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帝都決戦:Battle of Stahl Grad
『麗帝』ヴェルス・ヴェルク・ヴェンゲルズが敗れ、新皇帝バルナバスが誕生して暫く――
混迷する鉄帝では六つの派閥が天を競っていた。
先帝ヴェルスの治世に戻さんとする帝政派。
南部戦線の英雄ザーバ将軍率いるザーバ派(南部戦線方面軍)。
我関せずと政治不干渉を貫くラド・バウ独立区。
ギア・バシリカを中心に民の救済を願う革命派。
ノーザンキングスに抗する戦力を持つポラリス・ユニオン(北辰連合)。
空浮かぶアーカーシュに拠点を持つ、独立島アーカーシュ。
各地で勃発した戦乱の成果は手札として揃い始めた。
悍ましき冬の象徴であるフローズヴィトニルの欠片は中央こそ敵の手中に収まったが、各地に点在していた者はイレギュラーズが有する事が出来た。
帝政派とザーバ派は合流する講話が叶い、ラド・バウ派も来たる帝都決戦に向けての防備を固めつつある。
各地で蜂起する民草を纏めた革命派は今や『人民軍』の名を欲しいものにして居るだろう。
東部より来たる北辰連合は女神の加護を手にすると共に理不尽なる冬を終らすが為に帝都へと躍進し、
天より訪れる独立島アーカーシュはラジオの電波ジャックを行ない、各地に決起を促した。ラトラナジュの火が仇敵に放たれるまであと少し――射るべき先は慎重に見定めている。
予てよりアプローチを続けて居た海洋王国からの貿易船は氷海に苦戦しながらも到着した。
コンテュール卿は『嘗ての縁』での協力を約束し、同様に豊穣郷も出兵を宣言したという。
これら事実は新皇帝バルナバスの即位と勅命から始まった混乱は収束し、着実に帝都への包囲網は整えられたという事に他ならない。
即ちそれは帝都と帝位を鉄帝国の民のもとに奪還しうる最後の戦い『帝都決戦』に到る道である!
だが――敵もそう簡単には近付けさせんと画策するものだ。
「敵、新皇帝派の軍勢を確認! 北東部方面から砲撃を仕掛けてきています!」
「報告! 近隣の村が、勅令により解放された囚人に襲われていると……救援要請が舞い込んでいます!」
次から次に。帝都へ向けて進軍する者達に齎されるのは――新皇帝派による妨害行動だ。
進軍途中で待ち伏せが幾つも。
が。マトモに戦い合う事はせず、まるでこちらを挑発する様に一撃、二撃入れて即座に撤退する動きばかり。
その他、囚人の扇動も行われているのか……民を襲う動きも見えようか。
攪乱と時間稼ぎが主目的だと思われる。
「よし。このまま連中を苛つかせてやれ、敵が動いたらすぐに逃げろ。いいな」
指揮を執っているのはディートハルト・シズリーなる人物だ。
『戦争屋』とも呼ばれ、多くの紛争地帯に雇われる事が多い彼は、現在は新皇帝派に与している。
そして破壊工作などを得意とする彼の本領が発揮されている訳だ。
マトモに相手などしてやるものか。少数のチームを幾つも編成し、あちらこちらで士気を削らんとしてくる。
然らば帝都を目指す部隊の中には疲弊が見える者も出始めるものだ。
えぇい。部隊を割いて対応に当たらせるか――? 帝都決戦には万全の上で臨みたいというのに。
「……いや。部隊を動かせば恐らく敵はすぐに察知するな。
ここは少数精鋭で……そうだ。イレギュラーズの力を借りよう!」
であればと。お鉢が回ってきたのがやはりローレットのイレギュラーズ達である。
敵に気付かれぬ程の少数で接近し、確実に撃滅しうる力を持っているのは彼らなのだ。
「目標は新皇帝派の軍人と、周辺各地で目撃されている囚人達です。
いずれも新皇帝の勅令の儘に行動する愚か者たち……全て討伐してください!」
帝都決戦の前なのだ。
余計な妨害など踏みつぶして――進め! いざや決戦の時は来たのだから!
クエスト内容
帝都決戦に向け、スチールグラードへ進軍している部隊に妨害工作が行われています!
このままでは部隊の士気が落ちる可能性もあるでしょう……
その為、皆さんに敵の撃退が依頼されました。新皇帝派の軍人や、周辺の村を襲っている囚人勢力を潰してください!
※本クエストは期間限定の予定です。終了日が近付き次第、告知を行います。
※本クエストは3/18一杯で終了します。
エネミーデータ
・新皇帝派組織『アラクラン』軍人×3名
新皇帝派組織『アラクラン』に所属する軍人達です。
勢力の進軍を阻むべく抵抗を続けている様です――撃破してください!
・囚人×3名
新皇帝の勅令に伴って解放された囚人達です。
周辺の防衛力の弱い村などを襲っているようです――
勅令の思うがままに行動している者達に報いを受けさせてやりましょう。撃破してください!
リザルト
「……チッ。流石にイレギュラーズが出張ってくるとどうしようもないな」
ディートハルトの下には数多の報告が舞い込んでいた。
それは攪乱部隊が次々と壊滅している、という報告だ――
イレギュラーズ。彼らの力は想像以上であるらしい。
……ただでさえ帝都まで追い詰められている新皇帝派の戦力をこれ以上は削れない、か。
「仕方ない。部隊を山の奥へと逃げさせろ。連中の眼から逃れてから、再度強襲だ。
ここも引き払うぞ――連中の事だ。
もたもたしてると、此処もその内見つかるに決まってる」
舌打ち一つ。森林地帯の一角に築いていた臨時の司令部を放棄し、新皇帝派は更に勢力を後退させるしかない。
敵の士気を下げてやるつもりが、此方の戦力と士気を削られようとは。
英雄として称えられるイレギュラーズ。
その嗅覚から逃れる様に――ディートハルトは急ぎ陣を引き払うのであった。