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シナリオ詳細

はらぺこ王女とホーンマグロ

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●はらぺこ王女は魚も好き
 年が明けて幾日か。
 日常を取り戻しつつあるローレットで、『はらぺこ王女さま』ルーニャ・エルテーシア(p3n000050)が難しい顔をして壁に飾られている地図を眺めていた。
「むー、むー」
「何をむーむーと唸っているのかしら?
 ルーニャちゃん、地図になにか書いてあるの?」
 『黒耀の夢』リリィ=クロハネ(p3n000023)が声を掛けると、地図から視線を外さずルーニャが答える。
「リリィ、ここ、この国はどういう所なの?」
 指さす先は、海洋王国ネオ・フロンティア。
 海に囲まれた海洋資源豊富な都市だと説明すると、ルーニャは「やっぱり」と確信を得た。
「あのね、私お腹が空いたのよ」
「いつも空いてるわね。それで何かが食べたいわけね」
「ええ、そうなの。
 それはもう私の胃袋はまさに魚を食べたくて食べたくて仕方ないのよ」
「ふふ、それなら海洋は打って付けね。
 海の幸なら海洋でいっぱい食べれるわよ」
 だがルーニャは未だ難しい顔で唸る。なにが気になるというのだろうか。
「……マーギョロ、マーギョロが食べたいわ。マーギョロはないのかしら」
「マーギョロ? 聞いた事無いわね」
「私がいた世界でパパに献上されたお魚なの。
 赤身で、肉厚で、部位によって脂の量が変わるのよ。
 それをあっさりしたソースにつけて食べると、それはそれは美味しいのよ」
 思い出したのか、ウットリした顔で言うルーニャ。リリィはルーニャの口にした情報を頭の中で巡らせて――
(……マーギョロの語感的にも、その肉の性質的にも、マグロよねコレ)
 思い当たるのは海洋のみならず混沌に広く流通する魚の王様とも言える種類だ。
 その中でもとびきり美味しいと噂に聞くのは、あのマグロしかない。
「きっとルーニャちゃんが求めている魚はマグロね。
 その中でもルーニャちゃんが満足できるものは……ホーンマグロしかないわね」
「ホーンマグロ! なんだかとっても美味しそうな響きだわ!」
「流通してるものでも結構なお値段だからね。
 天然物はそれはそれはお高い値段相応に美味しいと聞くわ」
 じゅるり、とルーニャがよだれをすすった。
「行くっきゃないわね! 山ほど釣り上げて今日はマーギョロ三昧よ!」
「あ、ちょっと、待ちなさい!」
 ぴゅーっと足をぐるぐる回して飛び出していくルーニャ。リリィの引き留める声が空しくローレットに響いた。
「ホーンマグロはただの魚じゃなくて結構強い魔物なのだけれど……大丈夫かしら。
 ……大丈夫じゃないわよねぇ……。
 海洋の漁業組合からホーンマグロ漁の人手を募る依頼があったはずだから、それを使ってルーニャちゃんのお守りを頼むしかないわねぇ」
 どうやってあのはらぺこ王女さまをコントロールするか。そんなことを考えながらリリィは依頼書を作成していくのだった。

GMコメント

 こんにちは。澤見夜行(さわみ・やこう)です。
 はらぺこ王女、マグロを食す。
 猪突猛進なアホの子を助けつつマグロパーティーとしましょう。

●この依頼について
 釣り上げたホーンマグロが襲ってきます。
 これを撃破し締めることで一匹確保したことになります。
 何匹撃破するかは自由に設定できます。三体から上限なしの事前申請制です。
 締めた数で戦闘後のマグロパーティーの豪華さが変わってきます。目指せマグロ全席。
 なお体力がなくなり目標数撃破出来なかった場合、すべてのマグロが失われます。欲張るのもほどほどにしましょう。
 大凡の目安として五体までは余裕、九体まではそこそこ、十体以上はかなり緻密なプレイングが必要になるでしょう。

