シナリオ詳細
<ラケシスの紡ぎ糸>百万遍呼んだってあなたは帰らない
オープニング
●君へ
生きる事は喪うことだ。
死よりも最も恐ろしいのは、生きていくことだから。
それでも、私は息をする。呼吸を止めてはならないのだ。
責務と夥しき無数の死を背負って歩むが為に。
春の花のように柔らかなひだまりの色を束ねた髪だった。
萌える夏の草木のような、なまめかしい生の躍動を宿した瞳だった。
おまえの髪は母譲りだと告げれば彼女は喜んだ。おまえの瞳は父に良く似ていると褒めればそうでしょうと笑っていた。
ああ、けれど、おまえの瞳に見詰められる度に罪の意識に苛まれるのだ。
あの子達を守っていられたら。
我が子の歩みを見守ることさえ許されず、己が為に命を擲った者達よ。
――そうやって、いつだって悲しそうな顔をするんですもの。
ほら、笑顔。笑顔ですよ。にぃ。下手っぴさんですねぇ!
パラスラディエよ。
――オジサマ、こっちよ。ね、掌を貸して頂戴。動いたでしょう?
ふふ、この子に名前を付けてくれる? あ、女の子らしいモノが良いわ。
オジサマがいいのよ。私達の愛しい里おじさま。この子のこともどうぞよろしくね。
琉維よ。
――琉珂。良い名前だ。意味を聞いても? ……白瑪瑙、か。
そういえば、その石は寂しさや孤独を癒やすという意味があるらしいね。
我々が居なくなった後でも、この子があなたを癒やしてくれますように。
珠珀よ。
……おまえたちの願いは、叶えることが出来ただろうか。
●
「はっ!!!!!」
勢い良く起き上がった珱・琉珂 (p3n000246)は「今、夢見ていたみたいだわ!」と周囲を見回した。
何も変わりの無いフリアノン。ただし、転た寝をしていた為に周りには里長を補佐する者達の姿が見える。
「あ、ははは……眠ってごめんなさい。最近調査、調査、調査で忙しくって。
ヘスペリデスのことだったから、気になっちゃったの。星界獣っていうね、不思議なカニが人になったから」
琉珂はテーブルに額を擦り付けて嘆息した。
そう、覇竜領域に姿を見せた星界獣が変化し始めたのだ。どうやらイレギュラーズの残留エネルギーを食らいその姿を変化させつつあるのだという。
ヘスペリデスはそうした意味合いでは肥沃な地だ。何せ、イレギュラーズが冠位魔種と激闘を繰り広げた場所でもある。
「私にそっくりなやつが出て来たって……アーカーシュでもいたし……まあ、気にならないのだけれど」
何処か詰らなさそうな顔をして居た琉珂は「ヤな予感がするのよねえ」と呟いた。
世界が滅亡に瀕しているだとか、その時が近いというのはこの際『横』に置いて琉珂は分かり易い事象から取り掛かることに決めた。
影の領域に添う防衛線(ボーダーライン)周辺の情報収集だ。
ラド・バウ闘士のメルティは『塔の出現』を告げ、クォ・ヴァディスと合流したラサの情報屋イヴは『人間の姿に変化した』と終焉獣の進化を指摘した。
アルティオ=エルムの大魔導は霊樹の巫女であったが彼女のコンタクトが上手く疎通せず困っているとも深緑の魔女フランツェルから連絡があった。
そして――やはり、と言うしかないが。
覇竜領域でも星界獣が残留エネルギーを食らい姿を変化させ始めたのだ。
「どうしたって滅びたいんでしょうけど。本当に、趣味が滅びることだったら勝手にやって欲しい。巻込まないでよ」
唇を尖らせた琉珂は「ウチは防衛線なんて、それ程ね……張れたもんじゃないけれどね」とぼやいた。
鉄帝国の戦力はあの動乱の際に見た。幻想王国もいざこざは有るが戦力的には頼りになるだろう。
天義の騎士団は冠位魔種の対応に追われているが――それでも、有事の際に力を存分に発揮するはずだ。
海洋王国など国土の少なさから弱小と侮られるが海戦では群を抜く。豊穣はイレギュラーズの良き協力者と言えるか。
(練達も、技術力が武器になれば凄い強いでしょ? あ、それにラサも深緑も……覇竜はある意味隔絶されたし竜を従えるしかなくない!?)
