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シナリオ詳細

とうちゃん、おら肉食いてえ

完了

参加者 : 10 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


「父ちゃん! おら、肉食いてえ!!」
 少年の声が田舎に響く。
「牛の肉が食いてえ!!」
 少年の言葉を聞き流す父親に負けじと少年はさらに踏み込んで言う。
「やぁかましいわ! この時期に牛だと!? 阿呆かお前は!!」
「いやだ、いやだ!牛くいてぇ! 牛ぃぃぃ!!」
 駄々こねる少年に深く深く、父親がため息を吐く。
「雄でいいか」
「えーーーー雄は不味いからやだぁぁ」
 ぶーたれる少年に父親が若干冷たい視線を向ける。
「舌が肥えてしまって……はぁ……」
 父親はそうため息を吐くと、立ち上がる。
「父ちゃん!!」
「やかましい。少し待ってろ」
 そういうと、男性は一人、家を出ていった。


「……とまぁ、そういうわけで、ローレットの皆さんにお願いしたいんです」
「牛を殺すのを?」
「はい」
 鉄帝国から訪れたという男性に、君達は思わず聞き返す。
「牛ぐらい、自分達で捕らえられるのでは?」
「そんな馬鹿な! あぁ、いや。普通の牛ならば、そうかもしれませんが……ウチの故郷で言う牛というのは……」
 そういうと男性は一つの羊皮紙を広げた。見ればそれは牛を描いたものだ。
「……この横にいる、小ぶりの人型の生き物は?」
「人間ですね」
「これ、男の人っぽいけど比較対象に描いてる平均的成人男性とかそんなのだったりは……」
「そういうことになりますね」
 一時の沈黙が集まったメンバーたちの周りを包む。
「他のところでみる牛の雑に四倍ぐらいの大きさがあります。ちょうどいい感じに繁殖期を迎えた雌の未経産牛が特に美味しくて……その代わりこの時期は大層気が立ってるのです。普段は猟師数人がかりで狩るんですが、買い取っては見たものの、殺して肉に帰るまではそちらでしろと言われまして」
「一般人には難しいから私達に頼ろうと?」
「はい……あっ、お礼はもちろん致します。そもそも、さすがに食べきれませんし、かと言って流通には乗せないことになってるので、切り売りとかもしてなくて……なので、あまりは皆様で焼肉なりなんなりにして食べていただければ」
「ほう?」
 一人の目が輝く。
 運動した後に食べる新鮮な牛肉――美味しくないはずがない。肉食ってお金までもらえるのであれば、参加しないわけにはいくまいというものだ。

GMコメント

焼肉が食いたい……

こんばんは皆さん。そんなわけで焼き肉を食べ――じゃなかった、牛を討伐しに行きましょう。

【オーダー】
めっちゃでかい牛を討つ。

【牛について】
めっちゃでかいです。
突撃<物至単>
かぶりをふる<物至列>
地面を踏む<自付与、物攻、CT>
以上。
こいつ自体はあんまり強くなかったりしたりします。

【焼肉について】
この戦いが終わった後、皆さんは牛肉パーティをすることができます。
いわゆるA5ランクに相当しそうなめちゃうま肉です。
しゃぶしゃぶ、焼肉など、食い方は自由です。

  • とうちゃん、おら肉食いてえ完了
  • GM名春野紅葉
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2018年12月04日 22時55分
  • 参加人数10/10人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 10 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(10人)

シャルレィス・スクァリオ(p3p000332)
蒼銀一閃
ティア・マヤ・ラグレン(p3p000593)
穢翼の死神
御堂・D・豪斗(p3p001181)
例のゴッド
アレクサンダー・A・ライオンハート(p3p001627)
百獣王候補者
ラクリマ・イース(p3p004247)
白き歌
新田 寛治(p3p005073)
ファンドマネージャ
御天道・タント(p3p006204)
きらめけ!ぼくらの
リナリナ(p3p006258)
フェアリ(p3p006381)
名も無き小妖精
エル・ウッドランド(p3p006713)
閃きの料理人

