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シナリオ詳細

暴食王エディラ・エイ討伐

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●暴食王
 秋ともなれば、海洋王国に観光にくるものも少なくなり、代わりに漁業が盛んとなる。
 チルジャーノ船長率いる漁師団も秋の味覚秋刀魚を求めて漁へと赴いた。
「船長、魚群探知機に結構引っかかってますぜ! こいつは大漁だ!」
「へっ、そうかい。なら、きっちり仕事しねーとな! 全員気合い入れていけ!」
 チルジャーノ船長の合図の元、漁師達による秋刀魚漁が始まる。
 光に集まる習性を利用した棒受け網漁は秋刀魚の群れを誘導し、集め、一気に網取るように行われる。
「こいつはいい! 大漁だ!」
 かかった獲物に満足しつつも、次の魚群目がけて移動する。
 そうして何度目かの網を引き上げ、次の魚群に移動しようとしたとき、”それ”が現れた。
「船長! 秋刀魚の群れの後ろになんかでかいのがいますぜ!」
「なんだ……?」
 秋刀魚の群れを追い立てるように進む巨大な影が三尾。ユラユラと揺れる影が海面に映る。
 巨大な三つの影は秋刀魚たちを瞬く間に追い詰め一瞬のうちに飲み込んだ。恐ろしくも圧倒的な光景に息を呑む。
「あ、あれは……」
 船長が目を細める。あの影、あの力強さ。あれは――
「――暴食王エディラ・エイだ!
 全員、船に掴まれ! 急いでこの場から立ち去るぞ!」
「船長どうしたんですか? アイツがなにかやばいんですか?」
 若い船員が尋ねると、船長は怒鳴りつけるようにいった。
「エディラ・エイは獲物の匂いを嗅ぎ付けたら絶対に逃がさない海の魔物だ!
 この船にいる秋刀魚の匂いを嗅ぎ付けられたら船ごと喰われちまうよ!!」
 そうしてチルジャーノ船長率いる漁師団は、辛くもその海域から離脱する。
 エディラ・エイは我が物顔でその海域の魚を食い荒らし続けるのだった。


「今日は海洋からの依頼ね。
 暴食王エディラ・エイの討伐をお願いするわ」
 『黒耀の夢』リリィ=クロハネ(p3n000023)が依頼書を手にやってくる。
 はて? 暴食王とな。どんな生物だろうか。
「見た目は完全に巨大なエイだけれど、そのエイ裏の口がなんでも飲み込める巨大さになってるところがポイントね。
 歯もギザギザの牙のようになっているわ。咬まれたら……あまり考えたくないわね」
 このエイ、その皮膚も頑丈で、生半可な攻撃ではびくともしないらしい。海上からの攻撃では海に潜られ効果もでず、倒すには直接海の中でやり合う必要がある。
「最近のお気に入りは秋刀魚みたいで、秋刀魚の魚群を見つけては食べ尽くしているみたいね。
 それはそれは、もう海洋のご家庭の台所事情が大変って噂もあるわ」
 秋の味覚が食べれないとあらば、それは大変なことでしょうね。
 海洋の漁師団がイレギュラーズならばと、依頼として頼み込んできたわけだ。
「水中での戦闘となるから準備だけは怠らないようにね。
 それじゃ、頑張ってきてね。応援してるわ」
 リリィに肩を叩かれたイレギュラーズは、準備へと向かうのだった。

GMコメント

 こんにちは。澤見夜行(さわみ・やこう)です。
 秋の味覚を喰らうもの。
 暴食王を退治しましょう。

●依頼達成条件
 暴食王エディラ・エイ三体の討伐

■失敗条件
 エディラ・エイを一体でも取り逃がす

●情報確度
 情報確度はAです。
 想定外の事態は起こりません。

●エディラ・エイについて
 海洋近海に棲息する巨大なエイの魔物。
 その口はどんなものでも噛み砕き、食事として飲み込んでしまいます。
 海中での動きは素早く、三体連携しての行動もできる知能派。
 また皮膚も硬く防御に優れた身体を持っています。
 反応、CT、防御技術が高め。

