PandoraPartyProject

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キリバン666hit御礼:ぴぴさんへ!

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あなた

 私にはメル友が居る。何となく掲示板で面白そうな人にメールしてみただけだ。
 年齢は分からないけれど、文章を見た感じ、あの人はオジサンなんだと思う。そう思えば悪い事をしてる気がして楽しくなっちゃうのだ。

 title: 起きてる❓
 あかねチャン

 こんばんは、あかねチャン😍💕元気カナ??
 毎日大変そうで心配だヨ。疲れてないかな?(^▽^; )^^;
「ふふっ、ライエルさん……何時も変わんないなぁ……」
 きっと、オジサンが暇潰しに私と話してるんだと思う。
 私は何時もの通りシンプルな文章で「元気ですよ」とだけ返した。ライエルさんのメールは絵文字が一杯で、オジサン構文って呼ばれる奴だ。
 友達にも、お母さんにも見せられないし秘密のメール友達。だから、私はいろんなことを話した。

 例えば、進路の事で悩んでるとか。
 例えば、友達に彼氏が出来た事とか。
 例えば、学校に行きたくない、とか……。
 そのたびにライエルさんは「大丈夫❓😖💦 心配だよ~❗❗😭」と明るく言ってくれるのだ。
 それに励まされているのに気づいたのは何時だっただろう。学校でも、あんまり自由に笑えなくなった私を唯一和ませてくれるのはこのオジサンだけだった。
 だからかもしれない。魔が差したって笑っても良い。
 今度会いませんか、なんて。莫迦みたいなことをオジサンに持ち掛けたのは。

 約束の日になって、約束の場所に言った。
 知らない人と会うのも、その人が『おじさん』であるのも、初めてで。
「えっと……あかねさん?」
 後ろから掛けられた声に、私は思わず驚いた。出て来るのはオジサンだと思ってたのに……綺麗な太陽みたいな金色の髪の男の人がそこには立っていた。
 優しい瞳が細められ、私を見つけた事に安心しているみたいな顔をする。
「……あかねさん。よかった。会えないかと思ったヨ。
 もぉ~、メールしたのにサ、お返事ないから……困っちゃった」
 照れたように笑った彼は私が想像していたよりもずっと若くって、ずっとかっこよくって、それから、やっぱり『おじさん』な話し方をしていて。
「今日は、しんどいって話沢山聞くからネ。とりあえず~……カッフェにでも行かない?
 実はサ、行きつけのカフェがあるんだ。カフェ・ヘイムダリオンって言うんだけど、珈琲がおいしんだヨ」
 にんまりと微笑んだ彼に私は思わず頷いた。
 彼は、私の事を本当に気遣ってくれている。たくさんのしんどいことを自分にぶつけてもいいよ、って。
 大人の余裕って言うんだろうか。
「あかねさん」なんて、わざとらしく呼んでくるのがなんだか腹立たしくて、私は「ライエルさん」って彼を呼んだ。
「私の方が年下なんだから呼び捨てでいいのに」
「ええ~? デモ……」
「今までメールして、仲良くなったと思ったのに……」
 彼はきょとんとしてから可笑しそうに笑った。「じゃあ、呼ぶね。あかね」って。
 それから、ヘイムダリオンに向かって飲んだ珈琲はちょっぴり大人の味がしたんだ。

 
 ――本当のあなたを教えて欲しいの

(現パロ/ライエル夢)

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