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シナリオ詳細

<グレート・カタストロフ>最強の性癖闘士VS井さんVSイレギュラーズ

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●承前
 不毀の軍勢!
 それは、全剣王ドゥマの配下である!
 ドゥマによって直接生み出されたもの、その力を見出されたもの、それらが全剣王の力を与えられ、各々最強のパワーを持つ軍勢として生み出されたのだ!!
 破鎧闘士!
 上記不毀の軍勢の内、特別に全剣王に見出されたエリートたちである! 破鎧という特殊な鎧を身に着けた彼らは、全剣王の塔からエネルギーを供給され、己の望むパワーを得るという!
 例えば! 強力な攻撃力を! 堅固な防御力を! 圧倒的な速度を! 強ぇ心を!
 己の長所を伸ばしたもの、己の不足したところを伸ばしたもの。様々あれど、とにかく破鎧によってパワーアップした破鎧闘士は、まさに最強中の最強、120%のスーパー戦士なのだ!
 そして、ここに一人の男がいる。
 不毀の軍勢! そして破鎧闘士!
 そんな彼が破鎧に願ったものは――。
 最強の性癖 であった!!!

●で
「ゆるせませんよ~~~~! 性癖を悪いことにつかうのは~~~~!」
 と、洗井落雲、じゃないや、井が言った。
 鉄帝は、ローレットの出張所である。
 不毀の軍勢が暴れている――と、依頼を受けた『あなた』たちが駆けつけてみれば、井がぐるぐる回っていたので、「あ、騙されたんだ」と思ったり思わなかったりしたことだろう。
「帰っていい?」
 仲間の一人が言う。
「帰っていい?」
「だめです~~~! もう依頼には参加したので、ここでにげたらハイ・ルール違反です~~~!」
「やめろ! ハイ・ルールは洗井落雲のOPをごり押しするための道具じゃねぇ!」
 仲間が叫ぶのへ、『あなた』も頭が痛くなったかもしれない。もしかしたらあきらめているかもしれないし、今から面白い性癖バトルに心ワクワクしていたかもしれない。けれど。
「とにかく、今回現れたのはラーク・ウーンという破鎧闘士です!」
「なんてことだ、敵まで井なのかよ。マッチポンプか?」
「僕は正義の性癖戦士です!」
 ぐるん、と井が回る。
「ラーク・ウーンは最強の性癖をさらに強化する破鎧をつけています!
 破鎧を破壊できればラーク・ウーンの性癖も弱体化して、なんやかんやていやーして倒せるはずです!」
「ていやー、で倒せちゃうんだ……」
「それはほんとに最強の戦士なんですかね」
 仲間が次々とツッコむ。井は意に介していない様子で、
「まぁ、このシナリオは最強の性癖を語るやつなんで、バトルは割と蛇足っていうか……」
「いいの? もうすぐ世界滅亡するかもしれないのにこういうことやってて」
「でも、破鎧を破壊できれば、全剣王の塔にダメージを与えられるので、壊し得ですよ」
 なるほど、井のいうことはもっともかもしれないしそうでもないかもしれない。まぁ、どう転んでも敵なのである。敵はここで倒していたほうが後々にも良いはずです。
「というわけで! 皆さんは最強の性癖を開陳して、なんやかんや性癖の力で敵の性癖を打ち破るのです! そうしたら、リプレイのラストは『性癖は みんな違って みんないい』って書いて締めますから」
「リプレイの構成ももう決まってるの? くそシナリオじゃないの?」
 もうツッコミ疲れたところだろう。なんにしても、ここまで来たらもう最後まで突っ走るしかないのである。『あなた』は覚悟を決めた――。