●水中戦闘について
 水中親和のないプレイヤーは五ターンまで水中で動くことができます。
 六ターンからは自動的に【窒息】が付与されます。
 【窒息】は副行動【息継ぎ】で解除することができます。【息継ぎ】後は五ターンの間自由に動けます。

●戦闘地域
 海洋近海の海中になります。
 時刻は一時。月明かりと船からのライトだけが頼りの時間です。
 海中での戦いとなり、障害物等はありませんが、水中親和のないキャラクターは行動しにくいでしょう。

 そのほか、有用そうなスキルやアイテムには色々なボーナスがつきます。

 皆様の素晴らしいプレイングをお待ちしています。
 宜しくお願いいたします。

  • 暴食王エディラ・エイ討伐完了
  • GM名澤見夜行
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2018年11月26日 23時50分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

レイヴン・ミスト・ポルードイ(p3p000066)
騎兵隊一番翼
エイヴァン=フルブス=グラキオール(p3p000072)
波濤の盾
ココロ=Bliss=Solitude(p3p000323)
華蓮の大好きな人
デイジー・リトルリトル・クラーク(p3p000370)
共にあれ
シグ・ローデッド(p3p000483)
艦斬り
フロウ・リバー(p3p000709)
夢に一途な
リュグナート・ヴェクサシオン(p3p001218)
咎狼の牙
リペア・グラディウス(p3p006650)
暴食の剣

