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シナリオ詳細

ストーンクルセイダーズ

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●遺跡より出ずるもの
 幻想北東部に位置するミシュカの街には、古くから存在するクチャパという遺跡がある。
 過去多くの神殿騎士達が駐屯したというクチャパは、発掘されるなか、様々な武器防具が出土した。
 それらの多くは王立博物館に保管されているが、近頃クチャパの深部に新たな出入り口が発見され、さらなる出土品が期待されていた。
 だが、人々は開けてはならないパンドラの箱を開けてしまったのだ。

 深部の入口が崩し開かれると同時、最深部に眠る魔石が禍々しい光を放ち砕けた。
 波紋のように広がる邪悪な波動が、遺跡内部の岩々へと波及し、砕かれ、密着し、形作る。
 それは騎士だ。
 岩で出来た騎士達が、破壊的な音を立てて遺跡内部から這い出でる。
 奪われた武具を取り戻せ! 雄叫びに似た咆哮を響かせる。
 岩盤神殿騎士<ストーンクルセイダーズ>の行進が始まった。


 今日も今日とて、イレギュラーズはローレットへと足を運ぶ。
 そんなイレギュラーズを見つけては、『黒耀の夢』リリィ=クロハネ(p3n000023)はいつものように依頼書を見せるのだ。
「ストーンクルセイダーズ。岩で出来た亡霊的神殿騎士達が、遺跡より現れて暴れているそうよ。
 遺跡より出土した武具を奪い返そうと、列をなして行軍しているみたい。
 中央の王立博物館へはまだまだ遠いけれど、対処の必要ありと、領主様から依頼が入ったわ」
 十体の神殿騎士達は、宝石のように固い岩で人のような形を成しているという。
 それを作り上げた魔石は力を使い果たして砕かれたというのに、動き続ける魔力(でんち)はまだ残っているようだ。
「現在はミシュカの街で破壊活動を終え、中央に向けた街道を行軍中ね。進む方向、スピードは一定だから、罠を仕掛けたり、奇襲を掛けるのは簡単でしょうね」
 人ならざるゴーレムが相手だ。出来うる限り、先手を打ちたいところだろう。
 少し興味をもって依頼書を眺めていれば、リリィは微笑みながら依頼書に情報を書き込んだ。
「結構強い相手になるけれど、しっかりと準備すれば対処できるはずよ。
 通常の討伐依頼だから優先度は低いけれど、よかったらお願いするわね」
 そう言ってイレギュラーズの肩を叩くと、リリィは忙しそうに立ち去るのだった。

GMコメント

 こんにちは。澤見夜行(さわみ・やこう)です。
 遺跡から這い出たゴーレム達。
 ストーンクルセイダーズを殲滅してください。

●依頼達成条件
 ストーンクルセイダーズの撃破

●情報確度
 情報確度はAです。
 想定外の事態は起きません。

●ストーンクルセイダーズについて
 岩で出来た神殿騎士。数は十体。
 ただの土塊ではなく宝石のように固い岩で出来ており、生半可な攻撃ではびくともしません。
 その身体が示すように物理攻撃力、防御技術が特段に優れており、特殊抵抗値も高い。
 反面、反応や回避は鈍く、命中精度も並程度です。
 ブロック・マークなどを使いながら、高い攻撃力で相手を叩きのめす戦闘スタイルです。

●クチャパについて
 大古の昔、神殿騎士達が多く駐屯していたという遺跡。
 発掘により多くの武具が出土し、全て王立博物館へと保管された。
 その深部には、ゴーレムを生み出し残留思念を取り込む魔石が存在しており、侵入者に対して、其の力を発揮するトラップが存在した。
 魔石は力を使い果たし壊れたようだが……。
 
●戦闘地域
 幻想北東部、ミシュカの街傍の街道になります。
 戦闘時刻を選ぶ事が可能です。
 障害物は少なく視界は良好でしょう。
 罠設置や陣地構築も自由にできる環境となります。

