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シナリオ詳細

タコタコあがれ、蛸人間コンテスト

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●タコは空を飛びますか?
 飛びます。
 勿論、凧じゃありません。当然『蛸』です。

●渡りタコ
 ネオ・フロンティア海洋王国の南海に位置するタコパゴス島は、多種多様な蛸が生息することで知られる島だ。
 住人の大半もタコの海種が占めるという蛸の聖地、蛸パラダイス。
 その中でも独特の進化の果てに、何を間違えたのか空を飛ぶことを覚えた蛸。それがタコパゴス島においても非常に珍しい『渡りタコ』である。8本の脚を伸ばし手裏剣の様に回転しながら空を飛ぶ姿から、別名『タココプター』とも呼ばれている。

 ――オゥ、ニンジャファンタスティック!
 ――優雅に空を駆ける蛸のなんと美しいことか……。
 ――シット! 何で俺は蛸に生まれてこなかったんだ!?

 新年を迎える三が日、この時期限定で空に飛びだしV字編隊で海を渡るタコの群れを見た者は、誰しもが蛸に心を奪われるという。
「「僕も、私も、蛸みたいに海を飛びたい!」」
 やがて、8本の脚を模した翼を装備し、カタパルトを使用して海を飛ぼうとする者たちが続出した。
『海も飛べるはず!』
 蛸人間コンテストの起源である。

 今では蛸人間コンテストはタコ焼き屋台が立ち並び、全国各地からタコマニアが集まるタコパゴス島の迎春イベントとしてすっかり定着している。

●参加賞、渡りタコのタコ焼き
「これは……参加するしかないのだ!」
 ローレットの壁のボードに貼られている蛸人間コンテストの応募要項を見た『超食通』Que(p3n000026)が声をあげる。
「渡りタコ……正月三が日のみにしか出現しないという、激レア蛸なのだ! これを逃すと来年まで食べるチャンスはないのだ!」
 レア食材への迸る熱い想いは止まることをしらない。
「さらに、参加賞以外にも商品には豪華タコ料理が……!?」
 108の食欲を持つQueは、取るものも取り敢えずとローレットを後にするのだった。

GMコメント

 あけましておめでとうございます! 茜空秋人です。
 タコになって大空高く飛びましょう。
 以下情報。

●依頼成功条件
 タコになって飛べ! You can fly!

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

●ロケーション
 海岸に設置された発射台から大型の弩弓をカタパルトとして使用し、空めがけて飛びます。
 発射台の高さは10mくらいで、某番組のアレを……。
 カタパルトは使用しなくても構いません。プレイングにご記入ください。
 渡りタコが飛んでたりもします。
 参加者が渡りタコとぶつかる事故も、結構な頻度で起こります。
 当然、一月の海は物凄く冷たいです。
 落下して、そのまま寒中水泳を愉しむのも一興。

●蛸人間コンテスト
 タコの仮装は必須。
 とはいえ、仮に手抜きでも仮装と言いきった者勝ちです。最低限、足が8本に見えれば大丈夫です。
 勿論、外見がそのままタコな人は仮装しなくても問題ありません。
 コンテストといっても新年を祝うイベントと化しており、内容は仮装度や着水(落下)の際の芸術度、面白度等を審査します。
 到達高度や滞空時間はあまり考慮されません。
 飛行系のスキルは使用しても構いませんが、ちゃんと落下しないと不利になるでしょう。
 優勝したら、海洋での名声が普段よりちょっと多めに上がるかもしれません。
 コンテスト終了後は、タコ焼きパーティーと洒落込みましょう。

●NPC情報
 『超食通』Queが同行します。

●その他
 コンテストそっちのけで、縁日めぐったりタコ料理を愉しむのもありっちゃありです。

●アドリブ
 アドリブ描写が用いられる場合があります。
 プレイングやステータスシートにアドリブ度合、『アドリブNG』等記入くだされば対応いたします。

 ご縁ありましたら、どうぞよろしくお願いします。

  • タコタコあがれ、蛸人間コンテスト完了
  • GM名茜空秋人
  • 種別通常
  • 難易度EASY
  • 冒険終了日時2019年01月22日 22時20分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