そこまで考えてから琉珂は首を振った。そうやって『使役』する関係性は望まない。
彼は――『里おじさま』と呼ばれていたフリアノンの相談役は竜と人が対等で在ることを望んだのだから。
「さ、ヘスペリデスの調査に――」
琉珂がもう一度頑張るぞと立ち上がったときだった。
「里長!」
呼ぶ声に振り返ってから琉珂は「え?」と呟く。
目撃されたという星界獣のその姿は。
――紛れもなく。
「行きましょう」と琉珂は返事をした。
形振り構っていられずコートと武装を手にした。逸った気持ちを抑えなくては、冷静であらねば。
何度も己に言い聞かせ、言い聞かせ、言い聞かせて――やっとのことでやってきた。
鮮やかなる花の気配のする黄昏の地。
『ヘスペリデス』
誰かの願いが込められた、祈りの地。
分かって居た。厭な予感だなんて言って、ぼやかしていただけだった。
星界獣は『残留』するエネルギーを食う。当たり前だ、ヘスペリデスには誰のエネルギーが一番に色濃く残っているか。
滅びの気配に触れた竜達であれば心を鬼にして倒す事も出来ようが、その人ならばそうとも言えない。
「どうして」
どうしてなんて言ったところで意味は無いのに。
「なんで」
なんでなんて、聞いたところで誰が答えるの?
「ねえ――ッ」
それでも、その姿をとって欲しくなかった。とって欲しかったのかも知れない。
少しだけ、後悔していた。自分の身を砕いて、彼が生きる事の出来る奇跡を乞えば叶っただろうか。
……うそ、絶対に叶わないことを知っていたからそうしなかったのに。
諦めが支配した世界に怯えていただけだったのではないかと思わずには居られなかった。
決して分り合えない存在は居るのだから、時に諦めることも逃げることも、愚かでも醜くもないと。
そう教えてくれた人が目の前に立っている。
琉珂の肩ではためいたコートとそっくりな衣装を着たその人はにこりとも笑わない。
まるで能面にその顔を描いただけのような、生気無い存在が佇んでいる。
――ベルゼー・グラトニオスの『姿』を真似た星界獣が顕現したという。
ただし、欠片も欠片、その権能全てを真似ることは出来ないだろう。
- <ラケシスの紡ぎ糸>百万遍呼んだってあなたは帰らないLv:40以上、名声:覇竜30以上完了
- GM名夏あかね
- 種別EX
- 難易度HARD
- 冒険終了日時2023年11月11日 22時40分
- 参加人数10/10人
- 相談7日
- 参加費150RC
参加者 : 10 人
冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。
参加者一覧(10人)
サポートNPC一覧(1人)
リプレイ
●
生きる重圧は、死ぬ恐怖にも勝ることがある。
里を背負って立つという事は、即ち、己こそが里そのものであると認識すべきだと厳しく躾られた。
幼いことは言い訳でしかないと気付いた頃から、我武者羅に駆けてきた。
「琉珂」
呼ぶ声音は優しかった。
「琉珂」
両手を広げ、抱き締めてくれる。
――あなたは、父と母を喪った私のたった一人の家族だったのかもしれない。
『里長』珱・琉珂(p3n000246)は青ざめて行く。指先が震え、不安に体が支配される。
今から調理される魚の気持ちとはこの様なものなのだろうか。水槽の中でぴくりとも動かず、己が俎というショーステージの主役になる事を否定している。
(違うわ、私には沢山の家族が居る。里の皆も、鈴花も月瑠も朱華も紫琳も私の家族でしょう……)
肺の奥深くに沈んでいた不安を吐出してから琉珂は前を見た。
どうか見間違えだと言ってくれ。寂寞と後悔が尾を引いて見た幻影とでも。
「――アンタ、逆鱗に触れたわね」
轟々と燃え盛った煉の剣。自らの象徴たる赫々たる焔には夥しい憤怒が滲んでいる。
眼前には彼が居た。
『冠位暴食』ベルゼー・グラトニオス。その姿を真似た星界獣。
ただし、彼の権能全てを擬えた訳ではない。あくまでも断片も断片、所詮は姿を真似ただけの存在に過ぎない。
朱華の剣がぶるぶると震えた。身が怒りに震えた経験などそう多くあるまい。
「力を喰らい、強くなる為に強きモノの姿を真似る……。
理解は出来るけど、納得出来るかって言ったら話は別よ。その姿は、その人は私達にとっての特別。
アンタ達が……アンタみたいなのが軽々しく触れていい存在なんかじゃないんだからっ!」
やっとの事で発した声音は直情的な少女らしく、そして何時にも増した感情が込められていた。
草臥れた老人を思わせる外見のその人はやれやれと言わんばかりに頭を掻く。その表情の作り一つも良く似ているのだ。
