PandoraPartyProject

シナリオ詳細

面白い話を募集します

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●今日も今日とて騒がしい

「暇です」
「そういわれてもこっちが忙しいのです」
 ローレットへとやってくる依頼の数は多い。
 特に今なんかは緊急事態であることも合わせて凄まじい忙しさだ。
 無論こうなってしまえば『新米情報屋』ユリーカ・ユリカ(p3n000003)であろうとも忙しくなってしまうことに変わりはない。
 だが、そんな状況にこそ空気を読まない奴がいる。
 それが何度かローレットに顔を出している自称医者のウィンという人物だ。
「まぁ、それはそれで何人か面白い経験している人いません?」
「面白い経験なのです?」
「ええ、面白い経験です。前に望んだ夢を見れるアイマスクを作ったじゃないですか。あれを更に実用化させて、事前に設定した内容を見れるシステムを作ってるんですよねぇ」
 ほへー、凄いのです。と半ば理解が及びきっていないがとりあえず相槌を打つ。
「ただまぁ、私の見てきたものなんてありきたりですし、こう血沸き肉躍るような大冒険が体験できるかと言われるとそうでもないのですよね」
「えーと、つまりどういうことなのです?」
 結局、何がしたいのか、という事なのだが。
「ローレットの皆さんが今まで経験してきた面白れぇ話を聞かせてもらって。それを元に疑似冒険世界を作るんですよ」
 つまるところ、彼女が仮想世界を作る為に面白い話をしてくれ、という事だった。
 とはいえ、現実にあったことをそのまま伝えなくてもいいだろう。
 さらに言えばこの世界であった事でなくてもいい、つまりどんなことでもいいので面白く伝えればいい、という事だろう。
「それでお金が出るなら大丈夫なのですけど」
「ああ、そりゃあもちろん。さっくり聞かせてもらえりゃ何よりですよーう」
 であればささっと済ませてお帰り願おう。
「それじゃあちょっと声かけてくるのです。待っててくださいなのです」
「面白れぇの頼みますよーう!」
 まぁ、とりあえず誰でもいいやと思いつつ、ユーリカは手当たり次第に声をかけていく事になる。
 その時彼女は思っていなかった、あんなに大変なことになるなんて……。
 いや、大して大変なことになる事は無いのだけれども。

GMコメント

 トビネコです。またまたやってきましたこの厄介者。
 今回は大きなお仕事でもなく、単純に皆様が今まで経験してきた話の一つを聞きたい、という事でローレットに居座っています。
 結構場所を占領してるので割と邪魔です。面白い話を聞かせてさっさとご退店願いましょう。

 依頼の説明をさせていただきますと、今回皆様が話を聞かせて頂いた内容を元に彼女が一つの仮想世界を作り上げます。
 その後、彼女はそれを使って何かしらの商売をしようと企んでいますが、特に皆さんに何かが降りかかる事は無いはずです。多分。
 なので思う存分好き放題な話を出しても良いですし、相談の上で合わせた話でもいいですし全く関係ないカオスでも、経験に基づいた話でも構いません。

 依頼の詳細は以下となります。


●面白い話について
 内容はどんなものでも構いません。
 とにかく皆様が面白いと思う話を彼女にしてあげれば大丈夫です。
 真偽も特に追及しませんので、嘘八百でも実際に起きた事でも問題ありません。

 何はともあれ、皆様が提示した話を元にきっと彼女は作品を作るでしょう。
 その作品が名作となるか、迷作となるかは……皆さん次第です!