デイジー・リトルリトル・クラーク(p3p000370)
共にあれ
江野 樹里(p3p000692)
ジュリエット
リカ・サキュバス(p3p001254)
瘴気の王
海音寺 潮(p3p001498)
揺蕩う老魚
リリィ=B=ストライプ(p3p002591)
リトルナイト
桜咲 珠緒(p3p004426)
比翼連理・攻
ロク(p3p005176)
クソ犬
プラック・クラケーン(p3p006804)
昔日の青年

サポートNPC一覧(1人)

Que(p3n000026)
超食通

リプレイ

●蛸人間コンテスト
「様々な催し物があるもんじゃのう。海洋広しとは言ったもんじゃな。イレギュラーズにならなかったら知らぬままじゃったから、改めて感謝せんとな」
 蛸人間コンテストに会場入りしたイレギュラーズたち。海岸の特設ステージ(発射台)、盛況な屋台、そして大勢の参加者と観客で賑わう会場の様子に『揺蕩う老魚』海音寺 潮(p3p001498)がすっかり感心する。
 新春『蛸人間コンテスト』はタコマニアなら知ってて当然、近年では一般人にもそこそこ知名度は浸透しつつあるのだが、まだまだ地方の奇祭の類なのだろう。潮が知らなくても無理はない。
「イレギュラーズが頑張れば、知名度もあがるのだ!」
 ローレットへの参加依頼は、祭りの宣伝効果も兼ねてということなのだろう。急遽、ゲスト兼解説者席に呼ばれた『超食通』Que(p3n000026)が激を飛ばす。決して出演料のタコ料理に目が眩んだわけではない……としておこう。
「この祭りにはガキの頃によぉ、来た事があんだ……。みんな、みんな、めちゃくちゃ楽しそうでよぉ」
 蛸の海種の『幸運と勇気』プラック・クラケーン(p3p006804)は、比較的にぎやかし参加の多いイレギュラーズの中において数少ないガチ参加勢である。ヤンチャに育ったブラックの胸に、少年時代の思い出が感慨深く想起する。
「母さんに俺もやりたい! って言ったらよぉ。『だーめ、お父さんみたいに立派な髭になったらね』なんて止められてよぉ、それ以来、立地的に此処に来る事は無くなっちまった。
 つまりはよぉ……待ってたぜぇ、この瞬間をよぉ!」
「同じタコどうし遠慮はいらののじゃ。勝負なのじゃ!」
「……以前、カタパルトではなく大砲でしたが似たような催しに参加した事があります。つまり、私には一日の長があるということです!」
 同じく蛸の海種として負けないとアピールする『大いなる者』デイジー・リトルリトル・クラーク。『ジュリエット』江野 樹里(p3p000692)もグッと拳を握り込み、やる気をみせている。
「なんとも、含蓄深い謂れのある祭事なのですね」
 桜咲 珠緒(p3p004426)が並ぶ屋台と蛸の海種を見比べる。
「普通に受け入れられている……? やはり、種族ごとに考え方とかは違うのでしょうか? そもそも蛸さんと蛸海種の方は種として近しいのか……?」
「蛸は共食いするものなのじゃ!」
 珠緒の疑問をデイジーがばっさり斬る。
「深いですね……海だけに」