 そのほか、有用そうなスキルやアイテムには色々なボーナスがつきます。

 皆様の素晴らしいプレイングをお待ちしています。
 宜しくお願いいたします。

  • ストーンクルセイダーズ完了
  • GM名澤見夜行
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2019年01月26日 00時40分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

如月 ユウ(p3p000205)
浄謐たるセルリアン・ブルー
ポテト=アークライト(p3p000294)
優心の恩寵
リゲル=アークライト(p3p000442)
白獅子剛剣
リースリット・エウリア・F=フィッツバルディ(p3p001984)
紅炎の勇者
ルーミニス・アルトリウス(p3p002760)
烈破の紫閃
桜咲 珠緒(p3p004426)
比翼連理・攻
イーフォ・ローデヴェイク(p3p006165)
水葬の誘い手
矢都花 リリー(p3p006541)
ゴールデンラバール

リプレイ

●ここ掘れわんわん
 ――人間である以上些細なミスは得てしてあるものだ。
 どんな高潔な英雄だろうと、どんなに己に厳しい聖人であっても。
 それはミスをしないように油断なく集中していたとしてもだ。
 そう例えばチームメンバーが、用意しようと思っていたスキルを思いもがけず間違ったものにしてしまったとしても、この場合は笑って許し、ならばその構成で依頼達成を目指そうと鼓舞するのだ。
 なあに心配することはない。君達の作戦は実に見事なものだったのだから――