●依頼達成条件
 ホーンマグロを目標数撃破する。

●依頼失敗条件
 ホーンマグロの撃破が二体以下。
 ホーンマグロを目標数撃破出来ていない。

●情報確度
 情報確度はAです。
 想定外の事態は起こりません。

●ホーンマグロについて
 海洋近海に棲息する海の王者。
 まるで一角のように鋭い角を持ち、海の中を死ぬまで泳ぎ続けるこのマグロは、煮て良し、焼いて良し、刺身で良しの絶品である。
 しかしその凶暴性と、海から釣り上げても空中を泳ぐように移動する性質から、締めるのは漁師生命を賭けた命懸けの戦いとなることもしばしば。
 今ではあまり挑む者がいなくなっており、数少ない天然者は価格も高騰中である。
 攻撃力、回避性能に優れ、特殊抵抗値が高い。海の中ではその性能は倍加するので、釣り上げたらその場で確実に仕留めたいところだ。

●同行NPC
 ルーニャ・エルテーシアが同行します。
 ようやく混沌肯定を理解しました。
 しかし食べ物を前にして視野が狭まっています。
 アホの子ですが、注意事項はきっと聞いてくれるでしょう。
 釣り上げたマグロに噛み付いて、そのまま海に落ちる可能性があります。

●戦闘地域
 海洋近海。ホーンマグロの生息地です。
 時刻は朝六時。
 大型の漁船の上での戦いとなります。揺れる足下にご注意を。

 そのほか、有用そうなスキルやアイテムには色々なボーナスがつきます。

 皆様の素晴らしいプレイングをお待ちしています。
 宜しくお願いいたします。

  • はらぺこ王女とホーンマグロ 完了
  • GM名澤見夜行
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2019年01月29日 21時45分
  • 参加人数 8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

十夜 縁(p3p000099)
黄昏き蒼の底
猫崎・桜(p3p000109)
魅せたがり・蛸賊の天敵
秋宮・史之(p3p002233)
女王忠節
メルナ(p3p002292)
青の十六夜
マリナ(p3p003552)
マリンエクスプローラー
エリーナ(p3p005250)
フェアリィフレンド
葛城 リゲル(p3p005729)
竜爪黒狼
リーリア・フィルデマージュ(p3p006942)

