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文通

【魔曲作家】ベルリオ・トーティスとの文通

……劇場の奥の部屋に入った。譜面の山と、イライザさんの肖像画を見た。
ベルリオさんはあの部屋でずっと『イライザ』を書き続けてたんだな。

なぁ、イライザさんってどんな人だったんだ?
思い出話でも何でも良いから教えてくれないか。
俺の先祖で、貴方が愛した人で、『イライザ』を贈られるべき人……その人のことを、ぜひ知りたい。
2023/12/18 23:16:40
この私に手紙を寄越すとは、君はどうにも奇特な男のようである。
何代も後の子孫と、このように手紙という形であれ意思を交わしていると思うと、何やら奇妙な感覚に見舞われるものだ。
例えるのなら、夢の中で古き友人と会話した後のような感覚だろうか。つまり、今の私にとって、イズマ・トーティスという男は“白昼夢”のごとき存在であるということだ。

とはいえ、君がトーティス家の人間であり、音楽というものに並々ならぬ執着心を抱いていることはよく分かる。なぜなら私がそうであり、また私の家族や父母、祖父もまた同じであったからだ。
故に、私は君の質問に答えよう。
イライザ……。
彼女は目の見えぬ、盲目の人であった。しかし、周囲はおろか数キロも先の出来事さえ見通す遠見の魔術の使い手であり、日々の生活には何の不便もしていなかった。
私は妻に、空の広さを、海の青さを、朝夕の街並みや緑に溢れた山峡の美しさを伝えたかった。だが、生来の盲人にそれらを伝える言葉を私は持たなかった。
そこで、私は『イライザ』という曲を作った。彼女の脳や、或いは意識に、私の目にしたあらゆる光景を直接、伝えるための魔術的な効果を組み入れた曲だ。

もっとも、曲が完成する前に、彼女は亡くなってしまったけれど。
私がそうであるように『イライザ』は人々を魅了する。イズマよ。君もあまり深入りはしないことだ。
我が身が愛おしいのなら『イライザ』のことは、きれいさっぱり忘れてしまうことを推奨する。
2023/12/22 21:47:11
お返事ありがとう。手紙が無事届いてて良かった。

未来に出会えるなんて、普通はないもんな。俺は遠い過去に出会えて興味深いよ。
それにしても、トーティス家は本当に昔からずっと音楽に心血を注ぎ続けてたんだな。ベルリオさんに会って改めて実感したよ。
俺の音楽には代々受け継がれてきた重さがあるのだと……身が引き締まる思いだ。

イライザさんって凄い人だったんだな。魔術で遠くまで見るなんて、なかなかできることじゃないだろう。
だが、目で見ることはできなくて……それで『イライザ』を作ったわけだな。
そうか……ああ、腑に落ちた。
不協和音だらけな理由も、魔術を組み込んだ理由も……。複雑なる世界を表現し、伝えるためだったからか。

しかし、曲を聴かせる前にイライザさんが亡くなったのは無念だな。
彼女は病気か何かで亡くなったのか?
それとも既にベルリオさんが反転して時間が経ってたなら、寿命?

悪いが、今更『イライザ』を忘れることはできない。
ベルリオさんがきれいさっぱり諦めるなら、俺も拘るのを止めるかもしれないけどな? 貴方が未だ生きてる以上それは無いよな。
忠告してくれてるのは解ってるし、引き際も考えはする。だが踏み込むのはまだ止めない。
2023/12/23 21:01:12
……ふと思ったんだが。
ベルリオさんに見せたいものがあるなら、イライザさんにも見たいものがあったんじゃなかろうか。

だからもう少しイライザさんとベルリオさんのことを知りたいな。
そういえば、二人はどんな出会い方をしたんだ?
俺は今の貴方しか知らないが、肖像画を見て、昔の二人の様子が気になったんだ。
目の見えないイライザさんが、ベルリオさんを「気になる」と思うに至った理由が何かあったんだろう?
2023/12/23 21:02:18
すっかり時間が空いてしまったな。
長く生きていると、時間の感覚に鈍感になっていけない。もっとも、それで困ることなど、もはや何も無いわけだが。