リプレイ

●いざゆかん、肉の下へ
 一年を通じて寒冷な季節の鉄帝でもやや肌寒い季節になってきたその日、はるばる田舎の放牧地に十の影が現れた。
「最高の焼肉を『プロデュース』して御覧にいれます」
 クイっと眼鏡を定位置に直して『ファンドマネージャ』新田 寛治(p3p005073)。
 馴染みの焼き肉屋とのコネクションで手配した赤身肉用にチューニングしたタレ、醤油と山葵、塩コショウを携えてきっちり肉のカットの仕方まで教えてもらってきている。気合が違った。
「どれぐらい大きい牛なのかな?」
『普通の牛がどうか分らんが、4倍ほど大きいらしいな』
 『穢翼の黒騎士』ティア・マヤ・ラグレン(p3p000593)は自らを操る神様と話ながら持ってきた調理器具やら何やらをひとまず置いた。
(うむ、うむ! ミート…ビーフ!)
 『神格者』御堂・D・豪斗(p3p001181)は何やら感慨深げだ。自分が別段そんなつもりでなくとも、戒律やらなんやらで中々口にしなかったらしい。なるほど、神様ならではの感慨だ。
 豪斗と同じく、牛肉を食べたことがないという『百合烏賊キラー』エル・ウッドランド(p3p006713)は牛肉を食べられることに胸を躍らせている。

 依頼人に手荷物を預けたイレギュラーズはそのまま柵に囲まれた場所へ訪れた。
「牛! あたし知ってるっすよ! 牧場で草とか食べてモーって言ってる奴っす! あれ遅いし弱そうっすけどそんなヤバいんすかねー? やー楽勝っしょ!」
 なんて言うのは『名も無き小妖精』フェアリ(p3p006381)である。『百獣王候補者』アレクサンダー・A・ライオンハート(p3p001627)に乗せてもらって移動している彼女はぱぁぁと華やいだ表情を見せる。
『モ゛ォ゛ォ゛ォ゛ォ゛』
 その時、めっちゃ野太い啼き声がした。ずしんと若干の地響きすら感じさせて、件の牛が姿を見せる。
「……のわー!!! でけえ!!!!???」
 視認したフェアリが呆気にとられて声を上げる。説明した時にいい感じによそ見していたらしい。よそ見してたら仕方ないね。とはいえ、30㎝サイズの妖精である彼女からすれば、ただの牛だってめちゃくちゃにでかいはず。その反応もおかしくはない。
「牛だと。まるで象を相手にしているかのようじゃが……」
 アレクサンダーも頭を上げ、牛の様子を眺める。
「さあ、覚悟しろにk…いや牛! お前は俺の血となり肉となるのだ肉だけになHAHAHA!!」 
 テンション高く言い放つ『白き歌』ラクリマ・イース(p3p004247)の眼には既に牛ではなく肉として映っているようだ。肉ガチ勢の目がメラメラと燃えている。
「おーっ、デッカイ牛肉!! 旨そうだなっ!! 倒すゾッ! 食べるゾッ!」
 とまぁ、燃えているのは何もラクリマだけではない。『輝く太陽の息吹』リナリナ(p3p006258)もまた、
「オーッホッホッホッ! さあ巨大牛よ! 恨みはございませんが、弱肉強食は同じ御天道様のもと生きる者のさだめ!……そう、このわたくし!」
 いつものようにテンション高く立ちふさがる『きらめけ!ぼくらの』御天道・タント(p3p006204)。
 ――ぱちんと指を鳴らし。
「きらめけ!」
 どこからともなく出現した皆様の合唱と――
「ぼくらの!」
 きらりと輝きとともに――
「タント様!!」
 真骨頂と言わんばかりにお嬢様が素晴らしいキメポーズ。轟く拍手喝采大歓声である。
「――が! 美味しく頂いて差し上げますわー!!」
 そんな掛け声とともにふぁさぁと髪を流すタント様の後ろ、『タント様FC会員No.1』シャルレィス・スクァリオ(p3p000332)は彼女を称えるポーズを決めている。
 対する牛は、準備完了とばかりに再び啼くのだった。
「ユー(うし)に罪はないが…ヒーローズ&エンジェルズとゴッドの糧となるが善い!」
 そんな豪斗の発言と共に、戦いははじまる。全ては後の焼肉のために。

