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シナリオ詳細

サンゴリアンデスワーム

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●サンゴル地方の沼地にて
 月の大きな夜のこと。
 外気の冷たさに襟をたてる商人たち。
 馬車の上から見た浅い沼地の風景に、『ローストフェイス』バッケルは息をついた。
「この辺に伝わる都市伝説を知ってるかい。いや、UMAとでも言おうかね」
 懐から取り出したチョコレート色の煙草をくわえ、金色のジッポライターで火をつける。
 ちりちりという心地よい音と共に、チョコレートのような甘い煙の香りが漂った。

 ここサンゴル地方は幻想南東部にあり、その七割を沼地が占めている。
 原住民が細々と暮らし、今より向かうのはその原住民集落だ。この地方でのみ生息する特別な虹色蚕から作った織物が他国でも評判が高く、キャラバンの商業ルートに入れていたのだ。
 普段はただの沼地であり。馬車の走行がやや難儀する以外はそれほど困るような土地ではない。
 のだが。
「この辺りには『サンゴリアンデスワーム』というモンスターがいる……と言われてるらしい。
 実際に記録や証拠は残ってないんでね。実在するのかどうかも疑わしいのさ。
 見たって主張するやつの話によれば、現わる直前に地響きがあって、沼地が沸騰したみたいにぶくぶく泡立つって話さ。
 しかし……なんだろうねえ……」
 バッケルは煙草をくわえたまま、左右非対称に笑って煙を吐いた。
 都市伝説に出くわして負ったという、顔半分を覆う火傷跡。
 下げた視線につられて足下を見ると。
 ぶくぶくと沼地が泡立っていた。
 地響きが、沼地をゆする。
「はっはっは! こんなことだろうと思ったよ!」

●サンゴリアンデスワーム
 大地を突き破って現われたのは巨大なミミズであった。
 全長にして3メートルはくだらないという大きさで、太さでいえば大柄な人間の腰回りほどはあった。
 見れば、沼地に生息していたであろう小動物が身体に青緑色のまだら模様を浮かべてけいれんしている。
 どうやらデスワームには麻痺毒を分泌しすりつけるという性質があるらしい。
 仲間の一人が攻撃をしかけるも、デスワームは素早く地中に潜って姿を消してしまう。
 だがどうだろう。
 しっかり地面に足をつけていれば、ごく僅かな震動が近づいてくるのがうっすらとだか分かる。
 来る!
 その確信を得た途端、デスワームは仲間の真下から飛び出した。
 まるで地上の様子が手に取るように分かっているかのようだ。きっと飛行していても居場所をしられてしまうだろう。
 それに、よく見れば数も3体ほどまとまっていた。
「個体数は3。巨大で麻痺毒をもち、地中に隠れて攻撃が当てずらい……と。沼地に足をつけてりゃ出てくるタイミングや場所がなんとなく分かるもんだが、沼地はかなり動きづらいだろうよ。さて、どうするもんか……」
 バッケルは離れた場所に馬車をとめ、護衛中のイレギュラーズたちに――あなたに、左右非対称にほほえみかけた。
「アンタが負ければアタシもおしまいだ。お手並み、見せて貰うよ」

GMコメント

【オーダー】
・サンゴリアンデスワーム3体の撃破

 パサジール・ルメスのキャラバンがひとつ『ローストフェイス』の護衛を依頼されていたイレギュラーズたち。
 旅の途中に立ち寄ったサンゴル沼地にて都市伝説的モンスターと遭遇。戦闘になりました。
 バッケル(商人)たちは安全な場所まで下がって皆さんに戦闘を任せています。
 その期待に応え、サンゴリアンデスワームを退治しましょう。

 もし退治に失敗した場合はバッケルと共に来た道を全力で戻って撤退します。
 撤退条件は特に定めていない場合『総合戦力の半数が喪われた場合』とし、相談で定めた撤退条件を新たに書いた場合そちらに準拠します。
 (全員が撤退条件を明記する必要はありません。誰か一人でも書いていれば有効とします。相談内容から外れないようにご注意ください)