●そして
「そう! 僕がラーク・ウーンです。
 最強の性癖を持つ、最強の破鎧闘士です」
「ぬぅ、なんてことだ! 見てください、奴の性癖戦闘力を!」
 ぴっ、と井がラーク・ウーンへ指をさす。
「その変な戦闘能力、我々には見えないのだけれど」
「じゃあ、こう、僕の右端から左端くらいの距離並みのすごさです!」
「分かりづらいなぁ」
 頭を抱える仲間たちに、ラーク・ウーンは笑う。
「愚かですね! 僕の最強の性癖に勝てると思っているのですか!
 喰らえ! 最近の僕の最強性癖!
 『戦闘用なので感情はないと思っていたけど、長らく一緒に戦っていたバディを守るために命を懸けることを決意した瞬間、愛という感情に気づいた系のアンドロイド女の子』!」
 ぐわー、と音を立てて、破鎧から煙が噴き出す。するとどうだろう、その煙が女の子の姿を取った。
『戦闘用の私が、最期にこんな気持ちに目覚めるなんて……』
「ウワーーーーッ!!!」
 井が回転しながら大地を転がった。『あなた』たちがあきれたように視線を送る。
「くぅ、見ましたか! 王道ながら、それゆえに強力な性癖! これが最強の性癖闘士!
 ですが僕は負けません!
 喰らえ、『オタクに優しいギャル』――」
「笑止!」
 ラーク・ウーンは一喝した。
「いつまでそれで食っていけると思っているのか! オタクに優しいギャルはもはや一般性癖――新たな性癖の開拓にいそしまず、ぬるま湯のごとく慣れ親しんだ性癖にしがみつく貴様が最強などとは――惰弱!」
「ぐわーーーーっ!!!」
 井が回転しながら地面を転がった。『あなた』たちがあきれたように視線を送る。
「僕が……遅い!? 僕がスロウリィ!?」
 がば、と井が立ち上がる。
「僕は……僕はもうだめなのか!?
 くそ、みなさん! どうか、どうか、最強の性癖で奴を倒してください……!」
「好かろう、ローレット・イレギュラーズよ!
 皆さんの性癖を見せてもらいましょう! あとでピンとか作ってください」
 と、ラーク・ウーンがばーって構える。
 『あなた』たちは頭痛を覚えながらも――。
 とりあえず、性癖を考えるのであった!

GMコメント

 お世話になっております。洗井落雲です。
 性癖の危機なので、これは僕は悪くないと思います。

●成功条件
 最強の性癖を語ってラーク・ウーンをていやーする。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はAです。
 想定外の事態は絶対に起こりません。

●状況
 最強の性癖を持つ破鎧闘士、ラーク・ウーンが現れました。
 奴は最強の性癖を具現化し、我々を襲ってくるのです。
 こういう場にしゃしゃり出てくることで定評のある井が立ち向かいますが、この変化の激しい業界で、何時までもお宅に優しいギャル一本やりでやっていけるほど甘くはありません。井はやられてしまいました。
 というところで、皆さんの出番です。
 性癖、ありますよね。自分の最強の性癖、ありますよね。
 じゃあ、ここで開陳してください。それは全剣王パワーで具現化し、ラーク・ウーンの『戦闘用なので感情はないと思っていたけど、長らく一緒に戦っていたバディを守るために命を懸けることを決意した瞬間、愛という感情に気づいた系のアンドロイド女の子』となんやかんや戦います。
 全員の性癖パワーを集めればもう十分でしょう。そうしたら倒せますので、とにかく性癖を語ってください。この依頼の情報精度はAです。想定外の事態などは起こりようもないからです。
 作戦実行タイミングは……いります? この状況。性癖を語るために必要なものは全部ありますし、こう、場所が必要なら全剣王パワーで場所に幻影が映ったりします。好きにやってください。

