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シナリオ詳細

<ゲノム解析>サリハンモンスター

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●サリハンモンスター
「紹介するわね。こちら生物学者のメンシェヴィ博士」
「…………」
 『色彩の魔女』プルー・ビビットカラー(p3n000004)が振り返って示したのは、背の高い男性だった。
 酒場の扉を潜るにも軽く頭を下げるほどで、筋肉質な体格と後退した前髪、そしてどこか四角い顔の輪郭からかなり硬い印象をうけた。
 メンシェヴィは首から上だけを動かして、ゆっくりとその場の顔ぶれを見回している。
 依頼説明のために用意された個室席の空気が、外の賑やかさとうってかわって重くなった。
「メンシェヴィだ。ここに並んでいるのがローレットのメンバー、で間違いないのか」
「ええ、ごくごく一部だけれど」
 プルーは優雅な手つきで椅子をひくと、どうぞ座ってと目線で促した。
 メンシェヴィが椅子に座るだけで、空気の流れが止まるようだ。
 肘を机に置くどっしりとした動作から、彼がオールドワンであることが、分かる者にはわかるだろう。
「諸君への依頼書には『突然変異動物の討伐』と書いたが、その詳細を説明するために来た。
 簡潔に三つに分けて述べると……。
 対象は通称『サリハンモンスター』。
 突然変異によって巨大化かつ凶暴化したワニだ。
 その討伐には私も同行するが、戦闘はしない。死体の回収する用意がある」
 三つに分けると言いつつ四つ目を加えたメンシェヴィ。
 彼は羊皮紙に手書きした資料を机に広げていった。

 サリハンモンスター。
 その通称どおり、幻想北部の土地サリハンで目撃された怪物である。
 海岸地帯に現われ、一見してワニに似てはいるが、体長はおよそ6メートルあり恐竜めいた鋭い牙とおおきな顎がある。
 体表には鱗と体毛の両方が発生しており、様々な病気や精神状態に対する抵抗力を持っているという。
 はじめに発見したのは現地の漁師たちで、目撃証言によれば全速力で逃げる男にすぐさま追いつき、噛みつき、腕や胴体の骨を噛み砕いてしまったという。
「周囲は立ち入りが禁止されているが、私がいって一時的に封鎖を解かせる。
 君たちは鉄柵から中へ入り、このサリハンモンスターと戦い、倒してもらう。
 それが済んだ時点で私も中に入り研究材料として死体を持ち帰るつもりだ。持ち運びに関しては無用だ。専用の荷馬車を手配している。他に質問は?」
 早口に語るメンシェヴィ。
 イレギュラーズたちは顔を見合わせ、そして小さく頷いた。
 フォローするためにか、プルーが口を開いた。
「これだけ獰猛な突然変異生物が倒されれば現地の人たちも喜ぶはずよ。お金も稼げて人助けにもなるなんて、素敵な話よね?」

GMコメント

【オーダー】
 『サリハンモンスターの討伐』
 厳密には討伐のみが依頼されているため、それ以外の行動は特に求められていません。

【エネミーデータ】
●サリハンモンスター
 あくまで予測データなので確実ではありませんが、以下のようなスペックだと思われます。
・物理攻撃力:とても高い
・命中:やや高い
・特殊抵抗:とても高い
・反応:すこし高い
・機動力:とても高い
・攻撃には【流血】【崩れ】がつく。
・個体数は3体

【フィールドデータ】
 砂浜。乾いた砂地から足首がひたる程度の波打ち際にかけて。
 鉄柵や高い岩で覆われており、戦闘には困りませんが広さには限界のあるフィールドです。
 サリハンモンスターは海を泳ぐことが不可能ではありませんが、泳ぎながら戦闘できるわけではないので海へ逃げる可能性は捨てて戦ってください。

【アドリブ度】
 ロールプレイをよりお楽しみいただくため、リプレイにはキャラクターのアドリブ描写を用いることがございます。
 プレイングやステータスシートに『アドリブ歓迎』『アドリブなし』といった形でお書きくだされば、度合いに応じて対応いたします。ぜひぜひご利用くださいませ。

  • <ゲノム解析>サリハンモンスター完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2019年01月31日 21時35分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