君が『イライザ』を忘れることが出来ないということは理解した。
否、君がトーティスの人間であり、何の因果か『イライザ』を手に入れたと聞いた時から知っていた。
何もかも、この世のあらゆる事象は巡り合わせ……“そうなるように”しか進まないのだから。
故に、もう君を止めることはしない。君がどのような結末を迎えようと、或いは、妄執に狂い息絶えたとしても、私には関係のないことだ。

さて、前置きはこのぐらいにして君の質問に答えるとしよう。
イライザの死因についてだが、実ははっきりとは分かっていないのだ。ある日、彼女は寝台の上で冷たくなって見つかった。私はその死に目にも逢えなかった。
突然の別れだ。
世の中にある“別れ”のほとんどは、そもそもが突然に訪れるものだがね。もしかすると、君も経験があるんじゃないか? 
つい先日、笑顔で手を振り別れた友や知人が、ある日、突然に亡くなるなんてことが。

彼女は急な体調の変化で亡くなったのかもしれないし、あまり考えたくはないが、誰かに暗殺されたのかもしれない。
もう確かめようもないけれどね。私が忘我の縁にいる間に、彼女の葬儀は済んでいて、彼女の死因を確かめる術は失われていたのだから。

彼女と出逢った頃の話か。
何も面白い話ではないぞ? 私と彼女は、所謂“幼馴染”と言うやつだ。
生まれた家が近かったのだよ。
私が初めて、1曲を弾き切った時、聴いていたのがイライザだ。

教えられるのはこのぐらいか。彼女との思い出は、あまり人に語りたくはないのだ。
2024/01/01 21:46:38
あけましておめでとう。年が明けたよ、ベルリオさん。
しかもその前にはシャイネンナハトもあったぞ。ケーキでも送れば良かったか?

俺の持ってる『イライザ』は俺の家で見つけたんだが……本当に、何の因果だろうな。
見つけたのは3年前くらいかな。今まで気付かなかったのが不思議な、普段よく見る場所にあったんだが。うーん、ベルリオさんが置いたわけではないのか……?
あと、俺の楽譜がいつ書かれた物なのかも気になるんだよな。
ベルリオさんは何か心当たりある?

まぁ、やるからには頑張るよ。ベルリオさんにも関係あるように……即ち『イライザ』が完成する結末を目指してな。
『なるようにしかならない』物事を、少しだけ。俺の好きなように手繰り寄せてやる。

別れは突然か。……そうだな。俺の周りでは戦死が多いが、それなりにあった。
最期を知ってイライザさんを追うヒントを、と思ったが、死因も判らぬままの別れとなると難しいな。
イライザさんは最初の1曲を聴いてくれた幼馴染だったんだな。素敵だな、そういう出会い。
言いにくいことを訊いてごめん。でも、少しでも話を聞けて嬉しいよ。

ところでベルリオさん、ウィルインという街を知ってるか?
モルツァルストという人が作った音楽の街だ。
最近、壊れかけの貴重なピアノをその街に運んだり、モルツァルストさんの屋敷に行ったりしたんだが。
興味深い街だと思ってさ。ともすると楽曲のヒントを得られそうに感じるくらい。
ベルリオさんやイライザさんも行ったことある?

それと……もしも俺がイライザさんの立場だと考えたら、見たいものが1つ思い浮かぶんだ。
そう上手くはいかないだろうが、それを盛り込めないかは試してみたいと思ってるよ。
2024/01/02 16:32:48
こう長く生きていると、いまさら年明けだのケーキだので感情は微塵も動かないな。
生きながらにして死んでいるようなものだ。まぁ、自業自得なわけだし、今さら、死にたいとも思わないがね。

さて、君の持っていた『イライザ』の楽譜についてだが、正直、私にも詳しいことは分からない。身内や知人の誰かが持って行ったものかもしれないし、私自身がトーティスの家に置いて行ったのかもしれない。
昔のことだ。覚えていないということは、大して重要な出来事では無かったのだろう。
少なくとも、当時の私にとってはな。
まぁ、未完成の楽譜が後世にまで残っているのは、少々、愉快ではないが……何、捨てろとは言わない。君の手に『イライザ』が渡ったのなら、きっとそう言う運命であったのだろう。