●エネミーデータ
 破鎧闘士ラーク・ウーン ×1
  全剣王の配下である『不毀の軍勢』のうち、『破鎧(はがい)』という特殊な装備を与えられた、エリート戦士たちです。
  破鎧は全剣王の塔からエネルギーを供給されており、それぞれ持ち主の思う通りの力を与えます。
  最強の攻撃力を。堅固な防御を。強い心を。すごい性癖を。
  ラーク・ウーンは最強の性癖を望み、ここに具現化させました。その性癖とは『戦闘用なので感情はないと思っていたけど、長らく一緒に戦っていたバディを守るために命を懸けることを決意した瞬間、愛という感情に気づいた系のアンドロイド女の子』です。
  これを倒すには、こちらも最強の性癖で立ち向かうしかありません! やりましょう! 性癖を! ここに語り、奴を倒すのです!
  ちなみに、破鎧で補ったことからわかるように、彼はもともと性癖を持つものではありませんでした。しかし(ここにかわいそうな敵のバックボーンを書いておく)だったのです。もともと性癖を持たぬ身。なんとも哀れじゃありゃせんか。彼もまた悲しきモンスターだったのです。
 それはそれとして、破鎧を破壊出来たら、ていやーすれば倒せます。
 そして、破鎧を破壊できれば、エネルギーが逆流し、全剣王の塔にダメージを与えることができます。こんなシナリオでダメージを与えられる全剣王の塔(笑)。

●味方NPC
 井
  井です。今虎の子の性癖の『オタクに優しいギャル』が「もうそろそろマンネリだよね……新しい性癖を開拓するのはどう?」とまともなことを言われてやられてしまいました。
  でもね、性癖はいつまでたっても変わらないもの。いくら時代遅れだって言われても、好きなものは好きだから仕方ないものなのです。むしろ、その性癖を最後まで貫き通すことが、真の性癖といえないでしょうか?
  さておきやられてます。なんか適当に励ましたりすると復活する気がします。復活するとなんかの役に立つかもしれないですし、立たないかもしれないです。

 以上となります。
 それでは、皆様のご参加と性癖を、お待ちしております。

  • <グレート・カタストロフ>最強の性癖闘士VS井さんVSイレギュラーズ完了
  • 性癖の危機なのだ!!!!
  • GM名洗井落雲
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2024年02月04日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談6日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ムスティスラーフ・バイルシュタイン(p3p001619)
黒武護
Lily Aileen Lane(p3p002187)
100点満点
アクア・フィーリス(p3p006784)
妖怪奈落落とし
星影 向日葵(p3p008750)
遠い約束
佐藤・非正規雇用(p3p009377)
異世界転生非正規雇用
佐藤 美咲(p3p009818)
無職
フローラ・フローライト(p3p009875)
輝いてくださいませ、私のお嬢様
アルフィオーネ・エクリプス・ブランエトワル(p3p010486)
ライブキッチン

サポートNPC一覧(1人)

井(p3n000292)
絶対紳士

リプレイ

●ハイスピード性癖バトル
 ~ここまでのあらすじ~
 『黒武護』ムスティスラーフ・バイルシュタイン(p3p001619)
 『二人の秘密基地』Lily Aileen Lane(p3p002187)
 『妖怪奈落落とし』アクア・フィーリス(p3p006784)
 『未来への陽を浴びた花』隠岐奈 朝顔(p3p008750)
 『本当の自分』佐藤・非正規雇用(p3p009377)
 『無職』佐藤 美咲(p3p009818)
 『華奢なる原石』フローラ・フローライト(p3p009875)
 『ライブキッチン』アルフィオーネ・エクリプス・ブランエトワル(p3p010486)
 以上八名と井が性癖バトルに参加することになったぞ――!