●依頼人について
 自称医者のウィンという女性です。
 眼鏡の金髪、赤い外套の特徴的な人物でローレットにはそこそこ顔を出してきています。
 人をおちょくったり面白い反応を見たりする悪戯好きなタイプですが、ツッコミ属性も付いているのでボケ倒せば勝手に疲れて倒れる可能性はあります。

●注意点について
 話の内容に関して、少なからず登場人物が現れる可能性は多くあります。
 しかし、シナリオに参加していない他PC様や他GM様のNPCなどに関しましては、明確な描写は出来ません。
 こちらはご注意いただければと思います。

 以上となります。
 話を聞かせるだけのおいしい依頼、とてつもない作品が出来るんだろうなぁと期待してわくわくしております。

  • 面白い話を募集します完了
  • GM名トビネコ
  • 種別通常
  • 難易度EASY
  • 冒険終了日時2018年12月14日 21時35分
  • 参加人数8/8人
  • 相談4日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ノリア・ソーリア(p3p000062)
半透明の人魚
カタリヤ・8・梔(p3p000185)
唇に蜜
セララ(p3p000273)
魔法騎士
ポテト=アークライト(p3p000294)
優心の恩寵
グドルフ・ボイデル(p3p000694)
イシュトカ=オリフィチエ(p3p001275)
世界の広さを識る者
最上・C・狐耶(p3p004837)
狐狸霧中
ライハ・ネーゼス(p3p004933)
トルバドール

リプレイ

 ローレットの一角のテーブルでは9人が席を囲んでいた。
「皆さんのお話、きっと愉しいものなんでしょうねぇ」
「ゲハハハッ! こう、トビキリの話でドッカンドッカン言わせてや(自主規制音)」
「お、そういう話は大歓迎ですよ、そもそも私もこ(自主規制音)」
 『山賊』グドルフ・ボイデル(p3p000694)とウィンが開幕から飛ばしすぎている。
「もう、ちゃんと話を作るための参考なんだから」
「話自体は悪くないのだけどね。場も考えた話にしていくとしよう」
 そっと『唇に蜜』カタリヤ・8・梔(p3p000185)が制し、『世界の広さを識る者』イシュトカ=オリフィチエ(p3p001275)が方針を正す。
「ほんとに繋がるのかしら……」
 のっけからこんな状態に少々不安を隠せない。
「大丈夫だろう。そうでなければ無作為に話を集めたりなどするまい」
 テーブルに並べられたお茶をすすりながら、『優心の恩寵』ポテト チップ(p3p000294)は自分の番を待っていた。
「まぁ、ありふれた話しかないのですが」
 『狐狸霧中』最上・C・狐耶(p3p004837)はとため息をついて、周りを見た。
 とりあえず誰から話を始めるのか、というところになるのだが。
「そうだね。特に順番は決めていなかったが、順序はあった方がいいだろう」
 『トルバドール』ライハ・ネーゼス(p3p004933)も順番はあった方がいいだろうと提案した。
「あ、だったらダイスを借りてこようよ!」
 『魔法騎士』セララ(p3p000273)はそんなことを提案した。
「それはいいですの。ちょっと借りてきますの」
 『半透明の人魚』ノリア・ソーリア(p3p000062)が、ローレット内を泳ぎながら奥から一組のダイスを借りてきた。
「それじゃあこれで決めるとして……まーずは」
 ころころとダイスが転がる。
「なるほど、私ですね?」
 ふふ、とライハは笑う。
「では、私の『聞いた』物語を語ろう」

 ある所に正義感の強い少女がいた。悪を許せぬ善を尊ぶ素晴らしい人物だった
 だからこそ許せない事があった。己が故郷にとある『モノ』が蔓延していたのだ
 それは人々の心を蝕む『モノ』段々と正気を失わせていく禁断の『モノ』それは――

