PandoraPartyProject

シナリオ詳細

ゾンビ×ゾンビ×ゾンビ!

完了

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●カタコンベに眠る
「さあ、死者共よ! 甦れ! 我が腕となりて、幻想(レガト・イルシオン)を席捲せり!」
 黒いフードの魔術師――ネクロマンサーが杖をダクトのように振りかざし叫びを上げた。地下墓地の各所に設置された魔法陣が赤黒く光り始める。その様はさながら焔が大地を裂き燃え上がる煉獄だ。
 思い通りに術式が成功したことに魔術師はほくそ笑む。我が研究を唾棄した諸侯共に目にもの見せてくれる。
 ぼこり、と真新しい墓の下から腐敗の始まった手が生えた。古い墓の下からは白い骨の手が。ぼこり、ぼこりと土が盛り上がっていく。
 蘇りし死体。リビングデッド。その身体からは瘴気を放ち、生きとし生けるものの命を奪わんと欲する、地獄の亡者。彼らは、命を求む。もう一度、生の喜びを味わうために。
「死者共よ! 我に集え!」
「「オォォォォォォォォオオオ」」
 声帯はもうないだろうというにもかかわらず、地の底から響くような、声。生者をただただ憎む、声。
「良いぞ、良いぞ! 死体たちよ! ネクロマンサーってなんか根暗だし、なんか臭いし、ちょっと彼氏にするにはありえないよねー、マジ卍~とか言って俺を振った、あの貴族の小娘を怖い目にあわせるのだ! そもそもなんだ卍って! 意味わかんねぇよ!」
 死者の行軍を率いる、少々スケールの小さい恨み言を叫ぶ、夜の王が君臨した。
「あれ? っていうか、ちょっと多くね? えっ、なんで俺に向かってきてるの?」
「「ニャァアアアアアアアアンン」」
「おい! 誰だ! 地下墓地に勝手に猫埋めたの!」
「「「ォオオオオオォオォォオォオ!」」
「ちょっと、まって、お前ら、生者って俺をねらって……――ぁあーーーーー!」
 哀れ、夜の王は死者達に飲み込まれ、自らも死者と成り果てるのであった。


「というわけで、カタコンベで、パンデミックが起きて、墓守さんが困っているんですよ」
 情報屋ユリーカ・ユリカ(p3n00002)はくりっとした瞳の上の眉をよせて君たちに話しかける。
「なんだか、魔術師さんがリビングデッドを率いて振られた彼女に嫌がらせをしようとしたところ、うっかり術式をミスって、死んじゃったみたいなんですよ」
 なんとも迷惑な話だ。
「で、出てこないようにカタコンベの門は閉ざしてあるんですが、このままにはしておけないので、始末してきてほしいのです!」
 すごく、微妙な、空気が、流れる。
「魔術師さんもリビングデッド化して、恨み言を唱えながらリビングデッドたちを総勢80体ほど率いているのです」
「80体」
「モテ野郎は消毒だー! って騒いでるらしいのです。近所の人たちは騒音被害に困ってます」
「モテ野郎」
「可愛い女の子は彼女になってくれー! とも騒いでるみたいなのです」
「彼女」
「一発殴れば倒れちゃうような弱っちいリビングデッドさんなので、イレギュラーズのみなさんなら余裕なのです!
 一人! 10体! ノルマ!」
 やっぱり、すごく微妙な空気がローレットの一角に蔓延するが素知らぬ顔でユリーカはえいえいおーと腕を振り上げる。
「みなさん!よろしくなのです!」

GMコメント

おせわになっています。鉄瓶ぬめぬめです。
 今回はリビングデットをめちゃくちゃ作るだけ作るだけつくって死んじゃった魔術師さんの後始末です。
 つまり、ゾンビ無双のお時間です。厳密にはゾンビではなくリビングデッドですが。
 ユリーカちゃんの言うとおり一発殴れば倒れちゃうようなゾンビさんなので、ストレス解消感覚で無双してください。
 参加者の皆様で倒せた数を競ってもよし、魔術師さんと迎合してもよし(でも倒してくださいね!)
 なんだかすごい必殺技みたいにスキルをつかってもよし、空気を読まずにめちゃくちゃシリアスに戦ってもよし! 魔術師さんと実は知り合いでもよし! 魔術師さんを振った女子でもよし! ゾンビに知り合いがいてもよし! 貴方のアイデアを好きにぶっこんでよし!
 自由に無双を楽しんでください。