なんと度し難い事だろうか。「腹立たしいことだ」と『闇之雲』武器商人(p3p001107)は囁いた。
――一体、誰の許可を得てその姿をとっている。
「いいかい。そして誰よりもこの言葉を放つに相応しいのはキミだよ、珱の方。
……暴食の愛し子。獣如きがあの愛情深き『父』を涜すのを、決してキミが許してはいけないよ」
武器商人は立ち竦んでいた琉珂の肩を叩いた。ああ、そうだ、細い一筋の糸だった奇跡で終ったはずの物語。
「……私」
掠れた声音が地を叩いた。琉珂の眸が彷徨く。感情の置き場を喪ったような、心細さ。
「……ベルゼーの姿を真似るとはな。あぁ、全く気に入らねェ。誰の許可を得てその姿を使ってやがる」
確かにこの場で遺されたエネルギーとしては垂涎ものだろう。
『あいいろのおもい』クウハ(p3p010695)は苦虫を噛み潰したような顔をして居た。
眼前の『ベルゼー』と呼ぶしかないただのけだものを蛇蝎視した。
「残っていたものですからなあ」
琉珂が引き攣った声を漏す。クウハは「聲まで――」と呟いた。
朱華の頭に熱が昇った。ひゅうと息を呑んだのは『恋揺れる天華』零・K・メルヴィル(p3p000277)だったか。
もっと鱈腹食わせてやりたいパンは山ほどあったが、それも叶わなかった。生き残ることの難しさを実感したのだ。
「琉珂」
呼び掛けてから零はその表情を目の当たりにしてから唇を引き結んだ。
(ああ、そうだよな)
見過ごせるわけもなければ、感情が揺らがぬ訳でもない。
「俺のスタンスは変わらねぇ。な、琉珂。俺的にも思うところはあるし。
……お前が無茶すりゃ止めてやる、お前が苦しいなら受け止めてやるからさ、やりたいようにやって来い」
背を押すのは何時だって同じだ。琉珂の背中を押した時、零は『あの頃』よりも更に重たい鎖にでも繋がれているような感覚がした。
それだけ彼女にとって受け入れがたい事象を目の当たりにしたという事なのだろう。
そうだ。死に携わり、死を扱うならば死者の似姿が惑わせるという事象には触れる事が多い。『遺言代行業』志屍 瑠璃(p3p000416)にとってはそれは日常茶飯事とまではいかずともよくある事として割り切られた。
寧ろ、瑠璃とてそれを利用する事もある。人間とは思考する生き物だ。最も簡単な『惑わせ方』である。
(いいえ、星界獣は落ちていた肉を拾って食べた程度の認識もないでしょうし、ならば怒るだけ無駄というものですが。
……近しい方としてはそうもいかないでしょう。特に、彼とは『色々と』合ったことでしょうから)
瑠璃は目を伏せてから、その男を真似たけだものを真紅の双眸へと映した。
よくもまあ、姿だけでも冠位魔種を借り受けようと考えたものだと呆れも通り越すがこの事象は近ければ近いほどにその人物の心を掻き立てる。
(――心を乱すな。怒りを引き金に乗せるな。あれは習性に従って滅びを振りまくだけのただの獣。
……ベルゼー様を形どっただけの空の器。落ち着いて、冷静に処理すればいいだけです。そう、冷静に)
重苦しい空気を呼気に乗せて吐出してから『未来を背負う者』劉・紫琳(p3p010462)はゆっくりとライフル銃を構えた。
姿勢を低くし、ストックを肩に乗せる。紫琳の冴えた紫水晶の眸に滾った感情は眼鏡の奥に隠された。
「……ええ、速やかに、琉珂様の前から消えていただきます」
●
「……ベルゼーの姿を真似た『星界獣』とはね」
『夜明け前の風』黎明院・ゼフィラ(p3p002101)は肩を竦めてから「ふふ」と小さな笑みを漏した。
「別に悪意があって姿を真似たわけでもないだろうけれど、中々残酷なことをする」
悪意がなければなんでも許されるわけではないのだと『未来を背負う者』秦・鈴花(p3p010358)は叫び出したくなる気持ちを堪えた。
「なにかの奇跡が起きて彼の意識が蘇ったというのなら歓迎なのだが、……そういうわけでもなさそうだしね」
「そうだね。あれは黄泉がえりなんてものじゃないもの」
『未来を背負う者』月瑠(p3p010361)は唇を噛み締めた。眉を寄せ苛立ちが滲んでいる。
――どうしてわたしの大事な親友はいつも悲しい思いをしなくちゃいけないんだろう。
月瑠は思い出す。里に帰った日、楽しげな祝勝会を終えてから琉珂は親友達を呼んだ。少しだけ一緒に居て欲しいと言って。
幼い子供の様に泣きじゃくったのはたったのその時だけだった。不安に押しつぶされそうになった彼女は悲しくとも笑っている事を選ぶのだから。
悔しさだけが滲んでいる。苛立ちだけがその場を支配していた。
(次から次へと琉珂を悲しませるモノがやってくる。
その中でもアレはダメだ。許しちゃいけない――琉珂だけじゃなくてきちんとお別れをしたオジサマも侮辱している)
