PandoraPartyProject

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第二話:ギルオス死す!

 戦いは歴史を加速させる。
 人間は数となり、尊厳は道具となり、あらゆる技術は武器となる。
 独立を宣言した宇宙貧――標準帝国による地球降下作戦はきわめて迅速に、そして電撃的に行われた。
 大気圏の突破と大陸への襲撃を許してしまった連邦軍はこれの迎撃のため総力を投じることとなる。

『ギルオス! 前に出すぎだ!』
「まだだ、僕はまだやれる」
 レバーを握りしめ、額から流れる血をも無視してギルオス・パンツポストは身を乗り出した。
 通信画面に現れるレオンの顔にはノイズが走り、コックピット内にはレッドシグナルが鳴り響く。
「僕は仲間達と約束したんだ。帰ったら一杯やろうって。長く帰ってなかった田舎に帰って、母さんや家のロバに顔を見せようって。その時は昔の友達と酒を飲んで、ずっとツケにしてた店に気前よく金を払うんだ……」
『ギルオス! フラグを建てすぎだ!』
 バズーカ砲とビームの行き交う大地に、彼の専用機ギルオスマンダムは片膝をついていた。
 エネルギー切れになったライフルを地面に突き立て、杖のようにして立ち上がる。
「レオンさん……大丈夫です。僕は死にませんよ」
 キリリと前をにらんだギルオスに迷いはなかった。
 確信が、夢が、希望が彼の目にはあった。
「だって僕は……伊砂顔のイケメンなんですよ!」
『伊砂顔のイケメン……!』
「伊砂顔のイケメンは死にませんよ!」
「としお顔の魔種が最初に死ぬようにね!」
『やめろそれ以上は言うな! 今日の俺はとしお仕様なんだよ!』
 ウオーといいながらレバーを押し込むギルオス。燃え上がるように赤いコックピットの光が、彼の伊砂的顔を照らした。
 狙いはひとつ。
 敵帝国軍の総帥、リーゼロッテ・アーベントロート専用機ブルーローゼス。
 圧倒的プレッシャーゆえか、ブルーローゼスは通常の十倍くらいデカく見えた。
 だがひるまない。
 そう、ギルオスには夢がある!
「僕は……伊砂顔のイケメンだぞ!」

 ――チュン! という鋭い音と共に、ギルオスマンダムのコックピットが打ち抜かれた。

 浮かぶブルーローゼスは哀れにも穿たれ、そして崩れゆくギルオスマンダムを見下ろしている。
 浮かぶ無数の薔薇型ビットが、あざ笑うように揺れていた。
「ギルオーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーース!!!!」

 コックピットの中で壁を殴るレオン。
 流れる涙が膝をうち、食いしばる歯から言葉が漏れた。
「よく見ろ……相手は……シノポコ顔だぞ……!」


 ――『高機動混沌伝説パンツァーG』をご視聴ありがとうございました!
 ――次からはレオンくんが主人公の『高機動混沌伝説レリックL』をお楽しみください!

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