Suvia=Westbury(p3p000114)
子連れ紅茶マイスター
如月 ユウ(p3p000205)
浄謐たるセルリアン・ブルー
アクセル・ソート・エクシル(p3p000649)
灰雪に舞う翼
宗高・みつき(p3p001078)
不屈の
フィーゼ・クロイツ(p3p004320)
穿天の魔槍姫
ルア=フォス=ニア(p3p004868)
Hi-ord Wavered
エリーナ(p3p005250)
フェアリィフレンド
空木・遥(p3p006507)
接待作戦の立案者

リプレイ

●メンシェヴィ博士とサリハンモンスター
 幻想北部にある海沿いの土地、サリハン。
 さすがに海が凍るほどとはいかないが、進んで海に入ると死にかねないような寒さが肌をつく。
 景色ががたがごとと揺れるのは、サリハンの海岸へ向かう馬車に乗っているからだ。
「突然変異したワニ、ですか……」
 『フェアリィフレンド』エリーナ(p3p005250)は資料を読みながら『ワニ』という文字を指でなぞった。
 依頼人であるメンシェヴィ博士が書いたという資料。文章は硬く、彼の几帳面さが伝わってくる。
 彼は戦闘後に死体を研究資料として回収するつもりでいるらしく、今はそのための馬車に乗り込んでいる。
「幸い今回は場所が分かっているのと、敵の情報がある程度分かっているのが救いかしら。兎に角これ以上被害が広がる前に何とかしないといけないのは確かね」
 向かいに座っていた『浄謐たるセルリアン・ブルー』如月 ユウ(p3p000205)が顔を上げる。
 道の端には雪が残り、空気はどこか澄んだ香りがした。

「危険生物の駆除に、突然変異した動物の研究のお手伝い、お金ももらえて一石三鳥! ……でもほとんどモンスターパニックだよね」
 くちばしをもごもごとやって複雑そうな顔をする『空歌う笛の音』アクセル・ソート・エクシル(p3p000649)。
「そですね。何だかちょっと恐ろしい気もしますが……愛しい茶葉のためならどんな困難でも耐えてみせますの」
 保温ポットから紅茶を注いでいた『年中ティータイム』Suvia=Westbury(p3p000114)が、視線を上げぬまま応えた。
 ふわりと葉の香りが馬車の中に広がっていく。
「退治した後どうするのかちょっと気になります。から揚げにすると美味しいかもしれませんね?」
「突然変異した動物を食べるのこわくない?」
「うふふ」
 一方で、『焼滅の魔人』フィーゼ・クロイツ(p3p004320)は座席で足を組んで車窓のかなたを眺めていた。
「突然変異とはいっても……アレも純種ってことになるのかな?」
 巨大なワニ。
 かつては片手で滅ぼせたかもしれない相手だが、今は一人で立ち向かうことも難しい。
「倒し、力の糧にしよう。こいつも」

 続く最後尾。もう一台の馬車。
 『不屈の』宗高・みつき(p3p001078)は資料を見つめむっと顔をしかめていた。
「大体なんでこんな生物が現われたんだ? また練達のマッドなやつらが関わってるんじゃねえだろうな」
 ぱしぱしと紙を指でつつくみつきにつられて、『Hi-ord Wavered』ルア=フォス=ニア(p3p004868)が資料を覗き込む。
「ただの進化という感じでもないのう……ちょいときな臭い感じもするな?」
「練達の陰謀、みたいなか?」
「うーむ……もっと身近なごたごた、みたいなやつじゃ」
「抽象的だな」
「ま、分からないものは考えてもしかたないさ。少なくとも、依頼されたことはこなすのがルールだしな」
 『接待作戦の立案者』空木・遥(p3p006507)は車窓に肘をかけ、流れる風に顔をさらした。
 さすような冷たい風が前髪を撫でていく。
「俺たちのできることを、やっていこう」