ウィルインという街については知らないが、モルツァルストという人物には心当たりがある。
いつだったか、劇場を訪れた男がそのような名を名乗っていたはずだ。
別に親しいわけでも無いし、会話を交わした記憶も無いが……。
音楽に詳しい御仁ではあったよ。執念深いほどにな。

我々は演奏に執心する者であるが、彼は視聴にこそ大きな価値を見出していたように思う。ウィルインの街がどういう場所かは知らないが、きっと無駄になることは無いだろう。
この世に存在する森羅万象の全ては、より良い演奏の糧となる。
2024/01/09 22:18:19
長年閉じこもってたら、そりゃあそうだろうな。
感情が動くかはともかくとして、イライザさんと過ごした年越しとかシャイネンナハトとか思い出さないのか?
そろそろグラオ・クローネもあるし、贈り物をしたとかさ。
話さなくていいから、悪い記憶じゃないなら思い出してみたら良い。

しかしその様子だと、今、外がどうなってるかも知らないか?
バグ・ホールと呼んでるが、世界そのものに穴が空いて壊れてきててな。悲惨な状態だ。
ベルリオさんの所は何とも無いか?
無事なら良いが……世界が根本的に救われない限り、崩壊は時間の問題だ。
俺の知らない間に消えてた、だけは頼むからやめてくれよ。

俺の楽譜とウィルインのことは知らないか。
モルツァルスト氏も古い人のはずだが、ふむ? ウィルイン創設よりあの劇場の方が先なのか。
ベルリオさん、本当に長生きだな。
だが、まるで時間に取り残されたみたいだ。それでも今の貴方は、音楽を心から楽しめているのか?

少し考えて、まとまらない思考だが……。
『イライザ』がイライザさんに届けば、完成は見えるものだろうか。
それなら例えば霊魂や過去を見る魔術とか、机上の空論だがいっそ冥界に行こうとしてみるとかも考えられる。
いやまぁ流石に「死んでみたら上手くいくかも?」なんてのは無責任過ぎるが。
それとも『光景を見せる魔術』に焦点を当てて俺がやるのならば、俺の見た光景を今生きてる誰かに伝える形にしてみるべきかとも考えた。
何故って、俺はベルリオさんと同じ光景を見たわけでは無いからな。
……どうするのが良いだろうな。色々試してみたいよ。
2024/01/13 02:18:16
思えば手紙のやり取りなど、大昔に仕事の連絡を取り合っていた頃以来だな。
今さら外の世界になどさほどの興味も無いが、劇場さえ無事なら支障は無い。街の様子がどんなものかは知らないがね。
人の気配や声はするのだから、まぁ、無事なのだろう。

音楽を心から楽しめているのかと問われれば、悲しいかなそれは「否」と応えざるを得ないな。その質問は芯を捉えていると言って構わないだろう。
何か問題があるわけでもないがね。
イライザ亡き今となっては、きっとかつてのように心から音楽を楽しむことは出来ない。
これは、老婆心ながら先祖からの忠告だ。
家の古い本にでも書いてあった遺言であると、そう思ってくれればいい。
私にとってイライザがそうであるように、音楽家にとって……或いは、ある種の狂人たちにとって、かけがえのない大切な存在は諸刃の剣である。
道行を明るく照らし、その者さえいれば何も怖くないとさえ思わせてくれる。脳は目覚め、感性は研ぎ澄まされ、盲が晴れたような想いが長く続くのだ。
だが、それを失った時に全ては終わる。
目の前は真っ暗になり、脳には常に靄がかかったように思われる。

これは失敗した男の言葉だ。
参考にするもしないも、君が決めればいい。

さて、『イライザ』を君に完成させられるとは思えないが、まぁ応援はしているよ。
もしも完成したとして、私には教えなくても構わない。
きっとその『イライザ』は、『イライザ』では無いのだからな。

2024/01/24 21:23:27
変わらず人の気配や声がするなら、恐らく無事か。それなら良かった。

……そうか。音楽を楽しめないのは、悲しいな。
それでも確かに問題は無い、無いが、俺の我儘はそれを肯定したくない。
貴方の昔の作品を演奏してみれば、とても楽しい楽曲ばかりなのに……今の貴方はそれも思い出せなくなってるかな。
これは俺の想像だが、イライザさんは音楽を楽しむベルリオさんが好きなんじゃないかと思う。
イライザさんに演奏を聴かせたいのは勿論だが……ベルリオさんは今の自分をイライザさんに見せられる?

