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シナリオ詳細

<ラケシスの紡ぎ糸>薔薇盾の輝き

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング


「ご足労痛み入ります、ローレットの皆様! ここはご覧の通りの状況で、お出しできるものも乏しいですが、まあ。貴方がたにとってはそのような些事が戦果を差配しないことも承知しているんです。礼儀として、おもてなしできないことが惜しいですね」
 『終焉の監視者(クォ・ヴァディス)』拠点がひとつ。ここは語義通りの対『終焉』の最前線であり、日々変化する情勢を見守り、あるいは対処する場である。そんな場を任されるだけあって、出迎えた相手も手練であった。
 あった、のだが。一同の前に現れた少女の体躯は、軽く心配になるほどには小柄であった。
「気にしなくてもいいっす、ボク達は飽くまでこのあたりに現れる終焉獣とかの勢力を減らすための手伝いに来ただけなので! それに……」
「……はい、今この状況には一刻の猶予もありません。軍勢がこちらに接近していることを確認済みです」
 レッド(p3p000395)の言葉に、ロサ・ジュベールと名乗った少女は苦い顔をして頷き、『終焉』側へと視線を向けた。見れば、遠巻きにではあるがかなりの数の軍勢が隊列を組んで進んできているのが分かるだろうか? 急だったとはいえ、八名のローレット・イレギュラーズとロサで抑えるには骨が折れる相手だ。確認できる範囲の敵、その姿かたちから観測できる強さに魔種、ないしそれに準じたクラスの敵はいない……はず、だ。
「数と勢力そのものの実力は然程のものではないと思うんです。けど、近頃の騒がしい情勢を考えると悠長に構えて先手を取られる可能性も捨てきれないです。皆さんにとっても、現状の敵の実力を測る意味では悪くない情勢と考えましたが……どうでしょうか?」
「もちろん大歓迎っすよ。騒々しいと寝起きも悪いっすからね! ちょっと静かにしてもらうくらいワケないっす!」
「助かりますっ!」
 レッドの快諾に思わず大きな声を挙げたロサ。その声の大きさに一同は思わず耳を抑えた。およそ人間の肺と喉から出力される声量とは思えず、しかもそれは『力いっぱいの絶叫』ではないのだ。
 そして、それとともに石畳にクモの巣状の罅をいれた鉄盾を見る。盾の頑強さは言うに及ばず、ロサが盾をそうなるまで突き立てたという事実が一同の前に横たわる。
 「この娘はとんでもなく強いのでは……?」と、彼らが考えたのも無理からぬ話であったろう。事実として、『終焉の監視者』に名を連ねる者が無能であるはずはないのだが。


「『全剣王』にこの戦果を捧ぐ! この勝利を捧ぐ! 故に我らは勝利する者である!」
 折り重なる鬨の声に混じり、『全剣王』なる者を奉じる言葉が連なる。
 それは、鉄帝の歴史最強の皇帝、その名をほしいままにする伝説上の名だ。それに従うと言い張る者達の姿はなるほど、体躯やその他に異なりがあれどいずれも手練であると分かる姿だ。
「……ア、アー……リカイ、スル」
「『ゼンケンオー』ニ、従ウ……? チガウ」
 その背後に控えた薄青色の何かが発した声を、振り返った軍勢のひとりは苦々しい顔で見た。
 これを供回りにつけるとは。だが、捨て置けない。それは今後、たっぷりと肥え太って敵を討つであろうから。

GMコメント

 お出しするのが遅れた気がしますが、レッドさんが出力した可愛い子にまさかの設定をつけたのが私です。

●成功条件
 敵の全撃破or撤退

●失敗条件
・ロサ・ジュベールの死亡、ないし再起不能クラスの負傷(発生率はかなり低め)
・成功条件を満たすことなく5名以上の戦闘不能

 友軍
●『鋳熱の朱薔薇』ロサ・ジュベール
 非常に小柄で細身に見え、明らかに戦闘要員としては心許ない姿に見えるがその実、所謂『超人体質』の持ち主でもと幻想の中級貴族の出、しかも鉱山を所領とした者の系譜だけあってバチバチの武闘派。
 家を出奔してから数年間の武者修行ののちに、『終焉の監視者』に参画しました。お察しの通り普通に硬いし受け流すし一撃の威力もかなりえげつないです。
 大抵の雑魚相手に大して苦もなく対応できるでしょうが、その分不測の事態というものに極めて弱い(≒特殊抵抗が世辞にも高くない)です。行動を封じられないよう見守りましょう。