ゆえ、と呼ぶ鈴花に月瑠はのろのろと顔を上げた。想いは一緒だ。ああ、だって――
「琉珂だけでなく……アウラスカルトやリーティア、彼を慕う多くの者たちの分も、この星界獣にはその姿を奪った報いを受けさせてやろうじゃないか。私としても知り合いの気持ちを踏みにじるような真似は看過し難いのでね」
ゼフィラの言うとおりだ。あの人は、さよならをしたのだから。
「さとちょー、約束したよね。わたしたちは何があっても一緒だよ」
「ゆえる」
琉珂を通り越してから月瑠は巨大な斧を構えた。その細腕で抱え上げるには到底似合わないそれは随分と馴染んでいる。
「そーよリュカ、アタシらは無理にアレに立ち向かえとは言わない。
それでも、リュカが戦うって言うなら――前を、横を見ればアタシも、朱華も、ゆえもいる。後ろを見れば、紫琳がいる。
一人じゃない。それだけは絶対忘れちゃダメよ」
琉珂を追い越すように前へと飛び出して鈴花は笑った。
『親友』なんてものは全てを救ってやれるような大それたものじゃない。悲しいとき、嬉しいとき、分かち合うために傍に居るだけだ。
(……琉珂が戦っても戦わなくっても、どっちでもいい。ただ、ただ、わたしはね、『気に食わない』だけだよ)
目の前の敵が許せないから戦う。そんな単純な事で良いのだと月瑠は「りんりん」と親友の名を呼んだ。
「ええ。分かっているわ。この場所は、覇竜で一番美しくなきゃいけないもの。
此処を愛したオジサマが、いつでも心安らげるように……嗚呼、なのに最悪よ! ねえ!」
鈴花は揶揄うように笑った。何時もならありとあらゆる罵詈雑言を発してやたらめったら暴れ回りたいレベルだ。
けれど今日は「鈴花」と止めてくれる人も居ない。
(……いつもなら何を考えてるか手に取るように解るリュカが、今日は解らない。
あの子は護られるお姫様じゃない、そう解っているけど――でも、いざとなれば身を挺したって護ってみせる)
分かり易い彼女。表情に全てでて、行動の端々から想いを全てぶつけてくる彼女。佇んだままのその体は頼りない。
「ねぇ……琉珂……こう考えたらどうかな……。
ベルゼーの事が大好きなら……アレが……それを一部ずつでも捕えてるなら……。
それをひとつずつ……思い出を大事に……取り返すつもりで……戦ってみるのはどう……?」
穏やかに、そして柔らかな声音で『玉響』レイン・レイン(p3p010586)は言った。
琉珂はレインを見詰めてから不安げに眉を寄せる。
「そしたら……冷静に……落ち着いてやろうとしてる事……出来ると思う……
そうしたら……ベルゼーをまた消すんじゃなくて……迎えに行く事にならない……?」
「レイン……」
琉珂の眸に揺らぐ感情にレインは言葉を尽くした。
「……大切な人に……思い出を一つ一つ……大事にして貰えたら……。
時々思い出してくれたら……嬉しいんじゃないかな……って僕は思うよ……混同……するのとは……違う意味でね……」
レインが気に掛けていたのは琉珂がベルゼーを護る為に立ち振る舞う可能性だった。
彼女にとってベルゼーは父親だ。琉珂の本来の父親である珠珀は彼の手で死してしまっている。不慮の事故だと言えるだろう。
まだ押さない琉珂を遺して両親を奪った罪悪感からベルゼーが琉珂に掛けた愛情は言葉にもし尽くせまい。
その愛情を一身に受け、朗らかな淑女となった彼女がその選択肢をとる可能性も――
「ちがう、ちがうのよ」
琉珂がか細い声でレインを呼んだ。その服を摘まみ上げてから首を振る。
「違うの……あの人を守りたいわけでも、あの人が本当のあの人だって思っているわけでもない……
ただ――もう一度が、酷く恐ろしいの。里を護る為に倒さなくちゃいけないのに、私がもう一度、あの人を――」
指先の震えを感じ取る。クウハは琉珂の考えが理解出来た気がして「やるせねぇな」と呟いた。
そうだ、ただ遣る瀬ないのだ。遣る瀬ないからこそ――遣らねばならない事があった。
「んじゃ、ちょっと言ってくるわ! 紫琳、リュカよろしく!」
「ええ、任せて下さい。この命に代えても」
佇んだままの琉珂の傍らで紫琳は微笑んだ。彼女の傍から離れることはない、彼女が為したいことがあるなら支える為に此処に居る。
「琉珂様、もしも、もしも、貴女が前へ出て向き合うというならばお望みの儘に。
……大丈夫ですよ。琉珂様の全部をぶつけてすっきりさせてしまいましょう」
●
レインはぎゅうと桜色の傘を手にしていた。琉珂はきっと、やるせない気持ちにけりを付けられずに居る。
己の生まれ里を護る為に星界獣を斃さねばならないことを知っている。それでも『父親代わり』を殺す事は躊躇うのだろう。
(うん……琉珂がもし……ベルゼーのようになってしまったら……)