リプレイ

●はらぺこ王女は興味津々
 ホーンマグロは海洋近海に棲息する海の王者であり、気性の荒さが有名な魔物である。
 それ故に近年では挑む者も少なくなり、市場価格も年々増加の一途を辿り、その味を知るものも少なくなったという。
 今、そのホーンマグロに挑もうという九人が海洋の海を進んでいた!
「ふんふふーん、マーギョロ、マーギョロ、大人しく喰われなさーい♪」
 意味不明な歌を唄いながらご機嫌な『はらぺこ王女さま』ルーニャ・エルテーシア。元の世界で食べたというマーギョロの味を思い出し潮風受けながら涎を垂らしている。
「ホーンマグロを見たらすぐにでも飛びかかっていきそうだね。
 いくら好きだからって、マグロと心中はお薦めしないぜ、嬢ちゃん」
 気怠げに座り込む『水底の冷笑』十夜 縁(p3p000099)の言葉に「フフン」とない胸を張るルーニャ。
「わかっているわ! 死んだら美味しいもの食べれないものね! 大丈夫よ、殺される前に食べてあげるわ!」
 それが危ないと言うのに……。やれやれと苦笑する。
「落ちないようにね。冬の海は寒いよー凍えちゃうよ」
 『魅せたがり・蛸賊の天敵』猫崎・桜(p3p000109)が海を覗き込むルーニャに声を掛ける。注意しておかなければ、魚影を見つけた瞬間に飛び込みそうだ。
 今回依頼に集まった面々はルーニャと初対面のものが多い。
 『女王忠節』秋宮・史之(p3p002233)もその一人で、初対面のルーニャに挨拶をする。
「ルーニャさん、はじめまして。
 ホーンマグロは俺たちに任せてのんびり見物していてよ。沖から見る港町ってのも乙なもんだよ」
「ありがとう! でも私戦うのも好きだから大丈夫よ! どんなマーギョロなのか楽しみね!」
 その無謀さが厄介なのだが、本人にはわからないことだ。
 史之は「これは気を引き締めないと」と、大漁と書かれた鉢巻きを巻いた。
「ルーニャちゃん、相変わらずそうだね……。
 いい? ルーニャちゃん。
 前もいったかもしれないけど戦うときは一人で突出しない事、食べようとするのは終わった後にする事だけ。
 ほら、調理された方が美味しく食べれるだろうしっ」
 まるで心配性なお姉さんのように言う”妹”である『兄の影を纏う者』メルナ(p3p002292)。以前の依頼で一緒になったこともあり、ルーニャはこくこくと頷く。
「わかっているわメルナ。
 私は弱くなってしまったもの。無茶な戦いはしないわ。
 そう、大丈夫。たとえ美味しそうなものが目の前にあっても……大丈夫なはず……じゅるり」
「ルーニャちゃん、よだれよだれ」
 大丈夫かなあ、と心配になるメルナであった。
「よし、出来たっ。我ながら自信作よ」
 リーリア・フィルデマージュ(p3p006942)が持てる知識を持って作り上げた練り餌を自慢げに見せる。
「うっ、結構臭うのね。生臭いわ」
 顔を顰めるルーニャにリーリアが笑う。
「普段嗅ぐにはちょっとキツめだけど、これで海の中でも臭いは消えずにホーンマグロを魅了するはずっ」
「なるほどねー。お魚はこんなものを食べたくなるのね。
 お腹空いているとはいえ、私は遠慮したいけれど」
「ふふ、それじゃ戦い前の腹ごしらえと行きましょうか。『腹が減っては戦ができぬ』と言いますし!」
 滑り止めな可愛い長靴を履いた『フェアリィフレンド』エリーナ(p3p005250)がギフトを用いて妖精達と共にお菓子と紅茶を準備する。
 すぐにきゅ~とルーニャのお腹が鳴って、ルーニャは垂れる涎そのままにエリーナの元へと駆け寄る。
「エリーナすき」
 現金な王女さまである。
 そんな姿を見て、以前一緒に依頼をこなした『竜爪黒狼』葛城 リゲル(p3p005729)が呆れかえった。
「ほんっとに喰うのが好きだな、このお姫さんは。こりゃ前回の依頼もマジで腹減ってただけだったのかもなぁ」
 召喚直後のルーニャの心を心配していたリゲルだったが、そんなリゲルの心配も何処吹く風といつだってはらぺこマイウェイを地で行くルーニャ。でかいお世話を焼いたのは少々恥ずかしいが……過ぎた事だろう。
 『マリンエクスプローラー』マリナ(p3p003552)の操舵する船は少々高波な冬の海を往く。
 お茶会を終えた面々が、変わらぬ大海原の光景に少しの飽きを感じた頃、ゆっくりと船が停止した。
「さあ、付いたですよ。ここがうちのじっちゃんから聞いたホーンマグロの縄張りらしいです」
 そういってマリナは一同に大型の釣り竿を手渡していく。
「目標は九体。一人一匹釣り上げれば良い計算ですね。
 倒しきれねーとそのホーンマグロが船を壊しかねねーので確実に仕留めましょう」
「いいわ! 誰が一番に釣り上げるか競走よ!」
 早速釣り竿に練り餌を付けて海に投げ込むルーニャ。楽しげに小首を揺らしながら釣れるのを待つ。が――
「なんじゃー! 全く掛からないのじゃ-! マーギョロ鼻ひん曲がってるんじゃないの!!」
 十秒で飽きていた。
 マーギョロという美味しいものを前に待ちきれないルーニャだ。
「ルーニャさん、魚がかかるの待ちきれないですか……?
 釣りっていうのは退屈を楽しむのも一興で……」
「こうなったら海の中潜っているかどうか見てくるわ!!」
 腕まくりして飛び込みそうになるルーニャを全員が力尽くで止める。
「飛び込むのはすとーっぷです……貴方が餌になっちゃいますよ……?」
「うー待ちきれないのじゃー!」
「まぁほら同じ魚の私をかじって我慢してくだせー……なんて、冗談ですよ……?」
 目を輝かせて狙いを付けるルーニャに、マリナは身の危険を感じた。
 そんなやりとりをしつつ、一同は撒き餌を行いホーンマグロを呼び寄せながら、釣り竿に掛かるのを待つ。
 波の音だけが聞こえる静かな時。それは戦いという嵐の前の静けさのようでもあった。
 と、その時。
「……ん? おい、それ掛かってるんじゃないか?」
 リゲルが縁の釣り竿を見ながら声を掛ける。
「おっと、高見の見物を決め込んでいたら俺のにかかったか……面倒だなあ、これやっぱり釣り上げなきゃだめだよな?」
 魚が食べれないという縁はその性格も相まっていまいちやる気がないが、それでも今日の釣果を【潮騒(みせ)】に持ち帰る使命がある。仕方なしと竿を握って力をいれた。
 力強い引きながら、思っていた割には簡単に糸を手繰ることができる。何度か引きつつ力を籠めれば、瞬間海に巨大な魚影が近づいて、飛び出すようにホーンマグロ、その魚姿を空へと晒した。
「おぉー! これがマーギョロ!」
 目を輝かせたルーニャが愛用の剣を握って構える。
 ホーンマグロは海から出た衝撃で釣り糸を外し、怒りのままに”空を泳いだ”。どうやらこちらを敵と認識したようだった。
「魚は新鮮なものが一番、一気に締めさせてもらうよ!」
 イレギュラーズが戦場である船上で身構えてホーンマグロと対峙する。
 ホーンマグロとの九番勝負、開始である!

