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シナリオ詳細

雪原に花実が咲くならば

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●ノーティルティリス雪原にて
 吐く息の白さ。
 呼吸すらの冷たく。
 チョコレートカラーの煙草についた僅かな炎すらひどく暖かく思える、ここはノーティルティリス雪原。
 スノータイヤをはきゆっくりと進む馬車の上で、『ローストフェイス』バッケルはもこもことしたフードを深く被った。
 ローストフェイスはパサジール・ルメスのキャラバンのひとつ。西へ東へ旅をしては商品を売ったり渡したりを繰り返す風のような民である。
 その中でもバッケルは都市伝説ハンターとして知られ、出るかどうかも分からない都市伝説存在にちょくちょく遭遇したびたび命の危機にさらされてはしぶとく生き残ることで有名だった。キャラバンの名の由来も、その伝説存在に顔を焼かれたがゆえだという。
「まあそんなアタシの引きの悪さも、たまにはいい具合に働くもんさ」
 煙草の煙を吐き出せば、とろんとしたチョコレートのような甘い煙の香りがした。
 吐息の熱さもあいまって深くけむるそれが晴れたなら、眼前に広がることだろう。
 大きな雪結晶が野原一面に広がっては揺れるさま。
 それが本当は雪の結晶なんかじゃなく、氷のようにはかなげな花々であるということがわかるはずだ。
「雪の中に迷い込んだ精霊が種になって咲く花さ。どこに咲くかはわからなくって、人が踏み固めた地面には定着しない。見つけられるかどうかは運次第。都市伝説だって呼ぶ奴もいるほど貴重な花だよ」
 一輪とってみれば、はかなげな印象とは裏腹に不思議と強く花をつけている。透明な花弁は雪結晶の形をとり、白く陽光を照り返す細かい毛のついた茎が雪のようにつやをもっている。
 宝の山じゃあないか。そう考える誰かに、バッケルはシニカルに、そして左右非対称に笑った。
「ごっそりとっちゃあダメさ。雪の精霊が空に帰らなくなっちまう。花がなくなりゃ雪が怒って災いになるって言われててね。まあ……そうでなくても花がつかなくなっちゃあこの先売れないから、適度に残すのが妥当なのさ」
 なあんだ。
 燃えさかる狼や骨の馬車や風船人間に襲われるようなバッケルの旅も、たまには穏やかで静かな時があるじゃあないか。
 そんな風に思った、矢先である。
「さて皆、一仕事頼むよ。花をつんで帰るには……『奴』を一旦倒さなきゃならないんだ」
 口からはずした煙草の先で示すのは、花から舞い上がる雪の精霊たちであった。
 雪に閉じ込められていたことへの不満が爆発していたのか、まるで鬱憤を晴らすかの如く暴れ始めている。
 その標的は勿論、あなただ。

GMコメント

 パサジール・ルメスの民シリーズ、『ローストフェイス』編。
 今宵は雪の草原でございます。
 依頼内容は、怒れる精霊の退治です。

【エネミー】
●怒れる精霊
 雪に閉じ込められていた不満から八つ当たりのごとく周囲の人々に襲いかかる高知能精霊です。
 この精霊には死とか怪我とかいう概念がないため、戦闘をひたすらこなすことで怒りが静まり清らかな精霊へと戻っていきます。
 戦闘=浄化だと思ってください。
 能力は以下の通り。

・氷の刃(神近単【氷漬】【災厄】):氷の刃を作りだし、切りつけます
・荒ぶる寒気(神遠域【ブレイク】、高命中、小ダメージ):寒気のうずを作り出して付与効果をはぎ取ります
・飛行:非ペナルティ高度で飛行しています
・凍気耐性:BS【凍結】【氷結】【氷漬】の効果を受けない。

・スペック傾向:命中激高、特殊抵抗やや高
・数と戦闘力:5体。トータルでイレギュラーズたちと同程度

※少し前にBSに関するルールが改定されています。マニュアルをご確認の上戦術構築にお気をつけください。

【シチュエーション】
 ノーティルティリス雪原。
 今はうっすらと雪のかかった草原地帯。
 花がついているエリアの真上に『怒れる精霊』が現われている。
 そのまま戦闘すると花を踏み荒らすことになる可能性あり。