 ストーンクルセイダーズ。
 そう名付けられたクチャパの遺跡より出土した岩盤神殿騎士。所謂ゴーレム達は、奪われた武具を求めミシュカの街を散々に破壊してから出土した武具が展示されている王立博物館へ向けて行進を開始したという。
 報告を受け、依頼として成立したローレットでは、直ちにイレギュラーズが編成されストーンクルセイダーズ討伐と相成った。
「というわけで、危ない役目だけど偵察と誘導、頼むわよ!
 ……相変わらず不満そうね。どうせ痛い思いする前に消えるんだからいいでしょ!」
 『不屈の紫銀』ルーミニス・アルトリウス(p3p002760)の言葉に召喚された三匹の白銀の毛並みの犬が不服そうに顔を背けた。
「いいから行きなさい! ちゃんとこっちに連れてくるのよ!」
 どうにも心許ない気もするが、今は手が離せないというものだ。三匹がしっかり働いてくれる事を信じるしかない。
「はぁ……犬はいいよねぇ……いや命令されるのはイヤか。
 ゴーレム……うざ。おかげで朝早くから準備準備……ほんと眠いんだけど……」
 シャコッ、シャコッとスコップで街道を掘り進める『壺焼きにすると美味そう』矢都花 リリー(p3p006541)は実に気怠げだ。
 それもそのはずで、依頼を受けたイレギュラーズの八人は、ストーンクルセイダーズの緩慢な行進を狙い、進行上にトラップを設置することに決めた。
 単純な落とし穴のトラップだが、単純故に単調な動きのストーンクルセイダーズには効果的と判断したからだ。
 その為討伐を行う当日、早朝からトラップ作成の為に駆り出され一心不乱に穴を掘り続けているのだ。
「精霊達に確認してもここに到着するのはお昼過ぎね。時間があるとはいえ、結構腰にくるわね……はぁ、あんまり肉体労働って好きじゃないんだけど仕方ないわね」
 『浄謐たるセルリアン・ブルー』如月 ユウ(p3p000205)は一息ついて額の汗を拭う。掘れている穴は三箇所ほど。あと三つくらいは掘りたいところだが、休憩を挟まなくては先に身体がへばってしまうだろう。
「はは、さすがに結構な重労働だね。
 騎士の下積みをしていた頃の陣地構築訓練を思い出すよ」
 努めて明るく振る舞う『死力の聖剣』リゲル=アークライト(p3p000442)の技巧は確かな物で、フィアンセである『優心の恩寵』ポテト チップ(p3p000294)との連携によって、八人で行うにしては速いペースでトラップの作成は進んでいた。
「硬くて厄介な敵という話だし、出来る限りこちらに有利な戦場を用意しないとな。
 ああ、次はこのあたりに同じ大きさの穴を掘っていこうか」
 ポテトの言葉にリリーが「ボコる……決定、ボコるから……」とゴーレムに対して理不尽なキレ芸を見せつつ、新たな穴掘り作業へと移っていく。
「街道を穴だらけにしてしまうのは少々心苦しい所ですが、事後に直せばよいだけの事。
 幸いなのはここが人通りの少ない通りであったと言うところですか。気兼ねなく罠を用意できるというものです」
 『終焉語り』リースリット・エウリア・ファーレル(p3p001984)もまた他のメンバーと同じようにひたすらに穴を掘る。
 若干地味な光景にも見えるが、そういうのが大事なのだ。
「リゲルさん、失礼しますね。
 ――これで一時的に意思の疎通が可能になるというものです」
「その言い方だとまるで普段は意思の疎通が出来ていないようにも聞こえるよ」
「もちろんそんなことはございませんよ?」
 そんなとぼけたやりとりをしつつ、桜咲 珠緒(p3p004426)はリゲルに血の呪印を施して、意思の受信を行えるように準備する。これに会話やテレパスを合わせれば、双方向の意思の送受信ができるというものだ。なお珠緒の用意したすずきさんとこじまさんは一生懸命落とし穴を掘っているが、何分四頭身なものでまさにお手伝いと言った所だろう。
「いーふぉっち……なにしてるん?」
「なに、やつらが好きそうな出土した武具に偽装した品々を用意しているのサ。
 こうして後ろに置いておけば、気が引けるかもしれないってネ」
「面白そう……あたいも作る」
 『水葬の誘い手』イーフォ・ローデヴェイク(p3p006165)の作業に目を惹かれたリリーは早速穴掘りを放り出して偽装武具の準備を行う。
 とはいえ真面目な贋作は「無理……」の一言で終わり、なんだかゴーレム達をバカにしているんじゃないかというような――小学生の工作のような――ものが出来上がっていた。これに反応を示したら、それはそれで面白い物が見れる気がする。
 そうして八人で強力して、合計六つの穴を掘ることができた。
 穴はポテトの罠設置によって丁寧に偽装され、傍目には何の問題も無い街道に仕上がっていた。
「さあ、戦いの前の腹ごしらえだ。
 皆の分も作ってある、ご飯にしよう」
「わっ、美味しそうね! 有り難くいただくわ!」
 ポテトの用意したサンドイッチを頬張りつつ、作戦の確認と陣形などを詰めていく。
 ゆったりとした昼下がりの風を感じながら、装備の確認をしていると、ルーミニスが送り出した二匹の犬が帰ってくる。
「偵察はバッチリだったみたいね! あの子はどうしたの? ……ちゃんと誘導してくれたようね! いいわよくやったわよ!」
 ルーミニスが確認したとおり、ストーンクルセイダーズは順調にこの街道を進んできているようだった。
「よし、それじゃ罠の前に陣取って待ち受けるとしようか」
 リゲルの合図でイレギュラーズの面々は武器を構えゴーレム達がやってくるのを待つ。
 するとどうだろう。
 どこからともなく一糸乱れぬ足音を響かせて街道の奥より姿を見せるゴーレム達。
「来たわね……数は情報通りね」
「見事な行進だな。ゴーレムとは思えない程だ」
 軍靴は履いてはいないが、それを思わせる行進はどこか演劇めいていて「ふっ」と笑いが零れた。
 ストーンクルセイダーズは進む。ただただ自分達の持ち物を取り返す為に。
 そこに罠があるとも知らず。ただただ前進あるのみだ。