「海洋は美味しいのありますからねっ! 私も一杯たこやき食べたいです!」
 やはりタコと云えばたこ焼き! 『雨宿りの』雨宮 利香(p3p001254)がこの後のタコ焼きパーティーに思いを寄せる。
「コンテスト前でも、少しくらいなら大丈夫かしら……?」
 屋台から――そしてそこかしこからの暴力的なまでのソースの匂いと誘惑に、利香じゃなくても食指が動くのは仕方がない。というか、Queとかなんかもうタコ焼き食べ始めてる。
「タコください! いっぱいね!」
 そんな中、食欲に負けることなく『クソ犬』ロク(p3p005176)が屋台の裏側で生きたままのタコを買い漁っている。
(うーん、タコの仮装かあ! あまり器用じゃないから下手に作るより本物くくりつけた方が良いかも!)
 逆転の発想で、タコを身体にくくりつけてもらうロク。
「うわっ気持ち悪っ!」
 そりゃそうだ。
「ニュルニュルしてる!」
 むしろご褒美です。
「ぼとぼと落ちる! 逃げるな、覚悟しろ! 恨むなら消費者に買われたその身を恨んでね!」
 コンテスト前に結構な一仕事を終え、タコというか怪物になるロクだった。
「そういえば、リリィさんが一緒に飛ぶって言ってたけど、リリィさんも……怪物タコになるのかな?」

「しんねんそーそー、すっごくおもしろそうなおまつりなのー!」
 ロクの心配を他所に、『リリィの正義の名の下に!』リリィ=B=ストライプ(p3p002591)はマイペースに会場の雰囲気を楽しんでいた。

●巫女蛸
「桜咲は飛んだり跳ねたり立体機動したりは得意ではありません。ですので皆様が楽しんで過ごせるよう、海が酷く荒れることなく、穏やかに航海ができますよう新年のお祝いと共に、祈念し奉る次第であります」
 特設ステージ上の珠緒の、神に捧げられる巫女ならではの発想。滔々と前口上を述べる珠緒は髪を八つに分けて束ね、吸盤のような髪飾りをつけて蛸の仮装をしている。吸盤の並びは雌雄で違うのだが無理に男装することもないと、きちんと雌に合わせていた。
『細部まで拘っているのだ。これは好感もてるのだ』
 解説席ではQueがタコ焼き食べながら解説している。
『どうやらカタパルトは使わないようなのだ』
 合掌し、読経と共にステージ上から海面に向かって歩を進める珠緒。そのまま、ゆるりと飛び降りると空踏呪の飛行術式を利用して、ゆっくりと海面に向かって落ちていく。
 ――単純に一気に飛び降りると怖いというのもあるのですが。
 珠緒の目論見通り、薄い桜色の毛髪――8本の足が風圧でふわりゆらりと怪しく揺らぐ。
『神秘的な蛸なのだ!』
 静かに海面に着水する珠緒。
「ッ!?」
 冬の海に身体を一気に冷やされて、途端に不調になる珠緒。虚弱体質がたたり、そのまま吐血してしまう。
 泳ぎの経験もなく一歩間違えれば大事故に繋がりかねなかったが、ステージ直下ということもあり珠緒は迅速にスタッフに救助された。
「ふぅ、なんとかなりましたのです」

『無事に巫女の祈願も終わり、きっと今回のコンテストは成功するのだ!』
 解説席ではQueが綺麗に纏めていた。

●真のフライングオクトパスってのは登場から全力だ、ゴラァ!
 ――タコタコヘイ♪
 会場にロックが爆音で鳴り響く。
 ギフト『セルフBGM』の流れる中、二頭のロリババアに曳かれたロックンロールソリに乗りステージ上に登場するプラック。
 ビシっと決めたリーゼントにイカすサングラス、チューイングガムをくちゃくちゃ噛むスタイルは、普通に不良かロックンローラーのどちらかだ。
「今日はよぉ、お前らにぃ……本当のロックンロールを見せてやるからよぉ……期待しとけシャケナベイベー! 夜露死苦!!」
 派手な登場とBGMにカリスマスキルの効果も加わって、盛り上がりを見せる会場。
『ロックンローラープラックが、立派な蛸髭を生やして参加なのだ!』
 パッと見全然、蛸じゃないといった物言いを先に潰せと、Queのフォローが会場に響く。
 3……2……1……GO!
「そんじゃ、聞いてくれ! We Will Octopus You!」
 カタパルトでソリごと発射されたプラック。ソリとロリババアに取り付けてあるエンジンスラスターを作動させると、そのままエアギターを弾きつつ熱唱する。
「ハコベェ! ミルカァ! 良い風だなぁ! オイ! お前らの魂(ソウル)もガチに伝わってくんぜ!」
 ――あの頃のガキだった俺に、教えてやりてえよぉ。誰にも負けない立派の蛸になって、空だって飛べるようになるってよぉ。
 一人前の蛸になったプラックは、万感の想いを胸に海を飛ぶ。
「そろそろ決めるぜ!」
 最後にソリに積んでいた火薬に点火するプラック。
「Happy New Year!!!」
 ソリが爆散し、新年を祝う大きな花火が空を華麗に彩った。