【フィールドデータ】
●浅い沼地
・機動力、回避、特殊抵抗にペナルティがかかります。
・ただし飛行していた場合ペナルティが免除されます。
 (戦闘機動を要するため簡易飛行・媒体飛行は適用できません)
・時間は夜。ただし照明は充分きいているものとします。

【エネミーデータ】
●サンゴリアンデスワーム
・3体
・命中、EXA、クリティカルに秀でている
・麻痺毒をすりつける(物近単【麻痺】)
・地中に潜り、この間は攻撃をほぼ無効化する(BS等をうけていても地中に潜ることができる)
・地上に飛び出す時に限り特殊攻撃が可能(物近範【弱点】)
・沼地に足をつけている場合『自身からレンジ1以内に出現するデスワームを察知できる』
 →よって、ある程度散開して待ち構えるのが効率的。飛行中の仲間も平等に狙われる可能性があるので注意。

【アドリブ度】
 ロールプレイをよりお楽しみいただくため、リプレイにはキャラクターのアドリブ描写を用いることがございます。
 プレイングやステータスシートに『アドリブ歓迎』『アドリブなし』といった形でお書きくだされば、度合いに応じて対応いたします。ぜひぜひご利用くださいませ。

  • サンゴリアンデスワーム完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2019年01月11日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ティア・マヤ・ラグレン(p3p000593)
穢翼の死神
ユーリエ・シュトラール(p3p001160)
優愛の吸血種
刀根・白盾・灰(p3p001260)
煙草二十本男
藤野 蛍(p3p003861)
比翼連理・護
ルチアーノ・グレコ(p3p004260)
Calm Bringer
ノースポール(p3p004381)
差し伸べる翼
風巻・威降(p3p004719)
気は心、優しさは風
御天道・タント(p3p006204)
きらめけ!ぼくらの

リプレイ

●サンゴリアンデスワーム
 ぼこぼこと泡立つ沼地の表面から、ほのかに油めいた臭いがわき上がってくる。
 地面を突き破って飛び出す巨大なミミズめいた生物を、『Calm Bringer』ルチアーノ・グレコ(p3p004260)は大きく飛び退いて回避した。
 眼前を竜のように登る、薄ピンク色のややぬめった筒状生命体。端的にいって『巨大なミミズ』だが、侮るにはあまりに巨大。かつ、獰猛である。
「うわ、想像してたより気持ち悪い……」
 降りかかる泥に顔をしかめるルチアーノの肩を、『白金のひとつ星』ノースポール(p3p004381)が優しくぽんと叩いた。
「二人の時は、よくミミズに会うね」
「いらないなあそのジンクス」
「今回も頼りにしてるからね。ルーク」
 手の甲でトンと背中を叩かれ、ルチアーノは左右非対称な表情をした。
「伝説とはいえ大きなミミズが相手でいいのかな?」
『油断はするなよ?』
「分かってるよ。今回も飛行スキル捨ててきてるし」