●はらぺこ王女とホーンマグロ
 頭の先に鋭い角をもつ異形の魚ホーンマグロ。
 我が物顔で空を悠々と泳ぎ狙いをつけると、尋常ならざる速度で突撃を繰り返す。
 緩急つけたホーンマグロの動きは厄介極まるもので、一匹を締め上げるのにもかなり手こずった。
 これはホーンマグロ漁に慣れていないからであって、イレギュラーズの力量のせいではない。それを示すように、二匹、三匹と締め上げる内に、その速度はどんどんと上がっていった。
「フフン、なによ最初は捕まえにくくて面倒な相手と思ったけど、慣れればらくしょーじゃない!」
「ルーニャちゃん、だからってあんまり油断しないようにね。こっちもそろそろ疲労が溜まってくる頃合いだよ」
 メルナの言うようにイレギュラーズの疲労は蓄積していた。今四匹目を締めたところで、約半分を終えたことになる。
 体力的にはもう半分ならば十分いけそうだが、疲労が溜まれば当然判断ミスも増えてくる。ここからが勝負と言えた。
 五匹目が釣り上がる。
 波飛沫をあげて空へと姿を踊らせるホーンマグロが、仲間達のあられもない姿(死体)を見て怒りの炎を燃え上がらせる。
「何体でもかかってこいよ。そのほうが燃えるしね」
 史之の役割はホーンマグロの行動抑制だ。前進移動のみを行うホーンマグロをブロックするというのはそれだけで大きく有利をとれる。
 その分攻撃が集中しダメージを多くもらってしまうものだが、史之は高い防御技術をもってそれを可能な限り減少させていた。
「はぁぁ――!!」
 裂帛の気合いと共にメルナがホーンマグロに肉薄する。大きく身体を旋回させて横薙ぎに放つ強烈な一撃がホーンマグロのこめかみを捉えた。あまりの威力にホーンマグロは昏倒しかけた。
 船の揺れに気をつけながら戦うメルナは、その気遣いが功を奏したか、大きな失敗をすることなく、的確にホーンマグロの意気を削いでいく。全力攻撃を叩きつけられたホーンマグロが痛みに口をぱくぱくした。
「ホーンマグロはヒレに神経が集中しているよっ! 後は角がを折られると大きく弱体化するみたい!」
 モンスター知識を披露するのはリーリアだ。その溢れんばかりの知識によってイレギュラーズ達は有利に戦いを進められていた。
 経験の少ないリーリアだ。格闘戦でホーンマグロにダメージを与えるもそれは致命傷には届かない。だが、その経験の少なさを補う非戦スキルの組み合わせは、”ホーンマグロ漁”にとっては効果的だ。
「どうした、お姫さん。もうへばっちまったか? それとも腹が減ったか?」
 ルーニャを煽り奮い立たせるリゲル。二人はどちらが多くホーンマグロを仕留められたかを競っている最中だ。
「ふん、余計なお世話よ。お腹は減ってるし今すぐ噛み付きたいけど、それをしちゃいけないってことぐらいわかるのよ。……じゅるり」
「おいおい、涎垂れてるぞ……っと!!」
 渾身の中段付きをホーンマグロの横腹に叩き込むリゲル。肉厚な感触を感じさせる手応えは、その味を想像させる。
 ホーンマグロとの戦いは良い流れで進んでいた。四匹目を締め、釣り竿は続く五匹目を釣り上げた。
 我慢出来なくなったルーニャが飛びついて海に落ちそうになるもこれを阻止。一つの懸念材料がなくなったことで何事もなく終わるかと思われた。
 しかし、ここで数々の漁師を葬ってきたホーンマグロがその牙(角)を剥く。
 史之のブロックに体当たりしたホーンマグロがその勢いを使って反転、後退(前進)から旋回し、一気に加速して突撃する。
「え、あっ――!」
 その対象は、一瞬の油断を持った桜だ。ホーンマグロの絶大な威力を誇る突撃を無防備に喰らい吹き飛び倒れた。
「いけません! すぐに回復を!」
 エリーナが愛の妖精『アモル』を召喚し、傷を癒やすが、致命傷に近い深い傷だ。治療だけではせいぜい止血止まりだろう。
「なんてこと! 許さないわよマーギョロ!」
 仲間がやられて怒り心頭になるルーニャが飛びかかり全身を回転させて放つ縦切りでホーンマグロを仕留めた。
「傷の具合はどーですか?」
 マリナの確認に、エリーナは心配げに目を細めて言葉にする。
「止血はなんとか……ただ戦闘の継続は難しいでしょう」
「どうする? 時間をおいて一匹ずつ釣り上げるかい?」
「そうは行かねぇみたいだぜ。
 ――仲間を釣り上げられてホーンマグロの連中気が立ってやがる。撒き餌で集めた残りも急いで釣り上げねーと船が壊されちまうよ」
 こうなってしまえばやむを得ないだろう。一同は一人欠けた状態で残りのホーンマグロの釣り上げを行う事にした。
「ゆっくり高見の見物……とはいかなそうだねぇ。やれやれ、重い腰をあげるとしますか」
 料理されたマグロに興味のない縁は楽勝という五体までは様子を見ることに決めていた。
 五体目が倒され、桜が倒れた今、手を貸さざるを得ないだろう。
 釣り竿が六体目が掛かったのを告げた。
 疲労が蓄積される中、ホーンマグロとの生存を賭けた戦いは進行していく――