「ああ、冒頭にキャラ名が雑に提示されるタイプのリプレイ、スね」
 佐藤(無職の方)がそういうのへ、佐藤(非正規雇用の方)がうなづく。
「なるほど。フン……性癖か……。
 考えたこともなかったが……」
 佐藤(非正規雇用の方)が腕組しつつ、むぅ、とうなった。
「いやぁ……俺はノーマルだから、大して戦力にならないかも……」
「それをいったら私だって……」
 朝顔が頭を抱える。
「……変なことなんてないです……」
「……」
 アクアがぼんやりと空を見上げた。
「受ける依頼、間違えちゃった、かなぁ……OPの情報量、よく見ると、すっからかん、なの……」
 そういわないで、一生懸命書いたの……。
「おなかすいた、帰って、いい? だめ?」
「だめです、ハイ・ルール違反になります」
 井がびたんびたんしながらそういうので、アクアがいやそうな顔をした。
「…………」
 言葉にならない。
「まぁ、ええと。その、ええと」
 フローラが何とか場を持ちなおそうとするが、いい言葉が出てこない。助けてクロリス・クロウ。私のメイド。
「そ、そうです! こういう時のために、クロリスから音声記録付きの秘密の手紙を預かっていたんです!」
 ばっ、と懐から結構分厚い手紙をを取り出し、ぱらぱらとめくるフローラ。
「ええと……。
『まずこういう時は覚悟を決めてくださいませ、お嬢様』
 はい、覚悟を決めました……!」
「うーん、性癖ってそんなに難しいかしらね?」
 アルフィオーネが言う。
「そうだね。
 皆、心の底から吠えたける何かを感じてごらんよ。
 それが性癖だから」
「そう、なのですか……?」
 Lilyが、しかし何かを覚悟したような表情で言った。
「……任せてほしいのです。
 すでにいろいろ、覚悟を決めたり、覚悟を決めるための準備もしてきたのです。
 手段は聞かないでください。あ、佐藤(非正規雇用の方)さん、チョコパイ食べますか?」
「フン……ありがとうございます、すごくうれしいです」
 佐藤(非正規雇用の方)がチョコパイを受け取ったカリカリとかじり始める。それを横目に、
「というわけで……私はもう全力全開で性癖を語れるのです。
 さぁ、何方から行きますか……?」
「んー」
 佐藤(無職の方)が唸る。
「とりあえず、まずこの転がってる井をたきつけて、もう一回だけぶつけときません?」
「そうですね」
 フローラがほほ笑んだ。
「さぁ、井さんしっかりしてください!
 『オタクに優しいギャル』は決して弱くなんてない!
 もっと信じるんです! 普遍化したビジョンではなく、明確な解像度で描かれるギャルを!
 陰なる者相手にも変わらず向けられる太陽のような笑顔を!
 誰かの趣味を決して笑わずに向き合ってくれる真摯さを!
 私の場合はそれでいてとても気高くてでも弱さも持っていてその弱さがあるからこそ際立つ強さがあって、だからもうそういうのが最高いやそうじゃなくて!
 オタクの信じるギャルじゃない。
 井さんの信じる、ギャルを信じて!!
 ……って! クロリスの手紙に書いてありました!」
「……井さんの励まし方も書いてあったんですか? 有能すぎませんか? メイドさん」
 朝顔が思わずそういうのへ、ばさり、と井が立ち上がる!
「そうです……そうです! オタクに優しいギャルは弱くない! 弱かったのは、僕だ! 僕の心だ!」
 続いてムスティスラーフが声を上げる!
「井君も倒れてないで新しい性癖開拓しよ!
 少し変えるだけで大丈夫、『オタクに優しいチャラ男』なんてどうかな?
 「俺のオタク君に何か用?」
 オタク君をいじめようとするやつを追い払うチャラ男カッコいいよ!
 けどぶっちゃけギャルでもできるよね。
 シチュエーションは無限大、今の性癖に悪いことは無いと思う。
 ちなみに井君はアライグマの姿が性的によいと思うよb」
「うおおお……オタクに優しい……ギャルとチャラ男!!! これが僕の性癖だ!」
「動き出したようだな……お前の……性癖が!」
 ぎゃきぃ、と効果音を立てて、ラーク・ウーンがかっこを付けた。そのまま性癖同士がガチャガチャやり始める。やりはじめた。ぬわー、と声を上げて井が転がって倒れた。
「強い……! ダメです、NPCが事件を解決したらゲームの前提が崩れてしまいます!」
「またメタ的なことを」
 佐藤(無職の方)が言った。
「というわけで、最強の性癖バトルを! 皆さんが! お願いします! まぁ、ほら、皆さんの応援のおかげで僕が立ち直ったことで、ちょっと敵のHPとか戦闘能力が減ったりしてますので! さぁ!」
「うーん、それじゃあ始めようか」
 ムスティスラーフがそういうのへ、仲間たちは死んだ魚みたいな目でうなづいた。
 というわけで――ここからが本編である!