純種に訪れる『最悪』がそこに無い事ばかりをレインは願っていた。餓えた愛情を求めるようにその腹に全てを取り込んでしまう事が無いように。
琉珂の傍に立っている紫琳は彼女から離れないようにと心掛けていた。屹度、細い心の糸を守るのは縒り合わせた縁だと察知していたのだろう。
「さて、と」
穏やかでありながらもその声音には鋭いものを宿している。武器商人の深い紫雲の眸が『ベルゼー』の周囲を飛び回っていた滅気竜を捉えた。
破滅へと誘う声音は畏怖と共に広がって行く。滅びに身を窶した竜はあんぐりと口を開いた。まるで餌を見付けた雛鳥のような滑稽な仕草だ。
「師匠たちにあっちは任せて、俺達もやるか!」
地を蹴ってから零は飛び込んだ。力を纏い手にした強い意志は、友の遺志でもある。
真っ向から燃える火の玉ストレート。遍く全てを満たすための力がここにある。宿した力の使い方は疾うに理解したつもりだ。
ベルゼーの元へと飛び込んで行く零に引き続き瑠璃の忍者刀に仕込まれたワイヤーが魔力と共に伸び上がった。
ワイヤーが瑠璃の頬を掠め血潮が伝う。それこそ瑠璃の戦い方の極意。結ぶ印と戦いへと向かうその意気が誘うように広がって行く。
「……遠巻きに見てさえ感じられたあの迫力がまるで無い。姿ばかり似せていて、逆に違いが目立ちますね」
原罪、冠位魔種。そう呼ばれた存在は他者の追従を許さない。だからこそ七つの罪と呼ばれ、大いなる災いをこの混沌へと齎すのだ。
喩えるならばベルゼーの権能と覇気は大海原に開いた渦のようなものだった。全てを飲み干し消え失せることとなる渦。
だが、目の前の男からは何らそうした気配は感じられない。細やかな雨垂れにも程近い生き物ではないか。
瑠璃を見たベルゼーの眸には何の感情の孕まれて等居ない。
(しかし、この状況を見れば本当に相手は『ただの食事』だったのだろうね。
獣が人を喰らった時に起こり得る復讐心にも良く似ているけれど――ああ、けれどこれは『いけない』な)
けだものに人の尊厳など関係はないとゼフィラは知っている。蓄えた知識の中でもモンスターに食われた者の弔いやモンスターへの復讐心による依頼とはローレットにも溢れかえっていた。
その中でも性質(タチ)が悪い事はままあるものだ。此れはどちらかと言えばそういう部類なのだ。
「……ッ」
ぎり、と歯を噛み締めた。嗚呼、腹が立つ。腹が立つ。
「あんたね」
鈴花が零した言葉は、只管に文句ばかりだった。復讐心や怒りによる言葉ではない、どうしたことか、飛び出したのは。
「こんなに直ぐに帰ってくるならパパに挨拶位しなさいよ!
アイツ、あんな、あんな寂しがって! 分かる!? パパが無理に笑ってる顔を見せられる娘の気持ちが!」
――そんな墓前で叫ぶような文句ばかりだった。
刹那の破壊力を高め叩き込んだ。軽やかな紅が踊り、拳を以て勢い良くベルゼーへと語りかける。
腕を駆け上がった痛みなど気にして何ていられるものか。己の与えた攻撃を跳ね返されようとも、琉珂の心の方が痛いだろう。
百万編呼んだって。
意味の無いことが目の前に横たわっている。
「りんりん」
頷く鈴花が一度後方へと下がる。月瑠の聲へと反応し燃える炎が叩き混まれた。
「もう!」
朱華の炎が燃え盛る。
「フリアノンの炎の剣が――私達がアンタの相手よっ!」
ぐりんと身を捻った朱華は「琉珂!」と呼ぶ。今だ紫琳の傍で飲み込めない感情に苦しむような顔をした琉珂はのろのろと顔を上げた。
「パサパサのパン食べて飲み込めないみたいな顔」
「零さんに新しいパン作って貰わなきゃ」
「……そんな顔、させたくなかった。私ですら胸に思うものがあるもの、琉珂はこんなもんじゃないでしょうけど……
けどね。敢て、今、聞かせて。私達が剣を向け、戦うこの姿を見た琉珂に聞きたいの」
口先だけならどうとだって言える。戦う前に『斃さなくちゃならないのだ』とそれ位は余すことなく言葉に出来る。
だが、それは素直な言葉じゃないだろう。彼女の使命感によるものだ。だからこそ、一撃を見舞ってから言いたかった。
「琉珂はアレと戦える? 私は戦士だもの。
……敵として立ち塞がって、ソレが私達の大事なものを傷つけるかもしれないのなら叩き斬ってみせるわ」
月瑠は小集落で育った娘だ。鈴花は倉庫番である。紫琳は書庫を守る。覇竜集落には『役割』が家に与えられることがある。
ならば朱華は――『煉家』の娘は戦士だ。里を護る為に武器を持ち、その命を燃やすためにある。
琉珂は『里長』の家系だ。本来は戦わず、里を護る為に後方に待ち受けるのが彼女の役目だ。それを全うしたって悪くはない。
「……だけど、アンタはそうじゃないでしょう?
