PandoraPartyProject

PandoraPartyProject

常春の都にて

「ンンー! 良い天気だねえ」
 両手を広げたタータリクスは、胸一杯に息を吸い込んだ。
「うららかってこの事だよね。たまには外にも出てみるもんだよなあ」
 胸の底からあふれ出す開放感に、深呼吸を二つ。それから大あくびを一つ。
 タータリクスは花畑の向こうに遠く霞む壮麗な城を、しかと目に焼き付けてみる。
 どこまでも穏やかな大気が、美しい花々が、まるで己を祝福しているかのように感じられた。
「んでおっさんさ。どーすんの、これから?」
「それは決まっているでしょう。ボクの愛しのプリンセスに会いに行かなくっちゃあいけない」
「キモ」
 吐き捨てたブルーベルをよそに、タータリクスは満面の笑みを浮かべた。

 ――何者だ! くせ者め!

 タータリクス達を囲むのは、数名の妖精達だった。いずれも小さな剣や槍で武装している。
「羽虫が……」
 続く戦いは余りに一方的だった。
 妖精兵達は僅かな間に、タータリクスの使役する魔物に蹂躙される結果となった。
「ここは食い止める! 女王様に報告しろ! 急げ!」
 タータリクスは突如、妖精兵をわしづかみにして顔を近づける。
「ぐっが……っ」
「じょっおーー! 様!! そう、そうだ。キミ、案内して。早く、早く! どっち!?」
 全身の骨が軋む激痛に、妖精兵が悲鳴をあげた。
「はぁー……答えてくれたっていいでしょう」
 タータリクスは掴んだままの妖精を見つめて、ふと呟く。
「ねえねえ。ビィー(B)ちゃん。
 これって材料になると思う? どうせ邪魔してくるでしょう、彼等」
「は? しらねーし」
「もう少しで上手くいきそうなんだよねえ。
 ああ。ここにアトリエもつくらなくちゃいけないね。
 住もう。住もう。いい部屋さがそ。もしかして! 愛の巣にもなるんじゃない!?」

 ――妖精郷アルヴィオンに魔種が現れたようです。

PAGETOPPAGEBOTTOM