 敵勢力
●不毀の軍勢(特化型各4)
 『全剣王』と呼ばれる何者かに付き従っている、強力な人型の怪物の軍勢です。
 ある程度会話が出来ますが、意思疎通ができるとイコールではありません。
 「反応・回避特化」「神秘攻撃力・BS特化」「物理攻撃力・追加ダメージ等特化」「防技・抵抗特化(複数【かばう】可)」の4タイプ、計16体が編隊を組んで襲ってきます。
 当然ある程度バランスをとって組んできて、特定の相手を集中的に狙う傾向があります。
 基本的に後述の『変容する獣』を生かすことが最大目標となっています。

●変容する獣×2
 体の中身が透き通っている蒼白い終焉獣です。
 進化する特性があるらしく、戦闘が激化するほどに急激な進化を遂げると思われます。
 なにを学習するかで成長が分岐し、進化途上で自らの名前を獲得することでしょう。
 素体の状態は四足歩行ですが学習を重ねると人間に近づいていきます。
 なお、初期状態でも軽々に動きを止めてボコれない程度には強いのでお気をつけください。速攻を仕掛けて学習を阻害するか、手の内を晒し切らない、あたりが無難でしょうか。

●戦場
 『終焉の監視者』拠点外縁部。
 砂漠が広がりますが、ある程度足場はしっかりしている印象があります。
 ときおり砂嵐を伴い、敵味方問わず視界不良と軽微なダメージが発生します。

●情報精度
 このシナリオの情報精度はBです。
 依頼人の言葉や情報に嘘はありませんが、不明点もあります。

  • <ラケシスの紡ぎ糸>薔薇盾の輝き完了
  • GM名ふみの
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2024年01月01日 22時05分
  • 参加人数8/8人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

ラダ・ジグリ(p3p000271)
灼けつく太陽
日向 葵(p3p000366)
紅眼のエースストライカー
レッド(p3p000395)
赤々靴
亘理 義弘(p3p000398)
侠骨の拳
郷田 貴道(p3p000401)
竜拳
ェクセレリァス・アルケラシス・ヴィルフェリゥム(p3p005156)
天翔鉱龍
ソア(p3p007025)
愛しき雷陣
只野・黒子(p3p008597)
群鱗