●性癖大暴走
「まぁ、じゃあ、かるーく、私からいきまスか」
 と、佐藤(無職の方)こと美咲がぐるぐると肩を回す。
「性癖語れば勝てるとか実質呼吸すれば終わりみたいなものじゃないスか。
 最近みんな忘れかけてる汚れオタクとしての面目躍如でスね。
 ぐへへ……それじゃあ、メイド服着た少年少女にチヤホヤされつつイタズラをしかけていきたいって話を……」
「笑止!」
 ぱーん、とラーク・ウーンの攻撃によって、うまれかけた性癖が弾き飛ばされる。仲間たちがうろんな視線を向ける。
「……なんスか? その目は。
 それが味方に向ける目スか?
 私が、この期に及んで、虚偽の性癖を申告しているとでも???
 ……まぁ。確かに。今のはこう……新しく開拓しようとしたものかもしれないス。
 私の根源のそれではない。
 ……恥ずかしげもなく言うならば……私とてリードされたい事はありまスよ?
 王子様、願望器の依代、大いなる自然の意思。
 そういった上位存在に、認知され、その記憶に私を刻み、不相応にもその意志を私に向けてほしいと思うことはありまス」
 ふわり、と。どこか超然的な雰囲気をまとう男女が、美咲の隣に優しくたち、愛おし気な視線を向けた。美咲がきゅんってなる。
 でも、解るよ、リードされたい気持ち……僕もこう、ママみのある人に、
「本来私が触れ得ない相手が、私のために行動を決めてほしい」
 美咲が、洗井落雲を無視しながら続ける。
「本来私など意に介さない相手が、私で感情を動かしてほしい。
 本来私なんて見なくて良い相手が、私のせいで傷ついてほしい。

 学歴もなく、混沌肯定レベル1の影響を受けなければ能力も無い、使い捨ての女。
 そんな存在が相手に触れ、ましてやその決定を動かすことを夢見ることだって無いわけじゃぁないんスよ」
 うぇへへ、と、美咲が笑った。
「なるほど、あれが徹底的な受けなのですね、クロリス……」
 フローラがうんうんとうなづく。
「でも、あれだと攻撃に行かないね……」
 アクアが言う。
「フン……受け身がいいのもわかります」
 佐藤(非正規雇用の方)こと非正規雇用がうなづいた。
「じゃあ、次、私が行きます!」
 ぴ、と朝顔が手を上げる。そのまま、むむむ、と目を閉じて言葉を紡ぎ出す。
「私の好きなひ……性癖はですね?
 初見の私の我儘を自分の夢だと語った、
 空白だった今の私に約束をくれた……。
 優しくて弱点が不器用の、私にとっての王子様。

 彼は3人分の魅力がある。

 1人は現実に苦しんだ彼。
 自分の想いすら間違いだと思い、
 誰かに許しを乞うていた。
 そんな彼に寄り添いたいし、
 彼が否定した全ても肯定したい。
 ……好きな人の負の感情とか弱さって愛しいんですよ?