 成功条件は死者の行軍(笑)の全滅です。

・敵さん
 リビングデッド80体。
 ぼかっ、がしっ、ゾンビは死んだ。くらいの体力しかありませんし、むこうもボカボカ殴ってくるだけです。
 猫の骨もさり気なくまざってます。
 腐ってるのとか半分腐ってるのとか骨だけとか老若男女バラエティに飛んでますがだいたい骨なので代わり映えはありません。

 ネクロマンサーさん
 わらわらなゾンビより気持ち強いのでスキルで攻撃しないと倒せないと思います。
 スキルは恨み言。範囲。なんとなく沈鬱な気分になってAPが削られる感じがします。(固定減少量1)

・ロケーション
 カタコンベで暗いのである程度の準備があればいいと思います。松明とか。
 光るギフトでも問題ありません。
 ボコボコしてるので転ばないように注意してください。
 3ターン毎に転ぶかどうかの判定が入ります。転んだひとがいればゾンビたちは乗りかかってきます。注意。

 以上お気軽に遊びにきてください。
 PC様の楽しいロールに溢れたプレイングをお待ちしています。

  • ゾンビ×ゾンビ×ゾンビ!完了
  • GM名鉄瓶ぬめぬめ
  • 種別通常
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2018年01月30日 21時45分
  • 参加人数8/8人
  • 相談7日
  • 参加費100RC

参加者 : 8 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(8人)

レーヴ・シュマン(p3p000345)
夢幻への送還者
ウィリア・ウィスプール(p3p000384)
彷徨たる鬼火
シュクル・シュガー(p3p000627)
活菓子
ノア・マクレシア(p3p000713)
墓場の黒兎
ランドウェラ=ロード=ロウス(p3p000788)
黄昏夢廸
新納 竜也(p3p000903)
ユニバース皇子
宗高・みつき(p3p001078)
不屈の
トゥエル=ナレッジ(p3p001324)
探求者

リプレイ


「私達、これで終わりにしましょう」
 青年はその言葉を発した女性に詰め寄り、腕を握る。時間は午後7時48分だと、間違いなく覚えてる。なぜなら握った白く細い腕には見たこともない高級そうな時計がその時間を指していたからだ。彼女は首を振る。なんでだよ! その叫びはどれほど彼女に響いたのか。
「彼の方が私を幸せにしてくれるの♪」幸せにしてくれるの♪」くれるの♪」くれるの♪」
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!!!!」
『不屈の』宗高・みつき(p3p001078)は、脳内の思い出でリフレインする彼女の声を幻聴して奇声を上げた。
 『夢幻への送還者』レーヴ・シュマン(p3p000345) がビクリと身体を震わせる。先程まで初めて見たリビングデッド――便宜上ゾンビと呼ぶ。ゾンビとはコンゴで信仰されている神「ンザンビ」に由来する、ブードゥ教の生ける死体を表す語句であるが、そのあたりは見逃して頂きたい――に怯えたみつきを庇いながら、大きめの墓石を背にし、定点撃ちでヘッドショットをしていたところの奇声である。何事かと振り向けば、少しだけスッキリした顔になったみつきが立ち上がり告げる。
「女の子にだけ任せておくわけにはいかないもんな。大丈夫だ。あいつの気持ちはよーく分かる」
 神秘の深奥に自らの魔力を親和させてながら立ち上がったみつきは向かい合うレーヴの後ろから彼女を襲わんとするゾンビを撃ち落とす。頼もしいレーヴを見て、気を奮い立たせたのだ。男の子だから。
「安らかに眠れるよう、供養してやろうぜ!」
「そうか」
 みつきの細い足はガクガクと揺れている。それがゾンビに遭遇したためなのか、思い出リフレインの精神攻撃(セルフ)なのかは定かではないが、レーヴは見なかったことにして、みつきに背を預け、死角をなくすと、冷徹で、正確なシュートを続けていく。
「ゾンビは頭を撃ち抜くと動かなくなる、という情報を聞きかじったのだが、本当だろうか?」

 発光する髪を揺蕩わせて、 『彷徨たる鬼火』ウィリア・ウィスプール(p3p000384)はカタコンベに降り立った、死の女神のようである。その、手にあるのは、三叉の燭台。鬼火の姫はその先の魔力のキャンドルの刃を油断なく振りかざせば、死の女神に哀れにも魅入られたゾンビたちはその動きを止めていく。
「わらわら…いっぱいだけど。ちっとも…怖く、ありませんよ」
「それは結構。頼りにしてるよ」
 『黄昏夢廸』ランドウェラ=ロード=ロウス(p3p000788)はベルトにぶら下げた、カンテラを揺らしながら、左腕でマスケットをゾンビに向け引き金を引けば、フリントが当り金を弾き火花が起これば、銃口から白煙を吹き出し弾丸がゾンビの右半身を吹き飛ばした。
「よし、ヒット。今ので何体目?」
「えっと、ひー、ふー……」
 指折り数えるウィリアの隣で器用に片手で次弾を装填したランドウェラは油断なくあたりを見回す。
 