『た~まや~』

●シスターコ
「タコは茹でると赤くなりますが、普段はもっとこう……そう、シスター服っぽい色をしていた気がします」
 ステージ上ではシスター服姿の樹里が強弁している。
「つまり私の普段着はタコだったんです!」
 樹里から生えた黒燐白燐の寄生体たちがうごうごと蠢き必死に触手っぽさを演出しているのだが、樹里本人は全くそれに気づいていない。
 さらに流れる熱き血潮で蛸っぽいオーラを演出し、ついでにぴかっと発光する。
「どうです? これぞ正しくタコです!」
『まあお祭りだし……本人がタコというならタコなのだ……きっと』
 断言する樹里に、もうなんでもアリだなとQueが投げやりにフォローをいれた。

「では早速。いざ、空を目指さん」
 仮装審査をパスしてカタパルトに装着されると――
「タコ、行っきまーす!」
 しゅばーん!
 空に向かって放たれた樹里は、『樹里の魔法』を噴射して順調に飛距離を伸ばし上空を目指す。
 途中で野良の渡り蛸の群れに突っこんで、樹里の顔にはベターっと引っかけたタコが貼りついている。
「ふむ、一緒に海へ還りたいのですね……では、供に逝きましょう!」
 反転し、『樹里の魔法』を上方へ噴射させると、下方へ加速する樹里。
 ――これ、必殺技とかにできないでしょうか?
 危険なことを考えつつ、海面へと突入する。
 ちゅどーん!
 メテオストライク――大空から墜ちた流星の如く海面に激しく叩きつけられて水柱があがる。
「水垢離とかもそうですが。やはり、この時期の水は身が引き締まる感じがしていいですね♪」
 激しい衝突後をものともせず、海上をぷかぷかと漂う樹里だった。

『渡り蛸には、災難だったのだ』

●タコザメ
「あなたのその腕をタコが掴む~♪ タコタコタコココタ~♪
 絆を確かめる様にそっと絡む~♪ コタコタコタタタコ~♪」
 歌いながら、潮とポチがステージに上ると――
『天然記念物、タコザメの生態および巣立ちについてなのだ』
 潮が準備しておいた脚本を解説のQueがそのまま読みあげる。
『皆様はタコザメについてご存知でしょうか? サメの上半身とタコの下半身をもつ非常に珍しい生き物で、天然記念物に指定されております。
 子育ては父親か母親のどちらか片方だけがする性質があり、皆様がいまご覧になっている親子は父と子の様ですね。
 丁度今が巣立ちの時期で、親元から巣立つ瞬間に立ち会えそうです』
 カタパルトに装着される潮とポチ。
『おや、カタパルトを拝借するようです。
 親が子を抱きながら……今飛びました』
 海上に向かって放たれた潮は、そのままポチを遠くに放り投げる。
 クゥ~ン、哀しそうなポチ。
『あえて厳しい態度を取ることによって子が親から離れるきっかけを作るようです』
 クゥ~ン……。
 着水したポチは、同じく着水した潮を目指して泳ぐが厳しく追い返す潮。
『心を鬼にして、もう戻ってくるんじゃない! 親の気持ちが伝わってきます』
 クゥ~ン……。
 何度かのやりとりを繰り返したあと、寂しげにポチは潮を何度も振り返りながら沖へと離れていく。
『感涙です! 今ここで迎えた巣立ちの時! どうか暖かく送り出してあげてください』
 会場に流れる感激、拍手の嵐がおきる。なんだこの茶番は。