リプレイ

●それゆけビッグドリーム号
 深夜の大海原を、一隻の小型旅船が波を切り進んでいく。
 その内部は豪華旅船の名に恥じぬ、快適な設えで、乗り込んだ八人のイレギュラーズは、実に心穏やかに海図を眺めながら戦いの準備を行っていた。
「暴食王か……」
 『風来の名門貴族』レイヴン・ミスト・ポルードイ(p3p000066)がぽつりと、今回戦う魔物の名を呟く。
 その家元が家元なだけに、海洋の発展には気をかけているレイヴンは、当然、漁業は海洋の重要な産業であると理解していた。
「家庭の秋刀魚のため、海洋の利益のため――しっかりとこなすとしましょうかね」
「ああ、そうだな。
 秋の味覚を根こそぎ持って行くような輩は、とっとといなくなってもらうとしようか」
 レイヴンに同意するのは『海抜ゼロメートル地帯』エイヴァン=フルブス=グラキオール(p3p000072)だ。実に魚をよく食べそうな見た目だけに、仕事が終わった後の秋刀魚祭りを期待していた。
「さー、しまっていきましょーー! やりますよー!!」
 そんな二人の横で無駄にテンション高いのは『蒼海守護』ココロ=Bliss=Solitude(p3p000323)である。
 帆立貝のディープシーである彼女は、昼より夜のほうが元気である。
「元気なのは良い事なのじゃ。
 これから妾達と妾のこのビッグドリーム号で、暴食王を名乗る海の悪魔を退治せねばならぬからのう」
 今回旅船を用意した『大いなる者』デイジー・リトルリトル・クラーク(p3p000370)
が陽気にそう言う。
 漁師の操る小さな魚船で行って、漁船ごと喰われてあわや大惨事という展開も考えられたが、見事フラグをへし折った形だ。というか立派な船ですね。
「ふむ。
 大食いな割に雑食と聞く。いや、雑食だから大食いなのか?
 どちらにしても余りグルメな訳ではなさそうではあるな」
 『天理の魔剣』シグ・ローデッド(p3p000483)は考えながら言葉に変える。思うべきは暴食王エディラ・エイの情報。その凶悪な身体能力は何かしら武器や防具にも応用できそうだと考えた。
 所謂レアモンスター寄りな面もあるエディラ・エイなので、もしその素材で武具ができればそれは結構な値段になるかもしれない。
「グルメじゃなさそうな割に、秋の味覚秋刀魚を狙っていると聞きます。
 ……サンマを独占するのはいけないですね。釣りの楽しみが減ります」
 日常的に――そのギフトの恩恵によって――釣りを楽しむ『夢に一途な』フロウ・リバー(p3p000709)が奪われる秋刀魚のことを思い首を横に振る。海洋の治安は勿論、釣り人としても暴食王の暴食を見過ごす訳にはいかなかった。
「エディラ・エイ――エイ、ですか……。
 航海中に散々食べた物ですが、調理法さえ知っていれば肝はまろやかな味わいで美味でしたね」
 元は海賊として鳴らした身である『咎狼の牙』リュグナート・ヴェクサシオン(p3p001218)は、以前食べたというその味を思い出し表情を緩める。
 とはいえ、今回の相手は悪食で知られる相手だ。その身はまずかろうということで、食べるのは遠慮したいと苦笑する。
 そんなリュグナートと対象的に、暴食王を喰らうことに執心するのは『暴食の剣』リペア・グラディウス(p3p006650)だ。そんな彼女は傷付いた身体の痛みに身を捩る。
「……がぁぁぁ!!! 痛い! ひもじい! 傷が! 治らない!!
 魂だ! この癒えぬ飢えと乾きと傷を癒す為には「食事」が必要なのに……、
 怒りが! 感情が邪魔をしてまともに考えられない!」
 実のところ重傷を負っているのはリペアのみならず、エイヴァンとリュグナートも同じなのだが、イレギュラーズの力と言うべきか、二人は傷付き弱った身体のことを噯にも出さない。
 リペアの場合、傷の痛みより、自分を差し置いて『暴食王』と冠せられた相手に対する怒りのほうが強いだろう。その怒髪天突く怒りと傷の痛みが、感情封印も効かぬほどに、リペアの感情を暴走させていた。
「『暴食』の名は私のだ! 喰らってやる! 魂の跡形もなく!」
「まあ、そう急くでない。
 どれ、甲板にでてみようではないか。そろそろ奴等が荒らしている漁場につくのじゃ」
 デイジーに促されて、準備を整えた八人がビッグドリーム号甲板へと踏み出す。
 月明かりに照らされた海が輝きを湛え、静まりかえった世界に波の音だけが響く。
「ライトアップなのじゃー。
 見よ、太陽か妾の笑顔のようにピッカピカで眩しいのじゃー」
「光量は十分というところだね。お見事」
 取り付けられたライトの光量は必要十分量を満たし、闇に沈む海を明るく照らす。レイヴンの賛辞に「くく」とデイジーが言葉通りピッカピカの笑顔を見せて、ライトの向きを調整する。
 しばらくそうして、海上から影を探す。明かりに釣られて幾つかの魚群が船の傍を行き来する。
 それなりの時間が経った頃、不意にココロが声を上げた。
「あっ! 見て、影が!」
 明かりに晒された海面に、巨大な影が映り込む。その数、三。
「明かりに釣られた魚を喰いに出てきたか」
 エイヴァンが武器を構え、甲板から身を乗り出した所で、待ちきれなかったようにリペアが走り出した。
「グラトニィー!! 食事の時間だァ! 全て食い殺すぞォ!」
 魔剣片手に海へと飛び込んでいく。
「どちらが暴食たるか、見物であるな」
「放って置くわけにはいきませんね。続きましょう」
 呆れるシグに苦笑しつつ、フロウが追走を促す。
「船上なら俺の専門なんですがね、厄介な事です……!」
 酸素ボンベを背負い、リュグナートが海へと飛び込んだ。続くようにイレギュラーズが続々と海へと潜っていく。
 水泡が立ち上り、海上からの明かりが薄く海中を照らす。
 深く暗い海の中、八人は仲間の姿を確認すると視線を這わせる。
 どこまでも広がる海の中、その巨大な魔物が姿を現した。
(……でかい――!)
 巨大なヒレを波打たせて、海中を悠然と泳ぐは暴食王エディラ・エイ。
 巨大な口が、雑魚を丸呑み食い散らかす。
 そして、三匹のエディラ・エイはついにその感覚器官で新たな獲物を察知した。
 イレギュラーズ、その八人に。
「くるのじゃ――!」
 デイジーがハンドサイン送り、全員が武器を構える。
 全てを丸呑み砕こうというエディラ・エイの歯牙が煌めいた。
 秋の味覚秋刀魚を喰らい尽くす暴食の王、エディラ・エイとの戦いが始まった。