●ブロッカースタイルとトライアングルフォーム
 頑丈な鉄柵がやや間隔をあけ三重にわたって張り巡らされている。
 柵の向こうには三頭のワニ。6メートルの体長というだけあって遠近感が狂うほどの外観をしていた。軽自動車の規格全長が3メートル半なので、その倍ほどあると考えてみれば分かりやすい。
「また出てきていますね。いつもこのくらいの時間になると表われるんです。大きく迂回するとあちら側に行けますが……奴ら、流石にそのことには気づいていませんよね?」
 不安げに尋ねてくる海岸の管理代理人。
「すみません。私たちは専門家ではないので……」
 エリーナは苦々しい表情を作ってから、念のため離れているように言った。
 こちら側に入ってこないようにと作った鉄柵だが、なにせあの大きさだ。戦闘が始まればこれが壊されたり乗り越えられたりしないという保証はない。
「ねえ、連中。こっちを見てない?」
 ユウが飛行能力を使って柵の上からサハリンモンスターたちを観察していると、それを察したのかサハリンモンスターたちがやや距離をあけ、いつでも走り出せるような姿勢でこちらをじっとみていた。
 野生動物らしからぬ警戒のしかただ。まるで敵が範囲攻撃を浴びせるであろうことを警戒し、かつ戦闘になれば高い機動力で距離を詰めて集中的に攻撃してしまおうという構えではないか。
「オイラ、ちょっと思ったんだけど……」
 同じく空中からサリハンモンスターの並びを見ていたアクセルが不安げに呟いた。
「二体をブロックしている間に、残る一体を集中攻撃して倒そうって作戦だったよね、オイラたち」
「そう、ね」
「どうやって引き離す?」
「「…………」」
 話は下のみつきたちにも聞こえていた。
 みつきたちなんとなくワニがかなり離れた場所にばらばらに点在していて、戦闘を始めるとあちこちから集まってくるものだと考えていた。
 その際集まってくるワニらをブロックすることで各個撃破が可能となり、効率的に戦闘を進められる……と、考えていた。
「まずいな」
 みつきは難しい顔で唸った。
 今回の作戦にあわせてかなりの数のブロッカーとヒーラーを準備し、各員サハリンモンスター一体程度なら耐えしのげる編成になっていたが……三体から集中攻撃を受けるとなると戦闘不能リスクが急激に高まる。最終的にパンドラを盾にして殴るような戦術へと変わってしまうだろう。あまり好ましい状態とは言えない。
「まあまあ。今回はゆっくり考える時間がとれるのですから、少し作戦を練り直してみませんか?」
 Suviaが紅茶ポットを傾けて言った。

「で、問題は?」
 腕組みをして首を傾げるフィーゼ。
 ニアが棒で地面に印を書いてみせた。
「サリハンモンスターがこちらを集中攻撃しやすい陣形で待ち構えていることが最大の問題じゃ。
 相手の機動力も高く鉄柵も無限にのびているわけではないので、引き打ちでほんの僅かに動きがばらけた隙を突くのも難しい」
「俺が【怒り】を付与して引き離すのはどうだ?」
 遥がジェスチャーを交えて提案したが、エリーナが腕組みして首を振った。
「特殊抵抗がとても高いそうですから、『かけるまでの間』がかなり長くなってしまいます。集中攻撃を仕掛けて回避ペナルティを蓄積させて撃つという手もありますけど……」
「じゃあ、オイラたちが空からおびき寄せて分断させるのは?」
 翼を広げてみせるアクセル。
 顎に手を当て唸るユウ。
「どうかしら。知能の低い動物ならって思ったけど、こちらの接近に対応する知性や連帯を見せていたから、一緒にくっついていくことになる気がするわ。簡単に射程内に入ってくれないってきもするし」
「となると一方的に爆撃する作戦も無理、か……」
 砂に書いた図をじっとみつめるフィーゼとSuvia。
 サリハンモンスターが密集している状態だと、たとえブロックを行なっていても攻撃が届いてしまう。状況から鑑みて射撃能力があるとは流石に思えないが、敵味方が密集した状態ではブロッカーを一人ずつ撃破されてしまうリスクが高まるのだ。
「よし。こうなったら……運、だな!」
 遥とみつきがそれぞれ頷いた。