 1人は本音と本名を隠し、
 気障な振る舞いが得意な彼。
 そんな事されちゃったら、
 ピャー! ってときめいて照れちゃいます。
 ……彼が私を女として見てくれるか別として。

 1人は2人の合一で理想で、
 清廉潔白で強いのに、
 何処か劣等感を滲ませてた彼。

 一緒に過ごす内に、
 セレスタンさんにもサマエルさんにもなかった、
 セレスタン=サマエルさんだけの要素を見つけたい。

 どの彼も、
 全部好きだよ、愛したいよって言って共生出来たらな。
 ……無理だけど」
 えへへ、と、愛しさと、少しの悲しさをにじませながら、朝顔が笑う。可愛くない?
「あ、洗井君がプレイングをコピペし始めた。あれは白旗を上げてる時だ」
 ムスティスラーフが言う。
「というか、気づいてるかな……最初は名前を伏せようとしてたのに、想いがあふれちゃって名前出しちゃってる……」
 Lilyが言う。これにはセレスタン=サマエルも気障に笑っています。というわけで、具現化したどう見てもセレスタン=サマエルがべしべしとアンドロイド美少女と戦うのを見ながら、アクアはぽそ、と声を上げる。
「ラーク・ウーンの、
 『戦闘用なので感情はないと思っていたけど、長らく一緒に戦っていたバディを守るために命を懸けることを決意した瞬間、愛という感情に気づいた系のアンドロイド女の子』
 もいいけど、まだ一般の方、なの」
 ふぅ、とアクアが息を吐いた。
「わたしのトレンドは、
 『実験体として違法な人体改造を施され生物兵器と化したが外見は普通なので兵器としての力を「必要ない」と隠して一般人として日常を過ごしていたけど、ふとした拍子にその力を使ってしまい自分が普通から大きくかけ離れた存在である事を認識してしまって自分が《人》なのか《兵器》なのか、周りには一般人の友人しかいないせいで相談もできず延々と一人で抱え込んでただただ心が迷いで押し潰されていく子』
 ……なの」
「ぬぅ!」
 ラーク・ウーンがなんかぐぬぬ、といった。
「分かりますね……その気持ち」
「わかるの……」
 いやそうにアクアが言いつつ、コホンと咳払い。
「平気なフリして、ゆっくりと心がぐしゃぐしゃの紙くずみたいになっていく所が、最高に趣がある、の。
 どっちと認識してどうするかは問題じゃないの。
 自分じゃどっちにも行けないしどうする事もできない岐路に立たされてるのが重要なの」
「その、どうしようもない時にしか浮かべられない、悲しい微笑み……!」
「そこからしか接種できない栄養が、あるの……」
 ぐぬぬ、とラーク・ウーンが追い詰められたみたいな顔をする。
「おお、ダメージは言ってるッスね」
 上位存在に愛でられながら美咲が言う。
「ふむ……なら、次は俺が……」
 非正規雇用が立ち上がった瞬間、そこに現れたのは幼い少女である! ふーん、佐藤君って、そういう感じの子が、隙なんだ……?
「ち、違う! これは俺の趣味では……これだけでは……!!」
「いいんだよ、ある君」
 そう、優しそうな声がかかった。
 猫耳の活発そうな少女である。
「アルバイト様の性癖は、恥ずかしいものではありません」
 不思議系エルフが!
「だから、自信をもって」
 眼鏡っ子魔法使いが!
「ふふ……お姉さんがいっぱい愛してあげるから、泣かないで」
 サキュバスのお姉さんが!
「あれは、ハーレム……いや!?
 異世界転生ハーレム!」
 ムスティスラーフが、なんかぐぬぬ、って顔をした。
 そう! 男の夢の全部盛り! それが異世界転生ハーレムなのだ!!!!
「量産品とか食傷気味とか揶揄されても、やっぱり男は活躍してモテたいんだッ!!
 俺だけ特別な、超強いスキル持っててくれ!!
 『ベッドの上でも凄いスキル使うのね♡』って褒めてくれ!!」
 解るよ非正規雇用……男の子はいくつになっても、そういうのが好きだからね。
 寝る前に妄想するんだ……そういうことをね……。
「わ、私も続くのです!」
 Lilyが、むっ、と気合を入れる。
「私は、人外が好きだ!」
 わぁっ、と一生懸命に声を上げる。かわいい。
「ケモミミ、角、鱗、尻尾……等々、とにかく人にはない要素がある人物が好きなのです。
 フワフワ耳や尻尾をもふもふしたくなるし、鱗みたいな肌もサワサワしたくなる。
 もちろんアライグマな井さんは、もふもふしたい位に、興奮している」
「え、ほんとに?」
 井が立ち上がるが、
「あ、井姿のは要らないです、はい」
「そんなー」
 しっしっ、と手を振られたので、井がまた倒れる。でも、人外的なパーツはやはりかわいいよね。わかる。ケモミミはやはり、未だに萌えパーツとしては優秀だと考えています。
「だが、それではまだ弱い……!」
 ラーク・ウーンが迎撃を試みるが、しかしLilyはもう一度声を張り上げる!
「それから! 私は、大人しいけど大事な時に頑張る人が好きだ!
 大人しくしてて硝子の様な雰囲気がある人は抱き締めたくなるのです。
 それでも大事な時に頑張ろうと、奮い立っている姿も観ていてホッコリするのです。