『分かっているならいい、行くぞ』
 『穢翼の回復術師』ティア・マヤ・ラグレン(p3p000593)はバランスをとるためか翼を広げた状態で飛び退き、沼地にあしをつけて次なる攻撃を探る。
 サンゴリアンデスワームが仮に巨大なミミズなのだとすれば、こうして足をつけていれば地中からの震動によって接近を関知できるはずだ。表面が沸くように泡立つのも、きっと出現の目安になるだろう。
「あれが都市伝説のデスワーム!? 都市伝説は事実だったんですね!」
 『愛の吸血鬼』ユーリエ・シュトラール(p3p001160)は自らの髪を銀に染め上げ、吸血鬼の羽根をはやした。
「都市伝説(未確認生物)なのは、確認した人が全部あれに食べられちゃったからじゃないの?」
 『いいんちょ』藤野 蛍(p3p003861)は眼鏡にふりかかる泥を反射的によけながら飛行の魔術を発動。沼地から飛び上がると、2メートルほどの高度を保って停止した。
「飛んでいれば沼地による戦いづらさはないけど……接近に気づけないのがつらいわね。どうやら――」
 蛍の足下から突如飛び出してきたサンゴリアンデスワーム。
 食いつかれないようにと蛍の腕を引っ張った『瞬風駘蕩』風巻・威降(p3p004719)は、軽やかに沼地へと着地した。
「空を飛んでいても多少は位置を把握できるみたいだね。かなり高い位置にいれば別かもしれないけど……」
 ミミズという生物がなにを基準に周囲の状況を把握しているのかは生物学の分野に任せるとして、このサンゴリアンデスワームという生物は五感とはまた別の感覚器官を持ち合わせているとみるべきだろう。魔力やなにかを感知しているのだろうか?
「刀根に煙草を沢山食べさせるのは後にして、今はこの危機を脱しましょう」
「え、煙草? そんなこと言いま……あっ」
 完全にバトルモードに入っていた『屑鉄卿』刀根・白盾・灰(p3p001260)は、ハッとして回想した。
『まさか、そんな都市伝説の存在なんて居るわけないじゃないですか~! もし居たら煙草を20本まとめて吸う一発芸披露しますぞ! なんてね! でも、お話しとしてはとても面白いですな、ふふ!』
 言ってた。
「都市伝説は現実となり、あらたな伝説が生まれるんですね」
「まってくださいあれはなんというか冗だ――」
「オーッホッホッホッホ!」
 『きらめけ!ぼくらの』御天道・タント(p3p006204)がポーズの準備動作みたいなものをしながら指を鳴らした。
「参りますわよ! これよりは、このわたくしっ!」
『『きらめけ!』』
『『ぼくらの!』』
『『タント様!』』
「が天に変わって成ばあああああああああああああああ!?」
 超ウルトラシュラインヒロインサンシャインポーズのままサンゴリアンデスワームにかっさらわれて天高く飛んでいくタント。
「「タントさまああああああああああああああああ!!」」
 叫ぶユーリエたち。
 それをよそに、『なるほど直撃するとああなるのか』と蛍は眼鏡の位置を直しながら冷静に考えた。