「それは……?」
 引き込まれるようにセララが聞き返せば、ライハはふふ、と笑う。
「パンツさ」
「はい?」
 突拍子もない発言に、周りが固まった。
「聞こえなかったかね、パンツだともパンツ」
 下着。基本的にはそういうものだが、ライハの話のそれは違った。
「郷にはなんと何時の間にかパンツが蔓延していたのだ。パンツだからな当然摂取した者はとめどない多幸感に溢れ、夢と現実を誤認する症状を得る。恍惚とした表情で毎日毎日パンツを摂取してしまうのだ」
「は?」
「なるほど、確かに」
 突っ込みきれないと言わんばかりの最上を差し置き、グドルフは何かを理解していた。山賊だからだろうか。
「老若男女おっさん問わずパンツの虜に皆が成っていた。少女はこの現実に憤怒した。我が故郷を汚したのは誰だと。パンツの生産元を突き止めるべく彼女は走りついに見つけた――パンツ農園を」
 パンツは当然のごとく畑から採れ、少女は怒りと共に農園を焼き払う。
 そして全てを焼き払った彼女は更地の上で、満足そうに立っていた。
「す、すごい結末ですね……」
 どうしてそんな早大になったのか。ノリアがあっけに取られていると、ライハは笑う。
「そして彼女は安全だと伝えねば、そう思って帰ることになる……」
「ハッピーエンドで終わる感じですかねぇ?」
 ウィンの反応を見て、いや、と彼は付け加えた。
「帰る彼女の手にはね。憎いはずのパンツが、しかと握られていたのだよ」
 彼女もまた、そんなものに捕らわれたのか。
「ふむふむ。しかし凄い話になりそうだね。のっけからパンツを握った状態で話が始まる」
 イシュトカはカップ片手に微笑んだ。
「ほんとに繋がる……? なんかもう不安だけど、次は私ね」
 続けてカタリヤが話を始めだす。
「さて、どうせなら冒険の話がいいわね。ある時、若い冒険かぶれの貴族達が船出したらしいの。召使を連れてね」
 おお、パンツよりは無難そうだ。という具合に落ち着いた雰囲気が流れ出す。
「けど流れ的にパンツを求めて船出したんじゃねぇか?」
「ダメです」
 グドルフが思ったことを言った矢先に最上が即座に制した。
「哀れなのはその召使い。旅慣れない坊やたちを、たった一人でお守りしながらよ」
 絹の服に指輪ばかりを付けた貴族たちを守りながら、たどり着く頃には疲れ果て、ハサミ握ったままばったり倒れてしまった。
 一息つくと、周りから声が上がるが、カタリヤは「でね」と続ける。
「……目を覚ましたら真っ暗。生臭い、不気味な気配が漂っていてあちこちから薄気味悪い呻き声がするの」
 イシュトカはそれでも面白そうに話に聞き入っている。
「必死にもがいて、まだ持っていたハサミをしょきん! 刃を閉じたとたんばらり、と暗闇が剥がれて明るくなって、目の前には大きな、真っ黒な羊が」
「ひ、羊が……?」
 セララが恐る恐る問う。
「手に切り裂かれた羊の皮を持って、べぇぇぇぇ!!」
 迫真、カタリヤの叫び。
「って耳を塞ぎたくなるような悲鳴を上げて、ふっと消えて……そして、召使いは自分が、何匹もの羊に囲まれていることに気づいたの」
 あのままでは自分も羊に変えられていたんだ。と告げて話はひと段落についた。
「繋ぐとすれば……パンツにされる話かな?」
 違うから、とライハに総ツッコミが入った。
「あ、次は私ですね。では……そうですの、船と海というのもありますし、不思議な物語にしますの」
 次はノリヤであるとダイスが指し示す。
「海のどこかには、途方もなく大きな神殿が、沈んでいるといいますの」
「ほう、実に興味深い」
 イシュトカが興味深そうに反応する。
「そこには海山よりも大きな石版が無数に納められていて、そこには誰も知らない文字が縦横無尽に並んでいるそうですの」
「いいですね、冒険者っぽいです」
 最上もようやくまともそうな話が出てきたと頷く。
「でも、そこに書かれている文字をどこから読もうかなんて、気にする必要はありませんの」
 気にする必要はない? そんな言葉が聞き手から上がった。
「ここはふしぎな神殿で、適当に目の前の文字から読みはじめた訪問者は、"偶然にも"それが読みたかったものであったことを、理解してしまいますの」
「ちょ、ちょっと怖くなってきた」
「大丈夫よ、お話だから」
 セララが身震いすると、ポテトがそっと彼女に手を添える。
「文字は言葉にあらわせないほど臨場感あふれる描写で、まるで自分がその世界に入ったかのようになり、自分が物語を読んでいるのか体験しているのかすら判らなくなって、物語に没頭してしまい…そしてある瞬間、ふと気づきますの」
「な、何に?」
「石版の文字を読んでいる自分の体験も、実は別の物語を読んでいるだけなのでは、と」
 そう思って探した訪問者は、その物語を見つけてしまう。
 なぜならこの神殿の名は、『万物を物語る神殿』
「うん、今の僕達も実は誰かに作られた物語、かもね?」
 ふふ、とライハが笑うがこの話の後だと笑い事ではない。
「はたして、あなたは次に目覚めたとき、今までの自分の体験が物語の中のものではないと、胸をはって答えられるでしょうか?」
 不可思議かつ幻想的な話が終わると、自然と拍手が周囲から沸いた。
 勝手にギャラリーも増えていたようだ。
「面白えじゃねぇか、我ながら考えちまったぜ」
 笑いながらゲドルフがジョッキをテーブルに置くと話を始める。次は彼だ。
「丁度海に沈んでパンツを忘れられそうな流れになったりましたね」
「ゲハハッ、んじゃ特別にこのおれさまの武勇伝を聞かせてやるよ。涙なしにゃあ語れねえ、おれさまの伝説をよ……」

