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シナリオ詳細

ムキムキのきのこ

完了

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

オープニング

●羽衣教会
「KIURYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYY!!」

 馬のような形をしたきうりの嘶きが辺りの民家に響き渡る。近所迷惑である。

 辺りを見回せば、割り箸のような足を生やした活きのいいなすびが庭中を跳ね回っている。

 そう、もうすぐお盆。きうりとなすびがやたらと活性化する季節である。何言ってんのか意味が分からないと思いますがこれが現実です。

 そしてその傍らには、うるさく声を張り上げる……成人男性くらいの大きさの、どう見ても筋肉ムキムキのエリンギのような物体が存在していた。

「仕上がってるよ!! 仕上がってるよ!!!」

 そのエリンギは、まるで自らを鍛えるかのように傍らの石を掴みあげ、ダンベル運動の要領で腕を上げ下げしていた。エリンギの筋トレ……否、菌トレである。

 見れば、栄養を吸い取られたのか、エリンギの近くに実っている野菜達がしおしおと元気を無くしていっている。

 ムキムキのきのことしおれる野菜。そしてなんかよくわからんけど七色に光りだしたきうりとなすび。
 控えめに言って地獄である。
 さながら夏の夜の悪夢のような光景が広がっていた。


●ということで
「最近うちの野菜の挙動がおかしくて……」

ㅤ右手を頬に当て、『羽衣教会会長』楊枝 茄子子(p3p008356)が困ったなぁという風に語り出す。
 茄子子の運営する、練達に存在する宗教『羽衣教会』。その本拠地の庭には奇怪な野菜達が勝手に住み着いている。

 馬のような身なりで歩き回る胡瓜、なまりの強い言語を話す大根、なぜか履いているスカートを必死に抑える人参など、その種類は様々である。

「毎年この時期になるときうりやなすびが大きくなったり光り出すのはまぁいいんだけど、それに張り合うようにそこのムキムきのこがバルクアップし始めてね」

ㅤそのせいで他の野菜の養分が持っていかれて困っている、と茄子子が続ける。その視線の先には、サイドチェストをバチコリキメたエリンギのようななにかが地面から根付いていた。

「エルィンギって言うんだけどさ。見ての通りムキムキのきのこ。鍛えるのが好きなんだって」

 知らんがな。と言いたいところをぐっと堪えて、茄子子に話を促す。

「んー、間引くのが早いんだろうけどさ。それはちょっと可哀想じゃん?」

ㅤムキムキだしさ。と訳の分からないことを宣う茄子子がどこまで本気なのかはよく分からないが、ともあれ積極的に間引くのは避けたいようだ。

「だからさ、なんとか説得してくれないかな?ㅤ言葉か、もしくは拳で。こう、死なないように分からせるイメージで」

 しゅっしゅっとシャドーボクシングをする茄子子。それに呼応するようにエルィンギがその逞しい右腕を天に突き上げる。

「「「キレてるよ!!ㅤその菌肉輝いてるよ!!!」」」

ㅤあ、今のがエルィンギの声です。

「ってことでさ、頼んだよ! 会長そこの影のとこに居るからね!」

 茄子子はそう言うやいなや照りつける日差しから逃れるように、屋根のある場所まで避難していった。

NMコメント

もうすぐお盆ですね。七草です。
せっかくなのでお盆っぽいシナリオでも。お盆っぽいとは。

●状況説明
エルィンギ(ムキムキのきのこ)が菌トレをするせいで畑の野菜がしおれていっています。なんとかしてください。

●目標
エルィンギが過剰に菌トレするのを辞めさせてください。具体的には以下の方法を提示します。

1.頑張って説得する
あんまりムキムキしないで! みたいな感じのことを言ってあの手この手で説得してください。多分あんまり聞く耳を持ちません。耳ないしね。
ですが、クリティカルな説得をすればその拳を収めるかもしれません。

2.拳でわからせる
というわけで所詮この世は弱肉強食です。強いものに従うのは世の常。わからず屋のエリンギ共をボコボコにしてやりましょう。
しかし、間引くのはやだという茄子子からのオーダーがありますので無闇に殺さない方が吉です。
【不殺】スキルなどがあると説得力は増しますが、カジュアルなので気合いでなんとかなります。
拳で、と言いましたが、もちろん魔法などを使っても構いません。

その他、説得だけ頑張ってもいいですし、最初から拳でわからせても問題ありません。他の方法を試したい場合はそれもいいですがどうなるかはわかりません。

ちなみに、サイドチェストをキメはじめた個体は味の旬を過ぎているらしいので、今回のエルィンギは最悪間引いても大丈夫です。その場合茄子子が泣きます。

●場所
羽衣教会の庭です。件の奇怪な野菜達が勝手に住み着き、勝手に庭を耕して畑にしました。迷惑です。
しかし、普通の野菜も一緒に育ててくれるありがたい存在でもあります。ほんとか?