●分散作戦
 都市伝説だろうがUMAだろうが、戦うとなれば話は早い。
 伊達に場数を踏んではいないのだ。
「ピラミッドフォーメーション! 各自沼に足をつけ真下からの攻撃を警戒して下さい!」
 灰と威降は素早く役割を分担し、予め設定した正三角形のフォームに2人×3組のメンバーを配置。飛行するノースポールと蛍を遊撃(ヒーラー)として各ポイントを定期旋回する。
 サンゴリアンデスワームがいかなる動作によって地上へ攻撃を仕掛けているかは定かでないが、狭い範囲に対して三匹同時に出現することや、穴が残らないことから連続した出現は少ないと判断してのことだろうか。
 さらに。地中に潜ってからこちらの座標を狙って再出現するということは、逆に言えば出現する場所を絞れるということでもある。このように正三角形に位置取ればどのタイミングでどの固体がどこに出現しても攻撃を集中することができる。この上さらに誘導効果を高めれば敵の出現位置をほぼ固定することも可能だろう。
 咄嗟に用意した策として、かなり最適解に近い対応だ。
「来ます!」
 灰がその場でかがむような防御姿勢をとったその瞬間、足下の地面がごっそりとなくなった。
 というより、地面ごと喰われたというべきだろうか。
 巨大なミミズの口に灰が吸い込まれそうになる。
 剣をひっかけ、ギリギリで飛び退く灰。
 一瞬早くその場から飛び退いていたティアは距離を離して死霊弓を打ち込んだ。
「は、はっ……! 土にされる所でした……!」
 泥の上を転がり、顔をぬぐう灰。名乗り口上を仕掛けてはみたいが、サンゴリアンデスワームが容易に応じるとは考えづらい。
 (サンゴリアンデスワームの特殊抵抗値は不明だが)かからない名乗り口上は空振りとほぼ同じ。かつ相手が少数である場合は特に戦術的効果が小さくなる。ゆえに、できるかぎり【怒り】の付与成功率を引き上げねばならない。
「攻撃を畳みかけて!」
 威降は鋭く飛翔斬を発射。
 サンゴリアンデスワームに深い傷を刻み込むと、ユーリエがその箇所めがけて血色の鎖を発射した。
「逃がしません!」
 巻き付いた鎖はすぐに引きちぎられたが、それでも別に構わない。
 灰はタイミングを見計らって武器を打ち鳴らし、サンゴリアンデスワームの注意を引きつけた。
「さあこっちです。かかって――ひっ!?」
 天高く伸びたサンゴリアンデスワームの頭がぐねんとまがり、灰めがけて突っ込んでくる。
 ここで直撃をうけたらそれこそ土になる。
 慌てて回避する灰の足が食いちぎられ、サンゴリアンデスワームは地中深く潜っていった。
「もって……いかれた……!」
「心配ない。ほら――起立!」
 蛍はきびきびと灰に呼びかけると、灰から足を強制的に再生させた。
 それでもぐらつく灰の様子に、ノースポールが声をあげた。
「ルーク、出番だよ!」
「ん……残りはこっちで引き受ける。サポート任せたよ」
「おっまかせあれ! ですわ!」
 仁王立ちをして髪を払うタント。
 おでこをまばゆく輝かせると、ひたすらに存在感を増した。
 増しただけだが、そのおかげでなんかしらんけどルチアーノの中にやる気がわき上がってきた。
 カリスマというものは人を強くする。
 強力な個人よりも強力な集団と言われるのはそのためだ。ルチアーノもそれを、『ファミリー』という概念のなかで理解していた。
「雰囲気はだいぶ違うけど……いいね、心が澄んだような気がするよ」
 雑念が取り払われ、次なる一瞬に全てをかける覚悟が固まる。
 タントとルチアーノの足下から飛び出したサンゴリアンデスワームが二人を天高く吹き飛ばしていくのも、ルチアーノには雑事にしか思えない。
「きかないよ、そんな攻撃」
 サンゴリアンデスワームに挑発的なサインを出すルチアーノ。
 見えたわけでも聞こえたわけでも無い。サンゴリアンデスワームの精神に直接念を打ち込んだのだ。
「来い、輪切りにしてやる!」
 ぴゃーと言いながら沼地に落ちていくタントをよそに、ノースポールが直線飛行。
 ぎらりとルチアーノをにらむように頭を曲げるサンゴリアンデスワームに、さえるような蹴りを打ち込んだ。
 白い翼を畳み、飛行をやめて急降下。
 落下によって距離を稼ぐと、両手でしっかりと構えた拳銃でフルオート射撃を浴びせかけた。
 地面すれすれで身を反転させて着地。はねるようにその場から飛び退く。
 同じく頭から落ちてふしぎなバウンドをしたタントと共に距離をとると、ルチアーノとアイコンタクトをとった。
 サンゴリアンデスワームのうち2体の標的を、それぞれ別の対象に固定することに成功したのだ。