リプレイ


「不毀の軍勢に学習型の終焉獣っスか……何度か経験はあるつっても厄介なのは変わんねぇな」
「進化しきる前に潰せれば何よりなんだがな。軍勢の数が数だけに油断も出来ない」
「私にとっては初めての敵です! 下手に相手の勢力を底上げしないよう、頑張りたいところですが……!」
 前線拠点に向かって進んでくる軍勢の数は、イレギュラーズ、そして拠点を守るロサ・ジュベールの総員の倍近くを揃えていた。準備の良さもさることながら、その戦意の高さも厄介だ。『紅眼のエースストライカー』日向 葵(p3p000366)は交戦経験がある分、より厄介に思えたに違いない。『侠骨の拳』亘理 義弘(p3p000398)もまた、敵勢力との接触を前に表情を硬くした。
「『終焉』に幾ら手駒があるのか知らないけど次から次へと……とはいえ倒し続ければいつか全剣王とやらが顔を出すでしょ」
「とりあえず出てくる奴出てくる奴、全部薙ぎ倒せば良いって訳だよな。オーケー、分かりやすくて良いじゃねえか」
「進化する側はここで処理しておきたいですね。全剣王やその上位者に情報が渡るのは勘弁願いたい」
 ェクセレリァス・アルケラシス・ヴィルフェリゥム(p3p005156)のいっそ暴力的ともいえる理屈は、しかし相次いで現れた終焉勢力に業を煮やしていた『竜拳』郷田 貴道(p3p000401)にとってはシンプルで非常に受け入れやすいものだったことが、彼の反応からも顕著に伝わってくる。『群鱗』只野・黒子(p3p008597)は彼らの直線的な意見には敢えて否定も肯定もせず、しかし『この先』を考えて全滅前提でことを進めたいという意思は同様らしい。みすみす逃して強敵になられるリスクを考えれば、当然の判断だろう。
「私は戦闘での搦手はそう得意ではない。なるべく手早く獣へと手を伸ばしたいね。ロサもよろしく頼む」
「終焉域の最前線がこの様な騒がしい状況だと悠長に構えて居られないっす。ボクも頑張るんでよろしくっす!」
「大変心強いです! 改めて、よろしくお願いします!」
 軍勢が、そして終焉獣が繰り返し出現してはイレギュラーズ達に撃破されてきた現状に於いて、彼らは自然と経験と状況を共有しつつある――『灼けつく太陽』ラダ・ジグリ(p3p000271)もそれは確かな実感として覚えている。彼女と『赤々靴』レッド(p3p000395)の快活な呼びかけも相まってか、ロサが最初に見せた緊張の色はやや薄れたようにも感じられるか。
「イレギュラーズの格好良いところ見せちゃおう!」
「格好のつくタイプではないが、無様なところは見せられないな」
「全員薙ぎ倒せば格好はつくだろ、大事なのは勢いだぜ」
 『無尽虎爪』ソア(p3p007025)の快活な声は、テンションの高さはさておきイレギュラーズの総意ではあった。終焉側の監視者から、わざわざ指名を受けたのだ。まざまざと惨めな姿は見せられまい。ラダが己に言い聞かせるように口にした言葉に、貴道の回答はシンプルそのものであった。
「総員、止まれ! ……羽虫どもが、道を塞ぐか!疾くその道を開けよ! でなければ排除する!」
「ポッと出の軍隊の割に態度がデカいっすね。アンタ達の道はここで行き止まりだよ」
「ローレットも暇ではありませんが、ここで大人しく帰られても困ります。情報を吐き出してもらった上で、排除しましょうか」
 やがて敵のシルエットは大きくなり、そして互いの『手』が届くギリギリの距離で相対する。真っ先に歩み出た兵士が盾を振るって叫ぶと、葵と黒子が無感動に返す。自分達に対して驚くでもなく怯えるでもなく、興味を持たれなかったことにそれはひどく気分を害したようで、忌々しげに舌打ちを鳴らすと号令一下、布陣を整える。四種十六体を揃えただけあってか、四組に別れる動きを見せた。小隊編成、というわけか。
 賢いようだ、人並みには。ただ不気味なのは後方の獣だが……できれば何もさせたくはない。
「ろー、れっ……」
 そう、この他愛もない罵り合いの中からすら学習しようとしている獣だ。あれを生かして返せば、必ず禍根を残す……彼らが『逃走』を学習する前に、倒さねばならない。