『墓場の黒兎』ノア・マクレシア(p3p000713)はテンションは低いながらも機嫌は悪くない。
(オトモダチじゃないオトモダチさん……なんか、不思議な感じが……するね……?)
 練り上げた魔力弾を撃ちながら、お友達と称したゾンビと向き合う。深く被ったうさみみのフードの奥の表情は伺えないが、興味深そうにしているのはわかる。
「かわいい猫さんのオトモダチさんもいる……触りたいな……」
 猫のゾンビに触れようと片手を伸ばす。
「ニ゛ャ゛ア゛ア゛ア゛ア゛!」
「危ないっ!」
 すんでのところで、相方である【活菓子】 シュクル・シュガー (p3p000627)が黄金糖の目をぱちくりさせて、駆け寄ると、ナイフで猫を切り裂く。
「あ……かわいかったのに」
「かわいい? いや、どうだろう、うーん」
 ゾンビをみるのが初めてだというシュクルは、少しはしゃぎ気味だ。ゾンビを倒す競争も積極的に楽しんでいた。
「ゾンビってマジでノロマなんだな! 話に聞いてた通りだ!」
 反応速度に特化したシュクルにとってはノロノロと動くゾンビは敵ではない。ぴょんぴょんとゼリービーンズのように跳ねながら、お菓子の少年は、蹴飛ばしたり、宙返りしながらナイフを振るったりとダンスのように退治していく。
 ノアは、小高い丘のようになっている場所で、恨み言を唱え続けているネクロマンサーを見上げた。
「おはなし、きいてみたいな」

「うむ、面倒だ」
 『特異運命座標』新納 竜也(p3p000903)は引き締まった身体から繰り出す鮮やかな剣技でもって、ゾンビを屠る。何体倒したのだったけか。鮮やかな南国鳥のごとき羽を広げる少女、『探求者』トゥエル=ナレッジ(p3p001324) は初任務に心躍らせている。
「一緒にゾンビをたくさんやっつけましょうね!」
 可憐な少女にそんな風に言われてしまったら、男性としては弱いものである。面倒くさがりは今日は開店休業だと呟き、全力でもって彼女に勝利を捧げなくてはならなくなってしまった。
「まあ、悪くはない気分ではあるが」
「いやっほー。ゾンビは消毒だー!」
 可憐な少女がなんだか、世紀末にいそうなヤラレ役のセリフを吐きはじめた。バックから試験管を取り出し、両の指に挟み投げつけながら、同時に魔弾を発射してる。なにあれ、こわい。明らかに怪しげな蛍光色の液体はダメージは与えることはできないものの、シュウシュウと地面で怪しげな煙をあげている。
「な、なにかな、それは?」
「はい!ゾンビの群れを倒すときの決め台詞なのです!」
「そ、そうか、いやっほー。ゾンビは消毒だー!」
 竜也は彼女に合わせて、声をあげた。彼は紳士なのである。ユニバースなそのオーラによって、下っ端感はない。世紀末の王者が誕生したのだ。