【おまけ解説】
・花
 『雪の忘れもの』と呼ばれている。
 雪結晶のような透明な花弁と、雪原のように白い茎が美しい花。
 雪の中に精霊がうっかり閉じ込められそのまま土にしみいり定着してしまった時に偶発的に発生する花。一応蘭の一種。
 とっても綺麗であることと希少であることから高値で取引されている。
 今回『ローストフェイス』キャラバンが採取していく予定。

【アドリブ度】
 ロールプレイをよりお楽しみいただくため、リプレイにはキャラクターのアドリブ描写を用いることがございます。
 プレイングやステータスシートに『アドリブ歓迎』『アドリブなし』といった形でお書きくだされば、度合いに応じて対応いたします。ぜひぜひご利用くださいませ。

  • 雪原に花実が咲くならば 完了
  • GM名黒筆墨汁
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2018年12月16日 22時45分
  • 参加人数 8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ラダ・ジグリ(p3p000271)
静謐なる射手
リゲル=アークライト(p3p000442)
死力の聖剣
フェスタ・カーニバル(p3p000545)
エブリデイ・フェスティバル
恋歌 鼎(p3p000741)
尋常一様
エクスマリア=カリブルヌス(p3p000787)
沈黙の御櫛
ジェイク・太刀川(p3p001103)
『幻狼』灰色狼
ジェック(p3p004755)
ガスマスクガール
エリーナ(p3p005250)
フェアリィフレンド

リプレイ

●雪よ今年も君はある
 冷たい土を踏む。霜に凍った泥が小気味よく潰れる音がした。
 『尾花栗毛』ラダ・ジグリ(p3p000271)は平らに整った雪の園を前に、かついでいたライフルを素早く展開する。
「他所のキャラバンに入るのは勉強にもなるが……何よりこうして思わぬ場所を知る喜びがあるのがいい」
「ああ、わかる」
 『死力の聖剣』リゲル=アークライト(p3p000442)はこっくりと頷いて、そして手の甲を突き出した。
「この花は巡り巡って誰かへの贈り物となるのだろうか……守り抜かなければ!」
「うんっ!」
 『エブリデイ・フェスティバル』フェスタ・カーニバル(p3p000545)はその甲に、そして同じく甲を差し出した仲間たちにハピネスキスをすると、くるりと向き直った。
「綺麗なお花をゆっくりと見るためにも――」
 『雪の忘れもの』と呼ばれる貴重な花は、精霊を閉じ込めてしまったことで開く花であるという。
 解き放たれた精霊たちはたまったストレスを発散するべく近くの者に襲いかかるとも。
「精霊さんのストレス発散に、協力してあげないとねっ!」
 フェスタは両腕にそれぞれ装着した分離盾から刃を展開させると、飛び立つ鳥のように戦闘の姿勢をとった。
 そんな様子にくすくすと笑う『尋常一様』恋歌 鼎(p3p000741)。
「雪花とはロマンチックだね。麗な分棘があるのかな? ……なんてね」
 手のひらに指で魔法の紋様を描いていく。
「バッケルからの依頼……以前は狼だったが、今度は精霊、とはな」
 頭髪を防寒着のようにもこもこに巻いていた『神話殺しの御伽噺』エクスマリア=カリブルヌス(p3p000787)は、わずかに露出している目元で精霊と花を見比べる。
「しかし、『雪の忘れもの』……美しい、な。傷つけること無く、済ませよう」
 その一方で、『『幻狼』灰色狼』ジェイク・太刀川(p3p001103)は足場をざくざくと固めるように足踏みすると、大口径のリボルバー拳銃を抜いた。セフティーを解除し、精霊たちへ向ける。
 同じくライフルの銃口を向けた『ガスマスクガール』ジェック(p3p004755)はガスマスクの下でぱちぱちと瞬きをした。
(へえ、セイレイって、こんなナンダ。初めてミたよ。キレイだね? ……綺麗だケド、サムいから早くカエりたいな)
 どうやら寒いのは苦手らしい。
 こちらはどうなのだろうと目を向けると、『フェアリィフレンド』エリーナ(p3p005250)は親しき妖精たちを自分の周りに展開させ、いつでも戦えるように妖精剣を構えていた。
「精霊が種になって咲く花……綺麗ですね。これを持ち帰るためにも」
「ン」
「一丁、お相手してやろうぜ!」
 ジェイクたちの銃が、戦いの始まりを告げるように吠えた。

