決して筆まめではない彼から文が届く事は稀である。
そんな彼がわざわざ手書きで何かをしたためる時等、何らか特別な時に決まっている。
ノアのポストに見慣れた字でサインの入った手紙が届いていた時、ドラマは小さな驚きと、期待と、嫌な予感と素敵な予感の両方を感じずにはいられなかった。
「大会の結果見たぜ。実は観戦も一回は。
最近大分強くなってきたじゃん? ま、俺が教えてるんだから当然だが。
しかしまぁ――そうだな、幾ら相手がブレンダでもああいう負け方は頂けない。俺が教えてるんだからちゃんと勝たないと嘘だ。うまくない。
だから、オマエはお仕置きね。
……と、言いたい所だが後出しはフェアじゃない。
次勝ったらお仕置き回避のついでにご褒美もやるから頑張りなよ」
なんとまぁ、身勝手な手紙だろうと思うが、そういう人である事は確かだ。
大きく溜息を吐いて、お仕置きってなんですか!? と『想像』してから顔を真っ赤に目をぐるぐるにしてから。ドラマはすうはあと呼吸を整え、文を抱いたままベッドに身を放り投げた。
「……♪」
いやいや、冷静に考えたらこれも書じゃないか。
そんな言い訳をしなくても乙女の理由には十分すぎるのは確かだが――
2021/01/17 01:35:27