「獣が一番厄介っスね、あいつに学習させる前に潰さねえと――なッ!」
「固まってくれるなら逆に有り難いけど、どうだろうね……」
 葵の蹴り出した氷の杭は美しい尾を引いて敵陣を突っ切り、術師へと突き進む。だが、それを弾き飛ばしたのは大盾だ。触れた先から白い霜を下ろす盾は明らかに動きを鈍らせたが、それでもその堅牢さは些かも衰えた様子を見せない。分かっていたが、狙いが通らないのは厄介極まる。ェクセレリァスの一撃は続けざまに盾持ちを撃ち抜いたが、やはり石塊のような肉体はびくともしない。威力はそれなりにあるはずだが、守りがなにせ堅牢すぎる。
「そう来ると思ったよ! 盾持ちさんはボクが引き受けるね! 守りが堅いとか、そんなの関係ないもんね!」
「芯まで響く……!? 貴様、“音”を武器にする化生か!」
「化生? バケモノってこと? 失礼だよ!」
 ソアはそれを見越してか、素早く手近な小隊の盾持ちに踏み込むと大きく口を開け噛み付き……ではなく咆哮を放つ。示威行為と思い構えを緩めた盾持ちの油断を、否、そうでなくとも凄まじく揺さぶった音響攻撃は、全剣王への忠誠心すらも怒りで上書きしにかかる。続けざまにもう一体の盾持ちを誘い込んだソアであったが、彼らの目は感情だけに染まっていない。厄介そうだ、という直感はあった。
「余り間合いを詰めてくれるなよ、巻き込むからな……!」
「そいつは参った! 距離を取るのは苦手……でもなかったな! 今日はこっちがメインだぜ、HAHAHA!」
 義弘は護衛を失った小隊のひとつに飛び込むと、全力でその身を暴力の渦と変える。勢いを剣で受け、或いは避けすらするその動きはなる程、雑兵と呼ぶに惜しい程度の実力はあるらしい。が、続けざまに飛んできた大蛇の如き一撃は見抜けなんだか、術師は大きな傷を受け、苦い顔を見せた。
「厄介な連中だが、弱卒を蹴散らすよりは面白い! その土手っ腹、我が剣で貫いてくれよう!」
「粗暴な拳だ。そして遅い。当たる前にひと当てしてしまったではないか」
 速度に長けた個体は義弘が迫るより早く、肩口を狙い一手打ち込んだ。彼の肉体にとっては些事ながら、的確に血管を割いたか思いがけぬ流血を生んだ。驚く間も与えられず振るわれた大剣兜割りは、辛くも固めた守りが奏功したとはいえ、思いの外深く、義弘を抉った。
「フゥ、ハァ……くそ、くそっ……! あの連中の前で、こんな無様を……!」
「無様か、それは何よりだ。お前達は何の功労も挙げられずに死ぬ」
 度重なる強烈な攻撃に、術師の目は曇りつつあった。弱い……“不毀”を僭称するには、あまりにも。ラダの放った銃が次々と敵を撃ち抜くなか、やはり術師だけは動きがいっとう鈍い。そのまま倒れてくれればよし、そうでなければ倒れるまで。仲間に繋ごうと視線を切った一瞬のちに、突如として異変は起きた。
「くれてやる……この命、全剣王のためなれば!」
「殉教精神、見上げたモンだ。鉄砲玉には脆すぎ――」
 義弘は死を覚悟した術師の言葉にしかし、それ以上の脅威はない――と、感じとった。そうでなくとも、別小隊のひとつはレッドの術式で行動が極端に制限され、最大脅威である盾持ちはソアがその半数を釘付けにしている。この状態で一発逆転の手など打てまい。仮に強力な技があろうと、彼の肉体に危機など訪れないだろう。そう考えた。
「義弘様っ、伏せて!」
 だが、そんな考えを砕いたのはロサの叫び声。盾を振るって敵を一箇所に集めるよう立ち回っていた彼女は、義弘を庇える位置にはいない。だが、声を張り上げることはできた。そして、間に合わせることも。
 内部から膨れ上がるような、まるで不細工なゴム毬に空気を入れすぎた末路を見るような悲惨なもの。ぐぐっと持ち上がった術師の肉は、数瞬後に血と肉をぶちまけて爆ぜた。義弘は辛くも直撃を避けたが、わずかに触れた部分からの異常な脱力感と、急激に襲い来る『不正解』を示唆する悪寒に目を瞠った。
「見事、貴様の自己犠牲は天へ通じること相違なし」
「彼の強者を縛り付ける鎖とならば、我らの死も……本望……」
 そして避けられなかった(もとより避ける気もなかった)軍勢の数体は、もろにその血肉をかぶったのか溶けるように消えていく。あれは弱っていたからだろうが、そうでなくとも脅威をありありと感じさせた。
「じ、自爆?! 人間……だよね、あれ?」
「ろ、ロサちゃん! 今までの終焉勢であんな戦い方したやつ見たことあります!?」
「ありません! なんですか……なんですか、あれは!」
 ェクセレリァスは相手の末路が、人間の似姿をしたものとは思えず頓狂な言葉を紡いだ。その言葉の愚かさはわかっていても、誰もが覚えた感想だろうから詮無きことだ。レッドは真っ先に、この地の知識に長けたロサを見たが、彼女も首をふるばかり。状態異常に長けた術師という類推はしていたが、あんなものは想定外だ。
「イノチヲ、使ウ……テキヲ、引キ付ケル……」
「遠クから、一気ニ――」
 異常な状況に驚くイレギュラーズをよそに、獣はあらゆる行動を見ていた。攻撃だって、受けた。他の術師は最初の『自爆』を見たことでイレギュラーズが全力で殺しにかかった為に見せることはなかったが、それでも手にした魔術により彼らをそれなり以上に、ことロサを苦しめた。被害が最小限で済んだのは、レッドによる行動阻害や黒子の治療あってこそだろう。
「あの自爆技には、行動を邪魔する……運を捻じ曲げる呪いのようなものも混じっています。あれを学習する気なら、ますますもって逃がすわけには……」
「獣ども、後ろをウロウロして出てきやしねえ。こっちから引きずり出してやるぜ!」
「何を学び取ったかしらないけど、全部見せる前に倒せばいいよね?」
 黒子は治療を経て、術師の自爆の特性を分析し理解した。無差別に自分の周囲の運を喰らうタイプの呪い。死後、降り注いだ土すら呪うタイプだと。獣が先頭に立ちいらず、状況を見守っていることに貴道も、ソアもそろそろしびれを切らしつつある。敵の残数、こちらの手勢。踏み込むにはもう、待ったなしだった。
「……成程。体ヲ捨テル覚悟」
 そして獣がうち一体は、酷く前傾姿勢ではあるものの二足歩行へとシフトし、撥条仕掛けの如く、跳んだ。


