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シナリオ詳細

補給線に向かうロケットバードを阻止せよ!

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●痛快特急ロケットバード
 悪い事というのは重なるものである。
 幻想南部から王都へ侵攻を開始したキング・スコルピオ率いる新生砂蠍。
 これに対し、幻想貴族達も軍を上げて対抗する動きを見せたが、同時に北部戦線でも幻想と鉄帝の衝突が始まった。
 混迷を極める幻想。
 どっちをとっても大きな戦いだ。前線もさることながら後方ではあらゆる兵站が準備され、現地への輸送が行われていた。
 悪い事というのは重なるものである。
 幻想北部、北部戦線へと至る補給線。
 今、そこは最大のピンチを向かえようとしていた。

「み、見えた! 本当に来た! ロケットバードの大群だ!!」
「十……二十……くそ! 多すぎる!!」
 補給物資を運ぶ輸送部隊、その隊員が悲鳴をあげた。
 ロケットバード。
 死ぬまで突撃を繰り返す過激なこの鳥は、突発的に湧く自然災害のようなものだ。
 通過点に何があろうと突き進み、あらゆる物を蹴り飛ばしていく恐るべき魔物である。
 それが今、北部戦線へと補給物資を運ぶ輸送部隊目がけて走ってきているのだ。
「あんたらの言ったとおりだったな。本当に出やがった。
 いいか、俺達は止まらない……いや止まれない。ロケットバードをやり過ごせるところまで一気に走る。
 その間、ロケットバードの侵攻をなんとしてでも妨害してくれ! 頼んだぞ!!」
 輸送部隊の隊長がそう言ってあなたの――イレギュラーズの肩を叩いた。
 そう、輸送部隊の護衛を買って出ていたイレギュラーズの出番なのだ。
 『黒耀の夢』リリィ=クロハネ(p3n000023)から伝えられていた情報通りに、ロケットバードは現れた。こうなった以上、ローレットのルールに則り、依頼をこなす以外に道はない。
「ロケットバードは自爆覚悟の特攻野郎だ! 一匹一匹をまともに相手をする余裕はないぞ! とにかくどんな手段を使ってもいい、その進路を妨害してくれ!」
 相手を巻き込み真っ直ぐ突撃するだけのロケットバード。一撃をいれて進路を変えるのも良い、身体で受け止め進路をねじ曲げるのもアリだ。範囲攻撃で大きく吹き飛ばすのも良いだろう。
 とにかく、輸送部隊の積み荷に被害をださず、やり過ごすしかないのだ。
 土煙をあげて迫り来るロケットバード。その数五十超。
 今、補給線を護る為の決死の戦いが始まろうとしていた!

GMコメント

 こんにちは。澤見夜行(さわみ・やこう)です。
 ジーニアス・ゲイムのその裏側で。
 痛快特急ロケットバードの進路を妨害してください。

●依頼達成条件
 輸送部隊の積み荷を守る。

●依頼失敗条件
 ロケットバード十体の進路妨害を失敗する。

●情報確度
 情報確度はAです。
 想定外の事態は起こりません。

●ロケットバードについて
 生きるも死ぬも全速力。止まる事の知らないこのアホウ鳥は自らの生存を賭け走り続ける。とっても傍迷惑である。
 数は五十超。後続がさらに増える可能性もあります。
 高反応、高機動力でとにかく前進します。その突撃には触れたものを皆弾き飛ばす【反射】持ち。
 突撃に巻き込まれると、ものすごく痛いです。体力的な余裕はないものと思って下さい。
 耐久力もありますが、進路に対するこだわりはないのでちょっと妨害すればすぐに方向転換します。
 とにかく前進するこのロケットバードの進路を妨害し、ねじ曲げ、輸送部隊から遠ざけてください。

 ロケットバードの先頭が輸送部隊にぶつかるまで三ターン分の猶予があります。R4の距離です。
 集団でまとまっていますが、先頭の進路に従わずとにかく前進です。ムーヴムーヴ。