 まずブロッカーたちが一斉に鉄柵を乗り越え、一斉に襲いかかる。
 サリハンモンスターも恐らくは迎撃のために襲いかかってくる筈。
 そのうち1体が接近した後、2体目が動くまでの僅かな隙にこちらのブロッカー2名以上が動き出せる確率に賭ける。もしだめでも1名だけでもブロックに成功すれば集中攻撃リスクを一旦引き下げることができる。
「待って、最初の1体が後退した場合2体目をブロックしたメンバーが挟み撃ちにされるわ」
「だな。だから1ターン目は『頭の1体』を前後から挟み込んで動きを止めることでリスクを防ぐ」
「もし間に動ける人がブロッカーの中にいなかったら?」
「……最悪非ブロッカーが1ターンだけブロックに入ってねばるしかないのう。まあ瞬殺はされまい。たぶん」
「もし間に誰も動けなかったら諦めてパンドラで殴るしかないわね」
 と、言う具合に。
 イレギュラーズたちの作戦は最終的に運に任せられた。

●神は一度だけダイスを振る
「さあ、行くよ!」
 アクセルが翼を広げ、鉄柵を飛び越える。
 同じくみつき、遥、加えてニアが鉄柵を飛び越えていく。
 中でも最も早くかけだしたのはみつきだった。
「こういうときに限ってか。元々素早い方だったが……まあいい。来い!」
 みつきは宝石剣を構え、サリハンモンスターをにらみ付けた。
 距離的には丁度敵味方の中間。サリハンモンスターのうち一体がみつきへと食らいついた。
 軽自動車のバンパーが上下に開いて自分に食らいつくさまをもし想像できるなら、してみて欲しい。
「うおおおおおおお死ぬうううううううう!?」
 と、みつきは絶叫した。
「もうちょっと耐えててくれ……!」
 遥がその横を駆け抜ける。
 間に合った!
 みつきと遥の間でコンマ一秒のアイコンタクト。
 遥のダッシュから繰り出されるブロックキックが、走り出そうとするサリハンモンスターを押し止めた。
 が、そこまでだ。
 3体目のサリハンモンスターがみつきへと食らいつき、足を掴んで地面に叩き付ける。
 体勢を崩し出血させ、群がって食いちぎろうという考えだろう。
 だが遥は器用に体勢をねじって着地すると、拘束された足を知恵の輪の要領で引き抜いた。
「回避にふっておいて正解だったな……」
 攻撃を受けはしたが、その攻撃をいなしたおかげで特殊抵抗ボーナスがつき崩れなどを受けずに済んだのだ。
 敵の数が少ない今、回避ペナルティを気にする必要も無い。
「こっちは俺に任せろ。それと回復を頼む!」
「そいうことなら 任せなさい!」
 ユウは飛び上がり、空気を撫でるように回転した。
 大気中に含まれる低級の氷精霊たちがつられて踊り始め、ユウの命令にしたがって遥の傷口を冷凍治癒し始める。
 そんな遥にさらなる追撃。ブロックにあたっていたサリハンモンスターが噛みつき、今度こそ体勢を崩された。
 普通の回復で間に合う被害か?
 いや、普通でない回復なら、ギリギリ間に合う。
「お願い、アモル!」
 エリーナが精霊剣を天に翳した途端、妖精の扉が開いて愛の妖精が飛び出してきた。
 妖精の放つ愛の波動が遥の血流を操作し、痛みを引かせていく。
 が、それだけではまだ足りない。
 【崩し】や【流血】が有効になっている現状、回避能力はともかくとして遥のブロッカーとしての寿命が大きく縮んでしまう。
「一瞬だけじっとしておれ」
 ニアはガンウォンドに止血の魔術を込めると遥の傷口へ向けて射撃。
 もう一丁のガンウォンドに補強の魔術を込めて打ち込み、遥の骨折を無理矢理補修しにかかる。
 成功したのは止血のほうだけだったが、それでも充分な効果だ。
「みつきの回復はそっちに任せたぞ」
 まかされましたー、と応えてSuviaはブレンドした茶葉のポーションをボトルで投擲。砕けやすいボトルがみつきにぶつかって内容物をはじけさせ、みつきから痛みをひかせていく。
「1体目の回り込みは任せて!」
 アクセルは1体目の後ろに回り込むと、サリハンモンスターが後退できないように翼を広げて威嚇した。
「ん? これは……?」
 状況をぐるりと見回すフィーゼ。
「3体目がフリーになってる?」
「そうみたい! ごめん! 一瞬……というか10秒だけ押さえつけてて! あとでそっち行くから!」
「しょうがないな」
 フィーゼはぐっと砂地を踏み込むと、3体目のサリハンモンスターへ組み付いた。
 サリハンモンスターとしてはフィーゼと遥の違いをいまいち認識しきれていないので(仮に学習能力があったとしても気づくまで数ターンかかるはずなので)一度集中攻撃をしかけた遥からターゲットを変更することはそうそうない、とはいえ、いまは脆弱なフィーゼにとって至近距離でサリハンモンスターを押さえつけるのはなかなかのリスクとスリルがあった。
「こうなってみて気づいたことがあるんじゃが……!」
 振り返るニア。
「これ! ブロックと回復に6~7人要するな! 1~2人でちまちま地道に削ることになるな!」
「うん、主に私とニアでね?」
 さて、こうして、手落ち禁止のちくちく作戦が幕を開けたのであった。