●ストーンクルセイダーズの行進
 街道を進むストーンクルセイダーズ。
 その先頭のゴーレムがイレギュラーズ達の姿を目視すると、武器を構え振り上げる。それを合図として一糸乱れぬ動きで行進していたゴーレム達が陣形を取る。
 戦闘行動へと移行したゴーレム達は、自らの硬く零れることのない身体を最大限に活かす突撃体制へと移行した。
 行進速度は増加し、ゆっくりとした足取りは気づけば駆け足にも思える速度へと変わる。
 一糸乱れぬゴーレム達の陣形は楔形陣形。先頭に続いてV字型に広がる形で突撃する。それはまるで歴戦の騎士団長が率いる必勝の陣形に思われた。
 だがそれは正々堂々を誇る騎士同士の戦いでしか真価を発揮しないものだ。イレギュラーズにリゲルのような騎士はいるものの、ここは勝者こそが正義の戦場に他ならない。
 先頭を走るゴーレムが、第一の穴を踏み抜いた。まるでお笑いの舞台を見るように見事に音を立てて穴に落ちる様は痛快に他ならない。
「掛かった――! すぐに抜けてくるはずだ、各個に撃破で数を減らしていこう!
 ――戦線維持よろしくな。頼りにしてるぞ」
「ああ、任せてくれ。リゲルこそ足止めと守り宜しくな」
 互いに声を掛け合って、ポジションへと移動する。
 視線の先では最初の穴にはまった三体が穴の中でもがき、迂回する一体が更なる穴に嵌まったところだった。
 慎重に動き出したストーンクルセイダーズは穴に一体、また一体と落ち数を減らしながら、やがて三体がトラップを抜けてイレギュラーズへと接近する。
 その低いやる気の雰囲気ながら、ずば抜けた高い反応をみせたリリーが何を思ったか”工作”で使った偽装武具の写真をゴーレムに見せ付けびりびりに引き裂いた。
「どう……? 宝物ないないしたけど……? ……何か?」
 これをゴーレム達がどのように受け取ったのかは定かではないが、どうやら順調に怒りは買ったようだ。二体のゴーレムがリリー目がけて接近する。
「……はい。とりあえず落ちとこ……」
 若き十代は些細な事でキレる。なにが発作の基点になるのかはわからない。だがキレる。そうして、ご飯を要求しながら床を叩きつける一撃は大地を揺るがし、近づくゴーレム達をまだ使われてない穴へと吹き飛ばした。当然二体は穴へと落ちる。
 残った一体へ向けてリゲルが走る。
「奪われたものを取り返したいだけなのだろうけど――この先へは進ませない!」
 ゴーレムへと肉薄し、出土品のように偽装した愛剣を振るう。
 乱舞する剣閃は研ぎ澄まされた氷刃。空気すら凍てつかせる剣風が硬いゴーレムの身体を氷結させ砕く。煌めきを操るが如くリゲルの卓越した剣技がゴーレムを圧倒する。
 だがゴーレムもやられているばかりではない。その高い防御力を活かすように強引に間合いを詰めれば、岩盤剣を叩きつけるように見舞う。
「やらせないわよ!!」
 すかさず間合いを詰めるのはルーミニスだ。暴君の如き大戦斧を憎悪の爪牙へと変えて防御力などというものを力尽くで叩き伏せるように蹂躙する。
 ルーミニスの一撃はゴーレムの高い防御力の前に威力が減衰しているとしても、なお絶大な威力であり、一撃を受けたゴーレムはその硬い身体をボロボロと崩れ崩壊させる。不発が多いデメリットもあるが、ダメージディーラーとしての役目はしっかりと果たせている。
「思った以上に硬いな。これは長期戦も見通せるか。
 ――祝福よ、彼の者に充足たる活力を与えたまへ」
 ポテトは中後衛として戦線を支える支援(バッファー)だ。全員に満遍なく活力を与えるというやや地味な役割ではあるが、これの有る無しでは大きく戦闘効率が変わってくる。
 こと今回のように防御力に特化した相手であれば、仕掛ける技も大技に偏重しがちである。そうなれば消耗した活力を補うポテトの支援が如何に重要なものかは火を見るより明らかである。
 バックラインによって支えられた攻撃陣が攻勢にでた。
「さあこっちにお前達の欲しがった武具があるヨ」