●戦闘地域
 幻想北部の荒野になります。
 時刻は十時。
 障害物の何も無い環境でロケットバードにとってみれば絶好のダッシュポイントになります。

 そのほか、有用そうなスキルやアイテムには色々なボーナスがつきます。

 皆様の素晴らしいプレイングをお待ちしています。
 宜しくお願いいたします。
 

  • 補給線に向かうロケットバードを阻止せよ!完了
  • GM名澤見夜行
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2018年12月19日 22時20分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

アルプス・ローダー(p3p000034)
特異運命座標
ノリア・ソーリア(p3p000062)
半透明の人魚
主人=公(p3p000578)
ハム子
善と悪を敷く 天鍵の 女王(p3p000665)
レジーナ・カームバンクル
ヨルムンガンド(p3p002370)
暴食の守護竜
ミニュイ・ラ・シュエット(p3p002537)
救いの翼
リナリナ(p3p006258)
湖宝 卵丸(p3p006737)
蒼蘭海賊団団長

リプレイ

●ドドドドド……!

 ――これは後にイレギュラーズが語った回想の話である。

 荒野に響き渡る地響き。
 それはつまり生きるか死ぬかを賭けた生命の鼓動に他ならない。
「ロケットバードの侵攻をなんとしてでも妨害してくれ! 頼んだぞ!!」
 輸送部隊の隊長に肩を叩かれたイレギュラーズは、列を成し先を急ごうと進む輸送部隊を守るように荒野に降り立った。
 向けた視線の先には、立ち上る砂煙。目視できる影は――予想以上に大きな姿を表している。
「兵站を支える補給線を阻害してきたのが魔種や砂蠍でなくて良かった……とは言えませんね。
 この依頼の失敗が決戦の失敗に繋がる可能性は、あるのです」
 アバターをその背に跨がせて、『二輪』アルプス・ローダー(p3p000034)がエンジンに火を入れる。
 新生・砂蠍との決戦の最中である。補給線を断たれるというのは、大勢に影響を与えるかはともかく、小さな失敗には繋がるようにも思われた。
 その可能性を認識するアルプス・ローダーは、例えそれが自然災害的な相手であっても油断なく依頼へと望む姿勢を見せる。
「すごいスピードですの。
 ロケットバードたちが、突撃に命をかけているのなら、わたしも、同じ意気込みで返さねばなりませんの……。
 海の中では、おそろしい捕食者たちを相手に、命をかけて逃げつづけてきたわたしの覚悟……いざ、ご覧あれですの!」
 弱肉強食では肉の側であることを自覚する『半透明の人魚』ノリア・ソーリア(p3p000062)が気合いを入れる。
 命を賭けて走り続けるロケットバード。その生き様に対抗するように、自らの被捕食者としての覚悟を見せる。
「集団自殺するネズミの都市伝説じゃあるまいし、暴走して何があっても直進し続けるダチョウ(?)って、生物として大切な何かを忘れちゃってるんじゃないかな……」
 それは生存本能というものだろう、と男性アバターの『ハム子』主人=公(p3p000578)が呆れ顔で肩を竦める。
 ロケットバードの生態が解明されていない以上、それを論じる事は難しいが、きっとマグロやなんかと同じで走り続けないと生きていられないのだろう。その先に待っているのは死という結末だけというのが、救いようのない話ではあるが。
 『レジーナ・カームバンクル』善と悪を敷く 天鍵の 女王(p3p000665)がその事実に一つ頷き言葉を零す。
「その生は、ただ走るためにあるのかしらね。
 それでこっちが巻き込まれても困るから妨害させてもらうけれども」
 ロケットバードがこちらの都合を考えないのと同じように、こちらもロケットバードの都合など考えてはいられないのだ。
 この輸送部隊の積み荷がなくなれば、今最前線で盗賊達と戦う者達に、少なからず影響がでる。それを看過するわけにはいかないのだ。
 迫り来るロケットバードの集団に目を細めて、『世界喰らう竜<ワールドイーター>』ヨルムンガンド(p3p002370)が感心する。
「本当に来たなぁ……! リリィの予知は流石だな……。
 生きるのも死ぬのも全力というのは中々肝が据わった連中だな?
 悪いがこれより先は通行止めにさせてもらうぞ……!」
 用意していた黒い練達製のフルカウル型バイクに、対策グッズを積み込むヨルムンガンド。アルプス・ローダーと並ぶと、荒野にバイク二台と中々絵になる光景だ。
「いっそこのまま、どこかの戦線で敵軍に突っ込んでいってくれたり……しないよね、まあ」
 無表情にそんな期待を口にする『応報の翼』ミニュイ・ラ・シュエット(p3p002537)。
 そう都合の良い事は当然起こらないだろう。むしろ戦線に突っ込めば盗賊達のみならず貴族やイレギュラーズ側にも被害がでるのは想像に難くない。自然災害とまで言われるのだから当然だろう。
 そんな風に各地の決戦について考えるミニュイのような者もいれば、目の前に降って湧いた”食料”に興奮するものもいる。『輝く太陽の息吹』リナリナ(p3p006258)だ。
「おーっ、旨そうなトリ肉!
 トリ肉いっぱい突っ込んできたゾッ!! ラッキーだな!
 ツイカショクリョー! 追加ショクリョー!
 ツイカショクリョーいっぱい!」
 困難な事態を前にしても涎を垂らす様はポジティブシンキングだ。ちなみにロケットバードの肉は結構美味しいらしい。輸送部隊の人間にそれを聞いたリナリナのテンションはさらにあがるのだった。
「トリ肉はともかく、危機に陥っている輸送部隊を放っておくことはできないんだからなっ!
 ロケットバード進行阻止作戦開始だ、卵丸に続け!」
 声を上げた海を未だ知らない、海の男『湖賊』湖宝 卵丸(p3p006737)はロケットバードの進行地点にトラップを仕掛ける。ロープで足を引っかける単純なものだが、その効果は如何に。
 各人思い思いの考えを巡らせて、ロケットバードの進行阻止へと立ち上がる。
 荒野の先、幾重にも響くロケットバードの駆け足。まるで自分の身体も揺れてるのではないかと錯覚するような地響きを感じながら、奴等が射程に入るのを待ち構える。
 勝負は一瞬。最速最短の駆け引きが今始まろうとしていた。