●ノーティルティリス雪原を走る
「来やがれ、景気づけだ! 派手に行こうぜ!」
 ジェイクは精霊たちめがけてリボルバー拳銃を連射しながら、精霊たちとは逆方向に走り始めた。
 それを追いかけるように飛ぶ精霊たち。
 足下に咲いた花はかるく風にそよいだきりで、銃撃の影響を殆ど受けなかった。
 そう、彼らが走るのは戦場を花園の外に移すため。
 この場で戦えば花が散り、収穫できる数も減ると考えたのだ。
「大変かと思って頼んじゃいなかったが……いいサービスだね」
 遠くで眺めていたバッケルがなんだか悠長にそんなことを言う。
「ありがとよ、けど――」
「ああ、しばらくは攻撃に晒されっぱなしだ」
 『尾花栗毛』ラダ・ジグリ(p3p000271)はライフルを撃ちながら後ろ向きに走る。
 弾を撃ち出すたびに空薬莢が回転しながら飛びはね、雪をわずかに溶かして突き刺さる。
 精霊の怒りのような表情に、ラダは片眉をわずかに上げた。
「気晴らしに付き合おうというだけだ。私達だって運動しないと凍えてしまう。付き合ってくれよ」
「おい、来るぞ!」
 ジェイクがリボルバー弾倉を開放し空薬莢をばらばらと足下へ落とす。器用に弾倉を回転させながら弾を高速でつめていくと、精霊たちめがけて再び射撃をはじめた。
 飛来する弾丸が空中で凍り付き、減速して落ちていく。
 まるで粘度の高い液体でもあるかのように周囲の風がどっと重くなった。
 頭を締め付けるようなキィンという感覚と耳鳴り。
 直後、激しい寒気がラダたちを襲った。
 まともに食らえば凍り付く。
 それを一方的に受け続ければタダではすまない。
 そこへ。
「力を持て余しているんだろう? 存分にぶつけてくるがいい!」
 重い鎧を着込んだリゲルが、輝く剣を水平に構えて寒気の爆弾を受け止めた。
 身体を霜のようなものが覆い、鎧を凍てつかせていく。だが鎧に施された耐冷性能が、リゲルの肉体にまでその効果を及ぼすことはない。
「暫くは大丈夫だ。走れ!」
「ホラ、こっちにオイデ? アタシ達が遊んでアゲルよ」
 ジェックがライフルで聖霊の肩を打ち抜き、即座に走る。
 『撃って即走る』は多くの戦闘で忘れられがちだが、こうした範囲攻撃を連発される環境にはかなり効果的だ。
 花をできるだけ保護しようという彼らの配慮が、結果として戦闘にもうまく噛み合ったのだ。
 これもフェスタのくちづけがもたらした幸運なのだろうか? ジェックは『何だかトクした気分だネ』とガスマスクの下で小さく笑った。
「自然界の精霊が、雪に閉じ込められる、とは。間抜けな話もあったものだ、な」
 寒気の爆弾が連続で叩き込まれる。
 エクスマリアは頭髪を蜘蛛足のように伸ばして後方移動をしながら、機銃のように伸ばした砲からマギシュートを連射していく。
「その上、八つ当たりに暴れる始末。精霊とは、もっと優雅な存在かと、思っていたのだが」
 喋っているのは精霊への挑発だ。言葉がわかるのかわからないのか、とにかく怒った表情でこちらを追いかけていた。
 もしかしたら『ストレスたまった! → あばれる!』くらいのとても単純な知能レベルの精霊なのかもしれない。
 言葉がわかっても分からなくても、攻撃しながら逃げるエクスマリアたちが気になってつい追いかけてしまうのだろう。
「リゲルさん、大丈夫ですか。いま回復しますね――アモルっ!」
 エリーナは愛の妖精に呼びかけると、激しい冷気に軽くよろめいているリゲルの周りをくるくると飛行させた。
 愛の光がリゲルを包み、心と体を暖かく癒やしていく。
 冷たく傷つき動きの鈍った彼の腕にも、再び力が宿ったようだ。
「鼎くんっ……鼎ちゃん? 今どんなかんじ!?」
 フェスタに呼びかけられて、鼎はわずかに首を傾げた。
 共有している小鳥の視界で戦場をあらためて俯瞰しなおしているらしい。
 バックミラーを凝視したまま自動車を運転するのは危ないのと同じような理由で、俯瞰視点に集中したまま戦ったり走ったりするのはちょっとだけあぶないのだ。
 さておき。
「もう一息だね」
 鼎は手袋をした指をぱちんと鳴らし、オーラの縄を生み出した。指をくるくるとやってウェスタンカウボーイのように縄の輪っかを回転させると、精霊めがけて投げ放つ。
「ふふ、イライラささくれだってるね。拘束は嫌いかい?」
 こっちだよ、と指で手招きしながら後ろ向きにスキップしてみせる鼎。
「……」
 フェスタは彼我の位置関係を改めて確認。
 このまま戦うとうっかり精霊たちが引き下がって花の上にもどってしまいかねない。
 もう一押し。念を押しておきたい。
 そしてそのための――。
「THE BLUE――」
 距離をあけていたフェスタは思い切って精霊たちのまっただなかに転がり込んだ。
 飛び込み前転から片膝立ち。左腕の分離盾を地面に打ち付けるようにブレーキ。
「響け、ブルーコール!」
 左腕に装着した分離盾を操作すると、ソナーを打つかのように殺気の波動を周囲に発射した。
 反応したのは精霊の一部のみ。けれど思考が単純な精霊たちは『仲間がそっちへ行ったから』程度の理由で容易にフェスタへ狙いを集中させた。
 空中に生み出した氷の槍がフェスタへと集中。
 次々と命中するが、フェスタを覆う聖なる加護が槍の凍結効果をカットした。
「さあ、一気に行くよ、皆!」
 顔を上げる。
 ここからが本当の勝負だ。