●暴食の王
 その全幅は五メートルはあろうかという巨大さだった。海水を切る巨大な鰭が波打ち、刺々しい尾がゆらゆらと揺れる。
 巨大さに見合わぬスピードで迫る様は、まさに一匹の獲物も逃さんという暴食の在り方を示す物か。
 また三体のエディラエイは、まるで声を掛け合っているかのように、息を合わせた連携を見せていた。
 本来、雑魚を丸呑みするだけで表立った連携を見せない魔物のはずだが、より上位の獲物を狙う際に、こういった連携行動を見せるという。
 持ちうる全てをもって、確実に獲物を仕留めて喰らう。その強い意思を感じる行動に、イレギュラーズは息を呑んだ。
 然りとて、イレギュラーズもまた海中行動への準備はぬかりない。
 リュグナートを除けば、全員が水中行動を行える形であり、三名は泳ぎの得意な海種である。
 水中親和をもてなかったリュグナートも、しかし元は海賊として鳴らした身。酸素ボンベを用意したことで、通常よりも長く海中にいられる事は間違いないだろう。
 光源がフロウの用意した青いカンテラだけと少々心許ないところだが、海上からのライトアップのお蔭もあって、多少はマシだろうか。
 レイヴンとデイジーのようにサイバーゴーグルを装備していれば、なお良いと言えた。
「その位置もらったのじゃ」
 誰よりも早い反応を見せたのはデイジーだ。
 タコの特徴を持つ海種である彼女は、海中の行動も得意と言うところだろうか。素早く海水を切り移動すると、二匹のエディラ・エイの位置を見通して、攻撃へと転じる。
 絶望の海を歌う冷たい呪いを帯びた声。冷たい破滅の歌姫が歌い上げるその歌が、巨大な暴食の王を魅了し呪う。
(回り込むのじゃ。それで、あっちの奴から倒すのじゃ)
 ハンドサインを仲間に送るデイジーは、エディラ・エイの包囲と狙いを伝える。
 此度の依頼では、一匹でも取り逃がすことはできない。確実に、全滅させねばならなかった。
「水切りの剣と言うのも……悪くあるまい?」
 ギフトによってその姿を剣そのものに変えるシグが、言葉通り海水を切りながら縦横無尽に海中を行動する。
 その身体を縦に回転させて、縦斬りを見せれば、刀身に帯びたオーラがロープとなってエディラ・エイの一匹を縛り付ける。
 仲間を守ろうと傍にいたエディラ・エイがシグへと突撃を見せる。巨大な口を開き丸呑みしようと近づいて――
「……口は腹側だ。さて、背中側はどうするかね?」
 人型に戻ったシグがエディラ・エイの頭を掴み背中を取る。同時、シグの身体から液体金属が排出され剣の形を取る。
 ファンタジアロジック・シリウスシルバリオ。
 投射された銀の刃がエディラ・エイの硬い皮膚を貫き内部に浸蝕する。身体を侵蝕する毒にエディラ・エイが大きく暴れ、シグは引きはがされた。すぐに剣の形態へと変化する。
(かなりの連携を見せますね。
 ――しかし、俺達の攻撃を凌ぎきれるとは思わない事です)
 二振りの魔剣を携えて、リュグナートがエディラ・エイに接近する。
 海水の抵抗に難儀しながらも、大きく振るった縦の斬撃。硬い皮膚に阻まれながらも大きく切り裂く事に成功すれば、その裂傷から火炎が迸る。
(もう一発です――!)
 回避を試みようとするエディラ・エイをその魔剣で突き刺す。自身の生命力を犠牲に発動する髑髏の呪いが、エディラ・エイの身体に刻み込まれ、猛毒となって蝕んだ。
 リュグナートは攻撃と同時にエディラ・エイの動きを邪魔するようにマークしていた。これは連携を重視するエディラ・エイにとってかなりの邪魔となり、効果をあげたと言えた。
 エディラ・エイ達も黙ってやられているわけではない。
 巨大な口を開けると同時、吸引するように海水が引き込まれる。
「吸い込まれる――!」「のじゃー!」
 ココロとデイジーが為す術無くエディラ・エイの捕食対象となってその歯牙によって肌を引き裂かれる。
 そしてシグによってダメージを受けた一匹はシグへとその尾を振るう。しかし――
「一部のエイ類にはあると聞いていたが……やはり出してきたか。……だが、無駄である」
 毒針を持つ刺々しい尾の一撃を受けながらも、毒に対する完全耐性をもつシグには通用しない。
「硬ぇ皮膚だが、これならどうだ?」