 時は30年前!
 超絶イケメン最強の勇者として名を馳せていたゲドルフ!
 ある日、彼は報酬に目がくらんで、亡国の姫を助け出す事となった!

「何か雰囲気がおかしいね?」
「語られ方が違いますの」
 勢いとテンションの差だろうか、自分の事を語るゲドルフの流れがどうにも劇画めいて見えてくる。

 乗り込んだその先は、なんと! 覇竜の連中の住処だった!
 覇竜どもをちぎってはなげちぎっては投げの、ついでに魔種もハナほじりながら小指一本でぶっ飛ばし、ついに助け出した姫を助け出す!
 なんやかんや連れ帰り、手にした報酬はカネではなく姫との結婚、冗談じゃねえ!
 自由を愛するゲドルフは追われるまま逃げ出し、ついでに魔種どもをちぎっては投げの大活躍、姫をハナほじりながらぶちのめして、ついに覇竜を救い出しす!

「いや待って」
「おかしいぞ……?」
「姫様が倒されてます……」
「ループし始めたね?」
「ま、まぁ彼らしいわね」
 一斉に突っ込みが入る。
 誰が誰とは言うまい。
「で、何の話してんだっけ、おれ。ま、いいか。ゲハハハッ!」
 ゲラゲラ笑いながらジョッキを傾ける。
「では私も話をしようか。これまた昔聞いた話だけどね」
 次はきっとまともだろうと思いながら、皆がイシュトカを見る。
「若い商人と、老いた商人がいた。二人ともが商才に長け、有能な商人が少なからずそうであるように、優れた詐欺師でもあった」
 よくある始まりから、少し不安を募らせる内容で始まった話。
「二人は仕事では手を組んでいたが、そのことが感傷に繋がるのを嫌ったので、こう誓いを立てていた……」
 もし何かの機会に相手を完璧に騙しおおせた時には、騙された方は一切合財を差し出すべきこと。
 語るように、イシュトカは始めた。
「彼らも時には法の手によって囚われることもあった。だがその時は、二人同時に捕まったのがよくなかった……官憲は二人にこう取引を持ち掛けた」