●優しさがもたらす勝機
 『雪の忘れもの』を保護して戦うというイレギュラーズたちの作戦には、引き打ちで安全な場所まで離れる段階の後に重要な段階が存在していた。
 それは、精霊たちが『引き打ち返し』を初めて花園へ戻ってしまうのを防ぐため、そして『荒ぶる寒気』によって一網打尽にされるのを防ぐため、一箇所に固まった精霊たちを広く取り囲む陣形にチェンジする段階である。
 それを特に誰も打ち合わせていなかった。
 いなかったが。
「私達とのダンスに満足したら、次は妖精同士で踊ったらどうだい」
 ライフルで射撃しながら近づくラダ、そしてジェイク。
 彼女たちは偶然左右に分かれ、精霊を挟み込むような位置をとって中距離攻撃へとシフトしていった。
 ラダはライフルの射撃の頻度を早め、中距離から粘り強く連射。
 同じくジェイクも距離を詰めてのバウンティフィアーに切り替えていく。
 集中攻撃を浴びて踊る精霊。
 その隙を突くようにして精霊の反対側。もとい花園との間へと回り込んでいった鼎が集中攻撃をうけたフェスタにヒールオーダーをかけはじめた。
 一方で、フェスタは自らの生命力を右腕の分離盾を経由して炎の力へ変換。右腕を黒い炎でいっぱいにすると、腕に氷の槍を装着した精霊へと殴り合った。
「ほらほらこっち、相手になるよ! 大暴れしてスッキリしてね!」
 黒炎の刃を出した盾と氷の槍が正面から激突。
 パワーは拮抗……したかに見えたが、びきびきとはしった氷のヒビに、聖霊の腕は肩まで崩壊した。
「さて、はしゃぎまわって満足かな。大人しくしていれば可愛いものだけどね」
 仲間が攻撃しやすいようにすいっと身をひく鼎。
 毛髪の脚で高く跳躍したエクスマリアが、同じく毛髪で生み出した巨大な腕を振りかざしていた。
 ハッとして顔をあげるももう遅い。エクスマリアのハンマーアタックが精霊を頭からつま先まであまさず粉砕した。
「フェスタ、そろそろ交代だ」
 エクスマリアの補助腕にひっぱられる形で離脱するフェスタたち。
 代わりに精霊たちの間に割り込んでいったのはリゲルだった。
「不謹慎だが、氷舞う中戦うというのも、キラキラ光って楽しいものだな」
 握り込んだ剣が輝き、周囲に散った精霊の破片と乱反射を起こして辺り一帯をきらめかせた。
 腕を斧に変えて切りかかる精霊。
 それを騎士盾で弾き落とすリゲル。
 背後から狙う氷剣の斬撃。
 正面から狙う氷槍の突き。
 自らに集中する至近距離からの攻撃に、リゲルは不敵に笑った。
「そうこなくっちゃな。とことん付き合うぞ!」
 剣に宿った聖なる光が強く強くふくらみ、リゲルの回転斬りによって輪状の軌跡を残した。
 激しい衝撃によって一斉に切り払われる精霊たち。
 砕け、傾いた精霊の身体を指さすエリーナ。
「ネリー!」
 一直線に走る妖精ネリー。傾いた精霊の身体を次々に貫いて、くるくると螺旋状に飛行した。
 連鎖するように砕け散る妖精。
 やぶれかぶれになった精霊が放った寒気の爆弾が周囲の雪や土をまるごと吹き飛ばした。
「楽シイかい? アタシはサムいよ」
 やや震える肩を押さえ、精霊めがけライフルを連射していくジェック。
 集中攻撃をうけていたリゲルはそれ以上のダメージをさけるべく走って離脱。
 精霊はというとジェックたちに反撃の寒気爆弾を乱射していた。
 その競り合いに勝ったのは……イレギュラーズたちのほうだった。