 見せ付けるように偽装した武具を背後に置くイーフォ。ゴーレム達は武具とみれば自分達のものだと言わんばかりに近づこうとする。
「とはいえ近づくのはご遠慮願いたいネ」
 生み出された虚無のオーラがゴーレムに纏わり付く。その精神性に影響を及ぼすのだろうか、ゴーレムも苦しそうにもがいた。
 中距離に位置するイーフォは牽制と削りを担当する。威力が低めなスキル構成ではあるが、同時に回復も担当できることはチームの安定化に繋がっているだろう。
 またイーフォの用意した偽装武具は思いの外注目を浴びるようだ。ゴーレム達の優先目標は偽装武具に集中しているように思えた。
 穴に落ちたゴーレム達はもがきながら、しかし仲間同士協力して穴から這い上がってくる。落とし穴は一度露見してしまえば、自ら落ちることはない。
 最初に嵌まったゴーレム達が這い出るまでに三体のゴーレムを土塊に戻す事に成功していた。だが残りはまだ七体も存在している。
 こうなってからが、地力の勝負となるだろう。
「負傷した方は無理せずに。すぐに癒やして差し上げます」
 メインヒーラーとしてチームの回復を担当する珠緒は多くの情報を処理するマルチタスクだ。
 負傷者の治療、リゲルとの意思疎通に加え、多角的にゴーレム達をスキャンする。それは後衛にいるからこそできる情報処理であり、それによって綻びを見つける事が可能となるのだ。
「元は遺跡の罠。罠には解除法――あるいは対処法があるものです」
 見つけ出した綻びは岩盤のつなぎ目たる細い点。リゲルへとテレパスによる情報の送信を行えば、瞬間的に反応するリゲルがその綻びを貫く。大きく零れ崩壊したゴーレムが蹌踉めいた。
 多くの情報を処理する珠緒はまるで数字遊びをするように物事を捉え、チームの勝利という方程式を導き出す。誠に頼もしい限りの後衛(ヒーラー)だ。
「乱戦へとなるまえに地の利を活かして各個撃破と参りましょう――!」
 リースリットが魔晶剣を振るえば、炎が迸る。火炎に包まれるゴーレムはしかし抵抗をしめしてそれを無視する。
 だがその火炎は牽制の一打にすぎず、リースリットの本命は次なる手にあった。
「見切れますか――!」
 魔術と武器による格闘のコンビネーションはいかな歴戦の神殿騎士であろうと初見で見切れるものではない。
 生み出された魔力の衝撃と、振るわれる鋭き剣技の双撃に腕を砕かれたゴーレムがたまらず後ずさった。
「――そちらには行かせませんよ」
 リースリットは後衛へと向かうゴーレム達の注意も引きつける。挑発に乗る事のないゴーレムではあるが、リースリットの持つ武器に興味を惹かれたのだろう。或いは魔力宿る武器を自らの武具と勘違いしたか。どちらにせよ上手く注意を引きつける事に成功したといえるだろう。
「意思があるか知らないけど恨むなら恨みなさい。
 それでも私は今生きて居る人たちを守らせて貰うわ」
 ゴーレム達の想いも理解できるユウは、そう言葉を零しながら自らの魔力を解放する。
「硬さが自慢のようだけど、残念ね。
 私のは痛いわよ。それはもう骨の髄まで凍てついて痛むほどにね――!」
 不完全ながらも開放される氷精霊としての権限。瞬間対象を中心に冷たい空気が張り詰めた。生み出されるは神話に名高い地獄の最下層第九圏。亡霊を閉じ込める為の氷地獄がゴーレムの内部に再現され凍てつきが内部から食い破る。
 反動を伴う攻撃ながら特筆すべき防御無視の一撃は、必殺の文字を伴って騎士を形作るゴーレムを動かぬ氷塊へと変えていった。
 イーフォと同じく中距離に位置取るユウはこの特性を活かした止め役だ。反動もあってそう連発するものではないはずだが、自前の回復スキルと相まって高回転でスキルを放っていく。
 通常の攻撃であれば更にもう一合切り結ぶであろう瀕死の敵を確実に落とせるというのは重要だ。的確に、確実に敵を減らしチームに貢献した。
 磐石の形を見せるイレギュラーズ。それに対し残された人数で連携を見せるように動くストーンクルセイダーズ。
 負けられぬ。奪われた武具を取り返すまでは。
 怨嗟を込めた咆哮が街道に響き渡った。