 エイヴァンが自身の意思抵抗力を破壊の力に変えて、強かにエディラ・エイを打ち付ける。素早い移動を止めると同時、相手の体勢を崩す一撃にエディラ・エイの防御に綻びが生まれる。
「逃がさねぇよ――!」
 尾を振るいながらエイヴァンの間合いから離れようとするエディラ・エイを、エイヴァンが身体を捩りながら尾を躱し強烈なカウンターを叩き込む。肺呼吸の生物ならば悶絶しているであろう一撃は、然しものエディラ・エイもその身をくねらせ痛みを表現した。
「そちらに回り込ませはしませんよ」
 破壊のルーンを刻むフロウ。海水中に生み出された礫の如き雹が降り注ぎ、エディラ・エイの硬い皮膚を打ち据える。
 人魚の形態であるフロウの泳ぎは特段に優れていて、敵の行く手を遮るように回り込む。
「――そこです!」
 狙い澄ましたように、右手の薬指に嵌められた指輪から放たれる聖なる閃光。海中に迸る閃光にエディラ・エイがショック状態となるのが見て取れた。
「良いですね。続かせてもらいます。くらえっ」
 レイヴンが生み出す無数の石礫がエディラ・エイに叩きつけられていく。夥しい数の礫によって体勢を乱れさせたと見れば、レイヴンが詠唱を囁いた。
 ――”起動せよ、起動せよ、魔砦の巨蟹”――
 描き出された魔方陣より現れるは魔獣カルキノス。海中に現れた巨大な蟹がその大鋏を振るう。
 本来、蟹はエイによって捕食される対象であるが、同等以上の巨大さとなれば、その関係は逆転する。
 鋼鉄をも割くというカルキノスの大鋏によって、一体のエディラ・エイが真っ二つに裂かれ呆気なく絶命した。
 エディラ・エイのその怒りを一身に受け、敵視を稼ぐのはココロだ。
「後二匹――まだ耐えるよ!」
 小さなリリカルスターを叩きつけ、防御に全力を向けるココロ。幾度となく攻撃に晒されながら、しかししっかりと回復も行い耐える。
 仲間を守る行動をとるエイヴァンを支援し、二人で、エディラ・エイの猛攻を――パンドラの輝きに頼りながら――受け止める事に成功した。
 そうしてココロの頑張りと、エイヴァンの守護によって攻勢に出続けられたイレギュラーズは、更に一体のエディラ・エイを倒し、残る一匹を追い詰める所まで来ていた。
「蒼い海は、わたしが守るんだから!」
 傷を負いながらも、最後の一体となれば攻勢に回る。ココロが一直線にエディラ・エイの腹側に回り込んで、口中目がけて焔を叩き込む。
 内部から焼かれる痛みにエディラ・エイが暴れながら逃げようと進路を変える。暴れる尾の直撃を受けて、ココロが意識を混濁させる。
 痛みに我を忘れ、何もかも吸い込む様に当たり一面の海水を吸引するエディラ・エイ。吸い込まれた幾人かが吸い込まれた先で鋭い歯牙による噛み付きを受けて、パンドラの輝きを放つものや、意識を飛ばしかけるものがでた。
 回り込んでいたエイヴァンがトビカンガルーを投げつけおびき寄せる。飛びかかるようにトビカンガルーを飲み込んだエディラ・エイが、ハッとした感じでもう一度逃げ出そうとする。
「逃がさぬのじゃー」
 賢いデイジーはこういうときの為にエサを大量に樽に入れて船上に用意していた。海中を漂うヒモを引っ張れば、エサが海中にばらまかれる。
 暴食王と名付けられたエディラ・エイ。その食欲は本能的であり、どんな危機的状況であろうと――危機的状況であるからこそ――発揮される。
 エサへと食いつくエディラ・エイの動きが止まる。
 そこを、真に暴食を司ると豪語するリペアが襲いかかる。
「幾ら硬くても攻撃力の高い攻撃を何度も喰らっては罅が入ろう?」
 言葉通り、この戦いでリペアの放つ高威力、防御無視の攻撃は特段に輝いていた。先に沈んだ二体のエディラ・エイもまた、リペアによってその硬い防御を突破されたといっても過言ではないだろう。
「何心配するな、すぐに喰らってやろう。
 ”暴食王”を詐称せし貴様に告ぐ…”暴食”の名は私のモノだ!」
 叩き込まれる気功爆弾の前にエディラ・エイが悶絶する。今し方飲み込んだばかりのエサを吐き出し、フラフラと逃げようと尻尾を巻いた。
「逃がさん! 貴様等は私の怒りを買ったのだ! 疾く我の贄になれ」
 怒りの言葉を吐きつつ、最後は慎ましい笑顔で。
 すべてを喰らい尽くす勢いで、リペアの魔剣『グラトニー』が振るわれた。
 こうして、海洋の秋を脅かさんとした暴食王エディラ・エイはイレギュラーズ八人によって討伐されたのだった。