●敵
・エルィンギ×いっぱい
異常に成長した、成人男性くらいの大きさのムキムキのきのこです。イラストの通りムキムキの腕を持ちますので、攻撃されたら当然反撃してきます。しかし、地面に根付いているため遠距離から攻撃したら対応できません。哀れです。

設定(https://rev1.reversion.jp/scenario/ssdetail/3234)は一応ありますが、読まなくても問題ないです。ムキムキのきのこという情報だけ抑えて頂ければと思います。

●一応味方
・茄子子×1
練達に存在する怪しい宗教『羽衣教会』の会長です。1人だけ屋根がある涼しいところに避難してます。なんやこいつ。
適当にちょっかいかけてもいいですし、APとかHPを回復してくれって頼んだら面倒くさそうに回復してくれます。なんやこいつ。

・その他の野菜×たくさん
きうりとかなすびとかでぇ根とかぬんずんが居ます。詳しく知りたい人は茄子子の設定委託とか覗いて見てください。
エルィンギに栄養を取られているので元気が無い個体も多いです。
一応食べてもいいですが、軽い毒とか入ってる個体もいるので生で食べるのはおすすめしません。あと食べたら茄子子が泣きます。

●おまけ
どさくさに紛れてなにかの野菜の種を植えると、対応した変な植物が誕生するかもしれません。プレイングが余って書くことが無くなったらやってみて下さい。

●サンプルプレイング
……???ㅤよく分かんねぇけどあのデカいきのこをぶっ飛ばせばいいんだな!ㅤ楽勝だぜ!!
うおおおおお!!! 拳には拳だ!!

っ!? なんだこいつ反撃してきやがる!! きのこの癖に生意気だぞ!! だが俺は殴り続けるぜ!!
うおおおおおお!! 死ねえええええええ!!!
……殺しちゃだめなんだっけか? …………まぁいっか!!
どらぁ! ラストのカウンターパンチ!!
……決まったな。カウントは要らない、だろ?



以上、よろしくお願いします。

  • ムキムキのきのこ完了
  • ムキムキのエリンギをシバく依頼
  • NM名七草大葉
  • 種別カジュアル
  • 難易度NORMAL
  • 冒険終了日時2023年08月16日 22時05分
  • 参加人数4/4人
  • 相談5日
  • 参加費100RC

参加者 : 4 人

冒険が終了しました! リプレイ結果をご覧ください。

参加者一覧(4人)

クアトロ・フォルマッジ(p3p009684)
葡萄の沼の探求者
彷徨 みける(p3p010041)
おしゃべりしよう
炎 練倒(p3p010353)
ノットプリズン
ピエール(p3p011251)
ナマモノ候補

リプレイ

●きのこ狩り
 エルィンギが、ポーズを取る。ボディビルで言うところのリラックスポーズから、フロントダブルバイセップスへ。

「「「仕上がってるよ!! 仕上がってるよ!!!」」」

 それを見た周囲のエルィンギが讃えるように雄叫びを上げる。うるさい。暑苦しい。夏の屋外でやる事じゃない。

「……ううん、BBQ味のお肉と一緒にピザに乗せたら美味しいかしら」
 それを虚無のような目で見つめていた『葡萄の沼の探求者』クアトロ・フォルマッジ(p3p009684)は、今更ながらに現実逃避をしていた。
 依頼人がさも当然のように状況を説明していたから何となく流していたが、大きくなって光り出す胡瓜とか茄子とか、ムキムキのきのこがバルクアップとか、一体何を言ってるんだろう。
 クアトロの疑問は尽きないが、とりあえずピザの具にすることを考えるくらいには余裕があるらしい。
 
「へぇ、練達に教会と不思議な畑が……って初めて知った!」
 弱ったきうりの頭を撫でながら、『おしゃべりしよう』彷徨 みける(p3p010041)は目を輝かせる。
 再現性東京で生まれ育ったみけるは、外の事はあまりよく知らないようだ。こんな野菜が居るのはここくらいなので安心して欲しい。多分。
「何とかして彼らの菌トレ量を抑えないと……!」
 そんな献身的な言葉に、他の野菜達までみけるの元に寄ってきてしまった。きっとみけるの優しさに感動したのだろう。多分。