●戦闘シーンとかいらなくない? 一応やる?
 タントの華々しく優雅で典麗で明媚で嬋媛で窈窕でもうとにかく半端ないきらめきぶりに士気の上がったレギュラーズは、めっちゃでかい牛を我らの糧に変えんと突貫する。
 背中のロースにサーロイン、ランプ、ひれ、バラ、エトセトラ。大事な可食部位を傷つけまいとラクリマは頭部を集中的に血の鞭で打ち据え、リナリナがガイコツさんで足を集中的にぶん殴る。
 ひるんだ牛に対して、アンデッドのなりそこないを召喚したティアがソウルストライクを打ち込んでいく。
『モ゛ォ゛ォ゛ォ゛』
 野太い声で地面を踏みしめて突撃してきた牛を自前の傘で寛治が押し返したところで、シャルレィスの剣が五月雨のごとく牛の身体を切り刻む。
 やや退く巨大牛が興奮気味に足を踏み鳴らす。それに対して、動いたのはアレクサンダーだった。
「グルアァアアアアアアオゥッ!!!」
 獣王の咆哮が轟けば、一瞬、巨大牛が慄いた。
 そこへフェアリが魔砲を、エルが精密狙撃をぶち込んでいく。
『モォ゛ォ゛ォ゛』
 断末魔とも感じられる咆哮のあと、牛は豪斗へ向けて突撃をかます。豪斗はそれをゴッドオーラで抑え込むと、アレクサンダーのショットガンブロウが炸裂した。
 逃亡を図る牛を豪斗と寛治が抑え込み、そこへ近距離にまで移動したティアが漆黒の閃光を叩きこんだ。
「るらー! 牛肉アウト!!」
 そんな声と共にリナリナが放った一撃が、牛の足にボキっという音を奏でさせた。
 崩れた牛を狙い澄まし、再びシャルレィスの剣とラクリマの血の鞭が走り、アレクサンダーが食らいつく。
 それらを火事場の馬鹿力というか、死に物狂いで振り払い、牛が後退していくのに合わせ、エル、フェアリ、タントの砲撃が打ち込まれた。
『モ゛ォ゛ォ゛ォ゛』
地面を踏み鳴らして威嚇行動をした牛が再び突進をおこなうと、再び豪斗と寛治がそれを抑え込む。
 ダメージが重なればタントの居る後方へ下がり、一端の回復を待って、再びの牛へと攻撃を仕掛ける。
 イレギュラーズの戦い方は王道とでも言うべきか、それに対応する知性があるはずもない野生の牛を相手に苦戦することなく戦いは推移していくのだった。

「オーホッホッホッ! こんなものかしら!」
 それからいく周かの応酬を繰り返したイレギュラーズの前で、はちゃめちゃにでかい牛が沈黙している。

●さぁ、焼肉をたべよう!
 牛が寂しい声を上げて倒れた後、依頼主に肉を提供し終えたイレギュラーズは青空の下で焼肉パーティを開始していた。
 タントとシャルレィスはビーフシチューの調理に取り掛かっている。
 双方ともに作ったことのない代物ではあるものの、予習とレシピは万全。最高の作品にせんと意気揚々である。
 剣士ならではの見事な包丁さばきで野菜を切り刻んで鍋に投入して、シャルレィスは楽しそうだ。
「…む、やや酸味が強いですかしら?」
 一品目の試作品、ぺろりと舐めたタントは味に顔をややしかめた。
「え、あれ? ホントだ酸味が……? 本の通りにしてるのにおっかしいなぁ」
「むぅ、何だかとろみが少ないですわね?」
 二品目に悩まし気に首をかしげるタントの横では、シャルレィスが分量の少々とか良く分からない、なんて言っていた。もっと明確に言ってほしいよね、わかる。
「あっ、こ、焦げてませんこと!?」
 レシピとにらみ合っていたこともあって、ぷすぷすと焦げ付くにおいを感じ取り、タントがハッと鍋を見る。
「わ、わ、一旦火からおろせば多分大丈夫だよ!」
 慌ててシャルレィスが鍋を降ろして火を止める。
 その後も悪戦苦闘を――何なら牛退治より苦戦してたまであるかもしれない――続けた二人だったが、やがて自分達の納得できるものを作り上げた。
「……完成致しましたわーー!!」
「やったー!完成だー!!」
 ハイタッチで互いの健闘を称える二人の姿はちょっとした熱い物語のよう。
 
 そんな二人の横では豪斗が鉄板の上でやや厚めに切った牛肉の塊を一部、軽くローストしている。
 新鮮な肉といえば聞こえがいいが、逆に言えばそのまま食べればパラサイトで偉いことになりかねない。ローストビーフにするのはなるほど、得心がいくというものだ。
「だが、ゴッドのメインディッシュは! 火の入ったサーフェイスをトリミングして別にしておき……フレッシュに近いがセーフティな、中心部……アースというワールドではカルパッチョなどと呼ばれるらしいな」
 オリーブオイルやガーリックなどを用いたソースと共に作り上げた作品を見て出来栄えにうなずくのだった。