●ムーヴムーヴムーヴ!
 走る、走る。
 大地を蹴り上げ、土煙を巻き上げて、止まる事を知らない命知らずのアホウ鳥がまだ見ぬ我が家(ホーム)を求めてただ走る。
 先頭を走るリーダーの後を付け、楔形に広がる集団は、まさに輸送部隊の進路上に突撃する格好だ。
 たとえ、目の間に障害物があろうとも、ロケットバードは止まる事を知らない。目が見えていないのではないかという学説もあるが、それを検証している暇など今はない。
「ロケットバード。
 その名に相応しい走りですが――本物のロケットに勝てるとは思わないでくださいよ。
 さて、ひとっ走り付き合ってもらいますよ!」
 アクセルを解放すれば甲高いエキゾーストが唸りをあげる。
 荒野であったとしても、オフロードバイクであるアルプス・ローダーに走破できぬ大地などないのだ。
 アバターがシフトを一速にいれてアクセル・オン。後輪の地滑りをコントロールし、見事なアクセルターンを決め走り出す。
 低回転のトルクに定評のあるオフロードバイクは一気にスピードの高みへと昇り詰め、クラッチを介さないアクセル・オフからのギアチェンジが更なる加速を齎す。
「割り込みで邪魔させてもらいますよ――!」
 アルプス・ローダーの作戦は、味方の範囲攻撃の邪魔をしないようにロケットバードと並走し、真横からのマーク・ブロックによる進路妨害だ。
 タイヤが巻き上げる砂煙も良いようにロケットバードのストレスを高め、甲高いエキゾースト音は騒音とも呼べる音となってロケットバードに危険を知らせる。
 これをロケットバードの五匹が邪魔と思ったのか、呆気なく進路を変えて走り去って行く。なるほど、どんな簡易的な手段であっても気が引ければ――邪魔が出来れば――ロケットバードの進路妨害は簡単なようであった。
 この先手をとったアルプス・ローダーの動きに仲間達も一斉に動き出す。
「反射を持ってるって事だったけど……どうなるかなっと!!」
 仲間の前に出て、先頭を行くリーダーロケットに狙いを付けた主人=公が全身の魔力を破壊力へと変換し魔力の弾丸を編み上げる。
 放たれるは全てを飲み込む魔砲だ。
 轟音とともに発射される魔力エネルギーの弾丸が先頭を走るリーダーロケットへと吸い込まれていく。
 直撃――まさにそう言うしかない完璧な軌道を描いた魔砲が、先頭を穿ち、後続集団をも射貫いていく。
 瞬間、まるでガラスを破砕したような、金属破裂音が響き渡る。
「うわ――っ!」
 ロケットバードへと吸い込まれた魔砲が、まさに反射するように主人=公を目がけて跳ね返って来た。
 自らの放ったエネルギーに肌を焼かれながら、グッと歯噛みして耐える。
 なるほど確かに反射だと納得するが、これならば構う事はないと、攻撃続行の構えを見せる。
 魔砲の直撃を喰らったロケットバード達は攻撃を反射しながらもその進路を変えていく。
「おーっ、戦いの舞!」
 テンテケテンテケ、と戦舞を披露するリナリナは、ロケットバードの先頭集団に肉薄していた。
 舞いを踊りながら自らの戦意を高揚させると、いざトリ肉の捕獲作業の始まりだ。
 大きく息を吸い込んで、イメージするは三つ首肉食大恐竜。
「ガオォォォ~~~!!」
 きっと誰もが思う似てない判定の雄叫びがロケットバード達に浴びせられる。これに対してロケットバードが驚きながら身震いすると、まるで山びこのように音が返ってくる。
「おーっ、耳がーっ」
 返ってきた自分の声に耳を塞ぎながら、しかし諦めずに進路を変えなかったロケットバードの群れへと飛びかかる。
「るらー!! 肉! 肉!」
 ロケットバードの群れの中心でとにかくしっちゃかめっちゃかに暴れ回るリナリナ。もう頭は肉のことしか考えていない。その肉々しいロケットバードの臀部に噛み付いて離さない。