「ガーハッハッハ、筋トレならぬ菌トレするエレンギとは実に珍妙なキノコであるな!」
「うむ、隙のない良い筋肉だ」
 『ノットプリズン』炎 練倒(p3p010353)がムキムキのきのこを見て豪快に笑えば、ピエール(p3p011251)は興味深げに顎を撫で、エルィンギの筋肉──菌肉を見やる。
 二人は筋肉を『分かっている側』の人種だ。鍛えることに対して一定の理解はある。
「が、しかし、周辺のお野菜に迷惑をかけているとなれば話は別。多少のお仕置きはしないといけないかな?」
「であるな。他にも何やら面白い野菜がある様で興味をそそられるであるが、先ずはエルィンギ殿に落ち着いてもらうである」

 エルィンギへの説得が始まる。

●きのこを説得する
 まず口火を切ったのはクアトロだ。
「とりあえず……何のためにあなた達は鍛えているのかしら」
 エルィンギの、根源とも言える質問を投げかける。しかしエルィンギは答えない。話が通じているのかもよくわからない。
「強くなるため? モテるため? それとも美しさのため? でも筋肉にはもう一つ必要なものがあるわ。それは知性よ」
 正しい知識と知性が無ければ鍛えて強くなるのもすぐに頭打ちになるし、鍛え方の配分を間違えて美しさを損なう。
 そう力説するクアトロに対して、「仕上がってるよ!!」と叫び、マッスルポーズを繰り返すばかりのエルィンギ。ほんとに聞いてんだろうか。もう暑いしダルい。コーラ飲みたい。

「吾輩も圧倒的インテリジェンスを駆使し、効率よく鍛えているからこそ、頭脳だけでなく肉体もアグレッシブでキレッキレなのである」
 そんな光景に可哀想になってきた練倒がサポートするように口を挟み、自身のインテリジェンスな筋肉を見せつける。が、やはり聞く耳を持たないエルィンギ。代わりにサイドチェストを見せてくれた。なんで。

「……なるほどな」
 そこでピエールがすく、と立ち上がる。
 かと思えば、エルィンギの目の前に立つと、おもむろにマッスルポーズを取り始めた。
『ごきげんよう』
 肉体言語である。上腕二頭筋を誇示するようにムキッとポーズを仕掛けたピエールに、エルィンギがムキッと反応を示す。
 菌肉と筋肉のコミュニケーションがここに確立された。
『周辺の迷惑になっているぞ』
『承知の上だ。我々は菌肉を鍛えなければならない。菌肉オリンピックに出場するためにも』
 菌肉オリンピック。何を言っているのか訳が分からないが、ともあれ話は通じるようになった。

 みけるもピエールに感化されたのか、『あんまり菌トレし過ぎると、逆においしさ……もとい身体が衰えちゃうんじゃないかな?』と伝えるべくむきむきばたばたしている。可愛い。
 しかし『我々は美味しさよりも菌肉に価値を見出した』と取り付く島もない。

 そして、『何より、やりすぎで自分たちの旬が過ぎてしまっているぞ』とピエールがモストマスキュラーを決めたその時だった。

「「「「あ?」」」」

 エルィンギがキレた──!!

●きのこを説得する(物理)
 旬が過ぎる、それはエルィンギに対して言ってはならない言葉だった。
 エルィンギだって本当は分かっていた。このまま菌トレを続けても4年に1回の菌肉オリンピックには出場出来ないんだと。ただ味の旬を過ぎたエリンギになるだけなんだと。
 自分達は、憧れの松茸にはなれないんだと……!

「何を言ってるのかしら、このきのこ達」
 クアトロには本当に意味がわからなかった。ピエールに翻訳をしてもらったが、2、3回聞き直しても意味がわからなかった。
 とはいえ、クアトロとてハーモニア。植物と意志を交わすことの出来る彼女には、エルィンギがなんとなくそんな感じのことを言ってるんだろうなぁということは伝わっていたのだ。ただ現実から目を逸らしていただけだった。