●泥沼
 戦いはそれなりに順調な滑り出しを見せ、メンバーが集中攻撃をうけて撤退するというリスクを抑えたままサンゴリアンデスワームが頭を出すたびに攻撃を集中するというペースを維持することが出来た。耐久力の高いメンバー間ダメージ分散ができるということは、回復のタイミングを細かく計ることができるということでもある。
 とくに蛍は一度の回復量が高いためかなりのターン数を回復以外にさくことができた。
 逆に蛍は回復以外のことに関してなぜか消極的だったので、回復しない間の行動に迷う節はあったようである。一点突破の委員長らしい、可愛らしい不器用さといったところだろう。激しいファンブル値も含めて。
 攻撃が当たらなくとも攻撃をしさえすればターン中後に続く味方の殆どに実質命中+5の補正をつけられることになるので、例えダメージのない『注意!』みたいな行動ひとつでもかなり寄与できるだろう。特に強力な1個体を相手にするときなどは。
 さておき。
「まずは、一匹!」
 ノースポールはサンゴリアンデスワームの喉(?)を銃で撃ち抜いて、ぐったりと崩れ落ちる巨体を前ににこりと笑った。
「大丈夫? ルーク、ちょっとやすむ?」
「まだまだ……!」
 泥まみれかつ謎の体液まみれになったルチアーノはむくりと起き上がり、刀を抜いて残るサンゴリアンデスワームへと走った。
 灰へ頭上から襲いかかるサンゴリアンデスワーム。
 横から飛びかかったルチアーノの刀とノースポールの蹴りが同時に炸裂。
 わずかに動きがブレたところに、灰は剣を突き上げるようにしてサンゴリアンデスワームの口を切り裂いた。
「まだ土にかえるつもりはないんですよ!」
 サンゴリアンデスワームの肉体が己の重量によって切り裂かれていき、ぱっかりとひらかれた巨大なミミズの死体ができあがった。
 がくりと膝を突く灰。
「とね様! わたくしをご覧なさい! 癒やされますわよ! ほら!」
 主張の激しいポーズをとって灰を癒やそうとするタント。
「いやいやそんなことで癒やされるわけが――癒やされるぅっ!?」
 カッと目を見開く灰。
 具体的には軽く322ポイントほど回復した灰は剣を握って立ち上がった。
「このポーズを見ると身体のしびれもとれますわよ!」
「そんなわけが……本当だっ!?」
 とかやってる間に、ティアは残るサンゴリアンデスワームに死霊弓を連射。
 怨念が籠もった矢がサンゴリアンデスワームの肉体を打つが、殺されてなるものかとサンゴリアンデスワームはおおきく唸ってティアへと襲いかかっていった。
 宝石剣を握り、迎撃の構えをとるティア。
 その横から、激しく宙を舞ったユーリエがサンゴリアンデスワームの横っ腹へと刀を差し込む。
 淡く輝く銀の髪。刀に血色の気がわきたち、サンゴリアンデスワームの肉体を激しく切り裂きながらユーリエ自身が回転していく。
 もはや巨大な丸鋸だ。
 激しく出血し、得意の探知能力も鈍らせたらしいサンゴリアンデスワーム。
 地面に着地したユーリエは鋭く威降を呼んだ。
 ラストチャンスにかけて土にもぐろうとするサンゴリアンデスワームと地面の間へ、割り込むようにスッと立つ威降。
 彼ごと飲み込んで地中へ逃げればよい。そう考えたサンゴリアンデスワームに対し、威降は刀にかけた手を光のように動かした。
 一瞬のできごとである。
 傍目には、威降の腕が奇妙に光り、しかしもとのまま動かず、彼を食らおうとしたサンゴリアンデスワームの肉体だけが真っ二つに裂けたように見えた。
 内容物(主に泥)をまき散らし、落下するサンゴリアンデスワームの死体。
 威降は深く息をつき、仲間へと振り返った。
「さあ、皆――」
「レジェンドタイムのはじまりですわ!」
 タントが両手の指と指の間に沢山の煙草を挟んで腕を十字に構えた。別名エイメンの構え。
「オーッホッホッホッ! 如何かしらバッケル様! これがローレットのイレギュラーズ! 一度請け負ったことは必ず執り行いますわよ! そして一度言った言葉も実行しますのよ!」
「おー、いいねえ」
 煙草をふかしながら手をぱしぱしとうつバッケル。(この余裕からして彼らが負けるとは思っていなかったらしい)
 灰が青い顔をした。
「いや、あの、あれは……ナシになりませんか」
「ならないね」
 背後に回り込んだ威降が灰を羽交い締めにする。
 ティアやユーリエは泥を綺麗にぬぐい落とす作業に熱心で、ルチアーノはノースポールの泥を落とすのに熱心だ。
「い、いやだああああああああああああああああ――もがっ」

 蛍が綺麗にみがいた眼鏡をかけなおし、くるりとアップで振り返った。
「煙草は健康を害するわ。よい子はぜったいまねしないように」

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 サンゴリアンデスワームはもはや都市伝説ではない。
 今この沼地に伝わるのは、煙草二十本男の伝説だ。
『この沼地には巨大なミミズがいるとある商人がいった。護衛の男はこう言った。そんなミミズなどいるわけがない。いるなら煙草を二十本一度に吸って見せましょう。そのミミズこそ、サンゴリアンデスワーム』
 完全にミミズの存在感を食っていた。

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