「何を学習したんだか。なんにしたってロクなもんじゃねえだろうな……!」
「先程の戦いから学んだなら、上を取られるのは厄介……そういうことか」
 葵とラダは跳躍した獣に向けてそれぞれに最大火力を叩き込む。が、獣の耐久力もさるもの。受け止めた部位から毒々しい色へと変化を遂げ、凶悪な能力を想起させる。と同時に、その背中から翼が隆起し、落下を押し留めたのがわかる。未だ滑空、飛行には至っていない。
「進化成長とは厄介な……でも得たばかりの力ならまだ使いこなせないでしょ。今のうちに落とす!」
 全力飛行を見せないうちから自力で体得したというのか。その事実にェクセレリァスは絶句しかけたが、即座に思考を切り替え叩き落しにかかった。獣のさらに上を取り、上空から責め立てる。上下からの攻撃で思考が散漫になった獣はしかし、翼を羽撃かせ更に上空を指向した。
「やっぱり成長中ってことっすね。考えなしに進化を取り込んだっすか」
 それが、よくなかった。
 ェクセレリァスの飛行能力を学習したのはいい。高く飛ぼうとしたのも、『その姿を見ただけなら』合理的な選択肢だ。
 だが、それは神秘の後押しがあって初めて成立する。地上から放たれたレッドの術式は、空に慣れず、動きがぎこちない相手を容易に貫き、撃ち落とした。上空を自由に飛び、その不利を覆えす力を得なかった時点で、その獣は負けている。が、獣は死に際に己の右腕を引きちぎって地上へ、黒子ら後衛側へと全力で投げ飛ばした。穴だらけの翼を傾け、貴道らの側へと方向転換し突っ込んでいく。
「HAHAHA、最後っ屁のつもりか? 撃ち落としてやるぜ!」
「先程の自爆から学習したとして、あの威力――異常性を考えると不味、」
 まずい、と黒子が声をあげようとした時、すでにロサは貴道を覆うように盾を掲げていた。肉体の八割強をつかった自由落下からの自爆の威力は凄まじく、同時に飛び散った血潮の毒性もそれに比例する。
 両腕を掲げたまましばらく動きを止めた彼女の姿に、一同の緊張が高まる。自らも浅からぬ傷を負った黒子も即座に治療にかかるが……。
「確かに……これは驚異的です。守りを固めていなければ、治療頂けなければ危ないところでした」
「無茶しすぎっすよロサちゃん!」
「で、でもあの爆発で、イレギュラーズでもないのに倒れなかったのは凄いよ! あれはボクくらい強くないと危ないくらいだもん! ……あ、もう一体の方は逃げちゃったみたい。思ったよりすばしっこくて……」
 レッドとソアは彼女の無謀に驚きを隠せなかったが、それでも生き延びた生命力と判断力に称賛を以て応じた。この場において、終焉勢力の生存はゼロ、逃走1。
 ソアに背後をとられ、猛攻を掻い潜って命をつないだ獣は脅威ではあるが、彼女とて手の内の全ては見せていまい。学習を最小限に留めることは、間違いなく達成したはずだ。
 少なくとも今は傷を癒やし、次の機会を……ロサがその後語った「終焉側の動きの変化」に、警戒を強めることしかできまい。

成否

成功

MVP

ソア(p3p007025)
愛しき雷陣

状態異常

なし

あとがき

 お疲れ様でした。
 まずは大幅に遅れたこと、お詫び申し上げます。
 そのうえで、ですが、出ていた情報の範囲では基本的な対策も十分になされており、リプレイ内で見せた想定外の行動にも、プレイングの範疇と皆様の実力なら全く問題なく反応できていたと思います。
 一体取り逃しましたが、取り逃したといううちに入るのかは微妙なところ。多分、瀕死で這々の体で逃げているはずですが……。

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