 私は家族思いな人が好きだ!
 家族愛って良いよね。観てて心がホッコリするのです。

 つまりストイシャさんの事が大好き、なのです!」
 う、うぇぇ!? って話を振られたストイシャが目を丸くしてわたわたする。幻覚である。が、とりあえずストイシャが、困った感じの顔をしながら、てい、とラーク・ウーンをていやーする!
「ぬう……押されている……この最強の性癖鎧が……!?」
 ラーク・ウーンが追い込まれた表情をするのへ、フローラが手を上げた。
「はい! 次は私です! このまま追い込みましょう!」
 ばぁ、と手紙を広げる。
「クロリス……今こそ、このページを使います!」
 と、手紙を広げるとどうだろう! 音声魔術が展開され、録音されていたクロリスの声が鳴り響く!
『最強の性癖とは!

 『深く傷付いた少女が、少しずつ時間をかけ心の傷を癒やして自信を取り戻してゆき、気高い理想のもとに返り咲き立派な淑女になる』

 そう……お嬢様こそが最強の性癖。
 私の予想では今まさにそれが成っている筈!
 強力な性癖とは本来存在し得ない『理想(イデア)』――。
 ですがしかし、理想が、限りなく理想に近い状態で現実に重なった時、それは理想だけでは持ち得ない輝きを持つものなのです!
 ゆえに最強。きゃー! お嬢様ー!
 さぁ、皆様ご一緒に!
 『輝いてくださいませ――私の、お嬢様』!!』
 その音声が響き渡った瞬間、フローラの体に強烈なオーラが巻き起こる!
「もしやこれは、クロリスの語りで発動した遠隔自動操縦型の性癖……?
 遠隔自動操縦型の性癖ってなに!?」
 困惑しつつ、しかしフローラの体は勝手に走り出す! もう、すでにフローラの体は性癖バトルにとらわれているのだ!
「もう! クロリス! 起きたら覚えてなさい~~!!」
 そう、彼女は目覚める。必ず。それは信頼であり、願いであり、確信だった。お嬢様、愛を感じます……(病床のクロリスの寝言)。
「世の中不思議なことが起きるわねぇ」
 アルフィオーネが不思議そうに小首をかしげた。
「ふふ、ここで僕がとどめと行こうかな」
 ムスティスラーフが、にっこりと笑う。
「さぁ、行くよ――洗井落雲。
 僕の最強の性癖は『妻子持ちを落とした魔畜生』だ!
 NTR! 寝取れ!
 イイ歳のイイ男は大体売れてるからね。
 なら寝取るしかないじゃないか!
 酒の勢い、薬漬け、催眠、洗脳!
 ガードが緩くなった所をかっさらえ!
 一度やったら気持ちよさに目覚めて、
 段々友情と愛情の境目が分からなくなって狂っていく様はとても愛おしいよ?
 焦がれる気持ちと背徳感の狭間で震える姿は素晴らしい。
 奥さんと子供いるのにこんな気持ちになるなんて、
 どちらかを選ばないといけない苦悩~!」
「また洗井落雲のプレイングコピペだ! 今日の参加者はあまりにも強い!」
 ラーク・ウーンが一方的な攻撃を受ける! これはまさに、性癖のラッシュ――そしてド級の性癖をたたきつけるのは、ムスティスラーフだ!
「子供がいるから決断が鈍る?
 そうかいそうかい、子供もセットで落とせばお得だね!
 三人ならもっと楽しい事ができるよ。

