PandoraPartyProject

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未来の貴方に向けて

 ギルド・ローレット
 『蒼剣』レオン・ドナーツ・バルトロメイらが中心となって創設された組織。その中核メンバーには優れし情報屋として名を連ねるエウレカ・ユリカの存在もあった……尤も、彼は真なる『現在』においては既に故人であるのだが。

「――何してんだ?」

 その彼が幻想の片隅で語り掛けているのは一人の女性。
 シラクサだ。彼女は冒険者として活動している人物であり、そして……
「あぁ、ユリーカがね。『タイムカプセル』を埋めてみたいって」
 将来。ギルド・ローレットの情報屋として活動するユリーカ・ユリカの両親でもある。
 ある木の根元を少しだけ掘って、そこに小さな箱を埋めんとしている……が。その近くで疲れたのか大の字になっているのが、まだ生まれて数歳ぐらいだろうか――のユリーカだ。自分からタイムカプセルを埋めたいと言っておいて、真っ先に脱落するとは。
「やれやれ子供は元気なのかそうでないのか……
 しかしまーた何かの本を読んだか? それともレオン辺りか」
「さぁ。どれでもいいわ――で。折角だからこれを埋めておこうと思って」
 シラクサが取り出す。それは、簡素なバインダーとペンだ。
 高価なものではない――が。シラクサが依頼の内容を確認したりする際によく使っている代物であり、そういう母親の触っている物に興味があるのか……赤子のユリーカがよく興味本位で触って投げる事数十回しているモノでもある。
「将来。もしもこの子が貴方と同じ道を歩むなら、と思ってね」
「ユリーカが、かぁ……どうなんだろうなぁ。おっちょこちょいに育ちそうな気もする」
「あら。そういう情報屋がいても面白いんじゃない?」
 後頭部を掻くエウレカ。一方で口端を緩めて微かに笑みを見せるシラクサ――
 彼女がこの先、どう歩むかは分からない。
 このタイムカプセルの事も明日には忘れているかもしれない。
 だけど。もし未来の貴方に届くなら。

「いつか――立派な大人になった頃、開けてみてね」

 願いを込めて、彼女は紡ぐ。
 傍で寝ているユリーカの髪を撫ぜながら。
 明日も、また明日も元気でいてねと……ずっとずっと願いながら。

 4月1日ですよ!

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