●はらぺこ王女は死ぬ気でがんばる
「八匹目ぇ――! おわりよぉ――ッ!!」
 振り切った大剣を船に突き立てて、肩で息するルーニャの表情は疲労感に染まっている。
 ルーニャだけではない、倒れた桜を除く一同の表情はルーニャと同じソレだ。
 特にダメージを一手に引き受ける史之の疲労、そして消耗は大きい。さきほど倒した八体目では大きなダメージを負ってパンドラの輝きを見せてしまった。史之が復帰するまでの穴をメルナが代わりに支えていなかったら全員に大きな被害がでたかも知れない。
 だが大きな損耗あれど、いよいよ残りは最後の一匹だ。
「釣り竿は大きくひーてますよ。準備はよろしいですか?」
 マリナの確認に、全員が頷く。そうして、釣り竿を引けば大きな波飛沫をあげて最後の一匹が姿を現した。
「ありがとう、もう大丈夫だよ。
 最後までしっかり止めさせて貰うよ!」
 ポジションを変わっていたメルナにお礼を告げて、史之が再びホーンマグロの動きを止める。
 角による突撃をその身を盾に受け止める。ホーンマグロも防がれるのがわかっているのか、桜を倒したときに見せたように、反転旋回からの再突撃を敢行する。
「同じ手は二度は喰らわないよ!」
 ルーニャを狙った突撃を史之が飛び込みながら強烈なカウンターを見舞う。
「ありがと! 助かったぞ!」
「さてと、覚悟してくだせー」
 クイックアップによって敏捷を上昇させたマリナが一足飛びにホーンマグロへ肉薄する。放たれる深き闇がホーンマグロの青光りする身体を飲み込んだ。
「こいつはおまけですよ」
 間合いを計りながら放たれるマリナの遠術がダメ押しの一撃となる。大きくダメージを受けたホーンマグロが後退の様子を見せた。
「おっと、逃がす訳にはいかねぇのよ」
 気怠げな装いながら誰よりも真っ直ぐに、誰よりも華やかに。逃げ道へと突撃するホーンマグロを正面からねじ伏せる縁。歌舞いた一撃は見事と言うほかない。
「この物騒なモンは取っ払わせてもらうよ」
 叩きつけられる大盾がホーンマグロの角をへし折る。痛みにホーンマグロが大暴れするが、こうなってしまえばこっちのものだ。
「ルーナお願いします――!」
 エリーナに呼び出された月の妖精が幻想神秘な千の光を一条に束ね、突き刺すように放つ。光に串刺しにされたホーンマグロは虫の息だ。
「とどめ――!」
 メルナが疾駆する。刹那の呼吸で間合いにまで入り込めば、憎悪の爪牙を持って完膚なきまでに蹂躙する。
 中空から船上へと落ちたホーンマグロがピチピチと尾を甲板に叩きつける。
「残さず喰ってやるからな、往生しろよ」
 頭部へと叩きつけられたリゲルの拳。そうしてようやくホーンマグロは動くのをやめるのだった。
「ふぅ……終わったわね! ……って、あぁ!?」
「どうしたの、急にルーニャちゃん」
「最後の止めリゲルに取られた!! 負けたのじゃー!?」
 良い具合に拮抗してた勝負はリゲルの勝ちとなったようでした。