『勿論、タコザメは空想上の蛸で実在しないのだ』

●二人は一緒に
 ステージ上に仲良く立つのはロクとリリィ。
 大量の蛸を身体に括り付けたロクは、蛸でも蛸以外の何かでもなく、ただの怪物――良く言えば怪物タコだった。
 一方、リリィは翼と両手両足、尻尾と腰の8箇所に赤い布を巻き付け、脚をヒラヒラさせた蛸さんの仮装だ。
「リリィのおすすめポイントは、からだいーっぱいつかったタコさんあしなの! おっきくみせたらいんしょーにのこりやすいかなって!」
「わたしのお奨めポイントは、身体いっぱいに取り付いたいっぱいいっぱいの蛸だよ! 気持ち悪く見せたら印象に残りやすいかなって!」
 観客にアピールする二人は対照的だった。
「カタパルトでワンちゃんといっしょにとんで、たこあしいっぱいのウルトラアルティメットたこあしにょろにょろスーパータコさんのかそうをみんなにみせちゃうの!」
「ワンちゃんじゃないっ! 今のわたしはターコ。ターコというの!」
 ロクはギフト『空虚なる暗示』を使って、心の底からターコなる怪物に成りきっている。
「いっしょにとぼうね、ワンちゃん♪」
「ターコだっつってんだろ! 見てておかあさん! ターコはやります! 飛べぬあなたへの思いを歌にして! タコタコタ~コ♪」
 カタパルトに近づく二人。ロクは、なんかターコソングとか歌いだした。
 3……2……1……GO!
 発射されるロクとリリィ。
「あ、渡りタコ! ダン! ダン! ダン! シャーン!」
 渡り蛸の群れと遭遇して、ロクが興奮を隠せない。リリィも――
「いっしょにとぶのー! みんなでうみにざっぱーんするのー!」
 飛びながら渡り蛸を捕まえている。
「タコタコタコタコタコタコターーコ♪ タコタコタコタコタコタコタぁぁコぉぉぉーー♪
 明けましておめでとうございます、見てますか、おかあさん。ターコはただいまタコたちと空を飛んでいます。けっこう生臭いです」
『コヨーテでも犬でもなくてターコとか、きっとお母さんも吃驚なのだ』
「勢いがなくなってきたから、これはそろそろ落ちるね!」
 徐々に海面に近づく二人。
 ざっぱーん。
 大きく翼を広げて、突入時のインパクトをアピールするリリィ。ロクは蛸を括り付けていた紐を噛み千切る。
「さあ君たちはこれで晴れて自由の身だ……。さようならタコさん、そしてこんにちは真冬の極寒の海……」
「あーたのしかったーっ♪」
 寒さに震えるロクとあくまでマイペースなリリィ。