『もはや会話に意味はない。我々は菌トレを続けなくてはならない』
「だとしても、他の野菜の栄養まで吸い取っちゃだめー!」
 みけるが名乗りを上げる。交渉は完全に決裂した。であれば、拳で分からせるのみだ。
 みけるへと怒りを募らせたエルィンギ達が拳を振り下ろす。ぐるぐるパンチだ。力任せのその大振りな攻撃がみけるに当たることは無い。
 なぜならみけるはエルィンギの攻撃範囲の外にいるからである。地に根付くエルィンギは移動という術を持たないのだ。哀れである。
「あなた達が鍛えるのは他の野菜を弱らせるためじゃないでしょ!」
『無論。しかし所詮この世は弱肉強食。であれば、我々は他の野菜のことよりも鍛えることを優先する。あともっと近づいて欲しい。全然当たらない』
 みけるとエルィンギ達が睨み合う。その隙をクアトロは見逃さない。
「あなた達がする事はサイドチェストじゃなくて、身体を落ち着けて本を開いて知識を深めることよ!」
 もちろん身体を鍛えながら……なんて中途半端なことをしちゃ逆効果ですからね! と続け様に言い放ち、エルィンギのテンションを下げる。
『本なんて読めないし』
「うるさい」
 ピザの具にするぞ、と脅しを込めて睨みつけると、エルィンギの動きが止まった。
 そこにみけるがおりゃーっと攻撃する。可愛い。
 そしてクアトロによるダメ押しの弾丸が放たれ、エルィンギは香ばしい香りを漂わせる炙りきのこになってしまった。これは仕方ない。わざとじゃないのだ。

「あー! エルィンギ!!」
 依頼人の悲鳴が聞こえたけど気にしないでください。

「純粋な筋肉の会話に小手先の技術など不要!」
 そう言い放った練倒の右ストレートがエルィンギへと炸裂する。エルィンギもそれに負けじとカウンターパンチを繰り出す。
 拳と拳の殴り合い、筋肉と菌肉のぶつかり合い。全身全霊の戦いが幕を開けた。
 強靭な肉体を持ってすれば回避ではなく受け止めた上で更なる筋肉で叩き伏せることも可能とは練倒の言葉だ。
 その言葉の通り、殴られながらも確実にエルィンギへのダメージを蓄積させていく練倒。
 対して、徐々にパンチの勢いを無くしていくエルィンギ。対称的な両者の差は増すばかりだ。
「インテリジェンスイズパワー!」
 大きく隙を晒したエルィンギへ最後の一撃を叩き込んだ練倒。KO、勝者練倒。

 一方ピエールはというと、エルィンギとの戦いに息を切らしたのか依頼人の元へと駆け寄っていた。
「茄子子、ちょっと回復してくれ」
 屋根の下できうりの漬物を食べながら見ていた依頼人──茄子子へ回復を依頼する。
「うぇ、ちょっと待って今手が離せない」
「嘘つけ漬物食ってるだけだろう」
「んぁ〜仕方ないなぁ」
 気怠げな目を向けた茄子子に回復をしてもらい、再び戦場へと戻っていった。
 先程から代表して喋っていたエルィンギに目をつけると、即座に組み付き、急所を外した一撃を叩き込む。
『これ以上やるならこのまま間引くが』
 そのまま己の力こぶを見せつけ、首元へとハンドアックスを突きつければ、エルィンギ達は観念したように両手を上げた。

 説得完了だ。


「それにしても……外の野菜って個性豊かで面白いんだね!」
 そんなことないです。多分。
 すっかり野菜達と仲良くなったみけるは「この子もよろしくね」とこっそりさつまいもの苗を託している。野菜達は任せろとばかりにそれを受け取った。また変な野菜が生まれることだろう。

「エルィンギ殿達も良きマッスルであったである!」
『ありがとう。君の知性ある筋肉には敵わないがな』
 練倒とエルィンギはお互いの菌肉を讃えあっている。スイカの種を勝手に巻きながら。きっと練倒の巻いたスイカも空を飛ぶんだろう。

「ところで、こんだけ働いたんだ。夏野菜で作ったメシくらい食わせてくれるんだろうな?」
「え〜……漬物たべる?」
 ピエールが問いかければ、茄子子が持っていたタッパーを差し出す。食べかけだ。その答えにピエールがなんとも言えない顔をしていると、美味しそうな匂いが漂ってきた。ピザの匂いだ。

 見れば、先程『うっかり』討伐してしまったエルィンギを使い、クアトロがピザを焼いているところだった。ピザパーティだ。

 ちなみに、旬の過ぎたエルィンギはありえないくらい固かったそうだ。

成否

成功

MVP

なし

状態異常

なし

あとがき

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