●優しさの対価
 ジェックはトリガーから指をはなした。空薬莢が足下へ落ち、かちんと小気味よい音を鳴らす。
 舞い散る氷の結晶が、大気に溶けるように消えてゆく。
 精霊が不満を解消し、あちこちへ自由に散っていったのだろう。
 それを見届けるエリーナの手元に、妖精たちが舞い戻る。
「これで、もう精霊たちが暴れることはありませんね」
 ぱちぱち、と後ろで拍手の音がした。
 振り返ってみれば、『ローストフェイス』バッケルが煙草をくわえたまま拍手している。
「花がいくらか散っちまう覚悟はしてたが、こうも上手に守ってくれるたあね。感心したよ。賃金の上乗せってぇのはできないが……ひとり一つだけなら、花を摘んで帰ってもいいよ。本当はいけないんだがね」
 散るはずだった花を守った正当な対価だろう。と、苦笑するバッケル。
 ラダは小さく頷くと、『雪の忘れもの』を一輪手に取った。
 どこかひんやりと冷たくて、透明な花弁からは冬の香りがした。
「ありがとう。お言葉に甘えて……そうだな、誰にあげよう」
 リゲルもマントで風よけをしながら優しく花を摘み取っていく。
「俺は決めてる。恋人への手土産さ」
 ジェイクは花を空に翳し、愛しい人の顔を思い浮かべた。
「皆ロマンチックだね! えーっとじゃあ……」
 フェスタもひとつ摘み取って、押し花にでもしたら綺麗かな? なんて考えた。
「いいね。なら私は、同居人へのお土産にしよう」
 鼎も同じように手にとって、くきをつまんでくるくると回してみる。
 エクスマリアもそれにならい、大事そうに毛髪の衣のなかへとしまいこんだ。
 持ち帰って売り払うのも野暮な話だ。
 この花は優しさの証明として、美しい景色への思い出として、大事に持ち帰ることにしよう。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

 お疲れ様でした。
 花を保護しようという動きがかえってよい戦闘方法になりましたね。
 (売り払っちゃうと何か台無し感があるので)
 ご褒美にと貰った花はフレーバーとしてお持ち帰りください。

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