●斯くて秋の味覚は守られた
「ふぅ……少しは飢えが落ち着いたかな?」
「……鰭酒、――いえ何でも」
 満足そうにいうリペアに残念そうな言葉を漏らすのはリュグナートだ。エディラ・エイの死体をばらばらにして海に還元――なんて考えていた矢先、リペアがもぐもぐと食べていってしまったからだ。
「危うく漁師達に見せる素材がなくなるところであったな。
 どちらが真に暴食か、はっきりと判明したな」
 呆れるようにそう言うシグ。シグはエディラ・エイの硬い皮膚に注目し、それを加工した装備を作る事を漁師に提案する予定だ。それが成されれば、少しばかり海洋の産業も潤うかもしれない。
「よし、出来たぞ。皆喰ってくれ」
「何が釣れるかわからないものでしたけど、ピンポイントなものが釣れましたね」
 エイヴァンが皿を置いて、フロウが微笑む。
 それは帰路についた船上でフロウが釣り上げた秋刀魚のお造りだ。
「うーん! 美味しそう!」
「船上でお造りとは、新鮮で良いね」
 ココロとレイヴンも嬉しそうに声を上げ、刺身へと手を伸ばす。
「うまいのじゃー!」
 本当に美味しそうに、デイジーが笑った。
 ビックドリーム号の船上でイレギュラーズの顔に華が咲く。
 斯くて秋の味覚は守られ、海洋のご家庭では十分に秋刀魚を楽しむことができるようになったのだった。

成否

成功

MVP

デイジー・リトルリトル・クラーク(p3p000370)
共にあれ

状態異常

なし

あとがき

澤見夜行です。

皆さんのおかげで美味しい秋刀魚が楽しめるようになりました。
よかったですね。
皆さんの動きもとてもよかったと思います。

MVPは色々(船まで!)用意した賢いデイジーさんに。
暴食王を喰らったリペアさんには称号が贈られます。

依頼お疲れ様でした! 素敵なプレイングをありがとうございました!

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