●はらぺこ王女とマグロパーティー
「ごはんのじかんだよ~!」
「はいっ、おまたせ! マグロ全席とは行かないけどマグロ三昧できるよー」
「おぉっ! 美味そうなのじゃー!」
 料理スキルを持つリーリアがその腕を振るった料理の数々を皿に乗せてやってきた。
 お刺身から始まり、握り寿司、マグロ丼、マグロステーキにマグロユッケ、エトセトラ。
 新鮮なホーンマグロの分厚い肉は見るだけで涎が垂れる。ルーニャはだらだらだ。
「いただきまーす!」
 早速皆で箸を伸ばして、新鮮なホーンマグロの肉を味わう。蕩ける大トロ、ジューシーなステーキ、赤身だって当然美味い。
「カマの塩焼きもどうだい? 今回は洋風にしてみたんだけど」
 ギフトでドリンクを出しながら聞く史之に、ルーニャは満足げな顔で親指を立てた。
「ふふ、本当に新鮮で、飽きずに食べられますね」
「まだまだ、とっておきもあるからねっ!
 はい、これホーンマグロのカブト焼きだよ!」
「うわー! 頭まるごと食べるのか!」
 驚くルーニャに身をほぐしてお皿に乗せるリーリア。ルーニャの皿には目玉のおまけつきだ。
「ぎょろぎょろしてるぞ……これを食べるのかっ」
「珍味だからね。美味しいよぉ」
 楽しげに行われるマグロパーティー。
 微笑むメルナは、不意にその表情を僅かに曇らせて物思いに耽る。
 それは今はもう会えない兄を思ってのこと。もしこの場に兄がいればきっともっと――
「苦労して獲ったかいはありましたね……絶品です」
「うんうん、元の世界で食べたマーギョロも美味かったけど、このホーンマーギョロも美味い! がんばったかいがあったのじゃー」
「とはいえ、もう一回食べたいかって言われる……ちょっとしんどいので、また来年くらいですかね」
 労力を思い返してマリナは「ふぅ」と息をはいた。
「おっさんは食べないのか?」
 ルーニャの不躾な問いに、縁は「いらんいらん」と手を横に振る。そして、
「料理はいらねぇから、その分の切り身を貰って帰らせてくれや。うちの店主が喜ぶからよ」
 と、目的だった戦利品の山分けを要求する。もちろん持って帰ってもらいましょう。
 イレギュラーズのマグロパーティーはその食材が尽きるまで、いつまでも続いたのでした。
 はらぺこ王女さまのお腹も八分目というところだ。満足!

成否

成功

MVP

秋宮・史之(p3p002233)
女王忠節

状態異常

猫崎・桜(p3p000109) [重傷]
魅せたがり・蛸賊の天敵

あとがき

澤見夜行です。

白紙にはお気を付けくださいね。
今回はそこそこの戦力で狙える最大値だったので、無難に成功となりました。
後一匹増えてたら……危なかったぜ。

MVPは最後まで皆を守った史之さんに贈らせてもらいます。おめでとうございます。

はらぺこ王女さまもしばらくは落ち着く事でしょう。でもまたお腹空くかも……そのときはまたお願いしますね。
依頼お疲れ様でした!

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