『最後まで対照的な二人だったのだ』

●利香
「雨宿りのリカちゃんですよ! よろしくお願いしますね!」
 宿屋『雨宿り』の宣伝も兼ねて出場する利香がステージに上る。決してたこ焼きだけが目当てではないのだ。
「手が2本! 足が2つ! 飾りが4つ! 何も問題はありません!」
 触手の飾りを身につけた利香。それまでの酷い仮装に比べると、問題ないどころか優秀な部類だ。
「リカちゃんのパーティショーの始まりですよ! うまくデキたらたこ焼きに熱々のチーズを溶かしてかけてくださいね!」
 超ノリノリでカタパルトを限界まで巻き上げると――
「全力で構いません! 私なら、どんな衝撃だろうと華麗に飛びきってやります!」
 自信満々に笑顔を披露して、発射に備える。
 3……2……1……GO!
 大空に飛びたった利香は観客へのアピールを意識して、優雅で美しく鮮やかなポーズを忘れない。
「余裕ですね♪」
 途中で接近してきた渡り蛸の群れにも、慌てず空中で身を翻してからの一回転で華麗に渡り蛸を避ける利香。ここぞとばかりに『性的魅力』と『本能』、ついでにウィンクのサービスを発揮する利香に観客席が大きく沸く。
「フフフ、後は着地を決めるだけですね……ん? んん?」
 眼下に広がる海の様子に気づき、狼狽する利香。カナヅチなのだ
「えっ、海!? ちょっとまって着地地点にスポンジとか船とかそういうのは無いんですかちょっと待って下は冷たい海ですよね待って海は嫌です泳げないんです私これじゃあ宣伝しに来たのに恥ずかしいのが広まってしまいまs」
 ざぼーん! 現実は非常である。

『途中までは良かったのだ……』

●デイジー
 ステージには練達から取り寄せたというタコ型マシーン八号。蛸の頭みたいな船部に蠢く触手がついている、ノリで作られただけの船だ。
「あれは何だ! タコか! 機械か!」
 デイジーの声が会場に響き渡る。
「もちろん、妾なのじゃー」
 パンパカパーン♪ 八号の頭が開き、華麗に舞台に登場するデイジー。会場に手を振ると、再度八号の中に入っていく。
 3……2……1……GO!
 カタパルトに設置された八号が発射され、海を飛ぶ。
「ふふん、この八号にスペシャルボタンというものが搭載されていると聞いておる。このボタンかの? ポチッとな」
 触手を伸ばし手裏剣の様に回転しはじめる八号。
「おおー、凄いのじゃ! タココプターなのじゃ! って目が回るのじゃ……」
 回転を止めようとボタンを押すデイジーだが、誤って隣のボタンを押してしまう。
『爆破10秒前……』
「むむ、これはヤバそうなのじゃ! 脱出するのじゃ!」
 自爆装置のアナウンスに、即座に船を捨てるデイジー。
 ちゅどーん。
 着水と同時に八号が爆発するが、無事脱出に成功したデイジーは――
「大量なのじゃー♪」
 爆発の衝撃で海面に浮かぶ海の幸、そして利香を回収して大満悦で帰還するのだった。

『爆破オチは鉄板なのだ』

●タコパ
「皆のタコパに妾も交ぜるのじゃー。先ほど、大量にタコを仕入れてきた故、材料には困らぬのじゃ。くっふっふ、妾をもっと褒め称えるのじゃー!」
「ぐすん、たこ焼きにチーズかけて下さい……」
 無事に帰還したデイジーと利香がイレギュラーズのタコパに加わる。
「丸焼きも良いが、妾はタコ焼きがベネなのじゃ。熱々を皆と美味しく食べるのじゃー」
「たくさんは食べれませんが、美味しいですね」
 樹里が至福の一時を満喫する。
「ポチもお食べ」
 潮とポチがたこ焼きを与える。
「つかまえたたこさんもやいてたべよー♪ いろんなおりょーりたべたーい!」
「タコだけ焼いてね! 衣はいらないから!ほじくって食べちゃうから! ……うーん、おいしい!
 ……しまった! あのタコたちも逃がさなければよかった!」
 リリィとロクも、タコパに大はしゃぎだ。
「いっぱい食べて幸せです。少し休憩しますね」
 あまり量が食べれない珠緒も、満足そうに微笑んだ。
「――」
 やり遂げて色々と思う処があるのだろう、プラックは一人静かにたこ焼きを食べている。

 誰が優勝したか? そんな野暮は聞きっこなし――今はタコパを楽しもう。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

お疲れ様でした。
蛸、おいしいですよね。
何故たこ焼きはあるのに、イカ焼きはないのでしょうか……?
ハッ……!? 次はイカ焼きシナリオを書けということだろうか?

よろしければ、またご縁がありますように。

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