琉珂がどうするか、どうしたいのかはアンタ自身が決めなさい。戦うって決めたのなら私や皆が琉珂を必ず支えてみせるから。
――なーんてね、覚悟決めるなんて相当なものよ。だから、任せくれたっていい」
朱華はあどけなく、何時ものように笑って見せた。
「『朱華』はいつだって『琉珂』の傍に居るんだから!」
幼い子供の様に、ただ家の役割なんて放り出しても傍に居る。鈴花は「そうよ!」と声を荒げてからベルゼーに言った。
「そもそもね、もっと長生きしなさいよ! クソオジサマ!」
本音と、それから苛立ちと。面白いほどの直球ストレート。零が「ふ」と笑みを漏せば月瑠はにいと笑った。
「言いたいこと、いっぱいあるんだから! オジサマのガワばかり真似たイミテーションめ!」
そんなの価値はない。ぶっ壊してやるのだと叫ぶように月瑠は勢い良く斧を振り上げた。
大丈夫だよ。『琉珂』。月瑠はその背で語る。彼女がどうしたって、何だって、親友の思いは蔑ろにしない!
●
気弱に見える彼女を一瞥して敢て瑠璃は発破を掛けるように声を掛けた。ああやって心を揺さ振る敵は何遍も見てきたからだ。
「あれが本人に見えてしまうなら、いっそ本人だと思って言えなかった不満とかをぶつけてみては?
……長く一緒に居れば、不満の一つや二つは何かしらあるでしょう」
「私のおやつ、勝手に食べちゃうとか……」
ぽつりと。零された不満に瑠璃は思わず笑ってしまったのだ。琉珂が狙われぬようにその位置を調整して戦う瑠璃は星界獣の動きを害する。
キリキリとワイヤーが音を立て、絡みつく。至近に近寄り振り上げた切っ先は鋭く男の肌を裂くが肉や皮膚を断った感覚では無い。
所詮は紛い物だ。キイキイと声を上げる滅着気竜を引き寄せていた武器商人は「キミ達は我(アタシ)と遊んでおくれよ」と囁く。
引き寄せ、そうして其れ等の行方を遮る時間はじわじわと過ぎて行く。
己の痛みは己の武器だ。「零」と武器商人が呼べば零は頷いた。師と謳ったその人はただの一人で戦っているのだ。
「やれ宝食姫は暴れん坊だねえ。海月のコは心配性のようだけれど――」
武器商人の囁く声音を聞きながらクウハは「暴れたくもなるもんだよな」と呟いた。
瑠璃のカバー役として、だが自らの危険に対して武器商人が万全の準備をしてくれるとクウハは知っている。
(ここでコイツを終らせなくてはならない。取り逃がしてたまるものか。
この姿で彷徨い続けることなど決して許せないのだから――!)
クウハは鋭く睨め付けた。百花の輪に、繚乱の輪。災いを退けながらも、漆黒の大鎌が血を操り杭とする。
大地に染みいる災いは全てがクウハの武器となった。
「よぉ、久しぶりじゃねェか。腹が減って起きてきちまったか?
オマエが偽物だろうと構わない。……なあ、此処から逃がしてやろうか。まだ死にたくはないだろう?」
囁きは敢てかけたものであった。クウハの発したそれは何れだけ本人を真似ているかを確かめる為だ。
ベルゼーならば。
そう、ベルゼー・グラトニオスという男は狡いのだ。
彼は冠位魔種だ。その行ないに許せやしない事柄が混じって居ることをクウハは知っている。
『覇竜領域を守りたい』という一心で彼は練達の街を、深緑の街を、竜によって蹂躙した。エゴイズムの塊だったが、そうするだけの覚悟を有していた。
星界獣は滅ぼすためにある。その生物が何処までベルゼーを模せたかは分からないが本来のベルゼーならば逃げ果せる事も拒絶するはずだ。
首を縦に振るはずのない男を思い出す。だからこそ、『刃が曇ること』はないのだ。
「躊躇いを消してくれてありがとう」
クウハは静かに囁いた。
残滓を食ったというならば一部は本人であるのだろう。だからこそ、端々から感じる彼の気配に琉珂が戸惑っている。
「琉珂」
呼び掛けたクウハに琉珂は「あの人は、オジサマじゃない」と確かめる。
「ああ。……もし『一部分』がそうだとしても。だからこそもう一度殺すべきだ。
自分の残滓を利用され、俺達に害を齎すことなどベルゼーが望むわけがない。
此処で躊躇いを見せるのはベルゼーに対する裏切りだ――そうだろう?」
その人の『力を使って』この場を蹂躙するなど。
「オジサマは、嫌がる……」
「そうだ。だからこそ一欠片たりとも残すべきじゃない。
それがどれだけ苦しみを伴う事だろうと、俺達はやらなきゃいけないんだよ。ベルゼーが安心して眠っていられる様にな」
クウハの鎌が星界獣の腕にぶつかった。瑠璃を狙ったそれを跳ね返す。癒やしの気配を纏わせてからレインは願った。
(……うん……琉珂が、ベルゼーと星界獣を……割り切れたなら……)
その時を待っていた。
「ッ、ベルゼー!」
零は歯噛みする。ああ、似ている。似ているけれど、あの柔らかな笑みはそこにはない。
「違う」
ベルゼーなんて『お前』を呼ぶ者か。
「そもそもお前は別人だ、アイツらしい見た目してるだけ、故人の姿をまねただけの……俺の敵だ。
ベルゼーは……アイツは敵だったけど仲間なんだよ。
……人の死を、アイツの死を、テメェが冒涜するなよ……!