 先頭を走っていたリーダーがイレギュラーズの攻撃で進路を変えた事で、新たなリーダーが即座に生まれる。
 その進路を妨害するのは卵丸の仕掛けたトラップだ。
 まるで目が見えていないように走るロケットバード。その先頭がロープの罠に掛かって転倒する。歩みを止めてしまったロケットバードに待つのは仲間に踏みつぶされる残酷な未来だけだ。
 しかしトラップは十全に機能したとは言い難い。
 ロケットバード達は先頭が倒れたのを察知する。するとその障害物を回避するようにジャンプし始めた。次々とハードル走のように飛び越えてくる様は圧巻である。
「それなら第二作戦ツルリンスペシャルだ!」
 卵丸が”ゼリー状の何か”を投げつける。さすがにゼリーでは転倒を促せないだろうと思いきや、踏みつけた一匹が見事に転倒した。運が良かったと言うべきか、はたまた転んだロケットバードがアホなのか。何はともあれ数は減らせたことに違いは無い。
 だがこれで大きく時間を稼ぐという卵丸の目論見は、残念ながら目論見通りとはいかなかった。
 迫り来るロケットバードを防ぐバリケードは突貫工事のハリボテである。必殺の海賊戦法もやはり周到な準備が必要というわけだ。
 次から次へと先頭が入れ替わるロケットバードを警戒させるのは、面白可笑しい謎ロボットである。
「う゛ぉー! ぁ”あ”ぁ”あ”……」
 まるで絞められているような悲痛な声をあげるヨルムンガンドの用意したメカ★イエロードラゴン。ドラゴンというか黄色いニワトリのような其奴が、通行止めの旗を振りながら警戒色の悲鳴を上げる。
 一、二匹のロケットバードが興味を示して進路を変えるが、一匹が無視して黄色いソレをはね飛ばすと後続もそれを追従する。
 地面に倒れた黄色いソレをロケットバード達は蹴り飛ばし踏みつけ無視して進む。踏みつけられる度に黄色いソレから「う゛ぉー! ぁ”あ”ぁ”あ”……」と悲痛な叫びが荒野に響き渡る。
 とはいえ、これでは進路妨害にもならないと、ヨルムンガンドが力強い眼光で睨めつけて、更に得意の動物疎通を駆使する。
「向きを変えてくれないなら、これからその走り、邪魔させてもらうからなぁ……!
 怪我したりしたくなかったら少し違う方向に走ってくれぇ」
 これに素直に従うかと思った多くのロケットバード達だったが、ヨルムンガンドの呼びかけを不運にも邪魔する音があった。荒野に吹き荒れる突風だ。ヨルムンガンドの意思ある声は突風に邪魔されロケットバードの耳へとほとんど届かない。ロケットバード達は「とりあえず走る!」と直進を続行する。
 本当に、”不運”としか言いようがないのだが、こういうこともあるのだろう。ただヨルムンガンドの声を聞き入れた二匹は、進路を変えていった。
 動物疎通が上手くいかなかったのならしょうが無いと、ヨルムンガンドは用意したバイクで並走、積み込んだトリモチやマキビシを撒いていく。これにはロケットバードもさすがにたまらんということで、三匹が進路を変えていくが、残りのロケットバードはやはり罠や障害物があるとわかるとジャンプする器用さを見せていった。
 荒野の空を飛ぶミニュイはロケットバードへと肉薄し、ロケットバードを挑発する。
「言葉は通じなさそうだし、ちょっと邪魔させてもらうよ」
 翼に武器の性能を取り込む異能をもつミニュイは、その武器と化した翼で、ロケットバードを小突く。何回か叩くと、ロケットバードもストレスが溜まったように、苛立たしげにミニュイを睨み付ける。
 そうして、四匹のロケットバードの敵視を稼いだミニュイは誘導するように輸送部隊にぶつからない進路をとった。