 一方の寛治はというと、炭火と網焼きを用意していた。
 肉をカットするノウハウまで学んできた彼の目は真剣そのもの。
 繊維方向を見極め、垂直に包丁を入れていく。こうすることで肉汁を保持したまま、スッと噛み切れる柔らかさになる、らしい。知らなんだ。
 更には霜降りだけでは口飽きするものだと、コースを組み立てる。タンからツラミ、サシの入ったフカヒレやエンピツにトモ三角。
「焼き方のコツは、脂の融点を見極めること。厚切り肉の焼き方のコツは、外周を焼いてから網に乗せ、時々トングの先端で触れる。肉の中で肉汁が沸騰する振動をトングで感知できたなら、食べ時だ」
「焼き肉! 良い匂い!」
 ちょっとした焼き方講座まで始まっていた。もっしゃもっしゃと食らうリナリナは良く分かってなさそうだが。
「うめぇ!!」
 フェアリにちょうどいいぐらいに切られた肉を喰らう彼女もまた、聞いてなさそうだった。
「薄切りなら、片面を焼き、表面に血が浮いてきたら裏返して10~20秒焼けばOK」
 寛治自身ももちろん、最高の肉を最高の形で喰らい尽くしていく。
 ラクリマは悪の秘密結社XXXの参謀! 味見は任せろ!と言いながらつまみ食いを開始していたが、今はひたすら肉の旨さに震えるように恍惚の表情さえうかべながらもぐむしゃぁと食らっている。
 エルは寛治の講座を素直に聞き入れてその通りの焼き加減を再現し、試しにとパンにはさんでもぐり。
「美味しい……」
 そう一言呟いて、そのまま無言でそのパンをぺろり。
「まぁ、わしは見ての通り獣じゃからな」
 なんて言いながらとりあえず切り分けて貰った大きめの肉塊を貪るアレクサンダーの表情もやや緩んだように見受けられる。
「ん、肉料理なら火酒が合いそう」
『飲みすぎるなよ?』
 などというティアはエルがフランベように持ってきたというブランデーをそのまま借り受けて飲んでいる。
 飲める者は酒も飲み、未成年者は依頼主が報酬の一部だとくれた地産のソフトドリンクを片手に完全にパーティモード。
「しちゅう? おーっ、シチューにカツだなっ!! 旨いのか? カツ入ってるのか? どこだ?」
「カツは入っておりませんわよ?」
「なん……だと」
 目の前に差し出されたタント&シャルレィス作ビーフシチューに愕然とするリナリナだったが、一口含めば、うまい!と叫ぶ。
「うわぁ、この焼肉、すっごく美味しい!焼き加減も絶妙だね!」
 シャルレィスもまた、焼きあがった肉に舌鼓を打っている。そのまま幾つかを貰ってシチューを配り終えたタントの下へ走り寄り、楽しそうに笑うのだ。
「ユー達も流石にベジタブルを食べた方がいいのでは?」
「草喰ってる場合じゃねーっすよ牛じゃないんすから! 肉っすよ肉肉! 肉肉アンド肉っす! 肉食系女子の本領発揮っすよ!」
「うむ。折角のめったに食べられない水準の焼肉だ。ここで肉を食べずどうするのです」
 先程から肉しか食べていない二人へ、豪斗が思わず声をかける。テンション上がって良く分からないことを言うフェアリと口調のおかしいラクリマも、確かにこのパーティを楽しんでいる。
 なんだかんだ言ってカルパッチョに添えられた野菜が彼らの口に吸い込まれて行っているのだから良しとするべきか。
 エルは自分の持ってきたパンと焼肉、野菜を使ってちょっとしたハンバーガー風の何かを作っている。それを試しに食してみれば少女の目は輝く。
「中々美味しそうなものを食べておられますね」
 目ざとくエルのハンバーガー風の何かを見た寛治はブランデー片手にパンを二つもらいながら、見返りとばかりにハンバーガーにするには良さそうな部位の肉をエルへ伝える。
「お酒片手に食べるならそれもいい」
 若干、酔いが回り始めているのか普段よりやや高めの声色になったティアも現れ、パンを譲り受ける。
 焼肉、ローストビーフ、ビーフシチュー、何やかんやでパーティにありそうないい感じのメニューが取り揃った野外でのパーティはイレギュラーズの疲れをいやすのに十分だったという。

「最高の焼肉だった……」
 牛肉をたらふく食べ終えた寛治が至福の声を漏らす。
 全員、お腹いっぱいになるまで食べ終えたところだが、流石にそれでも量がある。
 土産物として幾らかをいただいて、それ以外を住人たちに差し出したイレギュラーズは持ち寄った調理器具を携えて田舎町を後にする。
 そんな彼らの顔は充実した1日だったと物語るスッキリしたものだったという。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

肉が食べたいと依頼を出して余計に肉が食べたくなりました、春野紅葉です。

こういう感じの依頼、今後も出していくかもしれません。シリアスやり過ぎて疲れた時とか。

というわけで、美味しいお肉食べておかえりなさいませ、後片付けをして帰るまでが遠足(?)なのです。

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