 とっても長い時間がかかったので、内容を要約することにしよう。
 手落ち禁止のちまちま作戦。
 これは主に1体目のサリハンモンスターを倒すまでが重要だった。
 フィーゼと、たまに手の空いたニアによってひたすら攻撃を叩き込み続ける。1体目のサリハンモンスターが力尽きるまでの間、計3体をみつき、アクセル、遥の三人でブロック。それぞれ激しい攻撃を受けることになるのでブロッカーたち(特に集中攻撃を受け続けることになる遥)にはユウとエリーナがハイヒール相当の回復を頻繁に打ち続けることになった。加えて、SuviaのSPDを上乗せして回復を慎重に重ねていく。うっかりサリハンモンスターたちがクリティカルやEXAを成功させて酷い集中攻撃を重ねた場合、当たり所が悪ければ遥のHPが消し飛びかねない。最大値にしていてもまだ絶対じゃない、という状況なのだ。
 そんな状況でも心強かったのはエリーナの神秘攻撃力と、エリーナ及びユウの充填25能力だった。特にエリーナは直接殴りかかられない限りは永遠にハイヒールでの800オーバー回復を可能としており、これで大体サリハンモンスターの噛みつきが直撃した際のダメージを8~10割カバーできた。
 一方でユウもそれなりの充填能力がありしばらくの間はハイヒールを撃つマシーンになれたことで、Suviaと併せて600オーバーの回復量を確保できる。
 遥は遥で回避値を引き上げていたおかげで直撃を受けるケースが低く、一方のみつきも防御と抵抗がコイントスくらいの割合で成功するおかげで致命的な状況を回避できていた。
 途中、回復のファンブルや敵側のクリティカルなど諸々あって遥の戦闘不能こそ免れなかったが……。

「これでとどめっ!」
 ユウの呼び出した氷の精霊と、エリーナの呼び出した氷の妖精が力を合わせ、巨大な氷の槍を作ってサリハンモンスターを貫いた。
 更にSuviaとみつきがそれぞれいばらを召喚。サリハンモンスターに絡みつけ、動きを拘束していく。
 そこへ最大火力を叩き込むアクセルと、スタミナ切れを起こして直接殴りかかるニア。
 最後に、フィーゼがとっておいたスタミナをフルに使って魔力コーティングした拳を叩き込んだ。
 ぼずんという鈍い音をたて、頭に穴をあけて沈黙するサリハンモンスター。
「な、なんとか勝てたね……」
 かなりひやひやする戦いだったが、各自のスペックがモノを言ったことで大きな被害を出さずに済んだようだ。
「ところで、今更なんだが」
 戦闘不能になり安全地帯に下がっていた遥が、前髪をかき上げて腰を下ろした。
「こいつら、多分メスだな」

 その後。
 メンシェヴィ博士は淡々とサリハンモンスターの死体を馬車に積み込み、イレギュラーズたちに料金を支払い、その馬車で帰っていった。
 こっからさきは学者の仕事とばかりに、イレギュラーズたちは疲れた身体を休めるべく近くの冒険者酒場と向かうのだった。

成否

成功

MVP

エリーナ(p3p005250)
フェアリィフレンド

状態異常

なし

あとがき

 お疲れ様でした、イレギュラーズの皆様。
 思いの外長期戦になったことで大変ひやひやなさったとか。けれど皆様のビルドが噛み合ったことで、恐ろしい事態は避けることができたようですね。日頃の積み重ねが窮地を救うのは、素晴らしいことでございます。
 特にエリーナさんはとても大変な活躍をなされたと聞いております。こういう機会ですから、MVPを差し上げておきますね。

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