アイツはアイツらしく生きたんだ!! お前が荒らしていい場所じゃねぇ! 悪いが、ご退場願おうか!!」
零が地を蹴った。紫琳の弾丸が無数に飛び交って行く。
たまたまそこにあっただけ。偶然であれど、その姿で『私達のオジサマ』を穢したことは許せない。
「貴方が為したのは大いなる罪だ――許されることではないと知りなさい」
紫琳が怒ってると朱華は鈴花に囁いた。
「怒るわよ! こんな! 外側だけ真似た紛い物!」
「分かるわよ、腹が立つもの」
鈴花は相変わらず殴り続けて居る。朱華は「私も素手にしたいかもしれない」と張り手を振りかぶるような仕草を見せた。
「リュカを悲しませて!」
鈴花は殴る。
「そもそも、リュカに料理を教えておきなさいよ! 胃が死ぬわよ!」
鈴花が殴る。
「馬鹿オジサマ!」
紛い物を相手にぶつけたいことをぶつける。それを彼女はその姿勢で示していた。
驚かんばかりに彼女は殴り続けて居たのだ。気持ちが固まってくれれば良い。鈴花はそう願うように『ただ、傍に居た』。
●
「琉珂、思う所、やっぱ有るんだろ」
「な、ないとは言えない」
琉珂は戦い続ける零や瑠璃を見詰めながら『まだ踏み出せない自分』に戸惑っているようだった。
そうしてみれば彼女は普通の人間だ。零が携わってきた竜達と比べれば精神性も幼く、割り切ることも苦手である。
「……死んだ奴が目の前にいるのは、俺でも動揺する。色々思い出して辛くなる……生きて欲しかったなら、余計にな」
生きてて欲しかった――零は思い返す。
姉ヶ崎。彼女の微笑みが遠離った。モザイクの世界に飲み込まれるように。
プラック。彼の意志はその身に宿した。真っ向からの火の玉ストレート。ただ、彼は『割り切り』が上手だった。
――ベルゼー。
「……それでも、俺が歯食い縛って生きるのは、譲れないモノがあって、苦しくても護りたい人が居るから。
琉珂、お前はどうだ、今、或いはこの先の未来で、心からしたい事は、有るか?
もし、苦しくても進みたいなら、その道を支えさせてくれ……お前の友として」
「零さんって、罪よね」
琉珂はくすりと笑った。ぱちりと瞬いてから零は「いやっ、まあ!?」と声を弾ませる。
女の子にそんな風に支えるだなんて、やっぱり罪なのだと彼女は笑った。
瑠璃は「さて、どうなさいます?」と囁いた。紫琳はゆっくりと立ち上がってから一歩ずつ前進した。
「たとえ姿だけだとしても、いなくなった大切な人が突然現れたら、戸惑うことも躊躇うことも全然おかしなことではないです。
もし、それでも琉珂様が向き合うことを選ばれるのであれば、私たちが全力で支えます。
……1人で向き合うのが辛いことでも、私たちが一緒にいます。みんな一緒なら、乗り越えられます」
「そうよそうよ!」
「さとちょー!」
相変わらずの調子の鈴花と月瑠に「あっ、前見なさいよ!」と朱華が声を荒げた。
「好きにしなよさとちょー。それがきっと一番いい!」
振りかぶった斧は、星界獣の腕にぶつかった。まるで『あの日のよう』に。
「オジサマのガワばかり真似たイミテーション。そんなものに価値なんてないッ! ぶっ壊れろ!
――この場所をオジサマの想い出を琉珂の気持ちをわたしたちの約束を穢すな!!!」
彼女には悲しい顔は似合わないのだ。そんな顔にするモノをどうにかできるくらいに強くなりたい。
親友だから。大切だから。傍に居ると決めたから。
月瑠の知っている琉珂(さとちょー)は戦う事を選ぶはずだ。それでも、割り切るまでの時間が必要だ。
考える時間が居るなら、いくらだって支えてやれるように、背負ってやれるように。
「私ね、向き合わなきゃ」
琉珂はゆっくりとカトラリーセットに手を掛けた。母の形見であった鋏ではない、ベルゼーの遺した二種類の武器だ。
食いしん坊らしいものだと笑った事を思い出す。それも随分と扱いに慣れてしまった。
「琉珂様、辛い時、苦しい時には私たちを頼っていただいて良いんです。
琉珂様にお願いされたら、私、なんだってできてしまうんですから!」
「なんだって!?」
琉珂がぐるんと振り向いた。紫琳は「それでこそ琉珂様です」と笑う。
「言ったでしょ、支えてあげるって。
私や鈴花、月瑠に紫琳…皆だってそれは同じ気持ちの筈よ。だから――やっちゃいなさい、琉珂っ!」
あの時だって、背中を押して貰ったのだ。
気持ちとの決別は、自分の手でなくてはならないのだと。
「琉珂様」
お供しますと紫琳が囁いた。
「いけ、リュカっ!」
「さとちょー! いっちゃえ!」
あの時と同じだ。
琉珂は笑った。
(武器商人さんから見れば私って、か弱くって泣き虫の女の子かしら?