忠告は肝に銘じておくよ。今の貴方を見れば、それが正しいことは疑いようもない。
ただ、俺には……大切にしたい人ができたら、かけがえなく想うことは止められないと思う。
できるのはせいぜい、その存在を失わないようにすることと、失った時に折れないようにすることくらいだ。

応援してくれるとは意外だな。
俺の演奏を褒めた時と同じような、その言葉……。
…………最上級の激励だと思っておく。
確かに俺がただ手を加えれば、その楽曲は『イライザ』では無くなるな。
それは『真の完成』とは何か違う気がするな。それで妥協したら面白くない、か。
どうせ挑むなら、ベルリオさんとイライザさんのための一番を求めるべきだな。

また今度劇場に行く。この挑戦に決着をつけたいからな。
ベルリオさんは他人事みたいに言うが、『イライザ』は貴方の作品なのだから巻き込むぞ。
もしも貴方が『イライザ』にもう何の気持ちも残ってないとしても、別の理由で会いに行く。
それで最後かもしれないから、心の準備をしておいてくれ。
2024/01/28 00:53:28
まずは一言、感謝の言葉を。
遥か昔に作った曲とはいえ、今も演奏する者がいるというのは音楽家にとって望外の喜びである。
そして、1つ訂正を。
今の自分をイライザに見せられるのか……という問いに対してだが、これはまず前提から破綻していると言わざるを得ない。
もし……時間が巻き戻ることは無いのだから、あり得ない話ではあるが……もし、イライザが生きていたのなら、私はこのような生きているのか死んでいるのかも分からぬ存在になど成り果ててはいない。
故に、今の自分をイライザに見せられるのか、という問い自体が誤りである。

さて、少々感情的になってしまった。
前の手紙にも書いたが、もちろん私は君を応援するとも。
私は音楽に邁進する者の行うあらゆることを応援している。仮にその邁進の果てに破滅が待っているとしても、私はそれを応援しよう。
私自身がそうであるように、音楽家という生き物は愚直で、盲目的で、そして頑固で、精神的には剣闘士か何かとさほど変わりはないのだから。

君は君の好きにすればいい。
劇場へ訪れたいというのなら、それを拒否することもない。私が君に逢うか否かは別の話ではあるが。
だが、いつまでも私のような死者に構っていることはお勧めしないがな。
死者の時間は進まないが、君はまだ生きている。
生きている者は、ただ先のことだけを考えていればいいのだ。
過去や死者など、何もかも音楽のための薪として火にでもくべてしまえばいい。
2024/02/05 21:59:42
死者蘇生なんて興味無かったけど、それを望む人が多い理由が解ったよ。あり得ないのに、破綻してるのに、短絡的に問うてしまった。
感情的になってくれて逆に安心したが、愚かな問いだったな。
意図ってわけじゃないが、俺は……もしもイライザさんがいるなら、ベルリオさんを見せたかったんだ。
イライザさんの方もベルリオさんの顔すら見れぬままこの世を去ったわけだから。勝手な想像でしかないが、それは無念ではなかろうかと思ってな。

いつまでも立ち止まってるつもりは無い、けど。
先のことだけを考えるのが、今は少し辛くて。無我夢中で走れてた日々をふと見失って……
……いや。忘れてくれ。
音楽に邁進することは迷う余地も無い決定事項だ。それだけは譲らない。

それにしても、音楽のための薪として火にくべよ、か。ベルリオさんも案外強火なんだな。
そう言うなら今度、一緒に音楽をしてくれないか。魔術も教えてほしい。
今も『イライザ』は書いてるか? 他の曲をやるのも良いな。ベルリオさんが操るトーティスの魔術の形も興味がある。
彷徨った歌手の霊を思って言いづらかったんだが、俺もベルリオさんが培ったものを学んで糧にしたいと思ってるよ。
せっかく貴方と会えたんだ、高みに触れる機会は逃したくない。