 ――仲間を売れば見逃す、と。

「おいおい、そいつぁできねぇぜ」
「グドルフさんらしいの」
 がっはっはと笑うグドルフと笑うと微笑むノリア
「ふふ、君達ならそうだろう。だが彼らはこう考える。最も損なのは黙っていることだ、と」
 実際に若い商人はそう考え、実行した。
「生きるためには仕方ないものね」
「胸糞です」
 カタリヤはそう答え、最上はむすっとしていた。
「だが、老いたほうの商人は相手を売らなかった。結果若い商人だけが自由の身となり、牢へ老いた商人の真意を確かめに来た」
 そして、老いた商人は言った。
「完璧に騙しおおせたぞ」、と。
 若い商人は、誓いを反故にしなかった。
「一切合財を人に差し出したからには、自らの思うままに生きていたのでは筋が通らない。だからかつては茶番だと切って捨てた生き方に己を捧げた」
 そうして彼は老いた商人の生き方が馴染むようになってから今もまだ考える。
「彼が何を考えていたのか……とね」
「難しいものだな」
 じっと話を聞いていたライハがそう答えた。
「あくまで聞いた話だ。聞いた話だ、が。ふふふ。少しばかり照れ臭いね」
 照れくさそうにイシュトカが笑う。
 話も進んできて、あと3人。
「私ですね」
 最上が出番と聞いて話し始める。
「貴族の話をしましょう。とてもありふれた幻想貴族の家の話です、はい」
 あら、とカタリヤがほほ笑む。
 貴族の話を持ち出した同士だからかもしれない。
「まぁ、弱小貴族の話です。弱小で、善良な当主とその妻、そして子供がいた普通の貴族の一家です」
 そしてこれはシャイネンナハトの話です、と彼女は付け加えた。
「その家は一般的な貴族であるが故に、当然シャイネンナハトも祝いました。家を飾りつけ、家の子供もそのささやかなイベントを楽しみにしておりました」
 そんな子供に母が言った。
「ツリーがありませんね。取りにいきますよ」
 と、子供は何を言ってるのかわかりませんでした。ツリーを用意するのはともかく、何故取りに行くのでしょうか。
 ですが、母はそのまま子供に用意をさせました。寒冷装備を身に着けさせ、家を出たのです。
「え、なんで? 寒いのに」
 どうして母親がそんなことをさせるのか、セララには全く理解ができてない。
「雪深い時期です。寒さは容赦なく体温を奪い、深い雪は体力を奪っていきます。ましてや子供の体力はそう長く続くものではありません」
 ですが、母は容赦しません。
「酷いの……」

「良いですか、どのような状況でも最適な動きと無駄な体力の消費を抑えることは大事です。それが出来てこそ一流です。このような日はその訓練に最適なのですよ」

 母親の言葉を最上が言葉にする。
 子供は母の言っていることがよくわかりませんでした。
 何故シャイネンナハトにやらないといけないのか、追い立てられるように進むうちに子供の記憶は途中から途切れ、よく覚えていないままに終わる。