 ミニュイはロケットバード同士を衝突させようと試みたりもしたが、どういうわけか、走っているロケットバード同士はぶつかろうとしない。前を走るものに道を譲るような動きを見せた。
 これはリーダーロケットバードの後を追うというロケットバードの習性が関わっているようにも思われた。ただし、先頭を行くものを転倒させれば、後ろを走るロケットバード達は突然加速し、先頭となるために必死になるようだ。
 恐るべき生存競争、リーダーロケットを頂点とする縦社会の縮図である。
 使い魔を戦車の姿で召喚し、撤退の準備を周到に用意したレジーナが魔力を手繰る。
 ファミリアーも動員し、聴視覚を共有すれば、戦域の状況を細かに把握する。
「反射が手痛いところだけれど、そうも言ってらないのが実情ね。
 その方向には行かせないのだわ」
 放つ魔法が地面の岩砂を巻き上げて、一直線にロケットバードの群れへと伸びていく。
 二匹のロケットバードに命中する魔砲。同時、金属の破裂音と共に反射された魔砲がレジーナの身体を焼く。
 手痛い反撃とも言えるが、構っている余裕はない。続けてもう一度魔砲を放ち、ロケットバードの先頭集団を飲み込んでいく。
 輸送部隊へと迫るロケットバード達。それを防ぐイレギュラーズ最後の関門、ノリアが力強く宙を泳ぐ。
「集中ですの……ロケットバードたちの進路をよく見て……!」
 コンセントレーションで集中力を高め、グッと意気込めばロケットバードの前へと身を晒し出す。
「さあ! 見るんですの! 貴方達のことは全力で受け止めてあげるの――!」
 ババッと両手を広げて無抵抗を示すノリア。どこからどう見ても確かに隙だらけであり、本人の儚さと相まってこれは捕まえてみたくなる……!
 しかし、そんな感情をロケットバードに求めるのは無理筋だ。目もくれず突撃してきたロケットバードが無慈悲にノリアをはね飛ばす。まるでレーサーマシンと交通事故にでもあったかのように吹き飛び大地に転がるノリア。
 その時、ノリアが大量に用意した様々なアイテムが、はね飛ばされた勢いで宙に舞う。
 キラキラ光る綺麗な宝石、良い香りの香水、かわいいぬいぐるみ、食べずにはおけないアンハッピーターン、そしてノリアを指し示すEATME看板。
 これらにロケットバード達の視線――首――が動いた。首が動けば自ずと進路も逸れていく。五匹のロケットバードが離れていったのを確認したノリアは、傷付いた身体を起こし、さらに突撃をしてくるロケットバードにその身を晒す。
 ママ適正の包容力はロケットバードを包み、まるで反抗期を迎えた子供の憤りを包み込むように抱き留める。抱き留めて――やっぱり、はね飛ばされる。
「KOですの……」
 頑張って二匹の進路を変えるも、残るロケットバードは抑えられない。倒れたノリアがパンドラの輝きに包まれた。
 ロケットバードの群れ、その数五十六。その内五十の進路を変える事に成功したイレギュラーズ。
 輸送部隊の突撃した八匹がぶつかった衝撃で盛大に吹き飛びながらその生涯を終える。
 少なからず被害はでたが、まだ物資は無事だ。
 これならばなんとかなる……そう思ったイレギュラーズは視界に移る土煙を見て戦慄する。
「あ、あれは……」
「第二陣ですか――」
 輸送部隊の進路を掠めるように進む第二陣が殺到する。
 物資を運ぶ荷台はすでにボロボロだ。あと二匹も突撃したら――最悪の状況が脳裏を過ぎった。
「とにかく、やるしかないな……!」
「出来うる限りのことをしましょう」
 ヨルムンガンドとアルプス・ローダーのクラクションが高く高く響き渡る。
 言葉とは裏腹に、この依頼を無事に達成できる気は、しなかった――