そういえば、ベルリオさんの劇場が造られた時ってどんな感じだったんだろう?
まさか閉じ込める意図では無いと思いたいが……音楽を楽しむため、だよな?
……死んだ心は元には戻れないとしても。
俺はあと一度だけでも、ベルリオさんに音楽を楽しんでほしいと願う。
そして『イライザ』の一つの形を見出したいと思うよ。
2024/02/06 21:59:54
過去の亡霊に音楽を学びたいのなら、ただ楽譜を読めばいい。
五線譜の上に置かれた音符を辿るだけでなく、その曲の意図するところをくみ取るまでが暗譜である。
そして、時代に合わせて発展させよ。過去の名曲が、今の時代や先の時代においても名曲であり続けるとは限らないし、過去の駄曲が今後、名曲と成らないわけでもない。
音を奏で続け、発展させ続け、届け続けるのが音楽家の宿業である。
音楽家である君にこれを言う必要など無いだろうがな。

ゆえに私が、君に直接指導をすることは無い。
私は過去の音楽家である。今の時代を生きる者にとって、正しい師であるはずもない。

劇場については……さて、どうだったかな。
すっかり忘れてしまったが。昔の私には、きっと音楽以外の何も大切なものが無かったのだろう。
今となっては、それさえ手放してしまったわけだが。

最後になるが、君がトーティスの者であるなら我が劇場は君を拒むことは無い。
私が君に逢うかどうかは別問題だがね。
好きに使ってくれればいいが……あまり、耳心地の良くない音を鳴らさないでくれるよう頼む。
2024/02/20 20:42:54
楽曲に対する評価は確かに時代によって揺らぐだろう。
だがそうであるならば同様に……過去の音楽家が別の時代において必ず正しくないとも、言い切れないのではないか?
過去の楽譜を学ぶのが是ならば、どうして過去の音楽家に学ぶのが否であろうか?
それに究極的には、正しいかどうかは後回しでも良いんだ。
得たものをどのように血肉にするかは呑み込んでから考える。
棘や毒であろうとも消化して、全てを演奏の糧にするくらいの気概はあるつもりだ。

……まぁ、ベルリオさんのことだから断るだろうとは思ってたよ。
素直に頼むなんて控えめなやり方ではいけないな。

言っておくが、俺にとってベルリオさんは既に師の一人だよ。
直接では無いにせよ、既に色々教えてくれてるじゃないか。
貴方は生きた先達だ。本当に過去の亡霊ならば、俺の演奏を聴いたり手紙を書いたりなどしないからな。

今となっては音楽も手放した、か。……本当に?
演奏時にはしれっと客席にいて、ピアノも弾いてみせ、音楽家の在り方を語り、劇場に鳴る音色を気にするのに?
本当のところは振る舞いが物語ってると思うけどな。

まぁ何であれ、劇場が拒まないでいてくれるなら嬉しいね。ぜひ使わせてもらうよ。
劇場に行ったら演奏をありったけ楽しんで、ベルリオさんがつい出てきたくなるように頑張ろうかな!
2024/02/24 02:55:47
あとこれ、良かったら食べてくれ。友人と作ったチョコレートだ。
(オランジェットが入った小箱が添えられている)
2024/02/24 02:56:52
親愛なるイズマ・トーティスへ

突然の報告となるが、私は旅に出ようと思う。
行先も、期間も、何もかもが未定である。だが、きっと楽しい旅になることと思う。
ついては、私の劇場やそこにあるあらゆる物品を君に譲りたい。
もちろん、どれも古いものである。不要と思えば処分してくれても構わないし、まったく手を触れなくても構わない。

旅の中で、もし出逢うことがあればその時はよろしく。
君がよき音楽家であり続けられるよう、心より祈っている。

ベルリオ・トーティス


追伸
チョコレートはありがたく受け取った。
2024/03/19 23:58:44
ベルリオさんへ

そうか。それはきっと素敵な旅になるな。
劇場については確かに譲り受けた。ありがとう、大切にする。
ベルリオさんがいつでも帰って来れるようにもしておこう。

長い試行錯誤だったが、“二人”に『イライザ』の音色が届いて良かったよ。
あとは旅の幸運を祈るためにも、音楽家で在り続けるためにも……俺は混沌世界を存続させ、生きねばならないな。
それでは、また。
もし会うことがあればその時は、こちらこそよろしく。

イズマより
2024/03/29 20:01:16

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