 正面切って「お父さんを僕に下さい」宣戦布告に痺れる憧れるぅ!
 離婚届も待ったなし、寝取りの完全成功の瞬間はたまらないね!」
 いい感じいとろけた顔のお父さんとお子さんが、ラーク・ウーンに殴りかかる!
「ぐあああああああああっ!!!」
 ラーク・ウーンがその衝撃に頭を抱える……いや、これは!
「脳破壊……!」
 美咲が言った。
「そうか、NTRにつきものの脳破壊……! それをねらったッスね、ムスティスラーフさん……!」
「純愛派も大変ね」
 アルフィオーネがうんうんとうなづく。とはいえ、ムスティスラーフの打撃は強烈だ! MVPあげておきますね。
「そうね……では、とどめを刺しましょうか」
 アルフィオーネが、ゆっくりと歩き始めた。

 『ナレーション』――『性癖』を語るなど、笑止である。何故ならば、プラーナ村修道院、祭祀長。それこそが、『性癖』の権化だからである。
 太古の昔、プラーナ村にやって来たという、黄金の竜。彼が再び村に訪れた時、花嫁として捧げるために生み出された、生贄の巫女。それが、プラーナ村修道院、祭祀長。別名、『竜嫁』である。
 最高の花嫁になるべく、嫁力(よめちから)ママ力(ままちから)の鍛錬は言うに及ばず、”こんなお嫁さんが欲しいな””こんなお嫁さんいたらいいな”を叶えるために、様々な『属性』の積み上げを行った。相手がいかなる『性癖』を持ち得たとしても、それを満たすために。集積し、継承し、当代で351代目。
 いかに全剣王によって、最強の性癖を与えられようとも、所詮は上辺だけの付け焼刃。こちらとら、長い年月をかけた集大成なのだ。ぱっと見だけでも、ロリツインテールちっぱいシスター服の人外娘なのである――。
「なるほど……!」
 美咲が、上位存在によしよしされながら言う。
「NTRに脳破壊された体に、嫁の愛は……染みる!」
「そうなんだ」
 呆れたようにアクアが言った。
「ところであなた、食事の支度はまだできていないので、先にお風呂に入ってきてください。
 あ、その服(全剣王の破鎧)脱いでいってくださいね。お洗濯しますので」
「うん、今日は疲れたよ……」
 ラーク・ウーンがそう言って破鎧を脱いだので、
『死ねーーーーーッ!!!』
 全員で一斉にていやーしたのでした――。

「所で彼って、
 洗井落雲って人が絶対えっちなお姉さん(男)で頼んだんですよ。
 だって絶対女装似合いますよ彼!

 後、男同士の恋愛って薔薇っていうんですよね!
 公式CP(?)のサマセレも非公式のジルセレにも目覚めました!

 2人の合一の果てで生まれたセレスタン=サマエルさんは、
 彼らの子供と言えませんか!?
 禁断の愛も、
 その果てに生まれた子も……良いですよね……!

 私、2人に会ったら息子さんを下さいって言うべきだと思うんです……!」
 恋する乙女から、最終的に腐ってしまった朝顔が、ほほに手を当ててきゃあきゃあとかぶりを振る。

 性癖は みんな違って みんないい。

成否

成功

MVP

ムスティスラーフ・バイルシュタイン(p3p001619)
黒武護

状態異常

なし

あとがき

 ご参加ありがとうございました。
 性癖とは何なのか。これは一生をかけて追及していくテーマになるでしょう。
 皆さんも考えてみてください。性癖というものを。

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