「ありふれた貴族の話です。参考になりましたでしょうか」
「ありふれたっていうにはなーんというか物々しいですねぇ?」
 メモを取る手を止め、ウィンはニヤリと笑う。
「実に分かりやすく伝わりやすく、誰の話なのでしょうね?」
「とある貴族ですよ」
 最上はぷい、とウィンから顔をそむけた。
「ご機嫌斜め? それじゃあ私は未熟な精霊の話をしよう」
 ポテトが最上を心配しながらも話を始めた。
「ある所に未熟な精霊がいた。その精霊は珍しい「時」に干渉することが出来る精霊であり、同時に酷い方向音痴だった」
 少し遊びに行くだけのつもりが気が付けば全然違う方向に、それが日常茶飯事。
「迷子さんなのですの」
「大変そう……」
 ノリアとセララが不安そうに話を聞く。
 そんな様子を見ながら、ポテトは微笑み返す。
「だけどその精霊は何事も楽しむ気質の持ち主だったので、迷い込んだ先にある物を楽しみ、そして生まれた場所に帰るために歩き続ける」
 そんな中で精霊はいくつもの出会いと別れを繰り返したんだ、と付け加える。
「なるほど、出会いと別れの物語ですね」
「話も随分まとまり始めましたね」
 イシュトカとライハがうんうんと頷く。
 誰が原因でゆがみだした、という突っ込みはあえてなかった。
「自然豊かな国で黄金の毛並みを持つ竜と竜に愛された料理人と出会い、美味しいご飯を沢山貰い、人が踏み入ることが出来ないような深い森と山の奥で人と愛しあった故に時の流れに一人取り残され、それでも尚その人を愛し続け、いつか再会出来ることを待ち続ける精霊と沢山の話をした」
 どこまでも続く砂の海の中で、求愛の為に月の欠片を求める青年と一緒に月の欠片を探したことも。
 人知れず世界を守り続ける一族に少しだけ手を貸したこともあった。
 だけど……と話はいったん止まった。
「酷い方向音痴のせいで、精霊は生まれ育った仲間の元へ中々帰れなかったある日、精霊はある世界に迷い込んでしまう」
 感慨深く、ポテトは続けた。
 元居た世界とは違う理に縛られた精霊は、一人新しい世界を彷徨い歩いた。
 そして疲れで限界を迎える直前に、新しい世界で居場所を見つける。
 迷子の精霊が、あったかくて優しい帰る場所と大好きな家族を見つけるまでの旅のお話。
 一通り語り終えて、ポテトはふうと息をついた。
「なるほどなるほど、良い経験でしたねぇ」
「お話だよ」
 ふふ、とポテトはウィンに笑いかけた。
「皆凄かったなぁ、だからこれ、はい!」
 気が付けばセララは7冊の漫画を皆に配った。
 内容は皆が話したもの、彼女のギフトで作り出したものだ。
「最後はボク! 地球にいた時のボクのお話だよ」
「ほほう、地球ですか」
 興味深そうにウィンがメモを手にする。
「うんうん。世界を救う愛と勇気の物語! アニメにもなったんだよ? すごいでしょー!」
 それじゃ、始めるね! と漫画を片手に話を始める。
「秋葉原に落下した隕石。それは複数集めれば願いを叶えるという『聖石』だったの。全国から数多の魔法少女が集まって、石を巡って対立して……ボクも争奪戦に巻き込まれっちゃったの」
「ゲハハッ! 奪い合いいいじゃねぇか」
「山賊じゃないんだから、もう」
 ゲラゲラ笑うグドルフをポテトが宥める。
「戦いはどんどん激しくなってね。白い悪魔を何とかやっつけたんだけど、ネットの『魔法少女人気投票』で勝負だって挑戦状が届いてもう大変!」
「なんか違う方に行き始めてません?」
 混沌としてきたがもう何も言うまい。
「ボクはそこで負けちゃって……聖石は奪われちゃったの。そうして悪の魔法少女は秋葉原上空に空中要塞を呼び出して世界征服を宣言。止めるしかないよね!」
「ふむ、どうやって空中要塞を……」
「未知の技術ですね、気になります」
 真面目に気にするイシュトカに、適当にライハは相槌を入れた。
「皆と協力して突入! 途中でたくさん仲間が倒れたけど、ボクは何とか最後までたどり着いて、聖石を取り戻したんだ。そしてお願いを……」
「……あれ、最後は?」
 最上が結末を語らないセララを見て頭に?マークを浮かべる。
「えへへ、用意がなかった」
「ちょっと」
 一斉に全員が突っ込みを入れる。
「お、オチねーじゃねーですか……後で考えますか」
 ともあれ、話は一通り終わり、報酬です。と彼女は全員に報酬金を手渡す。
「話は後日まとめて……うまくできたらテスト依頼でも回しますよーう。そのときゃ頼みますね?」
 何はともあれ、依頼は完遂、話はこれで完成するはず……きっと、良い話になるはずだ。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

皆さまお疲れさまでした、参考にさせていただいた話をもとに、話はきっと完成するでしょう。
概要をまとめるのであれば……『人々を蝕む禁断のパンツが蔓延る世界で、パンツに蝕まれた貴族たちを守りながら振り回される召使が、海の底で見つけた遺跡で見つけた物語。超絶イケメン勇者がシャイネンナハトの日に少女と精霊と出会い、商人達との騙し合いを超えて、世界を救う愛と勇気の物語!』です。
とんでもない混沌です……もしかしたらこの話を参考に本当に疑似世界ができるかもしれませんし、全く別のアレンジをされた話になるかもしれませんが、それはまた別のお話となります。

以上となりますが、参加していただき、ありがとうございました。

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