 イレギュラー達の進軍は快調だ。
 足元の注意、暗所対策は見事に為され、たとえ転んだとしても、即座にフォローし合う抜かりのなさだ。
「ふふふ!楽勝です。ガンガンいきますよ! っと……あ。」
 途中トゥエルがお約束のフラグを踏んで、でこぼこに足を取られて、すっ転ぶ。ゾンビたちはそれいけ~とばかりにトゥエルに覆いかぶさる。
トゥエルは全力の防御で耐えるが組み付かれ過ぎ、回避もままならない。引っかき傷がアチラコチラにつけられる。
「お前ら卑怯だぞ!? 性格まで腐ってんのかよ!?」
仲間たちが優先的にのしかかっているゾンビを集中攻撃すれば、バラバラとゾンビ達は動かぬ骨に戻っていく。
「ひどいめにあったのです!」
 骨の山を掘り分けながらトゥエルがぴょこんと頭をだした。
 この時点での撃破数は、レーヴが8体、 ウィリアが2体、シュクレが7体、ノアが4体、ランドウェラ3体、竜也が頑張りまくって10体、みつきが5体、そして、トゥエルが6体で、竜也・トゥエルのゾンビは消毒チームが一つ頭を抜けている。
 中間報告をきき、シュクレが触発され「頑張るぞ! な、ノア」と声をかければ、
「撃破数……一位、ねらうの……」
 クマのぬいぐるみの五郎さんをぎゅっとだきしめがんばろうね、とノアは静かな闘志を燃やす。
 そんな二人をレーヴは少しだけ柔らかな笑みで見つめると、背後から襲いかかる、ゾンビを振り向きざまにライフルで撃ち落とす。
「1体追加だ、ボヤボヤしていると、倒せんぞ」
 先程の笑みはどこへやら、一転し、ニヒルな笑顔で挑発する。
「……うむ。運の良い事に知り合いや似ているのはおらん。」
 ランドウェラはここまで到達する段階でゾンビの中に知り合いがいないことにほっとする。撃てぬわけではない。相手は敵だ。それでも切な程度は引き金を引く時間が遅れる。彼はそんな優しい男だ。
 