●遺跡の守人は崩れ沈黙する
「くっ――!?」
 ゴーレムの連携攻撃がリゲルの身体を打ち据えその体力を奪い去っていく。同時敵の注意を引きつけていたリースリットもまた防御を崩され地面に倒れ込む。
 傷付く身体に膝が折れる。だがここで引くわけにはいかなかった。
「……貴方達を通せば、人々の命が奪われるかもしれない……。
 ――だから俺は、自分の信じる騎士の矜持にかけて、貴方達を止める!
 ここから先はッ……通行止めだ!」
 パンドラの輝きは今一度戦う力を二人に与えていく。
「もうずっとボコる……泣いても許さないよぉ……」
 リリーのかちわりがゴーレムの脳天を打ち砕く。人であれば大惨事だが岩盤騎士なのでセーフだ。
 ポテトの充填が再度活力を与え、珠緒がダメ押しに体力を戻していく。
「さ、手じまいだヨ」
「眠りなさい、永遠にね――!」
 イーフォとユウの魔力がゴーレムを襲い一体、また一体と砕いて行った。
 立ち上がったリゲルが一合、二合と切り結ぶ。鈍重な斬撃を躱し珠緒より知らされた綻びを突いた。崩れかけるゴーレムが最後の力を振り絞りその岩塊を振るうもリゲルが紙一重で躱し銀閃を煌めかせた。齎らされる終焉は岩の嘆きと共に崩れていった。
「これで――」
「終わりだよ!!」
 残る一体へとリースリットとルーミニスが肉薄する。
 高い攻撃力を誇る二人の一撃が、守り固めるゴーレムのガードを打ち砕き、吹き飛ばす。
 ボロボロと崩れながら尚も立ち上がり進もうとする岩盤神殿騎士は、片足が崩れ落ちると同時、遂に動きを止め唯の土塊へと姿を変えた。
 街道に静けさが帰ってくる。
「はぁーなんとかなったわね!」
 ルーミニスが大きく息を吐き出すのを合図に、イレギュラーズは漸く武器を納め笑顔を見せた。
 崩れた土塊へと手を伸ばすポテト。
「遺跡も出土品も、もう守る必要はない。お休み」
 共に揃って弔いをするのはリゲルだ。
「ねぇ……ところでこの罠の後片付けって……まさかそこまでしろとは言わないわよね……?」
「さすがにやっていかないと色々問題になりそうですが」
 ユウの唖然する顔にリースリットは苦笑する。
「手早く終わらせて遺跡見に行ってみない? 奥の方にまだなにか在りそうな気がするわ!」
「イイネ。遺跡ってワクワクするヨ!」
 ルーミニスの提案にイーフォも頷く。
 何はともあれまずは後片付けからだ。イレギュラーズは疲れた身体に鞭打って、武器の代わりにスコップを取り出すのだった。

成否

成功

MVP

ルーミニス・アルトリウス(p3p002760)
烈破の紫閃

状態異常

なし

あとがき

 澤見夜行です。

 スキルの活性化ミスにはご注意くださいね。とはいえやってしまったものは仕方ないのです。笑って次に活かしましょう!
 それはさておいて落とし穴の制作お疲れ様でした。戦闘よりそっちのほうが大変な気がしました。ご苦労様です。
 落とし穴はよかったですね。飛スキルによるホールインワンも楽しそうでした。
 攻撃的な罠があればなお良かった気もしますが、成功となったので蛇足というものでしょう。

 MVPは一番ダメージを出したルーミニスさんへ贈ります。素晴らしいダメージでした。あとファンブルは中々起きませんでした。ダイス運が良いです。

依頼お疲れ様でした! 素敵なプレイングをありがとうございました!

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