●ロケットバードは走るよどこまでも
「まあ、そう気を落とすな。
 確かに物資は――半分ダメになっちまったが、ありゃ自然災害みたいなもんだ。こういうときもあるさ」
 輸送部隊の隊長は努めて明るくそう言った。
 ――結局。
 ロケットバードの第二陣を全て食いとめることは出来なかった。非常に惜しいところであったが、あと一歩力及ばず、突撃したロケットバード二匹が荷台を完全に破壊し、落ちた救援物資を踏みつぶしながら走り去って行くのを見ている事しかできなかった。
 決戦との狭間にあった依頼だ。どこか集中が欠けていたかもしれない。
 悔やんでも悔やみきれないが――輸送部隊隊長の言うように、たまにはこういうこともあるだろう。
 反省を教訓に変え、次へと活かそう、とイレギュラーズは走り去るロケットバードをいつまでも見ているのだった。

成否

失敗

MVP

ヨルムンガンド(p3p002370)
暴食の守護竜

状態異常

なし

あとがき

澤見夜行です。

今回は心苦しいですが総合的に判断して依頼失敗となります。
今回は後続の出現も示唆されていましたが、そちらに対する備えも少なかったように思えます。
本当にあとちょっとという所でしたが、まあゲームなのでこういうこともあります。

依頼お疲れ様でした。
これに気に病むことなく、次に活かしてもらえればと思います。

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