クウハさんみたいに考えることも出来なければレインさんみたいにいざとなれば自分がってなれないし。
瑠璃さんみたいに経験もないわ。零さんみたいに背負うことだって難しい)
親友達は皆背を押してくれる。
――「リュカ! こっちよ!」
――「さとちょー!」
あの時も、二人は呼んでくれた。
――「琉珂は私達にとっての光なのよ――誰が相手だろうと消させはしないわ!」
朱華、私は貴女の光になれるかしら。傍に居てね紫琳
――私、さようならを言いに来たの。
いつの日にか、口にしたその言葉だけがその場に残った。
●
「あーあ、お腹空いちゃったあ」
振り向いてから琉珂は悪戯めいて笑う。「レインが私がオジサマみたいに丸かじりするかもって心配してくれたからかな」と。
そんな風に付け加えた琉珂にレインはぱちくりと大きな眸を瞬かせた。
「……琉珂……食べるなら……僕にしてね……。
僕は……竜じゃないし……覇竜の民でもないから……」
「大丈夫よ。私、普通の人間だし、……そう、私って普通の人間なのよね」
琉珂はぽつりと零した。クウハはその言葉に込められた意図に気付いて眉を顰める。
そうだ、ベルゼーだって普通の人間だったならば。そう思わずには居られないのだ。
「頑張っただろ」
「ええ」
「これで屹度安心して眠っていられるさ」
クウハへと琉珂は微笑んでから頷いた。鈴花が言って居た、この場所は綺麗じゃなくっちゃいけないと。
「今度、此処にお料理持ってピクニックしましょうよ。星界獣が此処で好きかってしない見守りついで!」
にこりと笑った琉珂を見てから零は「その料理って……」と呟いた。
「リュカ! 聞きなさい、料理が動いてそれを此処で斃して料理の星界獣が出て来たらどうするのよ」
「私のゴンザレス忠直が……?」
「名前どうしたの?」
朱華が眉を顰め、琉珂の肩を掴んで振り回す鈴花が「止めなさいってば!」と叫ぶ。
「さ、何時も通りかい?」
ゆっくりと背を向けた武器商人の傍にはクウハが立っていた。
吹く風に煽られた髪を押さえてからつい、と顔を上げる。ヘスペリデスから見えたのは美しいフリアノンの姿だった。
成否
成功
MVP
状態異常
あとがき
お疲れ様でした。
ヘスペリデスで残留思念を喰らうと言われたときに、私がお腹を空かせた星界獣ならこうするなあと思いました。
一人では乗り越えられなかったと思います。
琉珂は、皆さんがいるからこそ乗り越えられたのでしょう。
GMコメント
●成功条件
・『滅気竜』の撃破
・『星界獣』の撃破もしくは撤退
●ヘスペリデス『11番目の功罪』
11番目の功罪と呼ばれるエリアです。大地は抉れ、戦闘の気配が色濃く残る場所ですがぽつぽつと植物の気配がします。
嘗てはこの場所でジャバーウォックと戦いました。現在の天候は晴れ。周辺ロケーションで細かな対処はそれ程必要ありません。
●『星界獣』暴食の気配
ベルゼー・グラトニオスの姿を得た星界獣です。ただし、ベルゼーの残留エネルギーを摘まみ食いしただけのようです。
ベルゼーと同じような特徴を有していますが、全ての権能を真似られた訳ではないため、ちぐはぐです。
攻撃で与えたダメージ(その対象者のHP/AP)を自己リソースとして回復できるようです。
また、【棘】によってダメージを反射します。BSの付与なども得意としているようです。
姿はベルゼーそのものですが、思考回路はそれと同等ではありません。
つまり、一部分だけを真似しているような状態です。それでも、琉珂にとっては……。
●滅気竜 10体
滅びのアークに触れて変化したワイバーンです。
暴食の気配に誘われて動き回っています。彼を守るように立ち回るようです。
●NPC『珱・琉珂』
フリアノンの里長。ベルゼーのコートと武器を手にしています。立派な里長になるために邁進中。
お料理が苦手な元気な女の子です。両親を喪ってから父親代わりだったベルゼーを模したモノが目の前に居るため非常に憤っています。
そして、それと同様に途惑いと躊躇いを感じています。
倒さなくっちゃいけないけれど、でも。もう一度だなんて、耐えられるわけが無い。
●情報精度
このシナリオの情報精度はC-です。
信用していい情報とそうでない情報を切り分けて下さい。
不測の事態を警戒して下さい。
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