の力持ち――中衛。
「それ、ポーションじゃ」
仲間のイレギュラーズへポーションを使って傷を癒やすAstrum。
油断なく前衛にいる仲間のダメージ具合を見ながら随時、ポーションを使って回復を優先している。
Astrumが回復に専念することで前衛は自身で回復する必要がなく、継続的にかつ途切れなく戦闘を続行することが可能となっていた。
Astrumが中衛で自身の役目を全うしたからこそ前衛は盗賊の中央突破の圧力に耐える事ができていた。
前衛と連携する――後衛。
「馬車に近づいてくる……」
幽邏は馬車正面から近づいて来る敵を射撃して攻撃。
前衛の攻防を見ながら合間に射撃して援護をする。
幽邏の攻撃がトドメとなり、前衛が倒すアシストとなる。
「後退するのであるか!」
ダメージを与えたことで倒せそうな敵がボルカノの射程レンジから離脱する。
ボルカノは――その場に踏みとどまることにした。
後退した敵は――前衛によって、無事に倒された。
「そろそろ、奴さんは撤退しそうだな」
シルヴィアは捕縛するために盗賊の膝下を狙う。
太ももを狙えば誤って殺してしまうからだ。
足首を精密射撃で撃たれた盗賊は痛みと足の損傷で倒れて蹲ってしまう。
●撤退する盗賊
イレギュラーズの防衛が上手くいき、敵の盗賊はその数を相当に減らしていった。
「っち。撤退だ」
頭目は頭のなかで金勘定をしてこれ以上の損害は採算分岐点を割れると判断した。
「てめぇら! ずらかるぞ!」
頭目の指示の前に幾人かの盗賊は撤退していたが、頭目の指示により組織だって撤退を始める。
「追撃は――辞めたほうがいいな」
(死にものぐるいとか相手するのも面倒なんだ)
殿を見たシルヴィアは仲間へと提案する。
「吾輩も賛成である!」
同じ後衛のボルカノも賛成に回る。
「……わかった……」
追撃も考えていた幽邏は仲間の提案に従う事にした。
「盗賊が撤退していくだお。深追いダメ、ゼッタイだお」
前衛のニルは敢えて追撃せず後退して撤退していく盗賊を警戒しながらも見送る。
「死兵になった敵は手強いからね」
シャマールは後退していく盗賊が反転して攻撃してこないか警戒しつつ持ち場を護る。
「非は敵側にあったとしても、無駄に殺したくはありません」
そう言って戦意を喪失した盗賊に対して去るように促すカイン。
これ幸いとばかりに去っていく盗賊たち。
「逃げる者を追うほど私は非情ではない」
(帰りを待つ者が居るかもと思えば少しは気の毒に思うがね)
イースも他の仲間と同じく警戒しつつも追撃せず撤退する盗賊を監視する。
「無事――依頼は達成できたのじゃろうか」
中衛にいるAstrumは撤退していく敵を見て想う。
こうして――イレギュラーズによって数を減らされた盗賊達はシルヴィアが足を撃った一人を残して撤退していった。
●戦闘後
「……大丈夫……ですか」
「あぁ、お陰様で死ぬようなことはなかった」
簡単な応急処置を施すシャマール。
「ウチも手伝うお!」
ニルも応急処置をしているシャマールを手伝う。
「自力では歩けささそうか」
イースは肩を貸し、馬車の開いているスペースへと傷ついた護衛を載せる。
(それにしても、ここ混沌の治安はこれが普通なのか?)
王都近くでの盗賊の襲撃――何か引っかかる思いをするイースだった。
「ポーションで回復させるぞ、必要な者はおらぬか?」
Astrumは傷ついたイレギュラーズや護衛達に対してポーションで回復して回っている。
「ふむ――お主……」
足をやられて撤退できなかった盗賊の前に姿を現すAstrum。
「情報を提供するなら回復してやってもよいぞ」
「頼む!」
死ぬよりマシだ――そう思った盗賊は必死な形相で懇願する。
こうして――Astrumの行動により尋問するよりも早く、盗賊のアジトの情報を得ることができた。
「っと……こんなものか」
シルヴィアは馬車に積んであった道具を使って応急処置的に破損したであろう箇所を修繕することにした。
王都まではこれで問題なく行くことができるだろう。
「……敵は……いない」
幽邏は馬車の周囲を飛びながら再び襲撃がないか周りを飛んで警戒している。
こうしてイレギュラーズと護衛たちと共に護衛しながら王都へと無事戻ってくることが出来た。
護衛に軽傷者は出たものの全員、無事であった。
馬車も盗賊に指一本触れさすことなく護衛することが出来た。
予想以上の結果を残したイレギュラーズ達であった。
緊急事態~盗賊を殲滅せよ Fin
成否
成功
MVP
状態異常
なし
あとがき
ご参加ありがとうございます。
見事に第一目標である馬車を護り、護衛も一人も死ぬこともなく依頼を達成することが出来ました。
力技の殲滅でなくスマートな敵の撤退という作戦目標によりイレギュラーズ達への負担も少なく、護衛の生存率が上がりました。
何をどうすべきか、どう解決するか?
本質を見抜いた作戦だったと思います。
クレバーでかつスマートだと思いました。
また、盗賊に対する情報収集も行うことが出来ました。
何かしらの――動きがあるかもしれません。
●称号理由について:
Astrumは支援に徹したため、『縁の下の力持ち』の称号を得た。
(+敵への情報収集)
シルヴィアはメイド服で重火器による活躍により『Jaeger Maid』の称号を得た。
(+敵の捕縛に貢献)
GMコメント
●戦域情報:
見晴らしの良い平原 各種ペナルtィーなし。
戦域マップ
□北
西+東
□南
ABCDEFGHQ
□□□□□□□□1
□□□□●□□□2
□□□●□□○○3 ★:馬車
□□□●□○□□4 ○:護衛
□□□●□○□★5 ●:盗賊 但し、不定数。
□□□●□○□□6
□□□●□□○□7
□□□□●□□○8
□□□□□□□□9
●勝利条件
馬車の救出。
・努力目標:
護衛の救護。
●味方NPC情報:
・護衛の人間種×8名(含むミーシャ)
但し、結構なダメージを受けている。
・馬車
商人と積荷。健在。
●敵NPC情報(PC情報:ミーシャから説明を受けている)
・盗賊×8~(不定)
強さはPCと同じかそれより少し弱め。
●敵NPC情報(PL情報:ミーシャから説明を受けて『いない』)
・盗賊×8~(不定)
傭兵崩れであること。
●GMより:
はじめまして! お久しぶりです!
後醍醐です。
純戦闘の『集団戦』です。
非常にオーソドックスな内容となっております。
貴方のPCは何を想い、何を考えるのか――どうか教えてください。
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