 彼らはついにネクロマンサーのもとにたどり着く。やはりどれだけ一撃で屠ることができるとは言え、自分たちの10倍の数の物量に対して、回復手段がランドウェラの緑の抱擁のみでは少々分が悪い。戦闘不能にこそなりはしなかったが、体力はそろそろ限界に近づきつつもある。
「お前の恨み言なんて知ったことかよ! 自業自得だバーカ!」
 暗闇からのシュクレの奇襲攻撃が、仲間が闇を照らす光に反射した残光を曳きながらネクロマンサーを襲う。
「なんという! なんという! 卑怯!」
 腐りかけの手のひらを切り落とされたネクロマンサーが叫んだ。
「今のナイスです!流石です!」
 トゥエルが拍手して、喝采をあげる。
「なんと、こんな薄暗いカタコンベにかわゆいおにゃのこたち! ぜひ俺の彼女……「寝言は寝て言え!」」
 若干食い気味に冷たくレーヴが切り捨て、狙撃手の目をもって撃ち込んだ精密射撃がネクロマンサーの片耳を消し飛ばす。
「あなたにも……つらいことが、あったかも知れません……でも……人に、迷惑をかけちゃ、いけませんよ」
 柔らかく語りかけるはウィリア。
「なんと! 君こそがマイエンジェルか……! ぜひお「お断りします」」
 その、優しさに触れ滂沱の涙を流したネクロマンサー、本日二度目の食い気味の失恋である。
「皆の……静かな、暮らしの為。あなたには……静かに、なってもらいます」
 ウィリアの焔の魔力が燭台の炎を大きく燃え立たせ、ネクロマンサーに直撃した。
「ここで……燃え尽きて、眠ってください。骨は……埋めてあげますから」
 麗しき死の女神の慈悲の腕はネクロマンサーの死を悼む。
「ねぇ、あそぼ」
 ノアは尋ねる。彼女もまたネクロマンサーを夢見てネクロマンサーを目指しているのだ。
「合法ロリきた! かつる! 遊びます!」
「今回使った術式について聞きたい……どういうの……使ったのか、本当はどんな術式になるはずだったのか……気になる」
「本来……か? いや、そうだな、魔法陣でぐわーとしてどばーとでてきたリビングデッドをぐわー、ってかんじで、ドブラグアボッシャル! っていう予定だった、が……俺は失念していたのだ。死せるものは生者をただ求めることに。奴らは目ではなく、生気を追いかける習性があるのだ。そして俺は死んだ。なんまいだ。」
 どうもこのネクロマンサーは理論ではなく感性と感覚でこの術式を構築したようである。それでは何も役にたたないとノアは落胆する。
「なるほど、だから、奴らは私の居場所に気づいたのか」
 気配遮断や、暗闇に紛れる工夫が通用しないことに疑問を感じていたレーヴはなるほどと手を叩く。
「ところで、うさぎさん! 死を前提にお付き合いなどいたしませんか?」
「……やだ」
 わりと、痛い魔弾の被弾と共に本日3回目の失恋(ハートブレイク)カウンターが追加された。
「ま、それはそれとして。魔術師よ。ゾンビになってまで彼女を作ろうとする心意気や、良し!」
 大仰に、マントをはためかせ、よく通る美声で竜也がコズミック級の戦略眼をもって、この一連の騒動の目的を看破する。
「みなまで言うな、魔術師よ! 人に期待を寄せることができなくなった、お前はもっともクレバーな手段として、死者を蘇らせることによって、選り取り見取りのハーレムを作り上げようとしたのだな!」
「いえ、違います」
「そして!! その死者に寄り添うため! 自らの生命も投げ捨てる! なんという剛毅! なんという侠気!」
「その、事故です」
「その、所業、俺は感動した!! 俺にまかせろ!悪いようにはしない!」
「そういうやつに任せることができた試しはないんだ!」
「このスラリとした子とかどうだ? ダメか」
「よく見ろ! 骨盤! そいつは男だ!」
 そうか、と言って骨ゾンビをずんばらりと切り伏せる竜也。
「では自らを惜しげもなくさらけ出してるあの子はどうだ?……ダメか」
 銃口で指差したゾンビをそのまま銃殺する竜也。
「肉体的なこのツンデレっぽい子はどうだ?……ダメか」
 半分腐っているゾンビの心臓を打ち抜き返す刃で切り伏せる竜也。
「ツッコミどころは死ぬほどあるけど、お前他人に割り切り方がエグいっていわれない????」
「わがままな奴だな。もう残るゾンビはあの三体だけだったというのに……仕方がない。恨みを抱えたまま死に行かねばならないほどの悪党ではあるまい。来世で彼女ができることを祈っているぞ」
「お前のその容赦のなさ! どんな育てられ方したの!?」
 慌てふためくネクロマンサーの足元に、蛍光ピンクの液体が投げつけられる。
「うわっ!」
 しゅうしゅうと音を立てて蒸発するその怪しげな液体をなげつけた美少女と目が合った。
「ゾンビは消毒です。あの、お持ち帰りしてもいいですか?」
「何を!?」
「焼きゾンビですー!」
「せめて告る時間ください!」
 容赦なく攻めくる焔の術式が、磔刑台さながらに十字に広がると、ネクロマンサーを覆い尽くす。この間も実はネクロマンサーのボヤキによる、精神力へのダメージは続いていたのだが、序盤からしっかりと温存してきた彼らにとっては特にダメージとしては働かない。そもそも、減少値自体が少ないというのはあるが。
「肩書や勝手なイメージで判断されるのってキツいよな……俺も似たような経験があるから、お前の気持ちは分かるつもりだ」
 優しい目で声をかけるは、みつきだ。
「あ、え? 男? あれ?でも首からしたはぼいんちゃん……このさいもういい! その胸で泣かせてくれーーー!」
 相互理解による、今回初めての優しさにトゥンクと心臓の高鳴りを感じた(つもりになった)ネクロマンサーはみつきの豊満なわがままボディに飛び込もうと駆け寄る。が、迎え撃つように撃たれたマギシュートは無情にもテンプルを打ち砕く。
「それはそれとして手は抜かないからな!」
 どさりと、ネクロマンサーが、倒れた。
「最後に……まじ卍とは……なにかを、教えてくれ」
 息も絶え絶えのネクロマンサーはイレギュラーズに向かって手を伸ばす。
「まじ卍とは……まじは本気、卍はやばい。つまり本気でやばいという事だ!……いや、実際の所は知らんぞ」
 ランドウェラは少しだけ哀れみの瞳で、長いまつげを震わせ彼に答えた。
「なんと! そんな意味が……! やっぱり馬鹿にされてたのではないか!」
 瀕死(?)のネクロマンサーの滂沱の涙は止まらない。しかし今際の際に気になっていた不思議の意味がわかりすこしだけスッキリしたような表情をみせ消滅した。ここに、ゾンビ掃討作戦は完結をみせたのである。



 その後彼らは、墓守のために、死体を戻したりぐちゃぐちゃになったカタコンベの清掃埋葬作業に従事する。
 墓守達はとても喜び、お礼を伝える。とはいえ、80体とプラス1体の死体を片付けるのには相当の労力が必要ではあったが。

 さて、競争の結果である。
 レーヴとみつきチームが、合計25体、ウィリアとランドウェラチームが16体、竜也とトゥエルチームが25体、そして最後にノアとシュクルが14体。
 ということで、レーヴ、みつき、竜也、トゥエルが同率1位ということで幕を閉じる。
 彼らはお互いの敢闘を称え合い、ローレットへの報告に向かうのであった。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

ゾンビ退治おつかれさまでした。無事成功でございます。
 掃討数についてはダイスをふってきめさせていただきました。楽しんでいただけると幸いです!
 今回はご参加本当にありがとうございました。

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